障がい者スポーツに関する文献研究~2011年から2019 年のデータをもとに~ 特別支援教育専攻 劇I「征志 第1章 研究の背景・目的 2020 年に東京オリンピック・パラリンピック が開催されることもあり,「障がい者スポーツ」 を広めるためには絶好の機会だ。障がい者に対 する障がい者スポーツ普及に文」する取り組みは, 現在でも多く行われているが,障がいのない児 童・生徒への働きかけは論文検索する限りにお いて少ない。そこで本研究では,2011 年から 2019 年内の文献に注目し,障がい者スポーツの 認知度と普及向上との関連性,体験活動共樟が い者スポーツイベントのボランティアなどを行 ったことによる意識変化などに注目し,障がい のない児童・生徒の「障がい理網 に繋がって いるのカ検討するのを目的とする。また,実際 に障がい者スポーツイベントや体験活動に児 童・生徒が参加することでのメリット・デメリ ットについても検討していくことも目的とする。 なお,主な用語説明として「障がい者スポーツ」 および「アダプテッドスポーツ」について以下 に論じる。 障がい者スポーツとは 障がい者スポーツはリハビリプログラムから 発展したものである。第二次世界大戦で負傷し た大勢の退役兵と市民の要求に応えるためにス ポーツがリハビリの要として導入され, リハビ リ用のスポーツが発展してレクリエーションス ポーツになった。それが現在ではさらに発展し, 指導教員 高原 光恵 競技スポーツとなった。 アダプテッドスポーツとは アダプテッドスポーツとは行う人の個性や特 徴に合わせて施設や設備,ルールなどを改変し て行い,行う人に適合させて行うスポーツのこ とである。つまり,障がいの有無に関係なく行 えるスポーツのことだ。 第2 章 研究方法 ・対象キーワード:障がい者スポーツ,アダプ テッドスポーツ,障がい者スポーツ認知・意識 変化,障害理解 ・対象キーワードに関する論文をCiNii から論 文検索し, 187 件のうち障がい者スポーツ普及 に向けての取り組みについての論文5 件,障が い者スポーツのイベントや体験活動の内容およ び庫害者スポーツの認知を調べるためのアンケ ート概要に関する論文8 件,障がい者スポーツ に関するインターネットサイト11 件を対象に し,研究・分析を行った。 第3 章 結果 第1節 障がい者スポーツの現状 障がい者スポーツの実施の現状としては,障 がいの種別の観点からみると車椅子を利用する 肢体不自由児ではスポーツ実施率が近年増加し ているが,視覚障がい児では大きく減少した。 一133
-指導者の現状は,人口規模が大きい都市ほど指 導員が多い傾向にある。施設の現状としては, 障がい者専門・障がい者優先体育施設として利 用できる施設は全体の約0.06%であった。 第2節 学校に取りMtやナい障がい者スポー ツ種目 実際に障がい者スポーツイベントとして行わ れる障がい者スポーツとして「手軽に行うこと ができる」ということが特徴として挙げられる。 そこで今回は,ブラインドサッカー,車椅子バ スケ,グラウンドソフトボール,ボッチャの4 つの競技のルールについての紹介を行った。 第3節 障がい者スポーツの認知度や意識変化 調査 4 つの先行研究内にあった,123 項目の質問 内容を分析した。その結果,3 つの観点が挙げ られた。障がい者及び障がい者スポーツに関す る知識,障がい者へのイメージ,障がい者が障 がい者スポーツを行うことへの精神的意義が挙 げられた。障がい者および障がい者スポーツの 認知や意識の向上にはこの3 つの観点について 注目していくべきだ。また,運動やスポーツが 好きな人ほど,障がい者スポーツへの関心や認 知度が高いことも分かった。 第4節 教育現陽に取り入れることでのメリッ ト・デメリット 実際の教育現場に,障がい者スポーツを導入 することでのメリットについては3 つ考えられ た。障がい理解の促進 障がい者に対するイメ ージ変化,障がい者スポーツの認知の向上であ る。デメリットとしては現在,文献を研究して いった限りでは主だったものは見つからなかっ た。 第4 章 考察 障がい者スポーツに認知や関心を持ってもら うためにはまずは,障がい者スポーツを日常化 していくことが重要である。しかし,そのため には日本だけでの解決は難しいため国際的な協 力が必須ではないかと考える0 国際的な協力を 行っていくことで,障がい者スポーツ普及の課 題でもある実施率の低さ・指導者不足・施設不 足が大きく改善すると考える。また,学校現場 に取り入れるスポーツの条件としては,ルール が改変しやすく手軽に行えるものだと考える。 障がい者スポーツの条件に合わせやすいという のも1つの理由t ~それl功日え,スポーツ好き を増やすことも目的の1つである。ある調査で は,障がい者スポーツに関する質間項目で肯定 的な意見を述べたのは,もともとスポーツが好 きだと答えた人物が多かったという結果が出て 1,、る。 また,教育現場に取り入れることでのデメリ ットとしては,障がい者スポーツに興味を持ち, 障がい者スポーツ人口の増加は良い面なのだが, 障がい者スポーツを行える施設が非常に少ない がために多くの人が利用できなくなる課題が生 じる可能陛がある。また, これまでは競技人口 が少ないからこそ気軽に行えていたが,場所の 確保には必ず予約をしなければならないなども 考えられる。 今回の研究はあくまで「文献研究」をメイン に行っているものだった。そのため,実践は行 っていない。今後は,筆者が思いついた障がい 者スポーツに関する課題を解決するための方法 を実践し,それらの結果についても検討してい きたい。 - 134 -