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(1)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課 題 : 動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞か

著者 藤井 数馬

雑誌名 主流

号 71

ページ 61‑85

発行年 2009‑11‑10

権利 同志社大学英文学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015235

(2)

61 

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題

一 動 詞 に 続 く か た ち と し て の 不 定 調 と 動 名 調 か ら 一

藤 井 数 馬

.本稿の目的

現行の学習指導要領の目標である実践的コミュニケーション能力は,英文 法の教え込みだけや,英会話や英作文等のアウトプットの活動だけでは養成 できないことは自明である授業の目的や流れに応じて適切なインプット を与えていき,それをインテイクに導くことがアウトプットする能力,つま り実践的コミュニケーション能力につながっていくと考えられる.そのイン テイクを促すためには,英語学習の折に,学習者自ら「なるほどそうか」と 気づき納得し肺に落ちる感覚を得ることが学習者にとって大切で、はないだ ろうか.そういった「分かった」という感覚を得ることが,学習内容が身に つくために重要な役割を果たし,その感覚を得て学習事項の本質を理解でき る学習者は,自ら応用をきかせたアウトプットもできるようになると筆者は 考えている 2

本稿では,筆者の勤務する高等専門学校(以下,高専)の

2

年生に対して 行った,動調の後に続くかたちが不定詞か動名詞かという文法分野に対する 説明の仕方を変えた場合,確認問題としての小テストを通して,両者の結果 に差が出たかどうかを考察する.なお,説明の仕方としては,以下の

2

通り を実施した.すなわち,動調の後に続くかたちが不定詞の場合と動名詞の場 合の意味上の共通項(以下,コア3)を意識させた場合と,そのような意味 上のコアを意識させず,

r

どの動詞に不定詞と動名詞のいずれが後続するか」

について,あくまで形式的な観点から説明をした場合の,教授の仕方の差に

(3)

6 2  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

よってその結果や定着に差が生じるかを実験した結果を示しそこからいく つかの可能性や課題の考察を試みたい.

2

圃先行研究

コアを意識させた教授法の研究や授業実践報告など,いくつかの研究がこ れまで提出されている.たとえば,田中・佐藤・阿部

( 2 0 0 6 )

や,田中

( 2 0 0 6

2 0 0 8 )

は,従来,学校で教えられている文法で,不備な点としてしばしば指 摘されてきた使用可能性

( u s a b i l i t y )

や学習可能性(l

e a r n a b i l i t y )

を高め る代替として,新しい健全な教育英文法の構築を目指しており語棄に文法的 な要素を求めるレキシカル・グラマーを提唱しそこではコアを活かした教 育が重要な役割を果たすという考えを示している.また,実際にコアという 用語は出していないものの,大西

( 2 0 0 3 )

や大西・マクベイ

( 1 9 9 7

1 9 9 8 )  

なども,言語の形式的・規範的な側面を意識させすぎる教授法を批判し,単 語や文法のコアを絵や図で示すなどして,意味に迫った説明の根拠のある「分 かりやすい

J

教育法を示している.またこれら研究の流れは,その新しい視 点を取り入れた英和辞典4の編纂や,テレビ放映5というかたちでも広がり を見せている.さらに,これら意味を明示的に扱った新しい視点からの教授 法を,認知言語学からの視点というかたちで銘打って,認知言語学の視点、を 英語教育に取り入れる方法論や考え方を示した上野・森山・福森・李

( 2 0 0 6 )

や,上野

( 2 0 0 7 )

,潰田

( 2 0 0 4 )

も出され,主にイメージスキーマやネットワー ク化を意識させた教授法が提案されている.

こういった新しい視点を取り入れた教授法やその理念に関する研究は増え てきているが,大切なのはそういった教授法や理念が実際の英語教育現場で どのような役割を果たしどういった結果を導くのかを考察し,精査してい くことである. しかし,実際の中学生や高校生を相手に現場での実践報告例 は筆者の知る限り,それほど多くない.いくつか挙げると,岸本

( 2 0 0 7 a ‑ f )

は,

(4)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から

6 3  

公立中学校において,認知文法を理論的拠り所とし,それぞれの名調の使用 状況に応じたイメージスキーマを導入し,名詞の加算・不可算や冠詞の説明 をした実践した効果について報告している.また小島

( 2 0 0 6 )

は,大学生に 対して,語義学習において,語の「コア・ミーニング」をヒントとして与え ることは,

r

語の抽象的な意味

J

を与えるよりも問題の語の意味の推測の正 確さや語義の保持において効果があったことを報告している.

lmai ( 2 0 0 7 )  

は,大学生に対して,英語のイディオムに日本語の定義に加え,認知言語学 の視点を組み込んだ説明を加えたグループは,その説明なしで定義のみ与え たグループよりもイディオムの習得に効果があったと論じている.これら新 しい視点を加えた教授による授業実践報告は出始めてはいるが,実践報告の 研究蓄積はまだ少なく,またその研究も筆者の知る限り,多義語やイディオ ム,冠詞の習得に関するものが中心であり 提案されている方法論について 教育実践として広域に今後研究を積み上げていく必要がある.

