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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

切欠きをもつFRP板の静荷重および繰返し荷重による 破損に関する研究

山本, 俊浩

https://doi.org/10.11501/3081247

出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(工学), 論文博士

(2)

第6章 FRP切欠平板の疲労破損

6-1 緒言

FRPを構造材料として使用する場合, 静荷重のもとでの破接挙動はもとより, 繰返し 荷重のもとでの破壊と強度を明らかにし, さらに, 寿命予測を可能とする疲労損傷の基準 を確立することは実用上, 重要と考えられる.

各種のFRPについての疲労試験のデータは既に多数の報告(1)-(23) があるが, 切欠 きをもっFRPの疲労試験で, 損傷を応力集中に関連づけて検討した研究は未だ少ないよ うに思われる. FRP切欠平板の疲労において, 破断に先立ち切欠底付近に疲労損傷が生 ずる. 部材としてのFRPは破断まで使用されることはほとんどなく, ある程度の損傷が 認められれば, その部材は取り替えられる. したがって切欠底付近の損傷の程度を評価す ることは重要である.

このような疲労損傷を評価する方法として, 従来からアコースティック ・エミッション

(5), (6), (10), X線(2),(7)-(9)ベ12)・(13)・(19) および超音波(17)・(23) 等が用いられ,

試験片内部のはく離長さ〈8〉, はく離面積(17)・〈19〕,(23), 損傷領域の体積〈13〉, さらに 部材の表面で観察される白色領域の面積(1) などで損傷の程度を表すことが試みられてい る. しかし, 疲労損傷を実験を通じて定量的に評価する方法は未だ確立されていない.

第5章において, 静荷重のもとで切欠底付近に生ずる損傷を輝度測定システムを用いて 評価できることを示した. この章では, 第2章で提示した損傷基準に基づく疲労損傷の限 界条件式の有効性を, 輝度測定システムによる疲労損傷の評価に基づいて実験的に検証す る.

6-2 疲労破損の過程

6-2-1 ガラス布基材エポキシ樹脂積層板

図6-1に平面曲げ疲労試験で得られたS-N曲線を示す. 縦軸On は最小断面におけ る公称応力の最大値であり, 横軸めは破断までの繰返し数である. これは切欠深さがー

- 136 -

(3)

EL-GEM Plane bending

pmm 0.15 0.25 0.5

2

図マムO口

200

22

150

50 100

0

104 107

Nf 106 Cycles to failure 105

FRP切欠試験片のS-N曲線(平面曲げ疲労試験〉

図6

-

1

(4)

N/l勺=

6 %

N/め=

5 %

N/l勺=

22 %

N/lり=

42 %

( a)σn

=

118

MPa,

p

=

O. 5 mm

N / Nf =

21 %

N/lり=

40 %

( b) On

=

118

MPa, ρ=

1 mm

図6-2 試験片表面の疲労損傷(平面曲げ疲労試験)

N/め=

83 %

N / Nf =

80 %

(5)

定で, 切欠半径ρは0.15 _..., 2 mm の範囲である. ここに示すように, 切欠半径の影響 はほとんどなく, ほぼ一本の曲線で表される(24)-(27)

図6-2に, 平面曲げ疲労試験における試験片表面での疲労損傷の発生と成長の過程を 示す. 切欠半径は(a) O. 5 mm, ( b) 1 mmの場合である. 寿命のかなり初期〈約5

%)の段階で, 切欠底付近に疲労損傷(試験片表面の白色部分〉が発生し, 切欠底付近の 損傷が激しさを増し, 同時に板幅全体にわたって損傷が広がっていく. したがって切欠底 付近の損傷の程度を把握することは, 疲労損傷の限界条件を得るために重要であると考え られる.

図6- 3は片振り引張疲労試験のS-N曲線である. 切り出し角度。 =0。 で, ( a ) は切欠深さαが4 mm一定の場合で, (b )は最小断面幅を一定にして切欠深さを変え た場合ある. ( a )に示すように, 切欠半径の広い範囲にわたって切欠半径の影響はほと んどなく, ほぼ一本の曲線で表される(28)-(33). (b)は切欠半径ρが0.5 mm一定 で, 切欠深さαが1 mmおよび4 mmの場合である. ここに示すように切欠半径が等 しければ, 深い切欠きほどその寿命的は短い傾向にある(32)

図6-4に, 片振り引張疲労試験の試験片表面における疲労損傷の発生と成長の過程を 示す. これらはe = 0。 で, 切欠半径が(a)0.5 mmおよび(b) 1 mmの場合であ る. 寿命のかなり初期(約10 %)に切欠底付近に発生した疲労損傷は荷重繰返しととも に切欠底付近から成長し. 寿命の約50 %で切欠半径程度の損傷が生じ, その後成長して 破断に至る. 切欠半径が異なってもその発生および成長過程はよく似ている. ここに示す ように, 切欠底付近に発生し, 成長する疲労損傷は一本の疲労き裂ではなく, ある領域を もったものである. このような疲労損傷を評価する方法として, 本研究では静荷重の場合 と同様に, 切欠底付近を透過する光の輝度を測定した. このことについては後で詳しく述 べる.

その成長過程で試験片全体の剛性がどのように変化するかを図6-5に示す. 片振り引 張疲労試験は定荷重の疲労試験であるので\試験片全体の伸びを測定して剛性の変化を調 べた. 切欠底付近に損傷が観察される寿命の初期の段階では相対剛性は約97 %以上で,

大きな低下は観察されないが, 寿命のかなり後半で急激な低下が認められる.

(6)

( a )切欠深さaが一定(=4 mm)の場合

150

EL-GEM

p = 0.5 mm

何仏室

100

ハupo c o

0

104 105 106

Cycles to failure N f

107

(b)切欠半径pが一定(=O. 5 mm)の場合

図6-3 FRP切欠試験片のS-N曲線(片振り引張疲労試験)

140 -

(7)

N/め=

10 %

N / Nf =

10 %

N/め=

23 %

N /1り=

50 %

( a) On

=

98. 1 MPa, p

=

O. 5 mm

N /1勺=

25 % N

/ Nf =

50 %

( b) On

=

98. 1 MPa, p

=

1 mm

図6-4 試験片表面の疲労損傷(片振り引張疲労試験, e

=

00 )

N/め=

97 %

N /1り=

99 %

(8)

1 .1

EL-GE恥f p = 1 mm

。= 00

�判ω ロ。4。-4 1.0

E

回U q

B

0.9

。 = 137 MPa n 118 98.1 78.5

0.8

103 104 105 106

Number of cycles N 図6-5 試験片の剛性低下(片振り引張疲労試験)

142

(9)

150

EL-GEi\在 。= 450 Pulsating tensi on

|ι」

100

pmm

0.5

2

104 105 106 107

Cycles to failure Nf

図6-6 FRP切欠試験片のS-N曲線(片振り引張疲労試験〉

(10)

N/Nf =5

%

N/め=5

%

N/め=

24 %

N/1り=49

%

( a) On

=

88. 3 MPa, p = O.

