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厚生労働科学研究費補助金食品の安全確保推進研究事業

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(1)

 

厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 食 品 の 安 全 確 保 推 進 研 究 事 業 分 担 研 究 報 告 書

リ ス ク 認 知 の 測 定 法 の 検 討 と 調 査 研 究

研 究 分 担 者   竹 村 和 久   早 稲 田 大 学 文 学 学 術 院   教 授

研 究 要 旨   平 成 26 年 度 の 研 究 で は 、 ま ず 、 リ ス ク 認 知 測 定 の 方 法 論 を 調 査 1 で 検 討 し て 、そ の 結 果 を も と に 、リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 探 索 的 に 検 討 す る こ と 目 的 と し 調 査 2 を 実 施 し た 。   調 査 1 で は 、 大 学 生 221 名 に 、「 日 本 国 内 10 万 人 に お け る 年 間 死 者 数 」、「 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 」 を 推 定 さ せ た 場 合 、「 日 本 の 総 人 口 に お け る 年 間 死 者 数 」を 推 定 さ せ た 場 合 よ り 、非 常 に 多 く の 死 者 数 を 推 定 し て い る こ と が わ か り 、ア ン カ ー を 与 え て 日 本 の 総 人 口 を 提 示 し た ほ う が 比 較 的 正 確 な リ ス ク 認 知 の 測 定 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。 調 査 2 に お い て 、 日 本 国 内 の 医 師 300 名 、 一 般 消 費 者 300 名 、 大 学 生 270 名 を 対 象 と し た 。 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 が 示 唆 さ れ た 。 具 体 的 に は 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 自 身 の 保 有 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し て い る 医 師 は 、死 亡 者 数 の 推 定 精 度 が 高 い 傾 向 が 示 さ れ た 。さ ら に 、評 価 対 象 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 も 全 く 持 っ て い な い と い う こ と を 強 く 自 覚 し て い る 、い わ ゆ る「 無 知 の 知 」の よ う な 態 度 を 持 つ 人 は 、死 亡 者 推 定 の 精 度 が 高 い 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。

平 成 27 年 度 の 研 究 で は 、 食 品 の リ ス ク に 関 す る 質 問 紙 調 査 の 尺 度 に つ い て の 測 定 論 的 分 析 を 行 い 、よ り 客 観 的 な 観 点 か ら の 尺 度 の 分 析 お よ び 比 較 的 信 頼 性 の あ る 尺 度 の 開 発 を 目 指 し た 。 調 査 1 で は 、 質 問 紙 の 回 答 に 一 般 的 に 使 わ れ る 程 度 量 表 現 用 語 の 副 詞 の 順 位 付 け を 行 わ せ 、回 答 者 が そ の 表 現 の 回 答 手 段 の 下 で 正 確 に 評 価 を で き て い る の か ど う か を 検 討 し た 。調 査 1 の 対 象 者 は 、 大 学 生 151 名 で あ っ た 。 調 査 2 で は 、 実 際 の リ ス ク 事 象 の 対 に 対 し て 、リ ス ク の 危 険 度 と 選 好 と の 関 係 を 検 討 し た 。調 査 2 で は 、大 学 生 150 名 を 対 象 に し た 。ま ず 、リ ス ク 認 知 測 定 の 方 法 論 を 調 査 1 で 検 討 し て 、そ の 結 果 を も と に 、リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 探 索 的 に 検 討 す る こ と 目 的 と し 調 査 2 を 実 施 し た 。 推 移 性 と 非 推 移 性 に 関 し て の 検 討 を 行 っ た が 、リ ス ク の 判 断 や 選 好 に 関 し て は 、数 量 化 と そ の 分 析 が あ る 程 度 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た こ れ ら の 研 究 に 基 づ い て 、サ ー ス ト ン の 尺 度 化 に よ る 安 全 性 リ ス ク 認 知 と 危 険 性 リ ス ク 認 知 の 間 隔 尺 度 を 満 た す 新 し い 尺 度 を 提 案 し た 。

A . 研 究 目 的         一 般 市 民 の リ ス ク 認 知 は 、 通 常 は 、 質 問 紙 法 で 検 討 さ れ て い る 。 例 え ば 、 こ の よ う な 質 問 紙 調 査 で 、リ ス ク 認 知 は 、「 恐

ろ し さ 」、「 未 知 性 」 と い っ た 次 元 で 判 断 さ れ や す い こ と 、 実 際 の リ ス ク と は 乖 離 が あ る こ と が わ か っ て い る(Slovic,1987

; 竹 村,2006;吉 川,1999)。 こ の よ う な リ

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ス ク 認 知 を 測 定 す る 場 合 、 ど の よ う な 方 法 で 測 定 す る こ と が 比 較 的 正 確 な リ ス ク 認 知 を 測 定 で き る の か と い う 問 題 が あ る 。

平 成 26 年 度 の 研 究 で は 、 ま ず 、 リ ス ク 認 知 測 定 の 方 法 論 を 調 査 1 で 検 討 し て 、 そ の 結 果 を も と に 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 探 索 的 に 検 討 す る こ と 目 的 と し 調 査 2 を 実 施 し た 。

社 会 的 状 況 下 で 一 般 の 人 が 行 う リ ス ク 認 知 は 、 当 該 リ ス ク 事 象 の 生 起 確 率 や 結 果 の 重 大 さ を 正 確 に 把 握 し て い る と は 必 ず し も 仮 定 す る こ と は で き な い ( 竹 村, 2006)。 こ の よ う に 、 一 般 の 人 が リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 を 正 確 に 有 し て い る と は 言 え な い 状 況 を 鑑 み る と 、 リ ス ク 事 象 に 関 し て 自 身 が 保 有 し て い る 知 識 に 対 し て ど の よ う な 認 識 を 持 っ て い る か と い っ た 、 自 身 の 保 有 知 識 に 対 す る 態 度 ( メ タ 知 識 ) が リ ス ク 認 知 と 関 連 す る 可 能 性 が あ る 。 特 に 、 不 確 実 性 下 に お け る リ ス ク 認 知 で は 、 分 か ら な い こ と 、 曖 昧 な こ と に 対 す る 態 度 が 重 要 な 要 因 と な り う る と 考 え ら れ る ( 吉 川 ら,2014)。 分 か ら な い こ と 、 曖 昧 な こ と に 対 す る 態 度 に 関 し て は 、人 文 学 に お い て は 、「 無 知 の 知 」と い う 概 念 が 存 在 し て い る 。「 無 知 の 知 」と は 、

「 自 分 は 何 も 知 ら な い 」 と い う こ と を 自 覚 し て い る 状 態 を 指 す 。 リ ス ク 認 知 に お い て も 、「 無 知 の 知 」の よ う な 、自 身 の 保 有 知 識 に 対 す る 態 度 が 重 要 な 要 因 と な る 可 能 性 が あ る 。

調 査 2 で は 、 こ の よ う な 知 識 に つ い て の 自 己 の 態 度 ( メ タ 知 識 ) も 測 定 し て 、 リ ス ク 認 知 を 測 定 し て 、 リ ス ク 認 知 に 関 わ る 要 因 を 検 討 し た 。 ま た 、 医 師 と 一 般 成 人 、 大 学 生 に も リ ス ク 認 知 調 査 を 実 施 し 、 群 間 の 比 較 も 行 っ た 。

こ れ ま で の 食 品 リ ス ク の 調 査 で は 質 問 紙 に よ る 評 定 手 法 が 用 い ら れ て い る が 、 必 ず し も そ の 客 観 性 は 保 証 さ れ て い な い 。 ま た 、 リ ス ク 評 定 が 選 好 と ど の よ う

な 関 係 に あ る の か の 検 討 も こ れ ま で 十 分 に 明 ら か に さ れ て こ な か っ た 。 ま た 、 通 常 、評 定 尺 度 は 数 量 的 分 析 が な さ れ る が 、 順 序 尺 度 で も 、 判 断 の 推 移 性 が 満 た さ れ て い な い と 数 量 化 は 不 可 能 で あ る こ と が 理 論 的 に 示 さ れ て い る 。

そ こ で 平 成 27 年 度 の 研 究 で は 、 食 品 の リ ス ク に 関 す る 質 問 紙 調 査 の 尺 度 に つ い て の 測 定 論 的 分 析 を 行 い 、 よ り 客 観 的 な 観 点 か ら の 尺 度 の 分 析 お よ び 比 較 的 信 頼 性 の あ る 尺 度 の 開 発 を 目 指 し た 。 調 査 1 で は 、 質 問 紙 の 回 答 に 一 般 的 に 使 わ れ る 程 度 量 表 現 用 語 の 副 詞 の 順 位 付 け を 行 わ せ 、 回 答 者 が そ の 表 現 の 回 答 手 段 の 下 で 正 確 に 評 価 を で き て い る の か ど う か を 検 討 す る 。 調 査 2 で は 、 実 際 の リ ス ク 事 象 の 対 に 対 し て 、 リ ス ク の 危 険 度 と 選 好 と の 関 係 を 検 討 す る 。 さ ら に 、 本 研 究 か ら 新 し い 評 定 尺 度 を 、 サ ー ス ト ン の 尺 度 化 の 考 え に 沿 っ て 提 案 す る 。

