効果的な殺微生物活性をもつ銀ナノ粒子 (Ag NPs)の細胞毒性とその軽減に
関する研究
き の だ じゅん
木之田 淳
(口腔外科学専攻)
防衛医科大学校
平成29年度
1
論 文 の 要 旨
申 請 者 木 之 田 淳 研 究 論 文 題 目
効 果 的 な 殺 微 生 物 活 性 を も つ 銀 ナ ノ 粒 子
( A g N P s )の 細 胞 毒 性 と そ の 軽 減 に 関 す る 研 究
1
目 的
す ぐ れ た 殺 微 生 物 活 性 を も つ
A g N P sの 作 用 を 最 大 限 に 発 揮 し な が ら 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 可 及 的 に 抑 制 す る た め に 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 と 軽 減 方 法 、 作 用 メ カ ニ ズ ム を 検 討 す る 。 こ の こ と に よ り 、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 安 全 性 を 担 保 し な が ら 、 感 染 創 へ の 臨 床 応 用 さ せ る こ と を 目 的 と し た 。
2
対 象 並 び に 方 法
蒸 留 水 と
D- グ ル コ - ス と 銀 含 有 ガ ラ ス を よ く 混 合 し 、 オ - ト ク レ - ブ 後 、 遠 心 を か け て そ の 上 澄 み 液 を 銀 ナ ノ
粒 子
( A g N P s )含 有 液 と し た 。 ま た 、 こ の 含 有 液 に キ チ ン
シ - ト を 浸 漬 さ せ 、 よ く 洗 浄 し た も の を
A g N P s /キ チ ン
ナ ノ フ ァ イ バ - シ - ト
( A g N P s / C N F S )複 合 体 と し た 。 ヒ
ト 線 維 芽 細 胞 を 用 い て
A g N P sの 細 胞 毒 性 と そ の 軽 減 法 、
酸 化 ス ト レ ス を 検 証 し 、 皮 膚 欠 損 モ デ ル マ ウ ス に お い て
創 へ の 影 響 と 酸 化 ス ト レ ス を 検 討 し た 。
2
(
木 之 田 淳
)2
-
1殺 微 生 物 活 性 を 有 す る 濃 度 の
A g N P sの 細 胞 毒 性 に 関 す る 検 討
線 維 芽 細 胞 を 用 い て 、 ⅰ
)牛 胎 児 血 清
( F e t a l b o v i n e S e r u m : F B S )の 有 無 、
A g N P s単 独 、
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 の 濃 度 に よ る 細 胞 毒 性 、ⅱ
) A g N P s単 独 、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 間 接 的 な 細 胞 毒 性 、 ⅲ
) N O / N O2測 定 に つ い て 検 討 し た 。 ま た 、 線 維 芽 細 胞 増 殖 因 子
( F G F )-
2 +低 分 子 量 ヘ パ リ ン
/プ ロ タ ミ ン ナ ノ 粒 子
( L M W H / P N P s )に よ る 細 胞 毒 性 軽 減 効 果 を 検 討 し た 。そ れ ぞ れ
1 0 %の
F B Sを 含 む
D u l b e c c o ’ s M o d i f i e d E a g l e ’ s M e d i u m ( D M E M )で 培 養 後 、 そ れ ぞ れ の 条 件 に て 添 加 を 行 い 、
I m m u n o M i n i p l a t e r e a d e rで
4 5 0 n mの
O p t i c a l D e n s i t y ( O D )値 に よ り 細 胞 増 殖 効 果 を 計 測 し 、 評 価 を 行 っ た 。
N O / N O2は 細 胞 溶 解 液 を 遠 心 し た 上 澄 み 液 を 使 用 し 、
N O / N O2測 定 キ ッ ト を 使 用 し て 評 価 を 行 っ た 。
2
-
2皮 膚 欠 損 モ デ ル マ ウ ス に お け る
A g N P sの 細 胞 毒 性 に 関 す る 検 討
皮 膚 欠 損 モ デ ル を 作 成 し 、
2、
4、
7、
9日 目 に ⅰ
)創 傷 治
癒 に 関 す る 検 討 、 ⅱ
)組 織 学 的 検 討 、 ⅲ
)カ ル ボ ニ ル 化 タ ン
3
(
木 之 田 淳
)パ ク 質 量 の 測 定 を 行 っ た 。 ⅱ
)に お け る
8-
h y d r o x y-
g u a n o s i n e ( 8-
O H d G )免 疫 染 色 は 創 作 成 後 、
2 4時 間 後 の 組 織 を 使 用 し て 検 討 を 行 っ た 。
3
成 績
3
-
1 1 0 % F B Sを 添 加 し た
A g N P sの 濃 度
≤ 1 . 6 μ g / m L及 び
A g N P s、
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 を 添 加 し た 群 は 毒 性 が 軽 減 さ れ た 。ま た 、間 接 的 接 触 に お い て も 、
A g N P s/ C N F S
複 合 体 群 、
A g N P s群 は 、 コ ン ト ロ - ル と 比 較 し
て 有 意 に 細 胞 数 が 減 少 し た 。 ま た
L M W H / P N P s + F G F-
2群 の 細 胞 数 は 、コ ン ト ロ - ル と 比 較 し て 有 意 に 増 加 し 、 細 胞 毒 性 軽 減 効 果 を 示 し た 。
A g N P s / C N F S複 合 体 群 お
よ び
A g N P s群 の 細 胞 溶 解 物 中 の
N O / N O2の 量 は 、 コ ン
ト ロ - ル 群 お よ び
C N F S群 と 比 較 し て 有 意 に 増 加 を 示 し た 。
3
-
2 A g N P s / C N F S複 合 体 群 は
C N F S群 と 比 較 し て 、
4、
7日 目 に 明 ら か な 創 傷 治 癒 の 遅 延 が 確 認 さ れ た 。 し か し 、 生 理 食 塩 水 に よ る 洗 浄 を 行 っ た 創 に お い て は 創 傷 治 癒 の 遅 延 が 軽 減 し た 。
8-
O H d G免 疫 染 色 に お い て 、
A g N P s /C N F S
複 合 体 群 は 脂 肪 組 織 中 の 筋 線 維 に
8-
O H d Gが 観 察
4
(
木 之 田 淳
)さ れ た 。ま た 、
C N F Sに 付 着 し た
A g N P sの 量 が 多 い ほ ど 、
2、
4日 目 に お け る 浸 出 液 中 の カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 が 有 意 に 増 加 し 、 以 降 は 漸 減 し た 。
4
考 察
皮 膚 欠 損 モ デ ル マ ウ ス に お い て 殺 微 生 物 活 性 を 有 す る
A g N P s濃 度 を 含 む
A g N P s / C N F S複 合 体 群 は 有 意 に 創 傷 治 癒 の 遅 延 を お こ し た が 、 洗 浄 に よ り 創 傷 治 癒 は 軽 減 し た 。 そ の こ と と
i n v i t r oの 結 果 に よ り 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 は 対 策 に よ り 軽 減 で き る こ と が 分 か っ た 。 ま た
A gN P s
の 効 果 の メ カ ニ ズ ム と し て 、 酸 化 ス ト レ ス の 増 大 が
示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の こ と よ り 、
