歌の中の色彩表現
現代日本の流行歌にみられる日本人の色彩感覚
金 本 節 子
バンズラグチ:バヤルツェツェク
はじめに
グローバル化が進み、 異文化間の円滑なコミュニケーションが求められる現代、 コミュニケーショ ン研究の重要性は一層高くなっている。 中でも、 視覚は人間の感覚の中で最も大きな位置を占め (注1)、 非言語コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしていると考えられる。 私たちは日 常生活のあらゆる場面において、 色で認識し、 色で表現することによってコミュニケーションを行 うが、 その文化差を意識することはほとんどない。 しかし、 視覚の対象をどのように認識し、 表現 するかは、 個々の文化の思考様式や考え方と深く結びついており、 色の名前、 色による連想、 色が 持つ意味など、 文化固有の色彩感覚の特徴を明らかにすることは、 異文化コミュニケーションの重 要な研究課題の一つであると考えられる。
四季の自然に恵まれた日本は動植物の種類も多く、 四季折々に変化する自然の色は染色技術の発 展を促すと共に豊富な色の文化を形成してきたように思われる。 日本の色は日本工業規格 (JIS) では269色が 「物体色の色名」 として認定されており (注2)、 これらは最も多用される基本的な色 の名前であると言えよう。 さらに、 日本の色事典/色辞典類には最大530種類の色名が認定されて おり、 (注3) これに若草色、 桜色などの古来から日本人に愛されてきた和服などの伝統色 (注4)、
そして現代ファッションや車の色に多用されるカタカナ語の色名など、 日本の日常生活はまさに色 に溢れているといえる。 これに対して、 モンゴルでは、 四季こそあるものの、 大半が砂漠と草原に 覆われた自然環境のもと、 人々は遊牧生活を基盤としてきたため、 日常生活における色とのかかわ りは、 日本人と大きく異っている。
世界の色彩感情事典 の編著者である千々岩が 「色彩は生活に潤いと変化と情報をもたらす、
きわめて有意味な刺激にほかならない。 人は、 快不快や好き嫌いといった感情を抜きにして色彩を 見ることはできないし、 見れば必ず連想する。 (中略) 一般の人にとって大事な点は、 色彩には感 情的作用と意味的作用とが備わっている二点である」 (注5) と指摘しているように、 色彩と感情は 分かちがたく結びついていると考えられる。 通信技術や映像技術の発展によるマルチメディア時代 の到来によって、 色彩がコミュニケーションに果たす役割が飛躍的に大きくなりつつある現代、 色 彩から受ける刺激や情報、 色彩による感情表現がコミュニケーションにおいて果たしている役割を 明らかにすることはモンゴルと日本の相互理解とコミュニケーションの発展のためにも大きな意味 を持つと考えられる。
本稿は、 以上のように色とコミュニケーションを密接な関係を持つものと捉え、 日本人とモンゴ ル人の色彩感覚の研究を通じて、 それぞれの色彩感覚がコミュニケーションに果たす役割を明らか にする研究の一部として、 日本の流行歌に使用されている色の名前を調査し、 日本人の色彩感覚の 一端を明らかにすることを目的としている。 歌は人間の感情と強く結びついた表現形式であり、 現 代に生きる日本人一般に共通する感情や考え方を知る上で、 重要な手がかりになると考えるからで ある。
本論文では、 インターネットの歌詞サイトのうち最大手とされているサイトの一つである Uta- Net (http://www.uta-net.com/) (注6) で検索可能な約2万5千曲 (注7) を対象とした調査に よって得られた 「曲名に色の名前が使用されている」 509曲の流行歌を考察対象とした。 2万5千 曲中の509曲というのは、 全体のわずか2%にしか過ぎない。 しかし、 曲名や歌詞に特に色の名前 が用いらていない場合でも、 動植物、 自然現象、 風物など、 歌詞に表れる色のあるものすべてがそ れぞれに意味やイメージを持って存在していると考えることも可能であり、 色彩による感情表現を 持つ曲は相当数に上るに違いない。 そのような意味から、 歌を通してある民族や時代に共通する色 彩感覚を捕らえるには多様な方法が可能であると考えられるが、 本研究では、 曲名に用いられた色 は特にその曲のイメージや感情表現と深い関係にあるという理解に立ち、 歌に使用された色のイメー ジを明らかにすることを通して、 日本人に共通する一般的色彩感覚を探ろうとするものである。
509曲に使用された色名は大きく2つに分けられる。 「赤」、 「白」、 「青」 など<実際の色の名前を 含んだ曲名群>と、 「涙色」、 「夏色」、 「夢色」 など<実際の色との対応関係がない曲名群>の二つ である。 実際の色を含んだ曲は443曲あり、 37色の色名が確認できる。 残り66曲は実際の色との対 応関係がない、 いわば 「感じる色」 とでも呼べる色名群であり、 日本人の色彩感覚として非常に特 徴的であると考えられる一群である。 本稿では、 まず実際の色を含んだ443曲の考察から、 流行歌 に見られる日本人の色彩感覚の特徴を把握する。
なお、 本研究は、 現代日本人一般が共有している色彩感覚を明らかにすることを目的としており、
個々の曲の作品としての価値や美的世界を明らかにすることを目的とするものではない。 また、 実 際の色として使用された37色のうち、 本稿では同系色も含めて使用例が10例以上の色について考察 を進める。
1.1 曲名に使用されている色について
本稿で考察の対象とした色は、 2004年12月現在 Uta-Net で検索が可能だった2万5千曲を対 象に、 「色名を使用している曲」 を検索した結果得られた443曲である。 まず、 「青、 赤、 黄、 緑、
紫」 の基本色に 「黒、 灰色、 白、 金、 銀」 と 「ブルー、 レッド、 イエロー…ブラック、 ホワイト」