B . 研 究 方 法 平 成 26 年 度 研 究

調 査 1: 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 に よ る リ

ス ク 認 知 の 測 定 法 の 検 討

リ ス ク 認 知 の 測 定 項 目 と し て 、「 日 本 国 内 10 万 人 に お け る 年 間 死 亡 者 数 」な ど の 方 法 が し ば し ば 用 い ら れ る が 、 予 備 調 査 で は 各 リ ス ク 事 象 に 対 す る 推 定 死 亡 者 数 の 合 計 が 10 万 人 を 超 え た 参 加 者 が 認 め ら れ た 。 こ の よ う な 問 題 が あ る た め 、 リ ス ク 事 象 に よ る 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 方 法 を 検 討 す る た め の 調 査 を 実 施 し た 。 リ ス ク 事 象 に よ る 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 方 法 を 6 種 類 作 成 し 、 推 定 方 法 ご と に 質 問 用 紙 を 作 成 し た 。 そ し て 各 推 定 方 法 に よ る 回 答 傾 向 の 比 較 を 行 っ た 。

調 査 期 間 ・ 調 査 参 加 者   2014 年 10 月 24 日 に 、大 学 生 221 名( 男 性 106 名 、女 性 113 名 、平 均 年 齢 20.67 歳 、SD=5.82、

年 齢 及 び 性 別 無 記 入 2 名 ) を 対 象 に 実 施 し た 。 リ ス ク 事 象 は 、 厚 生 労 働 省 平 成 25 年 度 の 死 因 簡 単 分 類 別 に み た 性 別 死 亡 数

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・ 死 亡 率( 人 口 10 万 対 )な ど を 参 考 に し て 、「 遺 伝 子 組 み 換 え 食 品 」「 食 品 添 加 物 」

「 牛 海 綿 状 脳 症 」「 脳 梗 塞 」「 糖 尿 病 」「 悪 性 新 生 物 」 の 6 事 象 を 採 択 し た 。

質 問 項 目

1.調 査 参 加 者 の 主 観 的 知 識 及 び 科 学 的 解 明 の 程 度 に 対 す る 信 念 に 関 す る 質 問 項 目 ( 問 1〜 問 4)

問 1 で は 、 参 加 者 が 当 該 リ ス ク 事 象 を ど の 程 度 知 っ て い る か(「 あ な た は 、こ の 事 象 ( も の ) に つ い て 、 ど の 程 度 知 っ て い ま す か ? 」)、 問 3 で は 、 参 加 者 が 、 当 該 リ ス ク 事 象 が ど の 程 度 科 学 的 に 解 明 さ れ て い る と 思 う か(「 あ な た は 、こ の 事 象

( も の ) が ど の 程 度 科 学 的 に 解 明 さ れ て い る と 思 い ま す か ? 」)を 、そ れ ぞ れ 問 う た 。

ま た 、 問 2、 問 4 で は 、 そ れ ぞ れ 問 1、

問 3 の 回 答 に 対 す る 確 信 度 を 問 う た(「 問 1( 問 3) の 回 答 に 対 し て 、 あ な た は ど の 程 度 自 信 を 持 っ て い ま す か ? 」)。 各 問 の 評 定 尺 度 は 7 件 法 で あ っ た 。

2.リ ス ク 事 象 に よ る 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 に 関 す る 質 問 項 目 ( 問 5、 問 6)

年 間 死 亡 者 数 の 区 間 推 定 と 点 推 定 を 問 う 項 目( 問 5、問 6)に お い て 、計 6 種 類

( 質 問 文 の 文 言(3 種 類 )×参 考 情 報 の 有 無 (2 種 類 )) の 質 問 形 式 を 採 択 し た 。 質 問 文 の 形 式 と し て は 、 以 下 の 6 種 類 の 形 式 を 用 い た 。

① 日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 あ り

問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 、 日 本 国 内 に お い て 、毎 年 10 万 人 あ た り 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ?

【 参 考:交 通 事 故 】日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 (2013 年 ):4.8 人 」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 、 日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ?

【 参 考:交 通 事 故 】日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 (2013 年 ):4.8 人 」

② 日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 な し 問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 、 日 本 国 内 に お い て 、 毎 年 10 万 人 あ た り 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ? 」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 、 日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ? 」

③ 日 本 国 内 ( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 ) に お け る 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 あ り

問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 、 日 本 国 内( 総 人 口:1 億 2700 万 人 )に お い て 、 毎 年 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ?

【 参 考 : 交 通 事 故 】 日 本 国 内 の 年 間 死 亡 者 数 (2013 年 ):6060 人 」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 、 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )の 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ?

【 参 考 : 交 通 事 故 】 日 本 国 内 の 年 間 死 亡 者 数 (2013 年 ):6060 人 」

④ 日 本 国 内 ( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 ) に お け る 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 あ り

問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 、 日 本 国 内( 総 人 口:1 億 2700 万 人 )に お い て 、 毎 年 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ? 」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 日 本 国 内 ( 総 人 口:1 億 2700 万 人 ) の 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ? 」

⑤ 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 、 参 考 情 報 あ り

問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 死 亡 す る 確 率 は 、 日 本 国 内 で 年 間 何 パ ー セ ン ト か ら 何 パ ー セ ン ト だ と 思 い ま す か ?

【 参 考 : 交 通 事 故 】 日 本 国 内 の 年 間 死 亡 率 (2013 年 ):0.0048%」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 死 亡 す る 確 率 は 、 日 本 国 内 で 、 正 確 に は 年 間 何 パ ー セ ン ト だ と 思 い ま す か ? 」

⑥ 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 、 参 考 情 報 な し

問 5:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 死 亡 す る

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確 率 は 、 日 本 国 内 で 年 間 死 亡 率 は 、 何 パ ー セ ン だ と 思 い ま す か 」

問 6:「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 死 亡 す る 確 率 は 、 日 本 国 内 で 、 正 確 に は 年 間 何 パ ー セ ン ト だ と 思 い ま す か ? 」

問 7 で は 、 藤 井 ・ 竹 村 ・ 吉 川 (2004) を 参 考 に 、リ ス ク 事 象 に 対 す る イ メ ー ジ( 恐 怖 認 知 、危 険 認 知 )を 問 う た 。「 恐 ろ し い

―恐 ろ し く な い 」「 危 険―安 全 」に 関 し て 、 SD 法 に よ る 7 件 法 の 評 定 を 求 め た 。 実 際 に 用 い た 質 問 紙 の う ち 、 形 式 ① に お け る 、 遺 伝 子 組 み 換 え 食 品 に 対 す る 質 問 項 目 を 表 1. 1 に 示 し た 。 ま た 、 他 の リ ス ク 事 象 に 対 し て も 同 様 の 質 問 項 目 を 用 い た 。

手 続 き 大 学 の 講 義 内 で 調 査 票 を 配 布 し 、 回 答 記 入 後 に 回 収 し た 。 回 答 に 要 し た 時 間 は 、約 20 分 で あ っ た 。ま た 、リ ス ク 事 象 の 掲 載 順 序 に よ る 順 序 効 果 を 相 殺 す る た め 、 リ ス ク 事 象 の 掲 載 順 序 を 4 系 列 作 成 し た 。

調 査 2 : リ ス ク 認 知 の イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査

本 調 査 で は 、 医 師 や 一 般 成 人 に 、 調 査 1 で 有 効 と 判 断 さ れ た リ ス ク 認 知 測 定 を 行 い 、 食 品 リ ス ク に つ い て の 知 識 や 知 識 に つ い て の 知 識 で あ る メ タ 知 識 に つ い て

質 問 項 目

リ ス ク 事 象 に 関 す る 主 観 的 知 識 に 関 す る 質 問 項 目 ( 問 1〜 問 2)

調 査 1 を 参 考 に 、 各 リ ス ク 事 象 に 対 し て 、 問 1 で は 、 参 加 者 が 当 該 リ ス ク 事 象 を 主 観 的 に ど の 程 度 知 っ て い る か(「 あ な た は 、 こ の 事 象 ( も の ) に つ い て 、 ど の 程 度 知 っ て い ま す か ? 」)、 問 2 で は 、 問 1 の 回 答 に 対 す る 確 信 度(「 問 1 の 回 答 に 対 し て 、 あ な た は ど の 程 度 自 信 を 持 っ て い ま す か ? 」)を 問 う た 。各 問 の 評 定 尺 度 は 7 件 法 で あ っ た 。

リ ス ク 事 象 に よ る 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 に 関 す る 質 問 項 目 ( 問 3〜 問 4)

調 査 1 の 結 果 を 踏 ま え 、 問 3 で は 、 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お け

る 年 間 死 亡 者 数 の 区 間 推 定 (「 こ の 事 象

( も の ) に よ り 、 日 本 国 内 ( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お い て 、毎 年 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ? 」)、問 4 で は 、日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お け る 年 間 死 亡 者 数 の 点 推 定 (「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 、 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )の 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ? 」)

を 問 う た 。

リ ス ク 事 象 に 対 す る イ メ ー ジ に 関 す る 質 問 項 目 ( 問 5)

問 5 で は 、 藤 井 ら (2004) を 参 考 に 、 リ ス ク 事 象 に 対 す る イ メ ー ジ( 恐 怖 認 知 、 危 険 認 知 ) を 問 う た 。「 恐 ろ し い―恐 ろ し く な い 」「 危 険―安 全 」 に 関 し て 、SD 法 に よ る 7 件 法 の 評 定 を 求 め た 。

リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 問 題 ( 問 6)

大 学 生 19 名 に 行 っ た 予 備 調 査 の 結 果 を も と に 、 リ ス ク 事 象 毎 に 3 問 ず つ の 知 識 問 題 を 掲 載 し た 。 回 答 方 式 は 、 掲 載 さ れ た 問 題 文 が 、 正 し い 文 章 か 、 誤 っ た 文 章 か を 判 断 す る 2 肢 選 択 問 題 で あ っ た 。 実 際 に 掲 載 し た 知 識 問 題 を 表 1.2 に 示 し た 。  