5

mm

N /1り=

23 %

N/1勺=47

%

( b) On

=

88. 3 MPa, p

=

1 mm

図6-7 試験片表面の疲労損傷(片振り引張疲労試験, ()

= 450 )

N /1り=

87 %

N / Nf = 9

3 %

(11)

4・EdEE・

EL-GEM

8 = 450 p = 0.5 mm

∞∞ωロ』lHZ

1.0 ω〉何百円

ω肖 0.9

。 = 98.1 MPa 78.5 68.6

0.8

103 104 105 106 107

Number of loading cycles N

図6-8 試験片の剛性低下(片振り引張疲労試験)

(12)

深さαは4 mm一定である. この場合も平面曲げおよび切り出し角度。 =0。 の場合 と同様に, 破断までの繰返し数めに及ぼす切欠半径の影響はほとんど認められない.

図6-7に, 片振り引張疲労試験の試験片表面における疲労損傷の発生と成長の過程を 示す. これらはθ =45。 で, 切欠半径が(a)0.5 mmおよび(b )1 mmの場合で

ある. 寿命のかなり初期(約5 % )に切欠底付近に発生した疲労損傷は荷重繰返しとと もに切欠底付近から成長する. 損傷は繊維配向に沿っても生ずるが, 主な損傷領域は荷重 方向に対して垂直方向に進展していき破断に至る. この場合もB = 0。 の場合と同様に,

寿命の約50 %までは切欠底付近に生ずる損傷領域は切欠半径と同程度の大きさである.

平面曲げ疲労試験および片振り引張疲労試験, いずれの場合も疲労寿命の初期(約5

10 %)に切欠底付近に疲労損傷が発生し, 寿命の大部分は切欠底付近に発生した疲労 損傷が成長するのに費やされると考えられる. これが破断までの繰返し数めに対して切 欠半径の影響が小さい理由であると考えられる.

これらの実験事実より切欠きをもっFRP CEL-GEM )板の疲労試験では, 破断ま

での繰返し数(寿命め)に及ぼす切欠半径の影響は小さい. このような傾向は炭素繊維 強化複合材料の疲労試験でもみられることをMaierら(3) は報告している.

図6-8に. B = 450 の片振り引張疲労試験における剛性の変化を示す. この場合も θ =0。 の場合と同様に, 切欠底付近に損傷が観察される寿命の初期の段階では相対剛 性は約97 %以上で, 大きな低下は観察されないが, 寿命のかなり後半で急激な低下が認 められる.

6-2-2 短繊維ガラス強化ポリカーボネート板

図6-9に, 片振り引張疲労試験で得られたS-N曲線を示す. 切欠深さσは4 mm 一定である. EL-GEMの場合と同様に, 切欠半径がO.2 mmから2 mmの広い範囲 にわたって切欠半径とは無関係に一本の曲線で表される(3 3)

図6-10に, G F /P Cの片振り引張疲労試験の試験片表面で観察される疲労損傷の発 生と成長の過程を示す. 切欠半径は(a)0.5 mmおよび(b)1 mmの場合である. E L-GEMの場合と同様に寿命のかなり初期(約10 %)に切欠底付近に発生した疲労損 傷は荷重繰返しとともに切欠底付近から成長し破断に至る. EL-GEMの場合と同様に,

- 146 -

(13)

40 r一 f、、

GF / PC

30

マ�見

pmm

0.2

0.5

2

103 104 105 106 107

Cycles to failure Nf

図6-9 FRP切欠試験片のS-N曲線(片振り引張疲労試験)

(14)

N/め=

14 %

N / Nf =

11 %

N/め=

40 %

( a) On

=

29. 4 MPa, p = O. 5 mm

N/め=

32 %

N/め=

75 %

(b) On

=

29. 4 MPa, p

=

1 mm

図6 -10 試験片表面の疲労損傷(片振り引張疲労試験)

N /1勺=

99 %

N/Nf

=もも %

(15)

ゆH

U U

司4 H η

3

{ p

b H h

c乙ω

1 .1

1.0

0.8 103

n

GF / PC

p=lmrn

104 105 106

Number of loading cycles N

図6 -11 試験片の剛性低下〈片振り引張疲労試験〉

107

(16)

これが破断までの繰返し数めに対して切欠半径の影響が小さい理由であると考えられる.

この材料の場合も, 切欠底付近に発生した一本の疲労き裂が成長して破断に至る経過をと らず, 切欠底付近にある領域をもった疲労損傷が生じ, それが成長して破断に至る.

図6 -11 にGF/PCの繰返し数と剛性の関係を示す. 図に示すように剛性の著しい低 下は寿命のかなり後半であり, EL -GEM�こ比べその低下は小さい.

6-3 疲労損傷と輝度

6-3-1 輝度測定法

図6 -12に疲労試験に用いた輝度測定システム(26)ベ28)-(33)を示す. 画像解析装置

および画像出力装置は5章で示したものと同じである. 静荷重の場合と異なる画像入力装 置と入力方法について記述する. 疲労試験の場合は, ある繰返し数ごとに試験機から取り 外し, 実体顕微鏡に取り付けたCCDカメラから情報を得る. 保存は切欠きの片側づつで 行い, 保存範囲は切欠底を含む約25 mm 2 の領域である. 保存は試験前および各繰返し 数ごとに行い, 試験前の輝度を基準とした相対値で表す. 光源の信頼性を保証するために,

試験片と同じ材料から切り出した同一試片の同一箇所を毎回測定し, その値で測定値を補 正する.

このシステムと静荷重試験で用いた輝度測定システムによる輝度の差を調べるために,

両システムを用いて静荷重試験を行い, 除荷した試験片の輝度測定を行った. 両システム による相対輝度の差は数%以下であった.