など、 各色に対応するカタカナ語の色名を加え、 さらに一般的に色鉛筆やクレパスなどの色として 定着している 「オレンジ、 ピンク」 などの色も入れて、 それぞれの色で検索して得られた結果に、
「色」 が含まれる曲名で検索して得られた結果を加え、 分類、 整理した。 この 「色 (いろ)」 を含む
曲名の検索結果から、 一般には余り使用頻度の高くない 「桜色」 「萌黄色」 などの伝統的な色名や、
「涙色」 「夢色」 のような実際の色と対応しない感覚的な色名が曲名として多数使用されていること が明らかとなった。 今回の調査では、 先にも述べたように和語の色名に加え、 カタカナ語の色名を 含む曲も考察の対象とした。 しかし"Blue Christmas", "Red light"のように英語で表記された色 名は、 今回の調査が日本人の色彩感覚を明らかにすることを目的としているところから考察の対象 から除外した。
以上のような検索の手順によって歌詞サイトから検出できた 「実際の色名を使用した曲名」 443 曲中に使用されている色は37色となった。 2万5千曲中には他にもさまざまな色名が含まれている 可能性はあるが、 以上のような検索手順を経ることによって、 使用頻度の高い色名については、 ほ ぼ考察の対象とすることができたのではないかと考えている。 これらの37色を使用回数の多い順に 並べると表1のようになる。
(表1) 現代流行歌の曲名に多用されている色と曲数
色名 曲名数 総数での率 (%)
1 青 79 17.8
2 白 74 16.7
3 赤 62 14.0
4 ブルー 32 7.2
5 蒼 29 6.5
6 黒 26 5.9
7 紅 18 4.1
8 銀色 10 2.3
9 オレンジ 9 2.0
10 緑 9 2.0
11 茜/あかね 9 2.0 12 ピンク 8 1.8
13 黄色 8 1.8
14 水色 8 1.8
15 ばら色/薔薇色 7 1.6
16 桃色 6 1.4
17 コバルト色 6 1.4 18 レッド 5 1.1
19 朱 4 0.9
表1から分かるように、 曲名に特に多用されている色は、 「青」 (79)、 「白」 (74)、 「赤」 (62) で あり、 この3色の合計数は48.5%を占めており、 全体の約半数に当たる。
更に、 これらの色を系統色でまとめた場合、 最も多用されている青系色では、 「青」 (79)、 「ブルー」
(32)、 「蒼」 (29)、 「コバルト」 (6)、 「水色」 (8)、 「瑠璃色」 (3)、 「空色」 (2)、 「藍色」 (1) など160 曲になり、 青系色は最も多用されている色であることが分かる。 次に多いのは赤系色で、 「赤」 (62)、
「紅」 (18)、 「茜」 (9)、 「レッド」 (5)、 「朱」 (4) の98曲、 続いて白系色の 「白」 (74) と 「ホワイ ト」 (3) が77曲である。 このように系統色まで合わせると、 青、 赤、 白の3色の系統色が色名とし て使用されている例は335曲となり、 実際の色名が入った曲の75.6%を占めていることが分かる。
(表2)
20 紫/むらさき 4 0.9
21 金色 3 0.7
22 ブラック 3 0.7 23 ホワイト 3 0.7 24 瑠璃色 3 0.7 25 グリーン 2 0.5 26 小麦色 2 0.5
27 空色 2 0.5
28 イエロー 2 0.5
29 桜色 2 0.5
30 灰色 1 0.2
31 鈍色 1 0.2
32 藍色 1 0.2
33 亜麻色 1 0.2 34 セピア色 1 0.2 35 琥珀色 1 0.2 36 萌黄色 1 0.2 37 すみれ色 1 0.2
総数 443 100.0
(表2) 青、 赤、 白の系統色とその比率
1.2 色名を使用した曲名の考察と色のイメージ
歌の曲名は歌全体のイメージを表していると考えられることから、 これらの曲名中に使われた色 はそれぞれの歌のイメージや表現された感情と密接な関係にあると考えられる。 ここではそれぞれ の曲の色名と歌詞の考察によって、 曲名に多用されている色が持つイメージを明らかにする。 ここ でいうイメージとは 「ある色名から連想されるもの、 ある色名の印象」 (注8) という意味で使用し、
色の持つ意味と感情を分離して考察することは非常に困難であることから、 本稿ではあえて分離し て考えることはせず、 これら2つを包括する概念として 「イメージ」 を位置付け、 考察の対象とす る。
曲名に使用される色は、 多くの場合、 色名だけではなく 「色の名前+名詞」 の形で表れる。 例え ば、 「白い花」、 「赤い靴」、 などのような曲名が多く、 このような特定の組み合わせによって何らか の意味や感情、 すなわちイメージを表わしていると考えられる。
1.2.1 青系色のイメージ (青、 ブルー、 蒼などの160例) 1.2.1.1 「青」 のイメージ
「青」 が入った曲名は79例である。 この中には 「緑」 の意味で使用されている曲名 (No.76、 77、
78、 79) (歌詞の概要は 「参考資料 歌詞リスト」 を参照) が4つあり、 本調査では、 これら4曲 を除いた75曲を考察の対象とする。
「青」 が入った歌の題名は、 1. 「青」 だけで形成されているもの、 2. 「青+名詞」、 「青の+名 詞」、 「青い+名詞」 の組み合わせになっているものがある。
1. 「青」 を単独に使用した4曲 (No.1、 2、 3、 4) の表すイメージは以下の通りである。
・ 悲しみ のイメージ:No.1
・ 空」、 更に、 「未来」、 「未来への希望」 :No.2、 3、 4
2. 「青/青の/青い+名詞」 の組み合わせ例は、 組み合わせられた対象の性質から 「即物的に 青いもの」、 「必ずしも青くないもの」、 「実際には青くないもの」 に分けることができる。
系統色名 色名 総数 (比率 %)
