上部尿路結石に対す るLithostarの治療成績 (日赤医学
第49巻
第2号
19979)(199)
<原 著
>
上 部尿 路結石 に対 す る Lithostarの 治療成 績
釧路赤十字病 院泌尿器科
J断す 寛*、 青木正治、和 田英樹
*現 札幌医科大学医学部泌尿器科学教室 キ ー ワー ド: ESWL、 上 部尿 路 結 石 、 治療 成績
Extracorporeal shock wave lithotripsy of upper urinary tract calculi using Lithostar Hiroshi KITAMURA,Masahanl AoKl and Hidcki WADA
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Kcy Words:ESWL,upper urinary tract calculi,thcrapeutic rcsult
は じ め に
体外 衝撃波結石破砕術 (ESWL)は 、1980年 に登場1)して以来 、め ざましい進歩 、普及 を遂 げ、
上 部尿 路 結 石 に対 す る治療 の 中心 と して定 着 し た。0‖路 赤十字病 院で は、1992年 1月 に第二世代
ESWLで あ るSiemens社 製Lithottarが導 入 され 、 1995年12月 まで の間 に500例 の上 部尿 路 結 石 に対
してESWL治 療 を施行 したので、その治療 成績 につ き報告す る。
なお 、結石の状態規定 お よび治療効果の判定 は Endourology、 ESWLに よる結石 治療 の評価基 準2)に従 って行 った。
対 象 お よ び 方 法
1)対象症例
男性333例 、女性 167例 で 、年 齢 は14〜91歳 (平 均
49歳
)で あ つた。患側 は右225例 、左 275例 で あった。
2)結石部位 および大 きさ(表1)
結 石 部 位 で は 腎 孟 ・ 腎 杯 結 石(R2)が
188例 (38%)と
最 も多 く、大 きさで は長径 が4mmを越 えlomm以下 の もの (DS‑3)が 304例 (61%)と 最 多で あ った(表 1)。 また、425例(85%)が
単 発結 石 であ った。
3)使用機種 と方 法
第二世代ESWLに 属す るSiemcns社 製Lithostar を使用 した。本機 は電磁音響源方式 であ り、
2方
向 のX線
透視 に よ り焦点 を合 わせ る方式 で あ る。原則 と して前 日入院の上 、硬膜外麻酔 下 にてES WL治療 を施行 した。
1992年
1月 か ら5月
まで の 間 の53例 に対 して は、standard tubeを 用 いて16〜 19kvの 電 圧 で砕 石 してい たが 、1992年6月
よ りC―tubcへ と変更 にな り、以後 はcncrgy stagc 3か ら8ま
でのエ ネルギー にて砕石 を行 った。なお、cncrgy stagc lは16kvに 、 stagc 3は19kvに 相 当す る。1回
治療 あた りの衝撃 波 数 の上 限 は6,000発 と した。 また 、X線
陰性 結 石 に対 してはLithostar Plusを使 用す るか、造 影剤 の点滴静注や尿管 ステ ン トの留置 といった補助的 処置 を行 った上 で砕石 を施行 した。 なお 、呼吸 に よ り移動す る結石 に対 しては、患者 に呼吸 モニ タ ー用 バ ン ドを装着 し、呼気時 に衝撃波が発射 され る よ う呼吸 同期 を設定 した上 で砕 石 治療 を行 っ た。結 果
1)症例全体 の治療 回数 と衝撃波数
治療 回数 は平均
14回
で あ り、衝撃波数 は平均 5,568発 で あ つた。症例 全体 の1か
月後 及 び3か月後 に お け る完 全 消 失 率 は 、 そ れ ぞ れ57.8%、
689%であ った。 また 、完 全排 石例 に40mm以下 の残石例 を加 えた臨床 的成功 率 は、 1か月後 、3 か月後 でそれぞれ892%、 927%であ った。
