氏 名 (本籍)
学位の種類 学位記番号 学位記の日付
学位授与の要件
学位論文題名 論文審査委員
ちゆう ま しよう へい
中 馬 昌 平 (神奈川)
獣医学博士
乙 第175号 昭和56年2月4日 学位規則第3条第2項該当
削装蹄の馬の前肢運動におよぼす影響に関する実験運動学的研究
(主査) 教授 北 ;昂
(副査) 教授 高 橋 貢 教授 藤 岡 富士夫
論 文 内 容 の 要 旨
現在,我が国における馬の削装蹄の基本的な原則は,「山鼠」説と「蹄の坐り」説との両老に基礎を置い ている。その目的は,庭面の保護,運動能力の向上,各種運動器疾患の治療などである。また,削装蹄実施 上の留意事項としては,蹄機作用を保護するために,蹄鉄への剰縁:,語尾の設置や蹄釘の設置部位の制限が 行なわれ,また,筋や腱を保護するために,蹄鉄への心慮の設置が行なわれている。しかし,これらの諸説 は,いつれもその大部分を経験上から説明しており,その実証は,ほとんど行われていない。
そこで,装蹄が馬の前肢の運動と前蹄の土壁におよぼす影響について実験的に検討した。
実験には,舳正常な歩行を有する乗用馬2頭を用いた。実験馬の前蹄には,跣蹄,4本の蹄釘を内外蹄側壁 に用いて装着した平坦な通常蹄鉄,8本の蹄釘を内外の当惑から蹄面壁に用いて装着した平坦な通常蹄鉄,
4本の蹄釘を内外蹄側壁に用いて装着した上攣を有する通常蹄鉄,削蹄,以上の5つの条件を負荷した。実 験馬にはこれらの条件下で,平坦,硬固なアスファルト路面上の,騎乗による山歩,速歩,駈歩を負荷した。
歩行中の実験馬の左前肢について,16mm cine filmの撮影,ひずみ計による蹄壁のひずみ測定,試作変位 計による血道部の側方変位の測定を行った。動作分析のための前肢の測定点は,肩甲骨棘突起の上1/3の部 位,肩関節,肘関節,球節,側望呼塩と蹄冠との交点,である。また,鼠壁のひずみの測定部位は,蹄面壁,
内外蹄側壁,内外蹄踵壁それぞれの上部と下部である。その測定方向は,角細管に一致する方向(便宜上 Vertical方向)と,これに直交する方向(便宜上Horizontal方向)との二方向である。炭素粉抹を利用し た試作変位計は,金属螺子により内外蹄踵間に装着した。
検討の結果,次の成績が得られた。
1 装蹄の前肢運動におよぼす影響 (1)平坦な通常蹄鉄による影響
跣蹄時に比較して,次のような相異が明らかにされた。
手根関節の離地期未期における上下方向への加速度変動範囲が,駈歩の手前肢と反手前肢で増大した。そ の差は,Case 1では,手前肢で2900 cm/sec2反手前肢で1650 cm/sec2であり, Case 2では,手前肢で 3500cm/sec2,反手前肢で2050 cm/sec2であった。
球節の離一期における屈曲が増大した。その差は,Case 1では,常歩で7。,速歩で4。,駈歩の手前肢で 12。,反手前肢で2。であり,Case 2では,寸歩で8。,速歩で4。,駈歩の手前肢で11。,反手前肢でであ 一53一
つた。
肢蹄下方の関節,殊に球節の離地誌湿気におけ る六二方向の角加速度が,駈歩の手前肢,反手前肢で増加 した。その差は,Case 1では,手前肢で5000。/sec2,反手前肢で2000。/sec2であり, Case 2では,手前 肢で,1000。/sec2,反手前肢で60000/sec2であった。
蹄の着地時における滑走が,二歩を除く他の歩法で出現した。(Fig.121)
(2)歯並の蹄踵部への設置による影響
油壷を,蹄側部へ設置した場合と比較して,次のような相異が明らかにされた。
愛冠の離地時における前方への加速度が,速歩ならびに駈歩の反手前肢で減少した。その差は,Case 1 では,速歩で200cm/sec2,駈歩の反手前肢で1100cm/sec2であり, Case 2では,速歩で1100cm/sec2,
駈歩の反手前肢で900cm/sec2であった。
蹄冠の意地期始期における後方への加速度が速度ならびに駈歩の反手前肢で増加した。その差は,Case 1 では,速歩で1000cm/sec2,駈歩の反手前肢で400cm/sec2であり, Case 2では,速歩で500cm/sec2,駈 歩の反手前肢で2400cm/sec2であった。
球節の離病期初期におけ る背屈方向への角加速度が,高歩を除く他の歩法で増加した。その差は,Case 1 では,速歩で4500。/sec2,駈歩の手前肢で5QOO。/sec2,反手前肢で12500。/sec2であり,Case 2では,速 歩で7500。/sec,駈歩の手前肢で7000。/sec2,反手前肢で3500。/sec2であった。
