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東医大誌 75(1): 107
-108, 2017
学会参加記
第 32 回欧州ヒト生殖医学会 2016 に参加して The 32nd Annual Meeting of European Society of Human
Reproduction and Embryology
長谷川 朋 也 Tomoya HASEGAWA
東京医科大学病院産科婦人科学分野
1 2016 年 7 月 3 日から 6 日にわたり、フィンラン ドのヘルシンキで開催された The 32nd Annual Meet- ing of European Society of Human Reproduction and Embryology(ESHRE)で発表の機会を頂きました のでご報告させて頂きます。本学会は毎年 7 月頃、
約 1 万人が参加して行われる生殖医療に関する世界 最大の学会です。今回も 9,711 名もの参加者、約 1,000 題の発表がなされ、新しい研究成果や生殖医療のト レンドについて熱い議論が交わされました。
ヘルシンキの街は古いヨーロッパの伝統的な建物 が並んでおり、いわゆる北欧デザインが活かされた 美しい街並みでした。白夜の中、街頭ではバイオリ ンやチェロなど演奏する一団がいたり、一歩田舎に 入ると草原の中にゆったり動く大きな風車があった
り、海辺には年季の入った古船が数隻佇んでいたり と、大変広々として静かな雰囲気は映画『かもめ食 堂』の世界そのものでした。(図 1 )
また、街の中心地にそびえるヘルシンキ大聖堂は 天空に浮かぶような美しい白亜の巨大聖堂で、まさ にヘルシンキのシンボルマークでした。隣接する元 老院広場は、御影石が敷き詰められたフィンランド 最大の市民広場で、中央にはロシアの皇帝アレクサ ンダー 2 世の像が威風堂々と鎮座していました。 (図 2)十分にヘルシンキの街を堪能した後、街中をの んびり駆け巡る古き良きヨーロッパを感じさせるト ラムという乗り物(バス?電車?)に乗って、一路 学会会場へ向かいました。
学会会場はとても広く、さすが世界最大の生殖医
図
1 ヘルシンキの街
図2 ヘルシンキ大聖堂
東 京 医 科 大 学 雑 誌
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号( ) 療の学会というだけあって、様々な人種の参加者達 で賑わっていました。メイン会場では約 1,000 人の 聴衆の前で、英語で発表する日本の若手の先生の姿 も見ることができ、世界で戦う日本人の堂々とした 姿に、自分自身大きな刺激を頂きました。各企業に よる展示ブースでは、それぞれのブースで地元の料 理の軽食やワインなどを嗜むことが出来、お土産も 用意されていて、日本の企業展示との規模の違いに 衝撃を受けました。
ポスター会場に出向くと、私の発表がありました。
本学会は最新の電子ポスターでの発表であり、大き な画面に映し出される自分のポスターにしばらく感 動してしまいました。(図 3)
今回の発表内容は『 Separated double embryo trans- fer may be a novel method to prevent multiple gestations in assisted reproductive technology treatment (ART)』
というタイトルで、体外受精で 2 個の胚を移植する 際、子宮内の別々の場所に移植することによって、
多胎妊娠を防ぐことができるのではないか、という 研究内容でした。ヨーロッパでは生殖補助医療によ る多胎妊娠の増加が問題視されており、また、それ に伴う周産期のリスクの増加も盛んに議論されてい ます。今回の私の発表は、妊娠効率を低下させるこ
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となく、多胎妊娠のリスクを減らすことが出来る可 能性があるという点で、ヨーロッパの方々に興味を 持ってもらえたのではないかと、本学会の様々な発 表を聞きながら、自分なりに振り返りました。ただ し、依然として、子宮内での着床の際の胚同士の相 互作用や、子宮内膜と胚の関連については未知の部 分が多く、さらなる研究が必要と考えます。
他国の興味深い演題として、体外受精で採卵する 際、ゴナドトロピン投与により卵巣刺激を受ける患 者にテストステロンによる前処置を行うことによ り、臨床的妊娠率や生児獲得率を改善出来るという 報告がありました。この方法は日本ではまだ普及し ていない方法であり、日頃の臨床に応用出来る可能 性を感じました。
今回の学会では、海外の異なる視点での考え方を 学ぶと同時に、日本人の研究者の細やかさ、繊細さ も改めて学ぶことが出来ました。やはり、大規模で キャッチーな研究に目を惹かれがちですが、たとえ 細かい事柄でも、日本人の物事の本質を極めようと する姿勢は素晴らしいと改めて感じました。
学会からホテルに戻ると、フィンランド発祥であ るサウナが待っていました。白木による暖かい作り で、入り口の熱い石にお湯をかけて、蒸気を発生さ せるという仕組みで、フィンランドではどのホテル にも併設されているのが普通です。教授たちと、
ジューッという熱い音をさせながら、裸の付き合い が出来たことは最高の思い出です。ちなみに、フィ ンランド料理の一つであるトナカイの肉の独特な味 も忘れられない思い出ですが、私はもう二度と口に しないと思います。
本学会は私にとって初の海外での発表で、緊張や 不安もありましたが、これからも東京医大を海外に どんどんアピールしていけるよう、より一層精進し ていきたいと思わせてくれた学会でした。このよう な貴重な経験をする機会を与えてくださった皆様 に、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
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