な お 、 架 空 の リ ス ク 事 象 で あ る ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 知 識 問 題 は 、 国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 情 報 セ ン タ ー (2001) を 参 考 に 、「 リ ス テ リ ア ・ モ ノ サ イ ト ゲ ネ ス 感 染 症 」 に 関 す る 知 識 問 題 を 3 問 作 成 ・ 掲 載 し た 。作 成 し た 問 題 は 表 1.2 に 示 し た 。

以 下 に 具 体 例 と し て 、 実 際 に 用 い た 質 問 紙 の う ち 、 遺 伝 子 組 み 換 え 食 品 に 対 す る 質 問 項 目 を 表 1.3 に 示 し た 。

手 続 き

医 師 、一 般 消 費 者 を 対 象 と し た 調 査 は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査 に て 実 施 し た 。 大 学 生 を 対 象 と し た 調 査 は 、 大 学 の 講 義 内 で 調 査 票 を 配 布 し 、回 答 記 入 後 に 回 収 し た 。 ま た 、 リ ス ク 事 象 の 掲 載 順 序 に よ る 順 序 効 果 を 相 殺 す る た め 、 リ ス ク 事 象 の 掲 載 順 序 を 4 系 列 作 成 し た 。

調 査 参 加 者

(5)

調 査 参 加 者 は 、 楽 天 リ サ ー チ に よ る イ ン タ ー ネ ッ ト に よ っ て 応 募 し た 人 々 で あ り 、日 本 国 内 の 医 師 300 名( 男 性 265 名 、 女 性 35 名 、 平 均 年 齢 48.70 歳 (25~68 歳 )、SD=9.49)、 一 般 消 費 者 300 名 ( 男 性 265 名 、 女 性 35 名 、 平 均 年 齢 48.60 歳 (24~69 歳 )、SD=9.79)、 大 学 生 270 名 ( 男 性 115 名 、 女 性 152 名 、 平 均 年 齢 21.21 歳 (18~42 歳 )、SD=2.79、 年 齢 及 び 性 別 無 記 入 3 名 ) を 対 象 と し た 。

実 施 日 期 間

実 施 期 間 は 、 医 師 と 一 般 消 費 者 と 大 学 生 と は 若 干 異 な っ て い る 。 医 師 、 一 般 消 費 者 を 対 象 と し た 調 査 は 、2014 年 12 月 5 日 〜2014 年 12 月 8 日 で あ っ た 。 大 学 生 を 対 象 と し た 調 査 は 、2014 年 11 月 12 日 〜12月 1日 で あ っ た 。大 学 生 の 調 査 は 、 大 学 の 教 室 な ど を 利 用 し た 質 問 紙 法 に よ る 調 査 で あ っ た 。

平 成 27 年 度 研 究 調 査 1

調 査 1 で は 、 大 学 生 151 名 ( 男 性 60 名 、女 性 91 名 、平 均 年 齢 =21.49 歳 、SD

=0.99) を 対 象 に 実 施 し た 。 調 査 実 施 期 間 は 2015 年 11 月 12 日 〜2015 年 11 月 30 日 で あ っ た 。

本 調 査 は 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 を 用 い た 質 問 紙 で 実 施 し た 。 項 目 は 、 織 田 (1970)の 論 文 中 に あ る 、「 か な り 」、「 ひ じ ょ う に 」、「 や や 」、「 た い へ ん 」、「 す ご く 」、

「 と て も 」、「 だ い ぶ 」、「 わ り に 」、「 た し ょ う 」、「 す こ し 」、「 ど ち ら か と い え ば 」、

「 わ ず か に 」、の 12 種 類 の 程 度 量 表 現 用 語(副 詞)を 参 考 に し て 作 成 し た 。 そ し て こ の 12 種 類 の 副 詞 に 新 た に「 お お か た 」 と い う 語 を 入 れ た 。 選 択 率 か ら 標 準 正 規 分 布 の 逆 関 数 を 求 め 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 で 危 険 と 安 全 各 13 種 類 の 副 詞 を 順 位 付 け た 。 ま た 、 評 価 の 推 移 性 の 検 討 を 行 っ た 。

各 用 語 の 語 尾 に 危 険 を つ け た も の を 危 険 13 種 類(か な り 危 険 、ひ じ ょ う に 危 険 、

や や 危 険 、お お か た 危 険 、た い へ ん 危 険 、 す ご く 危 険 、 と て も 危 険 、 だ い ぶ 危 険 、 わ り に 危 険 、た し ょ う 危 険 、す こ し 危 険 、 ど ち ら か と い え ば 危 険 、 わ ず か に 危 険)

語 尾 に 安 全 を つ け た も の を 安 全 13 種 類(か な り 安 全 、ひ じ ょ う に 安 全 、や や 安 全 、 お お か た 安 全 、 た い へ ん 安 全 、 す ご く 安 全 、 と て も 安 全 、 だ い ぶ 安 全 、 わ り に 安 全 、 た し ょ う 安 全 、 す こ し 安 全 、 ど ち ら か と い え ば 安 全 、わ ず か に 安 全)と し た 。

上 記 の 危 険 13 種 類 を 、 全 て 対 に し て 計 78 項 目 を つ く っ た 。 こ の よ う に し て 質 問 紙 の(1)に 危 険 13 種 類 の 78 項 目(2) に 安 全 13 種 類 の 78 項 目 、 計 156 項 目 を の せ た 質 問 紙 を 4 系 列 分 作 成 し た 。 教 示 は 下 記 の よ う に 行 っ た 。

教 示

こ れ か ら 、 項 目 A と B に 関 し て 質 問 を し ま す 。 そ の 質 問 に 対 し て A か B を 必 ず 選 択 し て く だ さ い 。

項 目 A を 選 択 す る 場 合 は 、 左 端 の A の 下 の 空 欄 に ✔ を 入 れ て 下 さ い 。

項 目 B を 選 択 す る 場 合 は 、 左 端 の B の 下 の 空 欄 に ✔ を 入 れ て 下 さ い 。

調 査 2

調 査 2 で は 、 大 学 生 150 名 ( 男 性 64 名 、女 性 86 名 、平 均 年 齢 =21.31 歳 、SD

=1.14) を 対 象 に 実 施 し た 。 調 査 実 施 期 間 は 2015 年 11 月 12 日 〜2015 年 11 月 30 日 で あ っ た 。

本 調 査 は 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 を 用 い た 質 問 紙 法 で 実 施 し た 。 質 問 紙 に 出 て く る リ ス ク 事 象 は 、「 遺 伝 子 組 み 換 え 食 品 」「 食 品 添 加 物(政 府 が 許 可 し た も の)」

「BSE( 牛 海 綿 状 脳 症 )」、「 毒 キ ノ コ 」、

「 脳 梗 塞 」、「 食 中 毒 」、「 糖 尿 病 」、「 悪 性 新 生 物(ガ ン)」 の 8 種 類 の リ ス ク 事 象 を 使 用 し た 。 こ れ ら の リ ス ク 事 象 8 種 類 を 全 て 対 に し て 計 28 項 目 を つ く っ た 。 選 択 率 か ら 標 準 正 規 分 布 の 逆 関 数 を 求 め 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 で 順 位 付 け た 。 質 問 紙 の(1)で は 、 作 成 し た 計 28 項 目

(6)

に つ い て 対 に な る リ ス ク 事 象 を 比 較 し て も ら い 、 ど ち ら が よ り 危 険 か を 問 う た 。 本 調 査 に お い て 、(1)の 質 問 は 、被 験 者 の 方 に 、 リ ス ク 事 象 へ の 危 険 度 の 「 評 定 」 を 行 っ て も ら う 為 の 質 問 で あ る 。ま た(2) で は 、 作 成 し た 28 項 目 に つ い て 対 に な っ て い る リ ス ク 事 象 を 比 較 し て も ら い 、 ど ち ら を よ り 避 け た い か を 問 う 質 問 を 行 っ た 。本 調 査 に お い て の(2)の 質 問 は 、(1) の 質 問 と は 違 い リ ス ク 事 象 へ の 危 険 度 の

「 評 定 」 で は な く 、 実 際 の 行 動 と し て ど ち ら の リ ス ク 事 象 を 避 け た い か と い う 被 験 者 自 身 の 「 選 択 」 を 問 う 質 問 と し て い る 。(3)で は 、年 間 死 亡 者 数 の 区 間 推 定 を 求 め る 項 目 「 こ の 事 象 ( も の ) に よ り 、 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お い て 、 毎 年 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ?(参 考 情 報 あ り)」と 、年 間 死 亡 者 数 の 点 推 定 を 求 め る 項 目 「 こ の 事 象 ( も の ) に よ る 、 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お け る 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ?(参 考 情 報 あ り)」を 採 択 し 使 用 し た 。

教 示 は 下 記 の よ う に 行 っ た 。 教 示

こ れ か ら 、 項 目 A と B に 関 し て 質 問 を し ま す 。

そ の 質 問 に 対 し て A か B を 必 ず 選 択 し て く だ さ い 。

項 目 A を 選 択 す る 場 合 は 、 左 端 の A の 下 の 空 欄 に ✔ を 入 れ て 下 さ い 。

項 目 B を 選 択 す る 場 合 は 、 左 端 の B の 下 の 空 欄 に ✔ を 入 れ て 下 さ い 。

下 の 表 の 場 合 は 、 A を 選 択 し た こ と を 示 し て い ま す 。

ま た 、 質 問 紙 の 項 目 中 に で て く る 事 象 の 正 式 名 称 お よ び 条 件 は 以 下 の 通 り で す 。

※ 悪 性 新 生 物 ( ガ ン )

※ B S E ( 牛 海 綿 状 脳 症 )

※ 食 品 添 加 物 ( 政 府 が 許 可 し た も の )

(1)

あ な た は 、ど ち ら が よ り 危 険 だ と 思

い ま す か 。

(2)

あ な た は 、ど ち ら を よ り 避 け た い と 思 い ま す か 。

(3)

以 下 の 質 問 に お 答 え く だ さ い 。 こ の 事 象( も の )に よ り 、日 本 国 内( 総 人 口 :

1

2700

万 人 )に お い て 、毎 年 何 人 か ら 何 人 く ら い の 人 が 死 亡 し て い る と 思 い ま す か ?