測定項目は静荷重試験の場合に図5 -2で示したものと同様に, 切欠底付近の一定領域 (面積約0.5 mm 2)の輝度と切欠底付近の輝度分布を測定した.

6-3-2 切欠底付近における輝度の分布

前述したように, 疲労試験において, 二種の異方性が顕著なFRP切欠平板とも切欠底 付近に損傷領域が生じ, それが成長して破断に至る. 静荷重試験において, この種の材料 の損傷を評価する方法として損傷部分を透過する光の輝度を測定する輝度測定システムを 開発し, それが有効であることを示した. 疲労損傷についても同様の輝度測定システムを

- 150 -

(17)

-・・・・・・・画面 l・

' ・ー

一. -

Film Recoder

CCD Camera

e

u

o

nb

喝 U

図6 -12 輝度測定システム

(18)

用いて切欠底付近の損傷を評価する.

図6 -13にEL-GEMの切欠底付近の相対輝度と繰返し数との関係を示す. これは平 面曲げ疲労試験の場合で, 切欠半径は1 mmの場合である. 縦軸の相対輝度は所定の繰 返し数での切欠底付近の輝度と同一箇所における試験前の輝度との比である. いずれの場 合も繰返し数とともに相対輝度は低下している. その低下の傾向は, ある繰返し数までは 低下の割合は小さく, 相対輝度90 %付近から急激に低下している.

図6 -14に. EL-GEMの切欠底付近の輝度と繰返し数との関係を示す. これは片振 り引張疲労試験で, 切り出し角度。 =0。 の場合である. 繰返し数の増加に伴って切欠 底付近の相対輝度は低下し, 破断に至るまで切欠底付近の輝度は低下し続けている.

5章で示した静荷重の場合と同様に, 切欠底付近の損傷を輝度の分布で示す. 図6 -15 はEL-GEMのO。 方向に切り出した試験片の片振り引張疲労試験で得られた切欠底付 近である. 切欠半径は(a)0.5mm. (b)lmmの場合である. 切欠底付近の濃淡の しま模様は輝度の違いを示し, ここでは相対輝度R. L = 85. 80. 75 および70 %の 4 段階で表している. したがって, 静荷重試験の場合よりもより輝度の低下した領域, すな わち損傷の激しい領域が生じている. 相対輝度は試験前の画面全体の平均輝度を100 と したときの所定の繰返し数における輝度の比である. 疲労寿命の初期(約5 %)に切欠 底付近に生じた損傷は繰返し数とともに成長するが, 寿命の約50 %まではその損傷域は 切欠底付近にとどまり, その大きさは切欠半径程度である. これは試験片表面で観察した 損傷と同様の傾向であり, 輝度分布は損傷をよく再現していると考えられる. さらに前述 したように, 切欠底付近では試験片表面だけでなく内部における微細なき裂等によって損 傷域を形成している. このためここに示した透過光による輝度分布は, 試験片表面で観察 されるものより損傷域の状態、をより詳細に示すと考えられる.

本研究では. R. L = 70 %の領域, すなわち最も損傷の激しい領域に注目した. この 領域は疲労寿命の初期の段階では発生せず, 疲労寿命の約40 %までに切欠底付近に発生 し, 繰返し数とともに成長していき. 損傷進展の最終段階で損傷域の中心となり切欠底の 最小断面を成長して破断に至る. このため最も激しい領域の挙動を把握することは損傷の 限界条件を考慮するうえで有用であると考えられる.

図6 -16に, 図6 -15 (b)に示した各領域の面積と繰返し数との関係を示す. 各領域

- 152 -

(19)

1.1

EL-GEM Plane bending

E同

U 口口A 1.0 p = 1 mm

0.9 -・E。tU q-4 a

0.8

\ 、乙�, \

n 157 137 118

0.7

103 104 105 106 107

Nunber of loading cycles N 図6 -13 切欠底付近における輝度の低下(平面曲げ疲労試験〉

1.1 I EL-GE恥f

Pulsating tension

。= 00

1.0卜 p = 1 mm

8 S

0.9 0.8

�】

q 珂U

d

B

0.7

0.6

0.5

103 104 105 106

Nunber of loading cycles N 図6 -14 切欠底付近における輝度の低下(片振り引張疲労試験〉

(20)

N/め=

5

%

N/Nf =も%

N/1り=

17

%

N /1勺=

20

%

N /1り=

40

% N/Nf =もも号。

( a ) σn = 98. 1 MPa, p

=

O. 5 mm

N/め=

39

% N

/

Nf =

59

%

( b) On

=

98. 1 MPa, p

=

1 mm

図6 -15 切欠底付近における輝度の分布

(片振り引張疲労試験, E L - G E M () = 00 )

N/1汚=

97

%

N / Nf =

99

%

(21)

。二00 n o n e

M W m

σ剖1

品 川 ド

R.L. 9ら

8877

5050

Oム〈〉口

10

4 2 8 6 g g

ωロON℃ω∞ SHH句 。

0

104 106

N 105

Number of loading cycles

切欠底付近の疲労損傷域の成長過程(試験片は図6

-

15 (b)と同じ)

図6 -16

R.L.= 70 9ら

)[.∞。

EL-GE恥4 e = 00 p = 1 mm a=4mm 3.0

自己 2.0

1.0

ωロON℃ω∞盟国・句。

106 N

104 105

Number of loading cycles 0

103

= 70 %)の成長曲線 疲労損傷域(相対輝度R.L

図6 -17

(22)

の面積はそれぞれ繰返し数とともに増加している.

前述したR. L = 70 %の領域の面積の変化を図6-17に示す. 切欠半径は 1 mmの 場合である. R. L = 70 %の領域は公称応力CJn ごとに曲線で表されている. いずれの 場合もその領域が発生し(図中の黒印), その後急激に増加している. その繰返し数につ いては後で詳しく述べる.

図6-18, 6-19および6-20に, EL-GEMの450 方向に切り出した試験片の片 振り引張疲労試験で得られた結果を示す. 図6-18は切欠底付近の輝度と繰返し数との関 係を示す. 繰返し数の増加に伴って切欠底付近の相対輝度は低下し, 破断に至るまで切欠 底付近の輝度は低下し続けている.