青系色 青 (79) ブルー (32) 蒼 (29) 水色 (8) コバルト (6) 瑠璃色 (3) 空色 (2) 藍色 (1)
160 (36.2 %)
赤系色 赤 (62) 紅 (18) 茜 (9) レッド (5) 朱 (4) 98 (22.1 %) 白系色 白 (74) ホワイト (3) 77 (17.4 %)
(小計) 335 (75.6 %)
その他の色 黒 銀色 ピンクなど19色 108 (24.4 %)
(総合計) 443 (100 %)
① 「即物的に青いもの」
「実際に青いものは 「空」、 「海」、 「地球」 である。 この中で 「青空」 の組み合わせが23例、 「青 い空」 の組み合わせが8例である。 つまり、 「青」 は 「空」 を意味している場合が最も多く、青を使っ た曲名の約41%を占める。 次に実際に青いものを意味する例は 「青い海」 の組み合わせが2つ、
「青い地球」 が1つである。
「青空」、 「青い空」 という組み合わせで使用されている「青」は 悲しさ (No.12、 13、 14、 15、
19、 26、 28、 29、 34)、 また 夢あるいは希望 (No.16、 17、 18、 23、 24、 27、 31、 33、 35、 37、
39、 40、 41)、 思い出、 またはいい気分 (No.20、 21、 22、 30、 32、 36、 38) であり、 また 正 義あるいは無垢 (No.11、 25) などをイメージしている例も見られる。
その他、 「青い海」 は 幸せ (No.42) や 綺麗な自然環境 (No.43) を、 「青い地球」 (No.44) は 「希望」 をイメージしている。
② 「必ずしも青くないもの」
次に 「必ずしも青くないもの」 つまり空や海のように恒常的に青いと認識される対象ではなく、
複数の色の可能性の中から特に 「青」 が選択されていると考えられる例である。 すなわちこれらの 曲に歌われた 「青い」 ベンチ、 花、 車、 などは多様な色の中から特に 「青い」 花や車が選ばれてい るのであり、 「青」 を選ぶことによって特有のイメージが表現されていると考えられるのである。
「青」 と組み合わせになっているのは 「鳥 (3)、 瞳 (2)、 車、 スポーツカー、 ベンチ、 花、 スタスィ オン、 滑走路、 サンゴ礁、 渚」 である。 以下、 それぞれの組み合わせ例についてイメージを考察す る。
「青い鳥」、 「青い瞳」 は特定の意味を表す固定した表現である。 「青い鳥」 (No.54、 55、 56) は
「幸せの青い鳥」 のストーリーに由来し、 幸せ/恋する心/いい思い出 をイメージしている。
「青い瞳」 (No.57、 58) は欧米人のステレオタイプ的特徴であることから、 欧米人 を意味して いるが、 同時に青い 「瞳」 の色によって 切ない思い を重ねてイメージしている。
その他の組み合わせ例で 「青」 によってイメージされているものは以下のようである。
・ 切ない思い出 : 「青い+ベンチ、渚」 (No.45、 53)
・ 悲しさ 「青い+スタスィオン、 滑走路」 (46、 47)
・ 夢/恋の夢 「青い+車、 果実、 サンゴ礁」 (No.49、 50、 52)
・ 純粋なもの、 あるいは自然 : 「青い+花」 (No.51)
・ 男らしさ : 「青い+スポーツカー」 (No.49)
空、 海、 地球など①の 「青」 が恒常的に「青」と認識され、 青以外の色を選択する余地がない場合 と異なり、 ②の「青」は、 多様な選択肢の中から特に 「青」 色が選択されている、 という相違点はあ るが、 「青」のイメージはいずれの場合も 悲しさ 、 夢 または 純粋で自然なもの でほぼ共通 している。 相違点としては、 ②に青い車の青が 「男らしさ」 を意味している例がある。
③実際には青くないものを 「青」 で表現している場合
次に、 実際には 「青」 くないものを 「青」 で形容している例を考察する。 「青い/青/青の」 と 組み合わせになっているものは 「星 (2)、 月 (2)、 夏 (2)、 季節、 風、 影、 かけら、 亀裂、 イナズ マ、 童話、 メロディー、 歌、 涙、 契り、 じゅもん、 レクイエム、 時間、 時代、 住人、 龍」 である。
これらはいずれも実際には 「青」 色ではないが、 それぞれが青く見える、 あるいは青く感じる心の 状態を表していると考えられる。
それぞれの 「青」 がイメージしているものは以下のとおりである。
・ 希望 : 「青い+ 月、 星、 季節、 歌」 (No.59、 60、 61、 64)
・ 恋 : 「青い+ 星、 夏 (2)、 メロディー、 童話」 (No.62、 65、 66、 71、 72)
・ せつない思い出 : 「青の/青い+風、 じゅもん、 時代、 契り」 (No.5、 8、 63、 73)
・ 悲しさ : 「青の/青い+時間、 レクイエム、 涙、 亀裂、 イナズマ、 かけら、 影」 (No.6、
7、 67、 68、 69、 70、 74)
・ 自然 : 「青の+ 住人」 (No.9)
・ 男らしさ/勇気 : 「青+ 龍」 (No.75)
「青」 が入った曲名は③でも 悲しさ 、 せつない思い出 、 また逆に 希望 を意味する例が もっとも多く、 ほかに 恋 、 純粋で自然なもの 、 男らしさ を意味する場合も認められる。
曲名に用いられた 「青」 が表す意味を、 ①大自然など恒常的に青である場合、 ②必ずしも青い色 ではないが、 青いものが選択されている場合 ③実際には青くないが、 「青」 く表現されている場 合に分けて考察した結果、 ①②③のいずれでもイメージは共通しており、 希望 、 夢 、 恋 、 自然 、 男らしさ などのプラスのイメージと、 悲しさ 、 切ない思い出 のようなマイナス イメージの相反するイメージが表現されており、 「青」 がこれら相反する両方向のイメージを併せ 持つ色であることが確認できる。 75曲の「青」の曲名のうち48曲が (64%) プラスイメージ、 27曲名 (36%) がマイナスイメージのものであり、 全体的にはプラスのイメージで使用される傾向が強い が、 「青」 という色自体がプラスまたはマイナスの特定方向のイメージを持つわけではない。