(3)上轡による島民
平坦な蹄鉄に比べて,次のような相異が明らかにされた。
蹄冠の離地初期における前方への加速度が,速歩ならびに駈歩の反手前肢で増加した。その差は,Case 1 では,速歩で900cm/sec2,駈歩の反手前肢で1000cm/sec2であり, Case 2では,速歩で2300cm/sec2,
駈歩の反手前蹄で80Gcm。/sec2であった。
球節の離地期未期の詰屈方向への角加速度が,駈歩の手前蹄ならびに反手前蹄で増加した。その差は,
Case 1では,手前蹄で6000。/sec2,反手心隔で97500/sec2であり, Case 2では,手前蹄で6000。/sec2,
反手前出で3000。/sec2であった。
H 削装蹄の前面壁におよぼす影響 (1)平坦な通常蹄鉄による影響跣
蹄時に(Fig.209)比較して次のような相異が明らかにされた。
蹄酒壷を除く蹄壁各部,殊に外藩側壁,内蹄踵壁で,Vertica1方向のひずみ波形が相異する傾向が認めら れた(Fig.225)。また,その特徴的な現象として,波形の位相が相異する傾向を認めた。内外蹄側壁のHori−
zontal方向ならびに蹄尖壁のVertical方向のひずみ量について検討した結果, Table 2・Table 3・TabI e
5に示す通りそれらいつれも,概ね,減少する傾向が認められた。
(2)蹄釘の蹄頭部への設置による影響
蹄釘を蹄側部へ設置した場合(Fig・225)と比較して次のような相異が明らかにされた。
蹄壁各部のひずみについて検討した結果,鼠壁全体に宣り,ひずみ波形の相異が認められた。また,その 特徴的現象として,蹄尖壁のVertical方向,ならびに内外蹄側壁のHorlzontal方向のひずみ波形では,
離地回における一過性のひずみが著しく減少,もしくは消失した(Fig.217)。内外蹄側壁の耳orizonta1方 一54一
向のひずみ量について検討した結果,Table 2,・Table 3に示す通り,それらいつれも,概ぬ,減少する傾 向が認められた。
内外の蹄三部の側方変位について検討した結果,4本の蹄釘を内外の蹄側壁に用いた装鉄蹄では,蹄踵部 は,着地期初期から中期にかけて開張し,離地時には狭窄することが示された。この蹄踵部の着地後の開張 は,蹄踵部への蹄釘の設置により,常歩,速歩では早期に,かつ急激に発現することが示された(Fig.245,
Fig.246)。また,その変位量は, Table 4に示す通りいつれの三法においても,概ね,減少する傾向が認 められた。
(3)上攣による影響
平坦な蹄鉄(Fig・225)に比較して,次のような相異が明らかにされた。
四壁全体に亘り,ひずみ波形の相異が認められた。また,その特徴的現象として,蹄尖壁のVertical方 向,ならびに内外蹄側壁のHorizontal方向のひずみ波形では,旧地時における一過性のひずみが,:著しく 減少,もしくは消失した(Fig.233)。さらに,外蹄側壁のVertical方向のひずみ波形では,波形の位相が 相異する傾向を認めた。二三壁のVertica1方向のひずみ量について検討した結果, Table 5に示す通り概 ね,減少する傾向が認められた。
(4)削蹄による影響
削蹄の前後で二三の長さが異なることから,削蹄後のひずみ測定部位として,削蹄前の測定部位と相対的 な位置関係を有する部位,ならびに削蹄前の測定部位と同一部位とを決定した。これら各々について検討し た結果,削蹄後の二通りの部位におけるひずみ波形は,互いにほぼ類似した。しかし,削藍前と削蹄後との ひずみ波形の比較では,内外蹄側壁のVertlcal方向のひずみに,波形の位:相の相異が認められた。(Flg,
241)。蹄二二のVert{cal方向ならびにHorizontal方向のひずみ量について検討した結果, Table 6に示す 通りVertical方向のひずみ量は,削蹄後における削蹄前の測定部位と相対的な位置関係を有する部位で最
も大きく,次いで,削蟹後における削蹄前の測定部位と同一部位,削蹄前における測定部位の順であった。
また,Horiz。ntal方向のひずみ:量は,削蹄後における削蹄前の測定部位と相対的な位置関係を有する部位 で最も大きく,次いで,削蹄前における測定部位,削蹄後における削蹄前の測定部位と同一部位の順であっ
た。