図6 -19に, 切欠底付近の損傷を輝度の分布で示す. 切欠底付近の損傷を, e = 0。 の 場合と同様に, 相対輝度R. L = 85, 80, 75 および70 %の4段階で表している. この 場合の発生および進展の過程はe = 0。 の場合とよく類似している. 損傷の形態、につい てはθ =0。 方向の場合とは異なり, 450 の繊維方向に損傷が広がっているが, その損 傷の程度は軽く, 最も激しい領域(R.L = 70 %)の損傷の進展は最小断面の方向に進展 している.

図6-20に損傷域の面積の変化を示す. 縦軸の損傷域は相対輝度70 %の面積である.

図に示すように, どの応力の場合も最も激しい領域の面積はある繰返し数で発生し(図中 の黒印), その後急速に増加する. この傾向は切欠半径, 切欠深さおよび切り出し角度に よらずすべてに共通してみられた.

図6-21, 6-22および6-23に, G F /P Cにおける片振り引張疲労試験の 結果を示 す. 図6-21は切欠底付近の輝度と繰返し数との関係を示す. 切欠深さ一定で, 切欠半 径は 1 mmの場合である. EL-GEMの場合と同様に, 繰返し数とともに切欠底付近 の輝度は低下し, 相対輝度90 %付近で急激な輝度の低下が観察される. 破断直前での切 欠底付近の相対輝度はEL-GEMの場合が約70 %であるのに対し, この材料の場合は 約 60 %まで低下している.

図6-22に, G F /P Cにおける切欠底付近の損傷を輝度の分布で示す. 切欠半径は ( a) O. 5 mm, ( b) 1 mmの場合である . G F /P Cの場合は, 損傷領域を相対輝度

R. L = 75, 70, 65 および 60 %の4段階で表している. EL-GEMの場合と同様

- 1 56 -

(23)

ω υ

0.9

0.8

g

ω

お 0.7

ω

0.6

103

EL-GEM

8 = 450

o

= 98.1 MPa

Pulsating tension

1 04 1 05 1 06 1 07

Number of loading cycles N 図6 -18 切欠底付近における輝度の低下(片振り引張疲労試験〉

(24)

N/

= 34 % N/

= 58 % N /

1汚

= 87 %

図6 -19 切欠底付近における輝度の分布(片振り引張疲労試験, EL-GEM

。 = 450 , On = 68. 6 MPa, ρ= O. 5 mm)

(25)

1.5

R.L.= 70 % ム

凸吋

∞ 0\

f/"c

EL-GE恥f

。= 450 p = 0.5 mm 1.0

0.5 缶百

ωロON匂一ω∞何.g吋Q

0

103 107

N 106 Number of loading cycles

104 105

= 70 %)の成長曲線 疲労損傷域(相対輝度R.L.

図6 -20

(26)

1.0

民国5 g ロJ

0 8

.Edb珂q4 B b 0.6 0.4

103 104 105 106

Number of loading cycles N 107 図6 -21 切欠底付近における輝度の低下(片振り引張疲労試験〉

160 -

(27)

N/lり=

13 %

N/め=

13 %

N/め=

31 %

N / Nf =

50 %

( a) On

=

24. 5 MPa, p

=

O. 5 mm

N / Nf =

2 1 %

N / Nf =

50 %

( b) On

=

24. 5 MPa, p

=

1 mm

図6 -22 切欠底付近における輝度の分布(片振り引張疲労試験, GF/PC)

N /1勺=

88 %

(28)

R.L. = 60 % GF / PC

p = 1 mm 2.0

1.5

1.0

0.5 缶百

ωロON℃ω∞盟国吋Q

106 N

104 105

Number of loading cycles 0

103

= 60 %)の成長曲線 疲労損傷域(相対輝度R.L.

図6 -23

(29)

に, 疲労寿命の初期の段階(1 0 %程度)で切欠底付近に損傷が生じ, 寿命の約50%まで

は切欠底付近にとどまり, この時期まで損傷の激しい領域もほとんど発生していない. そ の後損傷の激しい領域(相対輝度60 %)が発生し, 成長し破断に至る. G F /P Cの損 傷の形態、はt EL-GEMの場合とは異なる. この材料の場合, 図6-21に示したように,

切欠底付近の輝度はEL-GEMの場合よりも低下する割合が高く, 最終段階で損傷進展 の中心となり切欠底の最小断面を成長してし1く領域は, 図に示すとおり, 相対輝度60 % の領域である. したがってGF/PCの場合, 損傷領域として相対輝度60 %の面積を求 めた. 図6-2 3に, G F /P Cにおける損傷面積と繰返し数との関係を示す. 縦軸の損傷 領域は相対輝度60 %の面積である. EL-GEMの場合と同様に, どの応力の場合も損 傷領域はある繰返し数で発生し(図中の黒印), その後急速に増加する. この繰返し数に ついては後述する.

6-3-3 輝度による疲労損傷の評価

前述したようにFRP切欠平板の疲労の場合, 切欠底付近に損傷が生じ切欠底付近の損 傷が激しさを増すのと同時に損傷領域は広がり, 損傷の激しい領域が切欠底付近から広が って試験片全体の破断に至ると考えられる. したがって切欠底付近の損傷を評価すること は切欠平板の疲労破損にとって重要であると考えられる. この研究では切欠底付近を透過 する光の輝度を測定し, 切欠底付近の相対輝度が90 %に低下したときの繰返し数を疲労 損傷発生点Ndiとした. これは次の実験事実に基づいている.

Ndiにおける切欠底付近のSEM写真を図6-24, 6 -25および6-26に示す. 図6- 24および6-25は切り出し角度。=0。 方向のEL-GEMで, 図6-24は平面曲げ疲労 試験, 図6-25は片振り引張疲労試験の場合である. それぞれ切欠半径は(a)0.5 mm および(b)1 mmである. 切欠底付近の試験片表面には, 約O. 1 mmのき裂の発生が 観察される• Ndiにおいて, このような微小き裂の発生は切欠半径および応力と関係なく

2種類の疲労試験で共通して観察された.