A g N P s / C N F S複 合 体 は 効 果 的 な 殺 微 生 物 活 性 と 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 の 可 及 的 な 抑 制 が 両 立 で き る 可 能 性 が 高 い こ と が 示 唆 さ れ た 。
5
結 論
A g N P s / C N F S
複 合 体 は
A g N P sと 既 存 の 創 傷 被 覆 材 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ り 作 製 で き る 新 規 創 傷 被 覆 材 で あ
る 。
A g N P s / C N F S複 合 体 は 効 果 的 な 殺 微 生 物 活 性 を 維
持 し た ま ま 、 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 の 抑 制 が 両 立 で き る
可 能 性 を 示 し て お り 、 臨 床 応 用 で き る 可 能 性 が 高 い 。
目次
第
1
章緒言
1
頁1.1
研究の背景と意義1
頁1.2
研究目的4
頁第
2
章 殺微生物活性をもつ濃度のAg NPs
の細胞毒性とその軽減方法に関する基礎実験
(
in vitro)
6
頁2.1
背景6
頁2.2
方法9
頁2.2.1 Ag NPs
の作製9
頁2.2.2 Ag NPs /
キチン複合体粉末の作製9
頁2.2.3 Ag NPs / CNFS
複合体の作製10
頁2.2.4 FGF-2&LMWH/P NPs
の調製10
頁2.2.5
細胞毒性の検討およびNO / NO
2測定、細胞毒性軽減に関する検討10
頁2.3
結果13
頁2.4
考察14
頁2.5
小括16
頁第
3
章 皮膚欠損モデルマウスにおけるAg NPs
の細胞毒性とその軽減法に関する検討
(
in vivo)
18
頁3.1
背景18
頁3.2
方法18
頁3.2.1 Ag NPs
及びAg NPs / CNFS
複合体の作製18
頁3.2.2
皮膚欠損モデルマウスの作製18
頁3.3
評価方法19
頁3.3.1
肉眼的検討19
頁3.3.2
組織学的検討19
頁3.3.3
カルボニル化タンパク質量の測定20
頁3.4
結果20
頁3.4.1
肉眼的検討20
頁3.4.2
組織学的検討21
頁3.4.3
カルボニル化タンパク質量の測定21
頁3.5
考察21
頁3.6
小括23
頁 第4
章 考察24
頁 第5
章 総括30
頁 第6
章 謝辞31
頁参考文献
33
頁 図・表46
頁
1
第
1章 緒 言
1 . 1
研 究 の 背 景 と 意 義
近 年 、 高 齢 化 、 医 療 技 術 の 進 歩 に 伴 っ て 、 様 々 な 難 治 性
の 創 傷 を も つ 患 者 が 問 題 と な っ て い る
[ 1 , 2 ]。 通 常 な ら 創 傷
が 発 生 し た と し て も 、 正 常 な 創 傷 治 癒 過 程 を 経 て 、 治 癒 す
る が 、 難 治 性 創 傷 で は 、 正 常 な 治 癒 過 程 を 経 る こ と な く 、
創 傷 治 癒 は 遷 延 す る 。 さ ら に 創 傷 が 局 所 感 染 を お こ し 重 篤
化 す る と 、生 命 を お び や か す 疾 患 に 発 展 す る こ と が あ る
[ 3 ]。
難 治 性 創 傷 の 原 因 の 一 つ と し て 、 局 所 感 染 が 挙 げ ら れ る 。
こ れ を 予 防 す る た め に は 局 所 で 感 染 を 制 御 す る 必 要 が あ る 。
そ の た め の 一 つ の 手 段 と し て 、 殺 微 生 物 活 性 の あ る 被 覆 材
を 使 用 す る こ と が 挙 げ ら れ る 。 こ こ で 言 う 殺 微 生 物 活 性 と
は 、 殺 菌 、 殺 真 菌 、 ウ イ ル ス の 不 活 化 の 総 称 で あ る 。 今 回
我 々 は 、 被 覆 材 に 殺 微 生 物 活 性 を 持 た せ る た め の マ テ リ ア
ル と し て 、 抗 菌 性 が あ り 、 入 手 が 簡 単 で 人 体 へ の 影 響 も 少
な い と さ れ る 銀 に 注 目 し た 。 銀 は 医 療 分 野 に お い て も 、 す
で に 臨 床 応 用 さ れ て い る も の が あ る 。 例 と し て 、 抗 菌 性 を
有 す る 創 傷 被 覆 材 で あ る ア ク ア セ ル
®A g、褥 瘡 等 皮 膚 の 細 菌
感 染 を 制 御 す る た め の ス ル フ ァ ジ ア ジ ン 銀 等 が 挙 げ ら れ る 。
銀 の 抗 菌 性 に 関 し て 、
B e r g e rら は 大 腸 菌 属 、ブ ド ウ 球 菌 属 、
プ ロ ビ デ ン シ ア 属 、 セ ラ チ ア 属 お よ び 緑 膿 菌 属 の 細 菌 に 対
し て 、 銀 イ オ ン 濃 度
1 µ g / m L前 後 と い う 比 較 的 低 濃 度 で 発
2
育 を 阻 止 す る 効 果 が あ る こ と を 報 告 し て い る
[ 4 ]。 し か し 、 銀 イ オ ン は ハ ロ ゲ ン 化 物 イ オ ン と 結 合 し て 沈 殿 を 生 じ 、 水 溶 性 お よ び 抗 菌 活 性 を 失 う こ と が 報 告 さ れ て い る た め
[ 5 ]、 使 用 す る に 当 た っ て は 、 効 果 的 な 殺 菌 活 性 と 安 定 性 を 両 立 す る 銀 の 形 態 に 対 策 が 必 要 で あ る 。 そ こ で 銀 イ オ ン よ り 表 面 積 が 広 く 、 銀 の 殺 菌 活 性 が よ り 発 揮 さ れ る と さ れ る 銀 ナ ノ 粒 子
( A g N P s )に 注 目 し た
[ 6 , 7 ]。
A g N P sは 殺 菌 活 性 の み な ら ず 、 ウ イ ル ス の 不 活 化 活 性 を 有 す る こ と が 知 ら れ て い る 。A g N P s の 作 用 メ カ ニ ズ ム は 非 特 異 的 と 考 え ら れ る た め 、 多 く の 種 類 の 微 生 物 に 対 し て 、 比 較 的 低 濃 度 で 強 い 殺 微 生 物 活 性 が 期 待 で き る 。 一 方 、 安 全 性 は 高 く 、 臨 床 で 問 題 と な っ て い る 抗 菌 薬 の 過 剰 投 与 に よ る 菌 の 薬 剤 耐 性 獲 得 の よ う な 現 象 は 少 な い と 考 え ら れ る 。 し か し
A g N P sを 使 用 す る 場 合 、 生 物 学 的 お よ び 環 境 へ の リ ス ク も 存 在 し 、 魚 類 に お け る 細 胞 毒 性 や 遺 伝 毒 性 、 藻 類 に お け る 光 合 成 の 阻 害 な ど 、複 数 の 水 生 生 物 へ の 悪 影 響 が 知 ら れ て い る
[ 8 ]。ま た
A gN P s
が 遺 伝 子 、 タ ン パ ク 質 な ど の 細 胞 レ ベ ル 、 生 体 分 子 レ
ベ ル で 毒 性 を 有 す る こ と を 示 す 報 告 が あ る
[ 7 , 9 ]。 特 に
A gN P s
は 、 肺 線 維 芽 細 胞
[ 9 ]、 神 経 膠 芽 腫 細 胞
[ 9 ]、 肺 癌 細 胞 株
[ 1 0 ]
、肝 細 胞
[ 11 ]お よ び 間 充 織 幹 細 胞 を 含 む 異 な る 細 胞 モ デ
ル
[ 3 ]に お い て 、細 胞 毒 性 を 有 す る こ と が 知 ら れ て い る
[ 1 2 ]。
A g N P s
の 有 す る 殺 微 生 物 活 性 お よ び 細 胞 毒 性 の メ カ ニ ズ
3
ム の 一 つ と し て 、活 性 酸 素 種
( R O S )の 誘 導 に よ る も の が 考 え ら れ て い る
[ 1 0 , 1 3 ]。
高 濃 度
( 1 0 0 0 m g / k g )の
A g N P sの マ ウ ス へ の 腹 腔 内 投 与 は 、 フ リ ー ラ ジ カ ル に よ る 酸 化 ス ト レ ス の 増 大 に よ り 、 遺 伝 子 発 現 を 変 化 さ せ 、 ア ポ ト ー シ ス お よ び 神 経 毒 性 を 生 成 す る こ と を 報 告 さ れ て い る
[ 1 4 ]。 さ ら に 、