本稿では,これら先行研究にはない文法項目として,動調に続くかたちが 不定詞か動名調かという分野を選んだ。なお,今回行った実験において,不 定詞・動名詞のコアの概念自体は認知言語学的な視点というよりも,以前よ

り言語学や英語教育において主張されていたことであるため,本稿において は,認知言語学からの視点、という言葉は用いず,コアを意識させた教授法と,

意味の違いにふれず形式面からの説明に終始した教授法の対立において,動 詞に後続する形としての不定調と動名詞の習得の点でどのような違いが生

じ,そこからどのような示唆が得られるのかを示すことを目的とする.

3 .

実験内容

3 .  

1.  目的

日本人英語学習者が,動詞の後に続くかたちが不定詞であるのか,動名調 であるのかが,不定調,動名詞それぞれのコアを与えたグループと与えない

(5)

6 4  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

グループにおいて,推測の正確さと定着において差があるのかを検証する.

今回の不定詞,動名調のコアとは,簡潔に言えば,不定詞は未来志向のニュ アンスを持ち,動名詞は現在志向のニュアンスを持つということであり,そ れを

1

つのグループの学生には提示した.

3.  2 参加者

高専2年生(高校2年生と同学年)の機械工学科(以下A組)41名,電 子制御工学科(以下

B

組)44名,物質工学科(以下

C

組)43名を対象.な お1学年終了時に受けた

ACE

(英語コミュニケーション能力試験:900点 満点;語柔150点満点,文法150点満点,読解300点満点,聴解300点満点) では

.A

組平均は467.8点,

B

組平均は484.7点,

C

組平均は493.5点であっ た.

ACE

のうち,今回の実験に一番関係してくる文法のパート(150点満点) の平均は, A組77点, B組78点, C組80.7点、であり,一部関係してくる 語 糞 の パ ー ト (150点満点)の平均は, A組77.5点, B組77.7点, C組 77.5点であった.いずれの分野も有意水準を 5%とした両側検定の t検定を かけたところ,三者の聞でいずれの分野も有意な差は見られなかった(表

1

参照).7

総合点 (900点) 語 葉 (150点) 文 法 (150点)

3 .   3 .  

材 料

1

:各組の

ACE

平均点および標準偏差

学習者の習得レベルに合わせ,授業で使用している教科書

r F o r e s t j

(石 黒昭博監修,桐原書庖)で動名詞を目的とする動詞,不定調を目的とする動詞,

(6)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と謀題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から‑65 

および目的語が動名詞と不定詞で意味が異なる他動調の中(合計

3 2

個)か ら

1 2

( e n j o

,y

p r o m i s e

, 

d e c i d e

, 

f i n i s h

, 

q u i t

, 

manage

, 

i m a g i n e

, 

mind

, 

a d m i t

, 

r e f u s e

, 

f o r g e t

, 

remember)

を無作為にピックアップしこれら動詞の後ろ

に不定詞が来るのか動名詞が来るのか

l

1

点,

2

択選択のテスト形式で行っ た.これらのうち,

f o r g e t

, 

remember

2

語のみはそれらが使われている 文脈の中の意味関係によって,どちらが続くかを判断しなければならないが,

意味的側面を考慮しなければならないこれらの動詞の場合,他の形式的に判 断できる動詞群との聞で,正答率や定着において示唆的な差が生じるかを考 察するためである.

3 .   4 .

テスト

上記の

1 2

個の単語には不定詞が続くか,動名調が続くかを

2

択で選ばせ る

1 2

点満点の小テストを

3

回行った.なお,

3

固とも同じテストを実施し,

動調の意味が分からない学生がいると思われる,

p r o m i s e

, 

q u i t

, 

manage

, 

mind

, 

a d m i t

, 

r e f u s e

や,難しいと思われる名調には日本語で意味を注に添 えた(付録参照).これは,単語の意味が分からないために不定調・動名詞 のうちどちらが続くか分からないという事態を回避するためである.テスト で、使った英文はどれも一文に限った

1

回目のテスト(事前テスト)…授業で導入や説明を一切与えず行ったテ スト.説明前の定着状況を把握する目的のもの.

2

回目のテスト(直後テスト)…事前テスト後,不定詞と動名調の違いに ついて, A組に対しては意味の違いの説明を介さず,形式的・規範的な 説明のみを行い,その後教科書を聞かせ覚えさせる時聞をとった

.B

組,

C

組に対しては不定詞と動名詞の意味的な共通項(コア)を説明し,そ の後教科書を聞かせ,そのイメージを持ちながら覚えさせる時間をとっ た.その後行ったテスト.教授法の違いにより,事前テストから結果に

どのような変化があるかをはかる目的のもの.

(7)

66 コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

③3回目のテスト(遅延テスト)…直後テストの2週間後に行った.1回目,

2回目と同じテストを行うことにより,それぞれの動調に続くかたちをど の程度保持しているかを確認する目的のもの.

3.  5. 手)11頁

1

回目のテスト(事前テスト)は予め何の説明もなく行った.その後丸つ けはせずそのまま回収した.試験時間は

5

分間とった.

