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問1 人権問題の認知

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Academic year: 2021

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Ⅰ 調査の概要

人権・同和問題の啓発活動を充実させる資料とするために 2011 年 7 月、小豆島町人権・同和問題 意識調査を実施した。無作為抽出した町内在住者 1,000 人(16 歳以上)にアンケート用紙を郵送し、 記載後郵送で回収した。1,000 票郵送し、有効回収数は 428 票(42.8%)だった。主な調査項目は① 人権問題について②同和問題について③人権啓発活動について。

Ⅱ 調査の結果

【カッコ内は県調査(「平成 21 年度県政世論調査」香川県)】

1 基本的人権に関する意識

(1) 人権関連の法律や取組みで知っているもの

(複数回答・上位5位) 1 世界人権宣言 ・・・・ 56.8%(56.6%) 2 人権週間(12 月4日~10 日) ・・・・ 43.0%(49.9%) 3 同和問題啓発強調月間(8月) ・・・・・ 31.3%(36.8%) 4 小豆島町人権尊重の町宣言 ・・・・・ 26.2% 5 香川県部落差別事象の発生の防止に関する条例 ・・・・ 24.3%(19.3%) 県調査と比較すると「人権週間」「同和問題啓発強調月間」の認知度は低く、「香川県部落差別防止 条例」の認知度は約5ポイント高い。高齢世代は「同和問題啓発強調月間」や「香川県部落差別発生 の防止に関する条例」など同和問題についての認知度が高く、従来から続けてきた人権啓発活動の成 果といえる。一方、若い世代は「世界人権宣言」や「人権週間」などの認知度が高い反面、「小 豆 島 町 人 権 を 擁 護 す る 条 例 」「 小豆島町人権尊重の町宣言」などの認知度が低く、今後は学校教育な どで取り上げて理解を深めてもらう。

(2) 人権問題で特に関心のあるもの

(三択、上位5位) 1 障がい者の人権 ・・・・・ 50.0%(54.3%) 2 同和関係者の人権 ・・・・・ 38.1%(30.5%) 3 女性の人権 ・・・・・ 36.7%(26.4%) 4 子どもの人権 ・・・・・ 33.4%(32.6%) 5 高齢者の人権 ・・・・・ 31.8%(39.2%) 県調査と比較すると「女性の人権」は約 10 ポイント、「同和関係者の人権」は約8ポイント、それ ぞれ関心が高い。一方、「犯罪被害者の人権」や「インターネットによる人権侵害」など新しい人権

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課題は県調査より低く、今後情報提供を強める必要がある。 女性は女性の人権問題に、高齢者は高齢者の人権問題に、子育て世代は子どもの人権に、それぞれ自 分に身近な人権問題に関心が高いことから、今後の人権啓発では対象者に合わせて話題を工夫する。

(3) 人権問題のイメージ

(上位3位) 1 差別のことである ・・・・・ 29.8% 2 同和問題(部落差別問題)のことである ・・・・・ 27.5% 3 権利や自由を保障することである ・・・・・ 23.9% 20 歳未満は「かたくるしく難しい」(4割弱)が、20~50 歳代は「差別のこと」(20 歳代は5割弱、 30 歳代から 50 歳代は3割強)が、60 歳代以上は「同和問題(部落差別問題)」(いずれも3割強)が、 それぞれ高い。高齢世代ほど同和問題との理解が多いのは従来の行政啓発が同和問題を中心に行われ てきた成果ともいえる。「権利や自由」との理解が 30 歳代(39.1%)で最も高いのは学校での人権教 育の成果と考えられる。「かたくるしく難しい」が 20 歳未満と 20 歳代で特に多く、若者向けの啓発 は身近な話題などわかりやすい内容にする工夫が必要である。 人権問題を差別のことと取り違えると、人権教育や啓発の中で差別事象を強調するようになる。そ うなるときびしく暗い話になり、忌避感や差別意識の固定化につながることがある。「また差別を教 えている」と反発を受ける。 様々な人々がお互いを認めあい、だれもが住みやすいまち(共生社会)づくりを進めるために人権尊 重の理解が不可欠である。今後の啓発では、《人権問題はしあわせづくり・まちづくり》であることを 強調してさらに理解を深めてもらう。

2 同和問題に関する意識

(1) 「同和問題」

(あるいは「部落差別」

)を知っているか。

1 知っている ・・・・・ 95.5%(94.1%) 2 知らない ・・・・・ 4.5%( 4.3%) 同和問題があることをほとんどが知っている。

(2) 同和問題をどのようにして知ったか、あるいは情報を得ているか

(三択・上位5位) 1 家族から聞いて ・・・・・ 56.8%(34.6%) 2 テレビ・新聞などで見たり読んだりして ・・・・・ 46.4%( 8.2%)

