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第 17 回三重県胎児・新生児研究会抄録

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第 17 回三重県胎児・新生児研究会抄録

雑誌名 三重医学

53

1‑4

ページ 27‑31

発行年 2010‑03‑04

その他のタイトル The Abstracts of 17th Annual Mie Fetology and Neonatology Conference

URL http://hdl.handle.net/10076/11350

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1. 胎児母体間輸血症候群の 1 例

三重県立総合医療センター 小児科 間宮範人, 貝沼圭吾, 内薗広匡, 山城洋樹, 西森久史, 足立 基, 太田穂高, 杉山謙二

胎児血の母体循環への流入は, 少量であれば多 くの妊娠経過に伴う現象であるが, 輸血量が多量 になると, 重篤な転機となることも稀ではない.

今回, 重度の胎児母体間輸血症候群 (FMH) と 診断し得た 1 例を報告する.

在胎週数 37 週 6 日, 出生体重 2256 g, 胎児切 迫仮死のため, 緊急帝王切開で出生した女児.

Apgar score 2/5 点と新生児仮死を認めた. 出生 時 Hb 3.1 g/dl と高度の貧血, 母体血の HbF 5.8

%, αフェトプロテイン異常高値より予後不良な FMH と診断した. 輸血・強心剤投与・人工呼吸 管理等の処置を要し, 患児は救命し得たが, 低酸 素性虚血性脳症を合併した. 本症例では胎児仮死 徴候が出現するまでの妊娠経過に異常なく, 胎盤 に絨毛血管腫を認め, FMH の原因と考えられた.

2. 当院で経験した新生児低酸素性虚血 性脳症に対する脳低温療法の検討

独立行政法人国立病院機構 三重中央医療セン ター 総合周産母子センター 小児科1) 臨床 研究部2)

松田和之1), 川崎裕香子1), 杉野典子1), 山本和歌子1), 大森雄介1), 馬路智昭1), 佐々木直哉1), 山川紀子1), 盆野元紀1) 2), 田中滋己1), 山本初実2), 井戸正流1) 新生児低酸素性虚血性脳症 (HIE) に対する脳

低温療法 (HT:hypothermia) は, 脳保護効果が 期待される治療法として欧米を中心に近年多くの 研究成果が報告され, 有効性が証明されている.

我々は 2008 年 1 月以降に入院した HIE 児 10 例 中 8 例に対し HT を施行し (HT (+) 群) , 皮 膚温, 鼻咽頭温, 心拍数, 血圧をモニタリングし, 得られたデータを解析した. また HT (+) 群と, HT 導入前に入院した HIE 児 (HT (−) 群) 34 例との退院時転帰を比較検討した. この結果, 退 院時神経学的後遺症を認めたのは HT (−) 群:

11 例/34 例 (32%) に対し, HT (+) 群:0 例/8 例 (0%) であった. HT (+) 群で心拍数低下, 血圧低下を示したが, 重篤な徐脈や不整脈は認め なかった. HT は, 軽度の循環抑制や易感染性に 対する注意は必要であるが, 治療適応を慎重に判 断し, 厳重な全身管理の下に行えば, これまで予 後不良であった中等症-重症 HIE に対する有効な 治療法になり得ると考えられた.

3. 新生児水頭症に対する外科的治療戦略

独立行政法人国立病院機構 三重中央医療セン ター 脳神経外科1) 総合周産期母子医療セン ター小児科2)

石田藤麿1), 三浦洋一1), 霜坂辰一1), 杉野典子2), 松田和之2), 山本和歌子2), 大森雄介2), 馬路智昭2), 佐々木直哉2),

盆野元紀2)

目的:新生児水頭症に対する外科的治療は, 発症 原因や全身状態により様々な方法がある. 当セン ターにおける新生児水頭症症例を後ろ向き解析で 検討したので報告する. 方法:過去 2 年間の新生 児水頭症 9 例を対象とし, 発症原因, 出生児体重, 治療時期, 術式などを解析した. 結果:発症原因

