博士論文
中山間地域における生活交通の改善が 住民の住み続けに与える影響に関する研究
令和 4 年 3 月
岡村篤
岡山大学大学院
環境生命科学研究科
中山間地域における生活交通の改善が 住民の住み続けに与える影響に関する研究
―目次―
第1章 序論 1
第1節 研究の背景と目的 1
第2節 研究の構成 2
第2章 本研究の位置づけ 5
第1節 概説 5
第2節 既往研究のレビュー 5
第3節 本研究の位置づけ 11
第3章 住み続けの上での外出及び移動の重要性評価 19
第1節 概説 19
第2節 研究対象地域と調査概要 19 第3節 外出の重要性の評価とそれに基づく個人の分類 22 第4節 生活交通の改善が住み続け意識に与える影響 25 第5節 本章のまとめ 32
第4章 積雪寒冷地における夏期冬期の違いが高齢者の 33 外出及び住み続けに与える影響
第1節 概説 33
第2節 研究対象地域と調査概要 34 第3節 夏期冬期による外出実態の変化 36 第4節 冬期の運転に対する意識の実態と住み続け意識に及ぼす影響 42 第5節 本章のまとめ 50
第5章 生活交通の改善がその利用者の住み続けに及ぼす影響 53
第1節 概説 53
第2節 研究対象地域と調査概要 53 第3節 生活交通改善に伴う自立的外出可能感の醸成実態 57 第4節 自立的外出可能感の醸成と生活交通のサービスレベルとの関係 60 第5節 外出頻度及び住み続け意識との関係 62 第6節 本章のまとめ 68
第6章 生活交通の改善がその非利用者の住み続けに及ぼす影響 69
第1節 概説 69
第2節 研究対象地域と調査概要 69 第3節 生活交通に対する評価と住み続け意識との関係性 70 第4節 生活交通の改善がその非利用者の住み続け意識や 76
幸福感に与える影響
第5節 本章のまとめ 81
第7章 生活交通の改善がその高齢非利用者の住み続けに及ぼす影響 83
第1節 概説 83
第2節 研究対象地域と調査概要 83 第3節 生活交通の改善に伴う住み続け意識の実態 85 第4節 住み続けに対する意識構造分析 89 第5節 本章のまとめ 94
第8章 結論 95
第1節 本研究の成果 95
第2節 今後の課題 98
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第1章 序論
第1節 研究の背景と目的
人口減少・少子高齢化の著しい中山間地域において,交通弱者の移動手段の確保は重 要な課題となっている.農林水産省では,交通網の弱体化などに伴い日常生活中で生鮮 食品などの買物が困難な状況にある交通弱者を食料品アクセス困難者と定義し,その数 を全国で約800万人と推計している1).この問題は,買物に限らず,通院などの様々な 外出活動に共通していることが想定され,特に低人口の中山間地域において深刻化する 傾向にある2).さらには,移動に関する負担の増加に伴って,中山間地域在住の交通弱 者がより高い生活利便性を求めて,中核都市や大都市に住み替えてしまうといった人口 流出につながることも懸念される.こうした状況を打開するために,交通弱者の移動手 段確保を目的に,コミュニティバスやデマンドバスなどの生活交通による施策が,様々 な地域で実施されている.しかしながら,高齢化や人口減少などに伴って,多くの地域 で生活交通の利用者は減少傾向にあり,減便や廃止となるケースも多くみられる3).こ のような生活交通の利用者減少及びサービス低下の悪循環は,今後も人口減少などに伴 い,ますます深刻化すると考えられる.そのため,利用者数や運賃収入などの利用実績 だけで生活交通の維持・改善を判断することは難しくなると言える.
一方で,中山間地域での住み続けに関して,交通の問題は大きく取り上げられる.国 土交通省住生活総合調査結果4)では,最近5年間での住み替えの目的を調査し,「通勤・
通学の利便」が最も高いことを明らかにしている.国土交通省住生活に関する意識調査 の結果概要5)では,住み替えたい理由について調査し,「通勤・通学・買い物・通院等に 便利な場所に住みたいから」という意見が,都市圏と比べて地方圏で高くなっているこ とが明らかにされている.この住み替えに関して,生活利便性が高い大都市への住み替 えは,一見すると交通弱者本人にとって悪い選択肢ではないとも考えられるが,転居先 での生活に順応できるかどうかのリスクがある.実際に転居によって健康が改善された という報告6)もあれば,その逆に健康を害してしまったという報告も存在する7).その ため,住み替えた交通弱者本人にとって,必ずしもメリットとなるわけではないと言え,
安易に住み替えを促すことは得策ではないと考えられる.加えて,中山間地域や集落に おける国土の保全や一次産業の維持のためには,その地域で人が居住していることが必 須条件である.国土交通省8)では,「住み続けられる国土専門委員会」において,農村な どの地方部において住み続けられる国土を実現するための施策の方向性を示している.
これらのことから,車の運転ができない子供や高齢者などの交通弱者であっても中山間 地域で住み続けられるように,生活環境を整備する必要がある.
以上の点を概観すると,人口減少局面において,中山間地域で今後生活交通による交 通弱者対策を進めるには,運賃収入などの利用実績だけで生活交通を評価するのではな
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く,生活交通の改善が住民の住み続け促進に影響していることを明らかにするとともに,
地域の維持・存続そのものにまで寄与していることを定量的に示すことが重要であると 考えられる.しかしながら,中山間地域において,生活交通の改善が住民の住み続け促 進に寄与していることを検証した知見は非常に乏しい.また,中山間地域で住み続ける 上で,外出や移動がどの程度重要視されているかに関する知見も乏しい状況にある.
以上を踏まえ,本研究では,中山間地域において,住み続けの上で外出や移動がどの 程度重要視されているかを評価するとともに,生活交通の改善が住み続けに対してどの ように影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とする.
第2節 研究の構成
図1-1に本研究の全体構成を示す.
まず第2章で,既往研究のレビューを行い,本研究の位置づけを述べる.
続いて,中山間地域における住み続けに関して,外出や移動がどの程度重要視されて いるかを明らかにする.具体的には,まず第3章で,中山間地域において,住み続けの 上で外出や移動がどの程度重要視されているかを評価するするとともに,生活交通の改 善との関係を明らかにする.また,第4章では,第3章の結果が各地の中山間地域で普 遍的であるという想定の下,積雪寒冷地では降雪の影響で普段の外出や移動が著しく制 限されてしまう懸念がある.そのような問題意識の下,積雪寒冷地である中山間地域在 住の高齢者を対象に,夏期冬期の生活環境の変化が外出や移動にどのように影響し,さ らに住み続けに対してどのような影響を与えるかを明らかにする.