以上の各所見から,装蹄による前蹄の運動の変化は,離地と着地を含む離地期全般において認められ,ま た,蹄の下方に至るほど顕著であり,主として動きの量的な相異であることが明らかにされた。これらの事 実は,連鎖機構としての蹄関節の運動特性に深い関連性を有するものと考えられた。また,装蹄の前回運動 におよぼす影響は,蹄鉄の磨擦係数,蹄鉄の重量,蹄釘の使用による蹄踵の弾発性の阻害,上轡による蹄の 離地反回の推進,などが関与するものと推察された。
削装蹄による前蹄壁への影響は,離地を含む蒼地期全般に亘り,蹄壁全体に認めらぢ,結果として,装削 蹄は,蹄壁各部における緊張,弛緩などの力学的なストレスに影響を与えることが明らかにされた。すなわ ち,蹄鉄の装着,蹄釘の蹄踵部への設置,上轡,削蹄などによって,体重負脱に伴う蹄固有の変形状態が相 異し,それに伴い蹄壁の内部応力の分布が相異するものと推察された。
一55一
論文審査の結果の要旨
馬の歩行運動は四足歩行を行う哺乳類の中で最も進化したものであり,殊に馬蹄は,連続的な馬体運動の 基点となって馬体を推進するのに重要な役割りを担っている。そのため,馬を使役するに当っては,その過 激な労働による運動に際して肢帯を保護するため,合理的な削装蹄を行う必要が要望されている。本来,三 三の保護にその目的を置いた削装蹄は,現在では更に進んで激しい運動をする競走馬の疾走能力の向上,あ るいは各種運動器疾患に対する治療処置への応用などその目的を拡げている。したがって,削装蹄は,馬体 運動ならびに馬蹄との関連性を考慮に入れて慎重に行うことが要望されている。通常,削装蹄にあっては,
蹄機作用の保護ならびに助長を目的に,竿縁,剰尾の附設や,蹄釘の設置部位の選定が考慮され,また,筋,
腱,靱帯などの運動器の機能の円滑な発現のため,上轡の設置などが行われている。しかし,これらの削装 蹄上の処置は,いつれも経験的事項に基づくものが主体であり,未だその理由や効果について実証されるに 至っていない。そこで,著者は,削装蹄の理論の確立ならびにその技術の向上を期するため,これらの削装,
蹄上の基礎的事項に関する解明を目的とし運動学的分析法,ならびに,蹄壁の変形状態についての独創的な 工学的測定法を考案応用し,削装蹄が,肢蹄の運動と蹄壁とにおよぼす影響について実馬を用いて以下の基 礎的実験を行いその成績を検討した。
実験には,正常歩行を有する乗用馬2頭を用い,その前蹄(左)について①跣蹄,②4本の蹄釘を内外蹄側 壁に用いて装着した平坦ら通常蹄鉄,③8本の的野を内外の蹄側壁から蹄踵壁に用いて装着した平坦な通常 蹄鉄,④4本の蹄釘を内外蹄側壁に用いて装着した上手を有する蹄鉄および⑤実験目的に従った削蹄など5 つの条件を負荷して実験した。また実験馬には,これらの条件下で,平坦,硬固なアスファルト路面上を,
騎乗による常歩,速歩,駈歩を負荷した。歩行中の実験馬の差前肢について,16mm映画を利用した動作分 析法,ならびに,工業用ひずみ計による蹄壁表面のひずみ測定法,また,炭素粉抹の通電性を利用して試作 した独創的な変位計による蹄壁の変形状態の測定法を応用した。動作分析のための前肢の測定点は,蹄甲骨 蹄突起の上1/3の部位,肩関節,肘関節,手根関節,剛節,側望繋軸と蹄冠との交点,以上6ケ所で行った。
また,蹄壁のひずみ測定部位は,蹄四壁,内外蹄側壁,内外蹄踵壁,それぞれの上部と下部,計10ケ所で行 った。その測定方向は,角細管に一致する方向をVertica1方向,これと直交する方向をHorizontal方向と して,この二方向のひずみを測定した。試作変位計は,内外の蹄踵部に金属螺子により固定装着した。
これらの実験方法により行った成績は次の通りである。
1 装蹄の前肢運動におよぼす影響 (1)平坦な通常蹄鉄による影響
焼串時に比較して,次のような相異が明らかにされた。
手根関節の離地曳未墾における上下方向への加速度変動範囲が,駈歩の手前肢と反手前肢で増大した。
その差は,Case 1では手前肢で2900 cln/sec2,反手前肢で16εO cm/sec2であり, Case 2では手前肢で 3500cln/sec2,反手前肢で2050 cm/sec2であった。
環節の下地期における屈曲が増大した。その差は,Case 1では常歩7。,速歩4。,駈歩の手前肢12。,
反手前肢2。であり,Case 2では尊卑8。,速歩40,駈歩の手前肢パ,反手前肢5。であった。
肢下部の関節,殊に球節の離地期未期における腹屈方向の角加速度が,駈歩の手前肢と反手前肢で増加
一56一
した。その差は,Case 1では手前肢で5000。/sec2,反手前肢で200Q。/sec2であり, Case 2では手前肢 で1000。/sec2,反手前肢で6000。/sec2であった。
