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第 3 章 ソフトダクトユニットを構成する寸法と 減音性能

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全文

(1)

オンキョウテキ ソフト キョウカイ ヲ ユウス ル ショウオンキ ノ コウタイイキカ ト シュ クショウカ オヨビ ソノ オウヨウ ニ カンス ル ケンキュウ

川瀬, 康彰

財団法人成田国際空港振興協会

https://doi.org/10.15017/17122

出版情報:Kyushu University, 2009, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第 3 章 ソフトダクトユニットを構成する寸法と 減音性能

本章では,

1/4

波長音響管を複数本配列することで構成されるソフトダクトユニットについ て,設計周波数に対する各寸法と得られる効果の関係について二次元境界要素法を用いた数値 解析により整理し,設計の指針となるものを得ることを目的とする。音響管の深さは設計周波 数に対して一意に決まるため,検討すべきパラメータはそれを除くソフトダクトの形状を決め る以下の三つである。

音響管幅

音響管配列長

ダクト幅

1

章で述べたように,ソフトダクトを構成する寸法と効果の関係については

Pang

[8],[9]

に より検討されているが,そこではダクト幅がパラメータに含まれていない。本章では,ダクト 幅を検討するパラメータに含めた各部寸法と効果の関係について二次元境界要素法を用いた数 値計算による検討から改めて整理し,更に得られた知見を基に広帯域化とそのための設計指針 策定の検討を行う。数値計算に際しては,音響管設置前後の基準化音圧レベルを

1/54

オクター ブバンド毎に計算し,それらの差から挿入損失を求めた。

3.1 理想ソフト境界を持つダクトの減音性能

検討するどのパラメータも大きさの変化が減音効果に影響するが,音響管を配列する代わり に周波数依存しない理想ソフト境界を設定することで,ソフト境界の配列長とダクト幅が減音 効果に与える影響についてより明確にすることができる。そこで,図

3.1

のように,ダクト端 に設置した音源から

1m

離れた点より下流側に長さ

L

にわたって理想ソフト境界を設置する条 件において検討を行った。計算点は音源と逆側のダクト端より

100mm

離した場所に設置し,ダ クト両端を完全吸音面,その部分と長さ

L

のソフト境界面を除いたダクト側面は完全剛な境界 条件とした。なお計算結果は,ソフト境界を設置しないダクト側面が全て剛な場合との差を挿 入損失として示す。ソフト境界の配列長とダクト幅を設定するにあたり,のちに

1/4

波長音響

(3)

Source Receiver complete soft boundary

L duct

width

1,000 2,400 100

complete abs.

boundary

complete abs.

boundary

3.1:

理想ソフト境界を配置したダクトの計算条件と検討対象とする寸法

管を配列したソフトダクトユニットを構成する寸法と効果の関係について検討することを見据 え,特定の周波数に対する波長を基準とした寸法を設定する。ここでは

250Hz

の波長

1360mm

を基準として各寸法を変化させることとする。

まず,ダクト幅を

1/5

波長となる

272mm

に固定して,ソフト境界の配列長を

1/3

波長の

453mm

から

3/2

波長の

2040mm

まで変化させた場合について計算した。結果を図

3.2

に示す。

ソフト境界の配列長によらず,ダクト幅

272mm

を半波長とする

625Hz

付近より低い周波数で 減音効果が得られている。また,配列長が長くなるに従い,

625Hz

以下で得られる効果の周波 数特性が急峻になる。

次に,ソフト境界の配列長を

1

波長に固定して,ダクト幅を

1/8

波長の

170mm

から

1/2

波長

680mm

まで変化させた場合について計算した。図

3.3

に示す結果より,それぞれダクトの幅

を半波長とする周波数付近より低い周波数で減音効果が得られていることがわかる。なお,各 ダクト幅における効果が得られる上限周波数付近の特性は,ダクト幅が広い場合の高い周波数 になるに従い急峻となっている。これは,効果が得られる上限周波数の波長に対するソフト境 界の配列長が長くなるためである。

以上の結果のように,理想ソフト境界のソフトダクトはハイパスフィルタ的な振る舞いをす ることがわかり,ダクト幅と配列長は以下のようなフィルタ性能を決定する因子となっている。