A g N P sの 経 口 摂 取 に 関 す る い く つ か の 報 告 が あ る 。 経 口 摂 取 後 、
A g N P sは 消 化 管 か ら 血 流 に 移 行 し 、 炎 症 、 皮 膚 変 色 、 肝 障 害 を 誘 発 す る 可 能 性 が あ る
[ 1 5 ]。 そ の た め 、 殺 微 生 物 活 性 を も つ 創 傷 被 覆 材 と し て の 臨 床 応 用 の 検 討 の 前 に 、
A g N P sの 環 境 中 へ の 拡 散 お よ び 人 体 へ の 取 り 込 み を 防 止 す る 方 策 が 必 要 で あ る
[ 7 ]。
一 つ の 手 段 と し て 、
A g N P sを キ チ ン
/キ ト サ ン に 吸 着 さ せ 、 拡 散 を 防 ぐ た め に 固 定 化 す る も の が あ る 。 キ チ ン
/キ ト サ ン は 、 創 傷 治 癒 促 進 等 有 用 な 生 物 学 的 活 性 お よ び 高 い 安 全 性 の た め に 、 ハ イ ド ロ ゲ ル 、 マ イ ク ロ
/ナ ノ 粒 子 、 膜 、 シ ー ト 等 の 生 体 材 料 と し て 応 用 が 可 能 で あ る
[ 1 6 ]。 さ ら に キ チ ン
/キ ト サ ン は 、 生 体 適 合 性 、 生 分 解 性 、 無 毒 性
[ 1 7 ]、 殺 菌 性
[ 1 8 ]、 組 織 接 着 性
[ 1 9 ]、 止 血
[ 2 0 , 2 1 ]、 お よ び 創 傷 治 癒
[ 2 2 , 2 3 ]
等 、 多 様 な 特 性 を 有 し て お り 、 天 然 の カ チ オ ン 性 生
体 高 分 子 と し て 広 く 研 究 さ れ 、 応 用 さ れ て い る 。
A g N P s
は キ チ ン ナ ノ フ ァ イ バ ー シ ー ト
( C N F S )に 効 率 的
4
に 吸 着 す る こ と が 報 告 さ れ て い る
[ 1 6 ]。 得 ら れ た 銀 ナ ノ 粒 子
/キ チ ン ナ ノ フ ァ イ バ ー シ ー ト
( A g N P s / C N F S )複 合 体
は
A g N P sの 安 定 性 を 高 め 、 よ り 強 力 な 殺 微 生 物 活 性 を 示
す
[ 2 4 , 2 5 ]。 こ れ ら の 知 見 は
A g N P s / C N F S複 合 体 が 殺 微 生 物 活 性 を 持 つ 創 傷 被 覆 材 と し て 適 用 で き る 可 能 性 を 示 し て い る が 、 細 胞 毒 性 お よ び 安 全 性 に 関 す る 研 究 は 行 わ れ て い な い 。
1 . 2
研 究 目 的
本 研 究 の 目 的 は 、
i n v i t r oと
i n v i v o実 験 に て 、 殺 微 生 物 活 性 を 有 す る
A g N P sの 細 胞 毒 性 と そ の 毒 性 を 軽 減 す る 方 法 を 検 討 す る こ と で あ る 。 こ の 研 究 に よ り 、 す ぐ れ た 殺 微 生 物 活 性 を も つ
A g N P sの 作 用 を 発 揮 し な が ら 、 酸 化 ス ト レ ス に よ る 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 抑 制 す る こ と が 可 能 と な り 、 感 染 創 傷 へ の 臨 床 応 用 に 繋 げ る 事 が で き る 。
動 物 実 験 指 針 に つ い て
こ の 研 究 は 防 衛 医 科 大 学 校 動 物 倫 理 委 員 会 に よ っ て 許 可 を 受 け 、 動 物 取 り 扱 い 指 針 に 基 づ き 実 施 し た 。
統 計 学 的 処 理 に つ い て
測 定 デ ー タ の 統 計 学 的 処 理 は 市 販 の 統 計 処 理 ソ フ ト
5
( J M P ® P r o f o r W i n d o w s
、
S A S I n s t i t u t e I n c、
C a r y、
N C、 米 国
)を 使 用 し て 行 っ た 。条 件 に よ り 、ウ イ ル コ ク ソ ン 検 定 、 ダ ン ネ ッ ト 検 定 、 ス テ ュ ー デ ン ト
t検 定 を 用 い て 行 っ た 。 デ ー タ は 平 均 ± 標 準 偏 差 で 表 し 、条 件 に よ り
P < 0 . 0 5と
P <0 . 0 1
を 統 計 学 的 有 意 と し た 。
6
第
2章 殺 微 生 物 活 性 を も つ 濃 度 の
A g N P sの 細 胞 毒 性 と そ の 軽 減 方 法 に 関 す る 基 礎 実 験
(i n v i t r o)2 . 1
背 景
A g N P s
は そ の 優 れ た 殺 微 生 物 活 性 や ド ラ ッ グ デ リ バ リ
ー シ ス テ ム な ど の 特 性 か ら 様 々 な 分 野 で 応 用 さ れ 、 殺 微 生 物 活 性 を 有 す る マ テ リ ア ル と し て の 注 目 を 浴 び て い る
[ 6 , 7 , 2 5 ]。
A g N P sの 持 つ 抗 イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス 活 性 は 粒 径 に 依 存 し 、 粒 径 が
1 0 n m以 下 で あ れ ば 、 高 い イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス の 不 活 化 活 性 を も つ と い う 報 告 が あ る
[ 2 6 ]。
A g N P s
の す ぐ れ た 殺 微 生 物 活 性 を 発 揮 さ せ る た め 、均 一 で
1 0 n m
以 下 の ナ ノ サ イ ズ に す る 必 要 が あ る 。 さ ら に
A g N P sの 合 成 に あ た り 無 害 な 材 料 で 作 製 す る こ と が 望 ま し い
[ 2 7 , 2 8 ]。
A g N P s
の 合 成 に つ い て 、幾 つ か の 方 法 が 報 告 さ れ て い る
が 、 こ れ ら の 方 法 は 、 還 元 剤 や 保 護 剤 と し て 有 害 な 試 薬 を
使 用 す る 必 要 が あ り 、 濃 度 、 温 度 、
p H等 の 厳 密 な 調 整 を 必
要 と し た 。そ の た め 、
A g N P sの 粒 径 分 布 も 広 く な り 、
1 0 n m以 下 の 粒 径 制 御 は 困 難 と な る 傾 向 が あ っ た
[ 2 9 , 3 0 , 3 1 ]。
我 々 は 、
A g N O3含 有 ガ ラ ス 粉 末 、 グ ル コ ー ス 、 お よ び 水 と
い う 安 全 な 材 料 を 用 い て 粒 径 が
1 0 n m未 満 で 粒 径 制 御 可 能
な
A g N P sを 作 製 す る こ と が で き た
(図
1 ) [ 3 2 ]。
A g N O3含
有 ガ ラ ス は 、 水 性 環 境 へ の 銀 イ オ ン の 徐 放 を 可 能 に す る 。
7
ま た 、 グ ル コ ー ス を 加 熱 す る こ と に よ っ て 形 成 さ れ た カ ラ メ ル は 、
A g N P sの 調 製 中 に 安 定 剤 と し て 機 能 す る
[ 3 2 ]。
A gN P s
は 、 生 体 お よ び 環 境 に 及 ぼ す 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 が
あ る た め 、 臨 床 応 用 に あ た っ て は
A g N P sの 環 境 中 へ の 拡 散 や 人 体 へ の 取 り 込 み を 防 ぐ 手 段 を 講 じ る 必 要 性 が あ る
[ 8 , 3 3 ]。 そ の た め 、
A g N P sを キ チ ン
/キ ト サ ン に 吸 着 、 固 定 化 さ せ 、 拡 散 お よ び 取 り 込 み を 防 ぐ 手 法 を 試 み た 。 キ チ ン は
N- ア セ チ ル -
