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前期〜中期更新世の古 日本海

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(1)

北陸地質研究所報告

班GIReport No.

5

August

,1 9 9 6 p. 2 6 3‑2 8 5

前期〜中期更新世の古 日本海

小林 巌雄*

TheSeaofJapan in Eady and

M

iddlePleistoceneTimes I

lwao Kobayashi

* ( 1 9 9 6

2

1 6

日受理) (Received

1 6 ,

Feb.

, 1 9 9 6 )

Astract

ThehistoryoftheSeaofJapanduringEarlyand

M

iddlePleistocenetimesiswellrecordedin QuatemarydepositsdistributingalongandundertheSeaofJapan.Onshoretheyarewdlexposed inhillsandunderal1uvialplains.TheEchigoPlainanditssurroundingregionareoneofverytypical andinformativeareasfortheestablishmentofhistory.Recently,theODPbroughtmanyimportant informationsforstudiesofmarinepaleoenvironments.

TheclimateofEarlyPleistocenetimewaswarmerandwarm currentswereinnowingthrough theTsushima‑Koreastraitswithsubtropicalandcontinentalcoastmarineorga血smsexceptforthe northem area.Afterabout1.2

Ma

,themarineclimatechanged tocolderenvironmentsand a

ltemativemarineconditionsofwam andcoldcontinueduptoRecentdme.Thechangeofmarine climate,in瓜owsofwarm andcoldcurrentsintotheSeaofJapan,andthesealevelchangesrelated w

ithclimatesfollowedduringEarlyandMiddlePleistocene.

DuringthelatestEarlyPleistoceneandthebegimi ngofMiddlePleistocene,warm cu汀ent sb:onglywasinflowingandattaineduptoHokkaido.Afterthen,therewereseveraldmesofwarm cu汀entinflows.

Ⅰ.はじめに

古 日本海の地 史のなか で最終章 をなす第四紀 の 1 7 0 万年の間は, 日本海の形状が現代的 とな り,そ の海洋環境 ・海洋生物群 も現在 の姿へ と移 り変 わ りゆ く時代 であった. この間の変遷 を解明す ること は,現在の 自然環境の理解 を深め,将来の予測に きわめて有効 であるといわれている.

第四紀古 日本海 の研 究 は, 旧ソ連邦 の海洋研究所に よる調査研究,国際深海掘削計画による調査研 究,大陸棚石油 開発に よる調査,海上保安庁 ・地質調査所 による海底基礎調査 などにおいて行 われて

* こぼや し ・いわお 新潟大学理学部地質科学教室.新潟市五十嵐この町

8 0 5 0

Dept.ofGeology,Fac.ofScience,NiigataUniversity.

8 0 5 0 .

Ninocho,Ikarashi,Niigata

,9 5 0‑2

1,Japan

2 6 3

(2)

きた.第四紀の 日本海問題 に関 しての総 説,議論 な どは,西村

(1974)

, 氏家

(1975,1982)

,星野 ・ 柴崎編

(1982)

,藤井

(1982)

,細野

(1987

,

1989)

な どにみるこ とがで きる.

古 日本海 を視野に入れて新潟地域 の調査 を続けて きた ところ,今 回編集者の ご指名に よ り筆 を取 る 機会 を与 えられたのであるが,それに十分答 えられ ないのが現段階 の状態である.今後,取 り上げて みか 、 方向 を念頭において,古 日本海の歴史の一側面 を記述 してみ たい. それは

海 日本海の古海洋 環境 の変動史 と, それによる古海洋生物群 の変遷 ・進化 とのかか わ り合 い を解 明 してい きたい とい う 点にある.

本特集号の企画 ・編集者である細野義 夫氏か らは, 日本海の発達 史研究の り‑ ダー として私 どもに 数 多 くの ご教示 ・有益 な助言 を, さらに今 回の執筆 の機会 を与 えていただいた.同氏に心か らお礼 申 しあげる.本研究には,文部省科学研究費 ( 代 表者小林 厳雄,一般研 究

(C)

課題番号

07640597)

が 研究費の一部 としてあて られたこ とを明記す る.

Ⅰ Ⅰ.第四紀古 日本海の研究資料

最近, 日本海の地質学的調査 ・研究が急速に進んでお り,第四紀 の研究資料 が数 多 く蓄槽 されつつ ある.

第‑ に,地震探査,音波探査に よってえ られ る地質構造の資料 であ り,第四紀の堆棺盆の広が りと 地質構造が解明 されつつある.第二 に, 陸棚斜面か ら深海盆にいた る深海城 での学術侮底 ボー リン グ の実施 で, とくに

1973

年の

DSDP (Karigandlngl

e

e

ta l .

(eds.

)

,1975),1989

年 の

ODP (Pisciott

o,

Ingle,YonBreymannandBarron

e t a l .

,1992;Tamaki,Suyehi

r o

,AllanandMcWilliams

e ta l .

,199

2) の海底調査 などがあ り, 中新続 までの地質試料が直接 えらd tた. また, 資源エ ネル ギー庁 ・石油 公団によって実施 された 日本海沿岸沖 で石油探鉱の ため に行 われ た海上 ボー リン グ ( MI TI )の 「 鳥 取沖」 , 「 菅住沖」 ,「 金沢沖」 ,「 佐渡沖 」 な どの基礎 試錐 であ る ( 第 1 図) . そあ際,同時に行 われ た 様 ざまな分析 によって多 くの新 しい知見がえ られた.第三に,本州 の 日本海側 に沿 って並ぶ島々であ る奥尻島,佐渡島,隠岐島お よび対 馬, さらに九州か らサ‑ リンにいた る 日本海沿岸諸地域の第閤系 の資料であ り, これ らは 日本海東経の研究資料 として重要な ものであ る.

これ らの膨大 な量の資料 は,古 日本海の発達 史の解 明に とって貴重 な情報源であ る.

