• 検索結果がありません。

松岡 和美 前川 和美 下谷 奈津子

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "松岡 和美 前川 和美 下谷 奈津子"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71

大 学 における日 本 手 話 クラスの現 状 と課 題

―マイノリティの言 語 と文 化 への理 解 を促 す授 業 ― 松 岡 和 美 ・前 川 和 美 ・下 谷 奈 津 子 1. はじめに: 日 本 手 話 と日 本 語 対 応 手 話 (手 指 日 本 語 ) 日 本 で「手 話 」と呼 ばれているものには 2 種 類 ある。ひとつは、ろう家 庭 に生 まれた ろう者 が母 語 とする「日 本 手 話 」であり、もうひとつは、日 本 手 話 の単 語 を借 用 して一 部 の単 語 を手 指 で表 しながら口 話 との組 み合 わせで表 出 する「日 本 語 対 応 手 話 (手 指 日 本 語 ・シムコム)」である(木 村 ・市 田 1995、木 村 2011)。日 本 手 話 に早 期 から触 れる機 会 に恵 まれず、口 話 や書 記 日 本 語 を主 たる言 語 として養 育 された難 聴 者 の中 には、上 記 の 2 つの特 徴 が混 じり合 った「混 成 手 話 」(松 岡 2015)を用 いる者 も少 な くない。 日 本 手 話 は、世 界 各 地 で報 告 されている手 話 言 語 の特 徴 を備 えており、日 本 語 と は大 きく異 なる言 語 である。手 話 言 語 の大 きな特 徴 の一 つは、手 指 とそれ以 外 の身 体 部 位 を同 時 に 使 うこと で 実 現 され る「 同 時 性 」 である 。例 え ば 、Yes-No 疑 問 文 と WH 疑 問 文 の違 いは、2 種 類 の異 なる非 手 指 表 現1で表 される(岡 ・赤 堀 2011, 2015、 松 岡 2015)。図 1 に示 されているように、Yes-No 疑 問 文 には「眉 上 げ・目 の見 開 き・ あご引 き、WH 疑 問 文 では「眉 上 げ・目 の見 開 き・細 かい首 振 り」が必 要 となる。これら 2 種 類 の非 手 指 表 現 を入 れ替 えたり、省 略 したりすることは文 法 的 に容 認 されない。 Yes-No 疑 問 の非 手 指 表 現 (眉 上 げ・目 の見 開 き・あご引 き) WH 疑 問 (眉 上 げ・目 の見 開 き・細 かい首 振 り)

(2)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 図 1 日 本 手 話 の疑 問 文 の非 手 指 表 現 日 本 の大 学 で開 講 されている「手 話 」科 目 の大 多 数 は言 語 科 目 ではなく、福 祉 系 科 目 もしくは教 養 科 目 と位 置 付 けられてきた。しかし、近 年 、日 本 手 話 が日 本 語 と異 なる文 法 を持 つことへの関 心 が高 まるにつれて、言 語 科 目 として「日 本 手 話 」を開 講 する大 学 が、少 しずつではあるが増 加 している(岡 ・神 庭 2011)。全 専 攻 の学 生 を対 象 として、他 の言 語 と同 じ枠 で「日 本 手 話 」を開 講 している大 学 は、筆 者 が確 認 した 範 囲 では、首 都 圏 を中 心 とする、以 下 の 9 校 である。 表 1 日 本 手 話 を全 専 攻 対 象 の語 学 科 目 として開 講 している大 学 (2018 年 現 在 ) 関 東 慶 應 義 塾 大 学 東 京 外 国 語 大 学 東 京 経 済 大 学 東 京 大 学 日 本 社 会 事 業 大 学 立 教 大 学 東 海 愛 知 医 科 大 学 関 西 関 西 学 院 大 学 (2019 年 度 より全 学 部 対 象 の選 択 言 語 科 目 を設 置 予 定 ) 四 国 四 国 学 院 大 学 全 国 の大 学 で、手 話 言 語 に強 い興 味 を持 ち、日 本 手 話 科 目 の履 修 を希 望 する学 生 の声 は多 く聞 かれるが(山 本 2011)、それに対 する科 目 設 置 のペースは順 調 とは 言 えない現 状 がある。本 稿 では、筆 者 が所 属 する慶 應 義 塾 大 学 (松 岡 )と関 西 学 院 大 学 (前 川 ・下 谷 )の日 本 手 話 プログラムの例 を中 心 に取 り上 げながら、言 語 科 目 と しての大 学 レベルの日 本 手 話 科 目 の現 状 と問 題 を考 察 する。 関 西 学 院 大 学 の日 本 手 話 クラスは、人 間 福 祉 学 部 の「第 2 言 語 科 目 (選 択 必 修 科 目 )」として開 講 されている。履 修 学 生 数 (1 学 年 90 名 程 度 )・開 講 年 数 (10 年 以 上 )・ろう者 の教 員 がリーダーシップをとり、聴 者 の教 員 が共 同 で行 うプログラム運 営 は、国 内 でも珍 しい実 践 例 である。2019 年 度 からは、言 語 教 育 研 究 センターの選 択 言 語 科 目 としての日 本 手 話 クラスの設 置 が決 定 している。慶 應 義 塾 大 学 の日 本 手 話 クラスは、言 語 文 化 研 究 所 の、全 学 部 を対 象 とする特 殊 科 目 として2015 年 度 に開

