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溢流を伴うタンクの地震時スロッシング解析

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

2003 年十勝沖地震(M8.0)では、震源より 200km 離れた苫小牧地区の石油タンクに、周期の長い地震動の 作用によるスロッシング(液面揺動)被害が生じた。この長周期地震動の被害を教訓とし、消防庁告示におい ては屋外貯蔵タンクの耐震設計用の入力地震動が 2006 年に改訂された。スロッシングの最大波高を評価する には、従来、速度ポテンシャル理論に基づいて算定する方法が用いられている。しかしながら、この方法では、 渦無しや線形の仮定が使われており、スロッシング時における流体の大きな変動や乱流挙動、タンクからの溢 流などの現象を考慮することはできないため、大きな誤差が生じ、過剰評価になるものと懸念される。

目 的

溢流を伴う複雑なスロッシング現象を明らかにし、高精度に再現・評価できる数値解析手法を開発する。ま た、水を満たした矩形タンクを用いた振動台実験の結果との比較により、解析方法の妥当性や解析精度を確認 する。

主な成果

1.振動台実験によるスロッシング挙動の把握 2 重構造の矩形タンク模型(図 1)を用い、内側部を満水状態にし、振動台上で水平方向に加振すること によりスロッシングを生じさせ、波高と水圧の計測、外側部に溢れる状況の観察を行った。十勝沖地震を模 擬した地震動入力による溢流を伴うスロッシング応答時の、波高・動水圧の変化、溢流による水位低下状況 など、基本的な挙動を把握した。また、タンクに窓部を設け、高速ビデオカメラで溢流状況を撮影し、画像 処理により液面形状を測定した(図 2)。 2.スロッシング数値解析法の開発と精度検証 2 次元直交格子による非定常非圧縮性流体の数値解析法に、流体塊の分離・合体が解析可能な方法を導入 し、自由液面の変動を加味した、スロッシング解析コード(SLOSH-2D)を開発した(図 3)。本解析コード は、乱流方程式により乱流粘性を扱い、質量保存を厳密化できる解法を採用している点に特徴を有している。 実験の解析により得られた波高および動水圧の時々刻々の変化は実験結果と良く一致した(図 4)。また、 液面形状も画像計測結果と溢水など細部にいたるまで良く一致した。溢流による水位低下量に関しては、水 深の違う 2 ケースで 10%以内(1 鉛直格子幅程度)の精度で評価できた(図 5)。これらの結果、スロッシン グ評価にあたっては、本解析コードを用いた数値シミュレーションで精度良く再現可能であり、今後有効な 手段となり得ることが示された。

今後の展開

入力地震動の特性を考慮し、簡易的に非線形スロッシングを予測する評価法を整備するとともに、実際の大 型タンクを模擬した浮き屋根付きタンクの地震時における流体と構造との連成挙動について検討する。 主担当者 地球工学研究所 構造工学領域 主任研究員 酒井 理哉 地球工学研究所 流体科学領域 首席研究員 田中 伸和 関連報告書 「溢流を伴う矩形水槽の非線形スロッシング評価」電力中央研究所報告: N06031(2007 年 6 月) 118

溢流を伴うタンクの地震時スロッシング解析

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9.電力施設建設・保全

119 図3 スロッシング解析コードの開発と検証解析 図1 実験模型の形状とセンサー配置図 図4 水位の時刻歴応答の比較 図5 平均水位の時刻歴応答の比較 図2 画像処理による液面形状の測定 水深 =1450 1500 50 650 1400 波高計 ( 3 箇所 ) 2000 4000 (単位 mm) 奥行き : 500 50 圧 力 計 ︵ 3 箇 所 ︶ 水面 下 画 像 計 測 用 窓 部 加振方向 0 20 40 60 80 100 120 140 160 - 400 - 300 - 200 - 100 0 100 200 10 20 30 40 50 -400 -300 -200 -100 0 100 200 水位 (mm) 時刻 (s) 解析結果 実験結果 解析 結 果 実験 結 果 水位 (mm) 時刻 (s) 水 液面 タ ン ク 壁   0 20 40 60 80 100 120 140 160 0.50 0.55 0.60 0.65 0.70 0.75 0 20 40 60 80 100 120 140 160 1.25 1.30 1.35 1.40 1.45 1.50 平均 水位 (m ) 時刻(s) 解 析結 果  水 深 0.69m 実 験結 果( 最終 水位 ) 平均 水位(m ) 時刻(s) 解 析結 果  水 深 1.45m 実験 結 果 ( 最終 水位) 2重構造の矩形タンク模型全体を振動台上で加 振するスロッシング実験を行い、水位・動水 圧、溢水量などを計測した。 高速ビデオカメラを用いて側面から水の動きを撮影 し、液体の動きの画像処理により波形を求め、溢 流を伴う複雑なスロッシング現象を把握した。 水塊の分離・合体の表現できる非圧縮性流体の乱 流解析コード(SLOSH-2D)を新たに開発し 、 ス ロッシング実験のシミュレーションを行った。壁 からの溢水、外側での水溜りが再現されている。 色は流速の大小(赤色:大、青色:小)を表す。ま た、矢印は流速ベクトルである。 地震応答の継続時間全域に亘り、解析の結果は、波 高計による計測結果と良く一致し、解析精度が十 分であることが検証できた。 溢流による水位低下に関して、1つの計算格子間 隔程度の精度で評価することができた。なお、平均 水位とはタンク内にある水の量を表すものであり、 実験結果での水位とは、実験終了後の水位である。

参照

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