D- グ ル コ サ ミ ン の 直 鎖 状 多 糖 で 、キ ト サ ン は キ チ ン を 脱 ア セ チ ル 化 し て 調 製 さ れ る も の で あ る 。 こ の 多 糖 体 本 体 の み で も 抗 菌 活 性 、 生 体 適 合 性 、 止 血 効 果 等 の 効 果 が あ る こ と か ら 、既 に 臨 床 応 用 さ れ て い る
[ 3 4 , 3 5 , 3 6 ]。
A g N P s
は ナ ノ ス ケ ー ル の 線 維 様 表 面 構 造 を 有 す る キ チ ン
シ ー ト や キ ト サ ン に 効 率 的 に 吸 着 し 、 複 合 体 を 形 成 す る 。 こ の 複 合 体 は 安 定 性 を 示 し 、 よ り 強 力 な 殺 微 生 物
(ウ イ ル ス の 不 活 化 、 殺 菌 お よ び 殺 真 菌
)活 性 を 示 し た
[ 3 2 , 3 7 , 3 8 , 3 9 ]。 ま た 、 殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含 ん だ
A gN P s / C N F S
複 合 体 の 細 胞 毒 性 を 軽 減 さ せ る 一 つ の 方 法 と
し て 、 線 維 芽 細 胞 増 殖 因 子 -
2 ( F G F-
2 )の 局 所 投 与 が 考 え ら れ る 。
F G F-
2は 、 造 血 組 織 形 成 、 再 上 皮 化 、 お よ び 難 治 性 創 傷 に お け る 組 織 リ モ デ リ ン グ を 促 進 す る 刺 激 効 果 を 有
し 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 を 軽 減 す る 可 能 性 が あ る 。
F G F-
2に よ る 組 織 損 傷 治 癒 の 促 進 効 果 は 、 上 皮 組 織 お よ び 造 血 組
8
織 の 損 傷 、 唾 液 低 機 能 化 、 腸 管 前 駆 細 胞
/幹 細 胞 の ア ポ ト ー シ ス 、 中 枢 神 経 系 の 内 皮 細 胞 損 傷 等 、 様 々 な 組 織 に お い て 報 告 さ れ て い る
[ 4 0 ]。
F G F
-
2は 熱 お よ び ト リ プ シ ン の よ う な タ ン パ ク 質 分 解
酵 素 に 感 受 性 が あ り 、
3 7℃ お よ び
p H 7 . 4で シ ミ ュ レ ー ト さ れ た そ の 半 減 期 は 約
1 2時 間 以 下 と 非 常 に 短 い
[ 4 1 ]。 局 所 的 に 十 分 な 濃 度 の
F G F-
2を 維 持 し 、 活 性 を 維 持 し な が ら 持 続 放 出 を 維 持 す る こ と が 必 要 で あ る
[ 4 0 , 4 1 , 4 2 ]。
F G F
-
2の 持 続 効 果 を 高 め る た め に 、高 分 子 多 電 荷 複 合 体
と し て 調 製 し た 低 分 子 量 ヘ パ リ ン
/プ ロ タ ミ ン ナ ノ 粒 子
( L M W H / P N P s )の 添 加 が 考 え ら れ る
[ 4 3 , 4 4 ]。
L M W H / P N P sは 、 局 所 的 に 注 入 さ れ る
F G F-
2 [ 4 1 , 4 3 ]、 肝 細 胞 増 殖 因 子
[ 4 5 ]、多 血 小 板 血 漿
[ 4 6 , 4 7 ]に 特 異 的 に 結 合 す る 。
L M W H / P N P sは 、
i n v i v oで 様 々 な 組 織 の 細 胞 表 面 お よ び マ ト リ ッ ク ス 上 に 保 持 さ れ 、
F G F-
2を 保 護 お よ び 活 性 化 す る こ と が で き る 。 さ ら に 、
F G F-
2お よ び
L M W H / P N P sの 局 所 投 与 の 効 果 の メ カ ニ ズ ム は 、
F G F-
2お よ び
L M W H / P N P sか ら
F G F-
2を 安 定 化 、 活 性 化 お よ び 徐 放 す る こ と に よ っ
て 、 血 管 新 生 お よ び 線 維 組 織 形 成 を 誘 導 す る と い う も の で あ る
[ 4 1 , 4 3 , 4 4 ]。
本 章 で は 、 ヒ ト 線 維 芽 細 胞 を 用 い て 、 線 維 芽 細 胞 に 対 す
る
A g N P sの 細 胞 毒 性 を
i n v i t r oで 検 討 し 、
A g N P sに お け
9
る 細 胞 毒 性 軽 減 の た め の 局 所 キ ャ リ ア と し て の
F G F-
2お
よ び
L M W H / P N P sの 有 効 性 を 検 討 し た 。 こ の こ と に よ り
細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 抑 制 す る こ と が で き れ ば 、 よ り 効 果 的 な 殺 微 生 物 活 性 を 有 す る
A g N P s / C N F S複 合 体 を 使 用 で き る と 考 え ら れ る 。
2 . 2
方 法
2 . 2 . 1 A g N P s
の 作 製
1 0 0 m L
の 蒸 留 水 に
1 gの
D- グ ル コ ー ス
(和 光 純 薬 工 業 株
式 会 社 、 日 本
)と
1 gの 銀 イ オ ン 含 有 ガ ラ ス
(環 境 サ イ エ ン ス 株 式 会 社 、日 本
)を 加 え て よ く 撹 拌 し た 。こ の 混 合 物 を
1 2 1℃ 、
2 0 0 k P aの 条 件 で
2 0分 間 オ ー ト ク レ ー ブ
( I M C-
3 0 L、 池 本 理 化 製 、 日 本
)を 行 い 、 室 温 に て 冷 却 し た 。 そ の 後 、 そ の 混 合 液 を
1 5 0 0 r p m、
1 0分 の 条 件 で 遠 心 分 離 を 行 い 、 そ の 上 清 を 採 取 し 、こ れ を
A g N P s分 散 液( 約
6 0 µ g / m L)と し た 。 保 管 は
4℃ の 冷 暗 所 に て 行 っ た 。
2 . 2 . 2 A g N P s /
キ チ ン 複 合 体 粉 末 の 作 製
キ チ ン 粉 末
2 m gに 条 件 に 応 じ た 濃 度 の
A g N P含 有 液
1 m Lを 添 加 し 、シ ェ ー カ ー(
M i l d M i x e r P R - 3 6 ;タ イ テ ッ ク 、
東 京 、 日 本 ) で よ く 撹 拌 し た 。 そ の 混 合 物 を 遠 心 分 離 後 、
沈 殿 物 を 採 取 し 、 蒸 留 水 で
2回 洗 浄 し 、 空 気 乾 燥 さ せ た も
10
の を
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 と し た 。
2 . 2 . 3 A g N P s / C N F S
複 合 体 の 作 製
キ チ ン ナ ノ フ ァ イ バ ー シ ー ト
( c h i t i n-
n a n o f i b e rs h e e t s
:
C N F S、 ベ ス キ チ ン
W ®、 ユ ニ チ カ 株 式 会 社 、 日
本
) ( 7 0 m m×
5 5 m m )を
2 m Lの 様 々 な 濃 度 の
A g N P s含 有 液 に 浸 し て 、 余 剰 分 を 蒸 留 水 に て 洗 浄 す る こ と を
3回 繰 り 返 し た 。 そ の 後 、 室 温 乾 燥 し た も の を
A g N P s / C N F S複 合 体 と し た 。
2 . 2 . 4 F G F
-
2 & L M W H / P N P sの 調 製
0 . 7 m L
の 低 分 子 量 ヘ パ リ ン
/プ ロ タ ミ ン
( L M W H )溶 液
( F r a g m i n:6 . 4 m g / m L ; K i s s e i P h a r m a c e u t i c a l C o
、東 京 、 日 本
)に
0 . 3 m Lの プ ロ タ ミ ン 溶 液
( 1 0 m g / m L ; M o c h i d a P h a r m a c e u t i c a l C o、 東 京 、 日 本
)を 添 加 し た 。 溶 液 を 約