(3)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 講 された(松 岡 ・數 見 ・小 林 2018)。 次 節 では、国 内 の複 数 の大 学 の例 をあげながら、現 状 と課 題 を述 べる。慶 應 義 塾 大 学 ・関 西 学 院 大 学 以 外 の大 学 の事 例 については、2015 年 度 に慶 應 義 塾 大 学 開 催 の「大 学 手 話 教 育 に関 する勉 強 会 」の議 事 録 を参 照 した。 2. 大 学 の日 本 手 話 クラスの現 状 と課 題 ここでは、日 本 手 話 科 目 設 置 ・カリキュラム・授 業 運 営 、ろう者 との交 流 の機 会 の確 保 の4 つのトピックについて、国 内 の大 学 の事 例 を交 えながら、現 状 と課 題 を述 べる。 2.1 新 規 日 本 手 話 科 目 の開 講 新 規 に日 本 手 話 科 目 が 設 置 される際 には、日 本 手 話 が日 本 語 と は異 なることを 既 に理 解 している(言 語 学 等 を専 門 とする)専 任 教 員 が起 案 することが多 い。例 えば、 東 京 大 学 教 養 学 部 での日 本 手 話 科 目 設 置 に関 わった伊 藤 たかね氏 は『教 養 学 部 報 』で、手 話 言 語 学 や脳 研 究 の研 究 成 果 に言 及 している(伊 藤 2012)。海 外 の大 学 の言 語 学 入 門 科 目 の教 材 には手 話 言 語 学 への導 入 が含 まれている ことが多 く、留 学 経 験 などを通 じて手 話 研 究 の基 本 知 識 を得 る言 語 研 究 者 は少 なくない。第1 節 で 解 説 した非 手 指 表 現 の例 でも明 らかなように、日 本 手 話 は日 本 語 とは異 なる言 語 で ある2。そのことを聴 者 の大 学 教 員 が十 分 に認 識 していない現 状 があるが、国 内 での 手 話 言 語 学 の情 報 公 開 が進 むにつれ、語 学 科 目 として日 本 手 話 科 目 の設 置 が広 まることが期 待 される3。 関 西 学 院 大 学 では、2019 年 度 より言 語 教 育 研 究 センター科 目 として、日 本 手 話 の授 業 が開 講 されることが決 定 している。言 語 教 育 研 究 センターは全 学 部 生 を対 象 に、これまで「選 択 外 国 語. . .科 目 」として諸 外 国 語 の授 業 を開 講 しているが、新 たに日 本 手 話 の授 業 が加 わることにより、科 目 の名 称 が「選 択 言 語. .科 目 」に変 更 されること 2 手 指 だけではなく、眉 や目 、口 などの調 音 器 官 を用 いて、同 時 に 複 数 の 情 報 を 表 出 できること が 手 話 言 語 の 最 大 の 特 徴 と いえ る。 談 話 に 関 しては 、 結 論 を 先 に 言 って か ら 理 由 を 述 べ る( 例 : 明 日 は会 えない。なぜならば残 業 があるからだ)ことが自 然 な発 話 順 とされる点 も日 本 語 とは異 な る(松 岡 2015)。 3 言 語 学 を専 門 としない教 員 が個 人 的 に手 話 に強 い関 心 を持 ち、科 目 設 置 に尽 力 した御 茶 ノ水 女 子 大 学 の 事 例 が あ る。 教 員 が 副 学 長 に 働 きか けて 科 目 が 設 置 され た 経 緯 は、 小 谷 ( 2011 ) に 詳 しく説 明 されている。ただし、この事 例 で設 置 された授 業 は 「言 語 科 目 」ではない。