以 下 の 下 線 部 に 適 切 だ と 思 う 数 値 を 記 入 し て く だ さ い 。

(【 参 考:交 通 事 故 】日 本 国 内 の 年 間 死 亡 者 数 (

2013

年 ):

6060

人 )

こ の 事 象( も の )に よ る 、日 本 国 内( 総 人 口:

1

2700

万 人 )に お け る 年 間 死 亡 者 数 は 正 確 に は 何 人 だ と 思 い ま す か ?

以 下 の 下 線 部 に 適 切 だ と 思 う 数 値 を 記 入 し て く だ さ い 。

(【 参 考:交 通 事 故 】日 本 国 内 の 年 間 死 亡 者 数 (

2013

年 ):

6060

人 )

以 上 の 教 示 を 行 い 、 当 て は ま る ほ う に

✔ 印 を 実 験 参 加 者 に 入 れ さ せ た 。

C.結 果 と 考 察   平 成 26 年 度

調 査 1

調 査 1 に お い て は 、 リ ス ク 事 象 に よ る 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 方 法 の 選 定 を 目 的 と し た 。 そ こ で 、 各 質 問 形 式 群 に お い て 、 各 リ ス ク 事 象 に 対 す る 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 の 合 計 が 日 本 の 総 人 口 で あ る 1 億 2700 万 人 を 超 え た 参 加 者 数 を 表 4 に 示 し た 。 な お 、 質 問 形 式 に よ る 回 答 傾 向 を 比 較 す る た め 、日 本 国 内 10 万 人 あ た り の 年 間 死 亡 者 数 に お い て は 、推 定 値 に 1270 を 乗 じ 、 総 人 口 1 億 2700 万 人 に お け る 年 間 死 亡 者 数 に 変 換 し た 値 ( 以 下 、10 万 換 算 と 記 載 ) を 掲 載 し た 。 ま た 、 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 に お い て は 、 推 定 値 に 1億 2700万 を 乗 じ 、総 人 口 1億 2700 万 人 に お け る 年 間 死 亡 者 数 に 変 換 し た 値

( 以 下 、 死 亡 率 換 算 と 記 載 ) を 示 し た 。

(7)

表 1. 4 よ り 、 年 間 死 亡 者 数 の 推 定 方 法 が「 ④ 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 ) に お け る 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 あ り 」 で あ っ た 場 合 、 各 リ ス ク 事 象 に 対 す る 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 の 合 計 が 日 本 の 総 人 口 で あ る 1 億 2700 万 人 を 超 え た 参 加 者 数 が い な い こ と が 示 さ れ た 。そ こ で 、 調 査 2 に て 用 い る 質 問 紙 で は 、 死 亡 者 数 推 定 方 法 と し て 、「 ④ 日 本 国 内( 総 人 口 : 1 億 2700 万 人 )の 死 亡 者 数 の 代 表 値 の 合 計 が 日 本 の 総 人 口 で あ る 1 億 2700 万 人 を 超 え た 参 加 者 数 が い な い こ と が 示 さ れ た 。 そ こ で 、 調 査 2 に て 用 い る 質 問 紙 で は 、死 亡 者 数 推 定 方 法 と し て 、「 ④ 日 本 国 内( 総 人 口 :1 億 2700 万 人 )に お け る 年 間 死 亡 者 数 、 参 考 情 報 あ り 」 を 用 い る こ と と し た 。

表 5 に は 、 各 リ ス ク 認 知 測 定 法 に よ る 代 表 値 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 値 を 記 し た 。 こ の 結 果 、「 日 本 国 内 10 万 人 に お け る 年 間 死 者 数 」、「 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 」を 推 定 さ せ た 場 合 、「 日 本 の 総 人 口 に お け る 年 間 死 者 数 」 を 推 定 さ せ た 場 合 よ り 、非 常 に 多 く の 死 者 数 を 推 定 し て い る 。

こ の よ う な こ と か ら 、 ア ン カ ー を 与 え て 日 本 の 総 人 口 を 提 示 し た ほ う が 比 較 的 正 確 な リ ス ク 認 知 の 測 定 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。

  調 査 2

各 質 問 項 目 に お け る 回 答 傾 向 の 検 討   医 師 群 は 、 知 識 問 題 の 正 答 数 が 、 食 中 毒 以 外 の 全 て の リ ス ク 事 象 に お い て 最 も 高 か っ た 。 本 調 査 で は 、 医 師 群 を 、 リ ス ク 事 象 に 関 し て 豊 富 な 知 識 を 持 つ と 仮 定 し て 調 査 参 加 者 に 加 え た が 、 そ の 仮 定 通 り の 傾 向 が 示 さ れ た 。 特 に 、 医 学 的 リ ス ク に 関 し て は 、 い ず れ に お い て も 一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 よ り 有 意 に 高 い 正 答 数 を 示 し た 。 ま た 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) に お い て は 、 す べ て の リ ス ク 事 象 に お い て 最 も 高 い 値 を 示 し た 。 特 に 医 学 的 リ ス ク に お い て は 、一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 よ り も 有 意 に 高 い 値 を 示 し た 。

ま た 、 問 1 の 回 答 に 対 す る 確 信 度 ( 問 2)

に 関 し て は 、 毒 キ ノ コ 、 ジ ル チ ヌ ス 菌 以 外 の リ ス ク 事 象 に お い て 最 も 高 い 傾 向 を 示 し た 。特 に 、医 学 的 リ ス ク に お い て は 、 一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 よ り も 有 意 に 高 い 値 を 示 し た 。以 上 の 傾 向 か ら 、医 師 は 、 医 学 的 リ ス ク に 関 し て 豊 富 な 知 識 を 持 つ と 同 時 に 、 主 観 的 に も 豊 富 な 知 識 を 持 つ と 考 え て お り 、 そ の 確 信 度 も 高 い 傾 向 が 示 さ れ た 。 す な わ ち 、 自 身 が 持 つ 、 医 学 的 リ ス ク に 関 す る 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し て い る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 食 品 リ ス ク に お い て も 、 実 際 に 保 有 す る 知 識 の 程 度 に 応 じ て 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 及 び そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度 の 回 答 が 変 化 し て い る 傾 向 が 見 ら れ た 。 以 上 の 傾 向 か ら 、 医 師 は 、 食 品 リ ス ク に お い て も 、 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し て い る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 態 度 及 び そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度 の 評 定 が 、 リ ス ク 事 象 に よ っ て 大 き く 異 な る こ と か ら 、 医 師 は 一 つ 一 つ の リ ス ク 事 象 を 区 別 し て 評 価 し て い る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。

  一 般 消 費 者 群 で は 、毒 キ ノ コ 、食 中 毒 、 糖 尿 病 と い っ た リ ス ク 事 象 に お い て 、 知 識 問 題 の 正 答 数 が 高 か っ た 。 医 学 的 リ ス ク 、BSE、 毒 キ ノ コ に お い て 、 医 師 よ り 有 意 に 低 い 正 答 数 を 示 し た 。 ま た 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) で は 、 食 中 毒 、 糖 尿 病 、 悪 性 新 生 物 に お い て 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 ま た 群 間 の 有 意 差 が 認 め ら れ た す べ て の リ ス ク 事 象 に お い て 、 医 師 群 よ り 有 意 に 低 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 ま た 問 1 の 回 答 に 対 す る 確 信 度 ( 問 2) に 関 し て は 、 食 中 毒 や 脳 梗 塞 に お い て 高 か っ た が 、 他 の リ ス ク 事 象 と の 差 は あ ま り 大 き く な か っ た 。 以 上 の 傾 向 か ら 、 一 般 消 費 者 群 に お い て は 、 食 中 毒 、 糖 尿 病 な ど の 知 識 問 題 の 正 答 数 が 多 い リ ス ク 事 象 に 対 し 、 問 1 及 び 問 2 に お い て も 高 い 評 定 を 示 す 傾 向 が 見 ら れ た こ と か ら 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握

(8)

し て い る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 し か し 、 食 中 毒 及 び 糖 尿 病 に 対 す る 問 1、 問 2 の 評 定 値 が 、 他 の リ ス ク 事 象 に 対 す る 評 定 値 と あ ま り 変 わ ら な か っ た 点 を 考 え る と 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 判 断 の 適 切 さ は 、 医 師 群 に 比 べ て 劣 る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 リ ス ク 事 象 の 違 い に よ る 問 1 の 評 定 の 異 な り 度 合 い が 医 師 群 よ り も 小 さ い こ と か ら 、 一 般 消 費 者 は リ ス ク 事 象 の 違 い を あ ま り 区 別 せ ず に 評 価 を 行 っ て い る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 こ の 傾 向 は 、 大 学 生 を 調 査 対 象 と し た 調 査 1 に お い て も 同 様 に お い て も 示 唆 さ れ た 。

  大 学 生 群 は 、3 つ の リ ス ク 事 象 に お い て 、 一 般 消 費 者 群 よ り も 知 識 問 題 の 正 答 数 が 少 な い 傾 向 が 示 さ れ た が 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 及 び そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度 に お け る 回 答 傾 向 が 一 般 消 費 者 群 と 近 い し い も の で あ っ た こ と か ら 、 大 学 生 の 回 答 傾 向 と 一 般 消 費 者 群 の 回 答 傾 向 は 近 し い も の で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。   ま た 、 医 師 群 は 一 般 消 費 者 群 及 び 大 学 生 群 に 比 べ て 、 医 学 的 リ ス ク に よ る 死 者 数 を 、 幅 を 持 た せ て 推 定 す る 傾 向 が 見 ら れ 、 食 品 リ ス ク に お い て は 、 幅 を 狭 く 見 積 も る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。

