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学 位 論 文 内 容 の 要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 開    良 輔

学 位 論 文 題 名

   大 型 ヘ 1J カ ル 装 置 の 高 ベ ー タ プ ラ ズ マ に お け る 高 エ ネ ル ギ ー 粒 子 の 軌 道 と 速 度 分 布 関 数 に関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  効率的次磁場閉じ込 め核融合炉を実現するために は、高いべータ値(プラズマ圧カと磁気圧との 比)を持っプラズマを 安定に閉じ込める必要がある。近年、大型ヘリカル装置(LHD: Large Helical Device)では 、中 性粒 子 ピーム(NB: Neutral Beam)入射加 熱を用いた実験において、体 積平均で 5a/oを超える高ベータ プラズマが達成されている。 より高ベータのプラズマを達成し、維持するた めに、NBにより生成さ れる高工ネルギー粒子の閉じ 込めや、振る舞いを調べることは重要である。

  LHDに おけ る高 ベー タ プラズ マ中の高工ネルギー粒子軌 道解析の大多数は、最も外側 に存在す る閉じた磁気面(最外 殻磁気面)を粒子の損失境界 としている。そのため、最外殻磁気面外側の周 辺磁場領域に出ても、 再び最外殻磁気面内側に戻っ てくる粒子(Re‑entering粒子)は損失粒子とし て扱われてきた。しか し、真空磁場における最外殻 磁気面を損失境界とし顔い解析において、LHD ではReーentering粒子 が数多く存在しており、Re‑entering粒子の加熱効率や粒子の閉じ込めへの寄 与が指摘されている。 また、LHDの高ベータプラズ マでは、周辺部の磁気面に乱れが生じるため、

真空磁場に比べて最外 殻磁気面が小さく歡り、周辺 磁場領域が厚く誼る。このよう教場合、より多 くの粒子が最外殻磁気 面に到達し、Re‑entering粒 子になると考えられる。そのため、Re‑entering 粒子 は、高ベータプラズマにお ける粒子の閉じ込めや加熱 効率に対してより重要顔役割 を果たす と考えられる。そこで 本研究では、粒子の損失境界 を真空容器壁として、高ベータプラズマ中の高 エネルギー粒子の軌道 を解析し、Re−entering粒子 の振る舞いや粒子の閉じ込めへの寄与を調べる こと を目的とした。また、NB橡 どにより生成された高エネ ルギー粒子は、プラズマの粒 子と衝突 し、緩和していくこと で様々を速度成分を持ってい る。高エネルギー粒子がどのよう教速度分布関 数にをるかを調べるこ とは、プラズマ加熱のみ教ら ずプラズマの平衡、安定性においても重要誼課 題である。本研究では 、真空容器壁を粒子の損失境 界とした軌道追跡コードを基にしたモンテカル ロコードを開発し、高 ベータプラズマにおける高エ ネルギー粒子の速度分布関数を明らかにするこ とも目的とした。

  まず本研究では、真 空磁場、高ベータプラズマに おいて、それぞれ強磁場、低磁場とした場合の 粒子 の軌 道 を追 跡し 、そ の軌 道を通過粒子、バナナ粒子、 カオス軌道粒子の3種類に分 類して解 析した。特に、Re−entering粒子の閉じ込めへの寄 与を定量的に調べた。その結果、磁場強度が同 じ場合、真空磁場と高 ベータプラズマとでは、粒子 の初期条件による粒子の分類はほとんど変わら 教いことを明らかにし た。真空磁場では、主に最外 殻磁気面近傍を出発した粒子がRe‑entering粒 子に叔るのに対して、 高ベータプラズマでは、プラズマ中)L‑Bを出発した粒子もReーentering粒子 に誼ることがわかった 。また、高ベータプラズマで は、Re‑entering粒子の数が真空磁場に比べて

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多 くを り、 その 大多 数が長時間真空容器内 に閉じ込められていること を示した。荷電交換反応の Reーentenng粒子 への影響が、周辺部の中性 粒子密度に依存していることを確認し、特に、中性粒子 密度がl017m−3以下の場合において、Re‑entering粒子のプラズマへの寄 与が重要と教ることがわ かった。また真 空磁場で倣、荷電交換反応が 、粒子の閉じ込めにほとんど影響し歡いことがわかっ た。これに対し て高ベータプラズマでは、荷 電交換反応が、プラズマ中´滞Bを出発した粒子にも影 響し、粒子の閉 じ込めへの影響が大きいこと がわかった。

