ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について
著者名(日)
笠原 俊宏
雑誌名
東洋法学
巻
46
号
1
ページ
69-103
発行年
2002-09-30
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000759/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja︻研究ノート︼
ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について
笠
原
俊
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東洋法学
一 一一 三 四 目 次 緒言 立法化の経緯 新立法の主たる特徴 総則規定の内容および特徴 ハ パパハ
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) ) 準拠法決定の基本原則 法律関係の性質決定 反致 強行法規の特別連結 公序 法律回避 五 各論規定の内容および特徴 パ パ パ パ パ54321
属人法 物権の準拠法 当事者自治の原則 契約の特徴的給付 不法行為の準拠法 ⊥ハ 結語 ︵参考資料︶ ロシア民法典第三部中の国際私法規定70 ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 緒 言 二〇〇一年一一月一日、兼ねてよりその成り行きが注目されていたロシア連邦民法典第三部︵第一一一〇条ない し第一二二四条︶がようやくロシア連邦議会において採択された。その後、同月二六日には、ロシア連邦大統領に よってそれが公布され︵ロシィスカヤ紙二〇〇一年一一月二八日号︶、二〇〇二年三月一日から施行されている。同法 典第三部に国際私法規定が含まれることになっていることは、同法典第一部が成立したときからよく知られたと ころである︵小田博﹁ロシア連邦の新民法典ーロシア私法の再生1﹂︵ジュリスト一〇六五号五七頁︶。 現行法において﹁第六章国際私法﹂︵第一一八六条ないし第一二二四条︶として結実したのがそれである。従前、 ロシア国際私法の主たる法源としては、﹁民事立法の基本原則に関する一九九一年五月三一日法律﹂︵以下、コ九 九一年法律﹂として引用︶中の﹁第七節外国人及び外国法人の能力、外国民事法及び国際条約の適用﹂︵第一五六条 ないし第一七〇条︶および一九九五年二一月八日の﹁家族法典﹂中の﹁第七節外国人及び無国籍者に関連する家族 事項に適用されるべき立法﹂︵第一五六条ないし第一六七条︶がある︵甘冨§Oぼ一ω邑言且碧プZ窪お鵯一仁凝8ω 弓菊言U葺8昌↓巴αΦωN一<一薗Φω①言び8冨ωαR勾拐ω一ω畠窪閃&Φ声賦Op等嚢詠魯の﹄ミ鳴ミ憲§ミ§、試ミト§駄 §§ミ§駿§ミω︵以下、舅§とする︶8寅ψ。 。8律さらに、拙稿﹁ロシア国際私法の改正とその特質について﹂比較 法三五号一三九頁以下︶。一九九一年法律はソ連法として一九九二年一月一日から施行されることが予定されたも のであるが、ソ連邦の崩壊により、それが不可能となった。そのため、一九九二年七月一四日の﹁経済改革実行
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期間における民事法関係の規律に関する最高ソビエト決定﹂により、また、一九九三年三月三日の﹁ロシア連邦 の領域におけるソビエト社会主義共和国連邦法の適用上の一定の間題に関する最高ソビエト決定﹂の解釈により、 一定の適用範囲および条件のもとに、一九九一年法律が施行されていた︵召&碧戸鉾斜ρω由。。さらに、拙稿・ 前掲一四四頁参照︶。一九九二年一二月二二日のロシア最高裁判所連合部第一七号決定も、ソ連邦の授権が関わった り、また、ロシア連邦憲法、および、一九九〇年六月二百後に行なわれたロシア連邦の法律行為に反する規定 でない限り、一九九一年法律の発効が適法であることを確認している︵言且8ダ鉾騨ρψ呂。.︶。民法典第三部 中の国際私法規定は一九九一年法律中のそれに代わるものである︵Z簿巴昼閃o覧きo話\9旨巳=葺拐貰Zo冨 ωξ一88皿く色8冨旭8αΦ8嘗洋身辞9江導Φ旨碧一g巴冥一忌蚕器ρ肉恥翰ミらミ尉ミ魯警黛ミミミミ蕊軌§ミ特試&︵以下、 肉鳴ミ鳴Oミ避ミとする︶80ρもμ8。︶。 これをもって、新生ロシアの国際私法はようやくその主たる立法的整備が完成したことになる。ソビエト連邦 が崩壊した後も、ロシアが独立国家共同体諸国を束ねる求心力の役割を果たしてきたことに鑑みるならば、やは り、ロシアの新立法が将来におけるそれらの諸国の立法化に与える影響は否定できないであろう︵冨罫劇o碧串 一碧ω犀一︸UΦ母・一江旨R髭け一8巴R︿ひ8寄ωω一Φgαきω一Φωき幕ω国聾ωヨΦBげおωα①一鋤O田きωΦ巨3図図一①ω酵一ρ 智ミ§ミ§駄ミこミ鳴ミ禽帆§ミ一。。P星8①房乱ε。そこで、すでに一足早く改正を実現したベラルーシ民法典︵一 九九七年一月一日施行︶、ウズベキスタン民法典︵一九九七年三月一日施行︶、カザフスタン民法典︵一九九九年七月一 日施行︶等、独立国家共同体諸国の民法典中の国際私法規定を中心として、最近の国際私法立法との比較をも行な 71ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について うことにより、ロシア国際私法、とりわけ、 を目的とするのがこの小稿である。 二 立法化の経緯 その総則および国際人事法・国際財産法の特徴を明らかにすること ロシアにおける国際私法の分野の規定の不備は、学説によってしばしば指摘されてきたことである。ソビエト 連邦時代には、ロシア連邦大統領の側近のソビエト立法学研究所が国際私法に関する法律草案を起草していたが ︵墨民碧戸ppρψω。ε、最終的には、一九九〇年草案を作成するに終わっている︵ω畠呈8奉\仁呂霧鉦︶8. 鼻もおε。実際に修正を実現したのは、前出一九九一年法律である。同法律はソビエト連邦時代の立法ではある が、ロシアにおける改革後の変化を反映するものである。しかし、その詳細な規定にも拘わらず、結局、ロシア 法の展開の一定期間における一時的な解決を表現したものに過ぎない︵ω・覧きo毒\口呂お匹︸8﹄F巳貫︶。民 法典の一般構造を追求しようとする新立法中の諸規定は、一九九一年法律の主要な規則を踏襲しているが、その 数は一九九一年法律に比して多くなり、また、その内容もより良く練られ、密接関連性の原則や当事者自治の原 則は新立法においてより強化されている︵ωo覧きo奉\口葺拐江oP。FP5ε。 ロシア民法典第三部の立法作業は一九九五年から一九九九年に亘って私法研究所によって進められたが、折し も一九九六年二月一七日、汎独立国家共同体議会理事会が民法典の法律モデルを採択し、そのモデル中の﹁第七 章国際私法﹂と題された諸規定が独立国家共同体諸国の新しい民法典において踏襲されている。前出ベラルーシ 72
