新薬開発における製薬企業の戦略的提携
著者 冨田 健司
雑誌名 静岡大学経済研究
巻 8
号 1
ページ 35‑48
発行年 2003‑08‑30
出版者 静岡大学人文学部
URL http://doi.org/10.14945/00008582
論 説
新薬開発 における製薬企業 の戦略的提携
冨 田 健 司
1.は じめに
製薬産業 において、戦略的提携 は盛んに行なわれてお り、近年、特 に新製品開発段階における製 薬企業 どうしの戦略的提携が著 しい。 これまで戦略的提携 に関す る研究 は垂直的関係を対象 とした ものの方が圧倒的に多 く、水平的関係を対象 とした研究蓄積 は少ない。そのため、本稿では製薬企 業 どうしの水平的な戦略的提携 に着 日し、その現象を把握するとともに、なぜそのような現象が起 こるのかについて考察する。具体的には、製薬産業で提携が多 くなる要因を環境・ 制度面か ら、そ して戦略・ 組織面か ら議論 してい く。
厳密 に言えば、研究開発 と新製品開発 とはまった く同義 というわけではな く研究開発 は新製品開 発の中に含まれるが、新薬開発の場合、新製品開発において研究開発の占める割合 は極めて高いた め、本稿では新製品開発 として研究開発を取 り上げることにす る。
なお、本稿の構成 は次のようになる。 まず、第 2節 では戦略的提携の定義を レビューする。その 後、第 3節 で製薬産業を概観 し、なぜ製薬産業で提携が多 く行なわれているのかについて議論する。
第 4節 では雑誌記事を整理することにより、戦略的提携の状況について分析する。第 5節 で考察 し た後、第 6節 で研究の限界 と今後の課題 について触れる。
2.戦 略的提携 について
これまで多 くの研究者が戦略的提携 についてさまざまな定義を行なっているが、それ らは多様で あり、統一的見解は図 られていない。 しか し、先行研究を レビューした結果、 2つ のキーワー ドが 抽出された。結論を先に述べると、 「 緩やかな組織間関係」 と「相互の目標の達成」である。
伊丹・ 加護野 (1993)に よると、戦略的提携 とは「企業の独 自性を維持 したまま、企業間に作 ら れる緩やかで柔軟な結びつきのこと」である。また、伊藤・ 鈴木 (1991)は 「 M&Aの 対極であり、
緩やかな企業連結のこと」 と定義 している。
― ‑35‑―
一方、 Varadaraian and Cunningham(1995)は 、 「個々のパ ー トナーに特有 の目標 だけでな く、共通の目標を達成するために、特定的資源やスキルを共同出資すること」 と定義付 けている。
そ して、 これに類似 した定義に松行 (2000)が ある。彼女 は、戦略的提携を「企業 どうしがそれ ら の相互の目的を達成するために、戦略的な同盟を締結することで提携関係を樹立する企業間関係の こと」 と定義 し、 さらに「一定の期間に限定 される協力の精神、ひいては共生の精神に基づいた互 恵性 による同盟関係」 と定義 している。
これ らの先行研究か ら、戦略的提携 とは「複数の企業がそれぞれの特定の目的を達成するために、
一定期間結び付 く緩やかな組織間関係」 として定義付 けることができる。
3.製 薬産業の概観 1
3‑1.製 薬企業 とは
製薬企業 は医薬品の売上高を第一 とする専業 メーカーと、医薬品以外の製品の売上高が第一であ る兼業 メーカーとに分 けられる。兼業 メーカーにおける医薬品売上高 (2002年 3月 期 )上 位 4社 を示す と、協和発酵 (売 上高 1,422億 円、主要医薬品 :降 圧剤 299億 円 )、 明治製菓 (売 上高 1,107 億円、主要医薬品 :抗 生物質 471億 円 )、 旭化成 (売 上高 986億 円、主要医薬品 :骨 粗霧症治療薬 228億 円 )、 帝人 (売 上高 945億 円、主要医薬品 :去 痰剤 138億 円 )と なっている。 なかで も、協 和発酵では企業の全売上高に占める医薬品売上高が 38%、 同様に明治製菓で も 31%と 、企業内に おける医薬品事業の位置付 けは高い。
本稿では、水平企業間の戦略的提携 に限定 しているが、事業組織で見てい くため、 こうした兼業 メーカーの医薬品事業 と製薬企業 との提携、 もしくは兼業メーカーどうしの提携 も水平的提携 とし て扱 うことにする。