第3章・4章の結果を踏まえ,以降は,中山間地域において,生活交通の改善が住民 の住み続け意識に対してどのように影響を及ぼすかを明らかにする.なお,生活交通の 改善は,その利用状況によって,受ける影響の度合いや構造が大きく変化することが想 定される.そこで,生活交通の利用者と非利用者のそれぞれを対象に,生活交通の改善 が住み続けに対してどのように影響を及ぼしているかを明らかにする.具体的には,ま ず第5章で,生活交通の利用者を対象に,生活交通の改善に伴って自立的に外出できる という意識(以降,自立的外出可能感と略)が醸成されていることを示すとともに,住み 続け意識との関係を明らかにする.並行して,第6章及び第7章で,生活交通の非利用 者を対象に,生活交通の改善が住み続け意識に対して及ぼす影響の実態を明らかにする.
第6章では,生活交通の非利用者全体を対象に,生活交通の改善が住み続け意識や幸福 感に対してどのように影響を及ぼすかという基礎的な知見を明らかにする.さらに,第 6章の結果を踏まえ,第7章では,生活交通への転換可能性が比較的高い高齢非利用者 に対象を限定し,住み続け意識に対して生活交通の改善やその他の要因がどのように影 響しているかを,生活交通の今後の利用意向別に明らかにする.
最後に,第8章で,本研究で得られた知見と今後の課題について述べる.
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<参考文献>
1) 国土交通省,「住生活に関する意識調査の結果概要 (国土交通行政インターネッ トモニターアンケート)」,pp,20,(https://www.mlit.go.jp/common/001090307.pdf),
2021.4.24最終閲覧
2) 農 林 水 産 政 策 研 究 所 , 表 1 食 料 品 ア ク セ ス 困 難 人 口 の 推 計(2015 年), http://www.maff.go.jp/primaff/seika/fsc/faccess/table01.html
3) 国土交通省国土計画局,過疎集落研究会報告書,図表I-2-3生活する上で一番困って いること・不安なこと(2009年),https://www.mlit.go.jp/common/000039569.pdf 4) 例えば,富良野市,「市議会だより第43号」,pp.7,2009,
http://www.city.furano.hokkaido.jp/shigikai/docs/2015020900306/files/H214308all.pdf, 2009.8(2021.4.28最終閲覧)
5) 国土交通省,「平成30年 住生活総合調査結果」,pp.63,2018.12,
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001358448.pdf),2021.4.24最終閲覧 6) 例えば:Eckert JK, Haug M: The impact of forced residential relocation on the health of
the elderly hotel dweller, J Gerontol, 39, pp.753-755, 1984.
7) 例えば:Brand FN, Smith RT:Life adjustment and relocation of the elderly, J Gerontol, 29, pp.336-340, 1974.
8) 国土交通省国土審議会計画推進部会住み続けられる国土専門委員会,3か年とりま とめ ~地域の定住人口・関係人口の増加による持続可能なまちづくり~(2019
年),p.5,https://www.mlit.go.jp/common/001289115.pdf
図1-1 本研究の全体構成
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第2章 本研究の位置づけ
第1節 概説
本章では,第 2 節において,関連する既往研究について整理する.その後,第 3 節に おいて,本研究の位置づけを述べる.
第2節 既往研究のレビュー
第1項 生活交通そのものの評価・改善に関する研究
(1) 生活交通の利便性評価に関する研究
中山間地域や集落部を対象にした研究について,谷本1)は,高齢者の活動能力と生活 交通サービスの阻害要因に関する認識の関係を明らかにした.森山ら2)は,過疎地域の 生活交通サービスの評価指標を採算性以外の尺度で提示した.吉田ら3)は,空間的移動 の達成水準を基に外出活性水準を定義し,その指標を用いて地域公共交通を評価するこ とを提案した.
また,地方都市を対象とした研究について,加知ら4)は,主要施設の配置を考慮した アクセシビリティ指標に基づく4つの指標群を用いて,公共交通及び自動車の交通利便 性を評価する枠組みを示した.さらに,その指標群を実際の市町村で適用し,提案した 4つの指標群の有効性を確認した.三村5)は,自治体で行われる住民意識調査を用いた 公共交通の評価の方向性とその課題について考察し,住民意識に基づく公共交通の評価 構造を明らかにするとともに,その評価と実際の公共交通のサービス水準との関係につ いて検証を行い,評価実施の上でより適切な評価指標を選定した.藤垣ら6)は,バス利 用者数及び運営費用の指標を用いて,郊外大規模商業施設と路線バスの協力に関するメ リットを定量的に評価した.竹下ら7)は,鉄道軌道廃線のあった地方都市を対象に,そ の廃線前後で交通利便性がどのように変化したかをアクセシビリティ指標を用いて評 価した.
このように,生活交通の利便性評価に関する研究は,多様な観点の下,様々な地域を 対象に,多数蓄積されている.
(2) 生活交通の策定プロセスに関する研究
生活交通の策定プロセスに関する研究は,交通弱者の移動手段確保に関する課題が深 刻である地方小都市や中山間地域を対象にした研究が多い.谷本・喜多8)は,過疎地域 における公共交通計画の策定に関して,公共交通サービス水準を決定する際には,その 水準に基づく活動ニーズに着目するのでなく,活動機会そのものに着目した計画論が必 要であることを論じた.同様の視点で,岸・佐藤9)は,過疎地域における住民の移動ニ
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ーズを把握し,それに基づいて生活交通の策定プロセスの提案とその適用性検証を行っ た.若菜・広田10)は,農村生活圏の考え方に着目して交通サービスと生活交通ニーズを 整理するとともに,生活交通サービス検討の考え方として地区交通・市町村交通・広域 交通の 3 つに階層を整理することを提案し,そのための検討方法や課題を明らかにし た.喜多ら11)は,過疎地域では公共交通サービスを十分に享受できていないがために活 動機会が充足できていない人が存在するという想定の下,そのような人が公共交通サー ビスによって確保できる活動機会とそのための費用負担を選択するメカニズムのモデ ル化を行った.
さらに,これらの理論の実践化を目指した研究としては,喜多ら12)は,活動機会の確 保に関する指標を用いた地域公共交通計画策定の考え方やプロセスを提案し,その適用 を実際の地方都市で行い,提案した枠組みの有効性を実践的に検証した.薦田ら13)は,
過疎地における高齢者の活動機会の確保に着目した公共交通計画の策定に関して,活動 機会計測のためのモデルと,複数の代替案の中から最適な代替案を選択するモデルを組 み込んだ,公共交通計画策定を支援する手法を提案した.
その他では,加藤ら14)は,多様な主体が参画した生活交通を地域参画型形式と定義し,
その成立条件の整理及び成立可能性を高める要因を明らかにした.森山ら15)は,中山間 地域において公共交通計画を支援することを目的に,非集計需要予測と運行経費の採算 性,採算性以外の評価指標を分析するシステムをGISデータベースに組み込み,バス路 線の評価を簡便に行うことが可能となるツールを開発した.
このように,生活交通の策定プロセスに関する研究は,中山間地域や集落における活 動機会や移動ニーズの確保に主眼を置いた研究を中心に,多数蓄積されている.
