目次
2.7 臨床概要 ··· 2
2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 ··· 2
2.7.1.1 背景及び概観··· 3
2.7.1.1.1 製剤特性··· 3
2.7.1.1.2 バイオアベイラビリティに関する情報の収集··· 4
2.7.1.2 個々の試験結果の要約 ··· 6
2.7.1.2.1 海外第I相単回投与試験(1.5 mg)[ -0-076] ··· 6
2.7.1.2.2 海外第I相単回投与試験(3 mg)[ -0-077] ··· 6
2.7.1.2.3 海外第I相単回投与試験(5 mg)[ -0-078] ··· 7
2.7.1.2.4 海外第I相反復投与試験(2 mg/日)[FG-506-04-21] ··· 7
2.7.1.2.5 海外第I相反復投与試験(4mg/日)[FG-506-04-25] ··· 9
2.7.1.2.6 国内第I相単回投与試験(3 mg)[FJ-506E-0001] ··· 10
2.7.1.2.7 国内第I相単回投与線形性検討試験[FJ-506E-0002] ··· 11
2.7.1.2.8 海外第I相食事の影響検討試験[ -0-123] ··· 13
2.7.1.2.9 海外第I相食事タイミングの影響検討試験[ -0-153] ··· 14
2.7.1.2.10 海外第I相投与時刻の影響検討試験[ -0-148] ··· 15
2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析 ··· 16
2.7.1.3.1 単回投与··· 16
2.7.1.3.2 反復投与··· 16
2.7.1.3.3 バイオアベイラビリティに影響する要因··· 16
(1)バイオアベイラビリティの線形性··· 16
(2)食事の影響··· 17
(3)投与時刻の影響··· 18
2.7.1.4 付録 ··· 19
2.7 臨床概要
2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要
本項で使用した略号及び用語の定義一覧を表2.7.1-1に示す。
表2.7.1-1 略号及び用語の定義一覧
略号及び用語 定義
ANOVA 分散分析
AUC 血中濃度−時間曲線下面積
AUC0-24 投与後24時間までの血中濃度−時間曲線下面積 AUC0-∞ 投与後無限時間までの血中濃度−時間曲線下面積 BMI Body Mass Index(体型係数)
CI 信頼区間
CL/F 経口クリアランス
Cmax 最高血中濃度 Cmin トラフ濃度
CV 変動係数
FAS 最大解析対象集団
LC/MS/MS 液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法
LOQ 定量限界 MRT 平均滞留時間
PK 薬物動態
PPS 治験実施計画書に合致した解析集団
SD 標準偏差
t1/2 消失半減期
tmax 最高血中濃度到達時間 Vdz/F 経口投与時の分布容積
2.7.1.1 背景及び概観 2.7.1.1.1 製剤特性
(1)製剤処方設計
FK506E(MR4)カプセル(以下,MR4カプセル)は,既存のプログラフ®カプセルが1日2 回朝夕投与であるのに対し,1日1回投与でプログラフ®カプセルに劣らない有効性と安全性を 実現することを目指し開発されたタクロリムス新規経口製剤である。タクロリムス新規経口製 剤MR4カプセルは有効成分としてタクロリムス原薬を含有し,添加物としてエチルセルロース,
ヒプロメロース(置換度 ,粘度 mm2/s),乳糖水和物及びステアリン酸マグネシウムが含 まれている硬ゼラチンカプセルであり,本申請ではプログラフ®カプセルと同様0.5 mg,1 mg,
5 mgの3用量の製造承認申請を行う。
MR4 カプセルのタクロリムス放出特性は MR4 カプセル の成分処方に依存する。徐 放性製剤として期待される放出特性を得るために,放出基剤にはエチルセルロースを使用した。
また,プログラフ®カプセル同様 をタクロリムスの の目的で使 用した。乳糖水和物は からのタクロリムスの を する目的で使 用した。
(2)In vitro溶出特性
MR4カプセルは,3 製剤(0.5 mg,1 mg,5 mg)間でカプセル内容物の成分処方比が同一で あり,充填量のみが異なる製剤である。MR4カプセルの3製剤間の溶出挙動の同等性を評価す るため,「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」(医薬審第 64 号,
平成 12 年 2 月 14 日)にしたがって溶出試験を実施した。溶出試験条件として,装置はパド
ル法,試験液は % を含んだ %の
(pH ),試験液温度は37°C,回転数は50 rpm をそれぞれ用いた。1 ベッセル当りの FK506 投入量を5 mg に統一し,サンプリング時間は , , , 時間とした。MR4 カプ セルの 3 製剤すべての組み合わせにおいて,溶出プロファイルの類似性の指標である f2 関数 の値は判定基準である50 を上回った(表2.7.1-2)。また,いずれの製剤においても, 時間 目のサンプリング時点(最終時点)において,平均溶出率が %を上回っており,個々のカプ セルの溶出率が平均溶出率±15%の範囲内であった(表 2.7.1-3)。以上の結果から,MR4 カプ セルの3 製剤の溶出挙動は同等であることが確認された。溶出特性の報告書を5.3.1.3-1(参)
に添付した。
表2.7.1-2 各用量間でのf2関数の値
組み合わせ f2関数の値 5 mg vs. 1 mg 80.2 5 mg vs. 0.5 mg 66.9 1 mg vs. 0.5 mg 79.3
表2.7.1-3 MR4カプセルの平均溶出率(%) サンプリング時間(h)
ごとの平均溶出率(%) サンプル ベッセル
数
最終時点の平均溶 出率の±15%
最終時点の個々の カプセルの溶出率
(最小値~最大値)
0.5 mgカプセル 12 ~ ~
1 mgカプセル 12 ~ ~
5 mgカプセル 12 ~ ~
2.7.1.1.2 バイオアベイラビリティに関する情報の収集
2.7.1.1.2.1 タクロリムス全血中濃度測定法
タクロリムスの全血中濃度はLC/MS/MS法で測定した。内標準物質(FR900520)を添加した 全血を除蛋白後,固相抽出した。抽出した化合物を固相カートリッジよりメタノールで溶出し,
40°C窒素気流下で乾燥した。残渣を50:50(v/v)のアセトニトリル水溶液に溶解し,逆相系カ ラムを装着した LC/MS/MS に注入した。タクロリムスの検出はエレクトロスプレー法により 行った。
測定機関は日本では1施設(日本医学臨床検査研究所),欧州では2施設(Covance- Harrogate:
イギリス,AAI Deutschland GmbH & Co.:ドイツ),米国では3施設(Covance-Madison, MDS Pharma Services, Astellas Research Institute of America Bioanalytical Laboratory),南アフリカでは1 施設(Farmovs Parexel)であった。
なお,各測定施設における全血中タクロリムス濃度のバリデーション結果を付録の表 2.7.1.4-1に示した。報告書は5.3.1.4-1(参),5.3.1.4-2(参),5.3.1.4-3(参),5.3.1.4-4(参),