4.3.2.架 空 の リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 に 基 づ い た 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 の 検 討

架 空 リ ス ク 事 象 で あ る ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) 及 び そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度 ( 問 2) の 回 答 傾 向 を も と に 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 検 討 し た 。  

架 空 の リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 に 基 づ い た 参 加 者 の 分 類

  ま ず 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 主 観 的 知 識 に つ い て 検 討 す る た め 、 各 対 象 者 群 に お け る 、 ジ ル チ ヌ ス 菌 に 関 す る 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) の 回 答 結 果 を 表 1. 6 に 示 し た 。

表 1 . 6 よ り 、 医 師 群 で は 、300 人 中

81 人 の 参 加 者 が 、主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) に お い て 2 以 上 の 評 定 値 を 選 択 し た 。 一 般 消 費 者 群 で は 、300 人 中 51 人 の 参 加 者 が 2 以 上 の 評 定 値 を 選 択 し た 。大 学 生 群 で は 、254 人 中 55 人 の 参 加 者 が 2 以 上 の 評 定 値 を 選 択 し た 。 各 対 象 者 群 に お い て 2 以 上 の 評 定 値 を 選 択 し た 参 加 者 数 を 比 較 す る と 、 医 師 群 (27% の 参 加 者 が 2以 上 を 選 択 )、大 学 生 群(21.7%

の 参 加 者 が 2 以 上 を 選 択 )、一 般 消 費 者 群

(17%の 参 加 者 が 2 以 上 を 選 択 )の 順 に 2 以 上 の 評 定 値 を 選 択 し た 参 加 者 が 多 か っ た 。

  次 に 、 ジ ル チ ヌ ス 菌 に 関 す る 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) に お い て 1 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 の 、 問 1 の 回 答 に 対 す る 確 信 度 ( 問 2) に 対 す る 回 答 結 果 を 表 1. 7 に 示 し た 。

表 1. 7 よ り 、 全 て の 対 象 者 群 に お い て 、1 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 が 最 も 多 く 、 続 い て 7 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 が 多 か っ た 。 す な わ ち 、 架 空 の リ ス ク 事 象 に 対 し て 主 観 的 に 全 く 知 ら な い と 回 答 し 、 そ の 回 答 に 対 す る 確 信 が 全 く な い と 回 答 し た 参 加 者 が 最 も 多 く 、 架 空 の リ ス ク 事 象 に 対 し て 主 観 的 に 全 く 知 ら な い と 回 答 し 、 そ の 回 答 に 対 す る 確 信 が 非 常 に 強 い と 回 答 し た こ と 参 加 者 が 2 番 目 に 多 い こ と が 示 唆 さ れ た 。

最 後 に 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 検 討 す る た め 、 ジ ル チ ヌ ス 菌 に 対 す る 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) 及 び そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度

( 問 2) に お け る 回 答 傾 向 に 基 づ き 、 参 加 者 を 表 1 . 8 の よ う に 群 分 け し た 。 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) で 1 の 評 定 を 選 択 し 、そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度( 問 2) で 1〜3 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 を 、

「 問 1-1×問 2-低 」と し て 分 類 し た 。ま た 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) で 1 の 評 定 を 選 択 し 、 そ の 回 答 に 対 す る 確 信 度

( 問 2)で 5〜7 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 を 、「 問 1-1×問 2-高 」 に 分 類 し た 。ま た 、

(9)

主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問 1) で 2 以 上 の 評 定 を 選 択 し た 参 加 者 を 「 問 1-2 以 上 」 に 分 類 し た 。

架 空 の リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 に 基 づ い た 参 加 者 の 分 類 に 基 づ い た リ ス ク 認 知 の 検 討

参 加 者 毎 に 各 リ ス ク 事 象 に 対 す る 平 均 を 算 出 し た デ ー タ に お け る 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 、 代 表 値 、 推 定 乖 離 値 ( 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 か ら 実 際 の 死 亡 者 数 を 引 い た 値 )、 リ ス ク 事 象 に 対 す る 恐 怖 認 知 、 危 険 認 知 を 対 象 に 、 各 群 の 回 答 傾 向 を 比 較 し た 。

な お 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 、 代 表 値 に 関 し て は 、 各 推 定 値 に 1 を 足 し 、 自 然 対 数 を 用 い た 対 数 変 換 を 施 し た 値 を 比 較 対 象 と し た 。 ま た 、 代 表 値 乖 離 に 関 し て は 、 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 を 対 数 変 換 し た 値 か ら 、 実 際 の 死 亡 者 数 を 対 数 変 換 し た 値 を 引 い た 値 を 比 較 対 象 と し た 。 以 下 で は 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 と 推 定 乖 離 値 に 関 す る 結 果 の み を 記 載 し た 。

推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 に お け る 平 均 推 定 値 、SD を 表 9 、図 1.1 に 示 し た 。  表 8、 図 1.2 よ り 、 推 定 死 亡 者 数 に お け る 推 定 幅 に お い て は 、 全 て の 対 象 者 群 に お い て 、「 問 1-2 以 上 」群 に お け る 評 定 値 が 最 も 高 く 、「 問 1-1×問 2-高 」 条 件 に お け る 推 定 値 が 最 も 低 い こ と が 示 さ れ た 。

ま た 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 問 1 及 び 問 2 の 回 答 傾 向 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 検 討 す る た め 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 を 従 属 変 数 と し 、 対 象 者 群 ( 医 師 群 、 一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 の 3 水 準 ) を 被 験 者 間 要 因 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向(「 問 1-1×問 2-高 」「 問 1-1×問 2-低 」

「 問 1-2 以 上 」 の 3 水 準 ) を 被 験 者 間 要 因 と し た 2×2 デ ザ イ ン の 2 要 因 分 散 分 析 を 実 施 し た 結 果 、 対 象 者 群 要 因 (F (2, 826)= 9.61, p<.01)、架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 要 因 (F (2, 826)= 9.94, p<.01)の 主 効 果 が 有 意 で あ っ た 。一 方 、 交 互 作 用 に 主 効 果 は 認 め ら れ な か っ た(F

(2, 826)= .15, n.s)。 ま た 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 要 因 に 関 し 多 重 比 較 (Bonferoni 法 ) を 行 っ た と こ ろ 、 医 師 群 (p<.05)、 大 学 生 群 (p<.05) に お い て 、「 問 1-2 以 上 」群 に お け る 推 定 値 が

「 問 1-1×問 2-高 」群 よ り も 高 い こ と が 示 さ れ た 。 一 般 消 費 者 群 に お い て は 、「 問 1-2 以 上 」 群 と 「 問 1-1×問 2-高 」 群 の 評 定 値 の 差 に 有 意 傾 向 が 示 さ れ た ( p

<.10)。

次 に 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 乖 離 値 に お け る 平 均 推 定 値 、SD を 表 1 .10、 図 1.

2 に 示 し た 。 表 1 .10、 図 1. 2 よ り 、 推 定 死 亡 者 数 に お け る 代 表 値 乖 離 に お い て は 、 全 て の 対 象 者 群 に お い て 、「 問 1-2 以 上 」群 に お け る 評 定 値 が 最 も 高 く 、「 問 1-1×問 2-高 」 条 件 に お け る 推 定 値 が 最 も 低 い こ と が 示 さ れ た 。

  ま た 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 問 1 及 び 問 2 の 回 答 傾 向 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 検 討 す る た め 、 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 乖 離 を 従 属 変 数 と し 、対 象 者 群( 医 師 群 、 一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 の 3 水 準 ) を 被 験 者 間 要 因 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 (「 問 1-1×問 2-高 」「 問 1-1×問 2- 低 」「 問 1-2 以 上 」の 3 水 準 )を 被 験 者 間 要 因 と し た 2×2 デ ザ イ ン の 2 要 因 分 散 分 析 を 実 施 し た 結 果 、 対 象 者 群 要 因 (F (2, 826)= 13.87, p<.01)、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 要 因 ( F (2, 826)= 14.77, p<.01)の 主 効 果 が 有 意 で あ っ た 。 一 方 、 交 互 作 用 に 主 効 果 は 認 め ら れ な か っ た (F (2, 826)= .22, n.s)。 ま た 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 要 因 に 関 し 多 重 比 較 (Bonferoni 法 ) を 行 っ た と こ ろ 、医 師 群 に お い て 、「 問 1-2 以 上 」群 に お け る 乖 離 値 が「 問 1-1×問 2-低 」群(p

<.05)、「 問 1-1×問 2-高 」 群 (p<.01) よ り も 高 い こ と が 示 さ れ た 。 一 般 消 費 者 群 (p<.05)、 大 学 生 群 (p<.01) に お い て は 、「 問 1-2 以 上 」群 に お け る 乖 離 値 が

「 問 1-1×問 2-高 」群 よ り も 高 い こ と が 示 さ れ た 。

(10)

  以 上 の 結 果 よ り 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 に 関 し て は 、 い ず れ の 対 象 者 群 に お い て も 、「 問 1-1× 問 2-低 」群 の 推 定 幅 が「 問 1-2 以 上 」 群 よ り も 有 意 に 低 か っ た 。 す な わ ち 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 し て 、 多 少 な り と も 主 観 的 に 知 っ て い る と い う 信 念 を 持 っ て い る 人 よ り も 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 し て 、 主 観 的 に 全 く 知 ら な い と 回 答 し 、 そ の 回 答 に 対 し て 強 い 確 信 を 持 っ て い る 人 の ほ う が 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 を 狭 く 見 積 も る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。     ま た 、 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 乖 離 値 に 関 し て は 、 い ず れ の 対 象 者 群 に お い て も 、