ダクト幅は遮断周波数決定要因となり,ダクト幅を半波長とする周波数以下の音波が遮 断される

配列長は遮断特性決定要因となり,遮断周波数の波長に応じて十分な長さとすることで 高い遮断特性が得られる

(4)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

453mm 680mm 907mm 1360mm 2040mm

3.2:

理想ソフト境界を配列したダクトのソフト境界長を変化させた場合

-50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

170mm 227mm 340mm 453mm 680mm

3.3:

理想ソフト境界を配列したダクトのダクト幅を変化させた場合

(5)

3.2 音響管を配列したソフトダクトの減音性能

この節では,

1/4

波長音響管を配列したソフトダクトについて,各寸法と効果の関係を示す。

-3.4

のように,前節の検討で理想ソフト境界を配列した部分に

1/4

波長音響管を設置した。

ここでも一貫して音響管の設計周波数を

250Hz

とし,音響管の深さを開口端補正を考慮しない

340mm

に固定した。なお,本章では特に断らない限り単に

波長

と言う場合は

250Hz

に対す

る波長を指すものとする。

Source Receiver

L dw

1,000 2,400 100

td tw

3.4: 1/4

波長音響管を配置したダクトの計算条件と検討対象とする寸法

3.2.1

ダクト幅の影響

まず,ダクト幅

(

3.4

中の

dw)

の変化が減音性能に与える影響を見るため,音響管幅

(

3.4

中の

tw)

1/6

波長である

227mm

のものを

3

本配列して配列長を

1/2

波長とした条件におい て,ダクト幅

(dw)

1/8

波長の

170mm

から

1/2

波長の

680mm

まで変化させた。計算結果を 図

3.5

に示す。

ダクト幅が拡がるのに伴い,効果の得られる周波数帯域の高域側が狭くなっていることがわ かる。このような結果が得られる理由は,前節の理想ソフト境界を配列した場合の検討から,

ダクト幅が拡がるのに伴い遮断周波数が低域へシフトするためであると考えられる。図

3.6

は それを模式的に表したものである。上段の破線は,ダクト内に理想ソフト境界を配置した場合 に得られる挿入損失で,ダクト幅によって決定される遮断周波数が

f

ductである。一点鎖線は,

音響管設計周波数に対してダクト幅が十分狭く,音響管の配列長が十分長い場合に得られる挿

(6)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/8dz (170mm) 1/6dz (227mm) 1/5dz (272mm) 1/4dz (340mm) 1/3dz (453mm) 1/2dz (680mm)

3.5:

ダクト幅を変化させた場合(設計周波数

250Hz

,音響管幅

227mm

, 配列数

3

本)

入損失で,設計周波数が

f

tubeである。図の左側は

f

duct

f

tubeに対して十分大きい場合であ り,この場合は上段の一点鎖線の周波数特性が左側下段に示すようにそのまま得られる。しか し,図の右側のように

f

duct

f

tubeが近い場合,

f

tube付近でソフト境界が実現されていても遮 断周波数以上では効果が得られず,結果として右側下段の実線のような効果しか得られないこ とになる。特に,ダクト幅が

1/3,1/2

波長の場合に周波数特性のディップ位置が低域へシフトし ているのは,遮断周波数が低域へシフトすることに加え,配列長が

1/2

波長の場合では遮断特 性がさほど急峻でなく,本来ディップ周波数となる

250Hz

が十分に遮断されない領域となって いるために生じたものと考えられる。

3.2.2

音響管配列長の影響

次に,音響管配列長の変化が減音性能に与える影響を見るため。ダクト幅

tw

1/5

波長であ る

272mm

及び

1/3

波長である

453mm

に固定し,音響管幅が

1/6

波長である

227mm

の配列数 を

1

本から

12

本まで変化させた。計算結果をそれぞれ図

3.7

及び

3.8

に示す。

効果が現れる周波数範囲は配列数によらないが,配列数が増えるのに従って効果が得られる 帯域両端の周波数特性が急峻となっていることがわかる。このことより,一定以上の効果が得