2)結石部位別治療成績(表
2)
ESWL施 行 回数お よび衝撃波数 は部位 に よる 差 は認 め られ なか った(それぞれp=032、 p=013、
表
1
結 石 サ イズ と結 石部位KruskJ―Wallis検 定)が 、結 石の完 全消失率 は
1か
月後 、3か
月後 ともに尿管結 石 の方が良好 であ っ た(と もにpく00001、 KnlskJ―WJlis検
定)。3)結石 サイズ別治療成績(表
3)
結石サ イズの大 きい もの ほ どESWL施 行 回数 お よび衝撃波数 を多 く要す る傾 向があ り(と もに
pく00001、 Kruskal―
WJlis検
定)、 1か月後 お よび3か月 後 の 完 全 消 失 率 が 不 良 で あ る(と も に
pく00001,KruskJ―WJlis検 定)結 果 であつた。
≦
4mm (DS‑2)4mm<,≦ 10mm(DS‑3)
10mm<,≦20mm(DS‑4) 20mm<,≦ 30mm(DS‑5)
30mm< (DS‑6)
R2:腎 孟・腎杯結石
R3:腎 孟尿管移行部(UP」)結 石
Ul上
部尿管(UP」は含まず腸骨稜上縁まで)U2中部尿管(腸骨に重なる部位)
U3:下 部尿管(腸骨に重ならない尿管〜尿管膀眈移行部)
表
2
結石部位別治療成績結石部位 ぶ顎
棚鱗
撃[轟 撃縫
(平均±
S.D.) (平
均士SD) (%) (%)Rl(n=4)
R2(n=188) R3(n=100)
∪
1(n=115) U2(n=31)
∪
3(n=62)
1.25±
050
1.46±0.84 1.53± 1.26 1.30±0.61 1.32±0.70
126±
0.544875±
1842 5351=L4628
6111±7477
4968±3546
6098±3987
6028±3819
25.0 33.9 59.6 79,4 79.3 74.6
25.0 47.9 69.3 88.8 83.3 89.6
Rl R2 R3 Ul
∪2
∪3021213
3 83 63 80 26 49
1 66 28 30 4 11 0 21 5 3 0 0
0162000
4 188 99 115 31 63
Rl:腎 実質内、腎杯憩室内などの腎杯・腎孟結石以外の腎結石 計
上部尿路結石に対するLithostarの治療成績
4)部位別残石状況(図 1)
1か
月後 残石状 況 で は、ulか
らu3の
尿 管結石 にTx(1)‑0(残 石 な し)の割合が大 きい傾 向 にあ り、3か月後 も同様 の傾 向があった(と もにpく00001、
Krusk」―
WJlis検
定)。5)結石 サ イズ別残石状況(図
2)
1か
月後、3か月後 ともに、最大径の大 きな結 石 ほ どTx(l or 3)‑0(残 石 な し)お よびTx(l or 3)―(日赤医学 第 49巻 第 2号
19979)(201)
1(4.Omm以
下 の残石)の割 合が小 さ く、Tx(l or3)―2(40mm以
下 の残 石)お よびTx(l or3)‑4(変
化 な し)の
割 合 が 大 き い 傾 向 が あ っ た (と も にPく00001、 Krllska卜
Wdlis検
定)。 また、最大径 が20mm以上の結石 (DS‑5お よび6)で は、治療 の3か
月後 もなお
41mm以
上 の残石 を有す る症例 が多い 結果 であ つた。表
3
結石サイズ別治療成績結石サイズ
ESWL
施行 回数 (平均 ±
SD)
総shock lか月後 3か月後 wave数
完全消 失率
完 全消 失率 (平均 士
SD) (%) (%)
DS‑2(n=9) DS‑3(n=304) DS‑4(n=140) DS‑5(n=29) DS‑6(n=18)
1.11±0.33 1.23±0.74
1.51」ヒ0.77 1.90±1.11
3.00±1.37
4841± 2340
4586=ヒ
4390
6185」ヒ
4599
8130±6660
12952±7137
77.8 69.3 45.4 25.9 16.7
79.5
33.3 27.8
図 1 結 石 部 位 別 3か月後 排石 状 況