「 問 1-1× 問 2-低 」群 の 推 定 幅 が「 問 1-2 以 上 」 群 よ り も 有 意 に 低 か っ た 。 す な わ ち 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 し て 、 多 少 な り と も 主 観 的 に 知 っ て い る と い う 信 念 を 持 っ て い る 人 よ り も 、 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 し て 、 主 観 的 に 全 く 知 ら な い と 回 答 し 、 そ の 回 答 に 対 し て 強 い 確 信 を 持 っ て い る 人 の ほ う が 、 推 定 死 亡 者 数 の 代 表 値 と 実 際 の 死 者 数 と の 乖 離 が 小 さ い こ と が 示 唆 さ れ た 。

  推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 、 推 定 乖 離 値 に お い て 架 空 リ ス ク 事 象 に 対 す る 回 答 傾 向 に よ る 差 が 見 ら れ た こ と か ら 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 が 示 唆 さ れ た 。 具 体 的 な 傾 向 と し て は 、 関 連 知 識 を 全 く 持 た な い リ ス ク 事 象 に 対 し 、 知 識 を 持 た な い こ と を 強 く 自 覚 し て い る 人 は 、 推 定 幅 を 狭 く 見 積 も る 傾 向 、 実 際 の 死 亡 者 数 に 近 い 値 を 推 定 す る 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 特 に 、 実 際 の 死 亡 者 数 に 近 い 値 を 推 定 す る 傾 向 は 、 不 確 実 性 下 に お け る リ ス ク 認 知 に お い て 重 要 な 意 味 合 い を 持 つ と 考 え ら れ る 。

こ の よ う に 、 関 連 知 識 を 全 く 持 た な い こ と を 自 覚 す る 、 す な わ ち 、 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し て い る 人 ほ ど 、 死 亡 者 数 の 推 定 精 度 が 高 い 傾 向 が 伺 え た 。 こ の 傾 向 は 、 医 師 群 、 一 般 消 費 者 群 、 大 学 生 群 の 各 問 に 対 す る 回 答 を 比 較 し た 際 の 医 師 の 回 答 傾 向 に も 伺 え た 。 す な わ ち 、 医 師

は 、 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し 、 死 亡 者 数 の 推 定 精 度 が 高 い 傾 向 を 保 持 し て い る が 、 医 師 の 中 で も 、 知 ら な い こ と を 明 確 に 自 覚 し て い る 人 ほ ど 、 死 亡 者 数 の 推 定 精 度 が 高 い 傾 向 が 示 さ れ た 。 こ の 傾 向 よ り 、 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 す る 態 度 の 中 で も 、 知 識 が 無 い こ と を 適 切 に 把 握 す る 態 度 、 す な わ ち 「 無 知 の 知 」 の よ う な 態 度 が 、 不 確 実 性 下 の リ ス ク 認 知 に お い て 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

平 成 27 年 度   調 査 1

調 査 1 で は 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 に よ る 分 析 で 求 め た 刺 激 系 列 順 位 を も と め た 。 推 移 性 と 非 推 移 性 に 関 し て の 検 討 を 行 っ た と こ ろ 、 危 険 性 に つ い て の 判 断 の 非 推 移 性 に 基 づ く 循 環 が 0 個 で あ る 完 全 な 推 移 性 を 満 た し た 人 は 8 名 、 循 環 が 全 体 の 5%以 下 の 14 個 の 人 は 94 名 で あ っ た 。 次 に 、 安 全 に つ い て の 評 価 で は 、 循 環 が 0 個 で あ る 完 全 な 推 移 性 を 満 た し た 人 は 14 名 、循 環 が 全 体 の 5%以 下 の 14 個 の 人 は 84 名 で あ っ た 。 こ の よ う に 半 数 近 く の 人 々 に は 伝 統 的 な 数 量 的 な 分 析 が 可 能 で あ る が 残 り の 人 々 に は 数 量 的 分 析 が 困 難 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、 尺 度 の 「 ひ じ ょ う に 」 と 「 た い へ ん 」 の 尺 度 値 平 均 に は や や 乖 離 が み ら れ 、 続 い て 「 た い へ ん 」、「 か な り 」、「 す ご く 」 の 間 の 乖 離 は 狭 く 、反 対 に「 と て も 」と「 だ い ぶ 」、「 だ い ぶ 」 と 「 お お か た 」 の 間 の 乖 離 は 大 き か っ た 。

質 問 紙 調 査 を 行 っ た 刺 激 系 列 に つ い て 一 対 比 較 し た 結 果 を 示 す 。 表 2 . 1 と 表 2 . 2 は そ れ ぞ れ 、 危 険 13 種 類 の 計 78 項 目 、安 全 13 種 類 の 計 78 項 目 に 関 す る 結 果 で あ る 。 各 表 は 、 刺 激 系 列 を 選 択 し た 人 数 を 示 し て い る 。 例 え ば 、 表 2 . 1 の「 か な り ― ひ じ ょ う に 」の セ ル 内 の 45 と い う 数 字 は 、「 か な り 危 険 と ひ じ ょ う に 危 険 を 比 較 し た 際 、 か な り 危 険 の 方 が ひ じ ょ う に 危 険 よ り も 危 険 と 感 じ る と 評 価

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し た 人 数 」 を 示 し て い る 。 表 2 .2 も 同 様 で あ る 。

表 2 . 3 と 表 2 . 4 で は 、 危 険 13 種 類 の 計 78 項 目 、 安 全 13 種 類 の 計 78 項 目 に 関 す る 結 果 で あ る 。 各 表 は 、 そ れ ぞ れ の 刺 激 系 列 に 対 す る 選 択 率 を 示 し て い る 。例 え ば 表 2 .3 の 、「 か な り ― ひ じ ょ う に 」 の セ ル 内 の 0.30 は 、「 か な り 危 険 と ひ じ ょ う に 危 険 を 比 較 し た 際 、 か な り 危 険 の 方 が ひ じ ょ う に 危 険 よ り も 危 険 と 感 じ る と 評 価 し た 人 数 の 総 数 に お け る 比 率 が 30%で あ る 」 こ と を 示 し て い る

次 に 表 2 . 3 と 表 2 . 4 で 示 し た 選 択 率 か ら 標 準 正 規 分 布 の 逆 関 数 を 求 め 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 で 危 険 と 安 全 各 13 種 類 の 副 詞 を 順 位 付 け た 。 最 後 に 表 2 .5 に 、 危 険 13 種 類 と 安 全 13 種 類 の 刺 激 系 列 順 位 と 尺 度 値 の 平 均 を 示 す 。

危 険 13 種 類 の 副 詞 で は 、「 ひ じ ょ う に 」 が 一 番 選 択 さ れ 、続 い て「 た い へ ん 」、「 か な り 」、「 す ご く 」、「 と て も 」、「 だ い ぶ 」、

「 お お か た 」、「 わ り に 」、「 や や 」、「 た し ょ う 」、「 す こ し 」、「 ど ち ら か と い え ば 」 の 順 番 で 選 択 さ れ 、 そ し て 「 わ ず か に 」 が 最 も 選 択 さ れ な か っ た 。

安 全 13 種 類 の 副 詞 で は 、「 ひ じ ょ う に 」 が 一 番 選 択 さ れ 、続 い て「 た い へ ん 」、「 か な り 」、「 す ご く 」、「 と て も 」、「 だ い ぶ 」、

「 お お か た 」、「 わ り に 」、「 や や 」、「 た し ょ う 」、「 ど ち ら か と い え ば 」、「 す こ し 」 の 順 番 で 選 択 さ れ 、 そ し て 「 わ ず か に 」 が 最 も 選 択 さ れ な か っ た 。

そ の 結 果 を も と に 、 比 較 的 等 間 隔 に な る 組 み 合 わ せ か ら 新 し い リ ス ク 認 知 尺 度 を 提 案 す る こ と に し た 。 そ の 結 果 は 、 結 論 に 示 す 。

調 査 2

調 査 2 で は 、 人 が あ る リ ス ク 事 象 に 対 し 、「 ど ち ら が よ り 危 険 で あ る か 」と い う

「 評 価 」を 問 う 質 問(1)「 ど ち ら を よ り 危 険 だ と 思 う か 」 と 実 際 に 行 動 と し て 避 け た い と い う 意 志 を 問 う 質 問(2)の 間 の 乖 離 に つ い て 検 討 を し た が 、 そ の よ う な 乖

離 は 見 ら れ ず 、 通 常 の リ ス ク 尺 度 が 人 々 の リ ス ク 対 象 に 対 す る 選 好 を あ る 程 度 反 映 し て い る こ と を 示 唆 し た 。 次 に 、 推 移 性 と 非 推 移 性 に 関 し て の 検 討 を 行 っ た が 、 リ ス ク 判 断 で 循 環 が 0 個 で あ る 完 全 な 推 移 性 を 満 た し た 人 は 56 名 、 循 環 が 全 体 の 5%以 下 の 14個 の 人 は 137 名 で あ っ た 。 次 に 、 選 好 に つ い て 、 循 環 が 0 個 で あ る 完 全 な 推 移 性 を 満 た し た 人 は 44 名 、循 環 が 全 体 の 5%以 下 の 14 個 の 人 は 118 名 で あ っ た 。 こ の こ と か ら リ ス ク の 判 断 や 選 好 に 関 し て は 、 数 量 化 と そ の 分 析 が あ る 程 度 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

