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日本学術会議の高校地理歴史科改革案について(1) : 「歴史基礎」の問題点および東アジアを媒介とし た世界史像

著者 中村 薫

雑誌名 同志社大学教職課程年報

号 2

ページ 18‑27

発行年 2013‑03‑31

権利 同志社大学教職課程年報編集委員会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000013580

(2)

はじめに

 小学校・中学校・高等学校における社会系教科の教育課程を他教科と比較 してみた場合、2つの点で大きく異なっていることがわかる。まず、小学校 と中学校について、社会科以外の教科では、学習指導要領の内容についてA、

B、Cなどの項立てが共通して示されていて、教科の内容が領域ごとに系統 性と発展性が明確に示されているのに対し、社会科では3・4年が地域学習、

5年が国土・産業学習、6年が歴史・政治・国際学習、中学校では地理・歴 史・公民という分野別構成を採っており、学年ごとの一貫性という見地が乏 しいことである(1)。次に、高等学校については、ほとんどの教科は前回の学 習指導要領と新学習指導要領で科目構成が変更されているのに対し、社会系 教科については1989年以降、全く変更されていない点である。

 後者については、2011年8月3日、日本学術会議が「新しい高校地理・歴 史教育の創造―グローバル化に対応した時空間認識の育成―」で、地理歴史 科に「歴史基礎」と「地理基礎」という新科目を設置することを提言してい る(2)。筆者は、提言をまとめる際のシンポジウムで、世界史の立場からコメ ントをさせていただき(3)、その後も地理歴史科の科目改革案に関心を抱いて A Proposal for Curriculum Reform on High school Geography and History at the Science Council of Japan  ―The Problems in “Basic History” and World History Image Through East Asia―

Kaoru Nakamura

研究ノート

日本学術会議の

高校地理歴史科改革案について(1)

―「歴史基礎」の問題点および東アジアを媒介とした世界史像―

中 村   薫

(奈良教育大学特任准教授/同志社大学嘱託講師)

(3)

いることもあり、今回この問題について私見を述べたい。

1.日本学術会議の歴史基礎の内容

 日本学術会議の「歴史基礎」案については3案あり、A案は「時系列型+

主題学習型」、B案は「近現代史集中型」、C案は「主題編成型」とされてお り、シンポジウムではA案の一端のみが示されたが、「提言」ではB案およ びC案の内容も記されている。

(1)A案(時系列型+主題学習型)

歴史へのいざない(2時間)

歴史の始まりと地域世界の形成(7+3時間)ローマ帝国、ササン朝ペルシア、唐まで 諸地域世界の交流と再編(7+3時間)ビザンツ帝国、イスラームの拡大、宋・元 諸地域世界の結合と変容(14+4時間)ルネサンス、イスラーム諸国、明から19世紀後

期まで

地球規模の歴史の展開(25+5時間)帝国主義から現在まで

という構成で、現行の学習指導要領世界史Bの内容を簡略化し、東アジア地 域を重視して、時系列で世界史の概観が示されるが、時代的には古代・中世・

近世(4)部分が多く(32時間)、内容的には日本史関係がかなり少ないように 思われる。

(2)B案(近現代史集中型)

導入(2時間)現代世界の諸問題 前近代の世界(9時間)18世紀末の世界

西洋によるグローバル化加速(6時間)18世紀後半と19世紀 非西洋地域の対応(7時間)19世紀

帝国主義の時代(11時間)19世紀末~20世紀初頭(第一次世界大戦まで)

世界的不安定の時代(11時間)20世紀初頭~20世紀中葉(第二次世界大戦まで)

東西冷戦・脱植民地化と経済発展(20時間)20世紀後半~現在

まとめ(4時間)人口・GDP・資源・環境、交通・通信と世界貿易、言語分布と文化 移転、政治統合

という構成で、18世紀末以降から現在までを概観し、その中で日本と近隣地 域が少しくわしく触れられるが、近代以前の時代がほとんど記述されていな

(4)

いということと、提言で言われている世界史Aと日本史Aの統合という点か らすると、日本史の内容がそれほど多くないように思われる。

(3)C案(主題編成型)

諸世界の成立(16時間)8つの地域世界(ヨーロッパ、西・南・東南・東アジア、北米、

中南米、アフリカ)

