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周産期母子医療センターネットワークデータベース関する研究

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究委託費(成育疾患克服等総合研究事業)

委託業務成果報告(業務項目)

周産期母子医療センターネットワークデータベース関する研究

担当責任者  楠田  聡  東京女子医科大学母子総合医療センター教授 研究協力者  藤村正哲  大阪府立母子保健総合医療センター名誉総長

研究要旨

<目的>周産期母子医療センターネットワークデータベースの構築と運営を通じて、わが国 の周産期医療のさらなる向上を図る。

<方法>全国の総合あるいは地域周産期母子医療センターに入院する極低出生体重児を共 通データベースに登録する。そして、このデータベースの解析から示される臨床指標を用い て、ハイリスク新生児の診療水準の向上を図る。さらに、今後より詳細な解析が可能なよう に、データベース内容の強化を図る。

<結果>2011年出生児では、参加施設は192、登録数は5288例となり、全国の約65%をカ バーした。また、過去10年間で登録児の死亡退院率は約1/2に改善した。さらに、今後のデ ータベース解析の質を向上させるために、2015年出生児から登録対象を在胎期間32週未満 および出生体重1500g以下と拡大した。

<考察>周産期ネットワークデータベースは順調に運営されているが、まだ参加していない 施設が存在するので、さらなる拡大が必要である。一方、登録児の対象拡大により、より正 確な解析が可能となる。

<結論>周産期ネットワークデータベース機能がさらに強化された。

A.研究目的

わが国の周産期医療は、国際的に優れた水準 にあるが、これは、国および地方自治体による 周産期医療体制の整備と、産科および新生児の 医学的管理の進歩の結果である。しかしながら、

児の死亡リスクが特に高い極低出生体重児の 予後を見ると、未だ改善の余地がある。そこで、

「周産期母子医療センターネットワーク」の構 築に関する研究(研究代表者:藤村正哲)で全 国の周産期母子医療センターを対象にした極 低出生体重児のデータベースを2003年に構築 し、蓄積されたデータの分析結果から、予後改 善に必要な対策を講じてきた。現在このネット ワークデータベースは、日本未熟児新生児学会

と共同で運営されている。本研究では、このネ ットワークデータベースの集積データの解析 およびデータベース機能の強化を目的とした。

B.研究方法

全国の総合あるいは地域周産期母子医療セ ンターに入院する出生体重1500g以下の極低 出生体重児を、入院患者共通データベースに登 録する。そして、このデータベースで解析され る臨床指標を用いて、参加施設のハイリスク新 生児の診療水準の向上を図る。また、全国規模 で極低出生体重児の予後データを解析する。

データベースの基本様式は、本邦の一部施設 で既に利用されている平成7〜9年度厚生省

(2)

心身障害研究「周産期の医療システムと情報管 理に関する研究」班(研究代表者:多田裕、研 究分担者:中村肇)が作成した「ハイリスク新 生児入院基本情報」を参考にし、さらに、

NICHD(National Institute of Child Health and Development)、Vermont Oxford Network、 British Association of Perinatal Medicine等の海外デー タベースを参考に作成。疾患の定義、重症度の 判定などは、データベースマニュアルを作成し て一定の定義に従う。現在登録項目数は新生児

144、施設13である。

さらに、今後のさらなる診療水準の向上のた めに必要なデータベース機能の強化を目指す。

(倫理面への配慮)

「疫学研究に関する倫理指針」に則り、登録 児の情報を匿名化して収集する。また、データ 登録に際しては、保護者から同意を得る。

C.研究結果 1.  登録数

2003年当初は図1に示すように、参加施設

は40、登録数は2281例であったが、最新のデ

ータである2011年出生児では、参加施設は192、

登録数は5288例となった。これは全国の極低 出生体重児の約65%のカバー率である。

図1  参加施設および登録数の推移

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 0 3,000

2,000

1,000 5,000

4,000

Numbeoinfants registered

Hospitals Infants

100

0 200

6,000

Year 300

2.  報告書によるデータのフィードバック   収集データは年次報告書として参加施設別 に報告される。報告書の内容は、

・施設データ(年度別、全体との比較)

・症例データ(年度別、全体との比較、施設ラ ンク

・出生体重で補正した施設ランク)

・予後データ(年度別、全体との比較、施設ラ ンク)

・年次推移(2003年からの推移、全体との比 較)

・出生体重および在胎期間別データ(年度別)

で、全体で約300頁となっている。そのため、

参加施設では、登録データの年次報告書から、

当該施設での診療内容の課題を知り、その向上 を図ることができる。

3.  死亡率の年次推移

  2003年出生児と2012年出生児の死亡退院率 を比較すると、図2に示すように、11%から6%

と低下しており、10年間で死亡率が約1/2に減 少した。このデータベースを通じて、わが国の 周産期医療が現在も急速に進歩していること が確実に示された。

図2  死亡退院率の年次推移

Year

Mortality(dead at discharge) (%)

0 2 4 6 8 10 12

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

4.  データベースの機能強化

  2015年出生児からは、現在の出生体重のみ

(3)

による登録基準から、在胎期間32週未満また は出生体重1500g以下とする。また、登録項目 として、<母体情報>として、胎児母体間輸血 症候群の有無、<分娩情報>として臍帯動脈血 ガス分析値、<新生児期情報>として入院時血 液ガス分析値を追加する。

D.考察

周産期ネットワークデータベースは順調に 運営されているが、まだ参加していない施設が 存在するので、さらなる拡大が必要である。ま た、従来の登録基準は出生体重1500g以下であ ったため、在胎期間が進むと子宮内発育制限児 の割合が多くなり、分析結果にバイアスが生じ ていた。そこで、2015年からは、在胎期間32 週未満または出生体重1500g以下を登録基準 とした。この結果、子宮内発育制限児の増加に よる解析バイアスを回避することが可能とな った。また、新たに出生時の情報を追加するこ とで、出生前の胎児の状態と出生後の予後との 関係をより詳細に検討できるデータベースと なった。今後のわが国の周産期医療の発展にと って、周産期ネットワークデータベースはさら に重要な役割を果たすことになる。

E.結論

  2003年出生児から登録されている周産期ネ

ットワークデータベースが順調に運営され、さ らにその機能が強化された。

 

G.研究発表

1. 論文発表

・Shah PS, Lee SK, Lui K, Sjörs G, Mori R, Reichman B, Håkansson S, Feliciano LS, Modi N, Adams M, Darlow B, Fujimura M, Kusuda S, Haslam R, Mirea L; International Network for Evaluating Outcomes of Neonates (iNeo). T he International Network for Evaluating Outcom es of very low birth weight, very preterm neon ates (iNeo): a protocol for collaborative compar

isons of international health services for quality improvement in neonatal care. BMC Pediatr. 2 014; 14:110.

・Morisaki N, Belfort MB, McCormick MC, Mo ri R, Noma H, Kusuda S, Fujimura M; Neonat al Research Network of Japan. Brief parenteral nutrition accelerates weight gain, head growth e ven in healthy VLBWs. PLoS One. 2014; 9:e8 8392.

2. 学会発表

・Kusuda S. Outcomes of Infants Born at 22an d 23 Weeks Gestation. Hot Topics in Neonatol ogy 2014

H.知的財産権の出願・登録状況 無し

参照

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