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地域経済統合下の直接投資 と関連産業貿易

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(1)

地域経済統合下の直接投資 と関連産業貿易

一日系自動車企業の対英投資とイギリス自動車部品産業を題材として一

1章

ガ ッ ト、WTOの下での世界的な貿易 自由化 の努力 にもかかわ らず、地域経済統合 は世界経済 に おいて ます ます重要 になってきている

1。

過去半世紀のあいだ最 も積極的に自由貿易 を先導 してき たアメ リカ合衆国がNAFTAにコ ミッ トし、ASEANは共産主義 レジームに対す る安全保障協力 か ら地域的経済協力 にその優先順位 を移 してきた。LAFTAの失敗後、1990年代 にMercosurの で南米の地域統合スキームが再興 してきた。 この ような状況下で、欧州連合 (European Union,

EU)が財・ サー ビスのみな らず、資本 0労働者 の自由移動 を通 じて国民経済 を地域的 に統合す る 最 も先進的な ものであることを否定す るものは無かろう。

EUは、既 に関税、非関税障壁 の撤廃 を通 じて材の域 内貿易 を自由化 して きた。確かに、関税 同 盟 は時 として貿易転換効果 による負の厚生 をもた らすが

2、

それで も域内貿易が強化 されてきた こ とは確かである

3。

同時 に、統合領域 は、時 として非加盟国 を犠牲 にしなが らも、対内直接投資 を 引 きつける傾向を一般的には有 している。勿論、EUに投資す る多国籍企業の動機 は各々異 なって いよう。あるものは外部者 に対す る保護主義 を恐れ、他の ものは地域統合が もた らす成長促進効 果の利益 を得 ようと考 えている。 それで もEUが、他の地域統合体 と同様、多国籍企業 に とって 分裂 した国民経済の単 なるグループ以上 によ り魅力的であることは確かである。

統合領域向 け対 内直接投資の発展 に伴 って、多国籍企業 は国民国家 レベルではな く、地域的な

' De Melo, J. & Panagariya, A. (ed.) (1993) Nsw Dimensions in Regional Integration. Cambridee: Cambridge University Press, Neal, L. & Barbezat, D. (1997) The Econornics of the Euro0ean Union and the Economi.es of Europe, Oxford: Oxford University Press, Hirst, P. & Thompson, G. (1999) Globalization in Question, The International Economy and the Possibili.ties of Gouernance, 2nd ed.,Cambridge: Polity, Gilpin, R. (2000) The Chntlenee of Gtobat Ca7itatisrn : Tke Wortd Econorny in the 27st Century, Princeton: Princeton University Press.

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Eurobean Economy, Reborts and Studies,1997, no. 3'

(2)

レベルでその戦略 を策定 し、事業 を展開するようになってきている。いかなる多国籍企業 も、世 界的に連結 した レベルでのパ フォーマンスを最大化 しなければならないにして も、地域統合が提 供す る利点 を得 るためには、個々の子会社の事業 を少な くとも統合領域内で協調 させなければな らない。世界的戦略・ 事業展開は、実態のあるもの と言 うよりはむ しろ神話であると主張するも のす らある

4。

本社 一子会社間、そして、地域間子会社協力 を否定するわけではないが、子会社間 の協力 と協調 は、世界的 レベルよりもある一定領域内でのほうが緊密である。同時に、サプライ ヤーのような資本関係 に無い もの との関係 もまた、地域の境界 を越 えて展開することもあ りうる が、それで も地域的に組織化 される傾向を持つ ものである。

EUのような地域経済統合が、域内貿易を強化 し、対内直接投資を引きつけ、多国籍企業に地域 的戦略、事業展開を促す ことを認 めるな ら、 これ らの相互関係 を分析することは有意義である。

勿論、 これ ら三者の関係 は既存文献で も研究 されている。キン ドルバーガーは、1960年代 に地域 経済統合の発展 に関連 して貿易 と直接投資の相互関係 を既 に指摘 し

5、

ャ ンノポラスはキ ン ドル バーガーのモデルのパースペ クティブを拡張 した

6。

ぁる国連報告 は、多国籍企業 と貿易の関係 に おける多様 な可能性 を指摘 し

7、

単一欧州市場 (Single European Market,SEM)の 直接投資 に 対す る期待 された影響 は、欧州委員会の報告で確認 された もの もあれば、されなかった もの もあ

8。

しか しなが ら、これ らの研究 は主に直接投資の同一部門の輸出に対する影響に焦点 を絞 る傾 向にあ り、関連部門や輸入 に対 して十分な関心 を向けて こなかった。換言するなら、従来の研究 は多国籍企業 に とって原材料・ 部品等の投入材調達基盤 としての地域経済統合体の意義を十分に 検討 して こなかった、 とい う問題がある。統合地域内に対する直接投資は、不可避的に関連部門 や輸入 にも影響 を及 ぼすのであるか ら、上述のような研究の現状 は我々がその間隙を埋めること を求めるものである。

本稿 は、 日系 自動車企業 による対英直接投資の研究 を通 じて、上記のような研究テーマにアプ ローチ してい く。在英 日系自動車多国籍企業は、地域経済統合、直接投資、そして、貿易の相互 に関連 しなが ら発展する関係の典型例 を提供するということか ら、我々の分析の研究例 として取 り上 げることは妥当な選択である。同時に、自動車産業が、必ず しも同一企業ではない、完成車

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dence from the Formative Years Of the EurOpean Community',Jb%物 α′

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Luxembourg:Office fOr Official PubHcatiOns of the European Conllnunities.