図6-26はGF/PCの片振り引張疲労試験の場合である. ( a)は切欠底付近の透過 写真で, (b)は矢印の方向から観察した試験片表面付近の切欠底である. 切欠底付近に

(30)

(a) p = O. 5 mm

(b)ρ= 1 mm

図6 -24 相対輝度90 %における切欠底付近の微小き裂 (平面曲げ疲労試験, EL-GEM)

164

(31)

(a) p = O. 5 mm

(b) p = 1 mm

図6 -25 相対輝度90 %における切欠底付近の微小き裂 (片振り引張疲労試験, E L - G EM)

(32)

図6 -26 相対輝度90 %における切欠底付近の微小き裂 (片振り引張疲労試験, GF/PC, p=l mm)

166

(33)

表6 - 1 (a) 平面曲げ疲労試験におけるNdi

( E L - G E M, e = 00 W = 10 rnrn, a = 1. 5 mrn)

ρ 凹凹 (Jmax MPa N d i cycles

2 235 1.5 X 104

209 4. 0 x 104

182 1.5 X 105 157 1.5 X 106 266 7.0 X 103 236 5.0 X 104 206 1.5 X 105

177 4. 0 x 105

o. 5 320 5.0 X 103

284 2.0 X 104 248 3.0 X 104 214 1.5 X 105

0.25 398 9.0 X 103

353 1.5 X 104 308 5.0 X 104 266 4.0 X 105

o. 15 419 5.0 X 103

366 5.0 X 104 315 4.0 X 105

(34)

表6 - 1 (b) 片振り引張疲労試験におけるNdiおよびNd ( E L - G E M, e = 00 )

p mm W mm a mm Omax MPa N d i cycles Nd cycles

2 20 4 303 4. 0 x 103 7.0 X 103

261 5.0 X 103 5.0 X 104

217 3.0 X 104 1.5 X 105

174 7.0 X 104 1.0 X 106

20 4 406 3.0 X 103 1.2 X 104

347 1.0 X 104 4.0 x 104

289 5.0 X 104 2.5 x 105

231 1.0 X 105 1.0 X 106

228 1.5 X 105 7.0 X 105

16 4 350 5.0 X 103

300 8.0 X 103

250 5.0 X 104

2 378 2.0 X 103 1.5 X 104

350 5.0 X 103 5.0 X 104

300 7.0 X 103 7.0 X 104

250 7.0 X 104

350 5.0 X 103

300 1.0 X 104

250 3.0 X 104

0.5 20 4 552 1.0 X 104

472 4. 0 x 103 4.0 X 104

394 7.0 X 103 1.2 X 105

316 3.0 X 104 6.0 X 105

16 4 350 2.0 X 104

300 7.0 X 104

250 2.0 X 105

2 505 1.0 X 104

435 2.0 X 103 1.0 X 104

350 7.0 X 103 4. 5 x 105

289 2.0 X 104 7.0 X 105

250 1.5 X 105 2.0 X 106

350 9.0 X 103

300 7.0 X 104

250 5.0 X 105

14 446 1.5 X 103 1.0 X 104

446 1.5 X 104

384 3.0 X 103 5.0 X 104

317 1.5 X 104 3.0 X 105

255 1. 5 x 105 1.5 X 106

O. 15 20 4 907 1.0 X 103

800 1.0 X 103

643 2.0 X 103 2.0 X 103

516 1.0 X 104 2.0 X 103

450 1.6 X 104 1.5 X 105

400 7.0 X 104 1.0 X 106

320 3.0 X 105 8.0 X 106

168

(35)

表6 - 1 (c) 片振り引張疲労試験におけるNd

p rnrn

2

0.5

( E L - G E M, e = 450 W = 20 rnrn, a = 4 rnrn)

(Jmax MPa N d cycles

240 7.0 X 103 218 3.0 X 104 196 6.0 X 104 175 3.0 X 105 152 1.5 X 106 130 7.2 X 106 318 7.0 X 103 260 3.0 X 104 231 1.5 X 105 203 9.0 X 105

431 3. 0 x 103

393 1.0 X 104 352 1.0 X 105 313 2.5 X 105 272 1.0 X 106 235 3.6 X 106

表6 - 1 (d) 片振り引張疲労試験におけるNdiおよびNd

p rnrn

2

O. 5

0.2

( G F / P C, W = 20 rnrn, a = 4 rnrn)

(Jmax MPa N d i cycles 86.2 3.0 X 103 75.5 3.0 X 103

6 4.7 4. 0 x 104

53.7 2. 0 x 105

43. 1 1.7 X 106

113. 7 1.0 X 103 99. 5 3.0 X 103

85. 0 1.0 X 104

71. 1 3.0 X 104

57.0 1.5 X 105 153. 7 1.0 X 103

13 4. 5 1.5 X 103

115. 0 7.0 X 103 96.3 3. 0 x 104 76.8 1.0 X 105 202.7 1.0 X 103 174.6 6.0 X 103

1 4 4.6 1.5 X 104

116. 0 4.0 X 104

N d cycles 1.9 X 104 2.2 X 104 8.4 X 104 6.4 X 105

4. 8 x 103 1.1 X 104 2.5 X 104 6.8 X 104 3.4 X 105 1.6 X 103 4.9 X 103 1.1 X 104 1.3 X 105 5.6 X 105 4.4 x 103 1. 2 x 104 4. 0 x 104 3.9 X 105

(36)

Cの場合も, Ndiにおいて, このような微小なき裂の発生は切欠半径および応力と関係な く共通して観察された.

次に切欠底付近の輝度分布より切欠底付近にある一定量の疲労損傷が生ずる繰返し数 Ndを考察する. 前述したように, 切欠底付近の損傷の程度はそこを透過する光の輝度の

分布によって表すことができる. 最終段階で損傷内の多くの領域を占めて損傷進展の中心 となり, 破面と一致する方向に成長してし、く相対輝度が最も低下した領域, すなわち最も 損傷の激しい領域に注目した. 本研究では, この領域が発生した(面積が約0.1 mm 2

に達した〉繰返し数(図6-17 . 6-20. および6-23中の黒印〉を疲労破損点Ndとし た. このとき, 切欠底付近の相対輝度は約80 %に対応している. また, この繰返し数に おける剛性の低下率は約97 %以上で, 大きな剛性低下の前の状態、である.

このようにして決定したNdiおよびNdの値を表6- 1に示す. ここに示すように,

切欠底付近にある一定量の疲労損傷が生ずるまでの繰返し数は切欠底の最大弾性応力と切 欠半径によって異なる. 前述したように静荷重試験において切欠底付近の損傷は切欠底の 最大弾性応力と切欠半径が等しければ, その程度, 形態および大きさはよく似ていた. 疲 労試験の場合はどのようになるかを, 図6-27 . 6 -28 . 6 -29に示す.