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3 学校の授業で学んで ・・・・・ 43.2%(30.8%) 4 講演会・研修会などで学んで ・・・・・ 40.0%( 8.5%) 5 近所の人から聞いて ・・・・・ 29.8%( 5.4%) 「学校の授業で学んで」は 40 歳代以下の若い世代ほど高い。児童生徒がいる家庭では根拠のない 噂話など差別的な話を子どもに教えない配慮が求められる。 なお、部落の歴史について 2002(平成 14)年度の教科書から記述が大きく変わっており、関係者 の認識を徹底する必要がある。従来は徳川幕府が部落差別を作った(「近世政治起源説」)と言われて きたが、現在は《中世(江戸時代以前)にすでに差別される人がいた》と学習している。また、部落 の生業を積極的に評価し、貧困や職業で差別されたイメージ(「低位性」)の脱却をはかっている(例 えば東京書籍『新編新しい社会6上』参考)。

(3) どのような部落差別が起きていると思うか

(三択・上位5位) 1 結婚のとき周囲が反対する ・・・・・ 81.1%(64.4%) 2 就職・職場で差別・不利な扱いをする ・・・・・ 47.9%(21.2%) 3 差別的な言葉やしぐさをする ・・・・・ 44.2%(41.8%) 4 身元調査を実施する ・・・・・ 35.2%(39.3%) 5 地域の活動や付き合いで差別や不利な扱いがある ・・・・ 27.0%(19.7%) 県調査と比較すると「結婚」は約 17 ポイント、「就職・職場」は2倍以上、「地域の活動や付き合い」 は約8ポイント、それぞれ高い。「就職・職場」が県調査より高いが、特に 20 歳代以下に高い理由は、 学校の人権・同和教育が進んで若い世代は部落差別を見抜く力が敏感だからと推測できる。採用の面 接で家族構成や親の職業を聞くのは昔なら当たり前だが、現在は採用差別につながると学校で教えて いる。さらに学校の授業で結婚差別と採用差別がよく取り上げられていることも理由といえる。

(4) 同和問題を解決するために効果的な取組み

(三択・上位5位) 1 同和問題だけでなく様々な人権問題に町民が理解を深める・・・ 56.3%(60.0%) 2 家庭で誰に対しても差別しないように子どもに教える ・・・・ 53.1%(40.8%) 3 学校で若い世代に差別をなくすことをしっかり教える ・・・ 40.2% 4 えせ同和行為(差別を悪用した不当な要求行為)を排除する ・ 22.6%(29.9%) 5 そっとしておけば差別は自然になくなる ・・・・・ 17.1%(17.3%) 《同和問題だけでなく様々な人権問題について理解を》(6割弱)が過半数なので今後は同和問題を 中心に幅広い人権学習の機会を提供する必要がある。《家庭で子どもに教える》(5割超)が過半数あ

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り、家庭教育の必要性が示されている。家庭で人権問題を話し合えるように家庭向けの啓発資料を配 布するなど、家庭教育への支援が必要である。 【論点】「自然解消論」について 「そっとしておけば部落差別はそのうち・・・」(「自然解消論」)が 17%ある。部落差別は自然現象 でなく人間による社会問題だから、一人ひとりが問題を自覚して差別解消への取組みを意識すること が大切である。教育や啓発はそれを目指している。関係者は改めてこの原点を再確認する必要がある。 自然に解消するなら取り組みは不要である。自然解消論や「寝た子を起こすな」の考えは問題解決に ブレーキをかけている。

3 人権・同和問題の啓発に関する意識

(1) この1年間にどんな人権啓発活動に接したか

(三択・上位5位) 1 県や町の広報誌で読んだり見たりした ・・・・ 48.1%(40.5%) 2 テレビ・ラジオで見たり聞いたりした ・・・・ 42.5%(35.0%) 3 新聞・雑誌・週刊誌で読んだり見たりした ・・・・ 34.1%(20.6%) 4 パンフレットやポスターを読んだり見たりした ・・・・ 24.3%(21.8%) 5 な い ・・・・ 20.6%(27.6%) 県調査と比較すると上位四位はいずれも県調査より高く、「ない」(20.6%)が県調査より7ポイント 低いことから、県内の他の自治体より参加状態がよいと言える。今後さらに向上させたい。なお、疑 似体験や相互理解を深める交流会など新しい啓発手法への参加率は低い。

