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伝統的住宅地 における住宅の維持管理 について ( その 2)

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(1)

伝統的住宅地 における住宅の維持管理 について ( その 2)

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富士 田亮子 土居 亮子 *

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一 屋根 ・外壁の維持管理の実態について ‑

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Keywords:住宅の維持管理,屋根 ・外壁 の損傷 ,居住者管理,木造戸建住宅

l.緒言 用伝統 的建造物群保存地 区(以下重伝建地 区 とい う)

住宅が傷 みやす いの は,外 回 りに面 した屋根 ,外 にお ける補助 の現状 につ いてであ る

壁,樋 であ る 1)。住宅 の外壁 や屋根 な どの外 回 りの

維持管理 は,風雨か ら建物 を守 り,長持 ち させ るた lll.結果及 び考察 め に も欠 くことので きない行為 であ る そ こで,長 主屋 の外観

い年 月住み続 けて居住者が住 まいへ の関わ りの深 い 主屋 の屋根 ,外壁 の構 成 は表

1

に示す通 りであ る

伝統 的住宅地 において,現在 まで引 き継 が れてい る 対象住宅 は,全住 宅平入 りである 吹屋 は,平入 り, 外壁や屋根 な どの主 に住宅 の外 回 りの維持管理 の実 妻入 りが混在す る ところであ るが,調査住宅 は平入 態 と意識 を把 握 し,時代 に よる変化 や地域特性 を, りであ った。道路 に面 した 1階の表側 の外壁 は,土 外壁 ・屋根 の損傷 ,居住者 に よる 日常管理 ,居住意 壁 とそ れ を保 護 す るた め の羽 目板 貼 りとな って い 識の面か ら明 らか にす る また開口部 は,格子 窓や格子戸 であ る 羽 目板 の材 は,吹屋 ,富 田林 で は焼杉 ,美濃 ,京都 は素木 ll.研究方法 を主 に用 いてい る 羽 目板粘 りは,と り刃打 ちであ

対象地,対象家庭 ,調査方法,時期 は前報 に よる

を残 して貼 られてい るので,町並 み に白,黒 の コ ン 本報の調査 内容 は,外壁 及 び屋根 の損傷 の実態 ,居

住者の 日常管理,業者が関わ る管理 ,居住意識 ,垂

岡 山大学教 育学 部家政教育講座

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63

The following facts were revealed after interviewing the previous households on the aware- ness and current status of the maintenance and preservation of their residential exterior such as rooftops and outer walls.

(l)By cleaning the outer walls or gutters, residents were able to become aware of any exter- nal deterioration or damage at an early stage.

(2)Each household has their own trustworthy roof-repairer or carpenter serving them genera- tion after generation, who will look after their residences and immediately repair any small damages.

(3)The project to preserve groups of significant traditional constructions is effective in eco- nomically supporting the nlaintenance of such residences and also arousing the awareness in that respect.

(4)Residents have the desire to continue living in such residences for a long period of time, and thus are concerned about its maintenance and preservation.

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The Maintenance and Preservation of Houses in the Traditional Residential Areas (Part 2) - The Current Status of the Maintenance and Preservation of Rooftops and Exterior - Ryoko FUJITA and Ryoko DOI*

Department of Honle Economics Education, Faculty of Education, Okayama University, 3-1-1 Tsushima-naka,Okayama 700-8530

*Graduate School of Education (Master's Course)

- 63 -

(2)

富 士 田亮 子 ・土 居 亮 子

トラス トを見せている 富 田林の一例 には厨子二階 に竪格子の桟 を壁土で塗 り込めた虫寵 窓がある 窓 は,富田林,美濃では素木の格子で,京都 は台格子, 千本格子である

美濃では卯建つ構 えのある屋根 は,少 し丸みのあ る起 くり屋根 もある また富 田林や美濃 には煙 出 し がある住宅 もある 富田林,美濃 は本瓦葺である

表 1 主屋の外観

家族番号 壁仕上げ材 窓. 1 羽 目板 (焼杉)格子 窓 (弁柄塗り) 2 羽 目板 (焼板 )格子 窓 〔弁柄塗 り) 3 羽 目板 (焼板 )格子 窓 〔弁柄塗り) 4 羽 目板 (焼杉 )鬼格子

5 羽 目板 (焼杉 )格子 .厨子二階:虫寵 窓 6 羽 目板 (焼杉 ) 出格子

7 羽 目板 格子 窓 8 羽 目板 格子 窓 9 羽 目板 格子 窓 10 羽 目板 格子 窓,大戸 ll 羽 目板 格子 窓

13 漆喰壁

12 漆喰壁 格子子窓窓 (弁柄塗り)

屋根 の葺き万と特徴 桟 瓦葺 (石州瓦 ) 桟 瓦葺 (石州瓦 ) 桟 瓦葺 (石州瓦 ) 本瓦葺 (樋 :銅板 ) 本瓦葺 (堰 :銅板 ) 本瓦葺 (檀 :銅板 ) 本瓦葺 (卯建構 え.袖壁つき) 本瓦葺 (卯建構 え.袖壁つき) 本瓦葺 (卯建構 え.袖壁つき) 本瓦葺 (卯建構 え.袖壁つき) 本瓦 葺 (卯建構 え.袖壁つき)

桟瓦 葺 桟瓦 葺

2 主屋の外壁の損傷 の実態 と修理状況 (1)損傷時期 と状態

対象住宅の最近の外壁の損傷 について尋 ねた とこ ろ,表

2

の ように,損傷時期 は

1 975

年か ら

20 05

年 の間である その うち,約半数の住宅 はこの

4

,

5

年の間に損傷が起 こっている 損傷 は,漆喰が はが れ落ちる,壁 に汚れや しみがで きる,玄関口の柱が 傾 く,羽 目板が反 る,亀裂が入 り中の壁土が表にで ていることである 漆喰が はがれる場合 と,羽 目板

その ものに損傷が起 こって,中か ら壁土がでて くる などの損傷が起 こる場合 とが見 られた。 これは,疋 田 らの奈良県 における在来木造住宅の調査 と同様の 結果が得 られた1'。