②目的語としてとる動詞が不定詞か動名詞かについて,

A組…意味の面にはふれずに形式的観点からの説明により,動詞のあとに 続くかたちとして不定詞と動名調を教えた.なお,教える際に用例で使用 した動詞はstart,want, quit, forgetである.これらは,後続する形として,

不定調・動名調両方後続できるもの,不定調のみ後続できるもの,動名詞 のみ後続できるもの,および不定詞・動名調どちらが後続するかは文脈に 応じて判断しなければならないものの4種類から無作為に一つずつ選んだ ものである.テストの中でこの4つの動調のうち quitとforgetを選ん だのは,実際に両グループに異なった説明を施した動詞の場合,説明で用 いなかった他の動詞との解釈上の違いが出るかを考察するためであり,

startは不定詞・動名調とも後続するので今回のテストに適さないため,

またwantの後続するかたちは不定調であることは,今回の実験の参加者 の多くが,元より理解していることであると判断し,テスト材料にする意 義は少ないと判断したためテストに含まなかった.説明の後は,教科書 rForestJのpp.198~ 202を聞かせ覚えさせる時間をとったその際,小 テストの問題だけ取り出して覚えることを防ぐために,再度小テストを行 うことは学生に伝えていない.説明と覚えさせる時間を合計

7

分間に調整 した.これは,覚えさせる時間として最低

3

分間確保し説明に要する時 間が 3~4 分であると判断したためである 8

B組・C組…A組同様, start, want, quit, forgetを使って,不定詞と動名

(8)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から

6 7  

調の意味的な違いをそのコアにふれながら説明した.これら動詞を説明に 選んだ理由および,これら動詞の一部をテストに入れた理由は上述のとお りである.その後教科書を聞かせ意味の違いを考えながら覚えさせる時間 をとった.説明と覚えさせる時間は

A

組同じ理由で

7

分になるように調 節した

. A

組同様,小テストの問題だけ取り出して覚えることを防ぐため に,その後また小テストを行うことは学生にイ云えていない.

2

回目のテスト(直後テスト)を行った.丸つけも行い,その後回収した.

④直後テストから

2

週間後,それぞれのクラスで

3

回目のテスト(遅延テス ト)を行った.

4 .

分析方法

。事前テスト,直後テスト,遅延テストともに

1

1

点の

1 2

点満点で採点 した.

・実験の対象である

3

組を,今回の実験の目的である説明の仕方の違いとい う点に応じて,グループ1 (A組のみにおよびグループ 2 (B組, C組) の

2

者に分けて考察を行った.

‑両者聞における,事前テスト,直後テスト,遅延テストの結果を t検定に より平均に有意な差があるかを調べた.また,動調別の平均点(正答率) をt検定により分析し

3

回行ったテストにおいて両グループ聞で有意差 の現れた語とそうで、なかった語,および,同一グループ内での事前テスト,

直後テスト,遅延テストの

3

回のテスト回数別による定着状況の変化を分 析 し た

. 2

択問題という今回のテストの特質上,分からなくても勘で正解する可能 性もあるO その割合がどのくらいあるかを探るために,各グループにおい て,事前テストで正解していたが,直後テスト,あるいは遅延テストで不 正解となっている割合を動調別に調べた.これにより,例えば,グループ

(9)

6 8  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から

全体としての正答率が高く,テスト回数別での正答率の差が少なくても,

事前テストは正解でも直後テストあるいは遅延テストで不正解の割合が高 ければ,それはすなわち正解者の構成員の多数が違うことになり,定着状 況や偶然の正解者の状況を推察することができる.

5 .

結 果

5 .   1 .

総合点の成績

それぞれのクラスの事前テストの平均点は表2に,直後テストの平均点は 表

3

に,遅延テストの平均点は表

4

に示しであるとおりである.

事前テスト

直後テスト│

遅延テスト

グループ

1(N=4

1)  M 

7 . 3 9  

SD 

1.

5 8  

2

:事前テストの結果

グループ

1(N=4

1)  M 

SD  8 . 2 2  

1.

9 6  

3:

直後テストの結果

グループ

1( N = 4 1 )  

SD  7 . 7 8  

1.

6 2  

4:

遅延テストの結果

グループ

2( N = 8 7 )  

7

.4

SD 

1.6 

グループ

2( N = 8 7 )  

SD  9 . 3 4  

1.1

グループ

2( N = 8 7 )  

SD  8 . 6 7  

1.

事前テストにおいて,グループ

1

とグループ

2

の両者の聞での平均点はほと

(10)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から‑ 69 

んど差はなく.t検定を行ったところ,統計上有意な差はなかった.しかし 直後テストおよび遅延テストにおいて, 両者の間では統計上有意にグループ 2がグループlよりも良い成績になった この3回のテスト結果をグラフで 表すと, 以下のグラフ Iのようになる.