(4)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 も決 まっている(傍 点 は筆 者 )。この新 規 科 目 設 置 には、同 大 学 の手 話 言 語 研 究 セ ンター4が大 きく関 与 している。センター長 の教 員 が、今 後 の共 生 社 会 の実 現 のため には諸 外 国 語 だけではなく、国 内 に日 本 語 と肩 を並 べて存 在 する日 本 手 話 も言 語 教 育 に取 り入 れられるべきであるという考 えのもと、全 学 部 を対 象 とした日 本 手 話 開 講 の必 要 性 を訴 えた「開 講 願 」を出 したという経 緯 がある。さらに同 センターの研 究 員 の一 人 が言 語 教 育 研 究 センターのセンター副 長 を兼 ねていたため、組 織 レベルでの 連 携 が取 れたことも大 きな要 因 である。このように、複 数 の部 署 が連 携 することで、日 本 手 話 の言 語 としての認 知 がより学 内 で広 がりやすくなり、科 目 の新 設 に繋 がりやす いと言 える。 大 学 教 員 の採 用 には、少 なくとも修 士 号 が要 求 されることが多 い。日 本 のろう学 校 では口 話 や声 つき手 話 (日 本 語 対 応 手 話 )が主 流 で、日 本 手 話 での教 示 がほとんど 行 われていない現 状 がある(斉 藤 2015)。つまり、日 本 手 話 を母 語 とするろう者 の生 徒 が、ろう学 校 での教 育 のみで大 学 に進 学 できる学 習 レベルに 到 達 することは非 常 に難 しい。その結 果 として、日 本 手 話 を第 一 言 語 とするろう者 の講 師 の多 く が、学 士 号 も修 士 号 も取 得 していないケースが多 く見 受 けられる。しかし、マイノリティ言 語 であ る日 本 手 話 のクラス運 営 には、日 本 手 話 を第 一 言 語 とする教 員 が必 要 不 可 欠 である (3 節 で詳 述 )。そのため、表 1 の大 学 においては、日 本 手 話 を第 一 言 語 とするろう者 は、特 殊 な知 識 ・技 能 を有 する教 員 として受 け入 れられていることが多 い。次 善 の策 として、聴 者 の教 員 と共 同 で指 導 を担 当 する教 員 として承 認 される事 例 もある。その 場 合 は、聴 者 の講 師 が文 法 の解 説 や手 話 の理 解 (読 み取 り)の指 導 を主 として行 い、 ろう者 の講 師 が表 出 (実 技 )を指 導 することが多 いように見 受 けられる。この方 式 の問 題 点 としては、異 なる講 師 が担 当 する授 業 内 容 の連 携 がとりにくいことがあげられる。 また、ろう者 の講 師 に手 話 文 法 の教 授 スキルが求 められないため、言 語 学 の基 礎 知 識 を習 得 するモチベーションが失 われがちであること(文 法 の解 説 指 導 で聴 者 の教 員 に依 存 しがちになること)も、大 きな問 題 である。 2.2 カリキュラム 日 本 手 話 を第 一 言 語 とするろう者 の手 話 講 師 の多 くが所 属 し、教 授 法 の研 修 や 4 日 本 財 団 の助 成 を受 け、2016 年 に国 内 の大 学 で初 めて、手 話 を言 語 として研 究 する特 定 プロ ジェ クト 研 究 セン ター とし て 発 足 し た 。 手 話 言 語 に 関 す る科 学 的 ・ 学 術 的 研 究 を 行 い 、そ の 研 究 成 果 を広 く社 会 に還 元 することを目 的 としている。

(5)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 情 報 発 信 を行 っているのが、NPO 法 人 手 話 教 師 センターである。手 話 教 師 センター では、目 標 言 語 を目 標 言 語 で教 える直 接 教 授 法 のひとつであるナチュラル・アプロー チ法 (NA 法 )の研 修 を行 っている(松 岡 ・數 見 ・小 林 2018:2)。大 学 の日 本 手 話 科 目 を担 当 するろう者 の講 師 は、担 当 クラスに合 わせて手 話 教 師 センターのモデルシラバ スを利 用 している事 例 が多 い。しかし、NA 法 は日 本 手 話 の大 量 のインプットをあるが ままに受 け止 めることで自 然 な習 得 を促 す教 授 法 である。 単 位 修 得 を目 的 としない 地 域 の講 習 会 では問 題 ないシラバスであっても、週 1 回 の実 施 で、なおかつ明 確 な 評 価 基 準 が必 要 となる大 学 科 目 においては、担 当 講 師 による改 訂 が必 要 となる。講 師 が教 材 を自 作 する場 合 が多 いが、一 般 読 者 向 けに手 話 言 語 学 の基 本 を平 易 に 解 説 した岡 ・赤 堀 (2011)や、DVD に練 習 問 題 などが収 録 されている岡 ・赤 堀 (2015) を副 教 材 として利 用 している例 もある。関 西 学 院 大 学 人 間 福 祉 学 部 では、聴 者 の講 師 とろう者 の講 師 が協 働 して日 本 手 話 ・ろう文 化 に関 する講 義 冊 子 を自 作 し、使 用 し ている。 また、NA 法 では学 習 者 の表 出 に対 する訂 正 は最 小 限 にすることが求 められるた め、学 習 者 のアウトプットに対 する詳 細 な評 価 基 準 が確 立 されていない。2 年 目 (中 級 )以 降 の学 習 者 のスキルの発 展 を促 すモデルシラバスがないことや、2 年 目 以 降 に 履 修 できる手 話 科 目 が設 置 されていないことも大 きな問 題 である。関 西 学 院 大 学 で は、日 本 手 話 科 目 の2 年 間 の履 修 を終 えた学 生 (3 年 生 ・4 年 生 )のうち、さらに手 話 の学 習 を続 けたいというモチベーションの高 い学 生 が、ラーニング・アシスタント (LA) として講 師 や学 生 のサポートを行 っている。履 修 生 も、先 輩 となる学 生 から手 話 学 習 や 研 究 発 表 の ア ドバ イ ス を得 られ る な ど、 効 果 的 な学 習 支 援 の 関 係 が 築 かれ てい る。 カリキュラム策 定 に関 する上 記 の現 状 を踏 まえて、次 に実 際 の授 業 運 営 を考 察 す る。 2.3 授 業 運 営 ろう者 の講 師 が単 独 で、または中 心 になって授 業 を展 開 する場 合 は、NA 法 に基 づく直 接 教 授 法 が適 切 とされる。手 話 は「目 で見 る言 語 」であるため、ろう者 の講 師 が 各 学 生 と十 分 な指 導 ができるクラスのサイズは、15 名 程 度 が限 度 と考 えられている。 しかし、多 くの大 学 では履 修 希 望 者 が 15 名 を遥 かに超 えることが多 いため、抽 選 や 履 修 希 望 の理 由 の記 述 などを用 いた 選 抜 を行 っている。必 修 語 学 科 目 のひとつで