1分 間 激 し く 撹 拌 し た 。
F G F-
2お よ び
L M W H / P N P sを 産 生 す る た め に 、
0 . 5 m Lの
L M W H / P N P s ( 6 m g )を
0 . 5 m Lの 組 換 え ヒ ト
F G F-
2 ( 5 0 µ g / m L ; F i b l a s t ; K a k e n P h a r m a c e u t i c a l C o r p、 東 京 、 日 本
)を 混 合 し た
4 8 )。
2 . 2 . 5
細 胞 毒 性 の 検 討 お よ び
N O / N O2測 定 、 細 胞 毒 性 軽 減
に 関 す る 検 討
11
P r o m o c e l l
社
(ド イ ツ
)で 樹 立 さ れ た ヒ ト 線 維 芽 細 胞 を タ カ ラ バ イ オ
(滋 賀 、日 本
)か ら 購 入 し た 。ド ナ ー か ら 研 究 目 的 で の 使 用 の 許 可 を
P r o m o c e l l社
(ド イ ツ
)よ り 得 て い る 。 こ の 細 胞 を 用 い て 、 ⅰ
)~ ⅳ
)に 関 す る 検 討 を 行 っ た 。
ⅰ
) F B Sの 有 無 、
A g N P s、
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 の 濃 度 に よ る 細 胞 毒 性 の 検 討
2 4
-
w e l lの
D u l b e c c o ’ s M o d i f i e d E a g l e ’ s M e d i u m ( D M E M )培 地
( 1 0 0 U / m Lペ ニ シ リ ン
G、
1 0 0 µ g / m Lス ト レ プ ト マ イ シ ン 含 有
)の デ ィ ッ シ ュ
(住 友 ベ ー ク ラ イ ト 株 式 会 社 、 日 本
)に
5 × 1 04個 播 種 し た 。 そ の 後 、 条 件 に よ り ウ シ 胎 児 血 清
( F B S )、
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 を 添 加 し 、
2日 間 イ ン キ ュ ベ ー ト を 行 っ た 。
ⅱ
) A g N P s、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 間 接 的 な 細 胞 毒 性 に 関 す る 検 討
線 維 芽 細 胞 を
6-
w e l lデ ィ ッ シ ュ 上 に 約
5×
1 04個 播 種 し 、
1 0
%
F B Sを 含 む
3 m Lの
D M E M中 で
2日 間 培 養 し た 。
A gN P s ( 6 µ g ) / C N F S
複 合 体 ま た は
C N F Sの み を 丸 型 ス ト レ ー
ナ ー
( 4 0 µ mナ イ ロ ン 、
B D F a l c o n、
S a n J o s e、
C A、 米 国
)上 に 置 い た
(図
2 )。 細 胞 と ス ト レ ー ナ ー と の 間 の 距 離 は
2 m mで あ っ た 。
A g N P s群 に つ い て は 、
2 . 3 µ gを 含 む
A g N P s含 有 液 を ス ト レ ー ナ ー 上 よ り
2 . 5 m Lの 培 地 に 添 加 し た 。こ
れ ら を
F B Sお よ び 抗 生 物 質 を 含 む
2 . 5 m Lの
D M E M中 で
112
日 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 生 存 線 維 芽 細 胞 を 測 定 す る た め に 、 新 鮮 な
D M E M培 地
( 2 m L )に
W S T-
1試 薬
( C e l l C o u n t i n g K i t、株 式 会 社 同 仁 化 学 研 究 所 、熊 本 、日 本
) 2 0 0 µ Lを 添 加 し 、
3 7℃ で
1時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、
I m m u n o M i n iプ レ ー ト リ ー ダ ー
( N u n c I n t e r M e d J a p a n、 東 京 、 日 本
)で
4 5 0 n mの
O p t i c a l D e n s i t y ( O D )値 よ り 測 定 し た 。
ⅲ
) N O / N O2測 定 に 関 す る 検 討
N O / N O2
測 定 の た め に 、 ス ト レ ー ナ ー お よ び 使 用 培 地 を
除 去 し 、細 胞 を リ ン 酸 緩 衝 食 塩 水
( P B S )で 穏 や か に 洗 浄 し た 。 そ の 後 、 細 胞 を 溶 解 液
( A f f y m e t r i x J a p a n K . K、 東 京 、 日 本
)を 用 い て 回 収 し た 。 次 い で 、 溶 解 物 を
1 0 0 0×
gで
3 0分 間 遠 心 分 離 し 、 上 清 中 の タ ン パ ク 質 含 量 を タ ン パ ク 質 ア ッ セ イ キ ッ ト
( C o o m a s s i e P r o t e i n A s s a y K i t、
T h e r m o S c i e n t i f i c、 米 国
)を 用 い て 測 定 し 、
1 0 µ g / m Lに 調 整 し た 。 全
N O / N O2量 は 、
N O / N O2測 定 キ ッ ト
( R&
D S y s t e m s、 米 国
)を 用 い て 測 定 し た 。
ⅳ
)細 胞 毒 性 軽 減 に 関 す る 検 討
2 4
-
w e l lの
D M E M培 地 に
5 × 1 04個 播 種 し 、
2日 間 イ ン キ
ュ ベ ー ト を 行 っ た 。 そ の 後 、 条 件 に よ り 濃 度 の 異 な る 各 薬
物 を 投 与 し 、 経 時 的 に 生 存 線 維 芽 細 胞 を 測 定 し た 。 方 法 と
し て 、 新 鮮 な
D M E M培 地
( 2 m L )に
W S T-
1試 薬
2 0 0 µ Lを
添 加 し 、
3 7℃ で
1時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト 後 、
I m m u n o M i n iプ
13
レ ー ト リ ー ダ ー で
4 5 0 n mの
O D値 よ り 測 定 し た 。
2 . 3
結 果
ⅰ
) F B Sの 有 無 、
A g N P s、
A g N P s /キ チ ン 複 合 体 粉 末 の 濃 度 に よ る 細 胞 毒 性 の 検 討
生 存 線 維 芽 細 胞 数 は 、
1 0 % F B Sを 添 加 し な い 場 合 、
≥ 1 0 0n g / m L
の
A g N P s分 散 液 を 用 い て 調 製 し た 単 独 お よ び キ チ
ン 複 合 体 群 に お い て 減 少 し た 。 そ れ に 対 し て
1 0 % F B Sを 添 加 し た 場 合 、
≤ 1 . 6 µ g / m Lの
A g N P s分 散 液 を 用 い て 調 製 し た 単 独 お よ び キ チ ン 複 合 体 粉 末 を 添 加 し た 群 の 生 存 細 胞 数 は 増 加 し た
(図
3 )。
ⅱ
) A g N P s、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 間 接 的 な 細 胞 毒 性 に 関 す る 検 討
A g N P s / C N F S
複 合 体 群 お よ び
A g N P s群 の 生 存 線 維 芽 細 胞 数 は 、コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 、有 意 に 減 少 し た
(図
4 )。
A g N P s / C N F S複 合 体 群 、
A g N P s群 の 顕 微 鏡 観 察 で は 、 形 態 的 に 明 確 な 変 化 が 見 ら れ 、 不 健 康 な 細 胞 お よ び 浮 遊 細 胞 が 観 察 さ れ 、壊 死 に よ る 広 範 な 細 胞 死 が 示 唆 さ れ た