また,年代 によって,損傷の状態 に大 きな違いは み られなかった。

(2)損傷の原因

対象住宅の損傷の原因を見る と, 5つ に大別 され た。一つ は長年の風化 に因る老朽化である 紫外線 に因る木材の 日焼 け,反 り,材が細 くなる,壁士の 劣化 な どがあげ られる この ような風化 は,地区に かかわ らずあ り,半数の世帯で起 こっている 二つ めは,各地区を襲 った大型台風や雨雪 な どによる も のである三つめ として,特 に富 田林で見 られたが, 住宅の周辺の道路 との関係や,車の交通問題があげ

られた。つ ま り,住宅周辺の道路 との高低差,交通 量の増加 によって,道路の水が はねて外壁が汚染 さ れやす くなっている 四つめ として,建物 の位 置, つ ま り,建物が連続 して建て られていて風雨 にさら されない位置か どうか という問題 に因る 京都,美 濃の場合の妻側 は両隣 と接 しているので,妻側 は風 雨の影響 を受けに くい。五つめ として,建物 の屋根 の軒の出に因る もの もみ られた。富 田林や美濃では 軒 ので は

1 20cm

あ り,軒 の出が深 い。軒 の出が深 いほ ど,直接風雨がかか らないので,外壁の損傷 を 防 ぐことがで きる

(3)外壁の修理状況及び内容

外壁の修理 を見る と,居住者が一部修理 して,残 りを業者が行 っている世帯 は2世帯であ り,他 の全 世帯 は,業者 に依頼 している 居住者 自身が行 って いる修理 は,板粘 りの釘の打 ち直 し,板貼 りの下部 の傷 んだ箇所 を新 しい板 に差 し替 えるな ど手の届 く 表2 外壁の損傷状態 と修理状況

時期 (午) 家族番号

7 1 1

199988505 ・汚壁 下破風 側 の漆 喰壁 が剥 が れ落 ちる汚 れ30cm.染 みはが れ る 1991 大 きな損 傷 な し

1995 羽 目板 が 反 り,土壁 が 出て きた 1997 玄 関の柱 が傾 く

・亀 裂が入 り,壁 が 落 ちる

・壁 が落 ち る 2

20005 00 ・自自漆漆 喰喰壁壁 がが剥剥 がが れれ落落 ちち る

その他 の損傷 2002 塀 の板 が崩 れ る

6 611

14 前 面塗 り替 え その ま ま, 一1977年 に 2回 にわた り伝 建 事 業 で修理部居 住者が修 理 13 3回吹 き付 け

4 その まま

5 2004年 に伝 建事 業 で修理

4 2001年 に トタ ンか ら羽 目板 に替 えた 9 す ぐに修 理 した

3 その ま ま

7 ステ ンレス板 を貼 り修理 済 み

12 鉄 筋入 りの コ ンク リー ト塀 に杉 皮 を貼 り,修 理 済 み

(3)

高 さの範 囲内の簡単 な修理 に限 られている 業者 に 任せ た修理 は,羽 目板 を貼 るまたは貼 り直す,ステ ンレス板 を貼 る,壁 の塗 り替 えをす るな どであ った。

外壁の保全,修理 は専 門技術 を要 し,居住者の手の 届かない部位 もあるため,居住者 自身で完全 に修理 で きない ものが大半であるので,業者 に依頼 してい る また,重伝建地区の場合の伝建事業 による修理 は,損傷のない 2世帯 を除 く9世帯 中 3世帯 で行 わ れていた。伝建事業 による修理 内容 は,3地域 とも 道路 に面 した表側の修理 に補助が 出るためそれに添

った修理である 重伝建地区で まだ修理 していない 世帯 も,伝建事業の補助 を受 ける申請 は してい る

伝建事業 によるのではな く,業者 に修理 を依頼 した 世帯 は,修理の緊急性が高い こと,修理資金があ っ たことが関係 している

3.屋根の損傷の実態 と修理状況 (1)損傷時期 と状態

対 象住 宅 の最近 の屋 根 の損 傷 時期 は表

3

の よ う に,一番古 くて1965年で,新 しくて2005年 であ る

特 に2000年前後5年の間に起 きてい る住 宅が多い。

また 1965年 頃に 1回損傷が起 こ り,約 2000年前後 に2回 目の損傷が起 こっている住宅 もあ った。また, 毎年の ように瓦のずれな ど何 らかの小 さな損傷が起

こっている住宅 もあった。瓦 を全面葺 き替 える,古 い瓦 を葺 き替 えるな どの大修理 を必要 とす る損傷 は 3,40年 に一 度起 こってい る程度 であ るが ,瓦 が 一枚割れる,瓦が何枚かずれるな どの小 さな修理 を 要す る損傷 は どの住宅 に も数年 に一度 は起 こってい る 全世帯 に共通 して見 られる損傷 は,瓦が割れ る, ずれ るな どであった。その他 には,樋 を超 えて瓦が ずれ落ちる損傷や,瓦が台風で ま くれて落 ちる,瓦 が欠けるな どが見 られた。 また さらに瓦がずれる事

表3 屋根の損傷状態 と修理状況

家族番号 時期( 損 傷状 態 修 理状 況 1 毎年 瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替え(伝建事業 ) 2 1985瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 .雪の重み 瓦 の葺き替え

3 2001瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 .台風 瓦の葺き替え

4 2000瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替え中 (伝建事業 )

1997瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 残りの側の瓦を葺き替え 5 16 瓦のの割割れれ.. 瓦の差し替え片方側の瓦の葺き替え 6 毎年95 ずれれ 瓦瓦のの劣劣化

7 2005瓦の割れ 瓦の劣化 .雪の重み ステンレスに一部替えた 8 1988瓦のずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替え 9 2000瓦の割れ.ずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替え(全て)

2005瓦のずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替え予定 (次年度) 10l 955瓦ののずれずれ 瓦のの葺葺きき替替ええ予定 (古い瓦のみ l 21600 . 瓦のの劣劣化 ( 次年度)) 12 時 々 瓦の割れ 瓦の劣化 瓦の差し替え