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民法典︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノート︵一〇︶1ベラルーシ民法典中の国際私法規定︵一九九九年︶ー﹂ 大阪国際大学紀要国際研究論叢一四巻四号六五頁︶、前出ウズベキスタン民法典︵拙稿﹁中央アジア諸国の国際私法立 法に関する研究ノートーカザフスタン及びウズベキスタンを中心としてー﹂東洋法学四五巻一号七七頁以下︶、前出 カザフスタン民法典︵︾薯蝕吟磐ヌZ窪窃囚o一房δ島自&獣8ヨ呂9巴8曽くぎ3N8ω80拝ぎqR園8呂一鱒 囚錺8房富P塞§8寅ψ㎝G 。律︶がそれらであるが、一九九六年一一月三〇日に公表されたロシア民法典第三部 の第一次草案︵浮ヨ⊆昼N三鱒&霞α①目寄霞ω3窪閃&R蝕oづ↓亀目堕>冴。ぎ葺詣’冥Φ旨昌9巴8零貯暮お。拝” 舅襲一。㊤。 。︸ψ耀律︶においても採用されていた。しかし、同草案は民法典モデルの編纂に参与したと同一の研究 所により、同モデルに従って準備されたものであるにも拘わらず、その後、いくつかの重要な規定が斥けられて いる。例えば、再致、法律回避等に関する規定がそれである。その他にも、契約について厳格な連結の採用は密 接関連性の原則の前に後退している︵浮覧き・話\ロ呂拐匹”β。FP這ε。それに対して、新たに導入されてい るのが消費者契約、不正競争や不当利得から生ずる債務等に関する諸規定である。それらの中にあって、とくに 目を惹くのが利息の支払いおよび観光に関する特別規定が置かれている点であろう。その理由として指摘されて いるのは、ロシア裁判所において処理されたそれらの訴訟数の増加である︵ωo覧きo奉\口呂房貫8お鮮巳漣●︶。 統一的な国際私法の立法化も検討されたが︵召&霧プm﹄.ρψω。ε、それは実現していない。その結果、民 法典第三部第六章の諸規定はロシア民法典の統合された一部分を構成し、また、基本的に私法関係を規律するも のではあるが、国際私法事項の全てを網羅するものではない。ロシア法においては、国際私法規定は諸法に散在 73ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について している。とくに、家族法事項は一九九五年の﹁家族法典﹂に、また、海事法事項は一九九九年の﹁商業航行法 典﹂に含まれている。その他にも抵触法規定を含むいくつかの立法が見られる。例えば、一九九二年の﹁抵当に 関する法律﹂第一〇条第五項および第六項、一九九八年の﹁リースに関する法律﹂第二四条等がそれらである。 また、詳細な渉外実質私法も存在する。それらの立法として挙げられるのが、一九九一年の﹁国籍法﹂、一九九五 年の﹁株式会社法﹂、一九九七年の﹁身分登録法﹂、一九九八年の﹁有限責任会社法﹂、一九九九年の﹁ロシア連邦 における国際投資法﹂である︵ωo覧きo奉\ロ呂器鉦”8・鼻・も・おε。 なお、民法典第三部の施行後においても、渉外私法関係規則として、継続して効力を有する旧法令が存在する。 それらの適用について明確にしているのが民法典第三部導入法第四条である。すなわち、ロシアにおいて施行され ている法律や法令が民法典第三部に即応するまでの間は、ロシア連邦の法律および他の立法並びにソビエト連邦 の法律および他の立法は、民法典第三部に反しない限り適用される︵ωo覧き○奉\口呂諺貫oP葺も・お富房乱ε。 74 三 新立法の主たる特徴 前述のように、新立法が詳細な規定を有しながらも、基本的な構成において一九九一年法律の立場を踏襲して いる。しかし、同法律との比較において、次に挙げるようないくつかの実質的な変化が見られる。すなわち、第 一に、一方的抵触規則に代えて、双方的抵触規則が大幅に採用されていること、第二に、最も密接な関連性の原 則に重点が置かれていること、第三に、自然人の属人法の基準が導入されていること、第四に、強行法規への連
結によって外国法の適用を排除する規則が採用されていること、第五に、当事者に認められた意思自治が拡大さ れていること等がそれらである。もっとも、それらの解決の殆どはロシアの判例および学説においてすでに表明 されているものである︵ωo魅き・奉\=呂霧臨︸8らF巳。巳。また、それらは一九九一年法律に対して新規性を 有するものではあるが、比較立法的に見れば、近時における大陸型国際私法規則として決して特異なものではな い︵ωo閃α四昌○<曽\口零ぎ路一︸o層含“P5ε。 右のいくつかの特徴の中、とくに抵触規則の双方化は民法典モデルによっても実現されていたことであるが、 新立法については、とくに次の諸規定に言及すべきであろう。まず、第一二一九条第二項である。ソビエト市民 についてのみ定めていた一九九一年法律と異なり、加害者と被害者が有する共通国籍または共通住所の地の法を 適用すべきとするのが同項の立場である。また、不動産の相続についても、一九九一年法律がソビエトに所在す る不動産についてのみ定めていたのに対して、新立法第一二二四条第二項は所在地法に拠るべきであると定めて 一般化している。 四 総則規定の内容および特徴
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︵1︶ 準拠法決定の基本原則 新立法が今日における国際私法の動向に倣った点は随所に認められるが、 るのが一九八七年のスイス国際私法および一九八○年のローマ条約であり、 それにとくに影響を与えたと見られ 準拠法決定の基準として密接関連性 75ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について の原則が重用されている点にそれが認められる︵ωo覧きo爵\口鼠房貫o層鼻。も・お9。もっとも、同原則自体は 一九九一年法律においてすでに採用されていたものであり、同法律第一六七条第二項が、外国において発生した 不法行為による損害賠償について、当事者がソビエトの自然人または法人であるときはソビエト法を適用すべき とする立場にそれが見出されるといわれている︵ω・魅き・奉\訟鼠おζ”8らF巳3︶。