5.3.1.4-5(参),5.3.1.4-6(参),5.3.1.4-7(参),5.3.1.4-8(参),5.3.1.4-9(参),5.3.1.4-10
(参),5.3.1.4-11(参)に添付した。
2.7.1.1.2.2 生物薬剤学試験
MR4カプセルは,既存のプログラフ®カプセルが1日2回朝夕投与であるのに対し,1日1回 投与でプログラフ®カプセルに劣らない有効性と安全性を実現することを目指し開発されたタ クロリムス新規経口製剤である。MR4カプセルの臨床開発では,この製剤コンセプトを臨床的 に確認し,本剤のバイオアベイラビリティに影響する因子を検討するため,健康成人被験者を 対象に国内外にて第I相試験を10試験実施した(表2.7.1-4,表2.7.1.4-2)。このうち,国内で は単回投与2試験[FJ-506E-0001,FJ-506E-0002]を実施した。
表2.7.1-4 健康成人被験者を対象に実施した第I相試験 試験番号 試験の
目的
試験デザイン,
試験薬,投与量
登録/完了例数 性別
平均年齢(最小~最大)
人種(例数)
試験報告 書添付場
所
-0-076 薬物動態 忍容性
単回投与,
2剤2期クロスオーバー試験 MR4, PRG: 1.5 mg
16/16 全例男性 30歳(19~47歳)
白人(16例)
5.3.1.1-1
-0-077 薬物動態 忍容性
単回投与,
2剤4期クロスオーバー試験 MR4, PRG: 3 mg
30/30 全例男性 31歳(20~50歳)
白人(30例)
5.3.1.1-2
-0-078 薬物動態 忍容性
単回投与,
2剤2期クロスオーバー試験 MR4, PRG: 5 mg
16/15 全例男性 35歳(23~50歳)
白人(16例)
5.3.1.1-3
FG-506-04-21 薬物動態 忍容性
10日間投与,
2剤2期クロスオーバー試験 PRG: 2 mg/日,1日2回 MR4: 2 mg/日,1日1回
16/14 全例男性 32歳(21~46歳)
白人(15例)
5.3.1.1-4
FG-506-04-25 薬物動態 忍容性
10日間投与,
2剤2期クロスオーバー試験 PRG: 4 mg/日,1日2回 MR4: 4 mg/日,1日1回
25/24 全例男性 35歳(20~48歳)
白人(25例)
5.3.1.1-5
FJ-506E-0001 薬物動態 忍容性
単回投与 MR4: 3 mg
20/20 全例男性 25歳(20~39歳)
日本人(20例)
5.3.1.1-6
FJ-506E-0002
薬 物 動 態
(用量比例 性 の 検 討),忍容 性
単回投与,6順序群
3剤3期クロスオーバー試験 MR4: 1.5 mg, 4 mg, 10 mg
18/16 全例男性 26歳(20~36歳)
日本人(18例)
5.3.1.1-7
-0-123 食 事 の 影 響の検討
単回投与,
6順序群3条件3期クロスオー バー試験
MR4, PRG: 5 mg
21/18 全例男性 37歳(24~51歳)
白人(21例)
5.3.1.1-8
-0-153
食 事 タ イ ミ ン グ の 影 響 の 検 討
単回投与,
4順序群4期(ブロックデザイ ン)クロスオーバー試験 MR4: 5 mg
24/23 全例男性 24歳(18~48歳)
白人(24例)
5.3.1.1-9
-0-148 投 与 時 刻 の検討
単回投与,
4順序4期(ブロックデザイン)
クロスオーバー試験 MR4, PRG: 5 mg
24/22 全例男性 31歳(19~44歳)
白人(24例)
5.3.1.1-10
MR4:MR4カプセル,PRG:プログラフ®カプセル
2.7.1.2 個々の試験結果の要約
2.7.1.2.1 海外第 I 相単回投与試験(1.5 mg)[ -0-076]
··· 5.3.1.1-1 MR4カプセル及びプログラフ®カプセル1.5 mgを単回投与した際のタクロリムスの生物薬剤 学的特性の比較を目的とし,健康成人男性16例を対象とした非盲検,無作為化,2剤2期クロ スオーバー試験を実施した。MR4カプセル投与時のタクロリムスのAUC0-∞の幾何平均値は,プログラフ®カプセル投与時 の92.6%(90%CI:82.9~103.3%)であり,バイオアベイラビリティは同等と考えられた。Cmax の幾何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カプセル)は30.9%(90%CI:26.9~35.5%)であっ た。更に,MR4カプセル投与時にはtmaxが延長し,プログラフ®カプセル投与時よりも吸収速度 の低下がみられた(表2.7.1-5)。
MR4カプセル投与時の有害事象は3/16例(19%)であり,程度はすべて軽度であった。重篤 な有害事象はなかった。臨床検査,バイタルサイン,理学的検査において投与前後の臨床的意 義のある変化はなかった。
表2.7.1-5 薬物動態評価結果の要約[ -0-076]
各パラメータの算術平均 比較
MR4(16例)
1.5 mg(3×0.5 mg カプセル)
プログラフ®
(16例)
1.5 mg(3×0.5 mg カプセル)
MR4/プログラフ
®幾何平均比(%)
幾何平均比の 90%CI(%) AUC0-∞ (ng·h/mL) 65.57 74.28 92.6 82.9~103.3 Cmax (ng/mL) 2.287 7.431 30.9 26.9~35.5
tmax (h) 3.00 1.44 - -
t½ (h) 36.1 37.2 - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル
2.7.1.2.2 海外第 I 相単回投与試験(3 mg) [ -0-077]
··· 5.3.1.1-2 MR4カプセル及びプログラフ®カプセル3 mgを単回投与した際のタクロリムスの薬物動態の 比較を目的とし,健康成人男性30例を対象とした非盲検,4順序群,2剤4期クロスオーバー の単回投与試験を実施した。MR4カプセル投与時のタクロリムスのAUC0-∞の幾何平均値は,プログラフ®カプセル投与時 の70.5%(90%CI:65.6~75.8%)であり,Cmaxの幾何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カプ セル)は29.1%(90%CI:26.6~31.9%)であった。プログラフ®カプセル及びMR4カプセル投 与時のtmax(中央値)はそれぞれ1.5時間,2時間であった。t1/2(算術平均値)については両製 剤でほぼ等しかった(表2.7.1-6)。
MR4 カプセル投与時の有害事象は12/30例(40%)であり,程度はすべて軽度であった。治 験薬との関連性が否定されない有害事象は5/30例(17%)であった。臨床検査,バイタルサイ ン,理学検査,標準12誘導心電図には臨床的に有意な変動は認められなかった。重篤な有害事 象,治験薬投与の中止に至った有害事象はなかった。
表2.7.1-6 薬物動態評価結果の要約[ -0-077] 各パラメータの幾何平均値 比較 MR4(30例)
3 mg(3×1 mgカ プセル)
プログラフ®
(30例)
3 mg(3×1 mgカプ セル)
MR4/プログラフ
®幾何平均比(%)
幾何平均比の 90%CI(%) AUC0-∞
(ng·h/mL) 110 156 70.5 65.6~75.8
Cmax (ng/mL) 4.80 16.5 29.1 26.6~31.9