13 1993瓦の割れ .ずれ 瓦の劣化 瓦の葺き替えと一部修理

によって,雨漏 りな どの被害 も見 られた。

(2

)損傷 の原因

対象住宅の屋根 の損傷 は,全地域共通 に,長年の 風化 による瓦の劣化 に因る 大部分の対象住宅は建 築 当時か らの瓦 を使用 してお り,土葺 きであるため 瓦がずれやす い と考 え られる 葺 きかえない といけ ないほ ど劣化 している もの もあるが,屋根面積が大 きいために一度 に全て葺 き替 えることがで きないた め,その ままの状態で使用 していて,ひび割れた り, ずれた り,欠けた りしやす くな り,雨漏 りな どが起

きている その他 に地域 によっては,大型台風 に因 る瓦の破損や大雪 に因る雪の重みで瓦が割 れる,ず れるな ども見 られた。美濃 では特 に何百年前の古い 瓦の場合,寒 さに よ り雪が解 けて瓦 に しみて,割れ ている また,富 田林では,外壁の損傷 の原因 と同 様 に,交通量の増加 によって,車の振動で,瓦がず れやす くな り,傷 みやす くなっていることがあげ ら れた。以上 よ り,建 設時か らの 100年か ら200年経 つ瓦 を使用 しているため,瓦 自体が これ までの長年 の風化 によってずれる ・割れる ・欠 けるな どの劣化 が生 じている といえる そ して, これは雨漏 りな ど の屋根 の損傷 の大 きな要 因であ る こ とが推 察 で き る

(3)修理状況及 び内容

屋根 の修理状況 を見 る と,全世帯が修理 し終 わっ ている, または修理 中,修理 を依頼 して待機 中のい ずれかであ り,何 らかの対応 を している 全世帯 と もに業者 に依頼す る修理 を しているが,その前の段 階で居住 者 が行 え る修 理 を して い る世帯 も見 られ た。居住者が行 った修理 は,外壁 と同様 に居住者 自 身が損傷 している と気づ く初期段 階で,手の届 く高 さの範 囲で簡単 な修理 に限 られる また業者 に依頼 す る前 に,数枚程度の瓦のずれ を直 した りす る程度 の小修理である

垂伝 建 地 区の場 合 ,伝 建事 業 に よる修 理 は,ll 世帯 中

7

世帯 で行 われている また伝建事業 によ り 修理す る予定のあ る世帯が 2世帯 である 修理 内容 は,全世帯 ともに瓦の葺 き替 えであ る しか し,一 度 に全面的に全 ての瓦 を葺 き替 える世帯 は 3世帯 の みであ り,多 くの世帯が, 2, 3回に分 けて葺 き替 えた り,屋根 の雨漏 りしている側の片面だけを葺 き 替 えた り,古 い瓦 で割れた りな どの傷みの激 しい瓦 だけを葺 き替 えるな どの修理 をまず は している

また,瓦 の葺 き替 え も100年か ら200年前 の瓦 と 全 く同 じ瓦の復元 になる と費用 もかか るので,富 田 林 の場合は雨漏 り防止のみの瓦 は,桟瓦で葺 き,追 路か ら見 える表側の部分 には今 まで と同様の本瓦 に 葺 き替 え,屋根 が少 し見 える奥側の部分では,雨漏

6 5

(4)

富士 田亮子 ・土居 亮子

りを防 ぐだけの 目的の瓦 よ り少 し高価 な紋入 りの瓦 に葺 き替 えるな ど,修理 コス トを考 え部位 によって 用いる瓦の種類や葺 き方 を変 えている例 もある ま た,吹屋 の場合 は,建築時か ら使 われていた瓦 は現 存 しないので,傷 んだ瓦だけを新 しい石州瓦 に葺 き 替 えている しか し,修理 した箇所 とそ うで ない と ころが 目立つので,新 しい瓦 を部分 的 に差 し替 え, まば らに葺 き替 えることによって,修理箇所 を目立 たな くしていた。いずれ も伝建事業 に よる ものであ るので,屋根 は地域 を考慮 にいれた修理 を行 ってい る

4.

日常管理

住宅 を維持す るためには,入居後の居住者 の 日常 的な手入れが必要不可欠である 伝統 的 な住宅の居 住者の 日常的 に行 っている溝 ・土台周 り,外壁 ・格 千,屋根 ・樋 などの住宅の外 回 りの 日常管理 につい てみる と表 4‑ 6の通 りである

(1)溝 ・土台周 り

家 の周 りを美 しく維持す るため に半数 の世帯 で, 溝 や土台周 りの掃 除,草取 り及 び点検 を してい る

残 りの世帯 は,地域全体 の清掃活動 で行 っているの で,個 々の世帯では特 に していない。 また,吹屋 で は,暗渠で, ゴ ミや土が溜 まらない ようになってい るため, 日常 的に掃 除を していない。一方,京都 で は, この地域 の特徴 である 「か どは き」 を通 して 日 常的 に土台周 りの掃 除 を している

掃 除を毎 日行 っている世帯 は 4世帯 であ り,時々 している世帯が 1世帯, 1年の うちお盆 に 1回 また はお盆 とお正 月の2回程度 している とい う1年のサ イクルで行 っている世帯が2世帯 であ った。

清掃及び点検者 は,大半 は世帯主である 住宅内 は女性が主 に行 っているが,外 回 りは世帯主が 中心 である

掃 除内容 は,溝 の土や草, ゴ ミを取 ることや,土 台周 りの ゴ ミを拾 い,掃 くことであ った。 日常的に 行 う清掃 内容 と

1

年 をサ イクル とした清掃 内容 はほ ぼ同 じであるが,年 に数回行 う清掃 内容 は,行事前 の草取 り,雨や台風後の点検 をす る こ とであ った。

溝 ・土台周 りの掃 除は,開渠か暗渠, また前面道路 の舗装状態 によって左右 される

(2)外壁 ・格子

外壁や格子の掃 除及び点検 は,全世帯が行 い,そ の うち半数が ほぼ毎 日行 っている 残 りは, 1ケ月 に 1回程度行 っている世帯が 1世帯, 1年 に 2, 3 回 している世帯が 2世帯,年末 または秋祭 りの前 に