図6-27に切欠半径を1 mm一定として, 切欠深さを種々変えた場合の切欠底付近の 輝度の変化を示す. これはEL-GEMをO。 方向に切り出した試験片の片振り引張疲労 試験の結果で, 板幅を16 mm一定として, 切欠深さを1 mm. 2 mmおよび4 mmと した場合である. 切欠底の最大弾性応力は 350 MPaと250 MPaである. ここに示すよ うに切欠底付近の相対輝度が約80 %までは, 切欠底の最大弾性応力Omaxと切欠半径 pが同じであれば, 切欠深さとは無関係にそれぞれ一本の曲線で表される. すなわち,

Omaxとpが同じであれば, 相対輝度が約80 %までは, それぞれの繰返し数で切欠底付 近に同程度の損傷が生じていると考えられる.

図6-28に, 図6-27で示した試験片の切欠底付近の輝度分布を示す. これは切欠底の 最大弾性応力が250 MPa. 切欠半径O. 5 mm一定で, 切欠深さは2 mmと4 mmの場 合である. それぞれの列は同じ繰返し数である. 図に示すように, 切欠底付近の輝度分布 は切欠底の最大弾性応力と切欠半径が同じであれば, その形態、はよく似ている. 輝度の最 も低下している相対輝度 70 %の領域の面積と繰返し数との関係を図6-29に示す. 損傷

- 170 -

(37)

1.1 r EL-GE恥f Pulsating tension

。=0。 p = 1 mm

~ U 何回

J 1.0

1-

0.9

- E

2

U 0

0.8

i

= 350 MPa 250 2 。ロ1ax

。 4 0.6

1 03 104 1 05 1 06 1 07

Number of loading cycles N

図6 -27 切欠底付近における輝度の低下(切欠深さの影響)

(38)

N = 3 X 105

]吋N

N = 1 X 106

N = 1 X 106

N=2 X 106

( a )切欠深さ a = 2 mm

N = 2 X 106 (b) a =4 mrn

N=3 X 106

N=3 X 106

図6 -28 切欠底付近における輝度の分布(片振り引張疲労試験, E L -G EM,

。 = 00 p = O. 5 mrn Omax = 250 MPa) N=3 X 105

N=5 X 106

N=7 X 106

(39)

2.0

。 /Jr

EL-GEM p = 0.5 mm

= 250 MPa

max

2 4 a mm 1.5

1.0

0.5 g g

ωロON℃ω∞何百吋凸

0

105 107

N 106

Number of loading cycles

= 70 %)の成長曲線 疲労損傷域(相対輝度R.L.

図6 -29

(40)

領域の大きさも, その面積が約0.1 mm 2 に達するまではOmaxとpが同じであればほ ぼ同じである.

6-4 疲労の損傷基準

6-4-1 疲労の損傷基準の適用

損傷基準を拡張し, 2章で提案したFRP切欠平板の切欠底付近にある一定量の疲労損 傷が生ずる限界条件式を次に示す.

(Jma.x・(Nd) m = C (p) ( 1 )

この条件式の妥当性を明らかにするために, 2種類の異方性が顕著なFRP切欠平板の実 験結果に適用する. 前述したように, 切欠底付近にある一定量の疲労損傷が生ずるまでの 繰返し数として, 疲労損傷発生点Ndiと切欠底付近に破損が生ずる繰返し数Ndについ て輝度測定法を用いて検討した.

まず, 切欠底付近の相対輝度が90 %に低下したときの繰返し数Ndiを用いて, Omax -Ndiの関係をプロットした. その結果を図6 -30および6 -31に示す. これらはEL -GEMの場合で, 切欠深さ一定の場合である. 図6 -30は平面曲げ疲労試験の場合で,

図6 -31は片振り引張疲労試験の場合である. いずれの場合も, 切欠半径p= 0.15 mm から 2 mmまでの5本のOmax-Ndi線図は互いに平行な直線で表されている. この ことは疲労損傷発生に関して, 式( 1 )で表した条件式が妥当なものであることを示して いる. 材料に固有なmの値は図に示すように, 平面曲げ疲労試験の場合が約O.1 であり (24〉~(27〉,

片振り引張疲労試験の場合が約O.12 (26). (28)・(29) である.

図6 -32に, EL-GEMの片振り引張疲労試験で切欠半径pを一定にして, 切欠深 さを種々変えた場合のNdiの値を示す. 図に示すように, Ndiの値は切欠底の最大弾性 応力Omaxと切欠半径pが同じであれば, 切欠深さとは無関係にほぼ一定である.

図6 -33に, G F /P Cの片振り引張疲労試験で得られたOmax-Ndi線図を示す.

この場合もEL-GEMの場合と同様に, 切欠半径ごとに4本のOmax-Ndi線図は互 いに平行な直線で表されている. ここで指数mの値は約O.15である.

次に切欠底付近に疲労破損が生ずる繰返し数Ndについて検討する. 切欠半径pおよ

- 174 -

(41)

500

400

告300

KM刷戸』

200

EL-GEM Plane bending

p = 0.15 mrn

0.25

三 卜�

103 104 105 106

Cycles to damage Ndi

図6 -30 切欠底の最大弾性応力OmaxとNdiとの関係(平面曲げ)

1000

EL-GE恥4

Pulsating tension

。= 00

700 告 500 400

D 民E

300

200

103 104 105

Cycles to damage Ndi

106

図6 - 31 切欠底の最大弾性応力OmaxとNdiとの関係(片振り引張〉

(42)

EL-GEM p = 0.5 mm

250

106

℃Z

105

300

= 350恥1Pa

。 104 。

ω ol) g

"'d

O

c/) ω

p・『(.)

しJ〉、

103

3 4

mm

Ndiと切欠深さaとの関係(片振り引張) α

2 Notch depth

図6 -32

176

(43)

200 GF/PC

�'-..