(6)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 あり、1 学 年 約 90 名 と履 修 者 数 が多 い関 西 学 院 大 学 人 間 福 祉 学 部 では、30 名 でク ラスを編 成 し、1 クラスを 2 つのグループに分 け、聴 者 の講 師 が音 声 日 本 語 で運 営 す る読 み取 り・講 義 ・研 究 指 導 クラス(週 1 回 )と、ろう者 の講 師 が担 当 する実 技 クラス (週1 回 )のクラスを履 修 させる週 2 回 の履 修 形 態 となっている。ろう者 の講 師 がイラス トや映 像 などを用 いて、各 回 の目 標 となる語 彙 や文 法 項 目 をNA 法 で導 入 したうえで、 ペアワークや個 人 発 表 など、学 生 によるアウトプットのタスクを加 えて運 営 する。慶 應 義 塾 大 学 のように、ろう者 の講 師 が単 独 で担 当 する授 業 では、授 業 の最 後 にコメント シートを日 本 語 で記 入 させて、質 問 の機 会 を確 保 している事 例 もある。 質 のよい教 材 が不 足 していることも大 きな課 題 である。例 えば、アメリカにおいては、 Signing Naturally をはじめとする学 習 用 DVD や詳 細 な教 授 用 資 料 付 きの教 材 が多 数 存 在 する。それに対 して、大 学 初 級 クラスで広 く利 用 できる質 の高 い日 本 手 話 の 映 像 教 材 は、現 在 国 内 には存 在 しない。そのため、自 宅 学 習 (予 習 ・復 習 )のための 動 画 教 材 を教 員 が自 作 して、学 生 に配 布 することも珍 しくない。関 西 学 院 大 学 では、 自 宅 で予 習 ・復 習 ができる補 助 教 材 として DVD を作 成 している。各 テーマ(例 :色 、 家 族 、自 己 紹 介 など)に関 する手 話 語 彙 の表 現 例 、それらの語 彙 を用 いた会 話 例 、 談 話 などが含 まれている。しかし、自 作 映 像 教 材 の作 成 のためには、撮 影 場 所 や機 材 ・人 員 の確 保 が必 要 になるため、非 常 勤 の教 員 が 1 名 で日 本 手 話 の指 導 を担 当 している大 学 では、映 像 副 教 材 の作 成 は難 しい。他 大 学 で制 作 された映 像 教 材 の 共 有 は、肖 像 権 やカリキュラムの違 いなどの理 由 で、ほとんど行 われていない。筆 者 (松 岡 )が監 修 を務 める NHK E テレ「みんなの手 話 」が、2018 年 度 から日 本 手 話 を 取 り上 げる番 組 にリニューアルしたことから、番 組 サイトで公 開 されている映 像 の利 用 も、今 後 の選 択 肢 の一 つとして検 討 可 能 であると思 われる。 日 本 手 話 の学 習 にあたっては、ろう文 化 の知 識 も重 要 である。日 本 手 話 を母 語 と するろう者 には、聴 者 の文 化 とは異 なる「ろう文 化 」がある(木 村 2007)。例 えば、時 間 に関 する表 現 の場 合 、聴 者 は「9 時 10 分 前 」と言 うところを、ろう者 は「8 時 50 分 」と 正 確 な時 間 を伝 える。また、分 からなかった時 や失 敗 した時 の反 応 として、聴 者 は曖 昧 な笑 顔 を見 せることがよく見 られるが、ろう者 はそれを不 可 解 に感 じることが多 い。 日 本 手 話 の学 習 に欠 かせないろう文 化 の指 導 は、手 話 での情 報 提 示 が難 しいため、 初 回 または最 終 回 の授 業 に手 話 通 訳 を手 配 したうえで、ろう者 の講 師 が実 例 を交 え た解 説 を行 うという方 法 がとられることが多 い。聴 者 の講 師 がいる場 合 は、ろう文 化 の 日 本 語 の説 明 を担 当 したり、プリントや副 教 材 を配 布 したりする場 合 もある。慶 應 義 塾 大 学 では、初 級 クラスと中 級 クラスで授 業 の一 部 を共 有 して、合 同 授 業 の形 式 で