Ⅰ Ⅰ Ⅰ .第四紀海洋堆積盆 の分化 と地殻運動

海盆 ・舟状海盆 と海嶺 な どか らなる日本海の海底地形 は,現在 も変わ りつつ ある と考 えられ る.普 波探査の記録 とその地質的解釈 をみ ると,相対的に隆起域 を形成す る海嶺は主に古期岩賑 ・中断統か らな り,一方沈降域 を形成す る海盆は中新統以下のほか に鮮新統以上 を厚 く堆横 し,中新純 と鮮新続 との間に地質構造上の差異が大 き くみいだされ る.すなわち,鮮新世以降に新 しい構造運動が進行 し た と判断 され る. この点 は,藤 田 ・雁沢

(1982)

,藤 田

(1986)

ほか に よって指摘 され てい るところ で,彼 らの見解 は,鮮新世 以後に グ リー ンタフ変動期 とは質的 にこ となる地殻運動 が起 きた としてお り, 「島弧変動」 と呼ばれた. この地殻運動 に よって形成 され た堆積盆地 は非火 山性の陥没盆地 であ り, 日本列島の隆起 に伴 って生 じた陥没盆地 を基礎 として生 じた ものである とした. さ らに, 日本海 の深海化 は鮮新世以降であった と考 え られた.

日本海 中部海域の東経 にあたる新潟 ・佐渡沖 一北部 フォッサマ グナ地域 には,第 四紀 の海成 ‑陸成 層 を厚 く埋横 した堆積盆が存在す る. これ らは 中期 更新世の中頃 を境に して, 1)後期鮮新世か ら前 期更

世 にかけて続 く一連 の堆積盆 と, 2)隆起運動 に よる丘陵の形成開始 後であ る, 中期更新世 以

2 6 4

(3)

Pac/ ' f i cOcean

第 1回 日本海 における深層ポー リング ( ●)

DSDP:299‑302

,

ODP:794‑799

,

( ▲)

基礎 試錐 :

1‑8

, 1.鳥取沖,

2.

香住沖,

3.

金沢沖,

4.

直江津沖北,

5.

柏崎押,

6.

佐渡沖,

7.

最上川沖,

8.

西津軽沖.

Figure.1 Deepdrillingsin也eSeaoHapan DSDP:299‑302

,

ODP:794‑799.

MITI:1‑8, 1.0ffTottori,2.OffKasumi,3.0ffKanazawa,4.0ffNaoetsu‑kita, 5.0ffKashiwazaki,6.OffSado,7.0ffMogamigawa,8.0ffNishitsugaru.

2 6 5

(4)

降 も引 き続 き埋積 を続ける堆積盆 とに識別 される.す なわち, 中期更新世 を境に第四紀前半 とその後 半の堆積盆 とに分け られる.新潟では前者が鮮新 〜前期更新世 の魚沼層の堆積盆 であ り,後者は現在 まで続 く越後平野の堆積盆である.新潟 ・佐渡島周辺の第四紀堆積盆 を第

2

図に示す.つ ぎに, 日本 列島に沿 った海域の地形 ・地質について概観 してみ る.

2

図 新

(5)

佐渡海盆 ( 第

3

図)は中新世 以降の堆積物が埋積 しているが,鮮新統上部以上 とくに第四系が厚 く堆積 している. この海盆に掘 削 された基礎試錐 「 佐渡沖」傭

3

図)は,第四紀の重要 な海洋情報 を もたらした ( 石油技術協会編,1 99 3).円形の高 ま りを示 した中新銃の火山岩 にアバ ッ トす るように 覆 う第四系は,層厚 2 100 m 以上 に連 している.最上舟状海盆 は鮮新統 一第四系 を同様 に厚 く堆棟 し ている.佐渡海嶺の第四系は これ らに比べて薄 く, 中新統以下が海底に露出 してお り,佐渡島 と同 じ 地質構造か らなるようであ る ( 玉木 ほか,1 981 ほか) .各堆積盆 は 日本列島の弧状方向に支配 きれ る ものの,それを胴切 りす る方向によって細分 され,細かい単位の堆積盆に分化 している.新潟 ・佐渡 地域では,南南西一北北東方向に延 びる構造, それ を胴切 りす る方向の構造によって,堆積盆の形 と 広が りが基本的に規制 されてい る.なお,海底地形 ・地質構造の方向性が富 山海底 谷を境にその東西 において異な り,東北 日本側 では北北東 一南南西,西南 日本側 は北東‑東北東一南西一西南西の方向 が卓越 している.

山陰 ・北陸沖の縁辺台地には,鮮新世 〜第四紀の小堆積盆が分布 し, その 多 くは北ない し北西に深 くなる傾動堆積盆であ り,現在 まで堆積 をつづ けてい る ( 山本,1 9 92).山本 ・梅 田 ( 1 9 9 3)はこの 運動の時期 を,前期鮮新世後半か ら後期鮮新世 であった とした. 中新世以来のハー フダラーベ ンは, 鮮新世 に圧縮応力場にかわったためその正断層が逆断層 として再 活動 し,北西に傾 く傾動地塊が形成 されたと述べている. ここに堆横 した第四系は北西に厚 く,下部の地層ほ ど北西に大 きく傾斜 した.

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■司 り

l

上 部 ・ 中 部 漸 深 海

西

3

図 基礎試錐「佐渡沖」の地質(改訂版「日本の石油・天然ガス資源」編集費見合, 19 92を参

(6)

能登沖白山瀬周辺においては,氷見層に対比 され る

B

層が その堆積後に激 しい地 殻運動 を受けた.

この運動は富山舟状海盆 を沈降させ,舌 白山島な どを北に傾動 させ た ( 田口ほか,

1973).

白山瀬周 辺の海底

400m

か らナ ウマ ンゾウの臼歯が

き揚げ られ たこ とが あ り ( 高橋 ほか,

1982)

,漂流によ るという考 えもあるが,海底の地層か ら洗い出された可能性 も大 き く, この周辺海域の沈降運動 と深

くかかわるもの と考 えている.