民法典第一一八六条第二 項においては、連結規則の基本として、補充的な位置付けではあるが、同原則に重要な役割が与えられている。 そのほか、総則規定としては、不統一法国法の適用に関する第一一八八条後段が、準国際私法がない場合におけ る直接指定の基準として、また、強行法規の適用に関する第一一九二条第二項が、特別連結されるべき法体系で あるかの判別基準として同原則を採用している。また、各論規定としては、第一二二条第一項が、当事者によ る契約の準拠法の指定がない場合における補充的連結の基準として同原則を採用しているが、その立場は、不動 産に関する契約の準拠法の指定がない場合に関する第二二三条第一項においても同様である。以上の明文によ るほか、第二九五条において、自然人の属人法の決定基準として国籍および住所が採用されていることや、第 ニコ九条第二項において、共通国籍者間における不法行為が不法行為地に拘わらず共通国籍帰属国法に依らし められていることも、密接関連性の原則の暗黙的な表現である︵切○覧きo奉\口鼠霧匠”8らFP一39霊劉︶。 とくに国際商事仲裁の準拠法の決定については、第一一八六条第一項第二文において、一九九三年七月四日の ﹁国際商事仲裁に関する法律﹂に依拠すべきことが規定されている。同法律第二八条は伸裁者の判断基準に関する 規則であるが、それは一九八五年の法律モデルに倣ったものである。同条によれば、仲裁者は当事者によって選 76
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択された規則に従って争訟を解決すべきであるとされているが、当事者による指定がない場合には、仲裁者が当 面の事件に適用すべきと考える抵触法規則によって指定される法律が適用されることとなる︵ωo魁きo奉\ 口零営ω貫oPo幽汁.も●HO①∴匡冒量oF鉾鉾○←ω.ω一〇。︶。 ︵2︶ 法律関係の性質決定 新立法において新設された規定が、法律関係の性質決定に関する第一一八七条である。それについて、従来か らロシア法において一般に採られてきたのは法廷地法説の立場であり、同条第一項がそれを踏襲している。同条 第二項が規定する例外は、ロシア法に拠ってそれを行なうことができないときである。また、同時に、動産およ び不動産の性質決定については所在地法に拠ることを定めているのが第一二〇五条第二項である。因みに、性質 決定の一例として所有権の移転をめぐる問題が挙げられる。フランス民法典第一五八三条がそれを当事者の合意 のとき︵意思主義︶としているのに対して、ロシア民法典第二二一二条が基準としているのは実質的な引渡しのと き︵引渡主義︶である︵切o魅讐o畠\訟鼠拐匹︶8乙芦巳。9。 ︵3︶反 致 反致に関する第一一九〇条もまた新立法によって初めて明文化された規定である。伝統的に、ソビエト時代に おける学説は、再致をも含め、反致を広く認めていたが、その一方、立法上においては、小切手、約束手形、為 替手形に関して、反致の利用は留保され、また、国際商事仲裁第二八条第一項に見られるように、明文をもって 禁止されていた︵ωo覧きo奉\ご言霧鉦”8乙F巳。9。新立法は民法典モデル第一一九七条とは反対に、反致に 77ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について ついては制限的である。まず、それが認められるのはロシア法に対する場合、すなわち、狭義の反致に限られ、 また、事項的にも、自然人の属人法事項︵第二九五条ないし第一二〇〇条︶に限られている。しかし、それらの制 限も抵触規則の内容を考慮することにより、その合理性を指摘することができる。反致を認めることにより、最 も密接な関連性に基づく連結が行なわれた場合にはその意義が損なわれたり、あるいは、契約に関していえば、 当事者自治の原則が貰きえないことになるからである︵ωo豊きo爵\賦呂お田︸8乙霊もお9。 ︵4︶ 強行法規の特別連結 ローマ条約第七条並びにスイス国際私法第一八条および第一九条の影響を強く受けているのが、強行法規の適 用に関する第一一九二条である。同条第一項は、前出ベラルーシ法第一一〇〇条および前出ウズベキスタン法第 一一六五条が民法典モデル第一二〇一条に倣い、国際的に強行的な性質の決定基準を明示していないのに対して、 強行性はロシア連邦の立法上の強行法規の指示、または、とくに民事法関係の当事者の合法的な権利および利益 の保護のための法規の特別な重要性から生じるものでなければならない、という二つの基準を示している。この 基準は前出カザフスタン法第一〇九一条においても採用されているものである。しかし、﹁超強行的﹂と呼ばれる 後者の基準については、ロシア学説においても、それがあまり明瞭ではないとして、その実際の適用時における 間題の発生の危険性を指摘する見解や国際的強行法規と公序との区別を混乱させるものであるという見解がある ︵ωo覧きo轟\¢鼠拐貫oつoF巳。ご。この点については、現在、ロシアにおいては統一された見解は存在しない。 研究者の大多数が考えるところによれば、前記のような表現は公序についてのものであり、その尊重は国内法秩 78
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序の保護のためには欠くことができないものである︵ω畠量ぎ奉\ロ鼠霧ざ”娃R︶。 さらに、第一一九二条第二項はローマ条約第七条に倣い、事案と最も密接な関連性を有する第三国の国際的強 行法規について考慮することを認めている。それを適用するか否かは裁判官の自由裁量としてその意のままとさ れることになるが、ロシア裁判官は外国法の立場から外国法規の強行性について判断しなければならないことと なる︵ω○覧きO茜\口薯営ω匹︸8.舞。も。一零9霊室︶。 ︵5︶公 序 強行法規の特別連結に関する規定が初めてのものであったのに対して、公序条項は、それがロシア法およびソ ビエト法において採用されてから久しい。すなわち、一九九一年法律に先駆する一九六一年の﹁ソビエト民事立 法の基礎﹂︵以下、コ九六一年基礎﹂とする︶第一二八条においてすでに規定されていた。新立法第二九三条 は、外国法の適用がロシアの公序に反することになるときは、その適用を拒否することを定めている。同条は、 公序の表現として、﹁公の秩序﹂および﹁法秩序の基本﹂の二つの同義語を使用している。これは、前出ロシア家 族法典第一六七条と同様である。 第一一九三条が倣った一九九一年法律第一五八条は、外国法の適用の排除が当該外国の政治的・経済的制度と ロシアのそれとの相違のみを根拠としてはならないことを強調している。