次に青と同系色の色と考えられる 「ブルー」 「空色」 「水色」 「瑠璃色」 「藍色」 など、 青系色の例 を考察する。
1.2.1.2 「ブルー」 のイメージ
「ブルー」 が入った曲名は32例ある。 それらの曲名の構造は 「名詞+ブルー」、 「ブルー+名詞」、
「ブルーの+名詞」 となっている。 「ブルー」 はカタカナ語の色名であるが、 これとの組み合わせに なっている名詞もカタカナ語の場合が多い。
「ブルー」 という外来語は 「憂鬱」 を意味し、 「ブルーな気持ち」 (広辞苑、 5版) などと使われ ることがあるため、 「ブルー」 が入った曲では 「 憂鬱 、 悲しい イメージを表すもの」 と
「 悲しい という意味を表さないもの」 とに分けてみると以下のようになる。
・ 憂鬱 、 悲しい : スライドブルー、 カナシミブルー、 ロマンスブルー、 グレートブルー、
ミスターサムシングブルー、 ブルー、 ブルーナイト、 ブルーの翼、 サファイアブルー、 レイニー ブルー、 ブルー・スカイなど19曲 (No.216、 221、 222、 223、 225、 226、 228、 229、 231、 232、
233、 234、 235、 236、 238、 239、 242、 246、 247)
・ 希望、 夢 或いは 幸せな気分 :スカイ・ブルー、 ブルー・スカイ、 ブルー・ジーン、 ブ ルー・バード、 オーシャン・ブルー、 ブルー・エンジェル、 マリンブルーなど7曲 (No.218、
220、 227、 230、 241、 243、 244、)
・ 幸せな気分 :ブルー・メロディー、 ブルー・ライト (2)、 ブルー、 バージンブルー、 カリ ビアン・ブルーなど6曲 (No.217、 219、 224、 237、 240、 245)
カタカナ語の 「ブルー」 の場合は、 「悲しい」 などのマイナスイメージは19曲で59%であり、 「希 望」、 「幸せな気分」 などのプラスイメージは13曲で41%であり、 「青」 とは逆に 「悲しい」 などマ イナスイメージを表現する傾向がやや優勢である。 これは英語の 「ブルー」 の持つ「憂鬱な」イメー ジに影響されたものではないかと推測される。
「青」 と同系の色には、 ブルーの他に 「蒼 (29)」 「水色 (8)」 「瑠璃色 (3) 」 「空色 (2)」
「藍色 (1)」 があり、 合計43曲である。 続いて、 これらの同系色について考察する。
1.2.1.3 その他の青系色のイメージ (「蒼」、 「コパルト色」、 「水色」、 「瑠璃色」、 「空色」、 「藍 色」)
「蒼」 のイメージ
蒼の入った曲名は29例ある。 そのイメージは以下の5つである。
・ 悲しみ : (No.248〜264) 夜、 月、 星、 雨、 バラ、 恋、 世界などとの組み合わせで、 別 れ や 悲しく切ない思い出 をイメージしている。
・ 夢/希望/未来/自由 : 「蒼い + 嵐、 鳥、 海、 天、 旅」 (No.265〜270)
・ パワー、 強がり : 「蒼い + 弾丸、 霹靂」 (No.271、 272)
・ いい時、 幸せなとき、 学生時代 : 「蒼い + 夏、 季節、 フォトグラフ」 (No.273〜275) 蒼い=若い時の思い出 というニュアンスがある。
・ 冷たい、 冷淡 : 「蒼い + 視線」 (No.276)
「蒼」 は 悲しみ 、 冷淡 といったマイナスイメージが優勢で62%だが、 パワー など他の 青系色には認められなかったプラスイメージもある。
「水色」 のイメージ
「水色」 が入った曲名は8例ある。 そのイメージは以下の3つである。
・ 悲しみ :水色→水→涙 といった連想からくるイメージ (No.374、 376、 377)
・ 希望 : 「風」、 「街」 「空」 との組み合わせによるイメージ (No.378、 379、 380)
・ 想い出 :ワゴン (No.381)
「水色」 の場合も 「希望」 などのプラスイメージ (62.5%) と 「悲しみ」 などのマイナスイメー ジ (25%) が混在しているが、 「青」 と同様にプラスイメージで使用される傾向が強いようである。
「コバルト色」 のイメージ
「コバルト」 が入った曲名は6例ある。 そのイメージは以下の通りである。
・ 悲しみ :空、 海、 風、 季節などを意味し、 悲しみのイメージ (No.395〜399)
・ 深い愛 : (No.400)
「コバルト」 は6曲のうち5曲が 悲しみ のイメージである。
「瑠璃色」 のイメージ
「瑠璃色」 の入った曲名は3例で、 そのイメージは以下のとおりである。
・ 悲しみ :ため息 (No.423)
・ 希望 : 「地球」、 「炎」 との組み合わせ (No.424、 425)
「空色」 のイメージ
「空色」 の入った曲名は2例のみであり (No.430、 431)、 いずれも 希望 をイメージしてい る。 空色→空という連想であり、 希望を託すことができる空のイメージであろう。
「藍色」 のイメージ
「藍色」 が入った曲名は 「藍色の時」 (No.438) の1例のみである。 「…絹に注す 藍の色/ゆっ くりと 染みこむように/ 幸せが 深くなる…」 という歌詞からも明らかなように、 色の染まる ことで心の変化を表現しており、 藍染の過程を重ね合わせた染色文化からの影響が考えられる。
以上のように、 青系色は 悲しみ または 夢 や 希望 のプラスとマイナスの相反する逆 方向のイメージを表す点で共通している。 青系色はいずれの場合も相反する2方向のイメージの表 現に使用されているが、 「蒼」、 「ブルー」、 「コバルト」 はマイナスのイメージで用いられることが 多く、 その他の青系色ではプラスのイメージのほうが優勢である。