同様 に,佐渡〜東北沖にかけて も,幅約

10‑20k

m,長 さ

20‑40km

程 度 の,北 西方 向に傾動 した 小 リッジ群が数 多 く分布 している ( 岩淵

,1968a

,

1968b).

佐渡海嶺 は全体 として隆起 しているが, さらに南東側がより隆起 し北西側‑傾動 している.鮮新世以降, と くに第四紀に顕著 な運動が起 きた と考 えられている ( 岩淵,

1968a,1968b;

佐藤,

1969;

桜井 ・佐藤

,1971

,

1973).

大和堆 などでもみ られるように,鮮新統下部 と同上郡 との間に構造的差異がみ られ,大 きな地殻運 動がその間に起 きたことがわかる. 日本海の海域 は,鮮新統以上の堆積物 を厚 く堆積す る沈降城の海 盆 と,古期岩や中新続か らなる隆起域の海嶺 とか ら構成 され る. 日本海の海底地形 は, お もに鮮新世 以降の運動 によって形成されているこ とがわかる.本座

(1979)

は 日本海の音波探査か ら,鮮新世未 と,更新世 中期以降の構造運動 を読み とり, なかで も後者の構造運動は断層 を伴 い大陸斜面城および その麓 を中心に発生 し,陸城の隆起 と海域の沈降が顕著 に現 われた運動 であ り, 日本海盆 ・大和海盆 の深化 をもたらした と述べている.

日本海の後半の歴史の中で, とりわけ中新世後期,鮮新世 前/後期,第四紀初 頭,お よび更新世中 期 は,隆起/沈降の地殻運動が活発化 した時期 とみ るこ とがで きる. これ らは陸城 において も,例え ば新潟地域においては第四紀初めの灰爪層基底の変動や後魚沼変動時相 として,傾斜不整合の形成や 地層の摺曲構造の形成, さらに堆積盆の出現 ・消減 として現 われている.

Ⅳ.

海底地質 ・陸上地質

1.音響層序

海底地質の音響層序が音波探査記録 か ら建 て られ, その地質 時代 は徴化石 な どに よって推定 され た.この記録か ら, 日本海に堆積 した第三系 ・第四系の分布,層厚,構造 な どがか な り明 らかにされ てきた.

佐藤

(1969,1971)

,岩淵ほか

(1976)

は, 日本海東経 中央域の音波探査記録か ら,音響的基盤 より 上位の地層 を下位か ら

E〜A

層に区分 し,最上位 の

A

層 を第四系 とした. 岡村 ほか

(1994)

は,佐渡 海象に分布する第四系 と推定 された層 を 「 佐渡海峡層群」 と呼び,鮮新統以下の上越沖層群 を擾 うと した. また,西頚城押隆起帯 を除いた,米山一小木隆起帯の西側 か ら富山舟状海盆 にかけて広 く分布 す る第四系を, 「 高田沖層群」 と呼称 した.

山陰沖では,不整合 によって地層 を区分す ると,下位 よ り香住沖層群

(K

I僧,

K2

層) ,浜坂沖層 群 ( H l層, H2 層) ,鳥取沖層群 ( T l層, T2 層) に分 け られ,産 出 した微化石 お よび周囲の坑井 層序 か ら,それ ぞれ の年代 が, 中新 世 〜鮮 新世 初 頭,鮮 新世,鮮 新 世 未 ‑完 新 世 と判 断 され た

(Yamamoto,1993;

山本 ほか

,1993;

山本 ・梅 田,

1993).

基礎 試錐 「 鳥取沖 」 ・ 「 香住沖」の第 四系はシル ト岩 を主体 とし,粗粒 〜細粒の砂 ・砂岩層 を挟む.香住沖の音波探査 記録 に現われている ように,縁辺台地には宍道摺曲帯の北側に第四系 を厚 く堆積 させ た堆横盆が存在 し,隠岐舟状海象縁 辺では第田系 を含めて,地層が海盆側 に断層で切 れなが ら崩落 している.

2. 基礎試錐な ど

2 6 8

(7)

日本海沿岸に沿 って行 われ た石 油 ・天然 ガス探鉱 にかか わ る主要 な海上基礎 試錐 ( 石 油技術協会 柄

,1993)

は,南か ら,鳥取沖 ( 昭和

57‑59

年掘削 ;第四系の基底深度が海底か ら

290m)

,香住沖 ( 辛 成

1

年掘削 :第四系の基底深度が海底か ら

270m)

,金沢沖 ( 昭和

60

年掘削 :第四系の基底深度が海底 か ら

660m)

,直江津沖北 ( 昭和

56

年掘削 ;第 四系 の基底深 度 が海底か ら

1080m)

,柏崎沖 ( 昭和

62

年 掘削 ;第四系な し) , 佐渡沖 ( 昭和

63

年掘削 ;第四系の基底深度が海底か ら

2120m)

,最上川沖 腫 拝口

58

年掘削 :第四系の基底深度が海底か ら

740m),

西津軽沖 ( 昭和

59

年掘削,第四系の基底深度が海底 か ら

1120m)

などである.内陸部 で も,新潟平野 ( 平成

1‑ 2

年掘削 ;第四系の基底深 度が

3200m)

な どが掘削 された. これ らは, 第四系に関す る多 くの貴重 な地質資料 をもた らしてい る.

3.

学術海底地質調査ボ ー リング

(DSDP・ODP)

DSDP

Leg31

の調査航 海が

1973

年 に 日本海城 において実施 され,

Sites299‑302

3

地点で海底 試錐 が行 われた. さ らに, 第

127

次 と第

128

次 の

ODP

調査航 海が

1989

6‑10

月に実 施 され,

Sites 794‑799

6

地点 にお いて海底試錐が行 われた.