(7)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 ろう文 化 の説 明 を試 験 的 に行 っている。ある程 度 手 話 でのコミュニケーションに慣 れ た中 級 クラスの学 生 が教 員 の指 示 にしたがって、ろう者 の講 師 への適 切 な接 し方 の 見 本 を示 すことができる。また、中 級 クラスの学 生 との交 流 を通 して、初 級 クラスの学 生 の学 習 意 欲 の向 上 も期 待 できる。 評 価 とフィードバックのモデルが少 ないことは、深 刻 な問 題 である。NA 法 は「教 師 と自 然 なコミュニケーションができること」を主 眼 としているため、個 々の語 彙 や文 法 項 目 の学 習 到 達 度 の評 価 に重 きはおかれない。出 席 回 数 や教 員 とのコミュニケー ショ ン面 では履 修 者 の到 達 度 に差 がつかないため、手 話 やろう文 化 についての日 本 語 レ ポートを聴 者 の指 導 助 手 が採 点 して評 点 を決 めるような、日 本 手 話 クラスの評 価 とし て適 切 ではない事 例 も一 部 の大 学 で報 告 されている。到 達 基 準 が明 瞭 ではないこと から、関 西 学 院 大 学 のような履 修 者 数 の多 い大 学 でレベル別 クラスを編 成 する場 合 、 課 題 の出 来 や、普 段 の授 業 の理 解 力 ・表 現 力 に頼 らざるを得 ないが、それらが必 ず しも学 生 の到 達 レベルを正 確 に反 映 しているとは限 らないという問 題 も生 じている。 慶 應 義 塾 大 学 では、中 間 および期 末 試 験 で、読 み取 り(理 解 ) と表 出 (アウトプット) の両 方 をテストしている。前 半 は、教 員 が表 出 する手 話 を見 て、学 生 が情 報 を紙 に書 き込 む。その直 後 の表 出 テストでは、学 生 が廊 下 で待 機 し、教 員 が1~2 名 ずつ学 生 を教 室 に呼 び込 んで、課 題 が書 かれた紙 を学 生 に見 せる形 式 をとっている。関 西 学 院 大 学 でも、教 員 と学 生 による個 人 面 談 (1 名 約 3 分 )を小 テストとして定 期 的 に行 っ ている(他 の学 生 は、待 機 中 は別 の課 題 を行 う)。履 修 者 数 が多 いため、一 人 の教 員 がすべてのテストを担 当 することはできない。それにも拘 わらず、一 貫 した評 価 基 準 が なく、テストを行 う講 師 独 自 の基 準 で採 点 を行 うため、テスト間 の基 準 が一 定 していな い可 能 性 があることが課 題 である。 授 業 運 営 全 体 に関 わる重 大 な問 題 として、ろう者 の教 員 が授 業 を単 独 で担 当 して いる場 合 、授 業 運 営 について相 談 できる専 任 教 員 がいないことがあげられる。日 本 の 大 学 には、他 の教 員 の授 業 に干 渉 しない文 化 があるが、特 に学 士 号 を持 っていない (大 学 の授 業 を履 修 した経 験 がない)ろう者 の講 師 には、大 学 の語 学 クラスのイメージ を持 つことが難 しい。大 学 生 の学 習 指 導 ・カリキュラム策 定 ・評 価 基 準 ・図 書 館 や学 内Web リソースの利 用 法 など、多 岐 にわたる情 報 を得 られるサポート体 制 が必 要 であ る。この課 題 を解 決 する最 も有 効 な方 法 は、日 本 手 話 プログラムが運 営 できる、ろう 者 の専 任 教 員 を配 置 することである。大 学 院 に進 学 するろう者 の中 には日 本 手 話 指 導 の経 験 が豊 かな講 師 も含 まれている。カリキュラムや教 材 の開 発 や、非 常 勤 のろう 者 の講 師 の確 保 とサポートを主 たる学 内 業 務 とするろう者 の専 任 教 員 が加 わることで、