(2) 人権啓発に接したり参加したりしての印象や感想

(三択・上位5位) 1 身近な話がほとんどなく、建て前のような内容が多い ・・ 45.3% 2 どこでもよく似た内容が多く、ほとんどかわり映えしない ・・ 44.1% 3 このようなことをしても人権侵害はなくならないと思った ・・ 36.2%(26.4%) 4 よく理解でき、人権の大切さがわかった ・・・・ 35.9%(45.5%) 5 いつも参加する人が同じ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28.2% 「人権問題を解決するため自分も何か行動に参加したいと思った」は 16.5%で県調査より約7ポイ ント高く、20 歳未満では5割を超えている。積極的な意識が育っており、学校人権・同和教育の効果 として関係者は取組みに確信をもつ必要がある。 一方、《このようなことをしても》が4割弱、《建て前が多い》《内容がかわり映えしない》との回答 も半数近くあり、人権啓発の内容を改革する必要がある。《参加者がいつも同じ》との指摘もあり、

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マンネリ化をふせぐために開催時間や場所、周知方法などを見直す必要がある。関心ある町民がさら に参加しやすくなるように、参加者の立場にたった改革を推進しなければならない。

(3) 人権問題の理解を深める効果的な啓発活動

(三択・上位5位) 1 県・町の広報誌による啓発 ・・・・・・・・・ 43.0%(38.4%) 2 テレビ・ラジオを活用した啓発 ・・・・・・・・・ 37.6%(48.4%) 3 講演会や研修会による啓発 ・・・・・・・・・・・ 23.6%(28.2%) 4 相互の理解を深めるための交流会 ・・・・・ 21.3%(16.7%) 5 新聞・雑誌・週刊誌による啓発 ・・・・・・・・・・ 20.1%(23.1%) 「県・町の広報誌」は 60 歳代以上に高い。広報紙は全世帯に毎月定期配布されて住民がいつでも 好きなときに読めることから、住民啓発の戦略的媒体と位置づけることができる。今後は啓発記事を さらに充実させて啓発効果を高める。 《高齢者・障がい者疑似体験》《相互理解を深める交流会》はいずれも2割前後である。高齢者や 障がい者の状態は言葉では理解しにくいが、特殊なメガネやヘッドホンなどを装着して体験すると理 解が早い。同和問題も当事者から体験談などをきくと「常識」の誤りに気づくケースが少なくない。 【論点】「気づき」 「気付きは人権学習の始まり」といわれる。人権侵害は無意識に行われているために指摘されなけれ ば気付かないことが多い。体験型の人権教育・啓発は自ら気づき、納得できる効果的な手法として注 目されており、今後、町としても積極的に推進すべき手法である。

(4) 人権啓発で取り上げてほしいテーマ

(三択・上位5位) 1 生活や仕事の中にある身近な人権問題 ・・・ 64.0% 2 差別を受けている人たちの言い分、思いや訴えなど ・・・ 38.3% 3 同和問題やその他の人権問題の解決をめざす取り組みの実例 ・・・ 34.1% 4 学校での人権教育の内容紹介 ・・・ 27.8% 5 同和問題以外の様々な人権問題 ・・・ 26.9% 《生活や仕事の身近な人権問題》が6割以上で圧倒的に高い。人権問題は毎日の生活や仕事、人づき あいなどに関わる問題である。今後の人権啓発では《仕事や生活の中の事例》《差別を解決する取り 組み事例》など、身近な人権情報を積極的に発信するように努める。 《差別を受けている人たちの言い分、思いや訴え》(4割弱)が二位である。同和問題だけでなく他 の人権問題でも当事者の立場や実態を知らないまま、勝手に判断している場合が多い(予断)。当事

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者のことを正しく知ることによって考えや行動は変わるので、今後の啓発では当事者の主張(「当事 者性」)を重視しなければならない。 《同和問題など人権問題の解決をめざす取り組み実例》が3割超ある。「差別をしてはいけない」と いう理念(知識)のレベルから問題解決をめざす積極的な意識の表れといえる。このような実践的な テーマへの関心が 40 歳代・50 歳代に強いことは心強い。