諸世界の統合過程(10時間)東西の海陸の交流(シルクロード~大交易時代~東インド 会社)

近代世界の成立(10時間)産業革命、資本主義、近代国民国家、植民地化 東アジア文明と日本文化(4時間)縄文時代~平安時代

日本の大交易の時代(6時間)平安後期~江戸時代初期 東アジア近代史の中の日本(13時間)江戸時代後期~現在

世界の一体化と地域統合、グローバリズムへの抵抗(3時間)ASEAN、EU、WTO 人類の課題(8時間)イスラム、環境、人権とジェンダー、市民運動

という構成で、地域世界の成立と統合過程および18世紀後半以降の歴史とい うのは、1989年学習指導要領時の世界史Aの内容に類似しており、それに日 本史的内容と現在の諸問題を加えた内容とみなすことができる。

2.「歴史基礎」の問題点について

(1)近現代史とはいつか

 「歴史基礎」では、近現代重視という考えが基調とされている。とはいえ、

近現代の定義が、A案では「ヨーロッパ世界の変容と拡大」という16世紀か らとなっているのに対し、B案では18世紀末以降となっており、別の時期を イメージされる方もおられるかと思う。

 こうした違いは、現在の歴史教育の状況からみると当然のことであり、た とえば、中学校社会の歴史的分野と高校日本史では19世紀半ばの開国以降を 近代としている。一方、高校世界史では、世界史についての最初の学習指導 要領が出された1951年版では、「近代社会」がルネサンス・宗教改革・地理 上の「発見」から始められており、1978年と1989年の学習指導要領で18世紀 後半以降を近代としたものの、1999年の学習指導要領では再び16世紀以降が 近代とされた。

(5)

 とはいえ、今回の学習指導要領では、16世紀から18世紀までの世界の一体 化への動きを「結びつく世界と近世の日本」、19世紀の世界の一体化を「ア ジア諸国の変貌と近代の日本」という項目で示しており、これまで「近代以 前」・「近代」・「現代」という世界史が発足した当初の3部構成を採り続けた 山川出版社の『詳説世界史』は、古代、中世、近世・近代、現代という4部 構成に変更している。一方、同じ山川出版社の『詳説日本史』は、古代、中 世、近世、近代・現代という4部構成であり、近世および近代の位置付けに は大きな隔たりがある。

 これまでの日本史と世界史が分離されていた状況では、時代区分およびそ の時代像について等閑視されてきたが、日本史を組み込んだ世界史を考えた 場合、時代区分とそれぞれの時代像を一致させる試みは必須のことと思われ る。

(2)教育課程の面から

 1999年の高等学校学習指導要領では、保健体育科以外には共通必履修科目 を置く教科はなかった。しかし、2009年の学習指導要領では、新たに国語・

数学・外国語という「学習の基盤であり、広い意味での言語を活用する能力 とも言うべき力を高める」教科で共通必履修科目を置くことになり、地理歴 史は公民・理科とともに、「知識・技能の定着やそれらを活用する学習活動 を重視する教科」と位置付けられ、「現行どおり、選択必履修」(5)とされた。

共通必履修科目とされ、すべての高校生が学ぶ科目となった国語総合・数学

Ⅰ・コミュニケーション英語Ⅰは4もしくは3単位で、いずれも2単位まで 減可(6)とされている。

 このような現状の下、次期学習指導要領で必修科目をめざす「歴史基礎」

にとって、まず地理歴史科で共通必履修科目をもつ根拠、および2科目4単 位という他の教科にない大きな必修単位を持つことの意義についての説明が 求められよう。

3.東アジア諸国の歴史教育について

 「歴史基礎」は近現代史と東アジアを重視した科目としてマス=メディア からも注目されている(7)。そこで、重視されている東アジア諸国において、

(6)

中等教育でどのように歴史教育が位置付けられているかを以下で検討したい。

(1)日本における歴史学習の現状

 現在、小・中・高等学校で行われている歴史教育は、小学校3・4年の地 域の人々の生活で先人の具体的事例、6年では人物と文化遺産を中心とした 歴史学習、中学校では日本の歴史を中心として関連する世界の歴史、高等学 校では近現代を中心とした世界史Aおよび通史を中心とした世界史Bから1 科目、近現代を中心とした日本史Aおよび通史を中心とした日本史B、さら に地理Aおよび地理Bの4科目から1科目を選択することになっている。