グル日プ別平均点推移

i i i  /4FYIR 一二 二 ;

1 2回目 3回目

グラフ

1

5.  2.  テスト別の動調成績(グループ間対比)

次に動詞の個別の結果を見ていきたい.3図のテストで用いた動詞別の成 績をグループ1. グループ2の2グループに分けて結果を示したい(両者の 聞で正答率から導いた平均点において有意差があった動詞は網掛けで示して いる). 

事前テスト

enJoy  promlse  decide  nish qlllt  manage lmagme  nd ait refuse  forget  remember  正解率 90.24 70.73  78.05  78.05  53.66  63.41 60.98  29.27 68.29  60.98  31.71  51.22 

(即加pj)

正解率 92.13  76.4  85.39  77.53  58.43 60.67  55.06  40.45 23.6  56.18  44.94  52.28  (group2) 

表5:動調別の正答率(事前テスト)

(11)

7 0  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動認に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

‑ークル〕プl

‑・ーグル「プ 2 動詞jJrj成績(事前テスト〉

︿ 求

) M骨縮財

グラフ

2

グラフ2を見て分かるとおり,事前テストでは,

グループ2の動調別正解率は概ね似ていることが読み取 グループl 表

5

および,

の動調別正解率と,

両者の間 れる.両者で正答率から平均点を出し.t検定で測定したところ,

admit 1つだけであった.動詞 で、正答率の違いが統計上有意だ、った動調は,

グループ

1

の方がグループ

2

よりも有 admitに限り,事前テストにおいて,

その他で.10%以上の正答率がある動調を見てみる 意に平均点が高かった

mindでグループ2の方がグループ1より 10.98%高く.forgetでグルー この理由として考えられるのは,

と,

プ1よりもグループ2の方が13.23%高い

本校の2年生の教育課程において,英語の授業は筆者の担当する授業だけで これまでの学習経験が そこでの担当教員が違うことや,

なくもう

1

つあり,

影響している可能性を挙げられる.

次に直後テストの動詞別の正答率の結果をグループごとに,表

6

およびグ ラフ

3

に表したい.

(12)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題動認に続くかたちとしての不定詞と動名詞から一 71 

直後ァスト

enJoy    finish 今:q必 manage ale mind  adit re白田 remember  正解事 90.24  65.85  73.17  92.68  68.3  63.41 63.41 43.9  78.05  73.17  46.34  63.41  (groupO 

(2.0

‑4.88  ‑4.88  14.63  14.64 

2.43  1463 976  1219 14.63  12.19  正解率 98.85  91.95  89.66  96.55  95.4  66.67  47.12  58.62  83.91  55.17  79.31  70.11  (group2l 

差(2‑0 4.6  13.79  2.3  17.24  35.63  4.6  ‑9.2  17.24  59.77  ‑23 33.33  16.09 

‑‑‑ーグループ1

・唖ークループ2

6 :

動詞別の正答率(直後テスト)

︿ ) 綿

グラフ

3

直後テストの結果からは,事前テストと比べると,両グループ聞に正答率の ぱらつきが大きくなったことが見て取れる 両グループのそれぞれの動調の グループ2がグループ1 正答率から平均点を出し, t検定をかけたところ,

d e c i d e

, 

q u i t

, 

f o r g e t

4

つ であり,逆にグループ

l

がグループ

2

よりも有意によかった動詞はなかった.

よりも統計上有意によかったのは

p r o m i s e

また,事前テストで有意にグループ

1

の成績がよかった

a d m i t

はこの直後 テストにおいて有意差がないどころかグループ

2

の方が高い正答率を得た.

グループ

2

においてすべての動詞の正答率が事前テストよりも上 た だ し

(13)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー 72 

refuseにお 回ったわけではなく imagineにおいて正答率は9.2%低 下 し

いて2.3%低下していることも銘じておきたい.授業者の説明の仕方の違い はもちろん,両者の結果は動詞によって大きく異なることを示す結果になっ た.

次に遅延テストの結果を示したい.

遅延テスト

eoy promlse  decide  fini

quit  manage 1血姥me nd aI fuse rgetmember

正解事 100  87.8  82.93  80.49  63.41 53.66  63.41 51.22  53.66  48.78  39.02  53.66  (groupl) 

(3.1 9.76  17.07  4.88  2.44  9.75  ‑9.75  2.43 21.95 14.63 ‑12.2  7.31  2.44  正解宰 97.7  83.91  91.95  88.51  82.76  54.02  43.68  42.7  72.42 63.22  74.71  71.26  (伊u凶)

(3心 3.45  5.75  4.59  9.2  22.99  ‑8.05  ‑12.64  1.32 48.28  5.75  28.73  17.24 

7 :

動詞別の正答率(遅延テスト)

‑ ‑ グ ル 〕 プ1

4ト・グルーフ。2 動詞別成績〈遅延テスト〉

(

M宵帥叩同

グラフ 4

事前テスト,直後テストと同様,両者の正答率から平均点を出し, t検定 グループ

2

がグループ をかけたところ,表

7

およびグラフ

4

が示すように,

(14)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー 73 

l

よりも統計上有意によかったのは.

q u i t .   a d m i t .   f o r g e t

3

つで,グルー プ lがグループ

2

よりも統計上有意によかったのは.

imagine1

つであった.