青系色は 悲しみ または 夢、 希望 をイメージする点では共通しているが、 それぞれの 「夢
や希望」、 「悲しみ」の質は曲によって違うところがあるように思われる。 ただし、 いずれも用例が 少ないために更に踏み込んだ考察に進むことは現段階では難しい。
次に、 使用頻度が2番目に高い赤系色のイメージについて考察する。
1.2.2 赤系色のイメージ (赤、 紅、 茜色など98例) 1.2.2.1 「赤」 のイメージ
「赤」 が入った曲名は62例である。 その構造は 「赤い+名詞」、 「赤+名詞」、 「赤+と+名詞」、
「真っ赤な+名詞」、 「赤き+名詞」、 「赤色+名詞」 となっている。
「赤」 との組み合わせ例では、 「青」 や 「白」 とは異なり、 「即物的に赤いもの」 は確認できなかっ たため、 「必ずしも赤くないもの」 と 「実際には赤くないもの」 の二つについて考察する。
① 「必ずしも赤くないもの」
「赤」 と組み合わせになっている例は花 (5)、 自転車 (3)、 靴 (2)、 ランプ (2)、 とんぼ (2)、
鳥 (2)、 華、 ハマナス、 スイトーピー、 フリージア、 ゴーカート、 ハイヒール、 シャツ、 エプロン、
ヤッケ、 ベッド、 タンバリン、 日記帳、 傘、 アンブレラ、 風船、 橋、 血、 糸、 酒、 グラス」 で、 そ れぞれのイメージは以下に示すとおりである。
・ 幸せな恋 : 「真っ赤な、 赤い、 赤の + リボン、 自転車 (3)、 花 (3)、 靴、 シャツ、 エ プロン、 ベッド、 タンバリン、 日記帳、 風船、 橋、 糸」 (No.156、 162、 163、 164、 166、 167、
169、 175、 178、 179、 181、 182、 183、 186、 187、 205)
・ 失恋 : 「赤い + 花、 華、 ハマナス、 フリ−ジア、 靴、 ハイヒール、 ヤッケ、 傘、 アン ブレラ、 ランプ (2)、 鳥、 糸、 酒、 グラス」 (No.168、 171、 172、 173、 174、 176、 177、 180、
184、 185、 188、 189、 204、 206、 212、 213)
・ 人の心 の 前向きな気持ち、 希望 : 「赤い + ゴーカート、 花、 スイトーピー」 (No.
165、 170、 173)
・ 情熱 : 「赤き + 血」 (No.190)
・ 夕陽 、 未来への希望 : 「赤 + とんぼ (2)」 (No.191、 192)
② 「実際には赤くないもの」
ここでは 「絆」、 「命」、 「河」、 「嵐」 など本来 「赤」 とは必然的関係がない例を考察する。
具体的には 「女の子、 ハート、 夕陽、 雲、 星、 玉、 炎、 嵐、 月、 砂漠、 衝撃、 絆、 命、 波止場、
酒、 グラス、 ウソ、 ブルース」 との組み合わせである。 「真っ赤なウソ、 赤裸 (2)」 のような (No.
157、 158、 159) 慣用句的な表現では、 「赤」 が意味を強調する役割で使われており、 考察の対象か ら除外した。
「本来赤くないもの」 のイメージは以下のようである。
・ 恋 : 「赤」、 「真っ赤な、 赤い + 女の子、 あなた、 ハート、 星、 砂漠、 衝撃、 ブルース」
(No.154、 155、 160、 161、 199、 207、 208、 214)
・ 心 、 未来への希望 : 「赤い + 河、 星、玉、 命」 (No.197、 198、 200、 210)
・ 失恋 : 「赤い、 赤色、 + 絆、 エレジー、 波止場」 (No.209、 211、 215)
・ 情熱 : 「赤い + 炎、 嵐、 月」 (No.201、 202、 203)
・ 夕陽 、 希望 : 「赤い + 夕陽 (3)、 雲」 (No.193、 194、 195、 196)
以上の考察から 「赤」 色のイメージをまとめると、 幸せな恋 、 失恋 など、 恋 のイメージ を表すものが最も多く、 次いで 情熱 、 夕陽 、 心 のイメージが続く。
「赤」 においても 「青」 と同様にプラスとマイナスの相反するイメージが混在している。 幸せ な恋 、 未来への希望 のプラスイメージを表している例が40曲 (64.5%)、 失恋 などのマイナ スイメージは22曲 (35.5%) である。
以下、 赤系色である 「紅」 「茜」 「レッド」 「朱」 の曲名の例を考察する。
1.2.2.2 他の赤系色のイメージ (「紅」、 「茜色」、 「レッド」、 「朱」)
「紅」 のイメージ
「紅」 が入った曲名は18例である。 「紅」 は 「べに」 「くれない」 と読むこともあり、 「紅い」 (あ かい) と読むこともある。 「紅」 のイメージは以下のとおりである。
・ 恋 : 「紅、 紅の、 紅い + 花 (2)、 三味線、 雪、 陽炎、 落葉、 蓮、 舟唄、 水仙、 バラ (2)、 小紅」 (No.306、 307、 308、 309、 310、 311、 313、 315、 316、 317、 319、 320)
・ 夕陽 「紅く + 太陽、 夕暮れの+ 紅」 (No.312、 318)
・ 心 : 「紅の + 翼」 (No.314)
「紅」 の場合、 18曲のうち15曲は 恋 のイメージ表している。 恋 、 夕陽 、 心 のイメー ジはいずれも 「赤」 と共通するものである。
「茜色/あかね色」 のイメージ
「茜色」 の入った曲名は9例あり、 いずれも 夕陽 を意味しており、 夕陽 と重なった 恋 のイメージが表現されている
・ 悲しみ 別れ 失恋 :夕日、 雲 (No.349、 350、 351、 352、 353)
・ 幸せな気分 恋 、 夢 :空、 夢 (No.354、 355、 356、 357)
「レッド」 のイメージ
「レッド」 が入った曲名は5例あり、 それぞれのイメージは以下のとおりである。