 こうした教育課程の下で、高等学校では日本史もしくは地理を全く学ばな い生徒、世界史の中でもAだと一部しか学ばない生徒がかなりいるわけで、

地理歴史科における改革が必要であるという日本学術会議の提言は、十分検 討に値するものといえる(8)

(2)中国の歴史教育

 中国での歴史教育の教育課程については、初級中学(日本の中学校)では 1・2年で「中国歴史」、3年で「世界歴史」を学び、高級中学(日本の高 等学校)では必修科目の「中国近代現代史」と選択科目の「世界近代現代史」

と「中国古代史」を学ぶことになっていた(9)

 しかし21世紀に入って、中国での教育課程改革の動きはめざましいものが あり、小学校・初級中学については「義務教育課程設置実験方案」と「課程 標準」、高級中学については「普通高中課程方案(実験)」と「課程標準」が 示された。それによると、初級中学では「歴史と社会」という新教科が設置 され、高級中学では必修課程として中国と世界(主にヨーロッパ)の出来事 を政治的・経済的・文化的内容に分けて重要な内容を学ぶこととなり、選択 課程として生徒の歴史的視野を開拓し個性の発展を促進するものとして6つ の学習ブロックが設定された(10)

(3)韓国の歴史教育

 韓国の教育課程では、2007年に中等学校で歴史が独立科目とされ、中学校 では社会科が「歴史」(韓国史+世界史)と「社会」(地理+一般社会)の2 科目で構成されることとなった。歴史は前近代史中心の韓国史の通史と世界 史からなり、時間数は2学年では2:1、3学年では1:1となっており、

科目としては統合されたが、「内容の統合は実現されていない」状態という。「歴

(7)

史」の内容としては、韓国史関係では9つの単元のうち7つが前近代で、世 界史関係では世界史の全体的な流れと各地域世界の動向を6つの単元で構成 されている(11)

 高等学校では、1学年の「歴史」で韓国近現代史を中心に世界史的内容と 関連しながら学習するようになり、時間数は3時間とされた。とはいえ、韓 国史と世界史の連関はむずかしいようで、実際には韓国近現代史を中心に学 ぶ構成となっており、世界史の内容は貧弱であるといわれている。1学年で はさらに、地理と一般社会で構成された「社会」という科目が3時間配当さ れ、社会系科目の必修時間は6時間となっている。2・3学年では、3時間 の「韓国文化史」「世界歴史の理解」「東アジア史」という3科目が選択科目 として設けられた。「世界歴史の理解」では、重要な要素を主題ごとに選定 しながら年代史的に構成され、8つの単元のうち3つで近現代が扱われてい る。「東アジア史」では、6つの時代区分がなされ、時代ごとに3~5の主 題により構成されている(12)

表 東アジアを媒介として日本史を組み込んだ近現代中心の世界史(案)