また,文脈から後続するかたちを判断しなければならない

remember

の正 答率も有意差はないものの,グループ聞の正答率において17.6%の差があっ たことも注意すべきことである.

3

回のテストにおいて,両グループ聞で正 答率において有意差があった動詞を,下記の表にまとめてみる.

事前テスト 直後テスト 遅延テスト グループ

1>

グループ

2 admit 

なし

lmagme 

グループ

2 >

グループlなし

promise

, 

d e c i d e

, 

q u i t

, 

admit

, 

q u i t

, 

f o r g e t   f o r g e t  

8:

両グループ聞の正答率の比較において有意差のあった動調群

説明で用いた

q u i t . f o r g e t

いずれも事後テスト,遅延テストともにコアを 意識させて教えた方が成績がよかったことから,特に教授者が正しいイメー ジづけを学習者に行うことができれば機械的な暗記よりも,動調の後に続く かたちとしての不定詞と動名調の教授において,より高い定着を期待するこ とができるといっていいだろう.また.1回目のテストでは有意にグループ

1

の方が成績がよかった

admit

は事後テストではグループ

2

の方が成績がよ くなり,この遅延テストにいたってはグループ2の方が有意に成績がよかっ たのも注目に値する.逆に,グループ

2

において

imagine

は事前テストよ り直後テスト,直後テストよりも遅延テストと}II買を追っていくごとに成績が 落ち,遅延テストでは成績に有意差が出たことから,コアを意識させた教授 の場合,最初の正しいイメージづけができればその定着が期待できる一方,

各学習者が最初に誤ったイメージづけをしてしまうと,それが少なくとも 2 週間程度は悪い影響を与えてしまう可能性も窺える結果となった

(15)

74 コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

5.  3.同一グループ内での動詞成績 (テス ト回数別の対比)

前節ではグループ1とグループ2の2者の聞で成績を比較したが,本節で は,同一グループ内での試験の回数別の成績の推移を示したい.試験別の成 績の変化を見ることで,教授法による定着度合いの様子を把握するためであ

る.

10 90  80  3 7 0  

60 50

40 30  2

回数別成績〈グループ1)

dyy

ず グ

3VJ 〉ヤば〆也

.< 

<

グラフ5

ー+ー1回目

‑ ー

2回目

.t. 3回目

グラフ

5

は.グループ

l

において.

3

回のテストの正答率を回数別に示し ている.グループ1では.1回目と2回目の動詞別の正答率の傾向が.2回 目の方が全体に成績がいいという以外にあまり違いがみられない.実際,動 調ごとの正答率を平均点で表し t検定をかけても.1回目と 2回目の成績で 有意差がみられた動詞はない.つまりは,授業者の説明があまり影響を及ぼ さなかったことが読み取れる.3回目になると.1回目・2回目と少しグラ フの形が変わってくる.

1

回目と比較して

. 3

回目の方が有意に成績がよかっ た動詞は.mind 1つである(表9参照).逆に.3回目の方が1回目より有 意に成績が悪かった動調はないが.admitやrefuseの正答率は大きく落ち ている.

次に,グループ2の結果を見てみたい 下のグラフ6は,グループ2にお

(16)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題 詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から 75 

ける.3回のテストの正答率を試験回数別に示したものである.

E

4D 

40

30  20 

回 数 別 成績 ( グループ 2)

//ンミ

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グラフ6

‑ ー

骨 骨 ・12回白回自

国 企 ・3回目

このグラフ

6

が示すように,グループ

2

では,全般に,回数別による動 調ごとの差がグループ

1

よりも顕著にでている.すなわち,説明で用いた quit, forgetは.2回目はもちろん3回目でも l回目よりかなり高い正答率 があること,他にpromisefinish,admitも2回目 3回目で高い正答率 がみられる.逆にimagineではl回目より も2回目.3回目の方が低く,

manageも3回目では1回目よりも低い正答率になっている.統計的に見る と.1回目より 2回目の成績が有意によくなっているのは.promise, finish,  quit, mind, admit, forget, rememberの7個であり,グループ1のl伺とは 大きく異なる結果となった.またl回目と 3回目の成績を加え.3回目の方 が有意に成績がいいのは.quit, admit, forget, rememberの4個であり,グ ループlのO個とは異なる結果であった (表9参照).た だ し グ ル ー プ2 において imagineのように回数を追うごとに成績が悪くなっている動調も あることは銘記しておくべきだろう.

(17)

76 コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

1回目<2回目 1回目>2回目 1回目<3回目 1回目>3回目

グループ1なし なし mind  なし

promise, finish, なし quit, admit,  なし グループ2quit, mind,  forget, 

admit, forget,  remember  remember 

9:

各グループ内のテスト回数別の正答率において有意差のあった動調群

また全体的に見て,グループ

1

1

回目と

2

回目のテスト成績の傾向が似 通っていたのに対し,グループ

2

では,

2

回目と

3

回目の成績が似通っている.

