北 海道 の雪氷 No 19(2000)
冬 の春志 内トンネルにおける路面状況と摩擦係数
(財
)日
本気象協会永 田 泰浩 (財
)日
本気象協会竹 内 政 夫 (財
)日
本気象協会丹治 和博 北海道大学工学部
萩原
亨
1
はじめに一般国道12号春志内 トンネル、神居古渾 トンネルでは冬期 に坑 日付近での交通事故が多 発 してお り、特 に春志内 トンネルで は死亡事故を含 む交通事故が発生 して いる。一方 で春 志内 トンネル の旭川側 に位置す る旭川 ト
ンネル は、春志 内 トンネル、神居古渾 ト ンネルの 2害J程度 の事故件数であ り、比 較的事故が少な い。本研 究で は、冬期 に 死亡事故 を含 む重大な事故が多 い背景 を 踏 まえて、
3ト
ンネル の冬期路面状況 に 着 目し、事故 との関連性 を調査 した。調査は平成 10年度冬期か ら行 い、平成 11年 度秋期の春志内 トンネルの ロー ドヒ ーティングエ事 を挟んで、平成 ■ 年度冬 期 に も行 った。なお ロー ドヒーテ ィング は春志内 トンネル札幌側坑 日が トンネル
内200m、 トンネル外30m、 旭川側坑 口が トンネル内200m、 トンネル外
28mの
区間 に、発熱量300W/ボの発熱線方式で施工 されてお り、 ロー ドヒーテ ィング区間の決定 は、平成 10年度調査結果 を参考 として いる。
2調
査概要調査は以下のよ うに平成 lo年度冬期 に2回、平成 11年度冬期 に1回行ってお り、調査 時間帯は基本的に、昼間、夕方 、夜間、早朝、午前の
5回
とした。 また調査区間 は、旭川 トンネル、春志 内 トンネル、神居古渾 トンネル と し、調査 は北海道大学のすべ り摩擦係数 試験車 と日本気象協会の移動気象観測車を同時 に走行 させ る方法で行 つた。【調査実施 日と気象状況】
(平成 10年 度調査)
平成 ‖ 年2月 5日 〜 6日
:(厳
冬期)こ
の季節としては気温がやや高かった 平成 ‖ 年3月 16日 〜17日 :(晩 冬期)夜
間は冷え込んだが、 日中は気温が高かつた(平成 11年 度調査)
平成 12年 1月 28日 〜29日 :(厳 冬期
)気
温は低 く、冷え込んだ21す
べり摩擦係数試験車すべ り摩擦係数試験車 は小型パスの中央部に測定車輪 (垂直昇降式改良型
)が
取 り付 け られてお り、トル ク式によって、試験 タイヤが ロック した状態でのすべ り抵抗値で あるス キ ッ ドナ ンパー を測定 した。すべ り摩擦係数試験車の概観 を写真 1に示 した。
図
1
調査 区間 の位置 図‑29‑
北 海道 の雪氷 No 19(2000)
写真
1す
べ り摩擦係数試験車写真
2移
動気象観測車22移
動気彙観測車移動気象観測車 は写真
2の
車両で あ り、サ ンプ リング間隔200msecで
路温 、気温、風向 風速、走行方位 、走行速度 の観測 を行 った。 また車内には高感度 カ メラを搭載 してお り、交通や路面の状況 を連続的に記録 した。
3調
査結果平成 10年度 、平成 11年度 の厳冬期 における調査結果 を比較す る と、表 1のよ うに平成
10年
度調査 日に比べ、平成11年
度調査 日が冷え込んだために、神居古渾 トンネル、旭川 トンネルでは、路温 、摩擦係数が低下 し、路面の凍結区間が増加 して いる ことがわか る。表
l
平成 11年度調査結果 と平成 12年度調査結果の比較春志内 トンネルでは、平成 11年度調査 日の冷 え込みが厳 しか つた にも関わ らず、表 1、
図2、 図3のよ うに、トンネル坑 口手前のロー ドヒーテ ィング区間か ら路温が0℃以上 に上 昇 している。 また トンネル内では凍結区間がみ られず、すべ り摩擦係数 も
04以
上の滑 り に くい状態であった。 このよ うにロー ドヒーテ ィングは効果的で あると言 える。一方で平成 11年度調査結果 にお いて、図3、 図4からロー ドヒーテ ィ ング区間の内側(坑 日か ら
200m以
上の地点)に
路温が 0℃以下 となって いる区間が確認 された。 また、 ロードヒーティング区間の坑 日外猥1端部では路温 、すべ り摩擦係数が急激 に変化 してお り、図4 の事例 では路温が 10℃以上低下 し、スキ ッ ドナ ンパー も
054か
ら022と
滑 りやす い状態 に急変 している ことがわか る。写真
2移
動気象観測車平成 11年度調査 平成 12年度調査 神 居 古 渾 トンネル
●路温 :0℃ 以下が多い
●路面 :夕 方以降は凍結路面
●摩擦係数 :夕 方以降小さい
●路温 :0℃ 以下が多い
●路面 :昼 夜を問わず凍結路面
●摩擦係数:昼夜を問わず小 さい 春志 内 トンネル
● 路温 :坑 日付近0℃以下
● 路面 :坑 日か ら約 300m凍 結
● 摩擦係数 :坑 日から約 200m小
●路温 :坑 口手前から0℃以上
●路面:トンネル内は凍結なし
●摩擦係数:ト ンネル内は大きい 旭 川 トンネ ル
● 路温 :昼 夜を問わず0℃以下
●路面 :昼 夜を問わず凍結路面
●摩擦係数 :坑 日付近で小さい
● 路温 :ほ とんど0℃以下
● 路面 :昼 夜を問わず凍結路面
● 摩擦係数 :坑 日付近で小 さい
‑30‑
路 温 0℃ 以 上 自■路温 2℃ 〜0℃ │■ 路温 2℃以 下
…:乾燥 路 面
春忘 内トンネル
一
湿潤路面 ***:雪氷路面
,liI +o#11.(km)r (+L*ll) r24.3 r211 .