新立法第一一九三条第二項が採ってい る立場も同様である。一九九八年九月二五日、次のように判示したロシア最高裁判所が採った立場も同様である。 すなわち、﹁ロシア連邦の法律と他のいずれかの国の法律との間の基本的な相違の存在は、公序による留保の適用 79ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について の根拠となることはできない。その留保のかような適用はロシア連邦における外国法の適用の絶対的な拒否を意 味することになる。﹂とするのがそれである︵国o覧琶○奉\ロ呂冨置”8●鼻.もお叉謡ご。 また、公序による留保が具体的な事案との兼ね合いにおいて行なわれるべきことは、前出家族法典第一六七条 と同様であるが、それを例外的であるとする立場は、新立法においては民法典モデル第二δO条に比してより 強く表明されている。すなわち、公序による留保が対象とするのは、外国法上の規則の﹁その適用の結果﹂であ って、その内容ではないとする点である。 公序による干渉は外国判決の承認および執行についても行なわれており、そこでは、ロシア最高裁判所は公序 の狭い概念を採っているように見られる。すなわち、一九九九年六月二日のロシア最高裁判所幹部会決定は、﹁ロ シア連邦憲法およびロシア連邦法において宣言された基本原則は、公序のもとにあると解される﹂ことを明らか にしている。しかし、ロシア法における公序は法律の条文において縮小されてはいない。公序と強行法規とは一 体と考えられてはおらず、新立法においてはそれぞれ別個に規定されている。また、一九九八年九月二五日のロ シア最高裁判所判決において採られた立場も右決定と同様である。﹁公序の内容は、ロシア連邦の国内立法の内容 と混同するものではない。⋮⋮ロシア連邦の公序は、ロシア国家の社会的機能の基本と解さなければならない。﹂ という見解がそれである︵浮覧き○奉\口鼠拐匹︶8﹄F巳。。 。9ω三ε。
︵6︶法律回避
密接関連性の原則および当事者自治の原則が重用されている新立法においては、民法典モデル第一一九八条や 80一九九六年草案第一二三一条に見られたような法律回避に関する明文規定は置かれていない。従って、ロシア国 際私法へのその導入が否定されていると解するのが正当であろう︵ωo覧きo話\ロ鼠房貫oマ良.も.おε。 五 各論規定の内容および特徴
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︵1︶属 人 法 新立法は自然人および法人の属人法という観念を導入している。前者について採用されている連結素は国籍お よび住所である。国籍が原則とされるが、ロシアに居住する外国人の身分間題をロシア法に服せしめるのが第一 一九五条第三項である。憲法第六二条第一項に従う重国籍の可能性は同条第二項によって規律されている。すな わち、ロシア国籍と他の国籍を有する場合にはロシア国籍が優先する。いずれも外国籍である場合については、 民法典モデルが密接関連性を有する地のそれを指定するのに対して、同条第四項は、人が住所を有する国の国籍 の優先を定めている。これは、住所を補充的基準とすることにより、最も実効性を有すると見られる国籍が優先 されているからである︵ωo魅磐o毒\口呂拐匹”8らFマ8。●︶。なお、住所概念についていえば、民法典第二〇条は、 人が主として、または、永続的に居住する場所を意味するものとして使用している。なお、属人法の適用範囲は 明瞭である。すなわち、人の権利能力、行為能力、氏名がそれらである。 一方、法人の属人法の決定については、ロシア法においては混合的である。すなわち、民法典によれば、一九 九一年法律第一六一条第一項と同様にその設立地国法がそれであるが、会社の本拠地法をそれとする国内立法も 81ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 少なくない︵野覧き○奉\口呂拐ζ堕置e。また、一九九六年七月一日のロシア最高裁判所およびロシア最高仲裁裁 判所連合部命令は、法人の公的な登録が行なわれているときは、その機関の本拠地をその所在地と考えるべきこ とを明らかにしている。さらに、前出有限責任会社法第四条第二項は管理機関の所在地またはその活動の主要な 地を法人の本拠地とすることを定めている︵ω・覧きo奉\ロ呂霧ζ︶蕎e。 ︵2︶ 物権の準拠法 第一二〇五条第一項が採用するのは不動産および動産の物権をともに所在地法に依らしめる同則主義である。 しかし、第一二〇六条第二項においては、移送中の動産の物権については発送地法主義が原則とされている。第 一二〇七条が輸送手段の物権として宇宙間物体のそれについても定めているところに、宇宙開発における優位性 に対するロシアの自負が窺える。 ︵3︶ 当事者自治の原則 新立法において最も大きな変化が見られるのは、当事者自治が原則とされる契約の準拠法の決定においてであ る。同原則が初めてロシア法において採用されたのは一九六一年基礎においてであったが、その後、一九九一年 法律第一六六条第一項においても受け継がれている。判例においてもしばしば援用されていた。新立法において は、契約当事者は明示の指定により、契約の全体についても、また、その一部についても準拠法を選択すること ができる。そして、その原則は、法廷地法の範囲に限られているが、第一二一九条第三項により、選択的に損害 賠償について、また、第一二二一二条第一項により、不当利得についても拡大されている。しかし、その一方、い 82
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くつかの制限が課せられている。まず、第一一九三条第一項が、準拠法の適用の結果がロシアの公序に反しては ならないと定めている。また、第一二一〇条第一項が、不動産に関する物権の取得および消滅については、第三 者の権利を侵害してはならないと定めている。さらに、民法典モデルにも、また、それを踏襲したベラルーシ、 ウズベキスタン、カザフスタンの民法典にも存在しない規定が見られる。すなわち、準拠法の選択は契約が現に 関連性を有している国の強行法規を侵害してはならないという第一二一〇条第五項がそれである。さらに、また、 消費者契約に関する第二二二条においては、消費者保護のため、当事者自治はかなり制限されている。 ︵4︶ 契約の特徴的給付 契約当事者による準拠法の選択が行なわれなかった場合には、準拠法は密接関連性の基準に従って選定される というのが第一二二条第一項である。その基準はスイス法およびローマ条約の影響によるものである︵野覧き○奉 \ご呂霧江8.