(3) 生活交通の利用促進に関する研究
地方都市や中山間地域を対象とした研究について,谷口・藤井16)は,実証運行中のコ ミュニティバスの利用促進を目的に行われたモビリティ・マネジメントの効果を定量的 に把握し,モビリティ・マネジメントによって他者へのバスに関する口コミが促される ことと,そのような口コミはバス利用意識の向上を促すといったバス利用に関する口コ ミの連鎖の存在とその有効性を明らかにした.伊藤・松本17)は,バス利用者を対象に1 乗車運賃の変更による利用頻度分布を推定するモデルを構築した.金井ら18)は,公共交 通機関を利用しないが故に形成された公共交通に対する人々の認知的不協和が,バス利 用に対する態度と意識構造に与える影響に関して実証的な仮説を立てるとともにその 有意性を検証し,バス利用意向やバス路線存続意向を高めるための意識変化を促す有効 策を提言した.杉浦ら19)は,地方小都市におけるコミュニティバスの利用促進策として バスマップの改善に着目し,既存バスマップの問題点を整理した後に新たなバスマップ の作成を行った.さらに,グループインタビューやアンケート調査を通して,バスマッ プの見直しがバス利用意識の向上につながることを明らかにした.吉井ら20)は,自動車
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利用時の最短経路等に関する情報に公共交通の情報を加えて提示するホームページの 構築を行い,そのホームページを自動車利用者が見ることによって公共交通に関する認 知や意識が変化する可能性があることを明らかにした.岡村ら21)は,中山間地域におけ る生活交通の現状の利用の有無及び将来の利用意向に着目し,それらに影響を及ぼす要 因と意識構造を明らかにした.
一方で,都市を対象にした研究については,氏原ら22)は,個人属性やバス整備状況等 のバス利用環境の視点から自家用車利用からバス利用への潜在的な転換可能性につい て検討を行い,バス利用への転換可能性のある層がどのようなバスサービスの改善を求 めているのかを明らかにした.佐藤ら23)は,大都市において,ポイント付与型のTDM 施策に関する効果を社会実験を通して明らかにした.さらに,その社会実験参加者への アンケート調査結果を用いて,ポイント付与型のTDM施策に求められるニーズを明ら かにし,ポイント付与型のTDM施策の在り方に関する考察を行った.大友ら24)は,パ ーク・アンド・ライドの社会実験参加者へのアンケート調査結果を用いて,公共交通選 択行動の心理的規定因に関する分析を行い,公共交通の利用可能性やコストに対する評 価を低下させない心理的方略が重要であることを明らかにした.溝上・橋本25)は,交通 事業者と地元商店街が協働したモビリティ・マネジメントの社会実験に関して,実験時 の乗降調査や参加者へのアンケート調査より得られたデータを基に効果検証を行い,公 共交通の利用促進や住民の交通サービス改善に対する認知度が向上していることを明 らかにした.
このように,生活交通の利用促進に関する研究は,様々な地域を対象に,多数蓄積さ れている.
第2項 新たな生活交通の検討に関する研究
新たな生活交通に関して,近年のモビリティの技術開発に関連する研究が国内外で急 速に蓄積されている.複数の交通サービスをサブスクリプション形式で一括して提供す るMobility as a Service(以降MaaSと略)に関する研究は,藤垣ら26)は,大都市向けを対 象にした新たなモビリティサービスとしてMetro-MaaSを提案するとともに,利用意向 調査を基にMetro-MaaSの需要特性を明らかにした.吉田27)は,定額制サービスを導入 した乗用タクシーの配車データを用いて利用頻度モデルを構築し定額制サービスの適 用可能性について言及した.また,自動運転や超小型モビリティなどに関する研究は,
香月ら28)は,全国を対象にしたWebアンケート調査結果を用いて,自動運転車の利用 意向に対して個人の属性や普段の生活スタイル,個人の自動車を運転する理由などの各 種要因がどのように影響を及ぼしているかを明らかにした.さらに,各都市の自動運転 車利用意向率と都市属性の関係を明らかにした.谷本・川村29)は,無人運転で走行され る車両の共同利用に関するシステムに着目し,その導入のためにはどの程度の車両数や
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エネルギーが必要であるかを評価した.小松崎ら30)は,自動運転レベル5が実現した場 合を想定し,車内空間の充実や車内でのサービス提供の可能性について考察を行った.
藤原・氏原31)は,超小型モビリティの運転に関する評価を基に超小型モビリティの活用 方法に関する提案を行った.岡村・橋本32)は,空飛ぶクルマが普及した場合を想定し,
地方小都市において,自家用車による移動時間が空飛ぶクルマの利用によってどの程度 変化するかについて基礎的な考察を行った.
また,中山間地域を対象に実施されている生活交通の新たな運営方策として,宅配物 をバスなどに混載する貨客混載の事例 33)や,生活交通の運営そのものに住民が参画す る事例34)が存在する.貨客混載に関する研究については,谷本・小澤35)は,タクシー事 業者が貨客混載を実施する場合について運行や利益がどの程度変化するかを分析する ための手法を構築した.吉武ら36)は,路線バスへの貨客混載を組み合わせて地域組織が ラストワンマイルの宅配物配送を行うシステムの実現可能性を検討し,本格実施のため の条件などを明らかにした.一方で,住民が生活交通の運営に参画することに着目した 研究は,村上・北原37)は,中山間地域において,行政や交通事業者だけでなく地域住民 などの多様な主体が参画した生活交通の運営体制を「Co 交通」と定義し,生活交通の 一般的な運営体制とCo交通の違いを例示的に論じるとともに,「Co交通」の持続的な 展開の可能性について考察した.谷内ら38)は,住民のバス事業への参画意識に着目し,
公共交通の利便性や,地域との関わりの度合いを示すソーシャル・キャピタルが影響し ていることを明らかにした.川端ら39)は,地方集落において住民が自律的にバスを運営 する体制づくりに着目し,住民のバス運営への受容意識を高めるためには交通サービス を高めるだけでなく地域愛着や地域内交流などの活性化が必要であることを明らかに した.岡村ら40)は,住民が生活交通の事業に参画するケースに着目し,生活交通に対す る支援意向と,住民が交通弱者の送迎を行う相乗り施策が行われた際の参画意向を把握 した.さらに,それらの意向に対して,個人属性や地域との関わりなどの要因がどのよ うに影響しているかを定量的に明らかにした.
このように,新たな生活交通の検討に関する研究は,モビリティの技術開発や生活交 通の新たな運営方策,MaaSによる交通サービスの提供方法等,多様な観点の下急速に 蓄積されつつある.