tmax (h) 2.00† 1.03† - -
t½ (h) 33.9‡ 34.0‡ - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値,‡:算術平均値
2.7.1.2.3 海外第 I 相単回投与試験(5 mg) [ -0-078]
··· 5.3.1.1-3 MR4カプセル及びプログラフ®カプセル5 mgを単回経口投与した際のタクロリムスの薬物動 態の比較を目的として,健康成人男性15例を対象とした非盲検,2剤2期クロスオーバー試験 を実施した。MR4カプセル投与時のタクロリムスのAUC0-∞の幾何平均値は,プログラフ®カプセル投与時 の66.7%(90%CI:53.4~83.5%)であった。Cmaxの幾何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カ プセル)は 32.8%(90%CI:26.3~40.7%)であった。tmax(中央値)及び t1/2(算術平均値)に ついては両製剤でほぼ等しかった(表2.7.1-7)。
MR4カプセル投与時の有害事象は2/16例(13%)であった。程度はすべて軽度であった。治 験薬との関連性が否定されない有害事象は頭痛及び鼻出血であった。臨床検査値,バイタルサ イン,理学的検査及び12誘導心電図には臨床的に重要な変動は認められなかった。重篤な有害 事象,治験薬投与の中止に至った有害事象はなかった。
表2.7.1-7 薬物動態評価結果の要約[ -0-078]
各パラメータの幾何平均値 比較 MR4(16例)
5 mg(1×5 mgカ プセル)
プログラフ®
(15例)
5 mg(1×5 mgカプ セル)
MR4/プログラフ
®幾何平均比(%)
幾何平均比の 90%CI(%) AUC0-∞
(ng·h/mL) 179 269 66.7 53.4~83.5
Cmax (ng/mL) 8.45 25.8 32.8 26.3~40.7
tmax (h) 2.00† 2.00† - -
t½ (h) 35.9‡ 37.5‡ - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値,‡:算術平均値
2.7.1.2.4 海外第 I 相反復投与試験(2 mg/日)[FG-506-04-21]
··· 5.3.1.1-4 MR4カプセル1日1回2 mg(2×1 mgカプセル)及びプログラフ®カプセル1日2回1 mg(1×1mgカプセル)を10日間投与した際のタクロリムスの薬物動態の比較を目的として,健康成人 男性16例を対象とした非盲検,無作為化2剤2期クロスオーバー試験を実施した。
投与第1日のプログラフ®カプセルとMR4カプセルのAUC0-24の幾何平均比(MR4カプセル/
プログラフ®カプセル)は101%(90%CI:90~113%)であり,同等と考えられた。定常状態に 達していると推定される第10日においてMR4カプセルのAUC0-24は,プログラフ®カプセルに 比べ18%高かった。10日間の反復投与によりプログラフ®カプセル及びMR4カプセルのAUC0-24 は,それぞれ約2倍及び2.5倍増加した。最終相のt1/2はMR4カプセル及びプログラフ®カプセ ルとも約41時間と両製剤間で差はなかった(表2.7.1-8)。
両製剤とも午前投与では速やかに吸収され,tmaxの中央値はプログラフ®カプセルで1時間,
MR4 カプセルで 2 時間であった。プログラフ®カプセルの午後投与では,吸収速度は顕著に低 下し,tmaxは3~8時間遅延した。Cmaxは午前投与と比較すると約50%低下した。
MR4カプセル投与時の有害事象は10/15例(66.7%)であった。治験薬との関連性が否定され ない有害事象は10例(66.7%)であり,程度はすべて軽度であった。最も高頻度の事象は胃腸 障害であった。重篤な有害事象はなかった。12誘導心電図,バイタルサイン及び理学検査にお いて臨床的に重要な変動はなかった。第 11 日に平均ALT 値がわずかに増加したが,試験終了 時には投与開始前値まで回復していた。また,第5日及び第11日に総WBC数,血小板数及び 好中球数の平均値が投与前値より低下したが,変動の程度は臨床的に重要ではなかった。
表2.7.1-8 薬物動態評価結果の要約[FG-506-04-21]
各パラメータの幾何平均値 比較 MR4(14例)
2×1 mgカプセル
×1回/日
プログラフ®
(14例)
1×1 mgカプセル
×2回/日
MR4/プログ ラフ®幾何平 均比(%)
幾何平均比 の90%CI
(%)
第1日 33.7 33.4 101 90~113
AUC0-24
(ng·h/mL) 第10日 83.7 70.7 118 109~129
第1日 2.99 3.94 76 66~87
Cmax (ng/mL)
第10日 5.76 6.13 94 87~102
第1日 0.92 1.52 61 52~71
Cmin (ng/mL)
第10日 2.49 2.38 105 94~117
第1日 2.00† 1.00† - -
tmax (h)
第10日 2.00† 1.00† - -
t½ (h) 第10日 40.9 40.8 - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値
2.7.1.2.5 海外第 I 相反復投与試験(4mg/日)[FG-506-04-25]
··· 5.3.1.1-5 MR4カプセル1日1回4 mg(4×1 mgカプセル)及びプログラフ®カプセル1日2回2 mg(2×1 mgカプセル)を10日間投与した際のタクロリムスの薬物動態の比較を目的として,健康成人 男性25例を対象とした非盲検,無作為化2剤2期クロスオーバー試験を実施した。第1日のAUC0-24の幾何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カプセル)は102%(90%CI:91
~113%)であり,同等と考えられた。定常状態に達していると推定される第10日においても,
93%(90%CI:87~99%)であり,同等と考えられた。両製剤のCmaxは10日間の反復投与の結 果,第1日の約2倍に増加していた。第10日目のCmaxの幾何平均比(MR4カプセル/プログラ フ®カプセル)は 74%(90%CI:69~80%)であった(表2.7.1-9)。t1/2はMR4カプセル及びプ ログラフ®カプセルとも約 38時間と両製剤で類似していた。両製剤ともにAUC0-24とCminとの 相関性は高かった(図2.7.1-1)。
午前投与時のtmax(中央値)は,プログラフ®カプセルで1時間,MR4カプセルで2時間であっ た。プログラフ®カプセルの午後投与では,吸収速度及びバイオアベイラビリティは低下し,午 前投与と比較すると,定常状態のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ17%及び50%低下した。
MR4カプセル投与時の有害事象は16/25例(64.0%)であった。治験薬との関連性が否定でき ない有害事象は,10 例(40.0%)であり,程度はすべて軽度であった。そのうち複数件発現し たのは咽頭痛(6 件),下痢(4 件),食欲不振(2 件)であった。重篤な有害事象はなかった。
臨床試験,バイタルサイン,標準12誘導心電図及び理学検査において臨床的に問題となる変動,
あるいは治験薬投与に起因する変動は認められなかった。