さて、医薬品の用途区分別生産比率 (2000年 )を 見 ると、医療用医薬品が 87.0%、 一般用医薬 品が 12.2%、 配置家庭用薬が 0.9%と な っている 2。 デ ̲夕 で示 されるように、医薬品に占める医 療用医薬品比率 はきわめて高 く、 また医療用医薬品 として長年使用 され、安全性が確認 されたもの が一般用医薬品 として転化 されるケースが多い。そ して、大正製薬、エスエス製薬、 ロー ト製薬な ど一部の企業では一般用医薬品の売上高の方が高 くなっているが、それ以外の企業は医療用医薬品 の売上の方が圧倒的に多 くなっている。 こうしたことか ら明 らかなように、製薬企業の新製品開発 とはほとんどが医療用医薬品の新製品開発のことを指す。
1本 節のデータは、 『 月刊 ミクス』2002年 7月 号・ 2002年 増刊号、 『 よ くわか る医薬品業界』 による。
2「 医療用医薬品」 とは病院や診療所、調剤薬局などが患者に処方する医薬品のこと、「一般用医薬品」 とは患
者が薬局・ 薬店で購買す る医薬品のことで「大衆薬」「 OTC薬 」 とも言 う。 また、 「 配置家庭用薬」 とは家庭
に医薬品を備え付け、使 った分だけを精算するシステムによる医薬品のことである。
3‑2.製 薬企業を取 り巻 く環境
まず、 日本市場を見た場合、製薬企業を取 り巻 く環境の厳 しさが指摘 される。その要因の 1つ は 医薬品の需要 シフ トによる新製品開発の必要性である。例えば、少子高齢化や平均寿命の伸長など により、高齢者特有の治療薬のニーズが高 まり、 また食生活の変化により、脂質や コレステロール 値などを抑える生活習慣病薬の二 =ズ が高 まっている。 もう 1つ は、増大する国民医療費を抑える 厚生労働省の政策 としての医療費抑制策である。薬価改定 は 2年 ごとに行なわれ、薬価全体 として 1998年 が 9.7%、 2000年 が 7.0%、 2002年 が 6.3%と ダウンしている。薬価の低下 は製薬企業の 収益 に直接大 きな影響を及ぼす こととなる。
次 に、世界全体か ら日本市場 を見て も、製薬企業 を取 り巻 く環境 の厳 しさは指摘で きる。 2001 年の市場規模 はアメ リカ 53%、 日本 18%、 ドイツ 6%、 フランス 5%、 イギ リス 4%と 、我が国 の市場 は世界第 2位 となっている。そ して、 日本市場の占める割合 は対前年比 5%増 とな っている ため、世界全体か ら見た際に日本市場 は大変魅力的であ り、外国企業の参入が激 しくなっている。
新薬の 7か ら 8割 は外国オ リジンのものとなってお り、 ここか らも我が国の製薬企業の厳 しさが う かがわれる。
3‑3.新 薬開発の必要性
競争激化の ビジネス環境 に製薬企業が置かれていることにより、新薬開発の必要性 は高まってい る。特に医薬品の場合、画期的な新薬 は企業の利益 に直結する、つまり技術的な成功が直接商業的 な成功 に結び付 くため、多 くの製薬企業 は多額の研究開発費を投 じている (表 1)。
代表的な新薬開発の成功例 として三共 のメバ ロチ ン (高 脂血症治療薬 )が 挙 げ られ る (表 2)。
高脂血症治療薬 は、血液中のコレス トロール値が高 くな り過 ぎる病気 に対す る薬である。 メバ ロチ ンは 1986年 に特許 を取得 し、 2001年 には高脂血症治療薬の市場規模約 2,500億 円の うち 1,751億 円と 7割 もの シェアを占めている。 この 1,751億 円 とい う数値 は三共全体の売上高の 3割 強を占め るほどの大 ヒット商品 となっている。
製薬企業が こうした画期的新薬を求めるにはそれが企業の利益の源泉 となるか らであるが、それ は主に 2つ の理由による。 1つ は薬価の算定方法による。厚生労働省によって決め られる薬価 は類 似薬効比較形式を とっており、既存の類似 した薬効の価格を基準に決定 され る。 それが新 しい発想 の ものであるほど、有用性・ 安全性が高いほど、治療法の改善・ 進歩 に貢献するものほど高い値段 が付 けられることとなる。 もう 1つ は特許期間による。開発 した新薬 は 20年 もの長 い間特許で守
られ るため、後発企業の追随による利益の圧迫を避 けることができる 3。