(7)

frequency f

tube

f

duct

frequency f

tube

f

duct

Case1 : f

tube

<< f

duct

Case2 : f

tube

ѳ f

duct

Insertion Loss Insertion Loss

frequency

Insertion Loss

frequency

Insertion Loss

3.6:

ダクト幅により決定される遮断周波数

f

ductと音響管設計周波数

f

tubeの関係による効果の違い

(8)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1T 2T 3T 4T 6T 9T 12T

3.7:

音響管の配列長を変化させた場合(ダクト幅

272mm

,音響管幅

227mm

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1T 2T 3T 4T 6T 9T 12T

3.8:

音響管の配列長を変化させた場合(ダクト幅

453mm

,音響管幅

227mm

(9)

られる帯域という観点から見た場合,その帯域は配列数の増加と共に拡大する。なお,効果が 現れる周波数範囲は変わらないことから,配列数を追加することによる帯域増加の割合は配列 数の増加とともに徐々に小さくなる。各計算条件について

30dB

以上の効果が得られるオクター ブ帯域幅を表

3.1

に示す。

配列数の増加と共に

30dB

以上の効果が得られる帯域は増加しているが,配列数の増加とと もに帯域の拡大は小さくなっている。特に,配列長が

1

波長以上となる

6

本を超える配列数で は配列数増加による帯域の拡大が小さくなっており,帯域幅が一定値に収束していく傾向が見 られる。

3.1:

音響管配列数と

30dB

以上効果の得られるオクターブ帯域幅 配列数

1 2 3 4 6 9 12 dw = 272mm 0.04 0.22 0.45 0.57 0.67 0.72 0.74 dw = 453mm - - 0.19 0.29 0.40 0.46 0.48

3.2.3

音響管幅の影響

最後に,音響管の幅が減音性能に与える影響を見るため,ダクトの幅を

1/5

波長に固定し,音 響管の幅が

1/2

波長のものを

2

本,

1/3

波長のものを

3

本というように,音響管配列長を

1

波 長に固定して音響管の幅を

1/2

波長の

680mm

から

1/8

波長の

170mm

まで変化させた。結果を 図

3.9

に示す。

効果が得られる周波数帯域は,高域側については変化が見られないが,低域側については音 響管幅が拡大するに従い低域へ拡大していることがわかる。ただし,

30dB

以上の効果が得ら れる帯域幅で見た場合は,音響管幅が

1/8

波長から

1/4

波長までは音響管幅の拡大に伴い帯域 幅が拡大しているが,音響管の幅が

1/4

波長を超えると帯域幅は縮小に転じている。また,音 響管幅が

1/4

及び

1/3

波長の場合は低域側の周波数特性が大きく傾斜しており,設計周波数の

250Hz

からずれた周波数で最大の効果を生じている。また,更に音響管幅を

1/2

波長まで大き

くした場合は,得られる効果がたいへん小さくなってしまっている。

以上のことから,設計周波数付近で最大の効果を得るためには,音響管の幅を設計周波数の

1/4

波長以下にするのが理想的であると考えられる。なお,音響管の幅が狭いほど設計周波数 付近の周波数特性が急峻なかたちとなり,設計周波数付近で大きな効果がより確実に得られる が,一定の配列長とする際は音響管の幅が狭いほど配列数,すなわちソフトダクトユニットを 構成する部材が増えるため経済的に非効率となる。そのため,現実的にはダクトの幅を設計周 波数の

1/6

1/4

波長とするのが望ましいと言える。

(10)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/2dz˜ 2 tubes 1/3dz˜ 3 tubes 1/4dz˜ 4 tubes 1/6dz˜ 6 tubes 1/8dz˜ 8 tubes

3.9:

音響管の幅を変化させた場合(ダクト幅

272mm

,配列長

1360mm

以上のとおり,音響管を配列したソフトダクトの減音性能について,ソフトダクトを構成す る各寸法と得られる減音性能に関する基本的な関係について調べた。

音響管が生成するソフト境界による減音量を効果的に得るためには,遮断周波数決定要因と なるダクト幅を音響管設計周波数の波長より十分小さくすれば良いことがわかったが,狭くし 過ぎると空気調和というダクト本来の機能が失われてしまう。音響管配列長を長くすれば一定 以上の減音量をより広帯域で得ることが出来るが,同一設計周波数の音響管の配列では得られ る帯域幅に限界がある。また,ソフトダクト実用化としての観点からは,音響管幅が広い方が 同一配列長で配列本数が少なくなり,省部材化や軽量化というメリットがあるが,効率的な効 果を得るためには設計周波数の