1回 とい う 1年サ イクルで行 っている世帯が 5世帯 である

頻 度 .時 期 毎日 毎日 毎日 日常的 頻 繁 に 時 々 お盆 前 お盆 前 と年 末

4

溝 ・土台周 りの 日常管理

家族番号掃 除 及 び点 検 者 掃 除 .点 検 内容 10

ll 14 世 帯 主

3 世 帯 主 6 世 帯 主 1 世 帯 主 2 人 に頼 む . 10 世 帯 主

5

家族番号 頻 度 .時 期 1 時 々

2 秋 祭 りの前 に1 3 秋祭 りの前 に1 4 毎日

5 年末 に1 6 年 末 に1 7 年 に3 8 毎日 9 年 に2‑3 10 月に1

頻 繁 ll 毎日 12 週 に2 13 年末 に1

家族番号 頻 度 .時 期 2 梅 雨 時 3 年 に1 4 雨 ,雨 時 5 雨 ,梅 雨 時 6 雨が漏 るとき

年 に1 7 頻 繁 8

雨が 降ったとき 年 に1 時 々 雨が 降ったとき l90 年 に雪 解 けのころ1 1l

年 に1 樋 が詰まったとき 年 に1 1 1

1234 樋 が詰 まったとき

ごみを拾 い,掃 く 掃 く

掃 く

溝 の蓋 の無 い箇 所 は,土 や草 を取 る 溝 のごみや草 を取 る

溝 の蓋 の無 い箇 所 は,土 や草 を取 る 草 取 り

草 取 り

清掃及び点検者 は,半数以上の 8世帯が世帯主で あ り, 4世帯が妻,その他 に,お手伝 いの人が行 う 世帯や,祖母や家族全員で行 う世帯が見 られた。

掃 除内容 は主 に,外壁 の格子 を拭 く, はた きをか ける, または, はた きをかけてか ら拭 くことであ っ た。 この他 に,外壁 にペ ンキを塗 り,その上か ら食 用油 を塗 ってお き,水 をほ じかせ ることを していた り,傷みかけた ら釘 を打つ こと,表の板壁 を洗 うこ

外壁 ・格子の 日常管理

担 当者 掃 除 内容

世帯 主 世帯 主 世帯 主 世帯 主 祖 父 世帯 主 従業 員 夫婦

世帯 主 祖母

格子 にはたきをか ける 格子を拭 く

格子 にはたきをか け、拭 く 格 子 ,羽 目板を拭 く

羽 目板 にペ ンキを塗 り,水をほじかせ る 格子を拭 く

格子 を拭 く 格子 にはたきをか ける 格子を拭 く

格子 にはたきをか け,拭 く

外壁 をよく点検 する○傷みかけたら釘をうつ を拭 く 拭 く

格子子 にはたきをか け, 家族全 員 格子を洗う

表 6 屋根 ・樋の 日常管理

担 当者

世帯 主 世帯 主 世帯 主

庭 師 世帯 主

世帯 主 瓦屋 世帯 主

檀 :ゴミを取 り,損 傷 の有無を点検 す る 檀 :水があふれ,支えきれなくなるとごみ取 り 樋 :ゴミを取 る

樋 :ゴミを取 る 瓦 :ずれを治す

瓦 :破損 の点検 樋 :落ち葉を取 り除 く

樋 ゴミ点検をす るを取 り点検 す る 瓦 :: , 檀 :ゴミを取 る 長男 業者 瓦 :点検をする 世帯 主

左 官屋 世帯主.祖父 大工 世帯 主

檀 ゴミや落ち葉を取 り除く ::ずれを点検 す る

瓦 :点検をする 檀 :落ち葉を取 り除 く 瓦 .檀 :点検をす る 樋 :落ち葉 を取 り除く

(5)

とな どもあげ られた。 また,毎 日頻繁 に格子 を掃 除 している世帯では,掃 除の時 に損傷 はないか点検 も 兼ねていることが分か った。清掃頻度 と内容の関係 をみ ると,格子 を拭 くことは頻度 に関係 な く行 われ てい るが,格子 にはた きをか け るこ とは 日常 的 に, 外壁の洗浄,塗装 な どの時間や技術 が必要 とす る も のは

1

年サ イクルで行われてい る

(3

)屋根 ・樋

対象住宅の屋根や樋の掃 除及 び点検 は,単身世帯 の

1

世帯 を除いて行 っている

日常 的,頻繁 に屋根や樋 の掃 除 を行 ってい る世帯 は2世帯 であ り,梅雨の頃や雨が降った時,漏 った 時な どに行 う世帯 は6世帯 であ った。 その他 ,樋が つ まった時 に行 う世帯が

2

世帯,年 に

1

回程度行 う 世帯が

3

世帯であった。

屋根や樋の掃 除は,雨の時や樋が詰 まった時 な ど に行 っている 屋根面積が大 き く,樋 も長 いので, 雨が降ってみ ない と雨漏 りや詰 まる場所 な どが見つ か り難いため,事後 に対処す ることが多 く, 日常 的 に樋の掃 除 を行いに くい ことが明 らか になった。

清掃 及 び点検者 は,世帯 主が行 う世帯 は6世帯 , 妻である世帯 は2世帯,清掃 は世帯主が行い,瓦の 点検 は大工 や庭師が行 う世帯 が 4世帯 であ る 溝 , 土台回 りと同様 に世帯主が行 うか,業者 に任せ てい

居住者が主 にやっているのは,樋 の ごみや落 ち葉 を取 り除 くことであった。 また,樋 の ごみ を取 る時 に,樋 の損傷 はないか点検す る世帯 も見 られた。 ま た,約半数の世帯が瓦のずれや破損 な どの損傷 の有 無の点検 を行 っている住宅の外 回 りの維持管理上,

これ らの 日常 的 な清掃 や点検 の重 要性 が示 唆 され た。

5.業者 が関わる管理

(1

)出入 り大工の有無

出入 り大工がいることは,住宅の傷 みの大小 にか かわ らず,す ぐに修理 して もらうことがで きる 出 入 り大工 は,全世帯 ともにかつては居 たが,現在 ま で同一人が引 き続 いているのは,

1

世帯 のみである

半数 は,親の代か ら出入 りしていた大工,屋根屋 で あ り,次世代 に引 き継がれている

(2

)居住者の点検及 び修理 した範 囲 と最近業者 に任せた修理

約半数の世帯が点検 はす るが外 回 りの修理 はほ と ん どしていない。居住者が修理 している もの は,辛 が届 く範 囲で,塀 の釘が抜 けた ら打 ち直す な どの簡 単な修理や部分修理である 一方,業者 に依頼 した のは,約半数の世帯が屋根 であ り,