(図
5 )。 こ の 実 験 で は 、 線 維 芽 細 胞 と
A g N P s / C N F S複 合 体 と の 間 に 直 接 の 接 触 は な く 、
A g N P s / C N F S複 合 体 か ら の 培 地 へ
の
A g N P sの 検 出 可 能 な 溶 出 は な か っ た 。
ⅲ
) N O / N O2測 定 に 関 す る 検 討
14
A g N P s / C N F S
複 合 体 群
( 3 3 0±
7 0 µ m o l / m L )お よ び
A g N P s群
( 3 4 0±
5 0 µ m o l / m L )の 細 胞 溶 解 物 中 の
N O / N O2の 量 は 、 コ ン ト ロ ー ル
( 2 3 0±
6 0 µ m o l / m L )お よ び
C N F S群
( 2 2 0±
5 0 µ m o l / m L )と 比 較 し て 有 意 に 増 加 を 示 し た
(図
6 )。
ⅳ
)細 胞 毒 性 軽 減 に 関 す る 検 討
L M W H / P N P s + F G F
-
2群 の 生 存 線 維 芽 細 胞 数 は 、 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 有 意 に 増 加 し た 。 他 方 、
L M W H群 と プ ロ タ ミ ン 群 の 細 胞 数 は 、 有 意 に 減 少 し た 。
F G F-
2群 と
L M W H / P N P s
群 の 細 胞 数 は 、 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 、
有 意 差 は な い が 、 僅 か に 増 加 す る 傾 向 に あ っ た 。 濃 度 を 希 釈 す る と 、 各 群 の 差 は 減 少 傾 向 に あ っ た
(図
7 )。
2 . 4
考 察
細 胞 増 殖 ア ッ セ イ お よ び
N O / N O2の 測 定 を 用 い て 、
A gN P s
の 持 つ 細 胞 毒 性 に 関 す る メ カ ニ ズ ム の 一 つ と さ れ る
酸 化 ス ト レ ス の 役 割 を 検 討 し た 。 線 維 芽 細 胞 は 、
A g N P sと の 直 接 接 触 に よ り 、 強 い 細 胞 毒 性 を 示 し た 。 こ の 細 胞 毒 性
は 、
1 0%
F B S添 加 に よ り 、 軽 減 す る こ と が で き た 。 ま た こ
の 細 胞 毒 性 は 、
A g N P sと 線 維 芽 細 胞 と の 間 に 直 接 の 接 触
が な い 場 合 で も 、 観 察 さ れ た ( 図
3)。 こ の こ と か ら 、 酸 化
ス ト レ ス の 因 子 が 細 胞 に 直 接 ダ メ ー ジ を 与 え て い る 可 能 性
と 、 銀 ナ ノ 粒 子 表 面 の 酸 化 に よ り 放 出 す る 銀 イ オ ン の 細 胞
15
毒 性 に よ る 作 用 が 考 え ら れ る 。
A g N P sか ら 速 や か に 銀 イ オ ン が 放 出 さ れ る こ と が 報 告 さ れ て い る
[ 4 9 , 5 0 , 5 1 ]。 そ こ で
A g N P s / C N F S複 合 体 か ら 培 地 へ 銀 イ オ ン の 放 出 の 有 無 に つ い て
,銀 イ オ ン 検 出 キ ッ ト を 用 い て 培 地 中 の 銀 イ オ ン を 測 定 し た が 、 検 出 限 界 以 下 で あ っ た 。 し か し 、 銀 イ オ ン 検 出 キ ッ ト の 感 度 の 問 題 が あ り 、
A g N P s / C N F S複 合 体 か ら 放 出 さ れ た 銀 イ オ ン の 直 接 的 作 用 は 、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 細 胞 毒 性 の メ カ ニ ズ ム と し て 排 除 す る こ と は で き な か っ た 。
A g N P s / C N F S複 合 体 か ら の 銀 イ オ ン の 放 出 の 面 か ら 、 安 全 性 に 関 し て さ ら な る 検 討 が 必 要 で あ る 。
N O
は 酸 化 ス ト レ ス の 主 な エ フ ェ ク タ ー 分 子 で あ り 、非 特 異 的 感 染 防 御 機 構 に お い て 重 要 な 働 き を す る 。 過 剰 に 産 生 さ れ た
N Oは 活 性 酸 素 種 と 反 応 し 、活 性 酸 化 窒 素 種 に な り 、 細 菌 感 染 に お い て 、 強 力 な 殺 菌 活 性 を 示 す 。 一 方 、 細 胞 に 対 し て 細 胞 毒 性 を 有 す る
[ 5 2 ]。
N Oは
O2と 触 れ る と 速 や か に
N O2に 変 化 す る こ と か ら 、
N O / N O2量 と し て 同 時 に 測 定 を 行 っ た 。
N O / N O2量 の 有 意 な 増 加 が
A g N P s / C N F S複 合 体 群 お よ び
A g N P s群 の 細 胞 溶 解 物 の 両 方 で 観 察 さ れ た 。
A g N P s / C N F S複 合 体 群 ま た は
A g N P s群 の
N O / N O2レ ベ ル の 増 加 は 、 酸 化 ス ト レ ス の 増 大 由 来 の 炎 症 を 示 唆 す る 可 能 性 が あ る
[ 5 3 ]。
F G F
-
2の よ う な ヘ パ リ ン 結 合 成 長 因 子 は 、高 親 和 性 で ヘ
16
パ リ ノ イ ド に 結 合 す る こ と が 知 ら れ て い る
[ 5 4 ]。 ヘ パ リ ノ イ ド は 、
F G F-
2の 生 物 学 的 半 減 期 を 延 長 し 、
F G F-
2を 熱 お よ び タ ン パ ク 質 分 解 酵 素 に よ る 分 解 不 活 化 か ら 保 護 す る
[ 5 4 ]
。そ こ で 、
F G F-
2に 特 異 的 に 結 合 し 、局 所 的 に 保 持 し 、
F G F
-
2活 性 を 局 所 キ ャ リ ア と し て 顕 著 に 増 強 お よ び 安 定
化 す る こ と が で き る 高 分 子 多 電 荷 複 合 体 と し て
L M W H / P N P sを 使 用 し た
[ 4 1 , 4 3 , 4 8 ]。こ の 検 討 に よ り 、
L M W H / P N P s+ F G F
-
2は 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 軽 減 効 果 を 有 す る こ と が
確 認 さ れ た 。
以 上 の こ と に よ り 、
A g N P sは 殺 微 生 物 活 性 を 示 す 濃 度 で あ っ た と し て も 、
F B Sや
F G F‐
2の 添 加 に よ り 、 線 維 芽 細 胞 毒 性 を 軽 減 さ せ る 。 こ の よ う に 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 抑 制 す る こ と に よ り 、 安 全 な 殺 微 生 物 活 性 を
A gN P s / C N F S
複 合 体 に 保 持 さ せ る こ と が 可 能 に な り 、直 接 微
生 物 に 接 触 し な く て も 、 殺 微 生 物 活 性 を 発 揮 で き る 可 能 性 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。
2 . 5
小 括
・
A g N P sは 、殺 微 生 物 活 性 を 持 つ 濃 度 で あ っ た と し て も 、
線 維 芽 細 胞 に 対 し て 致 命 的 な 毒 性 を 有 す る こ と は な く 、
F B Sや
L M W H / P N P s + F G F-
2の 添 加 に よ り 、 そ の 細 胞
毒 性 を 軽 減 さ せ る こ と が で き た 。
17
・