表2.7.1-9 薬物動態評価結果の要約[FG-506-04-25]
各パラメータの幾何平均値 比較 MR4(24例)
4×1 mgカプセル
×1回/日
プログラフ®
(24例)
2×1 mgカプセル
×2回/日
MR4/プログ ラフ®幾何平 均比(%)
幾何平均比の 90%CI(%)
第1日 71.2 70.1 102 91~113
AUC0-24
(ng·h/mL) 第10日 148 160 93 87~99
第1日 5.80 8.68 67 59~75
Cmax (ng/mL)
第10日 11.1 14.9 74 69~80
第1日 2.17 2.67 81 72~92
Cmin (ng/mL)
第10日 4.46 5.13 87 81~94
第1日 2.00† 1.00† - -
tmax (h)
第10日 2.00† 1.00† - -
t½ (h) 第10日 37.8 37.6 - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値
ng・h/mL
0 50 100 150 200 250 300
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Cmin(24)
AUC0-24
PRG MR4 PRG MR4
ng/mL
図2.7.1-1 MR4カプセル 1 mg × 4 1日1回及びプログラフ®カプセル 1 mg × 2 1日2回
(n=24)反復経口投与時の第10日におけるAUC0-24とCminの関係
2.7.1.2.6 国内第 I 相単回投与試験(3 mg) [FJ-506E-0001]
··· 5.3.1.1-6 日本人健康成人男性における MR4 カプセル単回経口投与時の薬物動態と白人健康成人男子 の薬物動態[ -0-077]との比較を目的として,20例を対象にMR4カプセル3 mgを空腹時に 経口投与した。日本人の Cmax及び AUC0-∞は,白人に対して 30~40%高い値を示した。白人に対する日本人 のCmaxの幾何平均比は141%(90%CI:118~167%),AUC0-∞の幾何平均比は135%(90%CI:110
~166%)であった。一方,t1/2の幾何平均比(白人/日本人)は106%(90%CI:99~115%)であ り,90%CIは同等の目安である80~125%の範囲内に入っていた。
試験開始前の日本人被験者の体重(平均62.4 kg)は,白人被験者の体重(平均76.6 kg)に比 べ低かった。両試験の被験者毎の AUC とCmaxを体重に対してプロットしたところ,低体重の 被験者では Cmax及びAUC が高体重の被験者より高くなる傾向が認められたことから,体重が MR4 投与した時の薬物動態パラメータの変動因子の一つであることが示唆された(結果を図
2.7.1.4-1 に添付)。加えて,本剤は体重換算で用いられることからも,体重で補正した薬物動
態パラメータによる比較は妥当であると考え,AUC0-∞及びCmaxを体重あたりの投与量で補正し,
日本人/白人の幾何平均比を算出したところ,それぞれ110%(90%CI:91~134%),115%(90%CI: 98~135%)となり,90%CIは同等の目安である80~125%と類似していた(表2.7.1-10)。
有害事象は2/20例(10%)に認められた。治験薬との関連性が否定できない有害事象として 1/20(5%)例に不快感,冷汗,脱力(感)及び血圧低下が認められた。いずれも重篤なもので はなく,臥位安静にて速やかに回復したことから,忍容性には特に問題ないと考えられた。重 篤な有害事象はなかった。バイタルサイン,標準12誘導心電図,臨床試験及び理学検査におい
て臨床的に問題となる変動,あるいは治験薬投与に起因する変動は認められなかった。
表2.7.1-10 健康な日本人及び白人にMR4カプセルを投与したときの薬物動態の比較
試験番号 民族 Cmax†
(ng/mL) AUC0-∞†
(ng・h/mL) t1/2†
(h) tmax ‡
(h) FJ-506E-0001 日本人(n=20) 6.804 150.8 35.7 2.6
00-0-077 白人(n=60)§ 4.838 111.5 33.6 1.9 日本人/白人(%) 140.6 135.3 106.4 -
(体重補正なし)比較 90%CI(%) 118.3~167.2 110.1~166.2 98.9~114.5 -
日本人/白人(%) 114.7 110.3 - -
比較
(体重補正あり) 90%CI(%) 97.5~134.9 90.7~134.1 - -
†:幾何平均値,‡:算術平均値,§:MR4カプセルを投与した第2期と第4期のデータを合算
2.7.1.2.7 国内第 I 相単回投与線形性検討試験[FJ-506E-0002]
··· 5.3.1.1-7 MR4カプセルの異なる3用量(1.5 mg,4 mg及び10 mg)を単回経口投与したときの薬物動 態の線形性を評価することを目的とし,日本人健康成人男性18例を対象とした非盲検,無作為 化,6順序群,3剤3期クロスオーバー試験を実施した。AUC0-∞及びCmaxは用量依存的に上昇し,CL/F,MRT,Vdz/Fに用量依存性はみられなかった
(表2.7.1-11,図2.7.1-2)。また,投与量で補正した全血中タクロリムス濃度は,いずれの投与
量でも同様の推移を示した。AUC0-∞及びCmaxと投与量との関係をパワーモデル(Y=αXβ)で解 析した結果,冪指数(β)はそれぞれ1.04(95%CI:96~112%),1.11(95%CI:102~120%)で あった。Cmaxの 95%CIは用量比例の目安である 1 をわずかに外れていたが,AUC0-∞の 95%CI は1を含んでいた。分散分析の結果,投与量換算したCmaxについては,10 mgと1.5 mgの間に のみ有意差が認められた(p=0.0425)。投与量換算したAUC0-∞,CL/F,MRT,Vdz/F,t1/2では用 量間に有意差は認められず,投与量間の比はほぼ1であった(表2.7.1-12)。以上より,1.5 mg から10 mgの投与量範囲においてMR4カプセルの薬物動態は線形であると考えられた。
有害事象は1.5mg群,4mg群,10mg群でそれぞれ1/17例(5.9%),1/16例(6.3%),1/17例
(5.9%)に認められた。治験薬との関連性が否定できない有害事象は1.5mg投与後の1例にみと められた好中球百分率が減少であった。その他,臨床検査及び理学的検査において異常変動は 認められなかった。
表2.7.1-11 薬物動態評価結果の要約[FJ-506E-0002]
投与量 AUC0-∞
(ng·h/mL) Cmax
(ng/mL) CL/F
(mL/min) MRT
(h) Vdz/F
(L) t1/2
(h) tmax
(h) 算術平均 75.10 3.41 450.74 43.92 1240.00 36.50 2.44
SD 33.88 1.51 360.93 9.80 486.07 7.83 1.59 1.5 mg
CV (%) 45.1 44.4 80.1 22.3 39.2 21.4 65.2 算術平均 205.91 9.02 383.79 43.56 1199.47 36.76 2.44
SD 84.69 3.09 170.10 6.16 497.24 4.59 1.26 4 mg