4

世帯 が外壁 ,

表7 居住者の行う点検 ・管理と業者に依頼する修理

家族番号 居住者が行った点検 .修理 業者に依頼した最近の修理内容 修理した時期

21 手が届 く釘の打ち直しなどの簡単な修理 瓦の葺き替え,範 囲の簡単な修理 煙 突修理 羽 目板の差し替え 2003 3 手が届 く範 囲の簡単な修理 瓦の葺き替え 2004

4 点検 のみ 瓦 の葺き替え 2005

5 手が届く範 囲の簡単な修理 瓦の葺き替え 2005

6 塀 などの部分修理 瓦の葺き替え 2004

8 外壁の塗り替え,羽目板の差し替え2004 7 手が届 く 外壁壁 のの塗塗りり替替え 22000005 9 点検 のみ範 囲の簡単な修理

10 点検 のみ 外壁 の塗 り替え 2003

ll 点検のみ 外壁と土塀 の塗 り替 え 2004

12 点検 のみ 土塀 の修理 2002

13 点検 のみ 一部瓦の取替え 1993

14 点検 のみ 一部瓦の取 替え 1993

2世帯 は主屋外 の土塀 である 業者 に依頼 したのは 瓦の葺 き替 え,外壁 の塗 り替 えや羽 目板 の差 し替 え な どで,居住者の手が届 きに くい高 さで,修理 内容 の専 門性 が高 く,居住者では修理 で きない ものであ った。修理時期 は,

「 1 3」

「 1 4」

2

世帯 の約

1 4

,

5年前 を除いた世帯 は ここ

5

年以 内に業者 に よる修 理 を行 ってい る それ以前 で は

,1 965

年 か ら

1 980

年の間が多 い こ とか ら,それか ら 3,40年経つ と, 業者 に依頼 しなければな らない損傷が起 きる と考え

られ,住宅 の維持 サ イクルは,30年か ら40年 の間 で回っていることが推察で きる

(3

)業者の選定 と評価

重伝建地 区の うち,

11

世帯 中

7

世帯 は,伝建事業 に よる修理 を行 ってい る 伝建事業 に よる修理 は, 吹屋 では,入札 した業者が行 うために,業者 を選べ ないが,富 田林 や美濃では,居住者 自身によって業 者 を選定す るか, または指定業者の中か ら選定 よう になってお り,地域 によ り業者の選定方法が異 なっ てっている

伝建事業 にかかわ らず業者の選定条件 につ いて尋 ねた ところ,約半数の6世帯が,昔か らの出入 りの 業者 を選 び,残 りの約半数が信頼で きる業者 をあげ ている その他 に も,時 間な ど規律 を守 る業者,責 任 を持 って修理す る業者,信頼のお ける人の推薦の 業者 な どの条件があげ られた。昔か らの出入 りの業 者 を選 んだ理 由は,昔か ら修理 して もらっている人,

またはその子孫や受 け継 いでいる人は信頼で きるか らであった。業者 は,居住者の住 んでいる地域 と近

8

業者の選定条件

‑ 67I

(6)

富士 田亮子 ・土居 亮子

接 しているか,同一地域 内で,仕事 ぶ りや風 評 を聞 き,業者 の人物 もわか りやす い こ とがあげ られてい る

業者へ の評価 につ いて満足 して い る世帯 は 14世 帯 中 10世帯 であ った そ の理 由 と して,全 て任せ るのは不安であ ったので,居住者が修理現場 までつ いて行 ったが,業者が居住者 の希望 を よ く聞いて く れ,納得 い くように修理 して くれた こ と,業者 と話

し合 い をよ くしたので,満足 ので きる修理 を して く れた こと,信頼のお ける業者 であ るので,安心 して 任せ ることがで きた ことな どが主 にあげ られた。 こ の他,業者の技術 の評価 として,最新 の合理 的 な方 法 を用いて くれて良かった とい う評価 や,業者の腕 が良か った とい う評価があげ られた。反対 に,業者 の修理 に対 しての不満 は若干み られた。その理 由は, 業者 の腕が落ちてお り,以前 の大工 の ように伝統 的 住宅 を修理す ることので きる高度 な技術 を持 たな く なっていること,仕事の後の整理 ・整頓がで きてい ない こと,時間がかか ることがあげ られた。 この他 に以前 は手持 ちの材料 で修理 して くれていたが,今 は全て新 しい材料 を使 って修理す るので,材料 費 も かかることもあげ られた。

かつての出入 り大工 の子孫 や,かつ ての大工 の技 術 を引 き継 いでいる人で,居住者 とほぼ同地域 にい るこ とは信頼が高い。業者 には, いつ で もす ぐに来 て修理 して もらえること,その業者が どの ような仕 事 を しているかが よ く分 か ることと,各地域 の建物 の特色が分か っていることも,業者 を選定す る条件

として大切 であ ることが推 察で きる

表9 業者 の評価

プ ラス評 価 マ イナ ス 評 価

希望 を聞て くれて納得 の く修理 をす る 伝統 的 な高 度の技 術 が ない よ く話 し合 い,詳 しく説 明 して くれ る 修理 後 の整理 .整 頓が で きない 信頼が あ るので安心 して任せ られ る 時 間が かか る

表10 修理 費用

高 額修 理 の場 所

屋 根 約1,000万円 9世 帯

洗 面 所 .台所 .便 所 な どの水 回 り 約400‑500万円 3

(4

)修理費用

修理費用の最 も高額 な場所 は,屋根 であ った。屋 根 の葺 き替 えには,おお よそ 1000万 円以上 かか っ ている 屋根 の瓦の葺 き替 えは,屋根面積 が広 い こ とや,本瓦葺 きなので,材料 費 も高 くつ くこ とが考 え られ る 次 に,洗面所 や便所 ,台所 な どの水 回 り であった。水 回 りは,浄化槽付 きにす る トイ レの改

