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四塩化炭素/Carbon tetrachloride(56-23-5)

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Academic year: 2021

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急性曝露ガイドライン濃度 (AEGL)

Carbon tetrachloride (56-23-5) 四塩化炭素

Table AEGL 設定値

Carbon tetrachloride 56-23-5 (Final) ppm

10 min 30 min 60 min 4 hr 8 hr

AEGL 1 NR NR NR NR NR AEGL 2 27 18 13 7.6 5.8 AEGL 3 700 450 340 200 150 NR: データ不十分により推奨濃度設定不可 設定根拠(要約): 四塩化炭素は、無色、不燃性の液体で、水より比重が高く、水に極わずかにしか溶けない。四塩 化炭素は、研究用および産業用の溶媒として、また、トリクロロフルオロメタンやジクロロジフ ルオロメタン合成の中間体として使用されている。過去には、ドライクリーニング溶剤、穀物の 燻蒸剤、駆虫剤(特に寄生性の蠕虫類に対して有効なもの)、火炎抑制剤としても使用されていた。 四塩化炭素に対するヒトの急性吸入曝露については、多数の事例報告が入手可能であったが、そ のほとんどが曝露状況に関する十分な記載を欠けていた。しかし、これらの事例報告から、四塩 化炭素により、肝毒性ならびに腎毒性、および遅延反応型の重篤で致死的な影響が生ずることが 確認された。さらに、管理下でヒトを四塩化炭素に曝露した場合のデータも得られている。 動物における四塩化炭素の毒性データから、主要なエンドポイントとなり得る影響として、肝臓 ならびに腎臓への毒性影響、ならびに麻酔様の影響が示唆されている。動物に対する四塩化炭素 の毒性を評価する際に最も感度が良いエンドポイントは、肝損傷を反映する血清中酵素活性値の 変化であるように思われる。致死データは、いくつかの試験から様々な濃度や曝露期間について 得られているが、非致死的影響に関するデータは、長期曝露試験以外からはほとんど得られてい ない。 動物試験では、四塩化炭素の代謝および体内動態は複雑で、種間のばらつきもあることが示され ている。毒性の発現機序は正確には不明であるが、モノオキシゲナーゼ酵素群(具体的には CYP2E1)による四塩化炭素の生体内転換が重要であると考えられ、これにより反応性の中間体が 生じる。この活性プロセスが、四塩化炭素に対する毒性反応の程度を決定づける。 四塩化炭素のAEGL-1 値については、導出するのに十分なデータが得られなかったため、提言を

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2 行わない。 四塩化炭素のAEGL-2 値は、ヒトにおいて、中枢神経系(CNS)への影響に関し、4 時間曝露で 76 ppm という最大無影響量が求められており(Davis 1934)、それに基づいて導出した。この試験が ヒトを対象に実施されていることから、種間不確実係数としては 1 を適用した。四塩化炭素の毒 性影響に対し、感受性がより高いと考えられる人がいること(代謝や体内動態におけるばらつき などによる)を考慮し、種内不確実係数には10 を適用した。時間スケーリングは Cn × t = k の式 (ten Berge et al. 1986)を用いて実施した。ここで n は、試験に基づき、すなわちラットの致死デ ータから2.5 と定めた。

四塩化炭素の AEGL-3 値は、実験用ラットにおける複数の試験データ(Adams et al. 1952; Dow Chemical 1960)に基づいて、1 時間 LC01(1%致死濃度)である 5,135.5 ppm を基準として導出した。