A g N P sは 、 線 維 芽 細 胞 と の 間 に 直 接 的 接 触 が な か っ た
と し て も 、 線 維 芽 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 を 有 す る こ と が 確 認 さ れ た 。
・
A g N P sの 作 用 の 一 つ と し て 、 酸 化 ス ト レ ス に お け る 炎
症 反 応 の 増 大 作 用 が 示 唆 さ れ た 。
・ 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 抑 制 す る こ と に よ り 、 よ り 安 全
な 殺 微 生 物 活 性 を 有 す る
A g N P s / C N F S複 合 体 の 調 製 が 可
能 と な っ た 。
18
第
3章 皮 膚 欠 損 モ デ ル に お け る
A g N P sの 細 胞 毒 性 と そ の 軽 減 法 に 関 す る 検 討
(i n v i v o)
3 . 1
背 景
前 章 で 、
i n v i t r oで の 線 維 芽 細 胞 に 対 し て 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 と そ の 毒 性 に 対 す る 軽 減 効 果 を 酸 化 ス ト レ ス の 視 点 か ら 検 討 し た 。 臨 床 応 用 を 考 慮 す る 場 合 、 実 際 の 生 体 に お け る 細 胞 毒 性 の 程 度 、 解 決 法 を
i n v i v oで 検 討 す る 必 要 が あ る 。 本 章 で は 、 殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含
ん だ
A g N P s / C N F S複 合 体 の 生 体 へ の 細 胞 毒 性 、 酸 化 ス ト
レ ス の 評 価 、 軽 減 方 法 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し た 。
3 . 2
方 法
3 . 2 . 1 A g N P s
及 び
A g N P s / C N F S複 合 体 の 作 製
I n v i t r o
と 同 様 の 方 法 で
A g N P s、
A g N P s / C N F S複 合 体
を 作 成 し た 。
3 . 2 . 2
皮 膚 欠 損 モ デ ル マ ウ ス の 作 製
糖 尿 病 マ ウ ス
( C 5 7 B L K S / J I a r-
+ L e p r d b / + L e p r d b ;ク
レ ア 株 式 会 社 、 東 京 、 日 本
)を 皮 膚 欠 損 モ デ ル の 作 製 の た
め に 使 用 し た
(週 齢
1 2 – 1 6週
)。 検 討 前 に そ れ ぞ れ の マ ウ ス
の 尿 中 の グ ル コ ー ス と タ ン パ ク 質 を 尿 検 査 薬
(ウ リ エ ー ス 、
テ ル モ 株 式 会 社 、 東 京 、 日 本
)を 用 い て 検 査 を 行 い 、 重 度
19
の 糖 尿 の 存 在 を 確 認 し た 。 マ ウ ス は セ ボ フ ル ラ ン
( S e v o f l e n、 ア ボ ッ ト ジ ャ パ ン 株 式 会 社 、 大 阪 、 日 本
)に て 鎮 静 後 、腹 腔 内 注 射 を 行 っ た
(ソ ム ノ ペ ン チ ル
®、
6 4 . 8 m g / m L ;共 立 製 薬 、 東 京 、 日 本
)。 麻 酔 後 、 背 中 を 剃 毛 し 生 検 ト レ
パ ン
( B I O P S Y P U N C H、 カ イ イ ン ダ ス ト リ ー ズ 株 式 会 社 、
東 京 、 日 本
)を 用 い て 、 背 中 の
2か 所 に
8 m mの 創 を 作 製 し た 。 創 傷 は 条 件 に 応 じ て 殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含 ん だ
A g N P s / C N F S複 合 体 や
C N F S単 体 を フ イ ル ム
(ク レ ラ ッ プ 、 ク レ ハ 株 式 会 社 、 日 本
)を 被 覆 材 と し て 使 用 し 、 弾 性 包 帯
(ハ イ ラ テ 、 イ ワ ツ キ 株 式 会 社 、 日 本
)で 固 定 し た 。 そ し て 、 下 記 の 事 項 の 検 討 を 行 っ た 。
3 . 3
評 価 方 法
3 . 3 . 1
肉 眼 的 検 討
創 傷 作 成 後 、
2、
4、
7、
9日 後 に 被 覆 材 を 除 去 し 、 創 傷 治 癒 の 度 合 い を 評 価 す る た め に 写 真 を 撮 っ た 。ま た 、創 傷 の 計 測 を 行 い 、創 傷 作 成 時 点 の 面 積 を 基 準 に 欠 損 面 積 を % で 表 し た
:創 傷 面 積
( O p e n w o u n d a r e a ( % ) ) =上 皮 化 さ れ て い な い 面 積
/創 傷 作 成 時 点 の 面 積
× 1 0 0。
3 . 3 . 2
組 織 学 的 検 討
マ ウ ス の 安 楽 死 後 、 筋 層 を 含 む 皮 膚 組 織 を 採 取 し 、
4 %パ
20
ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド に て
4 ° C、
1 2 hの 条 件 で 固 定 を 行 っ た 。 そ の 後 、パ ラ フ ィ ン 包 埋 、切 片 を 行 い 、各 種 染 色 を 行 っ た 。 染 色 は ヘ マ ト キ シ リ ン ・ エ オ ジ ン
( H & E )染 色 、 抗
8- ヒ ド ロ キ シ - デ オ キ シ グ ア ノ シ ン
(8-
O H d G )抗 体
( a n t i-
8-
O H d G m o u s e m o n o c l o n a l a n t i b o d y、 日 本 老 化 制 御 研 究 所 、 静 岡 、 日 本
)を 用 い て
8-
O H d G染 色 を 行 っ た 。
3 . 3 . 3
カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 の 測 定
マ イ ク ロ チ ュ ー ブ
( 1 . 5 m L )を 加 工 し て 用 い た 。
P B S ( 1 m L )に て
2、
4、
7日 目 に や さ し く 創 傷 洗 浄 を 行 っ た
(図
8 )。 そ の 洗 浄 し た 液 体 を 採 取 し 、
1 0分 、
4 ° Cの 条 件 で 遠 心 分 離
( 3 0 0 0 r p m )
を 行 っ た の ち に タ ン パ ク 質 計 測 キ ッ ト
( C o o m a s s i e P r o t e i n A s s a y K i t
、
T h e r m o S c i e n t i f i c米 国
)に て タ ン パ ク 質 を 計 測 し 、 濃 度 を
1 0 µ g / m Lに 調 製 し た 。 こ れ ら を カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 計 測 キ ッ ト
( O x i s e l e c t T M P r o t e i n C a r b o n y l E L I S A K i t、
C e l l B i o l a b s、
I n c .、
S a nD i e g o
、
C A、 米 国
)を 用 い て カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 の 計
測 を 行 っ た 。
3 . 4
結 果
3 . 4 . 1
肉 眼 的 検 討
A g N P s / C N F S
複 合 体 群 は 、
C N F S群 と 比 較 し て 、
4、
721
日 目 に 有 意 に 創 傷 治 癒 の 遅 延 が 確 認 さ れ た
(図
9、
1 0 )。 し か し 、 2 日 目 に
A g N P sを 除 去 し 生 理 食 塩 水 に よ る 洗 浄 を 行 っ た 創 に お い て は 、