修 費 にか か って い る 水 回 りの 費用 は, おお よそ 400万 か ら500万 円かか っている

また, これ らの住宅の修理費用 としての積 み立 て 貯蓄 を してい るの は 1世帯 のみ であ った。 しか し, 他 の世帯 は住宅 の修理 費用 としての貯蓄 は してい な いけれ ども, 日常生活 費 とは別 に,修理費 にあて る ことので きる金額 を貯蓄 している

6

.居住 意識 と管理意識

(1

)今後 の住 み方 と管理意識

今後家族 とどの ように住 みたいか につ いては,覗 在子 ども家族 と同居 している世帯 は この ままの暮 ら

しで よい とい う回答であ った。子 どもが成 人 してい ない世帯 は,今後子 どもが どの ような進路 に進 むか わか らないためわか らないであ った。 しか し,現在 子 どもと別居世帯 では,いず れは子供家族が帰 って きて一緒 に住 む予定であ るが,地元 に戻 る時期が分 か らない状況 の世帯 と, この まま夫婦 あ るいは一人 で住 み続 け,その後 は どうなるのか分か らない世帯 とに二分 された。後者の うち,子 どもは現在子 ども が住 んでいる住宅 で一緒 に住みたい と言 って くれ る が,現在住み続 けてい る住宅 で この まま住 みたいの で,今後 も一人で住 む とい う世帯 もあ った。 この他 に,後 に子 どもで はな く孫 に住み続 けて,住宅 を維 持 してほ しい こ とや,今後 は家族 と住みたい とい う よ りは,育 った町で暮 らしたい とい う世帯 もあった。

この こ とは,居住者が個 々の住宅 だけではな く,坐 まれ育 った地域 に も愛着 を持 って暮 らしている とい える 実 費での修理意欲 は子 ども家族 との同居 の場 合高い傾 向であ る

地域 別でみ る と,美濃 や京都 な ど地元の産業があ る地域 では子 どもと同居,近居 の世帯が多 く,吹屋 , 富 田林 な ど地元 に産業が ない地域 では,就職選択 は

表11 今後 の住 み方 と管理意識

家族

番号子供家族の関係 現 在 の住み万 今後の住み方 修理 意欲実 費での 7 同居 元気な間は住み続 けたい このまま子供 家族と同居 ある ll 同居 住むしかない このまま子供 家族と同居 あまりない 12 同居 ずつと住み続 けたい このまま子供家族と同居 ある 13 同居 ずつと住み続 けたい このまま子供家族と同居 ある

8 ずつと住み続 けたい わからない 少しある

10 隣居 住むしかない 子供家族と同居 あまりない 6 近居 ずつと住み続 けたい 子供家族と同居 ある 9 近居 ずつと住み続 けたい 子供家族と同居 ある

1 別居 元気な間は住み続けたい 単身 あまりない

2 別居 住むしかない 夫婦 可能なら子供家族と同居 せざるを得ない

3 別居 元気な間は住み続 けたい 夫婦 ない

4 別居 ずつと住み続 けたい 夫婦 可能なら子供家族と同居 少しある

5 別居 元気な間は住み続けたい 夫婦 ない

(7)

完全 に子 どもの意思 に任せ ,子 どもと別居 し, その 後 も帰 って くる予 定 の ない世帯 が多 い。

家族形態 でみ る と,現在 子 ど も家族 と同居 してい る世帯 は,この ままの住 み方 を希望 してい る また, 現 在子 ど もと近居 の 関係 にあ る世帯 は,今後 子 ど も が帰 って くる予定 であ り,一緒 に住 む こ とを希 望 し てい る しか し,現 在子 どもと別居 の世帯 は,子 ど もに帰 って きて欲 しい希望 もあ るが ,不確 定 なの で, 自分 自身で 自立 した生活が送 れ る限 りは,夫婦 あ る いは一 人で この まま現 住宅 で住 み続 け る こ とを希 望

して いる

(2)住宅 を長持 ち させ るための心掛 け

住宅 を長持 ち させ るため に 日頃か ら心掛 けてい る こ とは,半 数以上 の世帯 が ,住 宅 の傷 み の小 さな う ちに修理 をす る こ とであ り,次 いで,風 通 しを よ く す る こ と,普段 の掃 除 を きちん と行 い常 に清 潔 に し てお くこ とであ った。 その他 , 日常 的 に傷 み の有 無 の点検 をす る こ と,雨漏 りに注 意 して い る こ とな ど もあ げ られ た。雨上が りに屋 根 瓦 や樋 を見 回 る世帯 や,住 宅 の傷 み に気付 いた らその都 度直 す よ うに心 掛 けてい るな どの 回答 が み られ た。 また, ごみ を貯 め ない こ とや,毎 日はた きをか け る こ とな ど掃 除 に 関わ る内容 もみ られ た。半 数 の世帯 が , 日常 清掃 の 時 に損傷 の有無 に注 意 してお り,常 に 目をい き と ど かせ て い る 特 に

「 4 」

で は, 天候 の悪 い 日は,注 意 し外 を見 回 ってい る 日常 的 な掃 除 を きちん と行 い,常 に清 潔 に してお くこ とを心掛 けて い る また, 湿気 が多い ところは,腐朽 , シロア リや , カ ビな ど の発生 に よる住宅 の損傷 が起 こ りやす い ため,風 通

しをよ くしてい る こ とが挙 げ られ てい る ように,過 気対 策 には関心 が高 い。住 宅 を長持 ち させ るため に は,住宅 の損傷 にいか に早 く気付 き小 まめ に修理 す る こ とや, 日常 的 に清掃 や風 通 しをす る こ とが大切 であ る こ とが あ げ られてい る (表

1 2

参照 )。

1 2

長持 ち させ るために心 が けてい る こ と 住宅 を長持 ちさせ るために心が けてい るこ と 世帯数

傷みが小 さい うちに修理す る 8

風通 しを良 くす る 4

掃除を きちん とす る 3

日常的に傷みの有無 を点検す る 2

(3

)現 住 宅 に長 く住 み続 ける こ との長所 ・短所 現在 の住 宅 の長所 と して は,伝 統 的 な住 宅 の構 造 の良 さであ る 日本家屋 の落 ち着 きや ,無垢 材 の良 さ であ った。木材 な どの 自然 の材料 を使 って い るの で, 木材 その ものの良 さばか りで な く,健 康 に良 い とい