/ P = 0.2 mm

100 90

H eE q 80

。 70

60 50 40

103 104 105 106 107

Cycles to damage Ndi

図6 -33 切欠底の最大弾性応力OmaxとNdiとの関係

(44)

k rE q

k eE q

1000 r EL-GEM

トぞ0.15 0.5

2 À

。= 0。

汁調 『、、h

700 4

500 400 300 200

103 104 105 106

Cycles to damage Nd ( a ) e = 00

500 r

400 � 300

200

100 103

EL-GEM

A、\、』 。= 450

104 105 106

Cycles to damage N d

( b ) () = 45。

図6 -34 切欠底の最大弾性応力旬以とNdとの関係 (片振りヲ|張疲労試験)

178

2

107

107

(45)

300

GF / PC

ば伺ロ』 。

100 90

80 70 60 50

103

22

200

104 105 106

Cycles to damage Nd

図6 -35 切欠底の最大弾性応力UmaxとNdとの関係

(46)

び応力が種々異なるすべての試験片についてぬを求め, 切欠半径pごとに切欠底の最 大弾性応力Omaxと ぬとの関係をプロットした. その結果を図6 -34および6 -35に 示す. 図6 -34はEL-GEMの片振り引張疲労試験の場合で, ( a )は切り出し角度 θ= 00 , ( b )は8 = 45。 である. ( a )には切欠深さを種々変えたものも併せて示し

ている. ここに示すように, Omax - Nd線図は, 切欠半径ごとに互いに平行な直線で表 され, 切欠深さとは無関係である. 図に示すように, 指数mの値はθ = 0。 の場合は 約0.12(30)-(33) で, e = 45。 の場合は約o.1である.

図6 -35にGF/PCの片振り引張疲労試験の結果を示す. EL-GEMの場合と同様 に, Omax -Nd線図は, 切欠半径ごとに互いに平行な直線で表される. 図に示すように,

指数mの値は約O.15 (33) である.

これらの実験事実は, 前述したように疲労破損が生ずる繰返し数Ndに達するまでは 切欠底付近に疲労損傷が生ずる条件は式( 1 )に従うことを示している. すなわちNdi についても式( 1 )で表される関係が成り立つ. このことは損傷基準が疲労の場合にも有 効であることを示している.

6-4-2 疲労の損傷基準の検討

切欠底付近にある一定量の疲労損傷が生ずる限界条件式の有効性は, OmaxとNd の関 係が切欠深さと無関係に切欠半径ごとに平行な直線で表されることによって実証された.

なお, 直線の傾きを表す指数mの値は材料に固有な値で, Omax -Ndi線図および σmax -Nd線図で同じ値であった.

右辺のパラメータC はNdにおける切欠底付近の疲労損傷に関係した量で, それは切 欠半径pのみによって決まることを表している. 例えば図6 -34で, pが一定のOmax -Nd線図上にある各試験片の切欠底付近の疲労損傷の程度は同じであり, それは最大弾 性応力と無関係と考えられる. その一例を図6 -36に示す. これは切欠半径pが0.5 mmの場合である. ここに示すとおり, Omax -Nd線図上での切欠底付近の損傷の形態、

は互いによく似ている.

相対輝度70 %の領域が生じたときの繰返し数Ndにおける切欠底付近の疲労損傷を表 すものとして, 相対輝度75 %の面積をとる. この面積と切欠底の最大弾性応力Omaxと

- 180 -

(47)

似削除Q感町村Q射た樋げ糸口以山町会的廿リ一

EEm.0uq

£】よ∞【的日誌ERO

£EgmuミERO

=ミ

∞∞lc図

£ENののH

SS

(48)

3.0

EL-GEM g

g

QL_O.5

f T

口o一一ム

口 口 1.0

0.5

ωロON℃ω∞盟国・句。

ム 土12

図図�

図ム図包国

0.1

100 500 1000

MPa O

max

200

= 75 %)と切欠底の最大弾性応力 Ndにおける損傷面積(R. L.

Oma,xとの関係 図6 -37

182

(49)

の関係を図6 -37に示す. 図に示すように, Ndにおける損傷領域の面積は切欠半径pご とに応力と無関係に一定の値をとっている.

これらの実験事実は, 光を透過するFRP板の場合には本研究に用いた輝度測定システ ムが有用であるとともに, 第2章で提案した損傷基準が疲労の場合にも有効であることを 示している.

6-5 結言

二種類の異方性が顕著なFRP切欠平板を用いて疲労試験を行い, 疲労損傷の発生と成 長の過程を観察し, 2章で提案した損傷基準が疲労の場合にも有効であることを実験によ って検証した. 疲労損傷を評価する方法として, 本研究で開発した輝度測定システムを使 用した. 得られた結果は次のとおりである.

( 1 )疲労損傷は疲労寿命の初期に切欠底付近に発生する. 疲労寿命の大半は疲労損傷の

成長に費やされる.

( 2 )上記( 1 )に関連して, 疲労寿命に及ぼす切欠半径の影響は小さい.

( 3 )疲労損傷発生を切欠底付近の相対輝度が90 %に低下したときの繰返し数Ndiと

した. このとき切欠底付近の試験片表面には微小なき裂が観察された.

(4 )切欠底付近に疲労損傷が生ずるまでの繰返し数Ndiは, 切欠底の最大弾性応力と 切欠半径のみで決まり, 切欠深さとは無関係であった.

( 5 )ある一定量の疲労損傷が切欠底付近に生ずる繰返し数Ndを切欠底付近の輝度の分 布より求めた. 二種類の異方性が顕著なFRP切欠平板について, このNdを用い て第2章で提案した疲労損傷の限界条件式の有効性を実証した. すなわち, Nd は 切欠半径と切欠底の最大弾性応力によって決まり, 切欠深さとは無関係である. 指 数mの値は材料に固有な値であり, 右辺のパラメータCは切欠底付近の疲労損傷 に関係した量で, それは切欠半径ρによって決まる.

( 6 )以上の実験事実は疲労損傷を評価する方法として, 本研究で開発した輝度測定シス テムが有用な方法であるとともに, 第2章で提案した損傷基準が疲労の場合にも有

(50)

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(54)

第7章 結 論

FRPは現在多くの構造材料として使用されているが, その際, 設計上, 応力集中は避 けられない. したがってFRP切欠平板の静荷重および繰返し荷重のもとでの破壊や強度 を明らかにすることは重要な問題と考えられる.

これまでのFRP切欠平板の破壊基準の研究では, 切欠きの鋭い場合には線形破壊力学 の概念に基づいて検討されている. ある程度以上大きい切欠半径をもっFRPについては 定点応力モデルや平均応力モデルが適用されている. これらの破壊基準には多くのパラメ ータを必要とし, そのパラメータの物理的な意味についての見解は統一されていない. さ らにどの程度の切欠半径の鋭さでき裂と切欠きを分けるべきかについては十分に検討され ていない. それに答える汎用的な破壊基準として線形切欠力学があるが, これもこれまで 主に等方性材料に適用され, 異方性が顕著なFRP切欠平板については十分な検討がなさ れていない.