(8)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 大 学 の日 本 手 話 指 導 のモデルプログラムが急 速 に発 展 することが見 込 まれる。 また、日 本 手 話 の履 修 を希 望 する学 生 が多 く存 在 するにも拘 わらず、十 分 な人 数 の講 師 を確 保 していない事 例 も見 受 けられる。その一 例 は、50 名 を超 える人 数 のクラ スを 4 つのグループに分 け、ろう者 の講 師 がひとつのグループを指 導 する間 、他 のグ ループはそれを参 観 するという、語 学 の授 業 として不 適 切 と考 えられる運 営 形 態 であ る。聴 者 の学 生 にとって、授 業 外 で日 本 手 話 を使 用 する機 会 が普 段 から少 ないこと を鑑 みれば、少 人 数 クラスで、学 生 とろう者 の講 師 が集 中 して手 話 を用 いる時 間 を確 保 することは、授 業 の質 の担 保 のために極 めて重 要 である。 2.4 ろう者 と交 流 する機 会 の確 保 ろう児 の多 くは聴 者 の親 の元 に生 まれる。したがって、幼 少 時 から手 話 言 語 を第 一 言 語 とし、ろう文 化 を育 む環 境 に恵 まれた「ろう者 」はどの国 においても圧 倒 的 なマイ ノリティであり、日 本 もその例 外 ではない。英 語 以 外 の外 国 語 のクラスとも共 通 する問 題 であるが、学 生 が習 得 中 の言 語 を授 業 外 で使 う機 会 を持 つことは、コミュニケーシ ョン能 力 の維 持 や向 上 のみならず、学 習 意 欲 の向 上 および異 文 化 理 解 を促 すため にも重 要 である。特 に、社 会 的 マイノリティの立 場 に置 かれているろう者 と接 点 を持 ち、 ろう者 も聴 者 も、同 じコミュニティで生 きる生 活 者 であるという洞 察 を得 ることの教 育 的 意 義 は大 きい。澁 谷 (2011)は、聴 学 生 が履 修 する講 義 にろう者 ゲスト(デフゲスト)を 招 く際 の教 育 効 果 を詳 しく論 じている。 多 くの日 本 手 話 クラスで、デフゲストの招 請 は広 く実 践 されている。学 生 が、事 前 に用 意 した質 問 をデフゲストにしたり、それまでに学 習 した表 現 を使 って会 話 を試 み たりする。関 西 学 院 大 学 の日 本 手 話 クラスでは、毎 学 期 招 待 されるデフゲストが手 話 通 訳 付 きの講 演 を行 い、講 師 の生 い立 ち・ろう社 会 ・ろう教 育 ・手 話 言 語 学 など、多 岐 に渡 るトピックを取 り上 げ、ろう者 の人 生 や思 いへの理 解 を促 している。同 校 ではさ らに、地 域 のろう者 を招 いた交 流 会 を開 催 している。1 年 次 は 1 回 (後 期 )開 催 で講 師 が進 行 を担 当 するが、2 年 次 は前 期 と後 期 の 2 回 、履 修 学 生 が運 営 を担 う。それら の活 動 に加 えて、日 本 手 話 科 目 の履 修 者 がグループに分 かれて、ろう者 ・ろう文 化 に関 するトピックを選 んで調 査 を行 い、その成 果 を発 表 する研 究 発 表 会 が毎 年 開 催 され、全 国 からろう者 や手 話 関 係 者 が出 席 している。 有 志 の学 生 によって校 外 の活 動 も行 われている。慶 應 義 塾 大 学 では、日 本 手 話 クラスを履 修 している聴 学 生 と、書 記 英 語 を学 習 したいろう者 が集 まり、日 本 手 話 と

(9)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 英 語 を教 えあう「言 語 交 換 」活 動 が行 われている。関 西 学 院 大 学 では、日 本 手 話 履 修 者 を中 心 に、日 本 手 話 サークル「はなまる」が学 生 によって運 営 されており、随 時 ろ う者 の講 師 のサポートを受 けながら、ろう児 を対 象 としたイベントを行 っている。 このような活 動 の課 題 としては、まず手 話 通 訳 者 やイベント予 算 の確 保 があげられ る5。慶 應 義 塾 大 学 では、必 要 最 低 限 の手 話 通 訳 費 用 は、科 目 を設 置 している言 語 文 化 研 究 所 の予 算 から支 出 しているが、デフゲストの訪 問 日 は通 訳 者 の手 配 は行 わ れないため、教 室 活 動 は学 生 の手 話 スキルに合 わせて限 定 されたものとなる。ゲスト のスケジュール調 整 も容 易 ではない。大 学 の授 業 は平 日 の昼 間 であるた め、ゲストの ろう者 が毎 年 固 定 されがちな傾 向 がある。しかしながら、デフゲストの訪 問 は、学 生 の 学 習 意 欲 やろう者 の言 語 と文 化 に対 する関 心 を著 しく喚 起 する効 果 があり、積 極 的 に取 り組 むべき活 動 であると思 われる。 3. おわりに: ろう者 の講 師 が教 える日 本 手 話 クラスの意 義 と、今 後 の展 望 本 稿 では、ろう者 の講 師 が単 独 または共 同 で大 学 の日 本 手 話 クラスを担 当 する場 合 の事 例 を取 り上 げて論 じてきた。英 語 をはじめとする他 の言 語 科 目 では、当 該 言 語 の母 語 話 者 ではない講 師 が授 業 を担 当 することが多 い。一 部 の大 学 に見 られるよ うに、もし聴 者 の講 師 も日 本 手 話 クラスを担 当 できるようになれば、日 本 手 話 科 目 の 設 置 数 は、現 在 よりも大 幅 に増 えることが考 えられる。しかし、日 本 手 話 とろう者 が置 かれている社 会 状 況 を考 えれば、日 本 手 話 クラスをろう者 の講 師 が担 当 する意 義 は 他 言 語 に比 しても極 めて大 きい。 まず、学 生 にとっては、ろう者 の手 話 講 師 が、初 めて出 会 うろう者 ということになる。 手 話 教 師 センターで選 抜 され、専 門 的 な研 修 を受 けている講 師 は、職 業 意 識 と手 話 指 導 の技 術 を備 えたプロ講 師 である。「福 祉 」の文 脈 でメディアが取 り上 げがちな支 援 が必 要 な障 害 者 としての「聴 覚 障 害 者 」ではないろう者 と出 会 うことは、適 切 なろう 者 観 を養 ううえで大 変 重 要 である。その体 験 から、ろう者 が独 自 の言 語 と文 化 を持 つ 者 であることへの理 解 がスムーズに進 んでいくことが期 待 される。 日 本 手 話 の実 技 のクラスではろう者 が担 当 し、手 話 通 訳 が付 かない。よって 、学 生 が講 師 に質 問 や発 言 をする際 は、全 て学 生 自 らが考 え行 動 しなければならない。聴 5 関 西 学 院 大 学 では、学 生 から徴 収 する教 材 費 が、授 業 関 連 企 画 に関 わる費 用 全 般 (手 話 通 訳 およびゲスト講 師 謝 金 ・教 材 作 成 費 など)の原 資 となっている。

