富山県初記録のイチモンジタナゴ
著者 荒木 克昌, 日下 智敏, 南部 久男
雑誌名 富山市科学文化センター研究報告
号 21
ページ 129‑130
発行年 1998‑03‑30
URL http://repo.tsm.toyama.toyama.jp/?action=repos
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富山市科学文化センター研究報告第21号,pp、129‑130(1998)
短 報
富 山 県 初 記 録 の イ チ モ ン ジ タ ナ ゴ *
荒 木 克 昌 ・ 日 下 智 : 敏 アースコンサル(株)本社環境研究所
〒939‑0351富山県射水郡小杉町戸破8‑1?
南 部 久 男 富 山 市 科 学 文 化 セ ン タ ー
〒939‑0804富山県富山市西中野町1‑8‑31
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富山県に生息するタナゴ類には,在来種のヤリタナ ゴ , ア カ ヒ レ タ ビ ラ , イ タ セ ン パ ラ , 移 入 種 の タ イ リ クバラタナゴの計4種が知られているが(田中,1978
;富山市科学文化センター,1989),今回,庄川河川敷 に あ る 湛 水 池 及 び そ の 周 辺 で , 富 山 県 未 記 録 で あ る イ
チモンジタナゴ Che肋g"α"z Cyα" "gmaJordan唾 Fowler)が確認されたので報告する。
調 査 地 域
イチモンジタナゴが確認された場所は,高岡市三女 子の庄川左岸(図l)の河川敷内にある湛水池及び湛
図 l イ チ モ ン ジ タ ナ ゴ 確 認 地 点
*富山市科学文化センター研究業績第202号
129
水池から庄川本川に流れ込む小河川である。湛水池は 2つ存在し,大きさは,堤防よりの湛水池が約100m×
30m,水深約1.5m,本川よりの湛水池が約60m×20m,
水深約0.7mであった。また,湛水池から本川合流地点 までの小河川は上流部では幅約0.8m,水深約0.3m,
下流部の合流地点ではワンドになっており,幅約15m,
水深約1.2mであった。底質は,何れの湛水池,小河州 も小牒の上に約20cmの砂泥が堆積している状態であっ た。湛水池の周辺には,ヤナギ,ハンノキ,クルミ等 の高木林やツルヨシ,ガマ等の抽水植物が繁茂してお り,この湛水池は外部から隠れた状態になっている。
調査は1997年4月15日,4月19日,6月8日,11月 3 日 に タ モ 綱 目 視 に よ り 行 っ た 。
生 息 状 況
各調査日に確認したイチモンジタナゴは,体長l言
、m〜50mmの個体であった(図2)。秋季には,体長12mm 程度の幼魚が千単位の群れを形成しているのが,湛水 池 の あ ち こ ち で 見 ら れ た 。 6 月 8 日 の 調 査 日 に は 婚 姻 色の鮮やかにでたオスや輸卵管がでているメスの個体 が捕獲されたことより,本種はこの場所で繁殖を行っ て い る こ と が 推 測 さ れ る 。
本種が生息している場所では,24種もの魚類が生息 しており(表l),魚類相は豊かであるといえる。この 場所で,優占している種は2つの湛水池ではメダカ,
イチモンジタナゴであり,小河川及びワンドではオイ カ ワ , メ ダ カ で あ っ た 。 同 じ タ ナ ゴ 亜 科 で あ る ア カ ヒ レタビラが同所的に生息しているが,イチモンジタナ ゴの方が圧倒的に優占している。2つの湛水池では,
イチモンジタナゴの生息環境は良好であり,生息数も 非常に多いことが確認された。この場所ではブラック
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図 2 庄 川 産 の イ チ モ ン ジ タ ナ ゴ 蕊 』
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(上オス,‑Fメス)
荒 木 克 昌 ・ 日 下 智 敏 ・ 南 部 久 男
バス,カムルチーといった魚食性の魚類の繁殖が確認 されてはいるが,テトラポットやツルヨシ等の避難場 所があることや生息環境が安定していることから,現 在のところ生息状況は安定しており,良好であるとい える。魚類以外では,ドブガイ,マシジミ,ヌマエビ,
テナガエビ,スジエビ,アメリカザリガ.二が確認され た。ドブガイ,ヌマエビの生息密度は非常に大きく,
ドブガイは殻長15cmを超える大型の個体が多数生息し ていた。ドブガイ以外の大型の二枚貝が確認されてい ないことから,この場所のイチモンジタナゴはドブガ イを産卵床として利用していると考えられる。
イチモンジタナゴは,琵琶湖淀川水系,和歌山県紀 ノ川水系,福井県三方湖,濃尾平野に分布するタナゴ である(長田,1989)。最近では,石川県(佐野,1996),
広島県 四国各地,熊本県等(長田,1989),以前には 生息していなかった場所で確認されていることから,
琵琶湖からのアユの放流に伴い本種は分布を拡張して いると推測されている(長田,1989)。
今回の確認地域において本種が,いつ頃から生息し ているかについては不明であるが,庄川でも琵琶湖産 のアユの放流が大量に毎年行われていることから,本 種もそれに混じり,移入してきた可能性が大きいと推 測される。
表 1 調 査 地 点 で 確 認 さ れ た 魚 類
謝 辞
大阪教育大学教育学部長田芳和教授にはイチモンジ タナゴの同定をしていただき、富山大学教育学部長田 中晋教授並びに魚津水族館稲村修氏にはご助言と指導 をいただいた。これらの方々に厚くお礼申し上げる。
文 献
佐野修,1996.石川県の淡水魚類の概要.石川県の淡 水魚類,石川県:5−12
田中晋,1978.富山県の淡水魚類.富山県の陸水生物,
富山県:253‑306
富山市科学文化センター,1989.田中晋淡水魚コレク ション.富山市科学文化センター収蔵資料目録,(3)
長田芳和,1989.イチモンジタナゴ.山渓カラー名鑑 日本の淡水魚,山と渓谷社:372
6月8日成魚3何本11月3日成魚10個体 4月15日成魚3{E肱4月19日成魚29個│本 魚35個体、11月3日稚魚3m個体
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