ここから読み取れることは,コアを意識させた教授法が学習者に,成績の良 し悪しに関わらず,より強く影響を与え,それは遅延テストでも引き継がれ ているということと,意味を介さない形式的な教授法では学習者の直後の成 績においても強い影響を与えなかったことである.

5 .   4 .

動詞別不正解率(定着状況)

今回のテストは

2

択の問題形式のため,分からなくてもたまたま(勘で) 正解することも十分にあり得る.直後テスト,遅延テストにおいてたまたま 連続で正解したとしても,それは定着したことにはつながらない.今回のテ ストの形式上,たまたま正解した可能性を分析しきることは不可能だが,多 くの側面から結果を分析することにより,なるべく正確な分析としたい.そ こで本節では,グループ1.グループ

2

それぞれ

3

回のテストの回数別にお ける各動調の不正解率を示したい.たまたま正解ということが多く起こって いれば,正答者がそっくり入れ替わるという可能性を除けば,動詞別の不正 解率も大きく変わってくるだろう.

また今回の教育の目的は,事前テストよりも,何らかの説明があることで,

事後テスト,遅延テストの成績がよくなることである.1回目のテストで正 解でも

2

回目および

3

回目のテストでは不正解ということがあれば,それは

(18)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から 77 

定着したとは言えないことになる.つまり,

1

回目は正解していたが

2

回目 は不正解あるいは,

3

回目は不正解ということはなるべく少数であってほし いわけである.ここでは,

1

回目のテストでは正解していたが

2

回目は不正 解あるいは,

1

回目は正解していたが

3

回目は不正解といった学習者の割合 を動調ごとにまとめてみたい.下のグラフ7は, 1回目の事前テストでは正 解していたが,

2

回目の直後テストでは不正解となった動詞別の割合を,グ ループ聞で比較したものである.

70  60  50  ef40 

~O 30  20 10 

動詞別不正解率 (1回目 O2回目x)

ろ 〆 LJYJ/

ぜ ひ グ

〆 JY 〆 γ ;

~-

グ、ラフ

7

ーやーグループ 1

4ト罰グループ♀

グラフ

7

を見て顕著なところを分析してみると グループ

1

において,

回目のテストでは正解していたものの,

2

回目のテストでは不正解だった

d e c i d e

の割合は

48.75%

にも上る.しかしながら,グラフ

5

でみた時には,

グループ全体としての正答率は,

1

回目正答率

78%

2

回日正答率

73%

と 大差なく,比較的高い正答率だ、った.この観点から分析すると,グループ1 においては

2

回目の正解者の構成員の多くは

I

回目の正解者と異なる可能性 が強く,この点において,グループ全体において安定して定着したというよ りは偶然同じような結果になったと導くべきだろう.またグループ

1

にお ける

f o r g e t

に関しては,

1

回目は正解だったが

2

回目は不正解だった割合は

(19)

7 8  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から

6

1.

54%

にも上り,グループ全体(グラフ

5 )

では,

1

回目正答率

32%

2

回 目正答率

46%

であったこれは,全体の正答率が低いため,不正解者の割 合が高いのは当然であるが,

1

回目は正解でも

2

回目で不正解となった学習 者の割合が

61%

にも上ることから,文脈から

f o r g e t

の後に続くかたちが不 定詞か動名詞かについて判断できるという定着は見られなかったと結論付け てもよいだろう.

一方,グループ

2

では,

1

回目は正解だったが

2

回目は不正解という動詞 で顕著なのは,

r e f u s e ( 4 6  % 

 ,)

imagine ( 4 4 . 9  % 

 ,)

manage ( 3 3 . 3 3  % 

)といっ たところである.これらはしかしグラフ

6

を見ると,

1

回目の成績と

2

目の成績でほとんど変わらないあるいは

2

回目が下回った動詞群であり,か つ正答率も

50%

前後のものであって,グラフ

7

の結果は予測できるものと 言えるだろう.

次に,

1

回目のテストは正解だ、ったが,

3

回目の遅延テストで、は不正解だ、っ た学習者の割合を動調別にまとめてみたい.グループ

1

で特に目立つのは,

r e f u s e   ( 4 8 % )

, 

admit  ( 4 6

.4%)であり,これらは半数近くに当たる数値で ある.それを示したのがグラフ

8

である.

動詞jjrJ不正解率 (1回目O3回目x)

ぷ〆以〆心ヤ

<r 

0 /

P

ぷメパペ〆

4F

グラフ

8

ー ‑ グ ル ー プ1

・唖ーグループ2

(20)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動認に続くかたちとしての不定詞と動名詞から一

7 9  

これら動詞のグループ全体の正答率も

r e f u s e 1

回目

6 1

%→

3

回目

49%

admit 1

回目

70%

3

回目

54%

と下がっていて,なお且つ正答率自体も 高いとは言えないため,予測できる結果であると言って差し支えないだろ

う 一 方 グ ル 」 プ

2

で顕著なのは,

manage ( 4 6

%), 

i m a g i n e   ( 5 5

.1 

%) 

, 

mind ( 4 4

.4%)である.ただしこれら動詞のグループ全体の正答率も

manage 1

回目

62%

5 4

%, 

i m a g i n e  1

回目

56%

3

回目

43%

mind 1

41%

3

回目

44%

と低いものも多く,正答率も下がっているものもある ため,このグループにおいても予測できる結果であると言って差し支えない だろう.