う回答 も見 られ た。この他 に,風 通 しが良 い こ とや, 住宅が狭 苦 し くない こ とな どの在 来構 法や住 宅規模 や, 自然 災害 を受 けに くい こ と,生 まれ故郷 の住宅 であ るので地域 との触 れ合 いが しやす い こ とな ど地 域居住 の良 さが挙 げ られ てい る (表

1 3

参照 )。

一方 ,短所 と して一番 多 く挙 げ られ たの は,住宅 の修繕 費用 が かか る こ とであ る そ して,実 際 に修 理 した住 宅 を見 て も,高額 な費用 が かか ってい る こ とは見 た 目で は分 か らない こ と も挙 げ られ て い る この よ うに,修 理 費用 は居 住 者 の負担 が大 きい こ と が窺 え る また , こ まめ に修 理 しなけれ ば な らず , 住宅 の修 理 及 び維 持 その ものが大 変 であ る こ とも挙 げてい る高齢 にな るにつ れ て体 力 も衰 えて くる と, 広 い住 宅 の掃 除や維持 が大変 にな って くる様子 が窺 える 長所 と してあ げ られて いた住 宅が狭 苦 し くな く落 ち着 くこ とは,反対 に短所 に もな って い る こ の他 に, 日が 当 た らない こ とも挙 げ られ て い る 長 所 であ る広 々 と した 日本家屋 の落 ち着 きを維持 す る ため には,短所 と してあげ られて い る ような, それ らを維持 す るための労力 や経 済 的裏付 けが必 要不 可 欠であ るが,高齢 になる と困難 になる よ うであ る

表13 伝 統 的住 宅 の長所 と短所

木材 の よさ 5

風通 しが よい 1

健康 に よい 1

長 日本家屋 の落 ち着 き 地域 との触 れ合いがで きる 61世 帯

自然災害 を受 けに くい 1

狭苦 しくない 1

修理 .維持 す るこ とその ものが大変である 5 年 を と り,広 い家 の掃 除,維持す るこ との難 しさ 3 修理 に費用が かか つて も,見た 目にわか らない 2 修理 費用がかか る

こまめ に修理 を しなければな らない l l1

7.重要伝 統 的建 造物群保 存 地 区の効果

(1

) 重 要伝 統 的建 造 物 群保 存 地 区 にお け る補助 の現状 5) 6) 7'

垂伝 建 地 区の伝 建 事業 の対象範 囲 は, フ ァサ ー ド や屋根 な どの表道路 側 か ら見 える部位 であ る 各戸

‑ の補助 額 は,地 区 に よって異 な るが ,個 人負担 は

1‑ 3

割 で あ る

吹屋 で は, 総 事 業 費 が ,年 間 2000万 円 と決 め ら れお り,早急 な修 理 を必要 と して い る世帯 は全 て 自 己負担 で修 理 して い る 富 田林 及 び美濃 で は, 1軒 当 た り上 限が 600万 円 と定 め られ てお り, そ の 8割 にあ た る 480万 円が補助 され る そ の ため,修 理 費 が高額 なほ ど,居住 者 の負担 も大 き くなってい る

(2

) 地域 全 体 で の 町並 み の美 しきを維 持 す る活

‑ 69

(8)

富士田亮子 ・土居 亮子

重伝建 地 区で は,地域全体 で,指 定 区域 の道路 や その脇の溝 の清掃 ,空 き家 の ガラス拭 きな どの町並 み清掃 を してい る 一方 ,京都 の場 合 は,地域全体 の清掃 は ない ものの ,生活 習慣 の 中 に 「か どは き」

が あ り,各家が家 の前 の道路 な どの掃 除 を 日常 的 に 行 い,地域 全体 を きれ い に しようす る意識 は強 い。

吹屋 の場 合 は,町並 み保存地 区会 と観 光協会 で,地 域全体 の清掃 に取 り組 んでい る

清掃 時期 は, 吹屋 で は,春 (4月), お盆 前 (7 月),秋祭 り前 (11月),正 月前 (12月) の年 間4 回行 ってい る 日常 的 には,お互 いの家 の周 りまで 掃 除 を して い る 富 田林 の場 合 は保 存 会が あ り 8 ), 町並 み清掃 が, 3月 頃の年 に 1回あ る程 度 で あ る .。

しか し,町並 み イベ ン トと して,

8

月頃 に行灯 が飾 られ,市 で町並 みの切 り絵 の カ レンダー を作 成 して い る 美濃 の場 合 も,吹屋 の場 合 と同様 に,町並 み を保存す る会や,町並 み を愛 す る会 , 町並 み案 内ボ ラ ンテ ィアな どの各会が あ り, 町内全体 で春 と秋 の 年2回大掃 除 を行 ってい る また, 日常 的 に,各家 の前 を掃 き掃 除 し, ごみが で ない ように徹 底 してい る 町並 みの イベ ン トとして は, この地域 の伝統 的 な美濃和 紙 を用 いたアー ト作 品が並 ぶ 「あか りアー

ト展」があ る

この よ うに, 地域 全 体 で 町並 み の 美 しき を維 持 す る た め の イベ ン トや 清 掃 をす る こ とに よ っ て , 地域 住 民 が個 々の住 宅 を美 し く維 持 す る た め だ け で は な く, 地域 全体 に も 目が 向 け られ よ うに な っ てい る

(3)重要伝統 的建造物群保存地 区 になった意識 重伝建 地 区の指定 を受 けて,住 宅 の維持管理意識 が どの よ うに変 わ ったか尋 ね た と ころ,11世 帯 中 9世帯 で変化が見 られた。約 半数 の世帯 で は,重伝 建地 区にな り,観光客が増 えるこ とに よって,家 を 見 られてい る意識 が芽生 え,住宅 を きれい に してい く意識が高 くなってい る 最初 は観光客 か ら家 の中 まで脱か れてい る気 が して,嫌 な気 持 ちが していた が,見 られてい る意識か ら住宅 の外 側 の見 える とこ ろ は きれい に しようとい う意識へ と変化 してい って い る さ らに 自分 の家の周 りだけで はな く,近所 ま で 目が向け られ, ごみ な どを拾 うよ うになった世帯