多田

(1991a

,

1991b)

,

Tadaandlijima (1992)

, 多田 ・玉 木

(1992)

による岩相区分 では,上位か ら

6

つのユニ ッ トに分 け られた.黄上位 のユニ ッ ト1は,

2.5

Ma以降現在 までの堆積物 であ り

,10 cm〜 1m

オー ダーの不規則 な明暗の縞 を持つ シル ト質 お よび粘土質軟泥 で, 火 山灰層 を頻繁 に挟在 す る.暗色屑は,平行薬理が よ く発達 し黄鉄鉱 を多 く含む比較的厚 い層 ト 1 m) と, 7% に達す る 有機炭素及び比較的 多量の微化石 を含む薄 い層

(20cm〜30cm)

との

2

つの層に区分 で きる.明色層 は有機物 ・黄鉄鉱が少 な く,均質 である. さらに, このユニ ッ ト1は上位か ら, 明暗の縞が明瞭で, 生物擾乱 をほ とん ど受 けていないサブユニ ッ ト

lA

と,明暗の縞がやや不 明瞭 で

,

と くに生物擾乱 が明色部 で認め られ ないサ ブユニ ッ ト

1B

に細分 され る. サ ブユニ ッ ト

1A

は 日本海 に広 く分 布す る. この堆積期 間は

1.2Ma

以降 である. 日本 海北部 の コア では,海氷 の形成 を示 唆す る

dropstone

が このユニ ッ トに含 まれ る.陸上地質で知 られてい る温暖環境か ら寒冷環境‑ の移 り変わ りの時期に 符合 してい る.

4. 日本海沿岸の陸上地質

日本海沿岸に分布す る海成 第四系は, 第四紀 の 日本海に関す る情報 を豊かに記録 してい る. これま では, 日本海の発達 史が これ らの資料に よってお もに編 さん されて きた.現在,各種 の層序学的方法 が進歩 したことか ら, 日本海沿岸各地の地層の対比が次第に精密化 され確立 されて きた. しか し, そ の精度が数万年 オー ダー になる と,地層は必ず しも全域 に広 く対比 されてい る とはなおいいがたい.

海成第四系は,更新統下部 〜中部の深海 ・浅 海 ・陸成堆積物, 中部 ‑上部 更新統 の海 成段 丘堆積 物,完新銃 の沖積 層 として, 各地 の平野,段 丘お よび丘陵 に広 く分布 してい る. お もな分布地 は, 山 陰,北陸,新潟 ・佐渡, 山形 ・秋 田,青森,北海道道南の各地である.

『日本の地質』( 共 立 出版発行),お よび微化石層序 ( 第

4

回)の成果 などに基づ いて まとめ た,お もな地域の主要 な地層の対比 を第

5

図に示す.

山陰の江津市都野津 :都野津層は鮮新統上部か ら更新統下部 で,浅海 一海岸平野系の堆積物が繰 り返 す地層か らなる.

4

枚 の海成粘 土層

(M l〜M 4)

が識別 されている ( 都野津 団研 グループ

,1983:

日本 の地質 「 中国地方 」 編集要点会

,1987).M 3

の直上 に鮮新/更新世 の境 界が置かれて きた ( 大 西 ・調枝,

197

井 岡ほか

(1990)

,水野ほか

(1994)

は, 古地磁気層序に よって都 野津層の年代 を

4.1Ma

か ら

1

Maにあ る とした.都野津層は,鮮新世 か ら第四紀初頭 の海水面変動 の記録者 として,

2 6 9

(8)

盲地 浮立性有孔虫居序 石灰文

畿気

2)

青序 Bl o wl )

ナンノ

t

i

序4)

J l序

3)

軟体動物相 長5)6A湖fi序梯)物届序

sISu381ySSnZJ7

1r W

W Z, W

a

z)J OJ nZ)

tLOP

Oga JS 第 4 園日本海側第四系の生物層序 1)Blow(1969),2)

米谷

(1978) , 3 )OkadaandBukry(1980) , 4)Koizumi(1985 ) , 5)

高橋

(1995) , 6)

魚沼丘陵団体研究グループ

(1

983) . Figure4Quatemarybiostratigraphy l)Blow(1969)

,2)

Maiya(1978),3 )OkadaandBuk

ry

(1980) , 4)Koizumi(1985) , 5)Takabashi(1995),6)UonumaH ills

(9)

また第四紀初期 の生物群 の復元に際 して, とくに重要 であ ると考 えている.

京都府 日本海沿岸 :竹 野郡丹後町 に標高 5 0 ‑7 0 m の海成段 丘 を構 成す る H l両 の堆積物 は,赤色土 壌 を伴 う海成砂 層か らな り,境 曲 してい る. H2,M,L 面 も海成段丘 である. H 2両の堆積物には黒 部 貝層が挟 まれ,上部 更新銃 と推定 された (日本の地質 「 近畿地方」掃集委見合 桶 ・1 9 8 7 ) ・ 福井県越前海岸 :標 高 8 0‑1 3 0 m の高位 海成段丘の堆積物 は均質 な砂層か らな り, その上部 は赤色土 壌化 してい る. 中位 海成段丘面 を構成す る芦原砂 層が分布す る.

石川県 :下部更新続 の海成大桑層 をは じめ, 中部更新銃の海成一淡水成の卯辰 山風 上部更新銃の片 山津層,能登の平床 層が ある.檎井 ( 1 9 6 9 ) に よる と,卯辰 山層は数枚 の権威粘土層 を挟む ( 森本相)・

宮山県西部 :十二町層 は後期鮮新世 〜更新世初頭 の海成層で・砂質 シル トか らな る・中部更新続の醸 成西 田層は氷見市周辺に分布 し,下部に内湾棲貝類, 中部 に汽水 一淡水見渡 を産 出す る ( 北陸第四紀

第 5

(10)

研究 グループ

,1969).