生理学的薬物動態(PBPK)モデル化の結果から、げっ歯類では、静脈血および脂肪の四塩化炭素 濃度が、同程度に曝露されたヒトよりも高くなると考えられ、四塩化炭素の代謝は、ラットの方 がヒトに比べ優れていると予測される(Paustenbach et al. 1988; Delic et al. 2000)。PBPK モデルで は、曝露濃度が等しい場合、四塩化炭素から反応性代謝物が産生される速度は、ヒトの方が遅い と予測される(ヒト ÷ ラット = 0.5)。PBPK モデル化に基づくと、ヒトでの毒性代謝物産生量は、 げっ歯類での産生量の約半分と考えられる。よって、種間不確実係数のうち、毒物動態学的要素 は0.5 となる。毒物動力学的要素は 3 とする。よって、総種間不確実係数は、1.5(3 × 0.5 = 1.5)と なる。四塩化炭素の毒性による影響に対し、感受性がより高いと考えられる人がいること(四塩 化炭素の代謝や体内動態におけるばらつきなどによる)を考慮し、種内不確実係数には 10 を適用 した。したがって、総不確実係数は 15 となる。時間スケーリングは、AEGL-2 値と同じ方法で 実施した。

米国環境保護庁(EPA 2010a, b)は、四塩化炭素の吸入ユニットリスクとして 6 × 10-6 per μg/m3とい う数値を導出しており、また、経口曝露および吸入曝露による発がん性の証拠が動物において十 分に存在し、不十分ながらヒトにおいても存在していることに基づき、四塩化炭素には「ヒトに 対して発がん性を示す可能性がある」と判断している。例えば、肝腫瘍が複数の動物種(ラット、 マウス、ハムスター)で、褐色細胞腫(副腎腫瘍)がマウスにおいて認められている。四塩化炭素は、 国際がん研究機関(IARC)により、グループ 2B 発がん物質(おそらくヒトに発がん性を示す)に分 類されている。米国国家毒性プログラム(NTP)では、四塩化炭素を「ヒトに対して発がん性を示 すことが合理的に予測される物質」に分類している。EPA の吸入ユニットリスクを AEGL の具体 的な曝露時間に外挿したところ、がんリスク推定値が 10-4となる濃度は、AEGL-2 値の各濃度よ りも高かった。Table 2-1 に四塩化炭素の AEGL 値を示す。

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3 TABLE 2-1 AEGL Values for Carbon Tetrachloride

Classification 10 min 30 min 1 h 4 h 8 h End Point (Reference) AEGL-1 (nondisabling) NRa NRa NRa NRa NRa Insufficient data AEGL-2 (disabling) 27 ppm (170 mg/m3) 18 ppm (110 mg/m3) 13 ppm (82 mg/m3) 7.6 ppm (48 mg/m3) 5.8 ppm (36 mg/m3) No-effect level for CNS effects in humans (Davi 1934). AEGL-3 (lethal) 700 ppm (4,400 mg/m3) 450 ppm (2,800 mg/m3) 340 ppm (2,100 mg/m3) 200 ppm (1,300 mg/m3) 150 ppm (940 mg/m3) Estimated LC01 in rats (Adams et al. 1952; Dow chemical 1960).

aNot recommended. Absence of an AEGL-1 value does not imply that exposures below the

AEGL-2 values are without adverse effects.

Abbreviations: CNS, central nervous system; LC01, lethal concentration, 1% lethality.

---

注:本物質の特性理解のため、本文書の最後に、参考として国際化学物質安全性カード(ICSC) を添付する。

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国際化学物質安全性カード

四塩化炭素

ICSC番号:0024

四塩化炭素

CARBON TETRACHLORIDE

Tetrachloromethane

Tetrachlorocarbon

Tetra

CCl

4

分子量:153.8

CAS登録番号:56-23-5

RTECS番号:FG4900000

ICSC番号:0024

国連番号:1846

EC番号:602-008-00-5

災害/

暴露のタイプ

一次災害/

急性症状

予防

応急処置/

消火薬剤

火災

不燃性。火災時に刺激性もしくは有毒なフュームやガスを放出す る。 周辺の火災時:適切な消火手 段を用いる。

爆発

火災時:水を噴霧して容器類を冷却する。

身体への暴露

あらゆる接触を避ける! 吸入 めまい、嗜眠、頭痛、吐き気、嘔 吐。 換気、局所排気、または呼吸用 保護具。 新鮮な空気、安静。人工呼吸 が必要なことがある。医療機関 に連絡する。 皮膚 吸収される可能性あり!発赤、痛み。 保護手袋、保護衣。 汚染された衣服を脱がせる。多量の水かシャワーで皮膚を洗い 流す。医療機関に連絡する。 眼 発赤、痛み。 顔面シールド、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用。 数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずし て)、医師に連れて行く。 経口摂取 腹痛、下痢。他の症状については「吸入」参照。 作業中は飲食、喫煙をしない。食事前に手を洗う。 口をすすぐ。多量の水を飲ませる。医療機関に連絡する。