第3項 生活交通が地域住民の価値に及ぼす影響に関する研究
地方都市を対象とした研究について,David Ling・R.Mannion41)は,イギリス北東部の
Sunderlandにおいて,デマンドバス導入に関するアンケート調査を事前事後で行い,デ
マンドバス導入に伴う効果の度合いをQuality of life(生活の質.以降,QOLと略)の指標 を用いて評価した.西堀ら42)は,高齢者の活動のしやすさと地域特性の関係について分 析を行うとともに,活動のしやすさに関して制約のある地域において地域公共交通が活
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動を支えるための役割を明らかにした.橋本・厚海43)は,地方都市を対象に,必須活動 及び余暇活動の充実や移動のしやすさが主観的幸福感にどのように影響を及ぼすかを 明らかにし,主観的幸福感の向上に関して移動のしやすさがどの程度影響を及ぼすかに ついて相対的に明らかにした.Junghwaら44)は,地方都市を対象に,公共交通の利用状 況や満足度が個人のQOLに及ぼす影響を明らかにし,高齢になるほど満足度が高いこ とや,QOL 向上に関して公共交通によるモビリティ確保がどの程度重要であるかとい う相対的な位置づけを明らかにした.
生活交通サービスが比較的低い中山間地域を対象にした研究について,森山ら45)は,
過疎地域の集落における高齢者のQOLに着目し,交通利便性に関する生活環境が各種 活動のしやすさに及ぼす影響の度合いを明らかにするとともに,QOL を向上させる要 因を明らかにした.さらに,その結果を踏まえ,過疎地域において各種活動を支援する ための施策の在り方について検討した.谷本ら46)は,バスサービスの大幅な改善と縮小 が行なわれた地域を対象にバスサービスの水準の差異が人々の行動や活動への要求に も影響していることを明らかにした.田尾・橋本47)は,中山間地域におけるバス利用者 及び非利用者を対象に,将来の移動手段に対する不安意識に影響を及ぼす要因を明らか にした.森・谷口48)は,将来の交通に対する不安の軽減に対し,生活交通の利用意識と 地域で交通を支える意識が強く影響していることを明らかにした.古川・橋本49)は,日 常的な買物に関する買物支援サービス及び生活交通の利用意向との関連性に着目し,買 物支援サービスの利用意向や地域への信頼感が公共交通の利用意向に影響することを 明らかにした.大山ら50)は,地方部における鉄道の再生に伴い,鉄道再生後における沿 線住民の目線・意識について調査し,利用者・非利用者のそれぞれが鉄道を価値のある ものと評価していること,鉄道の再生が地域の活気向上に関して貢献していると非利用 者に認識されていることを明らかにした.橋本・恒藤51)は,中山間地域において住民に よって運営されている生活交通に着目し,運営への参画意識と主観的幸福感の関係性に ついて分析した.その結果,生活交通の運営への参画意識は地域への愛着を経由して主 観的幸福感の向上に寄与することを明らかにした.
また,社会全体に及ぼす経済的価値に着目した研究として,西村ら52)は,公共交通が 生み出す価値は交通分野だけでなく社会の様々な分野で支出抑制効果として発現する という想定の下,クロスセクターベネフィットの考え方の下で,医療などの12 分野を 対象に公共交通がなくなった場合に必要となる対策の行政コストを算出し,公共交通の 維持によって行政全体の支出を抑制していることを明らかにした.
このように,生活交通の導入・改善が地域住民の価値及び社会全体に及ぼす影響に関 する研究については,一定の蓄積がある.しかし,第1項に関連する論文数と比べると 比較的少ない傾向にあるため,既往の知見を踏まえつつ,さらに研究蓄積を増やしてい く必要がある.
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第4項 交通利便性と住み続けの関係に着目した研究
地方都市を対象とした研究については,藤井・染谷53)は,交通行動と居住地選択の間 には相互依存関係が存在するという仮説を立て,転居前の交通行動が居住地の選択に影 響を及ぼし,さらに転居後の交通行動にも影響を及ぼすことを明らかにした.藤井54)は,
個人の自動車依存度の強弱によって都市部における居住地選択が変化する可能性に着 目し,自動車の依存度が高い人は自動車を利用しない人と比べて,都心や最寄り駅まで の距離が遠い地点に居住する傾向にあることを明らかにした.小塚は55),人口10万人 以上の都市を対象に,住民の居住環境の整備に対する認識と定住意向の関係について分 析を行い,公共交通機関や駐車場などのアクセス面に関する要因よりも,住宅の外観や 景観などの都市の雰囲気に関する要因の方が,定住意向に対して強く影響していること を明らかにした.森・谷口56)は,都市構造の問題によって居住者の生活が困難になる危 険性と転居との関連性に着目し,公共交通撤退によって日常生活が困難になる危険性が ある地域では潜在的な転居意向が高いことを明らかにした.
また,広域な生活圏を対象にした研究として,後藤・平田57)は,広域生活圏における 市町村間の人口移動を念頭に,独自の指標を用いて市町村ごとに地元定住度を算出する とともに,その地元定住度に影響を及ぼす要因を分析した.その結果,道路及び公共交 通での所要時間や,地価,定住及び子育てに対する行政支援の有無が影響していること を明らかにした.長尾ら58)は,鉄道・軌道の運行頻度の高低に伴って,全国の地方都市 における現状の人口分布及びその経年変化が,どのように変化するかについて分析を行 い,運行頻度が高い鉄道駅ほど駅勢圏人口が多い傾向があることを明らかにした.
生活交通サービスが比較的低い中山間地域を対象にした研究は,有川ら59)は,中山間 地域を対象に,生活利便性の評価と居住意向の関係について分析を行い,生活利便施設 に対する利用満足度や移動のしやすさなどと居住意向との関係を示すモデルを構築し た.山口ら60)は,都市部までのアクセスが悪い集落を対象に,集落の社会特性と住民の 定住意向の関係について分析し,「信頼・まとまり」や「住民活動への活性」「外部を受 け入れる雰囲気・開放性」といった社会特性が,若年層の定住や子・兄弟の帰省に強く 影響していることを明らかにした.岩下ら61)は,人口減少・超高齢化社会においても暮 らし続けられることを「居住エリアの持続可能性」と定義するとともに,地域の人口動 態・高齢化や交通利便性などを含むハード環境などを示す指標を用いてクラスター分析 を行い,居住エリアの持続可能性に関する類型化を行った.さらに,その結果を踏まえ て,中山間地域におけるコンパクト+ネットワークを検討する上での拠点設定の方法論 について言及した.
11 第3節 本研究の位置づけ
第1項 学術的背景のまとめと今後の課題
前節第1項のとおり,生活交通そのものの評価・改善に関する知見は多数蓄積されて いる.同じく,新たな生活交通の検討に関する研究についても,前節第2項のとおり近 年急速に知見が蓄積されている.しかしながら,第1章で述べたとおり,生活交通の減 便・廃止に関する悪循環を打開するためには,生活交通単独の改善だけで対応すること は難しい状況である.そのため,生活交通の改善が地域住民の住み続けにまで影響して いることを定量的に示す必要があると考えらえる.