6

圃 ま と め と 考 察

5

節で示した結果より,以下の考察が得られる.

①総合点の成績を示したグラフ

1

より,総合点の成績結果が,グル」プ

1

よ りもグループ

2

の方が,事後テスト,遅延テストともに統計的に有意によ かったことから,高専

2

年生において,不定調と動名調のコアを意識させ て教授した方が,意味を明示せず形式的な説明により教えるよりも,動詞 の後ろに続くかたちが不定調か動名詞かの定着において効果がある可能性 が示唆された

②動詞別の成績をグループ聞で比較したグラフ 2~4 より,事前テストでは グループ

2

の方がグループ

1

よりもその成績において統計上有意な差が あった動詞がなかったが,教授法の違いにより直後テストでは 4つの動詞 が,遅延テストにおいてその

4

つの動詞のうち

3

つの動詞がグループ

2

の 方がグループ

1

よりも成績が有意によくなった.また,それら動詞のうち 2つは授業中の説明に用いられたものであった.一方,遅延テストにおい ては,事前テストで両グループ問で有意な差がなかった

i m a g i n e

の成績 がグループ

1

の方が有意によかった.このことは,不定調と動名詞のコア

(21)

8 0  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

を意識させて教授することにより,そのコアをもとに動詞のイメージ化が 進み,特に説明で用い正しくイメージ化が図れた動詞では形式的な文法教 授よりも高い定着の可能性を示唆した. しかしすべての動詞において高い 定着がはかれたわけで、はなかった.このことは,誤ったイメージ化をして しまったために誤った定着を促進させてしまったのか,新しい知識を獲得 するに当たり,以前できていたことが一時的にできなくなってしまったの かについては,今後継続して研究していく必要がある.

③同一グループ内で,テストの回数別の成績を示したグラフ

5

6

より,グ ループ

I

では

I

回目と比較して

2

回目で正答率に有意差があった動詞はな

3

回目でも

1

つの動調に有意差があったのみだ、ったのに対し,グルー プ

2

では,

1

回目より

2

回目のテストの方が正答率で、有意に高かった動詞 は

7

つあり,

3

回目では

4

つであった.また,グループ

1

では全体に,

回目のテストと

2

回目のテストの結果が似ているのに対し,グループ

2

で は全体的に,

2

回目のテストと

3

回目のテスト結果が似かよっていた.こ のことは,コアを意識させた教授法の方が,意味を明示的に扱わない形式 的な教授法よりも学習者に影響を与え,動詞によっては,その後に続くか たちが不定調か動名詞かにおいて,かなり高い定着が図れる可能性がある ことを示唆した. しかしすべての動調において効果があったわけではない ため,その強い影響が誤ったイメージづけにならないように注意しなけれ ばならないことも同時に示唆された.

④事前テストで正解し直後テスト,遅延テストにおいて不正解であったも のを動詞別に表したグラフ

7

8

より,グループ

l

では,グループ全体で みればその正答率に大差なく,比較的高い正答率のものであっても, 1回 目のテストでは正解していたものの, 2回目・3回目のテストで不正解に なっている学習者の割合が高い動調があった.一方,グループ

2

では,

回目で正解していたものの,

2

回目

. 3

回目のテストで不正解になってい る学習者の割合が高い動調は,グループ全体の正解率も低い動詞に限られ

(22)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から‑81 

ていたこのことは,形式的観点からのみの教授法の場合,暗記に頼って しまう部分が大きいため,回数別に正解・不正解と分かれる学習者が多い 可能性が見られた.

7 .

今後の課題

今回行った実践から,コアを意識させて動詞の後に続くかたちが不定調か 動名調かを教授することが,学校丈法に則って形式的に教えることよりも,

高専

2

年生の学習者に大きな影響を与え,正しくイメージ化ができた動調に 関しては,高い定着率も期待できる可能性を示唆した.

しかしながら,同時にその課題も見えてきた.すなわち,コアを教えても そこから正しくイメージ化をはかつて具体事例を引き出す作業は,初見の学 習者には難しい点もある.コアを用いて正しいイメージづけを促す教員の補 助が必要であると感じられる.もちろん,そのためにはそれ相応の時間も要 求されるだろう.さらに多くの具体事例を与えてボトムアップ的にインプッ

トを促した教授法でなければならないのか,さらに精査が必要である.