‑66‑

(3)

組立企業 (アッセンブラー)と原材料・ 部品供給企業 (サプライヤー)によって成 り立 っている と言 う事実 は、直接投資の関連分野 と輸入への影響 を考慮す るとい う我々のテーマにとって適例 である。本稿で使用す るデーター、情報 に関 しては、イギ リス自動車産業の動態 を俯政す るため に、イギ リス自動車産業団体 の公式統計 を使用す る。 しか し、本稿の分析部分 に関 しては、既存 研究か らイギ リス議会の委員会報告や地方政府 の調査、本著者が 日系企業 のイギ リスエ場 のみな らず、その欧州統括会社や本社で行 ったイ ンタビューで得た独 自のデーター、情報 を活用 してい く。それ らの情報 は、分析 その もの と並んで、本稿 に独 自性 をもた らす ものである。

本稿 の分析 は、以下のような構成で行われ る。 まず、我々の主要テーマの背景 として1960年 以来のEU統合過程 における自動車産業 について見 てい く(第2章

)。

その上で、イギ リス自動車産 業の生産、貿易データを概観す るが、それ はイギ リス自動車産業の衰退 と回復 を明 らか にす る(第 3章

)。

続 く第4章で、日系ア ッセ ンブラーの対英直接投資 について確認する中で、それがイギ リ スの自動車生産・ 輸 出の回復 に一定の貢献 をなす ものであることが示 され る。第304章の概観 か ら以下のような疑間が導かれる。即 ち、「何故、イギ リスの自動車生産 と輸出の回復過程 におい てイギ リスの自動車部品貿易収支 は赤字化 したのか?」 とい う問題である。 この疑間について第

5章で解答 を与 え、最後の章で本稿全体 の総括 と将来の研究課題 を示唆す る。

2章 EU統合 と自動車産 業

自動車産業 とEUは、その重要性故 に、相互 に影響 し合 って きている。1960年代 の関税 同盟か ら 1980年代後半のSEM、そして1990年代 の経済通貨同盟 にいたるEUの発展、並びに、拡大 に伴 って、

自動車産業 はEU統合 に最 も影響 され、影響 して きた産業の一 つである。EU統合の各側面 は、多 国籍 自動車企業の戦略 と経営 に密接 に関連 して きた。 それ故、次章以降の分析の背景 としてその 相互関係 を見てお くことにしよう。

より自由で拡大するEUの域内市場 は、多国籍 自動車企業 にビジネス・チャンス と競争圧力 をも た らす ものである。EUによって1960年代 に設立 した関税同盟 は、原加盟 6カ 国間 において無関税 で自動車貿易 を行 うことを可能 にした

9。

イギ リスの加盟 を認 めた1973年の拡大 は、関税障壁 を廃 止 し、イギ リス と大陸の間の貿易 をカロ速化 した

1986年のイベ リア半島へのEUの拡大 は、更 に ビジネス・ チャンス と競争 を増 した。1992年までに非関税障壁 を除去す るよう1985年に提言 され SEM計画 は、競争 を強化 し、自動車貿易 に とって非生産的な重荷 を削減す るもの以外 の何 もの

' Owen, N. (1983) Economies of Scale, Comfueti.tiaeness, and Trade Patterns within the European Community, Oxford: Clarendon, Ch. 4.

r0 Church, R. (1994) The Rise and Decline of the British Motor Industry, Cambridge: Cambridge University

Press.

(4)

で もなかった

11。

このような拡大 しつづける市場 と直接的な競争に直面 し、多国籍 自動車企業 は、

二つの要素か らなる汎 ヨーロッパ戦略 をとった。即 ち、工場の分散 と個々の工場で生産 されるモ デルの集中である。 そのような戦略 によって、個々の工場 は全 ヨーロッパ市場向けに一、二のモ デル を集中 して生産することを通 じて、工場 レベルでの規模の経済をより享受できるようにな り、

自動車生産 に適 した立地優位性の追及 を可能 にした。 これは、 ヨーロッパの競争者 に比べ、国民 的利害か ら比較的自由なアメ リカ多国籍企業、フォー ドとGMのヨーロッパ における例 によって、

典型的 に示 され る。

フォー ド、GMと も、EUが成立す る以前か ら、既 にイギ リス とドイツに自動車生産工場 を保有 してぃた

12。

1960年代のEU関税 同盟の発展 に伴 って、両社 は ドイツの姉妹工場か ら主た る部品供 給 を受 け、自動車 を生産するベルギーエ場 を設立 した。イギ リスのEU非加盟 もあ り、当時のイギ リス とドイツにおける生産 は、相互 に独立 して営 まれていた。 しか し、1970年代 になるとイギ リ ス とドイツの子会社間で、 自動車生産の再編成が見 られた。 ドイツエ場 は、上ヒ較的大型モデルを 生産 し、イギ リスは中小型車生産 にシフ トした。更 に、EU加盟以前 にスペ インは既 にEUと特恵 貿易協定 を結んでいたが、それは多国籍 自動車企業が小型車工場 を設立す る上での優位性 を与 え た。スペインエ場 の製品は、スペイン国内市場 に供給 されるとともに、他の欧州各国にも輸出さ れた。 それ故、EUに よって もた らされた厳 しい競争 とビジネス・チャンスは、多国籍 自動車企業 に効率的な生産 ネ ッ トワークを追求 させ る契機 となった。