1/4

波長以下の音響管幅とする必要があることがわかった。

このように,より現実的なソフトダクトにするためには,構成する各寸法をバランスよく決 定する必要があると言える。同一設計周波数の音響管を長く配列すれば,大きな効果が半オク ターブ以上にわたって得られるが,広範な帯域で発生することの多いダクト騒音を効果的に制 御するためには,特定の周波数で過度に大きな効果を得るより,適当な大きさの効果をより広 帯域に渡って得るような設計をするべきであろう。そこで次節以降において,本章で得た知見 に基づいてソフトダクトの広帯域化について検討する。

(11)

3.3 異なる設計周波数のソフトダクトを組み合わせる場合

異なる設計周波数のソフトダクトユニットを組み合わせた場合には,それぞれ単独で用いた 場合に得られていた効果が足し合わされた効果が得られることがわかっている

[8]

。しかし,そ の研究成果は,ダクトの幅が設計周波数によらず一定の場合に得られたものである。本研究で は,ソフトダクトを構成する寸法と減音効果との関係について,設計周波数の波長に対する比 率との関係として整理するため,設計周波数に応じてダクトの幅が変化するソフトダクトを組 み合わせた場合に得られる効果について整理・検討する。効果の大きさとしては,減音量と帯 域幅と二つの面から検討する必要があるが,ここでは一元的な比較とするため,連続した周波 数で

30dB

以上の減音効果が得られる帯域幅を比較することとする。

なお,一般的にダクトの幅は一定であるが,ここでは設計周波数に応じてダクトの幅を変化 させるため断面の急激な変化を伴うことになり,ダクト断面の変化によるインピーダンス変化 から,反射を生じて音波が減衰することになる。しかし,ここでは減音効果の広帯域化につい て検討するため,一定以上の効果を連続的した周波数で得られるように隣り合う音響管の設計 周波数を大きくシフトさせることはしない。設計周波数のシフト幅を

0.5

オクターブとした場 合,ダクト断面変化は約

1.4

倍となり,それに伴う減音量を計算にて確認したところ,本節で の計算周波数帯域である

50Hz

から

800Hz

の範囲内で

1.5dB

程度と概ね一定であった。このよ うに,ダクトの断面変化による減音効果はさほど大きくはないが,ソフトダクトの挿入損失値 は断面が変化する剛ダクトとの差として算出することとした。

異なる設計周波数のソフトダクト組み合わせについて検討する出発点として,設計周波数

250Hz

,ダクト幅を

1/5

波長,音響管の幅を

1/6

波長のソフトダクトについて考える。表

3.1

の 結果から,

30dB

以上の効果が得られる配列

1

本あたりの帯域幅は配列数

3

本の場合が最も大き いため,配列数を

3

本として異なる設計周波数のソフトダクトを組み合わせることでより効率 的な広帯域化が望めるものと考えられる。配列数を

3

本とした場合,

30dB

以上の効果が得られ る帯域幅は

0.45

オクターブであり,組み合わせる設計周波数のシフト幅は

0.45

オクターブとな る。しかしここでは,設計を容易にすることと得られる結果をわかりやすく表示するため,設 計周波数のシフト幅を

0.5

オクターブとする。なお図

3.7

の計算結果より,

0.5

オクターブ幅で 得られる一定以上の効果は

27dB

となる。

設計周波数の波長に対するダクト幅と音響管幅の比率を一定として

3

本の音響管を配列した ものについて,設計周波数を

125Hz

から

354Hz

まで

0.5

オクターブずつずらして計算を行った。

結果を図

3.10

に示す。結果より,ソフトダクトを構成する各寸法について設計周波数に対する 波長との比率を一定として変化させた場合,得られる効果と帯域幅は設計周波数のシフト応じ

(12)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=125Hz f0=177Hz f0=250Hz f0=354Hz

3.10:

設計周波数の波長に対してダクトの幅を

1/5

波長,音響管の幅を

1/6

波長として

3

本配列した場合

てそのままシフトしている様子がうかがえる。図

3.10

の横軸を各設計周波数で基準化して整理 したものを図

3.11

に示すが,各設計周波数で基準化した周波数軸上では設計周波数を変化させ てもほぼ同じ結果となることがわかる。このことから,ソフトダクトを構成する各寸法を設計 周波数の波長に応じて一定の比率となるように変化させることは,得られる効果の周波数特性 について設計周波数を逐次シフトさせて確認することなく概ね予測が可能となり,広帯域化の ための設計を容易にさせるものであると考えられる。

次に,実際に異なる設計周波数の音響管を組み合わせた検討を行う。図

3.10

では,設計周波 数を

0.5

オクターブシフトさせたソフトダクトが,互いの挿入損失周波数特性が

27dB

付近で交 差しており,それらのソフトダクトユニットを組み合わせれば,連続した周波数で少なくとも

30dB

以上の効果が得られることが期待される。そこで,設計周波数

125Hz

177Hz

250Hz

354Hz

のソフトダクトユニットを組み合わせた場合について計算を行った。単独のソフトダ

クトユニットの場合と併せて結果を図

3.12

及び

3.13

に示す。また,各ソフトダクトユニットの 形状と寸法を図

3.14

に示す。

0.5

オクターブシフトしたソフトダクトユニットを組み合わせた場合の周波数特性は,低域 側と広域側がそれぞれ単独の場合に得られた周波数特性と一致しており,帯域幅としては単独 に配列した場合の効果を足し合わせたものが得られていることがわかる。なお,単独に配置し

(13)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

0 0.5 1 1.5 2

Insertion Loss [dB]

normalized frequency f0 = 125Hz

f0 = 177Hz f0 = 250Hz f0 = 354Hz

3.11:

設計周波数の波長に対してダクトの幅を

1/5

波長,音響管の幅を

1/6

波長として

3

本配列した場合(横軸を各設計周波数で基準化)

た場合に効果がクロスオーバーする付近の周波数では,それぞれの効果を足し合わせた大きさ の効果が得られている。そこで,組み合わせるソフトダクトユニットの設計周波数シフト幅を

0.5

オクターブより拡げた場合について,クロスオーバー周波数付近で同様の傾向となるのか を確認するため,

354Hz

から

2/3

オクターブシフトさせた

223Hz

5/6

オクターブシフトさせ

199Hz

1

オクターブシフトさせた

177Hz

の設計周波数としたソフトダクトユニット,及び

それら各々のユニットと

354Hz

のものを組み合わせた場合について計算した。結果を図

3.15

3.17

に示す。

シフト幅

2/3

及び

5/6

オクターブのソフトダクトを組み合わせた場合では,シフト幅を

0.5

オクターブとした場合と同様,それぞれ単独に配置した場合に効果がクロスオーバーする周波 数付近において,各々の効果を足しあわせた効果が得られた。また,シフト幅が

1

オクターブ となる図

3.17

の場合は,単独で配置した場合に効果が得られる周波数範囲が互いに重なってい ないため,その周波数帯域では組み合わせた場合に減音効果が得られていない。なお,シフト 幅を

0.5

オクターブ以上拡げた場合は,いずれもクロスオーバー付近で得られる効果が

30dB

未 満となっており,連続した周波数範囲で

30dB

以上の結果は得られなかった。

これまでの結果より,ソフトダクトを構成する各寸法を設計周波数の波長に応じて一定の比 率となるように変化させることで,一定以上の効果を連続した周波数帯域で得るために組み合

(14)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=125Hz f0=177Hz f0=177Hz + f0=125Hz

3.12:

設計周波数

125Hz

177Hz

のソフトダクトユニットを組み合わ せた場合

わせる音響管設計周波数のシフト幅が概ね明示的に得られると言える。

(15)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=250Hz f0=354Hz f0=354Hz + f0=250Hz

3.13:

設計周波数

250Hz

354Hz

のソフトダクトユニットを組み合わ せた場合

*\*\

*\*\

Z Z

Z

Z

3.14:

異なる設計周波数のソフトダクトユニットを組み合わせた形状

(16)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=223Hz f0=354Hz f0=354Hz + f0=223Hz