  本研 究で は、 高エ ネルギー粒子の速度分 布関数を求めるために、真 空容器壁を粒子の損失境界 と した 軌道 追跡 コー ドを基にしたモンテカ ルロコードを開発した。開 発したコードでは、プラズ マとのクーロン 衝突に加え、中性粒子密度の 高い周辺磁場領域を通るRe‑entering粒子と、中性粒 子 との 荷電 交換 反応 に よる 損失 が考 慮さ れ ている。そのため、より正 確教Re‑entering粒子の閉 じ 込め への 寄与 を評 価 する こと がで きる 。 開発したコードを用いて、LHDに設置されている磁力 線 と 順 方 向 、 教 ら び に 、 逆方 向 ヘ接 線入 射さ れ たNBと磁 力線 に対 し て垂 直に 入射 され たNBに つ いて 、高 エネ ルギ ー 粒子 の速 度分 布関 数 を解 析し た。 そ の結 果、 接線入射NBに対する解析で は、Re‑entering粒子による速度分布関数へ の寄与は、最外殻磁気面近傍 のみにあることがわかっ た 。ま た、 高ベ ータ プ ラズ マ中 の垂 直入 射NBに 対す る解 析 では 、場 所によらずRe‑entenng粒子 の速度分布関数 への寄与が、無視でき教いこ とがわかった。これらのRe―entenng粒子の速度分布 関数への寄与に より、Re―entering粒子がプ ラズマの加熱効率に大きく影響する可能性があること を 示し た。 また 、周 辺 部の 中性 粒子 密度 を 実際のLHDでの値程度とし た場合、高ベータプラズマ 中 の逆 方向 接線 入射NBに対 する 解析 では 、 荷電交換損失のRe‑entering粒子への影響が大きく、

Re‑entenng粒子 の速度分布関数への寄与は極 めて小さくをることがわかった。これとは対照的に、

順 方向 接線 入射NBに 対 する 解析 では 、荷 電 交換損失による影響が小さ く、Re‑entering粒子の速 度 分布 関数 への 寄与 が十分にあることを明 らかにした。一方、垂直入 射NBの速度分布関数には荷 電交換損失によ る影響が大きく、また、荷電 交換損失の速度分布関数への影響は、周辺部に比べて プラズマ中´醋B付近において小さく教るこ とがわかった。加えて、粒子のエネルギーとプラズマの 温度と密度から 決まる緩和時間が長く誼ると 、荷電交換損失のRe―entenng粒子への影響は大きく 塩るととを示し た。

  本研 究で は、 真空 容 器壁 を粒 子の 損失 境 界として、LHDの高ペータ プラズマ中の高エネルギー 粒 子に 関す る2種類 の解析を行った。1っは 粒子軌道解析である。これ に加えて、軌道追跡コード を 基に した モン テカ ルロコードを開発し、NBにより生成される高エネ ルギー粒子の速度分布関数 を解析した。そ の結果、高ベータプラズマに おいても、Re‑entering粒子 が長時間真空容器内に閉 じ 込め られ てい るこ と 、加 えて 、こ のRe‑entering粒子 がLHDに おけ るプラズマの加熱に、大き く 寄与 する 可能 性が あ るこ とを 示し た。 こ れらの知見は今後のLHDの 高ベータプラズマ実験のみ 教 らず 、LHDを はじ めと した へ りオ トロ ン型 核融合装置の研究開発に 対して重要を意義を持つ。

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学位論文審査の要旨

主査   教授   板垣正文 副査   教授・日野友明 副査   教授   住吉   孝 副査   准教授   及川俊一

副査   准教授   渡邊清政(核融合科学研究所)

学 位 論 文 題 名

   大 型 ヘリ カ ル装 置 の 高ベ ー タプ ラ ズ マに お ける 高エネルギー粒子の軌道と速度分布関数に関する研究

  効率的誼磁場閉じ込め 核融合炉を実現するためには 、高いべータ値(プラズマ圧カと磁気圧との 比)を持っプラズマを安 定に閉じ込める必要がある。近年、大型ヘリカル装置(LHD: Large Helical Device)では 、中 性粒 子 ビー ム(NB: Neutral Beam)入 射加熱を用いた実験において 、体積平均で 5a/oを超える高ベータプ ラズマが達成されている。よ り高ベータのプラズマを達成し、維持するた めに 、NBにより生成される 高エネルギー粒子の閉じ込 めや振る舞いを調べることは 重要である。

  LHDに おけ る高 ベー タ プラ ズマ中の高エネルギー粒 子軌道解析の大多数は、最も 外側に存在す る閉じた磁気面(最外殻 磁気面)を粒子の損失境界と している。そのため、最外殻磁気面外側の周 辺磁場領域に出ても、再 び最外殻磁気面内側に戻って くる粒子(Re‑entering粒子)は損失粒子とし て扱われてきた。しかし 、真空磁場における最外殻磁 気面を損失境界とし橡い解析において、LHD ではRe‑entering粒子が数 多く存在しており、Re‑entering粒子の加熱効率や粒子の閉じ込めへの寄 与が指摘されている。ま た、LHDの高ベータプラズマ では、周辺部の磁気面に乱れが生じるため、