第 17 回 三重県胎児・新生児研究会抄録

日 時:2009 年 7 月 19 日

場 所:国立病院機構 三重中央医療センター研修棟

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は, 脳室内出血 6 例, 脊髄髄膜瘤 3 例で, 脳室 外ドレナージ術 (EVD) , 脳室帽状腱膜下シャ ント術 (VSS) , 脳室腹腔シャント術 (VPS) が施行された. 脳室内出血症例では EVD か VSS をまず行い, 4 例では体重が 2000 g 超えた時点 で VPS が施行された. 脊髄髄膜瘤症例では VPS が第一選択とされた. VPS 施行した 7 例中, 1 例でシャント再建術が必要であった. 結論:新生 児水頭症に対する内科的治療が困難な場合, 低体 重児では EVD が第一選択であるが, VSS が有 効な場合もある. 体重 2000 g 以上であれば, 早 期に VPS が施行されるべきと考えられた.

4. 新生児外科患者における MRSA 保 菌状況と口腔内母乳塗布による MRSA 保菌予防効果の検討

三重大学大学院 消化管・小児外科1)

三重大学医学部附属病院 周産母子センター NICU2)

井上幹大1), 内田恵一1), 西村起子2), 土井弘子2), 松下航平1), 小池勇樹1), 大竹耕平1), 大北喜基1), 小林美奈子1), 毛利靖彦1), 三木誓雄1), 楠 正人1)

【目的】新生児外科患者における最近の MRSA 保菌状況と保菌予防対策として始めた口腔内母乳 塗布の有用性を検討した. 【対象と方法】2006 年 1 月以降に入院した新生児外科患者を対象とし, MRSA 保菌の有無と保菌陽性時期を検討した.

2008 年 5 月以降は入院後, 経口摂取が始まるま で 3 時間毎に口腔内に母乳の塗布を行った. 【結 果】母乳非塗布群は 42 例, 母乳塗布群は 15 例で あった. 保菌者は非塗布群で 12 例 (29%) , 非 塗布群で 1 例 (7%) だった. 保菌陽性時期は非 塗布群で平均 4.3 週, 塗布群は 14 週であった.

MRSA 保 菌 者 の 感 染 性 合 併 症 発 症 率 は 5/13 (38%) で, うち 3 例の起因菌は MRSA だった.

MRSA 非保菌者の合併症発症率は 6/44 (14%) だった. 【まとめ】術後感染性合併症予防のため に MRSA 保菌の予防は重要と考えられ,口腔内母 乳塗布は保菌率低下や保菌開始時期の遅延に有効 な可能性が示唆された.

5 . 貧 血 , 角 膜 混 濁 を 伴 い , 高 度 の IUGR であった一例

山田赤十字病院小児科

小野里かおり, 吉野綾子, 本間 仁, 前川佳代子, 梨田裕志, 藤原 卓, 東川正宗, 井上正和

IVF-ET で妊娠し, 在胎 28 週より IUGR を指摘 されていた. 在胎 33 週 4 日で児心音の低下があ り, 緊急帝王切開で出生. 生下時体重 1188 g と 高度の IUGR であった. 啼泣なく, Apgar score は 1 分 4 点 , 5 分 8 点 で 気 管 内 挿 管 を 行 い , NICU に入院となった. 呼吸状態は安定し, 生後 2 日目には抜管できた. 入院時検査で大球性貧血, 血小板減少を認めた. 貧血が進行し, 生後 34 日 目に輸血を行ったが, 以後は自然に回復した. 生 後 14 日目に眼球が白く見えたため, 眼科を受診 したところ角膜混濁を認めた. 心雑音があり, 心 エコーでは large ASD を認めた. 染色体検査で は 45, X, der (X;21) (p 10, q 10) の染色体異 常を認めた. そのほか先天性股関節脱臼も認めて いる. 全身状態が安定し生後 103 日目に退院, 外 来フォローアップとなった. 今後, 多方面で支援 を必要とする可能性が大きい.