DS‐2(n罰 D,3(n=234)
DS‐4(n=114)
図
2
結 石 サ イズ別3か月後排 石 状 況鏃 Tx(3)‐0(残 石な し)
■ Tx(3)‐1 .Omm以下の残石)
□ Tx131η(4.lmm以上の残石)
圃 取o‐3(変 化な い
鏃 取
o‐0(残石なし
)■ Tx●卜l14.Om品 以下の残石)
□ Tx(3)‐2(4.lmm以上の残石)
圃 取 o‐3(変化な い
時 瓢n‑241 ) D綺伸ヨ 助
↓ 0
Щ
R
表
4
結 石 成 分シュウ酸カルシウム+リ ン酸カルシウム シュウ酸カルシウム
シュウ酸カルシウム+リ ン酸カルシウム +リン酸マグネシウムアンモニウム
リン酸カルシウム+リ ン酸マグネシウムアンモニウム 尿酸
シュウ酸カルシウム+尿酸 システン
リン酸カルシウム
シュウ酸カルシウム+リ ン酸マグネシウムアンモニウム
17401(43.4%) 139例(347%) 39例(97%) 24例(60%) 14例(35%) 5例(12%) 3例(07%) 2例(05%) 1例(02%)
表
5
補助療法・追加療法計
ス テ ン ト(double―」catheter)留 置 尿 管パ ル ー ンカテ ー テル によ る 結 石 のpush up
PNS進
ヨ;没PNL
31例
(6.2%) 18例 (3.6%) 14例 (2.8%) 2例 (0.4%) 65例 (13.0%)9)合併症
心 室性期外収縮(PVC)が21例
(42%)と
最 も多 か った。 これ らの症例 に対 しては、心電 図同期 に て治療 を行 うこ とでPVCの発生 を抑制 し得 たた め 、治療 を途 中で中止 した症例 はなかった。その 他 の合併症 と しては、嘔気 を3例 (06%)に
、胸痛、後腹 膜 出血 をそれぞれ
1例 (02%)に
認め た。また、ほ とん どすべ ての症例 に肉眼的血尿 、皮下溢血斑 を認めた。重篤 な合併症 は認め われ なかった。
考 察
Lithostarによる治療成績36)は報告 に よ り差 が あ るが 、当科 における治療成績 は治療 回数、衝撃波 数 と もに平均 的かむ しろ良好 な結果であ つた。 こ の 理 由 と して は 、
Lithostarの
導 入 直 後 よ り、standard tubeからエ ネルギーの強力 なC̲tubeに 衝撃 波ヘ ッ ドを交換 した こ とや、呼吸 同期 によ り、衝 撃波 の ほ とん どを結石 か ら外 す こ とな く砕 石 を行 っていることが原 因 と考 え られる。
近年ESWL治 療 は外来的 に施行 され る こ とが
6)結石分析(表
4)
結 石 分析 が明 らかで あ った401例 の うち、 シュ ウ酸 カル シウム とリン酸 カル シウムの混合結石お よび シュ ウ酸 カル シウム結石で全体 の
78%を
占め た。7)追加療 法 お よび補助療法(表
5)
ESWL治 療 に際 し、症例全体 の
13%に
何 らか の補助療法 を要 した。最 も多か ったのは尿管 ステ ン ト留 置 であ り、以下尿 管バ ルー ンカテーテル、経 皮 的腎痩(PNS)造設 、経 皮 的腎砕 石術(PN
L)が続 いた。
8)鋳型結石 について
鋳 型結 石 は12例(男性
7例
、女性5例
、平均 52 歳)経 験 した。治療 回数 は30±
1.3回(平均 ±SD)、
衝 撃波 数 は12,747± 5,738発(平均 ±SD)であ っ た。 1か月後 お よび3か月後の完全排石率 はそれ ぞれ167%、 27.3%で あ り、完全排 石 を認めた症例 は4例
(33.3%)で
あ った。補助療 法 と して、10例(833%)に
ス テ ン ト留置 を行 い、 1夕j(83%)に
PNS造設 を行 った。
上部尿路結石に対するLithostarの治療成績
多 くな った478)が、 当科 では遠隔地 か らの患者が 多い こ と もあ り、入院の上ESWLを 施行 す る こ とがほ とん どであった。 しか し、今 回の集計結果 は外 来ESWLの 治療 成績 と遜色 ない成績 で あ り、患者の選択 を きちん と行 えば、今後 は外 来