鼻.も.8ε。一九六一年基礎第一二六条、そして、一九九一年法律第一六五条第二項おいて採用さ れていたのは行為地法︵契約締結地法︶主義である。最も密接な関連性を有する地については、各個契約の特徴 的給付を行なう者の住所またはその主たる活動の本拠地であるとするのが新立法第二二一条第二項であり、ま た、各個契約の特徴的給付を行なう者について定めるのが同条第三項である。その場合の連結は固定的である。 ︵5︶ 不法行為の準拠法 前出一九九六年草案によって革新的な立場が開拓されたのが不法行為の準拠法についてである。すなわち、同 草案第一二五四条により、契約外債務への当事者自治の限界が取り払われる基盤が築かれたとみられるが、その 83ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 立場は、新立法第一二一九条第一項においては、原因発生地法と結果発生地法からの選択的連結、また、同条第 三項においては、事後における法廷地法の選択を許容するものとなっている︵軍ζ﹄畠邑四壽ξ曼望≦o鵠99 Z窪Φ国旨&畠冨轟窪冒噌q隆ω魯窪目gヨ呂8巴窪即貯讐おo辟”亀§一8。 。薗ω﹂ω参照︶。 六 結 藍ロロ いうまでもなく、抵触法規定を含む民法典第三部の施行により、ロシアが国際私法の改正において大きく前進 したことは確かである。相互主義の原則の放棄︵第一一八九条参照︶とも相侯って、ロシア国際私法の現代化はロ シア法秩序の国際的な門戸の拡張をもたらすものである︵匡且8F勲鉾ρωる一一’︶。また、ロシアの立法者は管 轄規則の制定に向けても動いており、すでに、国家幹部会は新しい民事訴訟法典および仲裁裁判訴訟法典の草案 を検討しているが、それらの草案中には管轄権の抵触に関する規定が含まれている︵ω・覧彗・奉\ロ呂房軍8. 。FPN8、︶。ロシア国際私法に見られるこのような﹁挑戦﹂︵霞&8戸鉾Pρψ。 。一一。︶を目の当たりにして信じ 難いのは、またしても経済大国日本の国際私法立法の停滞した状況である、というほかはない。 次に、新立法の試訳を掲げた。邦訳の作成に際して依拠したのは、肉鳴ミ鳴Oミ帖餐恥8。ρす一。 。N9ω巳ダである。 また、独語訳は舅嚢80ρψω曽斥にある。 84
︵参考資料︶ロシア民法典第三部中の国際私法規定
ロシア連邦民法典第三部を施行する二〇〇一年一
一月二六日連邦法第一四六号
︵ロシィスカヤ紙二〇〇一年一 一月二八日号︶第六章 国際私法
第六六節 総則規定東洋法学
第一一八六条 外国人を含むかまたは他の渉外的要素を伴う民事法関係の準拠法の決定 一 法律関係の目的が外国に所在する場合をも含み、外国の自然人もしくは法人を含むか、または、他の渉外的 要素を伴う民事法関係の準拠法は、ロシア連邦の国際条約、本法典、その他の法律︵第三条第二項︶、および、 ロシア連邦において認められた慣習によって決定される。 とくに国際商事仲裁の準拠法の決定規則は、国際商事伸裁に関する法律によって定められる。 二 本条第一項に従い、準拠法を決定することができないときは、渉外的要素を伴う民事法関係と最も密接な関 連性を有する法が適用される。 85ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 三 ロシア連邦の国際条約が一定の法律関係を対象とする実質規定を含むときは、完全に実質規定によって規律 された局面への抵触規則の適用は排除される。 第一一八七条 準拠法の決定のための法概念の性質決定 一 準拠法の決定のため、法概念の性質決定は、それについて法律が別段に定めていない限り、ロシア法に従っ て行なわれる。 二 準拠法を決定するために性質決定すべき法概念がロシア法によって知られていないか、または、他の名称の もとにか、もしくは、他の内容をもって知られており、かつ、ロシア法に従った解釈によって定義されること ができないときは、その性質決定のため、外国法が利用されることができる。 第一一八八条 多数の法制度を有する国の法の適用 多数の法制度が併存する国の法が指定されるときは、同国法に従って決定された法制度が適用される。同国法 に従い、適用されるべき法制度を決定することができないときは、関係が最も密接な関連性を有すると考えられ る制度が適用される。
第二八九条 相互性
一 ロシア法が関係外国における同類の関係へ適用されないときであっても、外国法の適用が法律によって相互 性の留保のもとにしか規定されていない場合を除き、外国法はロシア連邦において適用される。 二 外国法の適用が相互性の条件に服するときは、その条件は反証があるまで充足されているものと見倣される。 86東洋法学
第一一九〇条反致
一 本章の諸規定から生じる全ての外国法の指定は、本条第二項に定められた場合を除き、実質法の指定であり、 また、関係国の抵触規則の指定ではないものとして考えられる。 二 外国法によって行なわれた反致は、それがロシア法に対して行なわれ、かつ、自然人の法的身分︵第一一九 五条ないし第一二〇〇条︶に関するときは認められることができる。 第一一九一条 外国法の内容の確定 一 外国法の適用のため、裁判官は、関係外国における公式な解釈、長年の実務および現実の学説に従い、その 規則の内容を確定する。 二 外国法規の内容を確定するため、裁判官は、手続規則に従い、ロシア連邦法務省並びにロシア連邦または外 国における全ての資格のある機関の援助および説明を要求することができる。また、裁判官は鑑定人を任命す ることができる。 訴訟当事者は、それらの者がその要求または異議申立を根拠付けるために主張する外国法規の内容を確定す る文書を提出し、また、その法規の内容の確定における他のあらゆる手段により、裁判官を援助することがで きる。 要求が企業活動の当事者による営業に関係するときは、裁判官は外国法規の内容の証明をその者の負担とす ることができる。 87ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 三 本条に従って試みられた努力に拘わらず、外国法規の内容が相当の期間内に確定されないときは、ロシア法 が適用される。 第一剛九二条強行法規の適用 一 本章の諸規定は、準拠法が何であるかに拘わらず、ロシア連邦の立法上の強行法規が含む指示、または、そ れがとくに民事法関係に含まれた者の合法的な権利および利益の保護のために帯びる特別な重要性を理由とし て、その関係を規律するそれの適用を侵害しない。 二 本章の諸規定による一定の国の法の適用の際には、裁判官は、準拠法が何であるかに拘わらず、規律すべき 関係と密接な関連性を有する他のいずれかの外国法に従い、同法上の強行法規がその関係に必要であるときは、 その強行法規を考慮することができる。その場合においては、裁判官はその強行法規の目的および性質並びに その適用またはその不適用の結果を考慮するものとする。 第一︻九三条公序による留保 本章の諸規定によって指定された外国法の規則は、その適用の結果が明らかにロシア連邦の法秩序︵公序︶の 基本に反することになるときは、例外的に適用されない。その場合においては、ロシア法の相当する規則が必要 なものである限り適用される。 外国法の規則を適用することの拒否は、関係外国の法律、政治または経済制度とロシア連邦の法律、政治、経 済制度との間の単なる相違に基づいてはならない。 88