・ 恋 : 「レッド・センセーション」 「スパイシー・レッド」 「ワインレッドの心」 (No.401、
402、 404)
・ 情熱 : 「スパイシー+レッド」 「ワイン+レッド」 (No.401、 402)
・ 失恋 : 「夕焼け+レッド」 (No.403)
・ 夕陽 : 「レッド+センセーション」 「ノーブル+レッド」 (No.404、 405)
「レッド」 の表すイメージは 恋 、 夕陽 である。
「朱」 のイメージ
「朱」 が入った曲名は4例で、 それぞれのイメージは以下のとおりである。
・ 夢、 希望 : 「朱、 朱い + 馬、 鷺」 (No.406、 408)
・ 太陽 : 「朱 + 夏」 (No.407) :
・ 恋心 : 「朱い + オレンジ」 (No.409)
赤系色の5色に共通して最も多く表れるのは 恋 のイメージであり、 幸せな恋 、 失恋 な ど多様な恋を表している。 「恋」 に続くイメージとしては 夕陽 、 情熱 、 心 などがある。
1.2.3 白系色のイメージ 1.2.3.1 「白」 のイメージ
「白」 が入った曲名は74例ある。 それらの曲名の構造は 「白+名詞」、 「白の+名詞」、 「白い+名 詞」、 また 「真っ白」、 「名詞+白さ」、 「白く+動詞」 である。
1. 「真っ白」、 「名詞+白さ」、 「白く+動詞」 の曲名の 「白」 のイメージは以下のようである。
ここで 「真っ白」 (No.80、 81) は 空白 の意味を表し、 始まり (No.80) または 憂鬱 (No.81) などのイメージである。
「名詞+白さ」 (No.89) の 「白」 は 冬/雪 を意味し、 切ない思い をイメージしている。
「白く+動詞」 (No.146) の 「白」 は 無罪 を意味し、 純粋さ をイメージしている。
2. 「白+名詞」、 「白の+名詞」、 「白い+名詞」 の曲も 「即物的に白いもの」、 「必ずしも白くな いもの」、 「実際には白くないもの」 に分けて考察を進める。
① 「即物的に白いもの」
「白」 と組み合わせになっている 「即物的に白いもの」 は 「雪」 (4)、 「雲」 (2) である。 「白い 雪」 の組み合わせは 悲しさ/分かれ (No.82、 84、 85) また 願い (No.83) をイメージし ている。 「白雲/白い雲」 (No.86、 87) の組み合わせは 人生 における 希望 のイメージであ る。
② 「必ずしも白くないもの」
「必ずしも白くない」 ものは 「花 (5)、 服 (2)、 サンゴ礁 (2)、 牡丹、蓮、 靴、 バスケット・シュー ズ、 シャツ、 ハンカチーフ、 ギター、 カイト、 パラソル、 ブランコ、 ページ、 翼、 蝶、 鮫、 絵の具、
紙、 砂、 道」 などと組み合わされており、 これらは雲や雪とは異なり、 常に、 あるいは全てが白い
わけではなく、 多数の選択肢の中から特に 「白」 との組み合わせが意図的に選択された例である。
それぞれの組み合わせで表されるイメージは次の通りである。
・ 空白 : 「白/白い+ 道、 絵の具、 ページ、 紙」 (No.91、 115、 118、 144) の組み合わせ
・ 始まり :No.91、 115、 118などプラスイメージ
・ 憂鬱 :No.144はマイナスイメージ
・ 恋心 : 「白い+ 花 (3)、 サンゴ礁 (2)、 砂、 牡丹、 ハンカチーフ、 シャツ、 ギター、 カ イト、 パラソル、 ブランコ、 バスケット・シューズ」 (No.92、 93、 94、 100、 101、 104、 105、
109、 110、 111、 112、 113、 114、 119)
その他、 No.111、 112、 113、 114、 119の例では、白い色は目立つため、 「白」によって 「相手のこ とが気になる」 ことを表していると思われる。
白の②では 希望、 夢 といったプラスイメージを表す例は12曲 (No.92、 93、 101、 104、 105、
109、 110、 111、 112、 113、 116、 119)、 また、 切ない思い などのマイナスイメージは3曲 (No.
94、 100、 114) である。
・ 別れ/悲しさ : 「白/白い+ 花 (2)、 蓮、 服、 靴、 蝶」 (No.102、 103、 106、 107、 117)
・ 夢/希望 : 「白い+ 翼」 (No.116)
・ 白人 : 「白+ 鮫」 (No.133) ヨーロッパの人々の肌の白さから、 白く美しい といっ たプラスイメージがある。
・ 喜び/いいこと : 「白い+ 服」 (No.108) 邪悪をイメージする 「黒」 と対照的に、 「白」
はいいことをイメージしている。
③ 「実際には白くないもの」
ここでは、 「迷い」、 「約束」、 「TOKYO」、 「太陽」 など本来 「白」 とは無関係なものとの組み合 わせ例を考察する。 組み合わせになっているのは 「夜 (5)、 炎 (2)、 冬、 クリスマス、 海峡、
TOKYO、 夏、 暴動、 迷い、 約束、 絆、 恋人、 恋人達、 色、 太陽、 星、 天使、 二月、 一日、 日、 夜、
息、 吐息、 奇跡、 奇蹟、 風、 呪文、 想ひ出、 声、 ワルツ、 Gradation、 部屋、 闇、 黒」 である。
それぞれの組み合わせのイメージは以下のようである。
・ 悲しさ : 「白/白の/白い+冬、 海峡、 炎、 想ひ出、 恋人達」 (No.88、 95、 98、 125、 139)
・ 無垢 : 「白/白の/白い + 約束、 恋人」 (No.122、 124)
・ 恋 いい気分 : 「白い/白の + クリスマス、 TOKYO、 ワルツ、 吐息、 息、 二月、
星、 天使、 迷い、 闇、 奇跡」 (No.90、 96、 128、 129、 130、 134、 135、 142、 143、 147)
・ 空白 : 「白/白の/白い + 一日、 日、 奇蹟、 呪文、 声、 部屋、 太陽」 (No.127、131、