3.15:

異なる設計周波数のソフトダクトユニットを組み合わせ場合の周

波数特性:設計周波数

354Hz

223Hz

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=199Hz f0=354Hz f0=354Hz + f0=199Hz

3.16:

異なる設計周波数のソフトダクトユニットを組み合わせ場合の周

波数特性:設計周波数

354Hz

199Hz

(17)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

f0=177Hz f0=354Hz f0=354z + f0=177Hz

3.17:

異なる設計周波数のソフトダクトユニットを組み合わせ場合の周

波数特性:設計周波数

354Hz

177Hz

(18)

ある程度の減音量を広帯域で得るという観点においては,同じ設計周波数の音響管を複数配 列するよりも音響管設計周波数を

1

本ずつシフトさせた方が有利になる場合も想定される。例 えば,音響管の配列長を変化させた図

3.7

では,

15dB

以上の効果が得られる帯域幅は

3

本配列 の

0.70

オクターブに対して,

1

本配列した場合は

0.25

オクターブであるため,設計周波数を

1

本毎に

0.25

オクターブ幅シフトさせた場合

0.75

オクターブ幅で

30dB

以上の効果が得られる可 能性も考えられる。このように,設計周波数を

1

本毎に連続的に変化させることで,より効率 的にソフトダクトユニットの広帯域化が実現されることが期待される。そこで,配列する音響 管の設計周波数を連続的に変化させたソフトダクトの広帯域化について検討する。

ここでは,音響管設計周波数の上限を

354Hz

,音響管配列数

6

本を固定の条件とする。前節 の結果より,設計周波数のシフト幅が少なくとも全体で

1/2

オクターブであれば,設計周波数 範囲内の連続した周波数で

30dB

以上の効果を得ることが期待できる。配列数

6

本の音響管に ついて,設計周波数を連続的に変化させて全体で

1/2

オクターブシフトさせるためには,

6

本 の音響管設計周波数を

1/10

オクターブずつシフトさせればよい。更に,

30dB

以上の効果が得 られる周波数帯域拡大について検討するため,

1/10

オクターブシフトに加え,

1/7, 1/5, 1/4, 1/3

オクターブシフトさせた場合について併せて計算を行った。音響管設計周波数シフト幅ご とのユニット形状と設計周波数範囲は図

3.19

に示す通りである。計算結果を図

3.18

に,

30dB

以上の効果が得られた周波数帯域を表

3.2

に示す。

結果より,ユニット全体での設計周波数シフト幅が

0.5

オクターブを超える場合でも,連続し た周波数で

30dB

以上の効果が得られることがわかった。ただし,設計周波数のシフト幅拡大 に従って帯域幅は拡がるが,シフト幅を

1/3

オクターブまで拡げてしまうと,それぞれの音響 管で得られる効果がうまくクロスオーバーしないことに起因すると思われる周波数特性の変動 が顕著になり,連続した周波数で

30dB

以上の効果が得られる帯域幅は逆に狭くなってしまう。

更に,設計周波数の波長に対するダクト幅と効果の関係について見るため,ダクト幅を設計 周波数の波長に対して

1/4, 1/3, 1/2

波長と変化させて

30dB

以上の効果が得られる帯域幅を設 計周波数のシフト幅ごとに求めた。

3.2:

音響管設計周波数シフト幅による

30dB

以上の効果が得られる周 波数帯域幅の違い

設計周波数シフト幅

[oct.] 1/10 1/7 1/5 1/4 1/3

周波数範囲

[Hz] 236

413 212

397 172

391 148

373 163

315

帯域幅

[oct.] 0.81 0.91 1.18 1.33 0.95

(19)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/10 shift 1/7 shift 1/5 shift 1/4 shift 1/3 shift

3.18: 6

本配列した音響管の設計周波数を連続シフトさせたソフトダク

トユニットの周波数特性(ダクト幅

1/5

波長)