同時 に、自動車産業 は必ず しも受動的にEU統合 に影響 されているばか りではな く、それ 自身EU

統合 に影響 を与 えてきた。 これは特 に、 日本か らの自動車輸入 に直面 した文脈で言 えることであ

13。

1970年代後半か ら日本車輸入が劇的に増加 したため、幾つかのヨーロッパの国々 は日本車 に 対す る保護主義的手段 を講 じた。イタ リアは日本車輸入 を年2,000台以下 とし、フランスヘの輸入 は新車販売の3%以下 とされた。イギ リスは日本 の自動車産業 との間でイギ リス市場 にお ける

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‑68‑―

(5)

シェアが11%以下 となるように輸出を制限す る紳士協定 を結び、 ドイツもまた 日本 自動車企業 に 何 らかの輸 出規制 を求 めた。スペイン、ポル トガル とも日本 に対す る輸入障壁 を有 してお り、1986 年のEU加盟以後 もそれ を維持 した。これ らの手段 は、明 らかに域内市場 を阻害 し、SEM計画 に反 す るものであつた。EU統合 と自動車産業 に関わ る国民的利害の妥協 は、EUと日本の間の 合意 (Accord)"であった

14。

この 合意"はEUが1999年までに国民的保護 を徐々 に廃止 し、 日本 は以前 に保護 されていた市場、特 に南欧で、ある一定 レベル までシェアを引 き上 げない ことを、

双方が認 めるものであった。後 に見 るように、 日系ア ッセンブラーがその輸出を現地生産 に切 り 替 えた ことによつて、 この 合意"の日本車貿易への影響の評価 は難 しいが、 自動車産業が能動 的にEU統合の方向性 に影響 を与 えていることは確実であろう。

後 に見 るように、 日系多国籍企業 は、 ヨーロッパ の保護主義 を迂回す るためにイギ リスに直接 投資 を行 った。 これ は更 に、EUの重要な政策決定、即 ち、 自動車のローカル・ コンテン ト・ルー ル を導いた

15。

EUは、未だに自動車 に対す る対外共通関税 を課 してお り、自動車輸入 を管理す る 必要がある。 日系企業の直接投資 によ り、EUは域外か らの輸入 とEU域内 を自由に取引され うる 現地生産 を区別す る基準 を設定 しなければならなかった。更 に、 ローカル・ コンテン トは輸入部 品の単 なる組立 と見 なされるスク リュー ドライバー投資 に対す る批判への回答で もあった。 ロー カル・ コンテン トは輸入 と現地生産 を区別する重要な基準であるが、公式的な基準が存在 してい なかった。そ こで、 日本か らの自動車直接投資受入国のイギ リスがその条件 を定 め、 日系工場で 生産 され る自動車 は工場出荷価格 の80%以上 を現地調達することとした。この80%とい う数字 は、

調達 され る部品、内製部品、従業員の給与全てを含 む もので、イギ リスの自動車生産者の意見 を 反映 した ものであつた。 と言 うの も、 日本車企業 は、 日本国内で調達 され る低価格部品の恩恵 を 受 けてお り、同一条件で競争 していない と、イギ リスの 自動車生産者 は考 えていたか らである。

同時に、 ローカル・ コンテ ン トが高 ければ、 日系工場 のス ピル・ オーバー効果 も大 きい。 この基 準が満たされ る限 り、イギ リス政府 は日系工場で生産 された 自動車 を イギ リス製"と して認 め、

EU内で 自由に取引 され ることを積極的に主張 した。

EU統合 と自動車産業 は、密接 に関連 し、一方的ではな く、相互 に影響 しあつてい る。この文脈 で、イギ リス自動車生産 と貿易が、 目を見張 る変化 を示 し、 日系 自動車多国籍企業が1980年代半

ばか らイギ リスに投資 を行 ってきたのである。

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(6)

3章 イギ リス 自動 車生産 と貿易 の動 態

本章では、イギ リスが過去30年間 に自動車生産 と貿易の衰退 と回復 を経験 した経緯 を確認 して い く。 その上で、完成車貿易 とは異なって逆説的な傾向を示す部品貿易についても見てい く。

第二次世界大戦後、イギ リスはアメ リカ合衆国に次 ぐ世界第二の自動車生産大国であったが、

そのような地位 は1970年代初頭か ら日本か らの直接投資が本格化する直前の1980年代半 ば までに 失われた (図‑1、 2)。 1972年、 それはイギ リス・大陸間の関税 を徐々 に廃止することになる イギ リスのEU加盟直前の年で もあるが、イギ リスの乗用車生産 は200万台規模 に達 した。それ以 後、1982年 までにイギ リス自動車産業 はその生産 を90万台 まで半減 した。生産減少 とともに、輸 出の崩壊 はより深刻であ り、乗用車輸出は1971年75万台か ら1986年には18万台 にまで減少 した。