このような社会的・学術的背景に対して,第3項で述べた論文では,生活交通の導入 や改善が,将来の交通手段に対する不安や主観的幸福感などの価値に対して影響を及ぼ していることを示している.しかしながら,不安の低減や主観的幸福感の向上が,さら に住み続け促進まで寄与するかについてまでは言及されていない.第4項の論文におい ても,交通利便性と住み続けの関係について言及されているが,生活交通の改善が住み 続け促進にまで寄与するかについてまでは言及されていない.また,近年では,在宅で 診察を受けることができる在宅医療サービスや,買物品を自宅まで配送する買物支援サ ービスなど,自宅に居ながら通院・買物を行うことができるサービスの充実が進められ ている.このような社会情勢の中で,今後中山間地域で交通弱者の移動手段確保の対策 を進めるためには,外出や移動そのものが,地域住民が現居住地で住み続ける上でどの 程度重要視されているかを改めて把握する必要がある.その結果を踏まえて,生活交通 の改善が住民の住み続け促進に寄与していることを示すことが重要であろう.しかしな がら,そのための知見は十分であるとは言えないため,既往の研究成果を踏まえつつ,
さらに知見を蓄積させる必要がある.
12 第2項 本研究の特長と位置づけ
本研究は,中山間地域において,住み続けの上で外出や移動がどの程度重要視されて いるかを評価するとともに,生活交通の改善が住み続けに対してどのように影響を及ぼ すかを明らかにする.既往研究に対する本研究の位置づけを次のとおり述べる.
中山間地域において,住み続けの上で外出や移動がどの程度重要視されているかを 明らかにする.
本研究では,人口減少が著しい中山間地域において,住み続けの上で外出や移動 がどの程度重要視されているかを明らかにする.さらに,降雪による地域特性の影 響を考慮し,積雪寒冷地の夏期冬期の環境の変化が外出や住み続けに対して及ぼす 影響を明らかにする.これらの知見は,既往研究では触れられていない領域であり,
本研究独自の特長であると言える.また,これらの成果は,生活交通の改善のみな らず,住み続けられる地域づくりの検討のための有益な知見となり得るものである.
中山間地域において,生活交通の改善が,その利用者及び非利用者の住み続けに対 して及ぼす影響の度合いと構造を明らかにする.
本研究では,中山間地域において,生活交通の改善が住み続けに及ぼす影響の度 合いと構造を,生活交通の利用者及び非利用者のそれぞれを対象に明らかにする.
これらの知見は,既往研究では言及されておらず,本研究独自の特長があると言え る.また,得られた成果は,生活交通の新たな評価方法の検討や,住み続け促進の ための施策検討に関する有益な知見となり得るものである.
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<参考文献>
1) 谷本圭志:高齢者の活動能力を踏まえた公共交通サービスの阻害要因に関する考 察,土木学会論文集D3,Vol.69,No.4,pp.276-285,2013.
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3) 吉田樹,秋山哲男,竹内伝史:市民の外出活性水準を考慮した地域公共交通の評価 に関する基礎的検討,土木学会論文集D,Vol.65,No.3,pp.348-359,2009.
4) 加知範康,岑貴志,加藤博和,大島茂,林良嗣:ポテンシャル型アクセシビリティ に基づく交通利便性評価指標群とその地方都市への適用,土木計画学研究・論文 集,Vol.23,No.3,pp.675-686,2006.
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6) 藤垣洋平,高見淳史,大森宜暁,原田昇:送迎バスとの代替性に着目した商業施設 協力型路線バスの成立可能性に関する分析 ―埼玉県三郷市を中心的な事例として
―,都市計画論文集,Vol.47,No.3,2012.
7) 竹下博之,加藤博和,林良嗣:新交通システム桃花台線廃止に伴う沿線住民のアク セシビリティと交通行動変化の分析,都市計画論文集,Vol.44,No.3,pp.463- 468,2009.
8) 谷本圭志,喜多秀行:地方における公共交通計画に関する一考察 -活動ニーズの 充足のみに着目することへの批判的検討-,土木計画学研究・論文集,Vol.23, No.3,pp.599-607,2006.
9) 岸邦宏,佐藤馨一:住民ニーズに基づいた過疎地域における生活交通手段の策定プ ロセス,土木計画学研究・論文集,No.23,no.3,pp.591-597,2006.
10) 若菜千穂,広田純一:農山村の生活圏域に着目した生活交通サービス再構築の在り 方,農村計画論文集,第7集,pp.97-102,2005.
11) 喜多秀行,池宮六季,菅洋子,四辻裕文:潜在能力アプローチによる地域公共交通 計画の検討フレーム,土木計画学研究・論文集,Vol.71,No.5,pp.I_163-I_169, 2015.
12) 喜多秀行,岸野啓一,今井正徳,岡田敬:地域公共交通計画策定の実証的研究 ~
奈良県生駒市の例に基づく考察~,土木学会論文集D3,Vol.68,No.5,pp.I_951- I_960,2012.
13) 薦田悟,尾崎拍夢,四辻裕文,喜多秀行:活動機会拡大のための地域公共交通計画 策定支援手法の実用化,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.76,No.5,
pp.I_1209-I_1223,2021.
14
14) 加藤博和,高須賀大索,福本雅之:地域参画型公共交通サービス供給の成立可能性 と持続可能性に関する実証分析 ―「生活バスよっかいち」を対象として―,土木 学会論文集D,Vol.65,No.4,pp.568-582,2009.
15) 森山昌幸,藤原章正,杉恵頼寧:GISを活用した中山間地域の公共交通計画支援ツ
ールの開発,土木計画学研究・論文集,Vol.21,No.3,pp.759-768,2004.
16) 谷口綾子,藤井聡:公共交通利用促進のためのモビリティ・マネジメントの効果分 析,土木学会論文集D,Vol.62,No.1,pp.87- 95,2006.
17) 伊藤真章,松本幸正:運賃変更によるコミュニティバス利用者の利用頻度変化の推 定,交通工学論文集,第1巻,第2号(特集号A),pp.A_54-A_61,2015.
18) 金井昌信,青島縮次郎,杉木直:バス非利用者のバス利用意向とバス路線存続意向 における認知的不協和に関する実証分析,土木計画学研究・論文集,Vol.20, no.3,pp.727-734,2003.
19) 杉浦栄紀,三輪富生,森川高行,山本俊行,加藤博和:バスマップの見直しによる コミュニティバス利用意図の向上可能性に関する研究,土木計画学研究・論文集,
Vol.26,No.4,pp.715-723,2009.
20) 吉井稔雄,池田直隆,北村隆一:公共交通利用促進を目的としたマルチモーダル情 報提供システムの構築ならびにその効果検証,土木計画学研究・論文集,Vol.22, No.3,pp.575-582,2005.
21) 岡村篤,橋本成仁,松村博文:中山間集落における現在のバス利用並びに将来のバ ス利用意向に関する基礎的研究,都市計画論文集,Vol.51,No.3,pp.1249-1256, 2016.
22) 氏原岳人,阿部宏史,柏村友哉:自家用車利用からバス利用への転換可能性とバス サービスに対する改善ニーズ,土木学会論文集G,Vol.68,No.6,pp.II_109-
II_116,2012.
23) 佐藤仁美,倉内慎也,森川高行,山本俊行:公共交通利用促進のためのポイント制 度の評価に関する研究 -名古屋市における交通エコポイント社会実験から-,都市 計画論文集,Vol.41,No.3,pp.25-30,2006.