蹄の離地期における滑走が,常歩を除く他の歩法で出現した(Fig。121)。
② 蹄釘の蹄踵部への設置による影響
蹄釘を蹄側部へ設置した場合と比較して,次のような相異が明らかにされた。
蹄凶の離地無における前方への加速度が,速歩ならびに駈歩の反手前肢で減少した。その差は,Case 1 では速歩で200cm/sec2,駈歩の反手前肢で1100 cm/sec2であり,Case 2では速度で1100 cm/sec2,駈 歩の反手前肢で900cm/sec2であった。
蹄冠の離地学末期における後方への加速度が,速歩ならびに駈歩の反手前肢で増加した。その差は,
Case 1では速歩蹄1000cm/seし2,駈歩の反手前肢で400cm/sec2であり, Case 2では速歩で500cm/sec2,
駈歩の反手前肢2400cm/sec2でであった。
球節の離地期初期における背屈方向への角加速度が,常歩を除く他の歩法で増加した。その差は,Case 1では速歩で4500。/sec2,駈歩の手前肢5000。/sec2,反手前肢12500。/sec2であり, Case 2では速歩
75000/sec2,駈歩の手前肢7000。/sec2,反手前肢3500。/sec2であった。
(3)上層による影響
平坦な蹄鉄に比較して,次のような相異が明らかにされた。
蹄冠の離断期初期における前方への加速度が,速歩ならびに駈歩の反手前肢で増加した。その差は,
Case 1では速歩で900 cm/sec2,駈歩の反手前肢で1000 cm/sec2であり, Case 2では速歩で2300 cm/
sec2,駈歩の反手前肢で800 cm/sec2であ.つた。
球節の離層期末期における腹屈方向への角加速度が,駈歩の手前肢,反手前肢で増加した。その差は,
Case 1では手前肢で600Q。/sec2,反手前肢で9750/sec2であり, Case 2では手前肢で6000。/sec2,反 手前肢で3000。/sec2であった。
H 装蹄の前下層におよぼす影響
(1)平坦な通常蹄鉄による影響
跣蹄時(Fig.209)に比較して,次のような相異が明らかにされた。
軽罪壁を除く押脚各部,殊に外蹄側壁,内蹄煙毒で,Vertica里方向のひずみ波形が相異する傾向が認め られた(Fig.225)。また,その特徴的な現象として,波形の位相が相異する傾向を認めた。内外蹄側壁の Horizontal方向,ならびに,蹄尖壁のVertlcal方向のひずみ量について検討した結果, Table 2, Table 3,Table 5に示す通り,概ね減少する傾向が認められた。
(2)蹄釘の蹄踵部への設置による影響
蹄釘を蹄側部へ設置した場合(Fig.225)と比較して,次のような相異が明らかにされた。
蹄壁各部のひずみについて検討した結果,障壁全般に亘り,ひずみ波形の相異が認められた。また,そ の特微的現象として,蹄尖壁のVertica1方向ならびに内外蹄側壁のHorizontal方向のひずみ波形では,
離三時における一過性のひずみが,著しく減少,もレくは,消失した(Fig・217)。内外蹄側壁のHorizon一
㌻a1方向りひずみ量について検討した結果. Table 2・Table 3に示す通り・それらいつれも,概ね減少す る傾向が認められた。
一57一
内外蹄踵部の側方変位について検討した結果,4本の蹄釘を内外の蹄側壁に用いた装鉄蹄では,蹄細部 は,着地期初期から中期にかけて開張し,離地面では狭窄することが示された。この日蝕部の着地後の開 張は,蹄踵部への隠釘の設置により,常歩,速歩で早期にかつ急激に発現することが示された(Fig.245,
Fig・246)。また,その変位量は, Table 4に示す通り,いつれの歩法におい 、ても,概ね減少する傾向が認 められた。
(3)上轡による影響
平坦な通常蹄鉄(Fig.225)に比較して,次のような相異が明らかにされた。
蹄壁全体に亘り,ひずみ波形の相異が認められた。また,その特徴的現象として,蹄尖壁のVertica1方 向,ならび}こ内外蹄側壁のHorizontal方向のひずみ波形では,離地時における一過性のひずみが,著しく 減少,もしくは消失した(Fi9.233)。さらに,外蹄側壁のVertica1方向のひずみ波形では,波形の位相 が相異する傾向を認めた。蹄尖壁のVertica1方向のひずみ量について検討した結果, Table 5に示す通 り,概ね減少する傾向が認められた。
(4)削蹄による影響