他方、同時期 に輸入 は急速 に拡大 した。乗用車輸入 は1970年 にわずか16万台で、新車登録の14%

を占めるだけであった。これ らの数字 は、1970年代 に上昇 し、それぞれ1979年には100万台、55%

となった。別言すれば、イギ リス自動車産業 は1970年代か ら1980年代前半 までに衰退 していった のである。

1980年代半 ばか ら、イギ リス自動車生産 と貿易の状況 は、相対的に改善 してきた (図‑1、

2)。 1984年はイギ リス自動車生産 の底 であったが、それは徐々に1972年の以前の ピークにまで 戻 ってきた。1998、1999年の数字 は、1970年代前半のそれ とほぼ同 じ水準の170万台規模であった。

イギ リスの輸出は生産の回復以上 に目覚 しい ものがあ り、1998年以降はほぼ毎年100万台以上 を輸

1.600

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図表‑1  イギ リス自動車生産

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出典 :Society Motor Manufacturers and Traders,施 わγ物 物 o%′ B五協れ,各年版 か ら作成

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(7)

¨耐 図表‑2  イギ リス自動車貿易

― 輸 出 台 数 (左 目盛 )

― 輸 入 饉  (左 目盛

)

― 新 車 登 録 輸 入 車 シェア (右 目盛

)

1970       1975 1980      1985      1990      1995      20∞

:Society Motor Manufacturers and Traders,Z開 レグ雰たソげG滋じ′β万滋物,各年版から作成

出 した。 これは1970年代 の最高水準であった1971年 よりも3分1多 く、イギ リスの自動車輸出 の底であった1986年5倍以上 に もなる。我々が輸入 に目を向 けてみると、 しか しなが ら、状況 は生産や輸出 とは微妙 に異なって くる。イギ リス経済全体が厳 しい不況 にあった1990年代前半 を 除いて、2000年 までの過去20年間、常 に100万台以上が輸入 され、輸入車の市場 シェアはいつ も50%

以上であった。回復期の中で生産 と輸 出が最高水準 にあった1997年か ら2000年 までの4年間の う ちの3年間、輸入車の英国内市場 シェアは70%以上 に達 した。更 に、2001年以降の輸入台数 は200 万台 を超 え、国内新車販売 に占めるそのシェアは80%を上回ることとなる。それ故、1980年代半 ばか らのイギ リス自動車産業の回復 は輸出主導型であ り、イギ リスは産業内貿易構造 に組み込 ま れていった と言 える。

2003年 までの上述のような状況 は、貿易収支で も更 に確認す ることがで きるが、それは1980年 代半 ばか らの回復が台数で見た ものほど良好 な もので はない ことを示 している(図‑3)。 生産

と輸出の衰退、輸入の増加 に伴い、イギ リス自動車貿易収支 は、1975年以降赤字 に転落 し、三度 と黒字 に転換す ることはなかった。 しか しなが ら、貿易収支の傾向は、ある程度 は、生産・ 貿易 台数の傾向 を反映 している。即 ち、イギ リスの 自動車貿易赤字 は、1985年の底 まで一直線 に下落 したが、それはその後、直線的な悪化ではな く、上昇・下降 を繰 り返 している。それ故、物的ター ムで見た貿易収支 は、1990年代 に一定の改善 を見せてはいて も、金額的 には、物的タームで見た ほ どの改善 は示 してお らず、2001年以降 は更 なる赤字拡大 となって きている。

ここで強調すべ き点 は、サプライヤーに関わ る状況である(図‑4)。 1970年代の自動車生産

0 出典

(8)

図表‑3  イギ リス自動車貿易収支 (10億ポン ド

)

1975、    1980      1985      199o      1995      2∞ 0

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出 典

:Society Motor Manufacturers and Traders,Zθわγ物¨ げ 0%′ 昴 協物,各年版から作成 図表‑4  イギ リス 自動車部品貿易 (10億ポ ン ド

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出典 :Society Motor Manufacturers and Traders,〃 θわγ物滋虚η グ

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の崩壊 に もかかわ らず、 イギ リス 自動車部 品産業 は、 ア ッセ ンブラー よ りも優 れ てい る と言われ て きた

16。

これ は、1970年 代 、並 び に、1980年 代前半 において 自動車部品の貿易収支が黒字 であっ た こ とに よって確認 され る。 自動車部 品 は、電気・ 電子部 品、 ボデ ィ、エ ンジンな どの多様 な品

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(9)

目を含 むために、個々の部品が どの程度貿易黒字 に貢献す るものか示すのは困難である。 その よ うな限界 はあるにせ よ、1980年代半 ばまで部品貿易 は部分的 に完成車収支の赤字 を相殺 して きた のである。

自動車部品貿易の状況 は、 しか しなが ら、完成車生産が好転 し始 めた1980年代半ばか ら変化 し た。1986年 に自動車部品貿易収支 は初 めて赤字 とな り、三度 と黒字化することは無かった。確か に、部品輸 出は2003年 まで恒常的 に増加 して きたが、輸入の増加が輸出のそれを上回った。 その 結果、1970年代 とは異 な り、1986年以降の部品貿易 は完成車 と並んでイギ リス貿易収支の重荷 と なって きた。1996年には部品貿易赤字 は最悪 とな り、完成車赤字 と同程度 となった。それ故、1980 年代半 ばか らの自動車生産の相対的回復 とは逆 に、イギ リスのサプライヤー はそのパ フォーマ ン スを悪化 させてきた と言 える。