(10)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 者 の講 師 による講 義 で学 んだ「ろう文 化 」や、「手 話 での会 話 スタイル(ろう者 は聞 か れたことにのみ答 える、など)」と、それまで学 んだ手 話 を駆 使 し、ろう者 の講 師 と実 践 でインタラクションをすることにより、日 本 手 話 と日 本 語 が異 なる言 語 であることに加 え て、ろう者 に独 自 の文 化 があることが、学 生 には自 然 に理 解 できるようになる。ろう文 化 を概 念 的 に理 解 するだけではなく、ろう者 との交 流 を通 して自 らの文 化 と相 対 させ る経 験 は、真 の意 味 での異 文 化 理 解 に必 須 と いえよう。北 村 (2011)は、ろう者 の講 師 との日 頃 の接 触 におけるろう文 化 の体 験 を通 して、手 話 通 訳 学 科 の聴 者 の学 生 に起 こる文 化 変 容 のプロセスを詳 細 に論 じている。本 稿 で取 り上 げたような課 題 は多 いものの、日 本 手 話 クラスは、日 本 手 話 を第 一 言 語 とし、ろう文 化 を深 く理 解 している ろう者 の講 師 が担 当 することを基 本 方 針 とするべきである。 日 本 手 話 を言 語 として教 える大 学 クラスの実 践 例 は数 が限 られているため、教 員 同 士 で情 報 交 換 や実 践 の発 表 の場 が定 期 的 に必 要 であるが、現 状 ではそのような 機 会 が十 分 にあるとは言 えない。過 去 の例 としては、関 西 学 院 大 学 において 2 年 連 続 で開 催 された「大 学 における日 本 手 話 教 育 シンポジウム」がある(平 2011)。2009 年 には梅 花 女 子 大 学 ・大 阪 国 際 大 学 ・関 西 学 院 大 学 、2010 年 には藤 田 保 健 衛 生 大 学 ・御 茶 ノ水 女 子 大 学 ・兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 のろう者 の手 話 指 導 者 が登 壇 し、 教 材 や試 験 内 容 を発 表 した。小 谷 (2011)でも、このシンポジウムが御 茶 ノ水 女 子 大 学 における日 本 手 話 の教 養 科 目 設 置 に影 響 したことが延 べられている。こういった他 大 学 との情 報 交 換 や協 議 は、手 話 教 育 の充 実 を図 るために大 変 有 意 義 であるが、 準 備 の負 担 が大 きいこともあり、その後 は開 催 に至 っていない。手 話 教 師 センター主 催 の日 本 手 話 教 育 研 究 大 会 では、日 本 手 話 を公 式 言 語 と定 めて、地 域 講 習 会 を 含 む様 々なレベルの手 話 指 導 に関 する発 表 が行 われている。日 本 手 話 環 境 で通 訳 を入 れず、ろう者 がろう者 のために大 会 を運 営 する意 義 が大 きいことは明 白 であるが、 それとは別 に、ろう者 の教 員 と(手 話 の知 識 がない)聴 者 の教 員 が大 学 日 本 手 話 クラ スの実 践 について情 報 や意 見 の交 換 ができる場 の必 要 性 も、今 後 ますます高 まって くることが予 想 される。大 学 の手 話 教 育 に特 化 したシンポジウムや学 会 開 催 は、今 後 大 いに検 討 すべき課 題 であろう。 大 学 における 日 本 手 話 科 目 は、語 学 学 習 を通 して、日 本 が「単 一 言 語 (単 一 文 化 )・単 一 国 家 」ではないことや「聞 こえないが、障 害 者 ではない」という「ろうアイデン ティティ」の存 在 に学 生 が気 づく契 機 としての重 要 な役 割 を担 い得 るものである。その 結 果 、ろう児 の早 期 手 話 獲 得 の重 要 性 や、日 本 手 話 と書 記 日 本 語 のバイリンガルろ う教 育 (斉 藤 2015)への理 解 やサポートも増 していくものと思 われる。質 のよい教 材