質 問 紙 で 調 査 を 行 っ た 刺 激 系 列 の 、 一 対 比 較 に よ る 選 択 課 題 の 結 果 を 示 し た 。 表 2 . 6 と 表 2 .7 は そ れ ぞ れ 、 質 問(1)

「 あ な た は 、 ど ち ら が よ り 危 険 だ と 感 じ ま す か 。」の 計 28 項 目 、質 問(2)「 あ な た は 、 ど ち ら を よ り 避 け た い と 思 い ま す か 。」 の 計 28 項 目 に 関 す る 結 果 で あ る 。 各 表 は 、 刺 激 系 列 を 選 択 し た 人 数 を 示 し て い る 。 例 え ば 、 表 2 . 6 「 脳 梗 塞 ― 糖 尿 病 」の セ ル 内 の 118 と い う 数 字 は 、「 脳 梗 塞 と 糖 尿 病 を 比 較 し た 際 、 脳 梗 塞 の 方 が 糖 尿 病 よ り も 危 険 と 感 じ る と 評 価 し た 人 数 」 を 示 し て い る 。 表 2 . 7 も 同 様 で あ る 。 表 2 . 8 と 表 2 . 9 は 、 質 問(1)

「 あ な た は 、 ど ち ら が よ り 危 険 だ と 感 じ ま す か 。」の 計 28 項 目 、質 問(2)「 あ な た は 、 ど ち ら を よ り 避 け た い と 思 い ま す か 。」 の 計 28 項 目 に 関 す る 結 果 で あ る 。 各 表 は 、 そ れ ぞ れ の 刺 激 系 列 に 対 す る 選 択 率 を 示 し て い る 。 例 え ば 表 2 . 8 の 、

「 脳 梗 塞 ― 糖 尿 病 」 の セ ル 内 の 0.79 は 、

「 脳 梗 塞 と 糖 尿 病 と を 比 較 し た 際 、 脳 梗 塞 の 方 が 糖 尿 病 よ り も 危 険 と 感 じ る と 評 価 し た 人 数 の 総 数 に お け る 比 率 が 79%で あ る 」 こ と を 示 し て い る 。 表 2 . 9 も 同 様 あ る 。

表 2 . 8 と 表 2 .9 で 示 し た 選 択 率 か ら 標 準 正 規 分 布 の 逆 関 数 を 求 め 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 で 質 問(1)「 あ な た は 、

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ど ち ら が よ り 危 険 だ と 感 じ ま す か 。」の 計 28 項 目 、質 問(2)「 あ な た は 、ど ち ら を よ り 避 け た い と 思 い ま す か 。」 の 計 28 項 目 の リ ス ク 事 象 を 順 位 付 け た 。 そ の 結 果 を 表 2.10 に 示 し た 。

D.  結     論

平 成 2 6 年 度 の 研 究 で は 、 ま ず 、 リ ス ク 認 知 測 定 の 方 法 論 を 調 査 1 で 検 討 し て 、 そ の 結 果 を も と に 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 探 索 的 に 検 討 す る こ と 目 的 と し 調 査 2 を 実 施 し た 。

  調 査 1 で は 、「 日 本 国 内 10 万 人 に お け る 年 間 死 者 数 」、「 日 本 国 内 に お け る 年 間 死 亡 率 」を 推 定 さ せ た 場 合 、「 日 本 の 総 人 口 に お け る 年 間 死 者 数 」 を 推 定 さ せ た 場 合 よ り 、 非 常 に 多 く の 死 者 数 を 推 定 し て い る こ と が わ か り 、 ア ン カ ー を 与 え て 日 本 の 総 人 口 を 提 示 し た ほ う が 比 較 的 正 確 な リ ス ク 認 知 の 測 定 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。

  調 査 2 に お い て 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 が 示 唆 さ れ た 。 具 体 的 に は 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 自 身 の 保 有 知 識 の 程 度 を 適 切 に 把 握 し て い る 医 師 は 、 死 亡 者 数 の 推 定 精 度 が 高 い 傾 向 が 示 さ れ た 。 さ ら に 、 評 価 対 象 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 も 全 く 持 っ て い な い と い う こ と を 強 く 自 覚 し て い る 、 い わ ゆ る

「 無 知 の 知 」 の よ う な 態 度 を 持 つ 人 は 、 死 亡 者 推 定 の 精 度 が 高 い 傾 向 が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の 傾 向 か ら 、 不 確 実 性 下 に お い て リ ス ク を 適 切 に 見 積 も る に は 、 自 身 の 保 有 知 識 の 程 度 を 把 握 す る 態 度 、 特 に 保 有 知 識 が 無 い こ と を 把 握 す る 態 度 が 重 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

ま た 調 査 2 に お い て 、 医 師 と 一 般 消 費 者 及 び 大 学 生 と の 比 較 、 知 識 問 題 の 掲 載 を 通 じ て 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 実 際 の 保 有 知 識 と リ ス ク 認 知 と の 関 連 性 を 検 討 し た が 、 両 者 の 関 連 性 は 見 ら れ な か っ た 。 こ の 傾 向 は 、 竹 村 (2006) に お け る 記 述 と 一 致 し て い る 。 以 上 の 傾 向 か ら も 、 リ

ス ク 認 知 に お い て は 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 量 や 主 観 的 知 識 の 程 度 で は な く 、 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 ( メ タ 知 識 ) の 影 響 が 伺 え る 。

さ ら に 、 調 査 2 に お い て 、 医 師 群 は 、 評 価 対 象 と な る リ ス ク 事 象 が 変 わ る と 、 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念( 問 1)及 び 問 1 の 回 答 に 対 す る 確 信 度 ( 問 2) の 回 答 傾 向 も 大 き く 変 化 す る 傾 向 が 示 さ れ た が 、 一 般 消 費 者 群 と 大 学 生 群 に お い て は 回 答 傾 向 の 変 化 が あ ま り 見 ら れ な か っ た 。 こ の 傾 向 は 調 査 1 に お い て も 同 様 に 示 さ れ て い る こ と か ら 、 専 門 家 と 一 般 の 人 々 と の 、 リ ス ク 事 象 に 対 す る 認 識 方 法 の 違 い を 反 映 し て い る 可 能 性 が あ る 。

平 成 2 7 年 度 の 研 究 で は 、 食 品 の リ ス ク に 関 す る 質 問 紙 調 査 の 尺 度 に つ い て の 測 定 論 的 分 析 を 行 い 、 よ り 客 観 的 な 観 点 か ら の 尺 度 の 分 析 お よ び 比 較 的 信 頼 性 の あ る 尺 度 の 開 発 を 目 指 し た 。調 査 1 で は 、 質 問 紙 の 回 答 に 一 般 的 に 使 わ れ る 程 度 量 表 現 用 語 の 副 詞 の 順 位 付 け を 行 わ せ 、 回 答 者 が そ の 表 現 の 回 答 手 段 の 下 で 正 確 に 評 価 を で き て い る の か ど う か を 検 討 し た 。調 査 1 の 対 象 者 は 、大 学 生 151 名( 男 性 60 名 、 女 性 91 名 、 平 均 年 齢 =21.49 歳 、SD =0.99) で あ っ た 。 調 査 2 で は 、 実 際 の リ ス ク 事 象 の 対 に 対 し て 、 リ ス ク の 危 険 度 と 選 好 と の 関 係 を 検 討 し た 。 調 査 2 で は 、 大 学 生 150 名 ( 男 性 64 名 、 女 性 86 名 、 平 均 年 齢 =21.31 歳 、SD

=1.14)を 対 象 に し た 。ま ず 、リ ス ク 認 知 測 定 の 方 法 論 を 調 査 1 で 検 討 し て 、 そ の 結 果 を も と に 、 リ ス ク 事 象 に 関 す る 知 識 の 程 度 に 対 す る 態 度 と リ ス ク 認 知 の 関 連 性 を 探 索 的 に 検 討 す る こ と 目 的 と し 調 査 2 を 実 施 し た 。

調 査 1 で は 、 サ ー ス ト ン の 一 対 比 較 法 に よ る 分 析 で 求 め た 刺 激 系 列 順 位 を も と め た 。 推 移 性 と 非 推 移 性 に 関 し て の 検 討 を 行 っ た と こ ろ 、 大 半 の 人 々 に は 推 移 性 が 満 た さ れ 、 伝 統 的 な 数 量 的 な 分 析 が 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 尺 度

(13)

の 「 ひ じ ょ う に 」 と 「 た い へ ん 」 の 尺 度 値 平 均 に は や や 乖 離 が み ら れ 、続 い て「 た い へ ん 」、「 か な り 」、「 す ご く 」 の 間 の 乖 離 は 狭 く 、反 対 に「 と て も 」と「 だ い ぶ 」、

「 だ い ぶ 」 と 「 お お か た 」 の 間 の 乖 離 は 大 き か っ た 。 調 査 2 で は 、 人 が あ る リ ス ク 事 象 に 対 し 、「 ど ち ら が よ り 危 険 で あ る か 」 と い う 「 評 価 」 を 問 う 質 問(1)「 ど ち ら を よ り 危 険 だ と 思 う か 」 と 実 際 に 行 動 と し て 避 け た い と い う 意 志 を 問 う 質 問 (2)の 間 の 乖 離 に つ い て 検 討 を し た が 、 そ の よ う な 乖 離 は 見 ら れ ず 、 通 常 の リ ス ク 尺 度 が 人 々 の リ ス ク 対 象 に 対 す る 選 好 を あ る 程 度 反 映 し て い る こ と を 示 唆 し た 。 次 に 、 推 移 性 と 非 推 移 性 に 関 し て の 検 討 を 行 っ た が 、 リ ス ク の 判 断 や 選 好 に 関 し て は 、 数 量 化 と そ の 分 析 が あ る 程 度 可 能