削蹄の前後で側壁の長さが異なることから,削蹄後のひずみ測定部位として,削蹄前の測定部位と相対 的な位置関係を有する部位,ならびに削蹄前の測定部位と同一部位とを決定した。これら各々について検 臆した結果,削蹄後の二通りの部に心おけるひずみ波形は,互いにほぼ類似した。しかし,削蹄前と削蹄 後とのひずみ波形の比較では,内外蹄側壁のVertica1方向のひずみに,波形の位相の相異が認められた (Fig.241)。蹄五韻のVertica1方向,ならびにHorizontal方向のひずみ量について検討した結果, Table 6に示す通り,Vertica1方向のひずみ量は,削蹄後における削蹄前の測定部位と相対的な位置関係を有す る部位で最も大きく,次いで,削蹄後における削蹄前の測定部位と同一臥位,削蹄前における測定部位の 順であった。また,Horizonta1方向のひずみ量は,削蹄後における削蹄前の測定部位と相対的な位置関係 を有する部位で最も大きく,次いで削蹄前における測定部位,削蹄後における削蹄前の測定部位と同一部 位の順であった。
以上著者の本研究における成果は,装蹄の諸条件が,馬の肢蹄運動において離地と着地の瞬間を含む離地 期全般において,肢の下部,特に蹄における運動の量的な相異を惹起するものであることを明らかにし,こ れらの事実が,肢蹄運動の連鎖機構としての運動特性に密接な関連性を有していることを明示した。さらに 装蹄の諸条件による肢蹄の運動状態の変化は,蹄鉄の摩擦係数,蹄鉄の重量,装蹄による蹄機構における弾 発性の阻害,上轡設置による蹄の離地反回運動の推進,などが関与していることなどを,運動学的に明らか にした。
また,削装蹄の諸条件は,離地を含む着地期において,蹄壁各部の緊張,弛緩などの力学的ストレスによ る影響を与えていることが明らかにされ,この原因として,蹄に負荷された削装蹄の諸条件によって,大重 負担に伴う蹄固有の変形状態が相異し,それに伴い蹄壁構造における内部応力の分布が相異することを明示
した。
これら著老の研究は,肢蹄の運動ならびにそれに伴う蹄壁の変形状態を対象に,それらと削装蹄との関連 性について基礎的な新知見をえたものであり,また,その独創的な実験方法についても,馬の削装蹄に関す る研究領域に対し今後拡大した新分野の研究推進に大なる期待が寄せられ今後の装蹄学,ならびに馬体運動 一58一
学の発展に貢献するところ極めて大なるものがあると信ぜられる。よって,本研究を実施した中馬昌平に対 し,獣医学博士の称号を授与するに応しいものと思考する。
註(図・表は前掲の「論文内容の要旨」に使用したものと同一のため省略する)
ACCELERATION−TIME ACCELERATION
ACCELERATION−Y一一一一
ACCELERATION−X一
TEST:
CODE:CASEユ. LF EXP3 TROT
§§
N ゆ
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、 § 1
8Σ一OO轟一OO︒DN一 8おOO嵩
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甲0 85 17Q 255 340 425 510 595
TIME 6POINTS/FRAME 23 FRAMES
Fig.121 1ine number 5:fetlock joint
6:point on the coエ onary of hoof
680
一59r
UP
LP
The pattern of the strain changes of the hoof during one stride at the cach experiment.
Abbreviation of figure.
Vert.: Verticai diraction Hori.: Horizontal diraction Exp. 1‑Exp. 4
MH:Medial Heel UP:Upper polnt EQ:MedialQuarter LP:Lowerpoint
Toe : Toe
LQ:Lateral Quarter LH : Latedal Heel Exp. 5
MQ : Medial Quarter
CP : Center point '
Toe:Tle
LQ : Lateral Quarter Exp. 6
MQ:MedialQuarter Sp:Samepoint
Toe:Toe (This point is same
LQ:LateralQuarter CP:Centerpoint
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