E
SWLを中心 と した治療形態 を とれ る もの と思 わ れ た。 因み に、栃 本8)は 入 院治療 の適応 と して、(1)長径30mm以上 の大結石 、 (2)感 染や水 腎 の強 い もの、 (3)単 腎 または機能的単腎、 (4)両 側尿管 結 石 、 (5)心 疾 患 や消 化性 潰瘍 な どの他疾 患 合併 例 、 (6)高 齢者あるい は小児、 (7)精 神不安 の強い もの を挙 げてい る。実際 、入院 を要す る条件 とし て発 熱 も挙 げ られ るが 、藤 田
"は
結 石 の大 き さ、膿尿 、細菌尿 、過去 の発 熱 の既往 、内視鏡操 作 の 併用 を危険 因子 と して挙 げ、 これ らの因子 に よ り 算 出 した ス コア に よ り発 熱 例 の予 測 を行 って い る。発熱が予想 され る例 に対 して抗菌薬の予 防投 与 を行 った ところ、発 熱率 の低下が認 め られ た と 報告 してお り、外 来ESWL症 例 に対 しては治療 前 の発 熱予 測 を十分 に行 つた上で治療 を施行 すべ
きであ ろ う。
ESWL後 の治療効果 の判定 には、3か月後 の 完全排 石率 が用 い られ る こ とが多 い。 当科 にお け る3か月後 の完 全排 石 率 は全 体 で
689%(腎
結 石 544%、 尿管結石882%)であ つたが 、 これ まで の 報告36)と ほぼ同等 の結果 であつた。腎結石の排石 率が悪 いの は、砕石 され た結石 が下腎杯 に蓄積 す る こ とが 少 な くない た め と思 わ れ る。 た だ し、chcnら 10が 指摘す る ように、腎結石の場 合、残石 の有無が臨床 的 に問題 になる とは限 らず、症状が な く、PNL等 の追加療法 を必 要 としない例 は治 療 成功例 とみ な して構 わない と考 える。
補助療 法 と して最 も頻度 の高 か つた もの はス テ ン ト留置であ り(表5)、 これ らの結石 の最大径 は 平均25,7mm(最小
6mm、
最 大50mm)であ っ た。間宮 ら5)は直径25mm未満 の結石 は補助 的処置 な く 外 来ESWLで 治療 可 能 で あ つた と して い るが 、 外 来ESWLの 適応 は直径20mm以下 の結 石 とす
る意見H)も あ り、最大径 が20mmを越 える結石 に つ いては治療前 にステ ン ト留置 に関す る十分 な検 討 が必 要 と思 われ る。
鋳 型 結 石 の排 石 率 は他 施 設 に比 べ て や や低 い
(日赤医学 第49巻 第 2号
19979)(203)
が、 これはPNLや TULと い つた追加療法 をほ とん ど行 わなか つた こ とに よる もの と思 われ る。
しか し、前述 の通 り、腎結石 においては必ず しも 完全排 石 を認 め な くて も臨床 的 に問題 にな らない こ とが少 な くない。初期治療 でESWLの 有効性 が期待 で きない ときには積極 的 にPNLや TUL
を併用すべ きとい う意見12)も あ るが、尿 管 ステ ン トの留 置 による排 石率 の低下 はほ とん どない13)、
あ るい はむ しろ排石率 は良好14)と されてい る。
E
SWL単独 で は砕 石で きない結石 、ESWLに 起 因す る合併症 のある症例 、腎孟尿管移行部狭窄例 な どに対 して はPNLを 併 用 せ ざる を得 な い15) が、我 々が経験 した鋳型結石症例 の平均ESWL治療 回数 は
3回
で あ り、PNLを必 要 と した例 は1例
のみ だったため、基本的 にはESWL単 独療 法で治療 が可 能 と考 え られた。結 語
釧路 赤 十字病 院泌尿器科 にお けるLithostarを用 いた上部尿路結石 に対す るESWLの 治療 成績 に つ いて臨床的検討 を行 った。
参 考 文 献
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