3特 許期間は審査を申請 してか らカウントされるため、審査申請か らそれが取得 されるまでの期間は、企業にとっ て埋没 したものとなっていた。そこで、 この期間を回復期間 として最長 5年 間を付加できることとなった。
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表 1 製薬企業の研究開発費 (2001年 度 :連結 )
(出 所 :Monthlyミ クス 2002増 刊号 ) 表 2 薬品別の売上高 (2001年 )
順 位 薬品名 企業名 薬 効 売上高
メ バ ロ チ ン 三 共 抗高脂血症剤
ガ ス タ ー 山之内 抗潰瘍剤
ク ラ ビ ッ ト 第 一 抗菌剤
エ ポ ジ ン 中 外 腎性貧血治療剤
)s7vz 武 田 降圧剤 リ ポ バ ス 萬 有 抗高脂血症剤 リュープ リン 武 田 前立腺癌治療剤 ニ ュー ロ タ ン 萬 有 降圧剤 ベ イ ス ン 武 田 糖尿病治療剤
リ ピ ト ー ル 山之内 抗高脂血症剤
パ ナ ル ジ ン 第 二 抗血栓剤 440
モ ー ラス 久 光 消炎鎮痛剤
ハ ル ナ ール 山之内 排尿障害治療薬 オ ム ニパ ー ク 第 一 造影剤
ア ム ロ ジ ン 住 友 降圧剤
晰 :Mmttyミ ク ス2骰謂
)そのため、製薬企業 は画期的な新薬開発に注力することとなるが、それには研究開発の長い期間 と多額の費用を要する 4。
3‑4。 新薬開発に向けての動き
近年、ゲノム創薬への注 目が高 まり、よりいっそ う多額の研究開発費が必要 となつている。その 対応策 として、欧米では 1990年 代以降、 M&Aに よる規模の拡大が活発化 している。世界の医薬 事業売上高順位は表 3に 表され、 この表には国内企業を含めていないが、我が国における売上高 トッ
4確 固たるデータが存在するわけではないが、新薬開発には約 20年 もの期間、200億 か ら360億 円もの費用が かか ると言われている。
企業名 金額 (億 円
)売上比(%) 武 田 薬 品
共 山 之 内 製 薬 藤 沢 薬 品
エ ー ザ イ
中 外 製 薬
第 一 製 薬
三菱 ウエルファーマ
塩 野 義 製 薬
小 野 薬 品
プの武田薬品 (2001年 度売上高 8,433億 円 )は 15位 に位置す るため、国内企業 と比較す るとかな りの大規模化が進行 している (表 3)。
例えば、 グラクソ・ ス ミスクライ ンはグラクソ・ ウエルカム (英 )と ス ミスクライン・ ビーチャ ム (英 )の 合併企業であるが、 グラクソ・ ウエルカムはグラクソが ウエルカムを買収 した経緯があ り、ス ミスクライ ン・ ビーチャムはス ミスクライ ン・ フレンチとビーチャムが合併 した経緯を持つ。
このように、合併企業が数年後、 さらに合併を重ねて大規模化する構造になっている。
こうした大規模化の動 きは国内にもおいて も見 られる。 ホフマ ン・ ラ・ ロシュ (仏 )と 中外製薬 のような外国企業 と日本企業 との合併の場合 もあれば、 ウエルファイ ド (吉 富製薬 と ミドリ十字 と が合併 )と 三菱東京製薬 (三 菱化学 と東京 田辺製薬 とが合併 )に よる三菱 ウエルファーマなど国内 企業 どうしの合併の場合 もある。 また、合併以外 にも、 アボッ ト (米 )が 北陸製薬 の株式 の 97.5
%を 取得 した り、 ベー リンガー (独 )が エスエス製薬の株式の 57.2%を 取得 した りす るなど、外 国企業の株式買い付 け、つまり日本企業か ら見れば被子会社化の動 きがとられることもある。
日本企業の大規模化以外の動 きとして も幾つかの動 きが見 られる。 まず、共同出資会社を設立す る場合がある。例えば、一般用医薬品最大手の大正製薬 と抗菌薬を得意 とする富山化学 は、医療用 医薬品の研究開発、販売 に関する新会社を設立 した。特 にハイ リスクな研究開発への投資 は共同出 資によるベ ンチ ャー企業を設立する傾向にある。 また、薬効の領域を限定する場合がある。得意な 領域へ経営資源を絞 り込む場合である。 さらに、持 たざる経営 として製造、販売を委託する場合が
表 3 世界の医薬事業売上高順位 (2001年 )
順 位 企業名 売上高
ファイザー (米 ) 25,518
グラクソ・ ス ミス ク ライ ン (英 ) 25,312
メル ク (米 ) 21,350