本章では、 自動車生産、輸 出のみな らず、部品の貿易 にも注 目して、 イギ リス自動車産業の動 態 を見て きた。 自動車生産 は、過去30年間に凋落 と回復 を見せている。物的ターム と金額 ターム では、微妙 に異なっているが、貿易パ フォーマ ンス も生産 と同様 のパ ターンを示 している。強調 され るべ き最 も印象的な点 は、完成車生産 と輸 出が相対的 に好転 した1986年以来、部品貿易収支 が赤字へ転落 した ことである。

4章 対 英 日系 自動車 直接投 資

上述のようなEU統合 とイギ リス自動車生産の衰退下で、日系 自動車多国籍企業 は主 にイギ リス に投資 し始めた。 ここで、我々はこの点 を見てい こう。

1980年代か らの ヨーロッパ 自動車産業 における新たな現象 は、 日系ア ッセンブラーがイギ リス での完成車生産 に参入 した ことである(図表 ‑5)17。 スペ ィン、イタ リアにおける試行錯誤 を経 てか ら、 日産 は日系ア ッセ ンブラー としては初 めて北 イングラン ドのサ ンダーラン ドで乗用車生 産のための直接投資 を行 った。工場建設 は1984年に開始 され、1986年 にノックダウン生産が始 まっ

17日系自動車直接投資に関 しては、多 くの先行研究がある。イギ リスの事例 に関 しては、例 えば、Hudson,R(1995) 'The Japanese,the European Market and the Automobile lndustry in the United Kingdon■ ',in Hudson,R。

&Schamp,Eo W.(eds。 )η%に燃 αハ

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43 Berlin: Springer, Dicken, P。 (1987)'Japanese Penetration of the European Automobile lndustry,The Arrival of Nissan in the United Kingdom',町asttη tt υθογ Ecθπθπお‐

θ″ι ιπ Sθαα″ 吻 げ ら vol.78,no.2,pp.94‐ 107,Sachwald,F.(1995)'The Automobile lndustry:The Transplantation of the JapaneSe Systern Abroad',in Sachwald,F。 (ed.)ルψα

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bourg:Harwood Acadenlic Publishers,Ando,K。 (1997)'The Single European Market and the Location Strategy of Foreign Car Multinationals',in Macharzian,K。 ,Oesterle,M.―J.&WOlf,J.(eds.)Gわ

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(10)

た。フル・ライン生産 は1987年か ら開始 し、徐々 にその能力 を増加 させた。ホンダは、以前 は1979 年か らブ リティッシュ・ レイラン ド、後のローバー・ グループ とパー トナーシップ協力の下でホ ンダ・ ブラン ドの乗用車生産 を委託 していたが、1992年か ら南イングラン ド、ス ゥイン ドンの自 らの工場で生産 を開始 した。当初、ホンダはローバー・グループの工場か らボディやデ ィーゼル・

エ ンジンの ような主たる部品の一部 を調達 していた。 トヨタは、 ヨーロッパ におけるフル・ ライ ン生産 に対 して最 も躊躇 していたが、イングラン ド中部のバーナス トンに組立工場 を、ゴヒウェー ルズのショッ トンにエ ンジンエ場 を設立 し、1992年末 に最初の完成車が生産 された

18。

図表‑5  日系在英工場略年表

個々の多国籍企業の投資の理 由は微妙 に異 なっていようが、二つの要因が 日系ア ッセ ンブラー の ヨーロッパ投資 を促 した。第一 は、 ヨーロッパ における日本車輸入 に対する保護主義的圧力で あ り、第二 は、特 にSEMに代表 され るEU統合の発展である。ヨーロッパ における保護主義的手段 は、国 ごとに異 なった形態 を採 ってはいるが、それ らは日系ア ッセ ンブラーが 日本 に留 まる限 り、

その潜在的市場 を制限 しうるものであった。 日系ア ッセンブラーは、1980年代初頭か ら既 に対米 輸出自主規制"を行 って きたため、 ヨーロッパの保護主義 は、将来の展望 を更 に悪化 させ るも のであった

19。

確かに、ヨーロッパ市場 はアメ リカ と同程度の重要性 はない一方、日本 と同 じよう

18ィギ リス向け日系 自動車直接投資 に関す るここでの記述 は、インタビューの際、若 しくは、郵送で これ らの工場 か ら直接著者 に提供 された資料 に拠 っている。

19日本車輸 入 に対す る保護主義的措置 に関 しては、本稿 の第2章を参照。

  ホンダ トヨタ

BL(後のローバー)とのパー トナー シップ締結(〜1994) 工場建設開始

生産開始 ローバー製ホンダ車の出荷

前検査開始 1988 輸出開始

1989 エ ンジン生産開始

1990 工場建設 開始

1992 2モデル導入 完成車生産・ 輸出開始 完成車生産開始

1993 完成車輸 出開始

1994 2モデル導入

1998 2モデル導入

3モデル導入 3モデル導入 (生産能力 維持

)

2001 欧州第二工場 (仏)稼

‑74‑

(11)

なサイズのモデルが主流であるために、競争 はよ り厳 しい ものがある。それで も、 ヨーロッパ市 場 は無視す るには巨大す ぎるのである。

SEMの発展 は、日系ア ッセ ンブラーのイギ リスヘの投資 と生産拡大 を促進 した。チェッキーニ 報告が主張 した ように、1980年代後半か らのSEMは EU経済 を再活性化す るように見 えた