(5) 行政機関などが行う人権啓発に何を望むか

(三択・上位5位) 1 実例などをあげてどんな問題が起きているか、具体的に知らせてほしい ・ 61.4% 2 差別の話ばかりでなく、逆に明るい話題、説得力のある内容を希望する ・ 49.5% 3 若い人向けの啓発を工夫してほしい ・・・・・ 35.5% 4 構えなくても誰でも気軽に参加できる内容に変えてほしい ・・・・・ 32.5% 5 差別はいけないことだから、住民はどうすればよいか教えてもらいたい ・ 30.4% 《実例で具体的に知りたい》(61.4%)が6割超あり、抽象的な話への批判と受け止めなければなら ない。これと重なるのが《どうすればよいか知りたい》(30.4%)である。従来の人権教育・啓発が 知識偏重だったことを反省し、県も県教育委員会も人権尊重の態度育成(実践力)を目標としている (「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」および「香川県人権教育基本方針」を参照)。 《差別の話ばかりでなく、明るい話題、説得力のある内容》(49.5%)が約5割ある。差別の話に終 始すると忌避感が生まれ、差別意識が固定化する場合がある。当事者にとっては耐え難い場合もある。 今後は差別を乗り越えた事例など、今後の取組みに展望がもてる前向きで説得力のある啓発に努めな ければならない。

4 自由意見

日頃から人権問題や同和問題で感じていること。

118 人が記載し、内容は主に①行政について②教育について③人権啓発への要望・提言ついて④地 区ついて、その他、である。 ①行政について(37 人) 18 人が同和行政に対して批判的な立場から「逆差別論」(「地区を優遇しすぎ」との考え)を書い てかなり根強く広がっているとみられる。差別意識を正当化する理由づけにならないように、啓発活 動の中で取り組む必要がある。 ②教育について(5人) 4人が学校での人権・同和教育に対して否定的な立場から「自然解消論」(「そっとしておけばその うちに」や「寝た子をおこすな」)を書いている。

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③人権啓発への要望・提言(12 人) 人権啓発では「具体的に説得力のある話を」との意見がある(女性・70 歳代)が、これを人権啓発活 動に対する多くの住民の声と受け止め、今後いっそう努力する必要がある。 ④地区住民に関する意見(9人) 6人が態度やマナー違反などを取り上げている。同和関係者のふりをして威圧するなどの「えせ同 和行為」が差別意識を助長しているとの意見もある(女性・60 歳代)。同和関係者全体を否定的なイ メージで決め付ける「部落責任論」(「こわいから差別される」との考え)が根強い。真面目に生きて いる地区住民の姿を知ってもらう取組みを今後も隣保館交流会をはじめ、様々な機会で地道に推進し なければならない。議員や企業・自治会など各種団体のトップなど、地域社会に影響力をもつリーダ ーが交流会に参加して正しい情報を発信すれば、啓発効果は大きい。 【論点】「逆差別」か 1969 年に同和対策事業特別措置法が成立して同和対策事業が始まった。目標は生活環境の改善、 社会福祉の増進、産業の振興、職業の安定、教育の充実、人権擁護活動の強化によって差別の原因を 解消することだった。部落差別によって同和関係者の人権が保障されておらず、国民の基本的人権を 確保すべき行政の責任として 2002 年度まで基本的に国費による地区改善事業が取り組まれた。これ に対して《なぜ同和地区住民を優遇するのか》という「逆差別論」が見られる。 1960 年代、当時は県内でも部落差別は非常にきびしく、サラリーマンはわずか 3.6%しかおらず、 採用では排除が当然のように横行していた。その結果、生活保護世帯率 22%、危険住宅率 13%など、 きわめて深刻な事態だった(香川県「1962 年度地方改善地区実態調査」)。部落差別が貧困と劣悪な 環境を生み、さらにそれが社会的排除と差別を助長するという悪循環を断ち切るため、政府は特別対 策に踏み切った。つまり、行政措置によって同和地区の「世間並み状態」を実現することである。「特 別」と言う言葉が誤解を与えているかも知れないが、特別対策は同和対策以外でも見られることであ る。女性の能力を発揮するために男女共同参画社会基本法では「ポジティブアクション」(特別措置) を定め、各種審議会等では女性優先策をとるように定めている。また、障がい者雇用を推進させるた めに障がい者雇用促進法では事業所規模に応じて特別に「法定雇用率」を定め、障がい者雇用を義務 付けている。

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Ⅲ まとめ

香川人権研究所

理事長 根本 博愛

(四国学院大学教授)

1 小豆島町の人権意識の特徴

人権課題への関心度 全国調査との比較(単位%) 人 権 課 題 小豆島町 全 国 高齢者の人権 31.8 同和関係者の人権 38.1 15.0 全国調査とは「人権擁護に関する世論調査」(法務省・平成 19 年度) 同和関係者の人権への関心が全国調査より2倍以上高く、従来からの同和啓発の成果が確認でき る。一方、小豆島町は高齢化率が県内トップであるという地域事情を踏まえ、高齢者の人権につい ても一層は啓発の充実が求められる。