CV (%) 41.1 34.3 44.3 14.1 41.5 12.5 51.8 算術平均 516.26 26.53 376.00 41.27 1169.42 36.25 2.25
SD 196.66 7.99 158.85 5.07 467.27 3.13 0.86 10 mg
CV (%) 38.1 30.1 42.2 12.3 40.0 8.6 38.1 n=16
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
0 5 10 15
Dose (mg)
Cmax (ng/mL)
0 200 400 600 800 1000
0 5 10 15
Dose (mg) AUC0-∞ (ng·hr/mL)
図2.7.1-2 MR4カプセル(1.5 mg,4 mg,10 mg)単回経口投与時の薬物動態パラメータと
用量の関係(n=16)
表2.7.1-12 MR4カプセル(1.5 mg,4 mg,10 mg)単回経口投与時の
薬物動態パラメータの用量間比較(分散分析)
用量 (mg) 幾何平均 薬物動態
パラメータ 対照 被験 対照 被験
p値 幾何平均
比
幾何平均比の 90%CI AUC0-∞/D 4.0 1.5 47.38 44.30 0.6322 n.s. 1.07 0.92~1.25 (ng·h/mL 4.0 10.0 47.38 47.97 0.9845 n.s. 0.99 0.85~1.15 /mg) 10.0 1.5 47.97 44.30 0.5284 n.s. 1.08 0.93~1.27 CL/F 4.0 1.5 351.79 376.24 0.6323 n.s. 0.93 0.80~1.09 (mL/min) 4.0 10.0 351.79 347.47 0.9844 n.s. 1.01 0.87~1.18 10.0 1.5 347.47 376.24 0.5284 n.s. 0.92 0.79~1.08 Cmax/D 4.0 1.5 2.14 2.07 0.9181 n.s. 1.03 0.87~1.23 (ng/mL/mg) 4.0 10.0 2.14 2.55 0.0979 n.s. 0.84 0.71~1.00 10.0 1.5 2.55 2.07 0.0425 p<0.05 1.23 1.03~1.46 MRT 4.0 1.5 43.15 42.58 0.9642 n.s. 1.01 0.91~1.13 (h) 4.0 10.0 43.15 40.98 0.5819 n.s. 1.05 0.94~1.18 10.0 1.5 40.98 42.58 0.7398 n.s. 0.96 0.86~1.07 Vdz/F 4.0 1.5 1111.27 1155.55 0.8109 n.s. 0.96 0.84~1.10 (L) 4.0 10.0 1111.27 1086.87 0.9342 n.s. 1.02 0.89~1.17 10.0 1.5 1086.87 1155.55 0.6006 n.s. 0.94 0.82~1.08 t1/2 4.0 1.5 36.49 35.46 0.8716 n.s. 1.03 0.91~1.16 (h) 4.0 10.0 36.49 36.12 0.9829 n.s. 1.01 0.89~1.14 10.0 1.5 36.12 35.46 0.9440 n.s. 1.02 0.90~1.15 平均値はANOVAにより算出した。n.s: not significant,p値:Tukey法による。
AUC0-∞/D:投与量換算したAUC0-∞,Cmax/D:投与量換算したCmax
2.7.1.2.8 海外第 I 相食事の影響検討試験[ -0-123]
··· 5.3.1.1-8 MR4カプセル投与時のタクロリムスの吸収に及ぼす食事の影響を検討する目的で,健康成人 男性21例を対象とした非盲検,6順序群3条件3期クロスオーバー単回投与試験を実施した。用法は①MR4カプセルの空腹時投与,②MR4カプセルの高脂肪食摂取後投与,③市販のプログ ラフ®カプセルの空腹時投与の3種類であった。
MR4カプセルを食後に投与した場合,空腹時投与と比べてタクロリムスの吸収速度及びバイ オアベイラビリティは低下した。高脂肪食摂取後投与のAUC0-∞の幾何平均は空腹時投与の場合 の76.0%(90%CI:69.2~83.4%)であり,高脂肪食摂取後投与のCmaxの幾何平均は空腹時投与 の場合の 77.2%(90%CI:67.1~88.8%)であった。また,tmaxの中央値は,MR4 カプセルの空 腹時投与では2時間であったのが,高脂肪食摂取後投与では3.5時間と遅延した。プログラフ® カプセル,MR4カプセルのいずれも,食時の有無にかかわらずタクロリムスのt1/2は約35時間 であった(表2.7.1-13)。
MR4カプセルの空腹時投与後では9/19例(47%),高脂肪食摂取後投与では5/19例(26%)
に有害事象が発現した。器官別の分類において発現頻度が最も高かった有害事象は,胃腸障害 及び神経系障害であった。本試験中に認められた有害事象の大半が軽度~中等度であり,無処 置にて消失した。MR4 カプセル投与後の有害事象で程度が高度のものは急性全身発疹性膿疱,
狭心症の 2件であり,いずれも当該有害事象により治験を中止した。このうち,急性全身発疹 性膿疱は,治験薬との関連性を「可能性あり」と判定された。重篤な有害事象はプログラフ投 与後に精巣捻転のため入院が必要となった 1例であった。治験薬との関連性は「多分なし」と 判定された。
表2.7.1-13 薬物動態評価結果の要約[ -0-123]
各パラメータの幾何平均値 比較
5 mg (1×5 mgカプセル)
MR4(19例)
高脂肪食摂取 後投与
MR4(19例)
空腹下投与
プログラフ(20 例)空腹下投与
MR4の高脂 肪食摂取後/
空腹の 幾何平均比
(%)
MR4の高脂 肪食摂取後/ 空腹の幾何 平均比の 90%CI (%) AUC0-∞ (ng·h/mL) 144.46 190.19 249.60 76.0 69.2~83.4
Cmax (ng/mL) 6.47 8.39 22.28 77.2 67.1~88.8
tmax (h) 3.50† 2.00† 1.01† - -
t½ (h) 35.9† 36.3† 34.7† - -
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値
2.7.1.2.9 海外第 I 相食事タイミングの影響検討試験[ -0-153]
··· 5.3.1.1-9 MR4カプセルの(1 × 5 mg)投与時のタクロリムスの薬物動態に及ぼす食事タイミングと投 与の関係を検討する目的で,健康白人男性24例を対象とした非盲検,4順序群4期(ブロック デザイン)クロスオーバー単回投与試験を実施した。用法は①空腹時,②食前 1時間,③食直 後,④食後1.5時間の4種類であった。食前1時間投与のAUC0-∞の幾何平均値は空腹時投与の90.0%(90%CI:82.9~97.8%)であり 同等を示す範囲 80~125%以内に含まれたが,食前 1時間投与のCmaxの幾何平均値は空腹時投 与の86.5%(90%CI:77.9~96.0%)に低下した。
食直後投与では,空腹時投与に比べAUC0-∞は73.4%に低下し,Cmaxの幾何平均値は72.2%に 低下した。
食後1.5時間投与では,空腹時投与に比べAUC0-∞並びにCmaxの幾何平均値は,それぞれ64.6%
及び77.1%に低下した。