以上,北陸地域には大桑層 ・十二町層など上部鮮新統 一下部更新統,卯 辰山層 ・西 田層など中部更 新続,および海成高位段丘堆稗物が広 く分布す る (日本の地質 「中部地方

I」

編集委員全編

,1988).

新潟油田 :魚沼層群の中部 累層中に鮮新/更新世 の境界 を引いてい るが ( 魚沼丘陵団体研 究 グルー プ

,1983),

最近の研究か ら,それ よ り下位 の層準 に置かれ る可能性が大 きい.一方, この境界は石 灰質ナ ンノ層序 ( 佐藤ほか

,1987)

によって, 中〜上部噺深海成の西山層上部 に位置づけ られた.そ の上位の灰爪層は,下位の西山層に一部整合,一部不整合にか さなる.この層はお もに下部更新統で, 浅海成層である.魚沼層( 群)は,上部浅海成相,頻海成相,デル タ成相,河川成相 など浅海か ら陸 域の堆積物であ り,海岸城における海水準変動が それに きわめて よ く記録 されている,後期鮮新世末 か ら中期更新世初頭の地層である.今後,鮮新/更新世 の境 界の層準 を再考す る必要がある.中期更 新世 の高位海成段丘の青海川段丘,および後期更新世 の中位 海成段 丘が,米 山海岸 に沿 って分布す

る.

佐渡島 :中部一上部漸深海成層か らなる河内層は上部鮮断続 〜下部更新統 であ り,浅海成層か らなる 貝立層は下部〜中部更新銃である.同相の質場層は中部更新続,上部更新銃の中位段丘堆積物 ( 国中 層)は海成層 を含む.

秋 田県内陸部 :笹岡層に整合,一部不整合 でか さなる前期 更新世 の中沢層 は,お もに海成砂か らな り,大桑 ・万願寺動物群 を産出する.同時代の高岡層は陸水成層 である.

男鹿半島 :鮮新/更新世の境界は北浦層の下部にある. この層は下部更新続であ り,お もに漸深海成 の砂岩泥岩の互層か らなる.上位に整合にか さなる脇本層は, 中郡更新続 の中部の海成層である.軽 微 な不整合で下位層にかさなる鮪川層は,中部更新統の上部の浅海成層である.下位層に傾斜不整合 でか さなる浅海成の安 田層は,中部更新続の上部 の堆積物 と推定 され る.渇西層は上部更新銃の海成 層で,標高

40‑60m

の渇西段丘を構成す る (日本の地質 「 東北地方 」 編集委月全編,

1989).

道南 :道南地域に広 く分布する瀬棚層は,上部鮮新統の最上部 〜下部更新統で,粗粒砕屑物の浅海成 層か らな り,瀬棚軟体動物群 を含む.函館平野上磯 の富川層,江差の鶴層 は同時代の地層である.奥 尻島には,中期更新世 〜完新世の海成段丘が発達 している (日本 の地質 「 北海道地方」編集委員全編,

1990).

日本海沿岸地域の下部〜中部更新統は, 1)下位層に不整合 ない し整合 でか さなる上部鮮新続の最 上部 〜中部更新銃の下部にいたる漸深海成 ・浅海成 ・陸成層, 2)下位層 に不整合でか さなる中部更 新銃の浅海成層, 3)中期更新世以降の海成段丘堆積物 であ る. 山陰では海成層が内陸部にな く,海 域に分布す る.北陸 を含め東北 日本では,下部更新統以上の海成層が海岸部 に広 くかつ厚 く分布 して いる. 中期更新世以降の海成段丘は各地に広 くみ られ る.

Ⅴ.

古 日本海の海洋環境 1. 寒流 ・噴流の変動

現在,対馬暖流は対馬一朝鮮海峡 を通 って 日本海に流入 し, 多 くの生物群 を運 び込んでいるし,温 暖湿潤 な気候 を沿岸部にもたらした り,冬期の降雪 を生 じさせ ている.第四紀の 日本海は,暖流 ( 対 馬暖流) を優勢 とす る時代や寒流 ( 親潮) を優勢 とす る時代が交互 に現われた といわれている.これ らの事実は, 日本海沿岸地域に分布す る地層に含 まれ る各種 の海棲生物の化石 によって,推論 ・実証 されて きた. また, この変動は海洋生物群の移動 に密接 にかか わって きた.つ ぎに,浮遊性有孔虫, 珪藻,軟体動物化石か らみた,寒暖両流の変動 を述べ てみ る.

2 7 2

(11)

有孔虫化石 では,浮遊 性有孔 虫の

Globorohlliai

n

jZatagroup

は暖流に伴 う種類 とみなされ て い る.

この種 を多産す る二つの層準が 日本海側の第四系か ら知 られてい る. また, これは 日本海沿岸 諸地域 に分布 す る第四系の対比 に有効 で もあ る ( 第 5 図) . この下位 の be d は約 1 . 1 ‑1 . 3 Ma,上 位 の be d

は約

0.9Ma

であ り,新潟地域 では西 山層最上部 ない し灰爪層最下部,お よび灰 爪層最上部 に位 置す る. この層準か らは,

Globtgerinapac妙derma(dext.)

も産 出す る.

Globigen'napaclydem a

( s i r l i s t . )

は, 右巻 き種 よ りさ らに冷 たい海域 の浮遊性有孔虫であ り,右巻 きの種 との割合が重要視 され て きた.