ダクト幅を設計周波数の

1/4, 1/3, 1/2

波長とした場合について,これまでと同様に設計周 波数シフト幅を

1/10

1/3

オクターブと変化させて計算を行った結果を図

3.20

3.22

に示す。

なお,図の見やすさを優先するため,設計周波数のシフト幅を大きくして設計周波数範囲内で

30dB

以上の効果が連続して得られなくなった場合,それを超えたシフト幅のものについては データを掲載していない。

これらの結果より,同じ設計周波数シフト幅で比較した場合,ダクト幅が広くなるのに伴っ て得られる効果の大きさと

30dB

以上の効果が連続して得られる帯域がともに小さくなってい ることがわかる。ダクト幅が

1/5

波長の場合は,シフト幅を

1/4

オクターブまで拡げてもおお よそ設計周波数範囲で連続して

30dB

以上の効果が得られていたのに対し,ダクト幅が

1/3

1/4

波長ではシフト幅

1/5

オクターブまで,ダクト幅が

1/2

波長ではシフト幅

1/7

オクターブ までしか連続して

30dB

以上の効果が得られなくなっている。

なお,ダクト幅が

1/5

波長の場合,図

3.7

より配列数

1

本では

15dB

以上の効果が得られる 帯域幅は

0.25

オクターブ幅であった。このことから,

1

本毎に

1/4

オクターブずつ設計周波数 をシフトさせたソフトダクトとした場合,クロスオーバー周波数では互いの減音量が足し合わ されて

30dB

の減音量が得られることになると思われたが,実際には図

3.18

のように

40dB

も しくはそれ以上の効果が得られている。また,ダクト幅が

1/3

波長の場合についても,図

3.8

(20)

Design frequency change width 1/10 oct.

(Design frequency 250Hz 㨪 354Hz)

Design frequency change width 1/7 oct.

(Design frequency 216Hz 㨪 354Hz)

Design frequency change width 1/5 oct.

(Design frequency 177Hz 㨪 354Hz)

Design frequency change width 1/4 oct.

(Design frequency 149Hz 㨪 354Hz)

Design frequency change width 1/3 oct.

(Design frequency 111Hz 㨪 354Hz)

192192192 192192

272 316 385 457 611

1026

1118

1208

1381

3.19: 6

本配列した音響管の設計周波数を連続シフトさせたソフトダク

トユニットの形状と設計周波数の範囲

(21)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/10 shift 1/7 shift 1/5 shift 1/4 shift

3.20: 6

本配列した音響管の設計周波数を連続シフトさせたソフトダク

トユニットの周波数特性(ダクト幅

1/4

波長)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/10 shift 1/7 shift 1/5 shift 1/4 shift

3.21: 6

本配列した音響管の設計周波数を連続シフトさせたソフトダク

トユニットの周波数特性(ダクト幅

1/3

波長)

(22)

-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10

63 125 250 500

Insertion Loss [dB]

frequency [Hz]

1/10 shift 1/7 shift 1/5 shift

3.22: 6

本配列した音響管の設計周波数を連続シフトさせたソフトダク

トユニットの周波数特性(ダクト幅

1/2

波長)

から配列数

1

本とした際に

15dB

以上の効果が得られる帯域幅は

1/7

オクターブ幅であったが,

ダクト幅を

1/3

波長とした場合に設計周波数を連続的にシフトさせた図

3.21

の結果では,設計 周波数のシフト幅を

1/5

オクターブとしてもクロスオーバー周波数付近で

40dB

以上の効果が 得られている。これらのことから,広帯域化のためには隣り合う音響管の設計周波数を連続的 に変化させる方が有利であると言える。なお,このような結果が得られる理由としては,隣り 合う音響管の設計周波数と開口面が近接することによる何らかの相乗効果が得られていること が予想されるが,明確な根拠を見出すまでには至らなかった。

次に,連続して

30dB

以上効果の得られる帯域幅について,ダクト幅が

1/5

波長の場合の結 果と併せて表

3.3

に示す。なお,括弧内の数字は,設計周波数シフト幅を大きくした際に連続 して

30dB

以上の効果が得られずに帯域幅が逆に縮小した場合の結果であることを示す。

このように,ダクト幅を

1/3

波長程度まで広くとっても,設計周波数を連続して変化させる ことで約

1

オクターブ幅にわたって

30dB

以上の効果が得られることがわかる。ここで,

30dB

以上の効果が連続して得られる帯域幅が,設計周波数のシフト幅とは比例の関係に,ダクト幅 とは反比例の関係にあることから,ダクト幅の逆数にシフト幅を掛けた数値を

x

軸として表

3.3

の帯域幅を

y

軸にプロットしたものを図

3.23

に示す。

(23)