tmaxの中央値は空腹時に比べ,食前 1 時間投与時には変化しなかったが,食直後投与では 2 時間,食後1.5時間投与では1時間遅延した(表2.7.1-14)。
本試験中,13/24例(54%)に有害事象が発現した。4つの食事タイミングと投与との関係に おいて,有害事象の発現頻度が最も高かったのは空腹時投与であり,8/24 例(33%)にみられ た。試験全体を通じて,頻度が高かった有害事象は咽頭炎(6/24例,25%),鼻炎(3/24例,13%),
副鼻腔うっ血(3/24例,13%),及び頭痛(3/24例,13%)であった。治験薬との関連性が否定 されない有害事象は3/24例(13%)であり,程度はすべて軽度であった。また,本試験中に重 篤有害事象,治験薬投与の中止に至った有害事象はみられなかった。臨床検査,バイタルサイ ン,体重あるいは理学検査においても臨床的に重要な変化は認められなかった。
表2.7.1-14 薬物動態評価結果の要約[ -0-153]
各パラメータの幾何平均値
MR4カプセル5 mg(1×5 mgカプセル)
空腹時(24例) 食前1時間(23例) 食直後(24例) 食後1.5時間(24例)
AUC0-∞ (ng·h/mL) 188.95 170.13 138.71 122.11
Cmax(ng/mL) 8.10 7.01 5.85 6.25
tmax (h) 2.00† 2.00† 4.00† 3.00† t½ (h) 36.6‡ 35.2‡ 36.0‡ 36.2‡
パラメータの比較 幾何平均比(%)
[90%CI] - 食前1時間
/空腹時
食直後 /空腹時
食後1.5時間 /空腹時 AUC0-∞ (ng·h/mL) - 90.0
[82.9~97.8]
73.4
[67.7~79.7]
64.6
[59.6~70.1]
Cmax - 86.5
[77.9~96.0]
72.2
[65.1~80.1]
77.1
[69.6~85.6]
†:中央値,‡:算術平均値
2.7.1.2.10 海外第 I 相投与時刻の影響検討試験[ -0-148]
··· 5.3.1.1-10 MR4 カプセル及びプログラフ®カプセルを午前及び午後に単回投与した場合の全血中タクロ リムスの薬物動態を検討する目的で,健康成人男性24例を対象に非盲検,4順序4期(ブロッ クデザイン)クロスオーバー単回投与試験を実施した。用法は①MR4 カプセル午前投与,② MR4カプセル午後投与,③プログラフ®カプセル午前投与,④プログラフ®カプセル午後投与の 4種類であった。午前投与に対する午後投与のAUC の低下の程度は両製剤で同程度であった。MR4 カプセル の午後投与のAUC0-∞は午前投与の63.6%に低下し,Cmaxが89.3%に低下した。プログラフ®カプ セルの午後投与は,午前投与と比べてAUC0-∞が64.8%に低下し,Cmaxが38.5%に低下した。プ ログラフ®カプセルの午後投与ではtmaxが午前投与よりも遅延した(表2.7.1-15)。
全投与期間を通じて有害事象は16/24例(66.7%)に発現した。プログラフ®カプセルとMR4 の午前・午後投与のうち,有害事象の発現頻度が最も高かったのはMR4カプセルの午前投与で あり,発現率は41.7%(10/24例)であった。高頻度に発現した有害事象は頭痛(6/24例,25.0%),
咽頭炎(4/24例,16.7%)及び上気道感染(4/24例,16.7%)であった。治験薬との関連性が否 定されない有害事象は6/24例(25.0%)であり,程度はすべて軽度であった。重篤有害事象は1 例であり,バイク事故による脳震盪,浮腫NOS,眼の充血,眼部腫脹,皮膚裂傷,胸痛,及び 動脈炎であった。当該症例は有害事象のため入院し,治験を中止した。その他に 2例が有害事 象のため治験を中止した。臨床検査,バイタルサイン,体重,理学的検査において臨床的に重 要な変化はみられなかった。
表2.7.1-15 薬物動態評価結果の要約[ -0-148]
各パラメータの幾何平均値
MR4 5 mg(1×5 mgカプセル) プログラフ® 5 mg(1×5 mgカプセル)
午前投与
(24例)
午後投与
(23例) 午前投与(24例) 午後投与(23例)
AUC0-∞ (ng·h/mL) 167 106 228 148
Cmax (ng/mL) 6.93 6.19 21.8 8.38 tmax (h) 2.00† 2.00† 1.52† 4.00†
t½ (h) 33.5‡ 35.5‡ 36.8‡ 35.9‡
パラメータの比較
MR4 5 mg(1×5 mgカプセル) プログラフ® 5 mg
(1×5 mgカプセル)
午後/午前の 幾何平均比(%)
幾何平均比の 90%CI
午後/午前の 幾何平均比(%)
幾何平均比の 90%CI AUC0-∞ (ng·h/mL) 63.6 55.8~72.3 64.8 56.9~73.7
Cmax 89.3 77.5~103 38.5 33.4~44.4
MR4:MR4カプセル,プログラフ®:プログラフ®カプセル,†:中央値,‡:算術平均値
2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析 2.7.1.3.1 単回投与
海外にて実施した第I相単回投与試験[ -0-076, -0-077, -0-078]において1.5 mg,3 mg,5 mgのMR4カプセルとプログラフ®カプセルをクロスオーバーで単回投与し薬物動態を評 価した。その結果,プログラフ®カプセルと比べたとき,Cmaxの低下及びTmaxの遅延が認められ,
本剤が徐放性製剤としての特性を有することが確認された。また吸収後のタクロリムスの動態 に両製剤間で差は認められなかった。
2.7.1.3.2 反復投与
MR4カプセル反復投与時の薬物動態をプログラフ®カプセルと比較するため,クロスオーバー 法にて第I相反復投与試験[FG-506-04-21,FG-506-04-25]を海外にて実施した。FG-506-04-21 試験では1日用量2 mg,FG-506-04-25試験では1日用量4 mgとし,所定の用量をMR4カプ セルは1日1回(朝投与),プログラフ®カプセルは1日2回(朝夕投与)に分け,いずれも10 日間投与した。AUC0-24を指標にして,各薬剤の投与第1日目と定常状態に達していると推定さ れる投与第10日目における本剤とプログラフ®カプセル投与時のバイオアベイラビリティを比 較した。投与1日目においてはFG-506-04-21試験並びにFG-506-04-25試験にてAUC0-24の幾 何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カプセル)はそれぞれ101%(90%CI:90~113%),102%
(90%CI:91~113%)であり,AUCは両製剤間で同等と考えられた。定常状態にある投与第10 日目のAUC0-24の幾何平均比(MR4カプセル/プログラフ®カプセル)は,FG-506-04-21試験で は118%(90%CI:109~129%)と90%CIがわずかに同等性の目安である80~125%をはずれて いたが,症例数を増やして実施したFG-506-04-25試験では93%(90%CI:87~99%)と90%CI が80~125%に含まれており,定常状態における両薬剤のバイオアベイラビリティは同等である と判断した。すなわち,プログラフ®カプセルと同じ1日用量のMR4カプセルを1日1回服用 すれば,定常状態ではプログラフ®カプセルを服用した場合と同等のバイオアベイラビリティが 得られると考えられた。