左巻 きの種の多産 は寒流が優勢 な海域 を示 し,右巻 きの種 は

Globorotalia injlata group

と一緒 に産 出す るように, よ り暖か い海域 に棲息 していた と考 え られた.右巻 きの種の 多産 層準か ら左 巻 きの種 の多産層準‑ と変換す る層準 は,

M

a r k er A と呼称 され,約 1 . 1 Maにある. これは模式地 の灰 爪層 の中部に位置す るが,灰 爪層最上部 では右巻 きの種 が〜時的 に増加す る.的場

(1992)

は, 秋 田にお いて も北浦層上部 でこの現象 を認めてい る.約 1 . 1Ma以降,主 として北側 の海峡か らの寒 流 の流入 が顕著 であった と考 えられ る. しか しなが ら, この期間にお いて も対馬 一朝鮮海峡か らの暖 流の流入 が まった く途絶 えたのではな く,とくに暖期 あるいは間氷期 には,海水準 の上昇 とも合 い ともな って, 暖流が間欠的に 日本海に流入 していた.鮪川層 ・安 田層,上部更新続の潟西層は,暖流系浅 海有孔虫 群集 を産出す るといわれ る ( 的場

,1992).

珪藻化石 につ いてみ る と,柳 沢

(1988)

は, 日本 海側 にお け る暖流系種の出現 を

3

Maとしてい る. また,小泉

(1992a)

は,暖流系種,

Hemidiscuscune

l f o

rmis

の層位学的初出現 として

,3.5

Maと

3.

OMaを示 し,黄海に繁殖す る汽水性種 の

Pa7,aliasulca

t

a

を重 視 し,南の

ODP

地点で は

3.5

Maに,北の地 点では

2.OMa

に産 出頻度 がそれぞれ増加 しは じめ る と 述べ ている. これ らは, 対馬海峡か らの暖流の流 入 を示唆 してい る.

中期更新世の海流変動 が,珪藻の個体数,珪藻温度指数,暖流系種 の

PseudoeunoiiadoliohL

Sと黄 海に棲息す る汽水性種 の

Parlaliasulca

t

a

の産 出頻度,寒流系種の

NeodenttcuhlSeminae,Thal

a

ssiosirla tnblta,Rhizosoleniahebetata

の産 出頻度か ら論 じられてい る ( 小泉,

1992a;Tadaand Koizumi et al.,1992).

多田

(1994

,

1995)

に よる と,間氷期 の高海水 準期 には対 馬暖流が 日本海‑享 充入 し温暖 種が 多 くなる. また,現在 よ りやや低 い中程 度の海水準期 には,東 シナ海起源の沿岸性種が 卓越 し, 海水準の低下に ともなって, 東 シナ海の海岸線が対 馬海峡の 口まで張 り出し,塩分濃度のや や低 い東 シナ海沿岸水が 日本海に流入 した.海水準の低下 した氷河期 には,珪藻の個体数 が著 しく減 少 し,塞 冷の汽水性種がわずかに産 出す る. この時, 対馬海峡 は閉鎖 され 日本海 は孤 立化 した と考 え られ た.

海峡の閉鎖 は古地理的背景,古生物地理の観点 な ど総合的 に検討 してい く必要があるが, 東 シナ海 沿岸水の流入に関 しては,つ ぎに述べ るように,前期 更新世 におけ る大陸沿岸性軟体動物 の 出現 ( 魚 沼丘陵団研軟体動物研究 グループ,

1983)

と開通 している.

つ ぎに,浅海横の軟体動物化石 につ いて述べ る.かつて鮮新世 の指標動物群

(Otuka

,

1939)

とさ れて きた大桑 ・万願寺動物群 が, 前期 更新世 まで存続 していたこ とが判明 した. この動物群 は寒流系 種 を主体 とす ると考 え られた ことか ら,当時推定 された鮮新世の 日本海は, 南の海峡が閉鎖 し北の海 峡 に よって太平洋 と連絡 していた と考 えられ て きた. この動物群 の分布 を寒流域 とすれば, 前期 更新 世 も同 じ状態が存続 していた ことになる. しか しなが ら,大 山 ・石 山

(1974)

に始 ま り,小林 ほか (

1 981)

,

Ogasawara(1981)

,魚沼丘陵団研軟体動物研究 グループ

(1983)

,遠藤

(1986)

,安井

(1988)

, 北村 ・近藤

(1990)

など多 くの研究者が,下部 更新 統か ら暖流系種 の産 出を報告 した. この事 に よ り, 前期 更新世以降,暖流系種 の 日本海‑の出現 が確 芙 とな り,津軽海峡,道南 な ど北の海峡か らの寒流 の流入のみではな く,対馬一朝鮮海峡か らの暖流 の流入が明 らかになった.両海流の流入状 態 の時代 的変遷の詳細 は今後の研究に待つ点 も多いが,これ までの資料 を整理 してみ る と,つ ぎの よ うに な る.

273

(12)

前期更新世初頭には , 暖流系の浅海種が 日本海 中部海域 まで到達 し,暖流が対 馬海峡か ら流入して いた ( 第

6

図).前期更新世の中頃, M

zukerA

の層準以上 では寒流系種 が新潟地域 において増加 し

( 小林ほか

,1986)

,寒流が北側の海峡か ら多量に流入 していた と考 えられ る.前期 更新世の最後期 以降には,かな り優勢な暖流が何 回か北上す る時期があった.これ らは,酸素同位体 によって指摘さ れた暖水期, ステー ジ

31‑21

に相 当す る可能性があ る. この時代 には,暖流系種 が上部瀬棚動物群 に含 まれていることか ら,暖流が北海道道南 まで達 していた

(SuzukiandAkamatsu,1994)

.中期 更新世 には暖流系種が北の地域 まで移動す る時代 と,逆に寒流系種が より多 く南の地域 まで移動する 時代 とがあ り,寒暖両統が交互に優勢 となることが示 唆 されてい る.全体 を通 してみると,前期 ・中 期更新世 には暖流系種 と寒流系種が混合す る寒暖混合群集の性格 を示す.中期更新世の中頃 ,0 . 4Ma には,暖流系種が北海道 まで到達 している

(SuzukiandAkamatsu,1994).

鮪川層,安 田層 も同様 に暖流系の軟体動物群 を産 出している ( 高安監修

,1986).