第一一九四条 報復 ロシア連邦政府は、報復として、ロシアの自然人および法人の財産権および非財産権に対する特別な制限が存 在する国家の自然人および法人の財産権および非財産権に対する制限を設けることができる。 第六七節 人の身分の準拠法
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一九五条自然人の属人法 自然人の属人法は、その者が国籍を有する国の法とする。 ロシア国籍の者が同時に外国国籍を有するときは、その者の属人法はロシア法とする。 外国人がロシア連邦にその者の住所を有するときは、その者の属人法はロシア法とする。 いずれかの者が複数の外国国籍を有するときは、その者がその住所を有する国の法がその属人法として考え られる。 自然人の権利能力はその属人法によって規律される。外国人および無国籍者は、法律によって定められた場合 を除き、ロシア連邦においてロシア国民と同一の権利能力を保有する。 第[ 「 二 三 四 五 無国籍者の属人法は、その者がその住所を有する国の法とする。 六 避難民の属人法は受入れ国の法とする。 第二九六条 自然人の権利能力の準拠法 89ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 第一一九七条自然人の行為能力の準拠法 一 自然人の行為能力はその属人法によって規律される。 二 自然人であって、その属人法によれば行為能力を有しない者は、法律行為が実行された地の法律により、行 為能力がその者に認められているときは、他方当事者がその行為能力の欠如を知っていたか、または、知るべ きであったことが証明されない限り、その行為能力の欠如を主張する権利を有しない。 三 自然人の完全または部分的行為無能力の宣告がロシア連邦において言い渡されるときは、それはロシア法に 服する。 第一一九八条自然人の氏名の準拠法 自然人のその氏名の取得、使用および保護の権利は、本法典または他の法律がそれについて別段に定めていな い限り、その属人法によって決定される。 第一一九九条 後見および保佐の準拠法 一 未成年者、行為無能力の成年者、または、制限された行為能力を有する成年者の後見または保佐の開始また は解除は、保護された者の属人法に従って宣告される。 二 後見人︵または保佐人︶の後見︵または保佐︶を引受ける義務は、その職務について指名された者の属人法 に服する。 三 後見人︵または保佐人︶と後見︵または保佐︶に付された者との間の関係は、後見人︵または保佐人︶を指 90
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名した管轄官庁が帰属する国の法によって規律される。但し、保護された者がロシア連邦に居住するときは、 ロシア法がその者にとってより有利である限り、それが適用される。 第一二〇〇条不在または死亡推定の宣告の準拠法 自然人の不在または死亡推定の宣告がロシア連邦において言い渡されるときは、それはロシア法に服する。 第一二〇一条 自然人の企業活動を実行する能力の準拠法 自然人の法人を創設することなく個人として企業活動を実行する権利は、その自然人が個人企業家の資格にお いて登録された国の法によって決定される。その規則が義務的な公の登録の不存在によって不備であるときは、 活動の主要な本拠の国の法が適用される。 第一二〇二条法人の属人法 一 法人の属人法はその設立国の法とする。 二 属人法はとくに次に掲げる事項を規律する。 勾 (5) (4) (3) (2) ( 法人の定款 その社会的形式 その名称に関する必要条件 その譲渡を含む法人の設立、 その権利能力の内容 改組および清算 91ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について ㈲ 民事上の権利および義務の取得の形態 の その社員とのその関係を含む内部関係 ㈲ その義務を保証する能力 三 法人は、共同契約者が法律行為の締結を課せられた会社の機関またはその代表者の権限の制限を知っていた か、または、知るべきであったことが証明されない限り、その機関またはその代表者が行為した国の法におい て知られていない前記の制限を援用することはできない。 第一二〇三条 外国法によれば法人格のない外国社団の属人法 外国法によれば法人格のない外国社団の属人法は、その設立国の法とする。 ロシア法が適用されるときは、立法規定もしくは行政規定または法律関係の性質の留保のもとに、かような社 団の活動は本法典の法人活動に関する諸規定によって規律される。 第一二〇四条 渉外的要素を有する民事法関係への国家の参加 本章の諸規定は、法律が別段に定めない限り、一般的形態に従い、国家が参加している渉外的要素を有する民 事法関係へ適用される。 92 第六八節 財産関係および非財産関係の準拠法 第一二〇五条 物権の準拠法に関する総則規定