2 人権啓発の改革について

(1) 説得力を高める

啓発に対して「建前」と「マンネリ化」と指摘する声は小豆島町だけでなく、他の行政啓発でも共 通している。人権啓発は理解を深めることを目的とした広報活動(人権教育啓発推進法第 2 条)なの で、説得力が求められる。アンケート結果に基づき、今後は①身近な仕事や生活にかかわる人権問題 ②差別を受けている人たちの思いや訴え③具体的な人権問題の事例④問題解決につながる取組みな ど、わかりやすく具体的に取り上げて理解を深めてもらう。

(2) 態度の育成

「差別はいけない、どうすればよいか教えてもらいたい」との声が3割ある。点字ブロックの上に 自転車やバイクを停めているのを見かける。点字ブロックは視覚障がい者が安全に歩けるように設置 されているのはほとんどの人が知っているが、知識と態度が一致していない。香川県教育委員会は「日 本国憲法及び教育基本法の精神にのっとり、また、同和教育がこれまで積み上げてきた成果を生かし ながら、人権尊重意識の高揚を図ること、及び人権課題の解決と人権が尊重される社会の実現をめざ す実践力に富む人間の育成を目的として、学校教育と社会教育のあらゆる場を通じて、人権教育を推 進する」と明記している。今後は、人権尊重の生き方ができる人づくりが一層大切である。

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3 同和問題の啓発について

(1) 踏み込んだ啓発を

長年の取組みの結果、小豆島町では同和問題への住民意識が県や国の調査より高い。一方、自由意 見にはきびしい意見も書かれている。従来は「自然解消論」や「寝た子を起こすな」が多くみられた が、最近は《行政は同和地区を優遇している》とする「逆差別論」が多く聞かれる。中には「税金を 払っていない」などの誤解もあるが、景気の低迷が長期化して不満が広がっており、それが部落差別 意識と融合すると「ねたみ差別意識」が生まれやすい。これは部落批判と行政批判が裏表一体をなし ているために、行政不信としては放置できない。きちんとした理解を職員間に徹底していただきたい。 他にも「部落分散論」(「よそへ行けば差別を受けない」)などの誤解もある。住民の日常会話の中に ある誤解を放置せず、むしろそれを啓発教材とすることによって住民に密着した啓発を推進していた だきたい。特別に難しいことではなく、生活の中にある教材こそ最も身近な啓発教材ではないだろう か。

(2) イメージの転換を

今なお同和問題へのマイナスイメージが強く、イメージの転換が急がれる。 小学校の教科書が書き変えられて 10 年になる。かつては貧困など被差別部落の「低位性」をイメー ジさせる話が多かったが、今の社会科教科書では例えば《すぐれた腑分け(ふわけ・解剖)技術によっ て江戸時代の新しい医学を支えた》と紹介している。 現代では皮革産業や竹細工、食肉、芸能など、様々な分野で市民生活を支えている人として理解し ていただきたい。結婚では今も差別が解消していないが、若い世代は地区外との結婚が県調査による と 20 歳代と 30 歳代では8割前後となり、変化が進んでいる。今後、このようなイメージ転換につな がる情報を積極的に発信することが大切である。 当事者との交流もイメージ転換に効果的である。「こわい」とか「ルール違反する」などと一面的 に決め付けず、差別と苦闘しながら真面目に生きる多くの地区住民の姿を知れば意識も変わる。隣保 館などで地区関係者と各界のリーダーなどが交流を深めることを期待したい。

4 今後の人権教育・啓発への提言

(1) 体験型の人権教育・啓発の推進

町内の福祉施設での体験学習、「かがわ健康福祉機構」(高松市)、県人権啓発展示室(丸亀市) などの利用をすすめる。

(2) 当事者との交流推進

隣保館を利用して、同和関係者との交流会を計画的に実施する。

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(3) 啓発指導者向け資料集の作製

同和問題をはじめ各人権課題の啓発にふさわしい身近な話題やよくある誤解への回答、好ましい 取組み事例などを掲載した資料を作成して、関係者に配布する。

(4) 広報紙で暮らしの中の人権問題を連載

広報紙が最もよく利用されているので、わかりやすく啓発記事を連載するなど内容を充実させて戦 略的媒体として積極的に活用を進める。

参照

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