医 ヨ 暖流系フォ‑ナ ( 黒潮系 ・大陸沿岸系) 第 6 図 第四紀 日本海における噴流系軟体動物群の分布

Figure6 DistributionofQuatemarywarmmolluscanfaunaintheSeaofJapan

2. 海水準変動

日本海沿岸の下部更新統のなかで も,浅海か ら海岸部 に堆積 した地層は,海進 と海退の影響 を直接 受け, その変動の記録者である. これ までに,都 野津,新 潟,金沢 などで解明された. さらに,これ らの変化が海水準変動 として理解 され, ミランコビッチの 日射量変動 曲線 と,酸素 同位体 による海水 温変動 とに結び付け られ議論されている.

274

(13)

新潟地域の魚沼丘陵に広 く分布す る魚沼層群 は,鮮新世未か ら中期更新世初頭 までの間にほぼ連続 して堆積 L,層厚20 00 m に達 す る浅海相か ら河 川相 にいた る浅 海一海岸系の堆積相か らな り, この 時代の海進 一海退のサ イクルが極めて よ く記録 されている.風間ほか ( 1 9 86 )は,魚招層群に介在す る お もに泥質層ない し砂質 シル ト層か らなる海成層や,海樺の政体動物化石 などを含む地層に注 目し, その時空分布 を調査 した. その結果,第

7

国 の よ うに MaOI O〜Ma1 40の海成層 を識別 し,海進 ・海 退の存在 を明 らかに した. さらに, ト部ほか ( 1 9 95) もこれ を海水準変動に よる堆積相 として議論 し た. この期 間はほぼ 1 .8Ma〜0. 8Maである.

新潟地域西山油帯 の灰 爪層は,石灰質楓粒 ‑中粒砂 と砂質 シル トが大 きく 4 回にわた り繰 り返 しな

I I Fluvial‑Sublit

toralfacies Sublittoralfacies

Upper‑MiddleBathyalfaci

es

Ni shi yama

Uonum

(14)

が ら累積 してい る ( 小林 ほか,1 9 86) .夏用石 といわれ る石灰質砂 は, 貝殻,有孔 虫, コケム シなど 石灰質生物起源物質の砂か らな り,池辺 ( 1 9 5 5)はこれ をサブマ リンバ ンク上の堆積物 であると考え た.石灰質砂の堆積期 を相対的に浅海化 した時代,泥質物の堆積期 を深 くなった時代,すなわちそれ ぞれ を海退期,海進期 とすれば,海水準変動の反映 と考 えられ る. この期 間は 1 .3Ma〜0 . 9Ma と推 定 され る.

越後平野地下の地質層序が,地震探査 によるプロフ ァイルか ら, シー クエ ンス屑序学の手法および 坑井資料に よって解 明 されつつ あ る ( 荒戸 ほか,1 994 :荒戸 ・保柳,1 99 5; 馬場 ほか,1 9 9 4).この 地層は砂質岩優勢な層 と泥質岩優勢 な層 とが繰 り返す地層か らな り,下位 よ りユ ニ ッ ト A として 1 2 のユニ ッ トが識別 された ( 第

7

図) .基礎試錐 「 新 潟平野」 の成果 を取 り入れて,各ユニ ッ トの時代 が判定 され,第四系はユニ ッ ト

D

以上であ り,下部/ 中部 更新 続 の境 界 はユニ ッ ト

F/G

にある.

魚沼丘陵では第四紀初頭に浅海〜海岸平野化 したのに たい して, 北部 の越後平野 では中期更新世中ご ろに浅海か ら内湾一海岸平野系へ と移行 Lている.

金沢地域においては,北村 ・近藤 ( 1 99 0) ,北村ほか ( 199 3) , 北村 ( 1 99 4)が犀川沿いに露出す る 大桑層について,堆積構造および軟体動物化石群集 を詳細 に検討 し,海進 一海退のサ イ クル を解明 し た ( 第

7

図) . ここでは,約 1 . 3‑0 .9 Maの間に1 0 回以上 の堆積 サ イ クル を認め,氷河性海水準変動 に よるもの と考 えられている.

山陰地域 の都 野津層は上部鮮新続 か ら壊 下郎の更新 統 といわれ, 4枚 の海成粘 土層が介在 してい る. これは同様に,海進 一海退のサ イ クルに よって形成 され た地 層 と考 え られている ( 水野ほか,1 9 9 4上

この ように, 日本海沿岸東棟城 においては,海水面 の変動の記録 とも言 うべ き内容 を持つ地層が各 地で発見 されて きた. これは後期鮮新世以降におけ る 日本海の海水準変動の存在 を立証す る証拠であ る.地殻変動 とともに相対的海水準変動 と密接に関係 す るのは,海峡 あるいは陸橋 の消長である.陸 橋の完成によ り,大型の晒乳動物が中国大陸か ら陸橋 をわた り, 日本列 島に到来 した.長鼻類 として は,前期更新世 にムカシマ ンモスゾウ,中期更新世 に東洋 ゾウ ・ナ ウマ ンゾウであった ( 高橋,1 9 9 5;

Ko baya s h

ietal.

,MS) .海峡 ・陸橋の成立 ・消滅 は,海洋生物群 お よび陸上生物群の移動 ・分布な

ど,古生物地理,生物進化 の問題 に深 くかかわってい る.前期 〜中期更新世 においては,脊梁部の隆 起 とともに,現在の 日本列 島の水陸分布‑ と変わ り続 けた時代 で あ り,対 馬一朝鮮海峡,津軽海帆 北海道道南 などでの海峡の消長が繰 り返 され, 日本海 の海洋環境,生物地理 に影響 を大 きく与えてき

た.

3.

深海域 における海洋環境の記録

前期 〜中期更新世 におけ る海洋環境変動 が,深海 の堆積 物 の なか に も様 ざまな形 で記録 されてい る.深海底の環境が ODPの コア‑分析か ら推論 されて きた.