2.7.1.3.3 バイオアベイラビリティに影響する要因
(1)バイオアベイラビリティの線形性
日本人健康成人男子にMR4カプセルの異なる3用量(1.5 mg,4 mg及び10 mg)を単回経口 投与したときの薬物動態の線形性検討試験[FJ-506E-0002]の成績より,1.5 mgから10 mgの 投与量範囲において MR4 カプセルのバイオアベイラビリティは線形であると考えられた
(2.7.1.2.7)。
また,健康白人成人男子に MR4 カプセルを単回投与したときの薬物動態試験[ -0-076,
-0-077, -0-078]の成績に基づいた投与量とAUC0-∞の関係を図2.7.1-3に示した。全血中
タクロリムス濃度は投与量の増加に伴いほぼ用量比例的に高くなった。
0 50 100 150 200 250 300
0 1 2 3 4 5 6
Dose (mg)
AUC (ng.h/mL)
図2.7.1-3 健康白人成人男子における投与量とAUC0-∞の関係
平均±SD,線は回帰直線(AUC0-∞又はCmax=A×投与量+B)
(2)食事の影響
薬物動態に及ぼす食事の影響を検討するため,海外において第I相単回投与2試験[ -0-123,
-0-153]を実施した。
-0-123試験では,MR4カプセル5 mgを空腹時又は高脂肪食摂取後に投与し,薬物動態を
比較した。高脂肪食摂取後の投与では空腹時投与に比べAUC0-∞は24%,Cmaxは23%低下し,食 事による吸収低下が示唆された。影響の程度をプログラフ®カプセルについて食事の影響を検討 した過去の試験結果 1)と比べると,空腹時投与に対する高脂肪食摂取後投与の Cmaxの低下は MR4 カプセルの方がプログラフ®カプセルより程度が小さかったのに対し,AUC0-∞の低下は両 製剤間でほぼ同程度であった(表2.7.1-16)。
表2.7.1-16 食事の影響の検討結果
-0-123試験(n=19)
MR4カプセル* AUC0-∞ (ng·h/mL) Cmax (ng/mL)
空腹時 190.19 (100%) 8.39 (100%)
高脂肪食(食後5分以内投与) 144.46 (76.0%) 6.47 (77.2%) [参考] Bekersky et al, J. Clin.Pharm. 41: 176-182, 2001 1) (n=15)
プログラフ®カプセル** AUC0-∞ (ng·h/mL) Cmax (ng/mL)
空腹時 272 (100%) 25.6 (100%)
高脂肪食(食後5分以内投与) 181 (66.6%) 5.88 (22.9%) 高炭水化物食(食後5分以内投与) 201 (74.1%) 9.03 (35.3%)
(%)は各製剤の空腹時のAUC0-∞,Cmaxに対する割合
*:幾何平均値,**:算術平均値
-0-153試験では,MR4カプセルの吸収は食事タイミングにより影響を受けることが確認さ れた。すなわち,AUC0-∞は,食後1.5時間に投与した場合と比べ,空腹時あるいは食事の1時 間前に投与した場合に大きかった。食事タイミングの影響の程度をプログラフ®カプセルの過去 の試験結果2)と比べると,空腹時あるいは食前投与に対する食後投与のCmaxの低下はMR4カプ セルの方がプログラフ®カプセルより程度が小さかったのに対し,AUC0-∞の低下については両製 剤間でほぼ同程度であることが示された(表2.7.1-17)。
表2.7.1-17 食事タイミングの影響検討試験の結果
-0-153試験(n=23)
MR4カプセル* AUC0-∞ (ng·h/mL) Cmax (ng/mL) 空腹時 188.95 (100%) 8.10 (100%) 食前1時間 170.13 (90.0%) 7.01 (86.5%) 食直後 138.71 (73.4%) 5.85 (72.2%) 食後1.5時間 122.11 (64.6%) 6.25 (77.1%) [参考] Bekersky et al, J. Clin.Pharm. 41:289-297, 2001 2)(n=16)
プログラフ®カプセル** AUC0-∞ (ng·h/mL) Cmax (ng/mL)
空腹時 312 (100%) 24.5 (100%)
食前1時間 276 (88.6%) 21.8 (89.0%)
食直後 205 (65.6%) 7.19 (29.4%)
食後1.5時間 203 (65.1%) 9.04 (37.0%)
(%)は各製剤の空腹時のAUC0-∞,Cmaxに対する割合
*:幾何平均値,**:算術平均値
(3)投与時刻の影響
MR4 カプセル並びにプログラフ®カプセルの投与時刻(午前投与と午後投与)の薬物動態へ の影響を検討するため,海外にて第I相単回投与試験[ -0-148]を実施した。MR4カプセル,
プログラフ®カプセル(5 mg投与)ともに午後投与の方が午前投与に比べAUC0-∞はそれぞれ約 36%,約35%低下し,その程度はほぼ同程度であった。Cmaxも午後投与の方が低下したが,MR4 カプセルの方がプログラフ®カプセルより影響の程度は少なかった(表2.7.1-18)。
表2.7.1-18 投与時刻の影響検討試験の結果
-0-148試験(n=22)
投与時刻 AUC0-∞ (ng·h/mL) Cmax (ng/mL) MR4カプセル 午前投与 167 (100%) 6.93 (100%) MR4カプセル 午後投与 106 (63.6%) 6.19 (89.3%) プログラフ®カプセル 午前投与 228 (100%) 21.8 (100%) プログラフ®カプセル 午後投与 148 (64.8%) 8.38 (38.5%) 幾何平均値,(%)は各製剤の午前投与のAUC0-∞,Cmaxに対する割合
2.7.1.4 付録
図2.7.1.4-1 海外第I相単回投与試験(3mg)[ -0-077]及び国内第I相単回投与試験(3mg)
[FJ-506E-0001]における被験者の体重とCmax及びAUCの関係
表2.7.1.4-1 施設別のヒト全血中タクロリムス濃度測定法の概要
表2.7.1.4-2 健康成人被験者を対象に実施した第I相試験の要約
表2.7.1.4-3 外国人及び日本人における本剤の薬物動態パラメータの比較[FJ-506E-001,
-0-077]
表2.7.1.4-4 プログラフ®カプセル及び本剤の薬物動態パラメータの比較[ -0-077]
表2.7.1.4-5 プログラフ®カプセル及び本剤の薬物動態パラメータの比較[ -0-078]
表2.7.1.4-6 食事タイミングによる本剤の薬物動態パラメータの比較[ -0-153]
表2.7.1.4-7 投与時刻による本剤の薬物動態パラメータの比較[ -0-148]
0 2 4 6 8 10 12 14
40 60 80 100 120
体重 (kg)
Cmax (ng/mL)
日本人 白人
0 100 200 300 400
40 60 80 100 120
体重 (kg)
AUC (ng.h/mL)
日本人 白人
c
図2.7.1.4-1 海外第I相単回投与試験(3mg)[ -0-077]及び国内第I相単回投与試験(3mg)
[FJ-506E-0001]における被験者の体重とCmax及びAUCの関係 -0-077:n = 30,FJ-506E-0001:n = 20
表2.7.1.4-1 施設別のヒト全血中タクロリムス濃度測定法の概要
結果:同時再現性 結果:日差再現性 使用した
