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リース取引の会計処理に関す る一考察

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Academic year: 2021

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神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第10 2006年3月 95

■ 修士論文要旨

リース取引の会計処理に関す る一考察

‑ フ ァイナ ンス ・リースのオ ン ・バ ラ ンス化 を中心 と して ‑

AStudyofAccountingofLeaseTransactions

‑ FocusonBalanceSheetofFinanceLease一

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

董 暁 栄

jGaorongDong

■キーワー ド

ファイナンス ・リース、資本化、例外的処理、G4+1報告書、資産 ・負債 アプローチ

リースは、現在では世界のいたるところで利用 され、産業界のあ らゆる分野に広 く普及 している。

こうした リースの普及は、 これ までの物件 を "所 有す ること"か ら、"利用す ること"へ と思考の 転換 をはかるものであった。 これ を会計学的に換 言 すれば、資産の本質が、従来の物件 自体の法的 所有 に関す る要件か ら、物件の潜在用役 を経済的 に支配 ない し帰属す る要件へ と変更す ることを意 味す るものであった。 この場合、賃借人 に対する リース契約か ら生 じる権利 は、物件 を利用す る権 利、つ まり利用権であ り、 また、 リース契約か ら 生 じる義務 は、物件 を利用 し続 けることか ら生 じ

る賃借料支払義務である。

リース契約か ら生 じる権利 ・義務 は、 これ まで 未履行契約 に基づ くとして会計上認識 され ること はなかった。 しか しなが ら、 リース取引の急激 な 発展は、 リース会計に対す る関心 をます ます高め、

こうした権利 ・義務 を従来のまま認識す るわけに はいかない。

リース会 計 におけ る主要 な問題点 は、 リース

を資本化すべ きか否か、換言すれば、賃借人の貸 借対照表 に、資産及び負債 として計上すべ きか否 か とい う点にある。先進諸国の リース会計基準 を 見れば、資本化す る方向で基準が制定 されてい る が、 リース会計の実務では資本化 と非資本化が対 立 している。 こうした実態 にどの ように対処す る か、それは会計に課せ られた大 きなテーマで もあ る.すなわち、 リース会計基準 を問 うことはその 国での会計制度 を問 うことで もある。

日本 において、 リースは設備調達の有効な手段 として産業界に広 く活用 され、いまや企業経営に 不可欠な存在 となっているOすなわち、 リース会 計基準の変更 は、 リース業界のみな らず、産業界 全体ひいては 日本経済 に大 きな影響 を与 える重大 な問題である。 日本の リース取 引は、現在の会計 制度や税制の上 に成 り立 っている。 リース会計の 審議 について、 日本 リース取引の経済的実質、現 行 リース会計基準の有用性、 リース会計基準が変 更 された場合の経済的な影響 などを十分に配慮の うえ、更 には リース会計の国際的な動向に も注視

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96 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第10 2006年3月

しつつ慎重 に行 うことが肝要 だと考 えられ る。

本論文 は、三部か ら構成 されている。第一部で は、 リースの基礎 として、 リースの仕組み、 リー スの論理 と制度化等について詳述 した。特 に リー ス資本化 を中心 と して3つの理論 について比較 と 考察 した。そ して、アメ リカの リース会計制度 に ついて検討す ることとす る. ここで、 リース取引 の発展 に合 わせて最 も早 くか らリース会計の課題 に取組 み、FASBは財務会計基準書第13号 「リー スの会 計処理」 (以下、「SFAS13」 とい う) を中 心に考察 を行 った。

第二部では、 リース会計基準の発展 について 日 本 におけるリース会計の課題 を明 らかに し、 日本 リース会計基準 と国際会計基準 とのギャップを探 求 した。 日本特有 な賃貸借処理の容認にあるリー ス会計は形式的にはグローバル ・スタンダー ドに 対応 した基準であるが、その実態 は乗離 した処理 が行われている。国際会計基準には存在 しない所 有権移転外 ファイナ ンス ・リース取引 を登場 させ ることにな り、「意見書

「実務指針」 は極 めて国 際的不調和 になっている。現行 リース会計基準 を 存続すべ きかどうかについて論述 した。

そ して、G4+1ポジシ ョン ・ペ ーパ ーについて G4+1報告書 の内容 と特徴 を取 り上 げた。G4+1は

「使用権」概念 を使 い、すべての リース取引の資 本化処理 を求めている。スペシャル ・ペーパ ーは 概念 フレームワークとの整合性 に基づいて、 リー ス契約の資産性 ・負債性 を説明 している。 この論 理 は リスク・経済価値 アプローチに対 して、資産 ・ 負債アプローチ呼ぶ ことがで きる。 それによれば、

専断的な規準で ファイナ ンス ・リースとオペ レー テ ィング・リースに分類す ることな く、全ての リー ス契約 に対す る処理が統一的で簡潔 な もの となる.

す なわち、1年超の解約不能 な リース契約 は、す べてオ ン ・バ ランス化すべ きであると結論付 け ら れ るのである。現行基準 と違いでいえば、 フルペ イアウ ト要件 を撤廃 し、中途解約不能要件 に一本 化す る提案 を行 ったのである。

第三部では リース会計の新たな展開について 日 本 リース会計基準の方向および動向 ・課題 を述べ

た。 日本 リース会計は形式面 では、 アメ リカ基準 への準拠性 が見 られ るが、 リ‑ス産業 を取 り巻 く 環境や リ‑ス取引の実態の相違、 さらには税法主 導 ・トライア ングル体制 といった 日本独特の制度 的規制のために、実態面でい くつかの重要 な相違 点が見 られた。実務 における開示実態が注 目され ていたが、資本化処理が有効に機能せず、例外的 処理 で あ る賃貸借 処理 が原則化 してい る状況 で あった。 その上で、 日本 リース会計基準の実効性 を高めるためにはどのよ うな方向性 を視野 に入れ るべ きかについて検討 した。

リ‑ス会計 は今、ポジシ ョンペ ーパ ーによって フレームワークその もの を揺 るがす変革 期 には いってい る。 日本の リース会計基準は今 までの脚 注による資本化情報の開示基準か ら米国型の資本 化基準へ と移行 して くと予想 され る。 この ことは、

日本の リース会計基準があ らゆる面で国際会計基 準 と同一である必要性 を意味 しているわけではな い。 しか し、今後の 日本 は国際的な会計基準設定 の場 において大 きな役割 と責任 を負 うことになる し、国内会計基準 において も国際的な信頼 を得 る べ き基準の設定 を求 め られ ることとなる。 リ‑ス 会計の今後の動向に注 目したい。

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