いずれにしろ,このようなことが,中学校・高等学校の英語教育の現場 で,コアを含め広い意味で認知言語学の視点を取り入れた授業報告が少ない 理由にもなっているのだろう.すなわち,ゆとり教育の影響により授業時間 数が削減されている昨今,短時間で効率よく規則的に説明しなければ,特に 高等学校においては学習範囲を終えることは容易で、はない.また,意味の部 分に明示的にふれることによって かえって抽象的になりすぎて,特に初め ての文法事項学習時など,余計に分かりにくい説明になってしまう可能性や かえって悪影響を与えてしまう可能性もあることも授業実践が少ない例とし て挙げられるだろう.文法項目によっては規則的に教えた方が分かりやすく なる例も考えられ,それを,こういった意味を明示的に扱った観点から説明 することは現場教師としては非常にやりにくい.この教育方法の得意分野と

(23)

8 2  

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定認と動名詞から

苦手分野をよく見極めなくてはならないし得意分野であっても教師の説明 はできるだけ簡潔で分かりやすいものでなくてはならない.

また,私見ではあるが,中学生・高校生という初めて文法事項を学習して いく学習者に分かりやすく新しい視点を取り入れて教えていくことは,ひと 通り高校英文法まで学習した社会人に対して教えることよりも,より簡潔に 分かりやすい説明をしなければならないという点で非常に難しい.物事を抽 象的に考え処理する能力がまだ、備わっていない学習者に対し抽象的な説明 になってしまえば,かえって分かりにくく需につつまれたような印象を与え かねないだろう.またイメージを使うことが勘で答えることだと履き違えら れることも避けたい.

今回行った実験はほんの一部の資料にすぎない.また,コアを意識させる 教授方法は,今回扱った文法分野だけでなく,他の文法分野もこの教授方法 で意識させることで,それぞれの関連性を理解でき,ネットワーク化が進め ば,深い理解につながる可能性もある 9このような実践を積み重ねながら,

よりよい方法論を模索していく必要があるだろう.

付 録 (1) He enjoyed (to play / playing) tennis. 

(2) They promised not (to tell / telling) a lie.  *promis巴…約束する (3) He decided (to go / going) to the island by plane. 

(4) Did you iinish (to do / doing) your homework? 

(5) Whendid your father quit (to smoke / smoking)?  *quit...やめる (6) He managed (to find /nding)a taxI.  *manage'"どうにか する (7) 1 imagined (to surf / surfing) in Hawaii.  *imagine'"想像する

(8) That woman there minded (to open / opening) the window.  *mind"・いやがる (9) They finally admitted (to steal/ stealing) the jewel.  *jewel'"宝石 admit...認、

める

(同Thestudent refused (to take / taking) part in the contest.  *refuse'"拒否する,

拒む

制1forgot (to meet / meeting) her before, and 1 introduced myself again 

(24)

コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞から‑83 

(12) P1ease remember (to post / posting) this 1ettrwhen you go to school. 

1この流れを受けて現場では,コミュニカテイブ・ティーチング(Communicative  Language Teaching)が使われていることが多い.なお,この教授法の特徴としては,

①コミュニケーション能力の養成に直結する,②学習の初期の段階からコミュニ ケーション活動を行う,③文法の正確さよりも伝達の成果を重視する,じ

E

社会的に 適切な言語使用を呂指す,⑤結果よりも過程を重視する,⑥学習者中心で,教師も 伝達活動に参加する,⑦学習者の「自己表現能力Jが身につく,⑧協力的な活動によっ て,学習者の人間的な成長に寄与するということが挙げられる(田崎1995:257). 

2和泉 (2009:28)も, i気づき"(noticing)がインフ。ツトをインテイクに結び、つけ る役割を果たす」と述べている.

3ここでコアという用語の定義は,田中・佐藤・阿部 (2006)に基づく.田中・佐藤・

阿部 (2006:6‑9)では,コアを「 context‑free"あるいは context‑independentJ であり, i意味の円錐の頂点」としてとらえ, i用例の最大公約数的な意味であり,

語の意味範囲の全体(たとえばおぼろげな輪郭であったとしても)とらえる概念」

と定義している.田中らは,主として語の意味を想定してのコアという使い方をし ているが,それを本発表では文法項目に当てはめて使用したい.

4田中茂範らが編者になり,コアのイメージ図式を示したrE‑GATE英和辞典

J

がこ れに該当する。

NHK教育放送で以前放送されていた,大西泰斗およびポール・マクベイを講師に した「ハートで感じる英文法」や,回中茂範を講師にした rNHK新感覚大キーワー ドで英会話

J

などは,意味を明示的に扱い,説明の根拠を示した新しい視点を取り 入れた英語教育番組の代表例である

6これは,池上 (1991:221)などで言われていることだが,言語学の枠組を問わず以 前から主張されていることである

7た だ し 1年生から2年生に進級する際や2年生に進級してから,原級留置や進路 変更などにより,各クラス若干名 (1 名 ~4 名程度)の構成員の入れ替えがあった.

B この時間の設定で学習が起こる時間が確保できたかについては,今後の課題とし 追跡して調べる必要がある.

9山鳥 (2002:184)は,脳科学の知見から,安定した知識はネットワーク化したもの であると主張しており,これは認知言語学の知見とも一致するものである.

(25)

84 コアを意識させた授業実践から得られる可能性と課題一動詞に続くかたちとしての不定詞と動名詞からー

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東京:英宝社.

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f i

わかる

J

とはどういうことか』東京:ちくま新書.

参照

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