アス トラゼネカ (英 ) 16,480 アベ ンティス (仏 ) 15,990 ブ リス トル●マイヤーズスクイブ (米 ) 15,300 ジョンソ ン &ジ ョンソ ン (米 ) 14,851 ノバ ルテ ィス (ス イス ) 12,415
7 z )V?y7(x) 11,970
アメ リカン・ ホーム・ プロダクツ (米 ) 10,940 イーライ リリー (米 ) 10,846
o / =(74 7) 10,497
シェリング 0ブ ラウα K) 8,369
アボ ット (米 ) 6.277
ベー リンガーイ ンゲルハ イム (独 ) 5,790 サノフィ ,サ ンテラボ (仏 ) 5,735 ジェー リング (独 ) 4,381 (単 位 :百 万 ドル ) (出 所 :Monthlyミ ̀ク ス 2002増 刊号 )
一 ‑39‑―
ある。 もう1つ の動 きが戦略的提携を行なう場合であ り、研究開発段階での提携、販売段階での提 携 と多様である。戦略的提携 は医療用医薬品事業が中心 となってお り、新薬開発のス ピー ドアップ や、 自社が弱い領域・ 地域を補完するだけでな く、 自社が強い領域をさらに強化する目的を有 して いる。
3‑5.戦 略的提携増加の要因
これまで本節で述べたことか ら、なぜ製薬産業で戦略的提携が増加 しているのかに関 して、環境・
制度面か ら次の 4つ の要因を挙げることができる。第一に、新薬の研究開発 には多額の費用を要す るため、費用軽減を目的 としていることが挙げられる。第二 に、研究開発期間が長期化 してお り、
ス ピー ドアップを目的 としていることが挙げられる。第二に、画期的な新薬開発の必要性が挙げら れる。そ して第四に、得意分野の強化が挙げ られる。不得意分野の補完よりも強者 どうしが既存の 得意分野をいっそう強化 したり、新 しい得意分野の探索・ 情報 (知 識 )創 造を目的としていること が挙げられる。 こうした要因か ら、近年戦略的提携 は増加傾向にあると考え られるため、次節では データにより提携の状況を確認 してい く。
4.戦 略的提携の状況 4‑1。 データ整理の手順
1991年 1月 14日 (449)号 か ら 2002年 12月 23日 (736)号 までの『 国際医薬品情報』を用 い、
製薬企業間の戦略的提携の状況を調べた。なお、記事で曖昧であったり不足する部分に関 しては直 接企業へ聞き取 り調査を行ない補 った。
ここで、本稿での戦略的提携について確認 してお く。医薬品の研究開発を行なっている事業組織 どうしによる戦略的提携を取 り上げるわけだが、 さらに 2つ の基準を設 けた。 1つ は、新薬を創造 する目的があるかどうか、 もう1つ は人的交流があるかどうかである。そのため、資金を提供 しデー タベースを利用する権利を購入することや、資本参加、合弁会社の設立、 ライセ ンス供与、技術供 与などは上手の基準か ら外れるため、戦略的提携に含めていない。
4‑2。 戦略的提携の件数
研究開発段階における戦略的提携の件数 に着 目すると、 まず、国内企業 どうしの提携数が順調に 増加 していることが分か る (表 4)。 一方、外国企業 との提携で も、 2つ の大 きな山があ り、長期 的には順調な増加傾向にあるといえよう。 2つ の山とは、 日米欧で承認審査に関わる手続 きや基準 の統一化を目的 とした医薬品規制調和国際会議 (1993年 )に 影響 される 1990年 代前半の増加、 も
う1つ はゲノム創薬関連に起因する 1990年 代後半の増加である。
表 4 研究開発段 階 にお ける戦 略的提携 の件数
35 30 25
20
件数
15 10
5
0
ごヾヾヾヾヾごヾヾゞゞゞ
年
1豪 翼 :メ
1船 t 11カ 華 :軍
ll轟 1轟 ‖繁聯轟薫 /1Yll彗 1義 著
I W 1/
碁熱 薇 ■轟華華 ,││
(注 )内 +内 :国 内企業 どうしによる提携 内 +外 :国 内企業 と外国企業 との提携
表 5 どの段階からの提携か
探索段階からの提携 臨床段階からの提携
1991 1993 1995 1997 1999 2001
4‑3.ど の段階からの提携か