132、 136、 138、 145)
・ 寂しい気持ち : 「白い/白 + Gradation、 夜 (3)」 (No.141、 150、 152、 153)
・ 恋 : 「白い + 絆、 風、 色」 (No.123、 126、 137) :
・ いいこと : 「白/白い + 夜」 (No.149、 151) :
・ 偽り : 「白い + 黒」 (No.148)
以上の考察から分かるように、全39例の組み合わせのうち18例は 「雪」 のイメージと重なってお り、 「白」 のイメージでは 「雪」 (22) が最も多く、 以下 「恋心」 (16)、 「空白」 (8) と続く。
「白」 が使用された74曲全体では、 プラスイメージは 恋 、 希望 、 善/いいこと 、 いい気 分 、 始まり 、 無罪、 無垢 など46曲 (62%) であり、 逆に、 憂鬱 切ない思い 、 別れ
悲しさ など、 マイナスイメージは28曲 (38%) である。
1.2.3.2 「ホワイト」 のイメージ
「白」 の同系色である 「ホワイト」 が入った曲名は3例ある。 それらのイメージはそれぞれ次の ようである。
・ 幸せな未来 雪/冬 (No.420)
・ 幸せな気分 (No.378)
・ 空白 (No.420)
「ホワイト」 は用例が少ないが、 これらの用例で見る限りそのイメージは 「白」 の持つイメージ と共通し、 その範囲内に留まるものである。
「白」 はカタカナ語の色名である 「ホワイト」 も含み 「雪」 および 「冬」 のイメージと結びつく ことが多い。 また、そのイメージには 悲しみ と 幸せ つまり、プラスとマイナスの相反する両 方向のイメージが読み取れる。 また、 白 のイメージは、 「黒」 と対照的に 無垢 、 善 など のイメージを表していると言える。
以下、 青系色、 白系色、 赤系色の主要なイメージを整理すると表3のようになる。
(表3)
色名 イメージ
プラス 中間 (媒体) マイナス
青系色 希望 夢 恋 男らしさ 勇気 純粋なもの きれいな自然環境 思い出 いい気分 パワー
空 海 地球 鳥 車 月 星 夏 風 季節 など
悲しみ 切ない思い出 憂鬱
赤系色 幸せな恋 情熱 希望 夕日 心 夏 花 傘 靴 風船 絆 女の子 など
失恋
白系色 無罪 純粋 始まり 願い 人生
恋心 喜び 未来 雪 冬 雲 風 夜
吐息 部屋 シャツ ハンカチ ブランコ ページ 靴 など
空白 切ない思い 悲しさ 別れ 偽り
次に、 主要な3色の他に系統色も含めて使用例が10以上あった色について考察する。 その他使用 例の少ない色については、 最後に一覧表にまとめて示すこととする。
1.2.4 黒系色のイメージ (黒、 ブラックの29例) 1.2.4.1 「黒」 のイメージ
「黒」 が入った曲名は26例である。 それらの構造は 「黒い+名詞」、 「黒+名詞」、 「黒の+名詞」
「黒」、 「黒く+動詞」 となっており、イメージは次の通りである。
・ ポジテイブな力 : 「黒の/黒い + 翼 (2)、 オートバイ、 ブーツ、 舟唄、 太陽」 (No.
277、 278、 282、 289、 298)
・ 怒り : 「黒豹」、 「黒く塗りつぶせ」 (No.281、 302)
・ 悪 : 「黒い/黒 + 扉、 カバン、 シミ、 実、 ラプソディー、 服、 朝、 ブルース」、 「黒」、
「白い黒」 (No.279、 284、 285、 286、 287、 294、 295、 296、 299)
・ 喪 : 「黒の/黒い + ララバイ、 花びら、 薔薇」 (No.288、 293、 300)
・ 悲しみ : 「黒 + 髪 (2)、 あげは」 (No.283、 290、 291)
・ 魔力 : 「黒 + 百合、 ネコ」 (292、 296)
1.2.4.2 「ブラック」 のイメージ
「ブラック」 が入った曲名は3例で、 それぞれイメージは以下のとおりである。
・ 全てを飲み尽くす力 = 愛 : 「ブラックホール」 (No.417、 419)
・ 強さ 、 力 : 「ブラックダリア」 (No.418)
以上のように、 「黒」 のイメージは 「悪」、 「喪」、 「怒り」、 「悲しみ」、 「魔力」 のマイナスイメー ジ20曲 (77%) と、 「力」 というプラスイメージ6曲 (23%) で、 主要な3色と比較してもマイナ スイメージが最も優勢であることが分かる。
「黒」 と 「ブラック」 のイメージを見ると、 悪 、 喪 、 怒り 悲しみ 、 魔力 のマイナ スイメージが優勢であるのに対して、 カタカナ語の 「ブラック」 では 「黒」 の持つ 邪悪 なマイ ナスイメージの例はなく、 ポジテイブな力 のようなプラスイメージのみである。 用例は少ない が、 ここにカタカナ語と和語色名のイメージの差が存在する可能性を指摘することができる。
1.2.5 ピンク系色のイメージ (ピンク、 バラ色、 桃色、 桜色など23例) 1.2.5.1 「ピンク」 のイメージ
「ピンク」 が入った曲名は8例ある。 そのイメージは以下の通りである。
・ 恋 : 「ピンク+ シャドウ、 バンビ、 モーツァルト、 クリスマス」 (No.359、 360、 362、
365)
・ 潜んでいる真実あるいは本物ではない : 「ピンクの/ピンク + ボトル、 ダイアモンド」
(No.361、 364)
・ 夢 : 「ピンクスパイダー」 (No.358) が紡ぐ夢
・ 太陽 = 幸せな気分 : 「海とピンク」 (No.363)
「ピンク」 のイメージは主に 恋 や 夢 、 幸せな気分 などのプラスイメージ (75%) が非 常に優勢であるが、 一方で 本当ではない/偽り といったマイナスイメージ (25%) も認められ る。
1.2.5.2 「薔薇色/バラ色」 のイメージ
「薔薇色/バラ色」 の入った曲名は7例で、 いずれも 恋 幸せ がイメージされている。