24) 大友章司,広瀬幸雄,大沼進,杉浦淳吉,依藤佳世,加藤博和:環境に配慮した交 通手段選択行動の規定因に関する研究 -パーク・アンド・ライドの促進に向けた 社会心理学的アプローチ-,土木学会論文集,No.772/IV-65,pp.203-213,2004.
25) 溝上章志,橋本淳也:熊本電鉄の利用促進のための継続的MMと商店街との協働
による交通社会実験の効果,土木計画学・論文集,Vol.25,No.3,pp.731-739, 2008.
26) 藤垣洋平,高見淳史,トロンコソ パラディ ジアンカルロス,原田昇:大都市圏向
け統合モビリティサービスMetro-MaaSの提案と需要評価:自動運転車によるオンデ
15
マンドバスと既存公共交通の将来的な統合を目指して,都市計画論文集,Vol.52, No.3,pp.833-840,2017.
27) 吉田樹:地方小都市における乗用タクシーの定額制サービス導入可能性の検討,交 通工学論文集,第6巻,第2号(特集号A),pp.A_183-A_189,2020.
28) 香月秀仁,川本雅之,谷口守:自動運転車の利用意向と都市属性との関係分析 -
個人の意識,交通行動に着目して-,都市計画論文集,Vol.51,No.3,pp.728-734, 2016.
29) 谷本圭志,川村周平:無人運転技術を用いた車両共有システムの導入に伴う環境影 響に関する分析,社会技術研究論文集,Vol.6,pp.68-76,2009.
30) 小松﨑諒子,武田陸,谷口守:自動運転化による車内活動の変容 ―活動時間価値
に着目して―,交通工学論文集,第7巻,第2号,pp.A_307-A_315,2021.
31) 藤原淳貴,氏原岳人:中山間地域における超小型モビリティの利用適正に関する研 究 ―高齢者の自立した移動を支えるラストカーの提案―,都市計画論文集,
Vol.54,No.3,pp.703-710,2019.
32) 岡村篤,橋本成仁:空飛ぶクルマの導入が地方小都市の外出行動に及ぼす効果に関 する基礎的考察,土木計画学研究・講演集,Vol.64,2021.
33) 例えば,佐川急便株式会社:ニュース2017年,乗合タクシーを活用した貨客混載
事業を開始,http://www2.sg-hldgs.co.jp/newsrelease/detail/2017/1031_1278.html, 2017(2022.1.18最終閲覧).
34) 例えば,森栗茂一,猪井博登,時安洋,野木秀康,大井元揮,大井俊樹:コミュニ ティ交通のつくりかた 現場が教える成功のしくみ,学芸出版社,pp.49-69,2013.
35) 谷本圭志,小澤陽:タクシーを活用した貨客混載システムの導入可能性の評価に関 する基礎的手法の構築,都市計画論文集,Vol.54,No.3,pp.665-671,2019.
36) 吉武哲信,明石千鶴,濱砂亨,白石悦二:過疎地域での自家用有償運送での貨客混 載と地域組織による末端集配を組み合わせた共同輸送システム構築に向けた課題整 理 -宮崎県西米良村小川作小屋地区を対象として-,交通工学論文集,第3巻,
pp.A_28-A_36,2017.
37) 村上早紀子・北原啓司:地域住民のモビリティを支える「Co交通」 -「Co交
通」の形成に関する研究-,都市計画論文集,Vol.49,No.3,pp.963-968,2014. 38) 谷内久美子,猪井博登,新田保次:個人と地域の特性から見た住民のバス事業への
参加意識の要因分析,都市計画論文集,No.44-3,pp.499-504,2009.
39) 川端光昭,松本昌二,佐野可寸志,土屋哲:地方集落におけるバス運営の自律型移 行に対する需要意識と方略」,社会技術研究論文集,Vol.7,pp.162-170,2010.
40) 岡村篤,阿部佑平,福井淳一,松村博文:集落における地域公共交通への支援金支 払い及び相乗り事業への参画・利用意識に関する研究,交通工学論文集,第3巻,
第2号,pp.A_153-A_162,2017.
16
41) David Ling,Russell Mannion:Improving Older People's Mobility and Quality of Life:
An Assessment of the Economic & Social Benefits of Dial-a-Ride,Mobility and Transport for Elderly and Disabled People, Ideas into Action, Proceedings of the 7th International Conference on Berkshire, United Kingdom, pp.331-339, 1995.
42) 西堀泰英,土井勉,安東直紀:利用実態と住民意識からみた住民主体の地域公共交 通が果たす役割 -高齢者の活動しやすさに制約のある地域に着目して-,都市計画 論文集,Vol.52,No.3,pp.818-824,2017.
43) 橋本成仁,厚海尚哉:移動のしやすさと高齢者の主観的幸福感の関係に関する研 究,都市計画論文集,Vol.50,No.2,pp.162-169,2015.
44) Junghwa Kim, Jan-Dirk Schmöcker, Toshiyuki Nakamura, Nobuhiro Uno, Takenori
Iwamotoe:Integrated impacts of public transport travel and travel satisfaction on quality of life of older people,Transportation Research Part A:Policy and Practice,Volume.138, pp.15-27,2020.
45) 森山昌幸,藤原章正,杉恵頼寧:高齢社会における過疎集落の交通サービス水準と 生活の質の関連性分析,土木計画学・論文集,Vol.19,No.4,pp.725-732,2002. 46) 谷本圭志,宮崎耕輔,菊池武弘,喜多秀行,高山純一,公共交通不便地域における
バスサービスの変化と住民の反応,運輸政策研究,9巻,4号,pp.17-23,2007.
47) 田尾圭吾,橋本成仁:中山間地域における将来の移動手段の不安に関する要因分 析,交通工学論文集,第1巻,第2号(特集号A),pp.A_165-A_171,2015.
48) 森英高,谷口守:日常生活における不安の軽減という観点から見た予約型移動サー ビス運行に関する一考察」,交通工学論文集,第2巻,第2号(特集号A),
pp.A_151-A_159,2016.
49) 古川のり子,橋本成仁:居住者の買物行動支援サービスおよび公共交通の活用意向 とバス支援意識との関連性把握,土木学会論文集D3,Vol.67,No.5,pp.I_1029- I_1037,2011.
50) 大山英明,三寺潤,川上洋司:沿線住民の認識を通した地方鉄道の価値に関する研 究 :えちぜん鉄道を事例として,都市計画論文集,Vol.47,No.3,pp.319-324, 2021.
51) 橋本成仁,恒藤佑輔:住民主体による生活交通運営活動への参加意識と住民の主観 的幸福感との関係に関する研究,都市計画論文集,Vol.53,No.2,pp.124-131, 2018.
52) 西村和記,土井勉,喜多秀行:社会全体の支出抑制効果から見る公共交通が生み出 す価値-クロスセクターベネフィットの視点から-,土木学会論文集D3(土木計画 学),Vol.70,No.5,pp.I_809-I_818,2014.