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一 不動産および動産に対する所有権および他の物権の内容、それらの行使およびそれらの保護は、それらの物 の所在地国の法によって規律される。 二 動産または不動産としての物の種類は、それらの物の所在地国の法に服する。 第一二〇六条 物権の取得および消滅の準拠法 [ 物に対する所有権および他の物権の取得および消滅は、法律がそれについて別段に定めない限り、その物が 所有権または他の物権の取得または消滅の原因となった行為または他の全ての事件が生じた当時に所在した国 の法によって規律される。 二 移送中の動産に係わる法律行為の目的となる所有権および他の物権の取得および消滅は、法律がそれについ て別段に定めない限り、その物が発送された国の法によって規律される。 三 取得時効の効果による物に対する所有権および他の物権の取得は、その物が取得時効の期間の満了の当時に 所在する国の法によって規律される。 第一二〇七条 航空機、船舶および宇宙間物体に対する物権の準拠法 航空機、船舶、内航船、宇宙間物体に対する所有権および他の物権は正式な登録に服するものとし、また、そ の行使およびその保護はその物が登録される国の法によって規律される。 第[二〇八条消滅時効の準拠法 消滅時効は主たる関係の準拠法によって規律される。 93ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 第一二〇九条法律行為の方式の準拠法 一 法律行為の方式はその締結地の法に服する。但し、外国において締結された法律行為は、ロシア法上の条件 が遵守されたときは、方式上の蝦疵のために無効とされてはならない。 本項の第一文の諸規定は委任の方式にも同様に適用される。 二 対外取引法律行為の締結地がどこであろうとも、また、当事者の少なくとも一方がロシア法人であるときは、 かような行為の方式はロシア法に服する。この規則は、行為の当事者の一方が企業活動を実行する自然人であ って、その属人法が本法典第一一九五条に従ってロシア法である場合においても同様に適用される。 三 不動産に関わる法律行為の方式はその物が所在する国の法に服し、また、ロシア連邦における公の登録簿へ 記載された不動産に関わる法律行為の方式はロシア法に服する。 第一二一〇条契約当事者による法選択 一 契約当事者は、契約当時または事後に、契約から派生するそれらの権利および義務の準拠法を取り決めるこ とができる。当事者によってかように選択された法は、第三者の権利を侵害することなく、動産に対する所有 権および他の物権の取得および消滅に適用される。 二 準拠法の選択に関する当事者の合意は明示であるか、または、契約上の諸規定から確実に生じるか、もしく は、事情の全体から生じなければならない。 三 契約の締結後に行なわれた当事者による準拠法の選択は遡及的効力を有する。その選択は第三者の権利を侵 94
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害することなく、契約締結時より有効であると見倣される。 四 契約当事者はその契約の全部または単に一定の部分の準拠法を選択することができる。 五 準拠法の選択当時における事情の全体から、契約が現にいずれかひとつの国と関連性を有することになると きは、契約当事者による他のいずれかの国の法の選択は、契約が現に関連性を有する国の強行法規を侵害しな い。 第一二一一条準拠法に関する合意がない場合における契約の準拠法 一 契約の準拠法に関する当事者の合意がない場合には、契約が最も密接な関連性を示す国の法が適用される。 二 立法規定、契約の条項もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、特徴的給付を履行する当事者がその 住所またはその主たる活動の本拠を有する国の法が、契約が最も密接な関連性を示す国の法と見倣される。 三 立法規定、契約の条項もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、契約の特徴的給付を履行する当事者 とは、とくに次に掲げる者とする。 の (5)(4)(3)(2)( 売買における売り主 贈与における贈与者 賃貸借における賃貸人 使用貸借における貸し主 請負契約における請負業者 95ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について ㈲ 運送契約における運送業者 ω 運送取扱いにおける取扱業者 ㈲ 貸付け︵貸付け契約︶における貸し主 ⑨ 債権買取契約における仲買人 ⑩ 銀行預金および銀行口座開設における銀行 ⑪ 寄託契約における受託者 働 保険契約における保険業者 ⑬ 委任における受任者 αの 伸買における取次業者 ㈲ 代理店契約における代理人 ㈲ 営業権譲渡における譲渡人 ㈲ 質における債権者・質権者 ⑬ 保証における保証人 ⑬ ライセンス契約における許可人 四 立法規定、契約の条項もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、 とくに次に掲げる法が、契約が最も 96 密接な関連性を示す国の法と見倣される。
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ω 建築契約または設計作業および研究作業の実施契約に関し 契約によって定められた主たる履行がなさ れる国の法 ω 参加会社の契約によって定められた活動が実施される国の法 ㈹ 競売、競争または証券取引の後に締結された契約に関し、競売、競争または証券取引が組織されている国 の法 五 立法規定、契約の条項もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、多様な類型の契約において取られた 要素によって構成された契約は、総合的に見て、それが最も密接な関連性を示す国の法によって規律される。 六 契約が国際商取引において使用された用語をもって表現されるときは、契約において他の指示がない場合に は、当事者はそれらの者の関係へのその用語によって示された商取引慣習の適用を合意しているものと推定さ れる。 第[二[二条 消費者によって締結された契約の準拠法 一 当事者の一方がその個人的、家族的、家庭的な必要のためか、または、企業活動の実行と関係ない他の必要 のため、動産︵労働、サービスVを利用、取得もしくは注文するか、または、利用、取得もしくは注文する意 思を有する自然人である契約の準拠法の選択は、次に掲げる諸情況の少なくともひとつが生じたときは、その 自然人︵消費者︶から、その者がその住所を有する国の法の強行規定がその者に保障するその権利の保護を 剥奪する結果になってはならない。 97ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について ω 契約の締結が同国において消費者に向けられた申込みまたは広告から生じており、また、消費者が同国に おいて契約の締結に必要な行為を行なったこと の 共同契約者またはその代理人が同国において消費者の注文を受領したこと ⑥ 動産の取得、労働の実行またはサービスの提供のための注文が、旅行が消費者に契約を締結させる目的で 共同契約者によって企画されたことを条件として、外国において行なわれたこと 二 準拠法に関する当事者の合意がなく、また、本条第一項に記された情況が存在するときは、消費者がその住 所を有する国の法が消費契約へ適用される。 三 本条第一項および第二項は次に掲げる契約へ適用されない。 ω 運送契約 ㈲ 消費者がその住所を有する国以外の国のみにおいて、労働が実行されなければならないか、または、サー ビスが供給されなければならないときは、労働の実行またはサービスの供給の契約 本項によって定められた例外は、とくに観光の分野において締結された契約であって、一括料金で運送と宿 泊︵また、場合によっては、同一の一括料金で他のサービス︶との組合わされた給付を提供する契約を対象と しない。 第︻二一三条 不動産に関する契約の準拠法 一 準拠法に関する当事者の合意がないときは、不動産に関する契約は、契約が最も密接な関連性を示す国の法 98