臨床試験
Calibration 曲線の範囲
定量
限界 結果:線形性
精度 真度 精度 真度
報告書 添付場所
米国 20 年
[社内報告書番号21059_2]
-0-060
0.2~20.0 ng/mL
0.2
ng/mL 0.9988~0.9996 2.0%~7.7% -9.2%~10.3% -2.7%~10.1% 3.7%~8.1% 5.3.1.4-1(参)
米国 20 年
[社内報告書番号24636_1]
-0-076
0.1~10.1 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9981~0.9998 3.2%~11.4% -10.0%~1.9% 0% 5.4%~13.1% 5.3.1.4-2(参)
米国 20 年
[社内報告書番号6332-138]
-0-077
-0-078 0.1~10.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9977~0.9996 2.4%~5.0% -8.3%~4.9% -5.8%~3.7% 3.0%~6.7% 5.3.1.4-3(参)
英国 20 年
[社内報告書番号1855/001-D0142]
FG-506-04-21
0.1~10 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9958~0.9974 2.3%~13.3% -12%~-3.6% -14.5%~-6.4% 4.7%~7.7% 5.3.1.4-4(参)
英国 20 年
[社内報告書番号1855/3-D0142]
FG-506-04-25 FG-506E-15-02 FG-506E-12-01
0.1~30.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9973~0.9995 4.1%~8.0% -0.8%~14.1% -4.0%~6.3% 5.7%~13.0% 5.3.1.4-5(参)
ドイツ 20 年
[社内報告書番号LA003]
-0-123
FG-506E-11-01 0.1~30.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9982~0.9998 2.1%~3.2% -3.2%~10.5% -1.2%~6.7% 3.3%~7.7% 5.3.1.4-6(参)
Fujisawa Research Institute of America, Inc., 米国
-0-131
-0-152 0.1~30.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9995~0.9999 1.0%~3.6% -0.2%~4.0% 0%~1.8% 2.3%~4.6% 5.3.1.4-7(参)
米国 20 年
[社内報告書番号6332-153]
-0-148 -0-153 FG-506E-15-02
0.1~30.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9993~0.9997 4.2%~6.3% -9.6%~0.8% -10.0%~0.4% 4.9%~6.0% 5.3.1.4-8(参)
米国 20 年
[社内報告書番号6332-210]
-0-160
0.1~30.0 ng/mL
0.1
ng/mL 0.9993~0.9995 0.7%~4.6% -3.2%~18.0% 1.2%~5.3% 2.2%~4.5% 5.3.1.4-9(参)
南アフリカ
[社内報告書番号188/20 ]
FG-506E-12-02
0.030~60.2 ng/mL
0.030
ng/mL 0.9986~0.9995 1.9%~6.4% 1%~5% 1%~4% 2.3%~9.5% 5.3.1.4-10(参)
日本
[社内報告書番号 CRD010085]
FJ-506E-0001 FJ-506E-0002 FJ-506E-KT01
0.10~100.00 ng/mL
0.10
ng/mL 0.9980~0.9986 0%~9.5% -14.7%~10.4% -12.7%~7.9% 3.3%~11.1% 5.3.1.4-11(参)
表2.7.1.4-2 健康成人被験者を対象に実施した第I相試験の要約(1)
投与 パラメータの幾何平均値 幾何学平均値の比†[90%CI]
試験番号 試験の目的 試験の デザイン
Subjects incl.
性別, mean 平均年齢(範囲)
人種/民族 試験薬 AUC0-24
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(h) 比較
AUC0-24
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL) tmax
(h)
試験報告書 添付場所
PRG 1.5mg 74.28‡ 7.43‡ 1.44‡
-0-076 薬物動態 忍容性
単回投与, クロスオーバー試験
16/16 全例男性 30歳(19~47歳)
白人 16例 MR4 1.5mg 65.57‡ 2.29‡ 3.00‡
MR/PRG 92.6 82.9-103.3
30.9
26.9-35.5 - 5.3.1.1-1
PRG 3mg 156 16.5 1.03†
-0-077 薬物動態 忍容性
単回投与, クロスオーバー試験
30/30 全例男性 31歳(20~50歳)
白人 30例 MR4 3mg 110 4.8 2.00†
MR/PRG 70.5
65.6-75.8
29.1
26.6-31.9 - 5.3.1.1-2
PRG 5mg 269 25.8 2.00†
-0-078 薬物動態 忍容性
単回投与, クロスオーバー試験
16/15 全例男性 35歳(23~50歳)
白人 16例 MR4 5mg 179 8.45 2.00†
MR/PRG 66.7
53.4-83.5 32.8
26.3-40.7 - 5.3.1.1-3 PRG 2mg
第1日
第10日 33.4
70.7 3.94
6.13 1.00†
1.00†
MR/PRG 第1日
101 90-113
76
66-87 -
FG-506-04-21 薬物動態 忍容性
10日間投与, クロスオーバー試験
16/14 全例男性 32歳(21~46歳)
白人 15例 MR4 2mg 第1日
第10日 33.7
83.7 2.99
5.76 2.00†
2.00†
MR/PRG 第10日
118 109-129
97
87-102 -
5.3.1.1-4
PRG 4mg 第1日
第10日 70.1
160 8.68
14.9 1.00† 1.00†
MR/PRG 第1日
102 91-113
67
59-75 -
FG-506-04-25 薬物動態 忍容性
10日間投与, クロスオーバー試験
25/24 全例男性 35歳(20~48歳)
白人 25例 MR4 4mg 第1日
第10日 71.2
148 5.80
11.1 2.00† 2.00†
MR/PRG 第10日
93
87-99 74
69-80 -
5.3.1.1-5
FJ-506E-0001 薬物動態
忍容性 単回投与
20/20 全例男性 25歳(20~39歳)
日本人 20例
MR4 3mg 150.8 6.804 2.6‡ 5.3.1.1-6
†:中央値,‡:算術平均
MR4:MR4カプセル, PRG:プログラフ®カプセル