次 に、 どの段階か ら戦略的提携が行なわれているのかに着 目すると、探索段階か らの提携が特に 近年、増加 していることが読み取れる (表 5)。 これは全体の場合 (国 内企業 十国内企業、国内企 業 +外 国企業 )で も国内企業間での提携 に限定 した場合で も同様である。近年の増加傾向は、ガン 治療薬、 アルッハイマー治療薬、 エイズ関連、遺伝子関連などに代表 される基礎研究・ 化合物合成 を目的 とした提携増加 によるものである。
‑41‑
一方、臨床段階か らの提携では 2つ の大 きな山が見 られる。 1つ は先述 した医薬品規制調和国際 会議 の影響 によるもので、 もう 1つ は 2000年 の山であ る。 これ は 1997年 の新 GCP(Good
Clinical Practice:医 薬品の臨床試験の実施 に伴 う基準 )に よるものであると考え られる。 この新
GCPに より、治験者へのイ ンフォーム ドコンセ ントが徹底 され、治験者を集めたり、治験を行な うことが従来以上 に困難 となった。臨床試験 に要する期間が長期化 し、費用 も増加 したため、 これ らを低減 させる狙いか ら提携が増加 している。
4‑4.企 業別提携件数
さらに、企業別の提携件数 に着 目す ると、例外的な企業 も若干存在す るものの 5、 ̲般 には提携
志向ということができよう (表 6)。 特 に、三共 はメバ ロチ ンの特許切れによる新薬開発の必要性、
大正製薬 は一般用医薬品か ら医療用医薬品への比重拡大を図 っている意図か ら、戦略的提携に積極 的 となっている。
表 6 企業別提携件数
注 :三 菱ウエルファーマニ 苦富 +ミ ドリ十字 +三 菱化学 +東 京田辺製薬
5テ ルモ、参天製薬、 ッムラにおいて戦略的提携はほとんど行なわれていない。テルモは栄養補助食品や医療 機器、参天製薬 は目薬、 ツムラは漢方製剤を得意 としてお り、 これ らはイノベーション (画 期的な新薬開発 )
の可能性が相対的に低いため、研究開発を目的とした戦略的提携は不必要だか らである。
1999 武 田
三 共 1:嶽 :: 4 一 織 一 3
山之 内
エ ー ザ イ 1
塩野義 1
藤 沢
第 一 1 1
:業 ■ 1盤 奎 1 :1811 撃
│一 1
三菱 ウエルファーマ 1 1
中 外 1
田 辺 1 1 1
テー ′ レ │モ 1
萬 有 1 1 1
大 日本 1 1
住 友
小 野 1 1
参■天
ツ :ム │ラ
科 研 1
エ ス エ ス 1
他 専 業 メ ー カ ー 兼 業 メ ー カ ー
うち 協和発酵 1
サ ン トリー 1 1
キ リン
JT 1 1 1
また、兼業メーカーはコア知識を持 っていて もそれを製品化するまでの知識・ 技術を持ち揃えて いないため、提携に積極的である。
4‑5。 薬効別提携件数
最後に、薬効別の提携件数に着 目すると、ガン治療薬、アルツハイマー治療薬、遺伝子関連 といっ た新薬開発が急務な薬効で提携件数が多いことが読み取れる (表 7)。
また、その内容に注 目すると次の 2つ の特徴が見出される。 1つ は、多数の企業が同時に同一の 薬効 に関 して提携を行 なっていることであ り、 これは 2002年 のガ ン治療薬 に関する提携内容で確 認 されるように、国内企業 6社 が 8通 りの提携を結んだ (表 8① )。 もう 1つ は、 1社 が並行的に 多数の会社 と提携を結ぶ ことである。 エーザイのアルツハイマー型痴呆症治療薬 に関する研究開発 では、1994年 にファイザーと提携を結んだ後、 2001年 には米国医薬品メーカーのニューロジスティ クスと提携を結んだ。 さらに、翌 2002年 には同 じニューロジスティクスとあ らためて提携を結び 直 している。 また、キ リンのガ ン治療薬 の例では同時期 (2002年 )に 3社 とそれぞれ提携を結ん
でいる (表 8② )。
4‑6.情 報 (知 識 )の 重要性
本節をまとめると、製薬企業の戦略的提携には、国内企業 どうしによる提携件数の増加、探索段 階か らの提携の増加、新 しい方向性 を探索す るための提携の増加、兼業 メーカーの提携の増加、開 発が急務な薬効での提携の増加、 といちた 5つ の特徴が挙げ られる。
現在の新薬開発において、特に兼業 メーカーはコア知識を持 っていて も、それを製品化できるま 表 7 薬効別提携件数
1995 1996 2002
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