6. 長期気管内挿管を余儀なくされた喉 頭気管食道裂Ⅳ型の 1 事例 −計画外 抜管を防止する取り組みに焦点をあて て−

三重大学医学部附属病院 周産母子センター NICU

呉佐有理, 佐藤裕子, 土井弘子

序論:出生直後から気管形成術に至る 7 ヶ月間に 及ぶ気管内挿管の管理を経験した. 対象は男児, 1 歳 1 ヶ月. 生後 2 ヶ月以降, 活動性の対応が困 難となり計画外抜管が発生した. 身体拘束を行わ ず, 計画外抜管を防止する取り組みについて検討 した. 結果:計画外抜管の回数は合計 21 件で, 生後 5 ヶ月では月に 6 件発生した. 体動を制限せ ず計画外抜管を防止するために 「手の保護カバー」

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や 「ついたて」 を作製した. その結果, 計画外抜 管の回数が減少した. 考察:NICU は新生児の救 命救急を行う場である. と同時に成長発達を促す 養育の場でもある. 看護技術の安全性と成長発達 に注目した看護の実践が必須となる. 結論:計画 外抜管を極力防止するために, ①成長発達をし続 ける新生児の特徴を理解する, ②状態や状況に合 わせその都度安全であるか, 適切であるかを正し く評価することが大切である.

7. ダウン症候群の児をもつ両親の愛着 形成を促す援助方法の検討 ― NICU に入院した A ちゃんの 1 事例 ―

三重大学医学部附属病院 周産母子センター NICU

濱口ゆりか, 佐藤裕子, 土井弘子

ダウン症候群では高率に内臓の奇形を伴ってい る. A 病院 NICU は県内の先天性心疾患や外科 疾患の児を治療していることから, ダウン症候群 の児 (以下, ダウン症児) の入院は多い. 一般に, ダウン症と診断された直後の両親の感情は, 自分 自身の人生に対する喪失感, 家族崩壊への恐れ, 児への期待や愛情の喪失などがあげられている.

A ちゃんの両親も, 入院当初は児を受け入れら れない言動がみられた. そこで児への愛着形成を 促すことを目標に, 両親の話を傾聴すること, 面 会時には毎回看護師が説明できる範囲で児の状態 を伝えること (必要時医師から病状説明を実施) , 児と両親が触れ合える環境づくりを行うことを意 識した看護を実践した. その結果, 両親の言動に 変化がみられた. 本事例から, ダウン症児をもつ 両親の愛着形成を促すために有用な援助方法とし て以下の示唆を得た. 1, 心理的に十分な配慮を 行う. 2, 傾聴と説明を行う. 3, 育児介入など両 親のできることを増やす.

8. 早期接触時の祖父母面会の有無によ る父母と児の関わりの違い − 聴覚的・

触覚的刺激からの分析 −

三重大学医学部看護学科 南田智子

目的:分娩後の母児は, 互いに接触を繰り返すこ とによって愛着を形成し, また相互作用は児の発 育発達のために重要である. 早期接触は, 児の覚 醒状態とタイミングが一致しており, 母児接触に 有用であるといえる. 本研究は早期接触時の祖父 母面会の有無による父母と児の関わりの違いを明 らかにすることを目的とした.

方法:対象は正期産で経膣分娩となった初産婦と, 早期接触が可能な新生児とし, KMC の場面をビ デオ収録した. ビデオ映像はフィールドノート化 し, 児の覚醒状況や父母や祖父母の接触状況につ いて得点化し分析を行った.

結果 考察:早期接触が父母のみの場合, 父母の 聴覚的刺激は同時期に増加と減少を繰り返し, 一 方触覚的刺激では母親の触覚的刺激に続いて父親 の触覚的刺激が起るパターンが認められた. この 2 つの変化は祖父母が面会した場合には認められ なかった. また児の情報収集活動は父母を児に没 入させ, 父母は児と接触しながら互いに感情を共 有する行為を繰り返した.

9. NICU 看護師が体験する倫理的な問 題の実態に関する研究

市立四日市病院 周産期管理部

三重大学大学院医学系研究科看護学専攻 石川裕子, 辻川真弓, 杉本陽子

本研究は, NICU 看護師が体験する倫理的問題 の特性と実態を明らかにすることを目的とし, 総 合周産期母子医療センターに勤務する NICU 看 護師・助産師 624 名を対象に質問紙調査を行った.