20。

動車産業 は、SEMの恩恵 を最 も受 ける部門の一つ と報告 されたが

21、

日本のような外部者 はEUが

保護 されたブロック となることを懸念 した。今 日か ら見れば、EU統合へのそのような懸念 は、杞 憂であった と言 えるか もしれないが、 合意"に結実す る、欧州委員会 と通産省の間でのEUに ける日本車の取 り扱いに関す る交渉 は、 日系ア ッセ ンブラーに とってそのような恐れを持つに十 分 な ものであった。SEMの1992年の期限にもかかわ らず、EUと日本 は1989年か ら1991年に交渉 を 続 け、1999年末 までの過渡期 におけるイギ リス、 フランス、イタ リア、スペイン、ポル トガルに おける日本か らの輸入 シェアについて合意 した。確かに、主にイギ リスで生産 されるEU製の自動 車の扱いは、 合意"の中で十分解決 されなかったが、EU域内での生産 は、加盟国、イギ リスか らの支援 を得 る基盤 とな りえたであろう。そ こで、イギ リス向け直接投資は、SEMが提供するビ ジネス・ チャンスをつかみ、 ヨーロッパ市場か らツト除 されることを避 けるね らいを持 っていた と 言 えるのである。

保護主義 を避 け、 ヨーロッパ市場 を獲得するために、 日系ア ッセンブラーは、イギ リスヘ投資 し、生産 と主 に大陸 ヨーロッパ向 け輸出を拡大 した(図‑6)。 1986年、イギ リスにおける日本 車生産 はたったの5,000台であったが、それは1990年代 に増加 した。日産、ホンダ、 トヨタの日系 三社が フル・ ライン生産 を開始 した1993年には、30万台以上 に達 した。 その数字 は2003年 には過 去最高の72.7万台 に達 した。生産 の増加 に伴 って、イギ リス自動車生産 におけるシェア も、1986 年のO.5%か40%以上の水準へ と急速 に上昇 した。日系多国籍企業のイギ リスエ場か らの輸出は より印象的である。当初 の輸出、それは日産だけによるもので、その台数 は1988年1万1000台 であつた。 日産 とともに、ホンダ、 トヨタ もイギ リスか らの輸出者 となった1993年には、総輸出 20万台 を超 え、2003年 には約57万台 に達 した。三社の輸 出は、在英 日系工場 の生産の70%以 とな り、2003年のイギ リス総 自動車輸 出の50%以上 を占めるまでになった。つ まり、 日系 自動車 多国籍企業 は、イギ リスをヨーロッパ市場への供給拠点 として活用 し、イギ リスの自動車生産、

輸出の拡大 に大 き く貢献 した。

ヨーロッパ諸国における保護主義 に直面 し、EUの成長促進 を期待 し、日系 自動車多国籍企業 は、

ヨーロッパヘの投資 を決定 し、それはまた、1990年代 におけるイギ リス自動車生産、輸出の復活

20 Cecchini, P. (1988) The European Clallenge : The Benefits of a Single Market, Aldershot: Wildwood House.

21 Commission of the European Communities (1988) The EC g2 Autornobile Sector, Research on the 'Cost of

Non-Europe", Basic Findings, aol. 77, Luxembourg: Office for Official Publications of the European

Communities.

(12)

図表‑6  在英 日本車工場の生産・ 輸出

‑4産

台数 く ,0∞ 台,左 メモリ )

― 輸出台数ω00台 ,左 メモリ

)

一 機 シェア(%,右 目盛

)

一 輸出シェア(%,右 日盛 )

出典 :Society Motor Manufacturers and Traders,Zθ わγ動物 Btttα夕,各 年版から作成

に貢献 したのである。

5章 自動 車 生産 回復 下 の部 品貿易 悪化 と言 う逆説

前章 までは、EU統合、イギ リスの自動車生産 と自動車0部品貿易、そ して 日系ア ッセ ンブラー の対英直接投資 についてみてきた。 これ ら三者が、相互 に密接 に関連 しあっていることは明白で あろう。即 ち、EUへの加盟の結果、イギ リス自動車産業 は大陸 との直接的競争 にさらされ、その 生産 と輸出を悪化 させたが、 日系ア ッセンブラーの対英直接投資 とその輸出拡大 もあって、1990 年代 には生産 と輸 出の回復 を見 ることとなった。 しか し、 より詳細 な検討か らここに一つの疑問 が生 じて くることになる。即 ち、「何故、イギ リスの自動車生産が回復す る過程で 自動車部 品貿易 が赤字化 していつたのか?」 とい う論点がそれである。 この逆説的疑間の説明 に入 る前 に、 この 逆説の根拠 を説明 してお こう。

イギ リス自動車部品貿易収支の赤字化が、イギ リスにおける自動車生産の回復 と並行 して進ん だ ことの意味が問われねばならない(図‑7)。 一般 に、サプライヤーのパ フォーマ ンスは顧客 の生産 に沿 って改善す るもの と期待で きるが、1980年代後半か ら1990年代 は反対 の様相 を呈 した。

この逆説 は、イギ リスのサプライヤーが1970年代 に自動車生産 ほ どの悪化 を示 さず、貿易黒字 を 上 げていた ということによって、更 に強化 され るであろう。第二 に、自動車産業の新たな生産 シ ステムは、自動車生産の回復がサプライヤーに良好 な影響 を及 ぼす もの と期待 させ るものである。