・ 恋 幸せ : 「バラ色」 「バラ色の + 雲、 世界、 悪女、 日々、 人生 (2)」 (No.382〜
388)
薔薇色とその色が表す意味 幸福、 喜び、 希望等にみちた状態 (広辞苑) は固定的で、 「バラ 色」 から 「幸せ」 がイメージされるのではなく、 「幸せの色=バラ色」 が観念的に意識されている 可能性が高い。 これは 「憂鬱な色=ブルー」 にも同様に認められた特徴であり、 バラ色やブルーの ようなカタカナ語のイメージは異文化からの影響が考えられると同時に、 それらがすでに現代日本 人の感情表現に取り入れられ、 日本の現代文化の一部として組み込まれているものと考えられる。
1.2.5.3 「桃色」 のイメージ
「桃色」 が入った曲名は6例で、 そのイメージは以下のようである。
・ 恋 : 「桃色 (2)」 「桃色 + 吐息、 片思い、 鴉」 (No.389〜393)
・ 桜の花びら = 母への思い : 「桃色前線」 (No.394)
桃色の表すイメージは全てプラスイメージであり、 マイナスイメージは見られないが、 用例数か ら考えると桃色にマイナスイメージがないとは断定できない。
1.2.5.4 「桜色」 のイメージ
「桜色」 の入った曲名は2例ある。 2曲とも (No.434、 435) 桜が咲く 春 がイメージされて いる。
以上から、 ピンク系色のイメージをまとめると、 恋 というイメージが最も多い。 これは、桃色 が 男女間の情事に関することにいう語 (広辞苑) であることから、またピンク色が 色事に関 すること (広辞苑) を表す意味から連想されたイメージであろう。
ピンク系の色には 幸せな気分 のイメージが共通している。 その他のイメージとしては、 夢 、 母への思い 、 偽り などがある。
1.2.6 緑系色のイメージ (緑、 グリーン、 萌黄色など12例)
「緑」 のイメージ
「緑」 が入った曲名は9例あり、 それぞれ以下のようなイメージがある。
・ 自然、 若草 : 「緑の + 森、街 (2)、 地平線」 (No.341、 342、 347、 348)
・ 夢、 希望 : 「みどり」 「みどりのはね」 (No.345、 346)
・ 穏やかな気持ち : 「緑の日々」 (No.343)
・ 友達の関係 (恋人を表す薔薇と対象的に) : 「薔薇と緑」 (No.344)
・ 恋 : 「緑と赤のリボン」 (No.340)
そのほかの緑系色のイメージでは、 「グリーン」 が入った曲名が2例で、 自然の緑 (No.426)、
穏やかな気持ち (No.427) がイメージされている。
また 「萌黄色」 (No.442) は 若草 、 新春 のイメージである。
緑系色のイメージで最も多いのは 自然、 若草 、 続いて 穏やかな気持ち 、 夢、 希望 といっ たイメージである。 自然、 若草 の意味を表すのは 「緑」 が文字通り 「草木の色」 を表すからで あろう。 穏やかな気持ち のイメージもその 自然、 緑 の心を癒す力と結びついた連想が働い ていると考えられる。
1.2.7 黄系色のイメージ (黄色、 イエロー、 琥珀色など11例)
「黄色」 のイメージ
「黄色」 が入った曲名は8例である。 それぞれのイメージは以下のとおりである。
・ 恋 : 「黄色い + お空、花、 太陽、 リボン」 (No.367、 368、 372、 373)
「黄色いお空」、 「黄色い太陽」 は 太陽 のイメージと重なっている。
・ 夢、 希望 : 「黄色い + 船、 靴」 (No.366、 369)
・ 太陽 : 「黄色いお空」、 「黄色い太陽」
・ やさしくていい人 : 「黄色いシャツ」 (No.370)
・ 若い娘 : 「黄色いさくらんぼ」 (No.371)
「黄色い」 のイメージでも用例は少ないが、 マイナスイメージは見られなかった。
その他の 「黄系色」 のイメージでは、 「イエロー」 の入った曲名が2例あり、 そのイメージは、
「イエローバルーン」 (No.432) では 希望 が、 「イエローマン」 (No.433)では いい男 がそれ ぞれイメージされている。
また、 琥珀色の入った曲名 (No.441) では 夕陽 がイメージされている。
以上のことから、 黄系色のイメージをまとめてみると、 恋 、 希望 または 太陽 であり、マイ ナスイメージは認められなかった。
1. 2. 8 「銀色」 のイメージ
「銀色」 が入った曲名は10例ある。 それらのイメージは次の通りである。
・ 雪/冬 : 「銀色の + 週末、 道、 夢」 (No.321、 322、 323)
・ 希望 : 「銀色の + 翼、 バス、 クリアデイズ」 (No.325、 327、 326)
・ 愛の夢 : 「銀色の + 永遠、 空」 「銀色」 (No.324、 328、 330)
・ 金属の色 : 「銀色のピストル」 (No.329)
銀色の主要なイメージは、 雪/冬 、 希望 、 愛の夢 であると言える。
1.3 結論
以上、 色名が入った443の曲名を色名別に分析し、そのイメージを明らかにしようと試みた。 系統 色ごとの主なイメージは以下の表に示すとおりである。
(表4)
色名 イメージ
プラス 中間 (媒体) マイナス
青系色 希望 夢 未来 恋 男らしさ 勇気 純粋なもの きれいな自然環境 思い出 いい気分
空 海 地球 鳥 車 月 星 夏 風 季節
悲しみ 切ない思い出 憂鬱
赤系色 幸せな恋 情熱 希望 夕日 心 夏 花 傘 靴 風船 絆 女の子 ハート
失恋
白系色 無罪 純粋 始まり 願い 人生 恋心 喜び 未来
雪 冬 雲 風 夜 吐息 部屋 シャツ ハンカチ ブランコ ページ 靴
空白 切ない思い 悲しさ 別れ 偽り
黒系色 ポジティブな力 太陽 翼 髪
百合バラ ネコ 悪 喪 怒り 魔力 悲しみ ピンク系色 恋 夢 幸せな気持
幸せな人生
雲 シャドウ ボトル ダイヤモンド
緑系色 穏やかな気持 自然 森 街 地平線 はね
オレンジ色 恋 夕陽 太陽 口紅