その結果, 看護師の 88.1%が倫理的問題を感じ ていた. 体験頻度の多い問題は, 「看護師の充足 状況」 , 「看護師−医師の関係」 , 「身体抑制や 鎮静」 に関する問題であった. 悩みの程度の高い

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問題は, 「看護師の充足状況」 , 「延命処置の是 非」 , 「重症障害児の治療」 に関する問題であっ た. 以上のことから, 「看護師の充足状況」 の問 題は, 体験頻度・悩む程度ともに大きな倫理的問 題として認識されていた. 「延命処置の是非」 ,

「重症障害児の治療」 の問題は, 悩む程度の大き い問題として認識されていた.

今後の方向性として, NICU 看護に特化した倫 理教育が必要であり, また児や両親に安全で質の 高い医療サービスを提供できるよう, NICU 看護 師の専門性を高めていくことが重要である.

10. NICU 退院児家族の相談内容から分析 される退院後の育児支援の現状と課題

独立行政法人国立病院機構 三重中央医療セン ター NICU1), 臨床研究部2)

川村良子1), 西山香苗1), 山本貴子1), 小林亜衣1), 藤代朋子1), 服部みどり1), 権野さおり1), 盆野元紀2), 山本初実2)

近年, 少子社会が到来する中, 合計特殊出生率 の減少は進行し, 夫婦共働きや晩婚化など子育て 環境も大きな変化をみせている. 一方, 周産期医 療の進歩で救命率は上昇し, 極低出生体重児が増 加している. そのような社会環境のアンバランス の結果, 成長発達に特別な社会的ケアが必要な

「課題」 を有する家族や子供が増加している. 超 低出生体重児においては, 長期の入院により母子 分離状態となる. 退院後も育児の実感がわかず虐 待や育児放棄に至るケースもあり, 社会的リスク となっている. NICU 退院児の家族 (以後家族) は, 育児に対する不安以外に児の疾患等による個 別な悩みを抱えている. 現在では極低出生体重児 の入院数増加に伴い, 医療行為が必要なまま在宅 に移行する児も増加している. 当院 NICU では 2001 年より家族からの電話相談に加え, 電子メー ルでの相談窓口の設置と電話訪問を実施し, 育児 支援を行ってきた. 今回, 過去 3 年間の家族の相 談内容について, 出生体重 1500 g 未満と以上, それぞれの在宅医療必要の有無で分類し, 分析し た. 結果, 家族への育児支援の現状が明らかとな り, 課題について示唆を得たので報告する.

11. トロントの周産期医療に触れて

− HSC でのボランティア経験から

独立行政法人国立病院機構 三重中央医療センター NICU

西山香苗

世界で最も生活しやすい国として広く知られて いるカナダは, 乳幼児死亡率は世界で最も低く, また最長寿国のひとつである. 医療レベルは米国・

英国等と並んで最高水準と評価されており, オン タリオ州トロントにある各病院は, トロント大学 の教育施設としても世界的に有名な施設が多い.

特に小児医療と脳神経医療現場では, 毎年日本か らたくさんの医師や様々な分野の研究者が留学し ている.

Hospital for Sick Children (トロント小児病 院:HSC) でのボランティアを目的に 2007 年 4 月から 1 年間トロントで生活した中で, HSC で の周産期関連研究のボランティア経験, 病院内の カフェでのアルバイト経験, 現地の医療関係者や 医療現場で学ぶ日本人医師達から, オンタリオ州 の医療制度や HSC で行われている医療について 得た内容を, HSC の写真を添えて報告する.

12. 海外における新生児救急医療の現状

− 当科の現状との比較

三重中央医療センター 臨床研究部, 小児科 盆野元紀

日本の新生児医療は世界のなかでもトップクラ スであるが, その一方, 医療従事者, 特に医師の 負担は厳しい. 近年, 新研修医制度に伴い, 研修 医や若手医師が都市部へ集中し, また多忙である 科を先攻することが回避される傾向が顕著で, 地 方での若い小児科医の減少が顕在化している. 三 重県においてもその例外ではなく, 更なる小児医 療の機能的集約化, 労働条件の改善が早急に望ま れる. 2007 〜 8 年にトロント小児病院, Yale 大 学, オランダ Free University, 上海小児病院に おける NICU を視察する機会を得た. 医師以外 に nurse practitioner, respiratory therapist な 30

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どの専門職があり, チーム医療を行っている. 日 本および当院の新生児医療の現状と比較して報告 する.

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