3.3:

異なるダクト幅と音響管設計周波数シフト幅の組み合わせによる

30dB

以上の効果が得られる周波数帯域幅

設計周波数シフト幅

[oct.] 1/10 1/7 1/5 1/4 1/3

ダクト幅

1/5

波長の場合の帯域幅

[oct.] 0.81 0.91 1.18 1.33 (0.95)

ダクト幅

1/4

波長の場合の帯域幅

[oct.] 0.69 0.84 1.07 (0.94) -

ダクト幅

1/3

波長の場合の帯域幅

[oct.] 0.54 0.72 0.98 (0.33) -

ダクト幅

1/2

波長の場合の帯域幅

[oct.] 0.32 0.56 (0.35) - -

y = 0.897x + 0.303

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

oct. (y)

Duct width/shift width

3.23:

ダクト幅の逆数とシフト幅を掛けた指標と

30dB

以上の効果が得

られる帯域幅の関係

このプロットに対して

0.96

という高い相関係数となる以下の回帰直線を得ることが出来た。

y = 0.897x + 0.303 (3.1)

このように,ダクト幅の逆数にシフト幅を掛けた単純な数値に対して帯域幅を得る指標ではあ

るが,式

(3.1)

は得られる効果の目安をつけるには十分なものであると思われる。このような指

標は,境界要素法など複雑な計算をする必要がないという意味において,有用なものであると 考えられる。

また,音響管の設計周波数範囲内で連続して

30dB

以上の効果を得るという観点において,許 容される最大設計周波数シフト幅はダクトの幅が広いほど狭くしなければならない。

30dB

以上 の効果が連続して得られる帯域幅が最大となる設計周波数シフト幅とダクト幅を掛け合わせた

(24)

な値となる。これは,音響管の寸法を設計周波数の波長に対して同じ比率とすれば,設計周波 数を変えても同様の効果が得られることから,設計周波数を変化させた際の設計指針として一 つの目安になるものと考えられる。

最適な音響管配列形状としては,騒音制御という観点からは設計周波数に対する各ダクト幅 で最大の帯域幅が得られる設計周波数シフト幅ということになる。しかし,注意しなければな らないのは,得られる最大の帯域幅はダクト幅が狭いほど広くなるが,空気調和の観点からダ クト幅が制限される場合があるということである。また,より低周波数域へ拡大しソフトダク トユニットが大きくなるような大きな設計周波数シフト幅は,ダクトスペースの観点から制限 される場合もある。従って,音響性能だけでなく,空気調和やダクトスペースなどいった総合 的な観点から最適な形状を選定する必要がある。

なお,ダクト幅についても設計周波数に応じて連続的に変化させることで,ダクトの形状は いわゆるホーン形状に近い形となるが,このような形状の変化は空気の流れに対する抵抗を低 減させるものであり,ダクトの開口端など空気の流れが急激に変化するような場所で有効に機 能することが期待される。

ここまでの検討により,ソフトダクトの広帯域化検討として,配列する音響管の設計周波数 を連続的に変化させる方法について提案し,その効果について確認した。特定の周波数で大き な減音量を必要としなければ,隣り合う音響管の設計周波数を連続的に変化させることにより,

制御対象周波数の

1

波長程度の配列長で

1

オクターブを超える帯域幅で

30dB

以上の効果が得 られることがわかった。

図 3.23: ダクト幅の逆数とシフト幅を掛けた指標と 30dB 以上の効果が得 られる帯域幅の関係 このプロットに対して 0.96 という高い相関係数となる以下の回帰直線を得ることが出来た。 y = 0.897x + 0.303 (3.1) このように,ダクト幅の逆数にシフト幅を掛けた単純な数値に対して帯域幅を得る指標ではあ るが,式 (3.1) は得られる効果の目安をつけるには十分なものであると思われる。このような指 標は,境界要素法など複雑な計算をする必要がないという意味において,有用なものであると

参照

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