これは、主にジャス ト・イン・ タイム (JIT)部品配送方法 によるものであるが、実際アメ リカで

2001

‑76‑

(13)

はサプライヤーの集積が見 られた

22。

第二 に、多国籍 自動車企業 に工場出荷額の80%以上 を現地で 支出す ることを求 めるローカル・ コンテンツ条件 も、 この逆説 を強めそうである。第四に、新国 際貿易理論 は、規模 の経済が大 きな影響 を持 ち、 より自由な貿易が実現する中で、ある領域内で 産業の集積 を予測 している

23。

この予想 が直接的 に貿易収支 に関す る ものではないにして も、

SEMと並行 して進んだイギ リス自動車生産の回復 は、サプライヤー もひ きつけるもの と予想 させ るものであろう。第五 に、一国の競争力 を説明する、有名 なポーターのダイヤモン ドの一部 は、

サプライヤー産業 によって構築 され るため

21、

ィギ リス自動車産業の生産の回復 も、サプライヤー の改善 された競争力 に基づ くべ きであろう。それ故、 自動車生産の回復 と部品貿易収支の低落の 同時的進展 は、多様 な視点か ら見て逆説的な動向 と言 えよう。

図表‑7  イギ リス自動車生産動向 と部品貿易収入

1970       1975       1980       1985       !990       1995       2000

出典:Society Motor Manufacturers and Traders,Mο わγ物物 0%だ雨滋 ,各年版から作成

日系ア ッセ ンブラーによる在英生産 と輸出の拡大、並びに、それが一定程度イギ リスの生産 と 輸出の回復 に寄与 した と言 うことは、統計資料か ら容易 に確認で きるところである。 しか し、 こ の ことをより広い文脈で眺 めるな らば、貿易収支の悪化が示唆するように、イギ リス自動車生産 の回復 は在英サプライヤーの競争力維持 には成功 しなかった、という逆説が確認 された。確かに、

貿易赤字 は輸出の伸 びを上回る輸入の伸 びによって もた らされた ものではあるが、 自動車生産の

22 Kenney, M. & Florida, R. (1993) Bqtond Mass Production, The tapanese System and its Transfer to the U.

S., Oxford: Oxford UP, Ch. 5.

23 Baldwin, R.E. (1994) Towards an Integrated Europe, London : Centre for Economic Policy Research. See also Krugman, P. (1991) Geografky and Trade, Cambridge, Mass. MIT Press.

2a Porter, M.E. (1990) Competitiue Adaantage of Nations, New York: Free Press.

(14)

回復 と言 う文脈 においては逆説的な状況である。 そ こで、 これは更 に説明 を要す るものであろう が、従来の研究 はこの疑間に答 えて きていない

25。

我々は、この問題 を以下で見てい くが、それは 大別 して四点か ら説明 され うる。

第一の点 は、 フレキシブル生産方式のイギ リスヘの移転 の意義 に関わ るものである。 フレキシ ブル生産方式の一つの代表例 といわれ るJIT配送法 はイギ リスにサ プライヤーを引 きつ ける もの と期待 されたが、実際にはさほ ど重要な役割 を果たさ.なかった。JIT配送法 は、地価が非常 に高い 日本では、在庫 コス トを削減す るのに有効 な部品調達法である。同時 に、ア ッセンブラーはその 莫大 な生産量 によって、サプライヤーに対 して独 占的な交渉力 を有 してお り、部品をその工場 に JITで納入す るよう容易 に強制で きる。これ らの条件 は、ヨーロ ッパで は満た されない。在英 日系 工場でのあるインタビューは、「その相対的な小 ロッ トのために、ヨーロッパのサプライヤーに対 して、我々は弱い立場 にある。そのため、時 に車の仕様 は調達 され る部品に合わせ られ ることも ある。」と述べている。 これは、 日系工場 は、JIT配送法 を完全 には移転で きなかった ことを示唆 している。その結果、 日系企業 は、ア ッセ ンブラー自ら、若 しくは、委託業者が部品を集荷する

「牛乳配送方法 (Milk Run Del市ery System)」 やサプライヤーによる自社 の専用部品保管場所 への納入方法 を利用 している

26。

生産回復 とアメ リカ多国籍企業 を含 むイギ リスエ場 にお けるフ

レキシブル生産方式の導入過程 においてさえ、イギ リスエ場 の調達法 はイギ リスにサプライヤー を引 きつけるのに、それほど効果的ではなかった と言われている

27。

工場出荷価格の80%以上 を現地で調達す るよう求 めるローカル・コンテン ト条件 も、EU統合 の 文脈では限界があつた。確かに、イギ リス政府 は積極的にローカル・ コンテン トを定 めたが、そ れはイギ リスにおける調達 に限定 され るもので はな く、EUレベルでの調達 を含む ものであつた。

そのため、在英サプライヤーのみな らず、大陸のサプライヤーか らも自由に調達で きるのであ

28。

̲ヵル・コンテン トは、日本か らの部品輸入 を削減 しえて も、他の ヨーロッパ諸国か らの それを減 らすわけではなかった と言 えよう。

第二 は、ア ッセ ンブラーの調達策の変遷 に関わるものである。 イギ リス・ ポン ドと大陸通貨、

又 は、ユーロとの為替相場の変動 は、 日系企業 を含む在英 ア ッセ ンブラーに部品輸入拡大 を促 し た。既 に見た ように、イギ リス自動車生産の回復 は、部分的には輸出増 によつて導かれ、 これは

25本著者 は、十分な分析 はしていないが、既 にこのパラ ドックスの存在その ものは指摘 していた。Ando(1997).