(11)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71 やカリキュラムの開 発 に加 えて、ろう専 任 教 員 の配 置 などの問 題 への取 り組 みの継 続 が望 まれる。 (慶 應 義 塾 大 学 :松 岡 ・兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 M2:前 川 ・関 西 学 院 大 学 :下 谷 ) 参 考 文 献 伊 藤 た か ね (2012 ) 「 日 本 手 話 開 講 に 寄 せ て 」 『 東 京 大 学 教 養 学 部 報 』 第 550 号 http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet -gazette/bulletin/550/open/B -3-1.ht ml [accessed 22 Oct 2018]. 岡 典 栄 ・ 神 庭 真 理 子 (2011) 「日 本 の高 等 教 育 における手 話 (3)」 『文 部 科 学 教 育 通 信 』 268, 18-19 ページ. 岡 典 栄 ・赤 堀 仁 美 (2010) 『日 本 手 話 のしくみ』 大 修 館 書 店 . 岡 典 栄 ・赤 堀 仁 美 (2015) 『日 本 手 話 のしくみ練 習 帳 』 大 修 館 書 店 . 北 林 かや(2011) 「手 話 通 訳 者 養 成 における 「ろう者 のやり方 」 の提 示 と学 習 者 の認 識 」 『立 命 館 大 学 生 存 学 研 究 センター報 告 』16, 31-51. 木 村 晴 美 ・ 市 田 泰 弘 (1995 ) ろ う 文 化 宣 言 . 現 代 思 想 編 集 部 編 『 ろ う 文 化 』 青 土 社 . 8-17. 木 村 晴 美 (2007) 『日 本 手 話 とろう文 化 : ろう者 はストレンジャー』 生 活 書 院 . 木 村 晴 美 (2011) 『日 本 手 話 と日 本 語 対 応 手 話 ( 手 指 日 本 語 ):間 にある深 い谷 生 活 書 院. 小 谷 眞 男 ・下 城 史 江 ・飯 泉 菜 穂 子 (2011) 「新 しいリベラルアーツとしての日 本 手 話 お 茶 の 水 女 子 大 学 に お け る 『 手 話 学 入 門 』 導 入 の 経 験 か ら 」 『 手 話 学 研 究 』 20, 19-38. 斉 藤 道 雄 (2015) 『手 話 を生 きる』 みすず書 房 . 澁 谷 智 子 (2011) 「大 学 の授 業 におけるろう者 の語 り ろう者 ゲストの招 請 とその教 育 的 効 果 」 『手 話 学 研 究 』 20, 11-18 ページ. 平 英 司 (2011) 「『特 集 ; 大 学 における手 話 教 育 』に際 して」 『手 話 学 研 究 』20, 3-4. 松 岡 和 美 (2015) 『日 本 手 話 で学 ぶ手 話 言 語 学 の基 礎 』 くろしお出 版 . 松 岡 和 美 ・數 見 陽 子 ・小 林 信 恵 (2018) 「大 学 語 学 科 目 としての日 本 手 話 クラス:カリキ ュラム開 発 と授 業 運 営 」 『慶 應 義 塾 大 学 言 語 文 化 研 究 所 紀 要 』49,19-233. 山 本 雅 代 (2011 ) 「 手 話 は い か に 捉 え ら れ て い る か : 大 学 生 を 対 象 と し た 調 査 か ら 」 『言 語 と文 化 』14,29-42.

(12)

『複言語・多言語教育研究』 日本外国語教育推進機構会誌 No.6 (2018) pp.60-71

Current situation and challenges of college-level courses of

Japanese sign language:

Teaching the language and culture of minority community Kazumi MATSUOKA, Kazumi MAEGAWA, Natsuko SHIMOTANI As more people realize that Japanese Sign Language (JSL) is fundamentally different from Japanese, the number of university -level JSL courses has been gradually increasing. This article discusses the current situations and challenges of JSL courses offered at universities in Japan. Though much improvement is called for in terms of the hiring process, securing sufficient budgets, developing teaching materials and evaluation metrics, it is highly beneficial to have knowledgeable deaf instructors with a substantial understanding of JSL and deaf culture.

参照

関連したドキュメント

Keywords: Online, Japanese language teacher training, Overseas Japanese language education institutions, In-service teachers, Analysis of

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

The market was usually the center for gathering, sharing information among the community, and conducting local traditions (such as bargaining) in the local language. Visiting

(Construction of the strand of in- variants through enlargements (modifications ) of an idealistic filtration, and without using restriction to a hypersurface of maximal contact.) At

Mono-anabelian geometry I: Reconstruction of function fields via Belyi cuspidalization..

The goal of this paper is to reconstruct group-theoretically the inertia groups asso- ciated to various types of log divisors of a log configuration space of a smooth log curve from

和田 智恵 松岡 淳子 塙 友美子 山口 良子 菊地めぐみ 斉藤 敦子.

(Please note that, because Japanese language proficiency is not required for admission to the Program, the letter of recommendation does not need to be written by a teacher of