漏洩物処理

貯蔵

包装・表示

・漏れた液をふた付きの容器に集める。 ・残留液を砂または不活性吸収剤に 吸収させて安全な場所に移す。 ・この物質を環境中に放出してはなら ない。 ・(個人用保護具:自給式呼吸器付 完全保護衣)。 ・食品や飼料、金属類(「化学的危険 性」参照)から離しておく。 ・床面に沿って換気。 ・涼しい場所。 ・破損しない包装;破損しやすい包装 のものは密閉式の破損しない容器に 入れる。 ・食品や飼料と一緒に輸送してはなら ない。 ・海洋汚染物質。 ・EU分類  記号 : T, N  R : 23/24/25-40-48/23-52/53-59  S : (1/2-)23-36/37-45-59-61 ・国連危険物分類(UN Haz Class): 6.1

・国連包装等級(UN Pack Group):II 重要データは次ページ参照

ICSC番号:0024

Prepared in the context of cooperation between the International Programme on Chemical Safety & the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993

(5)

国際化学物質安全性カード

四塩化炭素

ICSC番号:0024

重 要 デ | タ 物理的状態; 外観: 特徴的な臭気のある、無色の液体。 物理的危険性: この物質の蒸気は空気より重い。 化学的危険性: 高温面や炎に触れると分解し、塩化水素 [ICSC0163]、塩素フューム[ICSC0126]、ホスゲ ン[ICSC番号0007]などの有毒で腐食性のフュー ムを生成する。アルミニウム、マグネシウム、亜鉛 などのある種の金属と反応し、火災や爆発の危 険をもたらす。 許容濃度: TLV :5 ppm(TWA);10 ppm(STEL);(皮膚) A2 (人における発がん性が疑われる物質) (ACGIH 2004) MAK:0.5 ppm, 3.2 mg/m3; ピーク暴露限度カテ ゴリー:II(2); 皮膚吸収(H); 発がん性カテゴリー: 4; 妊娠中のリスクグループ:D (DFG 2004) (訳注:詳細は DFG の List of MAK and BAT values を参照) 暴露の経路: 体内への吸収経路:吸入、経皮、経口摂取。 吸入の危険性: 20℃で気化すると、空気が汚染されてきわめて 急速に有害濃度に達することがある。 短期暴露の影響: 眼を刺激する。肝臓、腎臓、中枢神経系に影 響を与え、意識を喪失することがある。医学的な 経過観察が必要である。 長期または反復暴露の影響: 反復または長期の皮膚への接触により、皮膚炎 を引き起こすことがある。 人で発がん性を示す可 能性がある。 物理的性質 ・沸点:76.5℃ ・融点:-23℃ ・比重(水=1):1.59 ・水への溶解度:溶けにくい(0.1 g/100 ml、 20℃) ・蒸気圧:12.2 kPa(20℃) ・相対蒸気密度(空気=1):5.3 ・20℃での蒸気/空気混合気体の相対密度(空 気=1):1.5 ・log Pow (オクタノール/水分配係数):2.64 環境に関する データ ・水生生物に対して毒性がある。 ・環境に有害な場合がある;オゾン層への影響にとくに注意すること。 注 ・アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。 ・暴露の程度によっては、定期検診が必要である。 ・許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること。 ・火や高温面の近くで、または溶接作業中に使用してはならない。

Transport Emergency Card(輸送時応急処理カード):TEC(R)-61S1846 NFPA(米国防火協会)コード:H(健康危険性)3;F(燃焼危険性)0;R(反応危険性)0 付加情報

ICSC番号:0024

更新日:2000.04

四塩化炭素

© IPCS, CEC, 1993

  国立医薬品食品衛生研究所

Table  AEGL 設定値

参照

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