53) 藤井聡,染谷祐輔:交通行動と居住地選択行動の相互依存関係に関する行動的分 析,土木計画学研究・論文集,Vol.24,No.3,pp.481-487,2007.
17
54) 藤井聡:交通行動が居住地選択に及ぼす影響についての仮説検証:コンパクト・シ
ティへの誘導に向けた交通政策に関する基礎的研究,交通工学,Vol.43,No.6, pp.53-62,2008.
55) 小塚みすず:都市類型からみた住民の定住意向と居住環境整備の認識の関係に関す る研究,環境情報科学論文集,Vol.23,pp.321-326,2009.
56) 森英高,谷口守:潜在的な転居意向の実態とその要因に関する調査報告-居住者の
都市構造リスク認識という観点から-,都市計画論文集,Vol.49,No.3,pp.405- 410,2014.
57) 後藤菜月,平田輝満:市町村単位の年齢構成バランスと地元定住度に関する研究-
茨城県を対象として-,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.71,No.5,pp.I_305- I_312,2015.
58) 長尾基哉,中川大,松中亮治,大庭哲治,望月明彦:地方都市における鉄道・軌道 の運行頻度に着目した駅周辺人口分布の経年変化に関する研究,土木計画学研究・
論文集,Vol.27,No.2,pp.399-407,2010.
59) 有川つばさ,塚井誠人,桑野将司,藤山浩,山田和孝:中山間地域住民の生活利便 性が居住継続意向に及ぼす影響の分析,土木計画学・論文集,Vol.26,No.2, pp.383-391,2009.
60) 山口創,中塚雅也,星野敏:農村集落の社会特性と定住に関する実証的分析 -兵
庫県篠山市を事例として-,農村計画学会誌 26巻論文特集号,pp.287-292,2007.
61) 岩下和弘,鶴田佳子,坂本淳:人口減少時代における中山間地域の居住地としての 持続可能性からみた地域類型化-岐阜県郡上市におけるケーススタディ-,都市計画 論文集,Vol.52,No.3,pp.435-442,2017.
18
19
第3章 住み続けの上での外出及び移動の重要性評価1) 第1節 概説
外出に着目した研究については,第2章第2節で述べた論文の他にも多数蓄積されて いる.伊勢・湊2)は,移動販売・宅配などの支援サービス導入により買物の外出頻度が 増減する効果があることを明らかにし,買物支援サービス導入時には移動販売等のニー ズだけでなく外出頻度の増減についても考慮する必要があることを指摘した.出口・吉 村3)は,過疎地における買物弱者の買物行動と利用する施設への外出行動の実態を把握 し,施設立地と買物行動選択の関係性を明らかにした.柳原ら4)は,都市部・地方部の それぞれで外出頻度に影響する要因を明らかにし,両地域ともに交通手段及び公共交通 の影響が大きいことを論じた.椎野ら5)は,高齢者の余暇外出行動に着目し,その実態 を空間特性を基に分類し,余暇に関する外出機会の増加に関する計画学的提言を行った.
このように外出に関する研究も多数蓄積されている.しかし,中山間地域を対象とし た論文は比較的少ない.また,住み続けの観点から外出及び移動の重要性を評価した研 究は見られない.
そこで本章では,中山間地域を対象に,住み続けの上での外出及び移動の重要性を評 価する.さらに,生活交通の改善が,外出を重要視する層に対して,どのように影響を 及ぼすかを明らかにする.
第2節 研究対象地域と調査概要
本章では,岡山県久米郡久米南町(図 3-1)を分析対象地域とする.久米南町は,岡山 市・赤磐市・久米郡美咲町の3市町村と隣接し,町内の大部分は山林となっている中山 間地域である.人口は4907人,人口密度は62.4人/km2,高齢化率は42.3%(2015国勢調 査)である.中央部に国道53号線と西日本旅客鉄道津山線が南北にあり,この国道沿い に買物店舗や医療施設が立地している.買物店舗はスーパーやコンビニ,ドラッグスト ア等があるのに対し,医療施設は診療所と歯科があるのみである.そのため,より高度 な医療を求めて福渡病院等の町外の病院に通院する人も多い.
久米南町では,平成17~26年まで町が定時定路線型の町民バス(路線数5本,一日6 便,平日のみの運行.)を無償で運行していた.平成27年度より,持続可能な公共交 通ネットワーク構築を目的に,平成27~31年度の計画期間で「久米南町地域公共交通 網形成計画」が策定され,デマンド形式のカッピーのりあい号の運行が行われてい る.
20
カッピーのりあい号は,路線数は5 本で,便数は各路線とも往復 6便/日であり,運 賃は片道300円である.平日のみの運行で,電話予約形式であり,町内であれば自宅か ら目的地までdoor-to-doorで利用できる.カッピーのりあい号は久米南タクシーという タクシー会社が受託している.久米南町では,平成27 年まではタクシー会社は全て撤 退していたが,地域公共交通網形成計画の策定及びカッピーのりあい号の導入に伴い,
久米南タクシーの営業所が町内に新たに設置された.
本章では,カッピーのりあい号に関してアンケート調査を実施した(表3-1).アンケ ート調査は20歳以上の町内在住の個人を対象に行っている.調査票は公衆衛生の向上 のために組織された久米南町愛育委員連合会の協力の下,各世帯に直接配布・直接回 収を行っている.アンケート調査票では,カッピーのりあい号の利用状況やその評価 に関する項目,外出実態などの交通に関する設問を設定している.
図3-1 久米南町の施設立地と生活交通網
表3-1 久米南町における住民アンケート調査の概要
調査対象 岡山県久米郡久米南町在住の20歳以上の町民全員 調査の時期 平成30年10月23日~
配布・回収方法 久米南町愛育委員による戸別配布・回収 有効回収数 2885部 (回収部数は全部で3188部) 有効回収率 72.80%
1.あなた自身のことについて 2.町内での通院・買物について 3.福渡病院までの通院について 4.趣味や食事などの余暇活動について 5.「カッピーのりあい号」について 6.生活の満足感や幸福感について 7.久米南町で今後も住み続けることについて 主な調査内容
21
また,交通関係以外にも,久米南町で今後も住み続ける上で重視する内容について調 査している(表 3-2).表 3-2の意図は,交通手段の充実が,住み続けに関する他の要因 と比べて,どの位置づけにあるかを相対的に明らかにするためである.結果としては,
通院と買物については比較的上位にあるのに対し,余暇活動や通勤に関しては比較的低 い位置にある.なお,表3-2の調査に当たり,各項目内容に関する自己負担や行政コス トの増加については,設問の中で考慮されていない.そのため,回答が全体的に「重視 する」に偏っている可能性がある.表3-2の解釈に関する留意事項として,平均値の多 寡で各項目を個別に評価するのではなく,上述のように項目全体の中での相対的な位置 づけに着目して考察を行う必要がある.