によって規律される。立法規定、契約の条項もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、不動産が所在す る国の法が、契約が最も密接な関連性を示す国の法と見倣される。 ニ ロシア連邦に所在する土地、地下資源、分離した水、または、他の不動産に関する契約は、ロシア法によっ て規律される。 第=一一四条 外国資本の参加を伴う法人設立の契約の準拠法 外国資本の参加を伴う法人設立の契約は、契約に従い、法人が設立されるべき国の法によって規律される。 第一一二五条 契約の準拠法の範囲 本法典第一二一〇条ないし第二二四条および第=二六条による契約の準拠法は、とくに次に掲げる事項を 規律する。 東 洋 法 学 第 一(6)(5)(4)(3〉(2)(1 契約の解釈 契約当事者の権利および義務 契約の履行 契約の不履行または不完全履行の効果 契約の消滅 契約の無効の効果 一六条 債権譲渡の準拠法 99
ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について 一 債権譲渡の準拠法は、譲渡人と譲受人との間の関係につき、本法典第一二一一条第一項および第二項に従っ て決定される。 二 債権の譲渡性、譲受人と債務者との間の関係、債務者に対する譲渡の対抗要件、並びに、債務者による義務 の完全な履行は、被譲渡債権の準拠法によって規律される。 第一二一七条 単独法律行為から生ずる義務の準拠法 立法規定、法律行為の処分もしくは性質または事情の全体の留保のもとに、単独法律行為から生ずる義務は、 義務を負う当事者がその住所またはその主たる活動の本拠を有する国の法によって規律される。 委任状の有効期間、および、それが終了する要件は、委任状が発行された国の法によって規律される。 第一二一八条 利息の支払い義務の準拠法 金銭債務に帰属する利息の総額、その支払いの条件、および、その計算の方法は、主たる債務の準拠法によっ て規律される。 第一二一九条 損害を与える事実から生ずる義務の準拠法 一 損害を与える事実から生ずる権利および義務は、損害を与える行為、または、賠償請求の原因となる他のす べての事件が突発している国の法によって規律される。その行為またはその事件の結果、損害が別の国におい て生じたときは、加害者が損害が同国において生じることを予測したか、または、予測すべきであった場合に は、その後者の国の法が適用されることができる。 100
二 当事者が同一国籍の自然人または法人であるときは、外国において発生した損害を与える事実から生ずる権 利および義務は共通国籍の法によって規律される。当事者が異なる国籍であっても同一国に居住するときは、 同国の法が適用される。 三 損害を惹起する行為または事件の後に、当事者は損害から生ずる義務への法廷地法の適用を合意することが できる。 第ロニニO条 損害を与える事実から生ずる義務の準拠法の範囲 損害を与える事実から生ずる義務の準拠法は、とくに次に掲げる事項を規律する。
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ω 不法行為能力 ㈲ 他人の行為による責任 ⑥ 責任の要件 ㈲ 責任の制限および免除の事由 ㈲ 損害賠償の方法 ㈲ 賠償の評価 第一ニニ一条生産物、労働またはサービスの報疵によって惹起された損害に対する責任の準拠法 一 生産物、労働またはサービスの暇疵によって惹起された損害の賠償請求は、被害者の選択により、 る法によって規律される。 次に掲げ 101ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定について ω 売り主または生産者または他の全ての加害者本人がその住所またはその主たる活動の本拠を有する国の法 ω 被害者がその住所またはその主たる活動の本拠を有する国の法 ⑬ 労働が実行されたか、サービスが供給されたか、または、生産物が取得された国の法 本項第二号および第三号によって規定された法の選択は、加害者が、生産物がその者の同意なく当該国にお いて流通に置かれたことを証明することができなかった場合にしか、被害者に許されない。 二 被害者が、本条がその者に授与する選択の権利を行使しないときは、準拠法は本法典第一二一九条に従って 決定される。 三 本条の諸規定は、生産物、労働またはサービスに関する不正確または不十分な情報から生ずる損害の賠償請 求へ適用される。 第=一ニニ条 不正競争から生ずる義務の準拠法 立法規定または義務の性質の留保のもとに、市場が影響を受けている国の法が不正競争から生ずる義務を規律 する。 第一ニニ三条 不当利得から生ずる義務の準拠法 一 不当利得から生ずる義務は、利得が生じた国の法によって規律される。 当事者はかような義務への法廷地法の適用を合意することができる。 二 不当利得が、財産が取得または維持された範囲において、先在したかまたは企図された法律関係に係わると 102
きは、その利得から生ずる義務は、その関係を規律するかまたは規律した法に服する。 第一ニニ四条 相続の準拠法 一 相続は、本条の以下の諸規定の留保のもとに、被相続人の最後の住所地国の法によって規律される。 不動産の相続は、財産の所在国の法によって規律される。ロシア連邦における公の登録簿へ記載された不動 産の相続は、ロシア法によって規律される。 二 不動産に関してであっても、遺言によって処分する能力、および、遺言を撤回する能力、並びに、遺言また は撤回の方式は、処分者が遺言の作成またはその撤回の当時その住所を有する国の法によって規律される。但 し、遺言またはその撤回は、その方式が遺言作成または撤回の地の法、または、ロシア法によって定められた 要件を充足するときは、方式の不備のために無効とされてはならない。