で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

本 研 究 で は 、こ れ ら の 研 究 に 基 づ い て 、 サ ー ス ト ン の 尺 度 化 に よ る 安 全 性 リ ス ク 認 知 と 危 険 性 リ ス ク 認 知 の 間 隔 尺 度 を 満 た す 新 し い 尺 度 を 提 案 し た い 。 こ の 尺 度 化 に つ い て は 、 両 極 端 の 値 を 決 め 、 そ れ か ら 等 距 離 に 近 い も の を 採 用 す る 方 針 で 決 定 し た 。 こ れ に よ り 、 サ ー ス ト ン 尺 度 化 の 意 味 で 等 間 隔 な 評 定 尺 度 が 構 成 さ れ る こ と が 期 待 で き る 。 そ れ に よ っ て 作 成 さ れ た 尺 度 が 図 2.1( 危 険 に 関 す る 尺 度 ) と 図 2.2( 安 全 に 関 す る 尺 度 )で あ る 。危 険 と 安 全 で 若 干 評 定 尺 度 の 副 詞 が 異 な っ て い る 。 こ れ ら の 尺 度 を 用 い て 、 今 後 は リ ス ク 認 知 を 測 定 す る と 、 比 較 的 信 頼 性 の あ る 結 果 が 得 ら れ る と 期 待 で き る 。

E . 文 献

藤 井 聡 ・ 吉 川 肇 子 ・ 竹 村 和 久.(2004). 東 電 シ ュ ラ ウ ド 問 題 に み る 原 子 力 管 理 へ の 信 頼 の 変 化. 社 会 技 術 研 究 論 文 集, 2(0), 399–405.

吉 川 肇 子 (1999). リ ス ク・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ―相 互 理 解 と よ り よ い 意 思 決 定 を 目 指 し て― 福 村 出 版

国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー (2014). が ん 情 報 サ ー ビ ス   独 立 行 政 法 人 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー

http://ganjoho.jp/public/index.htm l

国 立 循 環 器 病 研 究 セ ン タ ー (2014). 脳 卒 中   循 環 器 病 情 報 サ ー ビ ス http://www.ncvc.go.jp/cvdinFo/dis ease/stroke.html

厚 生 労 働 省 (2013a).死 因 簡 単 分 類 別 に み た 性 別 死 亡 数 ・ 死 亡 率 ( 人 口 10 万 対 )   厚 生 労 働 省

http://www.mhlw.g.jp/toukei/saiki n/hw/jinkou/kakutei13/dl/11_h7.p df

厚 生 労 働 省 (2013b). 性 別 に み た 死 因

順 位 ( 第 10 位 ま で ) 別 死 亡 数 ・ 死 亡(人 口 10 万 対 )・構 成 割 合   厚 生 労 働 省

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saik in/hw/jinkou/kakutei13/dl/10_h6.p df

厚 生 労 働 省 (2014a).平 成 25 年 (2012 年 ) 食 中 毒 発 生 状 況   厚 生 労 働 省   http://www.mhlw.go.jp/stF/seisaku nitsuite/bunya/kenkou_iryou/shok uhin.syokuchu/04.html

国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 情 報 セ ン タ ー (2001). リ ス テ リ ア ・ モ ノ サ イ ト ゲ ネ ス 感 染 症   感 染 症 の 話   IDWR 感 染 症 発 生 動 向 調 査 週 報  

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織 田 揮 準 (1970). 日 本 語 の 程 度 量 表 現 用 語 に 関 す る 研 究   教 育 心 理 学 研 究 18, 3, 166-176.

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竹 村 和 久 (2006). 安 全 の 認 知 科 学 リ ス ク 社 会 に お け る 判 断 と 意 思 決 定. 認

(14)

知 科 学, 13(1), 17–31.

吉 川 侑 記 ・ 井 出 野 尚 ・ 小 山 慎 一 ・ 竹 村 和 久(2014).  無 知 に 対 す る 態 度 が リ ス ク 認 知 に 及 ぼ す 影 響   日 本 心 理 学 会 大 会 第 78 回 大 会 発 表 論 文 集 .

F . 研 究 発 表

井 出 野 尚 、 吉 川 侑 記 、 小 山 慎 一 、 玉 利 祐 樹 、 竹 村 和 久 (2015) リ ス ク 事 象 に 対 す る 知 識 と リ ス ク 認 知 の 検 討― 医 師 と 一 般 的 消 費 者 と の 対 比 ―  日 本 社 会 心 理 学 会 第 58 回 大 会( 東 京 女 子 大 学 )p.69

G . 知 的 財 産 権 の 出 願 ・ 登 録 状 況 な し

H . 付 記

平 成 2 6 年 度 の 調 査 は 、 吉 川 侑 記 ( 早 稲 田 大 学 )、 井 出 野 尚 ( 早 稲 田 大 学 )、 小 山 慎 一 ( 千 葉 大 学 ) と の 共 同 研 究 に よ り な さ れ 、本 プ ロ ジ ェ ク ト へ の 協 力 を 得 た 。

ま た 、 平 成 2 7 年 度 の 調 査 の 分 析 と 本 報 告 書 作 成 に あ た っ て 、 安 田 彩 香 ( 早 稲 田 大 学 )、 原 口 僚 平 ( 早 稲 田 大 学 )、 武 藤 杏 里 ( 早 稲 田 大 学 ) へ の 協 力 を 得 た 。 記 し て 謝 意 を 表 す 。

(15)

表 1. 1   調 査 1 に お け る 質 問 紙 項 目

表 1 . 2  調 査 2 で 用 い た 知 識 問 題

表 1 . 3 調 査 2 で 用 い た 食 品 に 関 す る リ ス ク 認 知 項 目 の 例

質問項目 問1 あなたは、この事象(もの)について、どの程度知っていますか?

問2 1)の回答に対して、あなたはどの程度自信を持っていますか?

問3 あなたは、この事象(もの)が、科学的にどの程度解明されていると思いますd 問4 3)の回答に対して、あなたはどの程度自信を持っていますか?

この事象(もの)により、日本国内において、毎年10万人あたり何人から何人くらいの人が死亡していると思いますか?

【参考:交通事故】日本国内10万人あたりの年間死亡者数(2013年):4.8人

この事象(もの)による、日本国内10万人あたりの年間死亡者数は正確には何人だと思いますか?

【参考:交通事故】日本国内10万人あたりの年間死亡者数(2013年):4.8人 問7 この事象(もの)に対するあなたのイメージをお答えください。

問6 問5

質問項目

問1 「あなた」は、この事象(もの)について、どの程度知っていますか?

問2 問1の回答に対して、「あなた」はどの程度自信を持っていますか?

問3 この事象(もの)により、日本国内(総人口:1億2700万人)において、毎年何人から何人くらいの人が死亡していると思いますか?

問4 この事象(もの)による、日本国内(総人口:1億2700万人)における年間死亡者数は正確には何人だと思いますか?

問5 この事象(もの)に対するあなたのイメージをお答えください。

問6 以下の3つの文章は正しいと思いますか?(「正しい」、「間違っている」の2択)。

① 肉料 の場合、肉の中心部を75℃で1分以上加熱すると、食中毒の原因となる細菌やウイルスはほとんど死 する。

② カンピロバクターはあらゆる動 が保有している細菌であり、ペットとの接触を通じて人間が感染する場合がある。

③ 食中毒の原因となる細菌は、0℃以下で増殖を停止する。

「遺伝子組み換え食品」およびその影響について以下の質問にお答え下さい。

表 1 . 1   調 査 1 に お け る 質 問 紙 項 目 表 1 . 2   調 査 2 で 用 い た 知 識 問 題 表 1 . 3   調 査 2 で 用 い た 食 品 に 関 す る リ ス ク 認 知 項 目 の 例質問項目問1あなたは、この事象(もの)について、どの程度知っていますか?問21)の回答に対して、あなたはどの程度自信を持っていますか?問3あなたは、この事象(もの)が、科学的にどの程度解明されていると思いますd問43)の回答に対して、あなたはどの程度自信を持っていますか?
表 1.5  表 1.6  医 一般消 大学 1.5    種 々 の リ ス ク 認 知 測 定 法 に よ る 推 定 代 表 値 の 平 均 と 標 準 偏 差 値1.6 ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 主 観 的 知 識 に 対 す る 信 念 ( 問医師(N =300)消費者(N =30学生(N =254)種 々 の リ ス ク 認 知 測 定 法 に よ る 推 定 代 表 値 の 平 均 と 標 準 偏 差 値ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 主 観 的 知 識 に 対 す る
表 1. 7 ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 問 1 の 回 答 に す る 確 信 度 ( 問 2) の 回 答 結 果 表   1. 8 ジ ル チ ヌ ス 菌 に お け る 問 1、 問 2 の 回 答 結 果 に 基 づ い た 参 加 者 の 分 類 表   1
図   1 . 1 推 定 死 亡 者 数 の 推 定 幅 に お け る 平 均 推 定 値 、 S D   表 1.10  推 定 死 亡 者 数 の 推 定 乖 離 値 に お け る 平 均 推 定 乖 離 値 、 SD  図   1
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参照

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特に、その応用として、 Donaldson不変量とSeiberg-Witten不変量が等しいというWittenの予想を代数

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(※1) 「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書」 (平成 29(2017)年 12 月 15 日)参照。.. (※2)

第2条第1項第3号の2に掲げる物(第3条の規定による改正前の特定化学物質予防規

【 大学共 同研究 】 【個人特 別研究 】 【受託 研究】 【学 外共同 研究】 【寄 付研究 】.

特に(1)又は(3)の要件で応募する研究代表者は、応募時に必ず e-Rad に「博士の学位取得