表3-2 久米南町での住み続けで重視する内容
住み続けの上で重要視すること
(「5.重視する」~「1.重視しない」の5段階評価) 平均値 N
自分の健康状態 4.62 2136
自分の経済的な余裕 4.40 2045
交通事故・防犯・防災などへの安全性の確保 4.36 2036
町内の医療施設の質や数の充実 4.28 2035
通院先までの交通手段の充実 4.23 2047
町内の買い物店舗の質や数の充実 4.21 2029
買い物先までの交通手段の充実 4.15 2021
住宅などの住まい環境の充実 4.14 2011
地域住民相互のつながりがあること 4.08 2055
自分の職業・生業の有無 3.92 1933
生きがいを持てる趣味や活動の充実 3.90 2021
町内の余暇活動施設の質や数の充実 3.81 1976
余暇活動先までの交通手段の充実 3.77 1974
通勤先までの交通手段の充実 3.74 1860
公園などの子供の遊び場の充実 3.72 1975
地域内活動(お祭り、清掃など)の充実 3.72 2013
自宅で受けられる医療サービスの充実 3.65 1990
自宅でできる余暇活動の充実 3.61 1989
買物支援サービスの充実 3.55 1983
22
第3節 外出の重要性の評価とそれに基づく個人の分類
本節では,住み続けの観点から外出の重要性の評価を行う.具体的には,住み続けの 観点から,「外出して行きたい場所まで行くこと」と「自宅で用事を済ますこと」の比 較を行う.比較方法はAHP(階層分析法)を用いる.分析にあたり,交通手段の種類によ って,外出の意向も変化することが考えられる.そのため,本章では,住み続ける上で 重要視することとして,「公共交通で行きたい外出先まで行く」,「家族や友人などの送 迎で,行きたい外出先まで行く」,「外出はせず,自宅で活動する」の3つの評価基準を 設定し,比較分析を行う.階層構造は図3-2のとおりであり,通院・買物・余暇活動の 3パターンごとに比較を行う.また,AHPを行うにあたり,アンケート調査の被験者に は,どちらの項目がどの程度重要かを5段階評価で尋ね,一対比較で評価した.その後,
幾何平均法を用いて各サンプルの重要度を算出した.この重要度は,AHP の分析過程 で算出される指標であり,0.00~1.00までの量的変数として扱われる.重要度の平均値 を表3-3に示す.なお,C.I.が0.15未満のサンプルを分析有効サンプルとしている.
図3-2 設定した階層構造について
表3-3 AHPによる,外出の重要性に関する重要度の比較分析
公共交通 で行きたい 通院先 まで行く
家族・友人な どに送迎して もらい、通院 先まで行く
訪問医療や 遠隔診断等 の在宅医療 を利用する
公共交通 で行きたい 買物先まで 行く
家族・友人な どに送迎して もらい、買物 先まで行く
移動販売や インターネット で買物を行う
公共交通 で行きたい 余暇活動先 まで行く
家族・友人な どに送迎して もらい、余暇 活動先まで 行く
自宅でできる 余暇活動を 新たに探す
0.37 0.37 0.26 0.32 0.38 0.31 0.30 0.31 0.39
N P値 (分散分析)
分散分析及び多重比較 **:1%有意 *:5%有意
通院 買物 余暇活動
比較項目
重要度の 平均値 (0.00~1.00 の量的変数)
1365 1340 1145
0.0000** 0.0000** 0.0000**
** ** ** ** ** **
23
表3-3において,通院については,通院先まで行くことが,在宅医療よりも重要視さ れていることが示唆された.買物については,送迎で買物先まで行くことが,他の2つ と比べて重要視されていることが示唆された.余暇活動については,自宅で活動を行う ことが,公共交通もしくは送迎で余暇活動先まで行くことと比べて重要視されているこ とが示唆された.また,通院・買物・余暇活動全体で共通する点として,「公共交通で 行きたい外出先まで行く」と「家族・友人などに送迎してもらい外出先まで行く」の重 要度を合計すると,0.5を上回る.このことから,住み続けの上で,「外出して行きたい 場所まで行くこと」は,「自宅で用事を済ませること」よりも重要視されていることが 示唆された.
続いて,どのような属性の人がどのように外出を重要視しているかを明らかにする.
具体的には,表 3-3 の重要度を用いてクラスター分類を行った(表 3-4).統計ソフトは
SPSS Statistics 22を用い,サンプル間の距離はユークリッド平方距離で,ward法で行っ
た.グループ1は通院・買物・余暇活動の全てで公共交通で目的地まで行くことの重要 度が 0.5 以上であったことから「全ての活動で,公共交通による外出を希望」とした.
グループ 2は通院と買物で公共交通で目的地まで行くことの重要度が 0.5 以上であり,
余暇活動では自宅での活動の重要度が0.5以上であったことから「通院・買物は公共交 通で外出を,余暇活動は自宅を希望」とした.グループ3では通院・買物・余暇活動で 家族・友人などによる送迎で外出先まで行くことの重要度が高いことから「全ての活動 で,家族・友人等の送迎による外出を希望」とした.グループ4は,通院と買物で家族・
友人などの送迎で目的地まで行くことの重要度が0.4以上であり,余暇活動では自宅で の活動の重要度が0.5以上であったことから「通院・買物は家族・友人等の送迎による 外出を,余暇活動は自宅を希望」とした.グループ5は通院・買物・余暇活動の全てで 自宅での活動の重要度が 0.4 以上であったため「全ての活動で,自宅を希望」とした.
表3-4 外出の重要性の評価を基にしたクラスター分類結果
公共交通で 行きたい 通院先まで 行く
家族・友人 などに送迎 してもらい、
通院先まで 行く
訪問医療や 遠隔診断等 の在宅医療 を利用する
公共交通で 行きたい 買物先まで 行く
家族・友人 などに送迎 してもらい、
買物先まで 行く
移動販売や インターネット で買物を行う
公共交通で 行きたい 余暇活動先 まで行く
家族・友人 などに送迎 してもらい、
余暇活動先 まで行く
自宅でできる 余暇活動を 新たに探す
グループ
1 151 0.63 0.16 0.21 0.55 0.14 0.31 0.63 0.15 0.22全ての活動で、
公共交通による 外出を希望 グループ
2 103 0.55 0.26 0.19 0.50 0.29 0.21 0.25 0.16 0.59通院・買物は公共交通 による外出を、余暇活動は 自宅を希望
グループ
3 246 0.26 0.58 0.16 0.22 0.59 0.19 0.22 0.57 0.21
全ての活動で、
家族・友人等の送迎による 外出を希望
グループ
4 169 0.19 0.62 0.20 0.15 0.48 0.37 0.14 0.29 0.57通院・買物は 家族・友人などの送迎を、
余暇活動は自宅を希望 グループ
5 167 0.32 0.16 0.52 0.28 0.21 0.51 0.29 0.23 0.48全ての活動で、
自宅を希望 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000** 0.0000**
判定(分散分析) **:1%有意 *:5%有意 重要度の平均値
N 解釈
P値(分散分析)
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