先に述べ た珪藻化石 にみ られ る氷期 一間氷期サ イ クルの記錦 のほか, 多田 ( 1 994)は ODPの コア

‑ で,有機炭素 量 と全硫黄量な どが周期的 に変動 す るこ とを明 らか に した.間氷期 ‑高海水準期に は,底層水が o xi cとな り,現在 と同様 に対 馬暖流が 多量 に流入 し,酸化的底層水 とな り有機物が分 解 された.氷期 ‑低海水準期には,表層水の著 しい塩分濃度低下 に よ り成層構造が成立 し,深層水循 環が止 ま り底層水が e u

xi

ni c ,還元的にな り,有機物 の酸化分解 が抑制 されたが,表層水の生物生産 の低下 もあって,堆積物の有機炭素量は数%以下 に とどまった とされてい る ( 多孔 1 9 9 4;1 9 9 5 ) .

石灰質有孔虫産 出量の変動か ら,福沢 ・小泉 ( 1 99 4) は,循環が悪 くなる氷期 には底層水の溶存酸素

2 7 6

(15)

量が欠乏 し,二酸化炭素分圧が上昇す ることによって,石灰質の殻が溶解 した と考 えた.つ ま り,石 灰質有孔虫の産 出量は,氷期 に減少か消失 し,間氷期 に増加す ることになる.

福沢 ・小泉

(1994)

は,

ODP795

地点の コアで, イライ トの

(001)

面 ピー クの半価帽値

(fullwidth ofhalfmaximum)

や,石英/ イライ トの積分強度比率 を求めた.イライ ト結晶度の良好 な ステー ジ

の石英/ イライ ト比率 は小 さ く,大気中か ら降下 したイライ ト量が少 なかったこ とを,一方結 晶度不 良なステージではその逆 となる傾 向を示す とい う.すなわち,中国大陸のレス分布 域の乾燥 一湿潤 の 変動 に対応 して, 日本海に降下す るイライ ト量が変動 した とい う.モンスー ン活動が弱 まる氷期 に は レス分布域が乾燥 し, イライ トの生産量が増加 し, その結晶度は良好になる. また, これ らはモ ンス ー ン気候の消長 を反映 してい る点 も注 目され る.

以上, 日本海の深海部 で掘 削 されたコア‑の各種分析か ら,更新世におけ る海洋環境 の変 動 を知 る ことが可能になった.

Ⅵ. 海洋生物相の変遷 1 .浮遊性生物群

A.

浮遊性有孔虫

鮮 新世 以降,前期 更 新世 ‑中期 更新世 前 半 に は,暖流 系 といわれ る浮遊性 有孔 虫 Gl o b o r o t al i a i n j Z at apr a e i n j l at a ,Gl o b

w

o t al i at n j l a t ai n J l a t a ,Gl o b wo t a l i ao r i e nt a l i s t ,また Or b ul i na ,Gl o b

l

ke r i noi de s を伴 い, Gl o b i ge r i na

p

a

c

k B J de m

w (dext.

)のほか,北太平洋にのみ分布す る温帯種 の Gl o b o r o t al i a i k e b e i

,G.

o r i e nt a l i s ,Gl o b o q u a d r i naa s a no i が これに加 わる浮遊性群集からなる ( 米谷,

1988).

これ は新潟,秋 田などで確認 され る.これ らの産出か ら,暖流が 日本海 に流入 した時期が考 え られ て きた.

この時期は前期更新世前半, 同末期 などに数 回認め られている.

寒流系種の Gl o b 2 ‑ ge r i na

p

a c k yd e r ma

(sinis

t .)を優 占種 とする群集が,前記の群集 と入れ替 わ る形 で出現す る.前期更新世 中ごろの Ma r ke rA 層準以上 では, この群集か ら判 断 され る 日本 海 の寒 冷 化が指摘 されて きた ( 的場,

1978

:米谷,

1988).

Gl o b t ge r i naPa c k y de r ma ,( s i ni s i . ) .

G.

b ul l o i de s ,

G. q ui nq u e l o b a , G.

i

nc o mpt a などの寒流系種 が卓越す る.

B.王 圭藻

第 四紀の 日本海 におけ る海稜 の浮遊性珪藻 は,柳 沢

(1988)

,

Koizumi(1975

,

1992a

,

1992b)

に よって報告 され, と くに

DSDP

お よび

ODP

に よって明 らか にされた.柳沢

(1988)

は鮮新 世 以 降, 北太平洋の高 ・中緯度に分布す る珪藻 を親潮水城の群集 とみなし,南半球や赤道地域の群集 とほ とん ど共通す る種が ない とい う.

Koizumi (1975,1992a

,

1992b)

は 日本海におけ る国際深 海掘 削 計 画 の 珪藻化石分析で,下位 よ り, Ac t i no c y c l u so c ul a t

usZone

, Rhi z o s o l e ni ac u r v i r l O S t r i s

Zone,

Ne o de nt i c ul a s e mi na e

Zone

を認定 した.

中期〜後期更新世 において,珪藻個体数が周期的に変動 し,その変動の ピー クが酸素 同位 体 比 の変 動曲線の ピー クに対比 された.氷期 には個体数が減少す る傾 向にあった.氷期か ら間氷期 にか け て は 海水準が上昇 して湧昇流が活発 とな り,生産量が増大 した. さらに,黄海か ら流入 した汽水 性種 の Pwal i as ul c a t a の産 出が注 目された ( 小泉

,1992b).

中期更新世以降 も何回かの産 出の ピー クが 認 め

られ た.津軽海峡側か らの寒流系種である Ne o d e nt i c ul as e mi na e ,Th al a s s i o s i r l at

njTu

l t a ,Rhi z o s o l e m' a h e b e t a t a の産出頻度 は,高海水準期 も高いが, その後 Pa r al i a の産 出が増加 し,対 馬暖 流の 流 入増 を 示唆 しているといわれ る.

2 7 7

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