図 2 平成 iO年度 春志 内 トンネル 移動気象観測結果 (平成 11年 2月 5日 〜6日)
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外 気■ ■ ロボスト(km) く礼颯 側)1243 ,244
:図 3 平成 ‖ 年度 春志 内 トンネル 移動気象観測結果 (平成 12年 1月 28日 〜29日 ):
北海 道の雪氷 No 19(2000)
スキッドナンバー
p︵
︶唄 識
■・ ・ ・
8 4 0
"
‑8
‑12
‑16
‑20
罠 目 目 員 員 量 目 員 員 員 曼 員 目
キロポスト(仮 :Rm)
図
4
春志 内 トンネル観測事例 (平成 12年 1月 29日 6:40〜 6:43)これ らは ロー ドヒーティング後 に確認 された問題点で あ り、状態 によって は道路 の安 全 性 を向上す るために、グルー ビング舗装な どの対策 も計画 されて いる。
ロー ドヒーテ ィングの内側 で確認 された路温 0℃以下 の区間に関 して は、路面が凍結 し てお らず 、摩擦係数 も大 きい ことか ら危険性 は低 い と考 え られる。これは平成 10年度調査 か ら雪の持 ち込みな どによる トンネル内の路面凍結は、そ の多 くが坑 日か ら
200m以
内で あった ことを考慮 した上で、 ロー ドヒーテ ィング区間 を決定 した ことや、 ロー ドヒーテ ィ ングによって、雪な どの水分が さ らに持 ち込みづ らくな って いる ことを考 える と、予想 さ れた結果である と言える。ロー ドヒーテ ィング区間端部での路温 の急変、摩擦係数 の低下 は、
トンネル坑 日付近で
の ロー ドヒーテ ィングが路面の急変域 を解消す るので はな く、急変域 を移動す る対策 で あ る以上、必ず発生す る問題点 である。春志内 トンネルの場合 には、札幌側坑 日は坑 日外側 がカー プ区間に、旭川側坑 日は橋梁区間 になって いる ことか ら、安全な直線区間 まで ロニ ドヒーテ ィングを延長する方法や 、 ロー ドヒーテ ィング区間の終 了を事前 に ドライパー に 警告す るな どの対策が検討 されて いる。
4本
研究の成果本研究の成果 を以下 に示す。
○ ロー ドヒーテ ィングの施工区間の検討や、その効果の検証 において、すベ リ摩擦係 数試験車、移動気象観測車を用いて調査を行 うことの有効性を示 した
○ ロー ドヒーテ ィングが効果的に路面環境を向上 している ことが明 らかにな った
一方で、旭川 トンネルのよ うに滑 りやす い路面 にお いて必ず しも事故が発生 してお らず、
路面以外 にも人的要因や環境 による影響な ど他の要因 も考 え られ る。今後 の方向性 として は、そのよ うな要因の調査が必要 と考 え られ、現在調査 を進めている。
なお本研究 は 〈財
)北
海道道路管理技術セ ンター に設置 された、道路管理技術 委員会情 報交通 グルー プが行 った調査結果の一部をまとめた ものである。(参考 文 献)
1)齋藤 浩志・ 古 田克宏・ 武 田祐轄 :春志 内 トンネル の 冬 期路 面 対 策 につ いて,
第43回 (平成 ll年度)1ヒ海 道 開発局技術研 究発表会,平成 ,2年 2月
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