真空磁場に比べて最外殻 磁気面が小さくをり、周辺磁 場領域が厚くをる。このよう教場合、より多 くの粒子が最外殻磁気面 に到達し、Re−entering粒子に顔ると考えられる。そのため、Re‑entering 粒子は、高ベータプラズ マにおける粒子の閉じ込めや 加熱効率に対してより重要教役割を果たすと 考えられる。そこで著者 は、粒子の損失境界を真空容 器壁として、高ベータプラズマ中の高エネル ギー粒子の軌道を世界に 先駆けて解析し、Re−entenng粒子の振る舞いや粒子の閉じ込めへの寄与 を調 べている。また、NB極 どにより生成された高エネ ルギー粒子は、プラズマの粒 子と衝突し、

緩和していくことで様々 教速度成分を持つ。高工ネル ギー粒子がどのような速度分布関数に誼るか を調べることは、プラズ マ加熱のみ教らずプラズマの 平衡、安定性においても重要誼課題である。

著者は、真空容器壁を粒 子の損失境界とした軌道追跡 コードを基に、新たにモンテカルロコードを 開発し、高ベータプラズ マにおける高工ネルギー粒子 の速度分布関数へのReーentering粒子の寄与 も調べている。

  まず本研究では、真空 磁場、高ベータプラズマにお いて、それぞれ強磁場、低磁場とした場合の

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粒子の 軌道を 追跡し 、その 軌道を通 過粒子 、バナ ナ粒子 、カオ ス軌道 粒子の3種類に 分類して解 析して いる。 特に、Re‑entering粒子 の粒子閉じ込めへの寄与を調べている。その結果、真空磁場 では、 主に最 外殻磁 気面近 傍を出発 した粒子がRe‑entering粒子に教るのに対して、高ベータプラ ズマでは、プラズマ中´、しヽ部を出発した粒子もRe‑entering粒子にをることを示した。また、高ベー タプラ ズマで 弦、Re‑entenng粒子の 数が真 空磁場 に比べて 増加することを世界で初めて定量的に 示し、 その大 多数が長時間真空容器内に閉じ込められていることを明らかにした。また真空磁場で は、荷 電交換 反応が粒子の閉じ込めにほとんど影響し毅いてとを示した。これに対して高ベータプ ラズマでは、荷電交換反応がプラズマ中´醋Bを出発した粒子にも影響し、粒子の閉じ込めへの影響 が大きいことを定量的に示した。

  また本 研究では、高エネルギー粒子の速度分布関数を求めるために、真空容器壁を粒子の損失境 界とし た軌道 追跡コ ードを 基に、新 たにモ ンテカ ルロコ ードを開発している。開発したコードで は、背 景プラ ズマとのクーロン衝突に加え、中性粒子密度の高い周辺磁場領域を通るReーentering 粒子と中性粒子との荷電交換反応による損失が考慮されている。そのため、より正確をRe‑entering 粒子の 閉じ込 めへの 寄与を 評価する ことが できる 。本研 究では 開発し たコー ドを用 いて、LHDに 設置さ れてい る磁力 線と順 方向教ら びに逆 方向ヘ 接線入 射されたNBと、磁力線に対して垂直に入 射さ れ たNBに つ い て 、高 エ ネ ル ギー 粒 子の 速度分 布関数 を解析 してい る。その 結果、LHDで想 定され る程度 の中性 粒子密 度では、 高ベー タプラ ズマ中 の逆方向接線入射NBに対しては、荷電交 換損失 のRe‑entering粒子への影響が大きく、Re‑entering粒子の速度分布関数への寄与は極めて小 さく を る こ とを 明らか にした 。これ とは対 照的に 、順方 向接線 入射NBに 対して は荷電交 換損失 による影響が小さく、Re−entering粒子の速度分布関数への寄与が十分にあることを示した。一方、

垂直入 射NBの速 度分布 関数に は荷電 交換損 失による 影響が 大きいことを明らかにした。これに加 え、高 ベータ プラズマ中の速度分布関数から高工ネルギー粒子の蓄積エネルギーを評価し、接線入 射NBで は 蓄積 エ ネ ル ギー の 約8%が 、 垂 直 入射 の 場 合 はそ の 約50%がReーentenng粒子 に起因 す ることを世界で初めて明らかにした。

  こ れ を 要す る に 、 著者 はLHDを はじ め とした へりオ トロン 型核融 合装置 におい て、い わゆる Re‑entering粒子 がプラ ズマの 閉じ込 め、平衡、次らびに加熱に大きく寄与することを定量的に示 したも のであ り、核融合プラズマ工学の発展に寄与するところ大である。よって著者は、北海道大 学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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