26 Lamming,R。 (1994)A Rιυ′υげ 厖ι Rι″″οπ

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υθ London:Department of Trade and lndustry.

Honda Motor Europe(1999)E%・‐ 4 Reading:Honda Motor Europe(the rnaterial offered at the interview)。

27 wellS,P.&Rawlinson,M。 (1992)'New Procurement Regimes and the Spatial Distribution of Suppliers:the Case of Ford in Europe',24閣 ,vol.24,pp.380‐

390。

28 Foley,P.,Hutchinson,J.,Herbone,B.&Tait,G。 (1996)'The lmpact of Toyota on Derbyshires Local Economy and Labour Market',■″ゐ

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ag″′′,V01.87,no.1,pp。

19‐

31.

‑78‑

(15)

そのイギ リス生産車の70%以上 を輸出 している日系ア ッセンブラーに とっては、更 に言 えること である。 しか し、イギ リスは、1992年に欧州通貨制度 の為替相場 メカニズム (Exchange Rate Mechanism,ERM)か ら脱退 し、1999年発足の単一通貨 にも加盟 していない。過去10年間、ポン

・不ター リングの為替相場 は、1992年 までのERM下にあった ときよ りも大 き く乱高下 し、 これ はイギ リス生産 と輸出を、そうでない場合 に比べ、 より為替 リスクに敏感、かつ、不確実な もの とした。 ポン ド・ スター リングの上昇 は、輸入投入材 コス トを削減 しうるため、大陸か らの部品 輸入 は為替相場 の変化 による輸出の損失 を部分的 に相殺 し、一定程度生産の安定が損なわれ難 く するのに貢献するか らである

29。

イギ リスの自動車生産 の回復 を先導 した 日系ア ッセ ンブラーが、その部品調達先 を徐々に大陸 にシフ トさせた こともまた指摘すべ きである

30。

大陸へのシフ トは、二つの方法でなされた。第一 は、 日系企業が自身の大陸工場 に在英工場向け部品供給 を割 り当てた ことによる。例 えば、スペ インの 日産 イベ リカ

(1日

モーターイベ リカ)は1980年代末か ら在英工場向けに部品供給 を開始 し、

ホンダはベルギーエ場 をオー トバ イ生産か ら在英工場向け自動車部品生産 に変更 した。 日系アッ セ ンブラーのイギ リスか ら大陸へのシフ トの もう一方の方策 は、 ヨーロッパでの ビジネス経験の 蓄積過程 で、 よ り優 れたサプライヤーを見出 した ことによる

31。

ぁ る日系工場 にお けるイ ンタ ビユーで、 この点 は以下のように述べ られた;

ヨーロッパ は、サプライヤーについて十分知 るには、 日本か らは遠すぎる。 しか し、イギ リ スで自動車生産 を行 うことか ら得 られるメ リッ トの一つは、我々が ヨーロッパ中のサプライ ヤーについて知 ることが出来 るようになった ということである。その内のあるものは、我々 の工場 の要求 に十分応 えうるものであるが、 日本では全 く知 られていなかった。 これが大陸 ヘサプライヤーをシフ トしうる理由の一つである。

その結果、確かに総数では増加 しているものの、 日系アッセンブラーのサプライヤー数に占める イギ リスのシェアは、1989年80.8%から1996年 の62.7%へ落 ち込 んでいる

32。

在英サプライヤー が、 どの程度 イギ リスの自動車部品輸出に貢献 しているのかは、 この数字か らは明 らかに出来な

29リ スク管理策 としての工場 の拡散 は、既 にアメ リカ自動車多国籍企業が1970年代以来行 って きていた。部品調達 策が、そ うした リスク管理策 として加 えられ るようになっているのである。Maxcy,G。 (1981)動ιZ励物 α″θπα′

「θわ″レグ客ヵ%LondOn:Croom Helm.

30 Ando(2005)。

31海外事業 を通 じた知識 の蓄積 の重要性 は、国際化過程モデルで指摘 されている。Johanson,J.&Wiedersheim

Paul,F。 (1975)'The lnternationalization of the Firm,Four Swedish Cases',」

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vol.12,no.3,pp.305‐322,Johanson,J.&Vahine,J.―

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(1977)'The lntematiOnalization Process of the Fim:

A MOde1 0f Knowledge Development and lncreasing Foreign Market COmmitment',ヵ %″α′げ

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″θπα′1%κηas S滋込 、v01.8,no。 1,pp.23‐32.

321989年

、日産 はイギ リスで 自動車生産 を行 っている唯一 の 日系 自動車多国籍企業であ り、120のサ プライヤーか ら 部品 を調達 していたが、その うち97が在英サプライヤーであった。1996年、日系三社が完成車生産 を行 い、613の サプライヤーか ら部品調達 を行 っていたが、その うち在英サプライヤーは384で あった。データーは、当該企業、

並 びに、 日系 自動車工場が立地 している地方政府か ら提供 された ものによる。

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