A g N P s / C N F S複 合 体 群 に お い て も 創 傷 治 癒 の 遅 延 が コ ン ト ロ ー ル レ ベ ル に 軽 減 し た 。
3 . 4 . 2
組 織 学 的 検 討
H & E
染 色 に お い て 、 炎 症 、 肉 芽 組 織 に お い て 差 は 観 察 さ
れ な か っ た が
(図
1 0 )、8 -
O H d G免 疫 染 色 に お い て 、A g N P s
/ C N F S
複 合 体 群 は コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て 、 脂 肪 組 織 中 の
筋 線 維 に
8-
O H d Gが 有 意 に 観 察 さ れ た
(図
11 )。
3 . 4 . 3
カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 の 測 定
浸 出 液 中 の カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 は 、
C N F Sに 吸 着
し た
A g N P sの 量 が 多 い ほ ど 、
2、
4日 目 に お い て 、 有 意 に
増 加 し 、 以 降 は 漸 減 し た
(図
1 2 )。 ま た カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 は 、
A g N P s / C N F S複 合 体 群 に お い て も 、 生 理 食 塩 水 洗 浄 群 は 、 し な い 群 と 比 較 し て 有 意 に 少 な く な り 、
C N F S群 と 同 程 度 と な っ た 。
3 . 5
考 察
殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含 ん だ
A g N P s /C N F S
複 合 体 群 に お い て 、 糖 尿 病 マ ウ ス の 創 傷 治 癒 は 、
22
C N F S
群 と 比 較 し て
4、
7お よ び
9日 目 に 有 意 に 遅 延 し た 。
し か し 、 2 日 目 に
A g N P s / C N F S複 合 体 を 除 去 し 、 生 理 食 塩 水 で 創 傷 を 洗 浄 し た 群 に お い て は 、 創 傷 治 癒 の 遅 延 の 改 善 が 観 察 さ れ た ( 図
9) 。 す な わ ち 、 殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含 ん だ
A g N P s / C N F S複 合 体 は 創 傷 に 対 し て 治 癒 の 遅 延 を も た ら す も の の 、 創 傷 治 癒 遅 延 は 適 切 な 被 覆 期 間 と 生 理 食 塩 水 に よ る 洗 浄 に よ り 改 善 で き る こ と が が 明 ら か に な っ た 。 同 様 に 、
A g N P s / C N F S複 合 体 群 に お け る カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 は 、
C N F S群 よ り も
2日 目 に 有 意 に 高 か っ た が 、
A g N P s / C N F S複 合 体 群 に お い て も 、
2、
4日 目 に 生 理 食 塩 水 で 洗 浄 し た 群 は 、
4、
7日 目 に カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 は 有 意 に 低 い 値 を 示 し た ( 図
7) 。
組 織 学 的 観 察 に お い て 、
A g N P s / C N F S複 合 体 群 の
8-
O H d G
免 疫 染 色 に お け る 陽 性 の 数 は 、
C N F S群 の 陽 性 の 数
よ り も 有 意 に 大 き か っ た ( 図
1 1) 。 創 傷 に お け る カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 も 、 コ ン ト ロ ー ル と 比 較 し て
2日 目 に 有 意 に 高 か っ た ( 図
1 2) 。 こ の こ と よ り 、
A g N P sの 細 胞 毒 性 等 有 害 事 象 の メ カ ニ ズ ム の 一 つ と し て 、 酸 化 ス ト レ ス の 増 大 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。
し た が っ て
A g N P s / C N F S複 合 体 被 覆 剤 の 使 用 期 間 の 短
縮 や 生 理 食 塩 水 で の 洗 浄 等 の 対 策 を 講 じ て 酸 化 ス ト レ ス に
よ る 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 抑 制 す れ ば 、
A g N P s / C N F S23
複 合 体 は 殺 微 生 物 活 性 を 持 つ 創 傷 被 覆 材 と し て 臨 床 応 用 で き る こ と が 分 か っ た 。
3 . 6
小 括
・ 殺 微 生 物 活 性 を 発 現 す る 吸 着
A g N P sを 含 ん だ
A g N P s /C N F S
複 合 体 シ ー ト の 創 傷 被 覆 に よ り 、 創 傷 治 癒 遅 延 が 発
生 し た が 、 2 日 目 の
A g N P s / C N F S複 合 体 シ ー ト の 除 去 お よ び 生 理 食 塩 水 に よ る 洗 浄 に よ り 軽 減 さ れ た 。 す な わ ち 、 適 切 な 洗 浄 等 対 策 を 講 じ れ ば 、 細 胞 毒 性 等 の 有 害 事 象 を 軽 減 し 、
A g N P sの 殺 微 生 物 活 性 を 効 果 的 に 利 用 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。
・
8-
O H d G免 疫 染 色 、 カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 量 計 測 に よ
り 、A g N P s の 殺 微 生 物 活 性 や 細 胞 毒 性 の メ カ ニ ズ ム と し て 、
酸 化 ス ト レ ス の 増 大 が 考 え ら れ た 。
24
第 4 章 考 察
A g N P s
は 低 濃 度 で も 強 い 殺 微 生 物 活 性 を 有 し 、人 体 へ の
影 響 が 少 な く 、 広 い 種 類 の 殺 微 生 物 活 性 を も ち な が ら も 、 微 生 物 に よ る 耐 性 の 獲 得 は 少 な い と さ れ て お り 、 す ぐ れ た 特 性 を 多 く 持 つ ナ ノ マ テ リ ア ル で あ る 。 し か し 同 時 に 、 細 胞 内 、 生 体 組 織 、 生 体 環 境 の そ れ ぞ れ の レ ベ ル で 細 胞 毒 性 を 有 す る こ と が よ く 知 ら れ て い る 。 し た が っ て 、
A g N P sの 環 境 へ の 拡 散 を 防 ぐ 方 法 お よ び 人 体 へ の 取 り 込 み の 予 防 手 段 の 確 立 が 、 殺 微 生 物 活 性 を 持 つ 被 覆 材 と し て 臨 床 応 用 す る た め に 必 要 で あ る
[ 3 9 ]。
A g N P sは 、 ナ ノ ス ケ ー ル の 線 維 様 表 面 構 造 を 有 す る キ チ ン
/キ ト サ ン 粉 末
[ 5 5 , 5 6 ]お よ び シ ー ト
[ 2 5 ]に 安 定 的 に 吸 着 さ れ る 。 そ し て 、
A g N P s /キ チ ン
/キ ト サ ン 複 合 体 は
A g N P sの 安 定 性 を 増 強 し 、 強 力 な 殺 微 生 物 ( 殺 ウ イ ル ス 、 殺 菌 お よ び 殺 真 菌 ) 活 性 を 示 し た 。 他 の 報 告 に お い て 、
A g N P s / C N F S複 合 体 の 殺 微 生 物 活 性 が
A g N P s