も見 られた。 この ように地域全体 を きれい に守 る意 識 に変 わ った こ とが窺 える 重伝 建 地 区 になってい なか った な らば,住宅が維持 で きな くて,空 き家が 増 えてい る とい う意見 もあげ られ た。重伝建 地 区に なったおか げで修理 の補助 が あ り,住 宅が維持 で き る ようになったので,現住 宅 を維持 してい こ う とい う意識 に変 わ った とい う世帯 もあ る また, その住

んでい る地域 の良 さが見 直 され,地域 を良 くしてい こうと思 うよ うになる こ とや,改 めて伝 統 的 な住宅 の良 さが分 か り,住宅 を誇 りに思 うようになった と い う世帯 もみ られ た。

これ よ り,重伝 建 地 区の指定 を受 けた こ とは,衣 を見 られ る意識が芽生 え,住宅 を きれい に してい く 意識が高め られ た こ とと,町並 み を維持 す るための 補助が で る こ とが利点 であ る

表14 重伝 建地 区 にな った住 み方 意識 の変容

l.V 結語

1 外壁 の損 傷 の特徴 は,漆 喰壁 で は,漆 喰が はが れ落 ち,羽 目板粘 りの場 合 は,羽 目板 が 反 り,亀 裂が入 る損傷 が起 こっていた。 また,大 きな損傷 とは言 えないが ,汚 れや シ ミもみ られ た。屋根 の 損傷 は,瓦 の割 れ ・ず れ な どで, 中には雨漏 りの 被 害 もみ られた。 どち らも原 因は,主 に長年 の風 化 に よる劣化 であ った。他 に,大型台風 な どに因 る もの もみ られ た。居住 者 が行 って い る修理 は, 外壁 で は板粘 りの釘 の打 ち直 し,屋根 で は,数枚 程 度 の瓦 のず れ を直す な どの小修理 であ る

2 居住者 が行 ってい る管理 は,主 に溝 の草 や ごみ 取 り,土台周 りの掃 除,外壁 の格 子 を拭 き, はた きをか ける こ と,樋 の ごみや落 ち葉 を取 り除 くこ とであ る また, これ らの掃 除 を兼 ねて,外壁 や 屋 根 の損 傷 の点検 も行 って い る 京都 で は, 「か どは き」 の習慣 が あ り,毎 日,土台周 りの掃 除 を してい る 樋 の掃 除 は,雨 降 りの後 や樋 が詰 まっ た時 に行 われてお り, 日常 的で はない。

全世帯 と も,かつ て は,す ぐに修理 して もらう こ とので きる出入 り大工が いた。現在 は, 出入 り 大工 はい ないが ,小 さな損傷 で もす ぐに来 て くれ

る信 頼 のお ける大工 や左 官屋 が ほぼ同地域 内 にい る

住 宅 の修理 費用 と しての貯 蓄 は, ほ とん どの世 帯 で してい ないが,修理 費 にあて る こ とので きる 金額 を貯 蓄 してい る世帯 が ほ とん どであ った。 高 額修理場所 は,屋根 で,修理 費 と して,瓦 の葺 き 替 えな どおお よそ1000万 円かか ってい る

3 全 ての居住者 が,現在 の住宅 に今後 も住み続 け る意識 が あ る 現在 ,子 ども家族 と同居 してい る 世帯 は, この ままの住 み方 を希 望 し,子 どもと近

(9)

居 の関係 の世帯 は,子 どもが戻 る予 定 で,一緒 に 住 む こ とを期待 しているが,子 どもと別居 で,戻 って くる予定が ない世帯 で は, 自立 した生活が送 れ る限 りは,住 み続 けたい と思 ってお り,子 ども

と同居 ,近居 してい る世帯 に比べ ,個 人負担 に よ る修理意欲 は低 い。

住宅 を長持 ち させ るため に 日頃か ら心掛 けてい る ことは,損傷 にいか に早 く気付 き,傷 みが小 さ な うちに こまめ に修理す る こ とや,風 通 しを よ く

し,普段 の掃 除 を きちん と行 うこ とであ った。

4 現住 宅 の長所 は,主 に 日本家屋 の落 ち着 きや, 無垢材 の良 さであ った。短所 は,住宅 の修理 費用 が高額 であ るこ とで,修理 費用 が居住者 の負担 に なってい る

垂伝建地 区の伝建事業 の補助額 は,地域 に よっ て異 な るが,個 人負担 は1‑ 3割 で あ る また, 垂伝建地 区に指定 されて,居住者 は,住宅 を見 ら れてい る意識が高め られ る と同時 に住宅 を きれい に してい く意識が高め られてい る さ らに,地域 全体の美 しさを維持す こ とに 目が 向 け られ る よう になってい る 現在 ,地域全体 で,道路 や溝 の清 掃 な どの町並 み清掃が年 に数 回行 われてい る

稿 を終 えるにあた り,快 く調査 にご協 力 いただ きま した皆様 に心 よ り感謝 申 し上 げ ます。

【参考及び引用文献】

1

)疋 田洋子 ・古本正美 ・西本孝一 :住宅 の損傷 と 維持管理 (第

1

報 )在 来木造住宅 の場合 ,木材学 会誌 ,vo.5l3,N .o2,pp9. 90‑9 (9918)

2

)川 島宙次 「滅 びゆ く民家‑屋根 ・外観」 主婦 と 生活社 ,1937,p .0‑3p2321・2725 4‑7

3) 同上,pp1‑1.33 ・7‑1・ .378 p10・183 ・19 4 4) 図解住居 学編 集委員会 「図解 住 居学 3 住 まい

の構 造 ・材料」彰 国社 ,2004,p.13

5)富 田林市 「富 田林 寺 内町 歴 史的町並 み保存 計画調査報告書」,1984

6)富 田林市 「富 田林市伝統 的建 造物群保存地 区保 存条例」,1991

7

)美濃市教育委 員会 「卯建 の町並 み」美濃 地 区伝 統 的建 造物群保存対策調査報告書 ,1995

8

)富 田林寺 内町 を まも り ・そだて る会 「富 田林寺

内町 フェス タ記念報告集」,2005

7 1

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