一方, 切欠きをもっFRPの静的および疲労破壊では, 破断に先立って切欠底付近に表 面および内部に生ずる多数の微細なき裂の発生に伴う損傷領域が生じる. このような損傷 を伴うFRPの場合, 破断に基づく破壊基準と初期の損傷に基づく損傷基準を確立するこ とが必要である. そのためには初期の損傷を定量的に評価する必要があるが, 損傷を実験 によって定量的に評価する方法は未だ確立されていない.

以上のような背景のもとに, 本論文は, 静荷重および繰返し荷重のもとでの応力集中部 をもっ異方性が顕著なFRP板に対する破境基準および損傷基準を提案するとともに, 損 傷部分を透過する光の輝度を測定することにより, 試験片表面を含めた板厚全体の損傷の 程度を定量的に表す損傷評価法を確立し, それを用いて先に提案した損傷基準の合理性を 検証したもので-ある.

本研究において得られた知見, 各章の関連を以下にとりまとめ, 結論とする.

第2章では, 異方性が顕著なFRP切欠平板に対して線形切欠力学に基づく破壊基準お よび損傷基準を提案し, その基準の有効性を有限要素法による解析によって明らかにした.

切欠きをもっ直交異方性板の切欠底付近の応力解析を( 1 )両側に切欠きをもっ板の引張

- 188 -

(55)

り, ( 2 )両側に切欠きをもっ板の面内曲げおよび(3 )中央に円孔をもっ板の引張りに ついて行った. 両側に切欠きをもっ直交異方性板の場合, 切欠底付近の応力場は, 切欠深 さが切欠半径以上の範囲で, 切欠底の最大弾性応力と切欠半径の二つの弾性パラメータで 決まり, 切欠深さや荷重の種類(ヲ|張りおよび面内曲げ)によらないことを明らかにした.

また, 中央に円孔をもっ直交異方性板の場合も板幅と円孔径の比がある値以下の範囲で,

円孔縁付近の応力場は切欠平板の場合と同様に, 円孔縁の最大弾性応力と切欠半径のみで 決まることを明らかにした. これより, 応力集中部をもっ直交異方性板の応力集中部付近 の力学的状態、の厳しさは, 応力集中部における最大弾性応力と切欠半径の二つの弾性パラ メータによって決まることを示した. すなわち異方性が顕著なFRP板に対して, 上記の 破壊基準および損傷基準が適用可能である理論的根拠を明らかにした.

第3章では, 試験材として使用した二種類の異方性が顕著なFRP板, JISで規程され

ているガラス布基材エポキシ樹脂積層板および勉繊維ガラスで一方向に強化されたポリカ ーボネート射出成形板, の構造および力学的な基本的特性を示した. 本研究ではこれら二 種類のFRP板を用いて静荷重試験として, (1 )両側に切欠きをもっ板の引張試験,

( 2 )両側に切欠きをもっ板の面内曲げ試験. ( 3 )中央に円孔をもっ板の引張試験, お よび疲労試験として, (1)両側に切欠きをもっ板の平面曲げ疲労試験, ( 2 )両側に切 欠きをもっ板の片振り引張疲労試験を計画し, これらの実験方法について記述した.

第4章では, 応力集中部をもっ, 二種類の異方性が顕著なFRP板の静荷重による破壊 に対して, 2章で提案した破壊基準が有効であることを実験的に検証した. すなわち, 引 張試験および面内曲げ試験を切欠きの幾何学的形状の広い範囲にわたって行い, 破断時に おける切欠底の最大弾性応力と切欠半径との関係が各材料に固有な一本の曲線で表され,

それは切欠深さ, 板幅および荷重の種類(ヲ|張りと面内曲げ)と無関係であることを明ら かにした. 次に, 切欠きが鋭く, き裂とみなして線形破壊力学の観点から整理できる場合 にな 破壊は先に提案した破壊基準に従うことを示した.

(56)

を用いた輝度測定システムによる損傷評価法を確立し, その有効性を示した. すなわち二 種類の, 異方性が顕著なFRP切欠平板について, 切欠きの幾何学的形状の広い範囲にわ たって引張りおよび面内曲げ試験を行い, 切欠底付近に生ずる損傷を上記の輝度測定シス テムを用いて評価した. 切欠底付近に生ずる損傷によりその部分を透過する光の輝度は低 下する. このため切欠底付近の輝度分布を求め, これより切欠底付近における損傷の程度 および形態、を示した. これらは切欠底の最大弾性応力と切欠半径の二つの弾性パラメータ で決まり, 切欠深さ, 板幅および荷重の種類(ヲ|張りおよび面内曲げ〉と無関係であるこ とを明らかにした. このことは損傷の評価方法として, 上記の輝度測定システムが有用で あるとともに, 異方性が顕著なFRP板の切欠底付近における損傷基準としてここで提案 した損傷基準が有効であることを示すものである.

第6章では, 第5章で示した輝度測定法が光を透過するFRP切欠平板の疲労損傷の評 価に対して有用な方法であるとともに, 第2章で提案した損傷基準が疲労の場合にも有効 であることを輝度測定法の結果に基づいて明らかにした. すなわち, 異方性が顕著な二種 類のFRP切欠平板の平面曲げ疲労試験および片振り引張疲労試験を切欠きの幾何学的形 状の広い範囲にわたって行い, 切欠底付近に生ずる疲労損傷を上記の輝度測定システムを 用いて評価し, 切欠底付近にある一定量の疲労損傷が生ずるまでの繰返し数が, 切欠底の 最大弾性応力と切欠半径の二つで表すことができることを明らかにした.

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謝 辞

本論文をまとめるにあたり, 終始適切なご指導と暖かいご鞭捷を賜った九州大学工学部 西谷弘信教授に心より感謝の意を表します.

また, 本論文についてご指導とご助言を賜った九州大学工学部市丸和徳教授,

尾崎龍夫教授および村上敬宜教授に深く感謝申し上げます.

本研究は, 筆者が勤務する福岡大学において行ったものである. 本研究を進めるに際し,

終始ご指導と多大なるご支援を賜りました福岡大学工学部百武 秀教授に厚くお礼 申し上げます.

さらに, 福岡大学工学部機械工学科材料力学実験室の皆様には, 実験や計算の遂行にあ たり, 種々のご援助とご協力をいただきました. また九州大学工学部機械工学科国体力学 講座の皆様には種々のご配慮をいただきました. ここに記して深謝の意を表します.

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