世界近現代史 世界史 東アジア史 中国 朝鮮 日本

1760~1880

産業革命による ヨーロッパの強 大化

産業革命、イギ リスの繁栄

ヨーロッパのア ジアへの進出

欧米列強のアジ ア進出への対応

アヘン戦争、ア ロー戦争

江華島事件、日 朝修好条規

ペリー来航、日 米和親条約、日 米修好通商条約

1780~1890 国民国家の形成

フランス革命、

イタリア・ドイ ツの統一

アメリカ合衆国 の発展

東アジア近代化 の動き

太平天国、洋務 運動

壬午軍乱、甲申 政変

明治維新、国境 画定、大日本帝 国憲法

1870~1914 帝国主義の進展

第 2 次 産 業 革 命、アフリカ・

太平洋の分割

列強の世界政策 東アジア諸国の 激変

変法運動、義和 団事件、辛亥革 命、中華民国

甲午農民戦争、

韓国併合、義兵 闘争

日清戦争、日露 戦争、日韓協約

1914~29 第一次世界大戦 第 一 次 世 界 大 戦、ロシア革命

ヴェルサイユ・

ワシントン体制

東アジアの民衆 運動

五・四運動、中 国国民党・共産 党の結成、北伐

三・一独立運動

二 十 一 カ 条 要 求、米騒動、護 憲運動

1929~39 世界恐慌

ニューディール 政策、ブロック 経済

ファシズムの台

日本の大陸侵略

国民党と共産党 の対立、西安事 件、国共合作

日本語の強要

軍部の台頭、満 州事変、日中戦 1939~45 第二次世界大戦 ヨーロッパの戦

大戦の終結 アジア・太平洋

戦争 戦時下の中国 戦時下の朝鮮 太平洋戦争

1945~60 冷戦の発生 東西両陣営の対

アジア諸国の独 立、第三世界の 台頭

冷戦の始まり

中華人民共和国 の成立、ソ連と の友好関係

朝 鮮 半 島 の 分 裂、朝鮮戦争

日本国憲法の制 定、サンフラン シスコ講和会議

1960~73 世界の多極化 平和共存の動き アメリカの改革 とベトナム戦争

日本の経済復興 と中国の動揺

文化大革命、中 ソ国境紛争、日 中共同声明

開発独裁、日韓 基本条約

高度経済成長、

沖縄返還

1973~89 デタントから新 冷戦へ

欧米の新保守主

東ヨーロッパで の社会主義の解

途上国の工業化 と東アジアの国 交正常化

日中平和友好条 約、四つの現代 化、天安門事件

光州事件、軍事 政権

石油危機、世界 第二の経済大国

1989~

冷戦の終結とグ ロ ー バ リ ゼ ー ション

地域統合の動き 超大国アメリカ と世界

東アジア諸国の 経済発展と民主

中韓国交回復、

改革・開放路線 の進展、香港返 還、経済成長

韓国・北朝鮮の 同時国連加盟、

文 民 大 統 領、

FTAの推進

自衛隊の海外派 遣、55年体制の 崩壊、深刻化す る不況

(8)

4.近現代を中心とした「歴史基礎」案について

 以上みてきたように、中国や韓国では高等学校段階の1学年で近現代を中 心とした歴史教育が行われてきた。筆者は日本学術会議のシンポジウムで、「歴 史基礎」については19世紀後半から始めることが望ましいという考えを示し た。その理由は、生徒が生きている現在までを教えるべきという立場から、

通常の教員の教え方では19世紀後半から始めないと今の時代まで教えきれな いと考えたからである。とはいえ、すべての地域を万遍なく教えるのではな く、学術会議の提言にあるように、「東アジア地域」という場を重視して改 めて考えた時、東アジアを媒介として日本史を組み込んだ近現代中心の世界 史について、前ページの表のような見取り図を提示したいと思う。

 ここでは、現在につながる視点として、産業革命により資本主義が出現し、

フランス革命以後国民国家という新しい国家が登場したという見地から18世 紀後半以降を取り上げることとし、そうした世界的な影響を受けた東アジア 諸国(とりわけ日本)がどのような対応を行ったかを10の時代順に概観して いる。世界・東アジア・日本・地域という構図(13)は、大阪大学の研究者が提 示し昨今注目されているグローバル、リージョナル、ナショナル、ローカル という「四層構造」(14)にあてはまり、これにより、提言で指摘されている日 本史と世界史の分離が解消され、世界史の中に日本史が明確に位置付けられ ると考える。表のそれぞれの時期について、世界史的内容に2時間、東アジ アの出来事に1時間、日本史的内容に歴史的思考力を問う質問の時間も含め て2時間、さらにそれぞれの時期の地域的内容に1時間、を標準としている。

 また通史学習のあとに、「現代世界の諸課題」として、「宗教」「民族」「環 境」「経済」「国際関係」といった観点から歴史的事象を取り上げ、それぞれ 課題探究学習を行うようにしたいと考えている。

おわりに

 以上、「歴史基礎」の問題点を整理し、ついで東アジア諸国の歴史につい ての教育課程を検討して、東アジアを媒介として日本史を組み込んだ近現代 中心の世界史についての試案を提示したわけだが、その問題点について最後

(9)

に触れたい。

 以上の試案については、それまでの時代が無視されて、歴史が近現代から いきなり始まるため授業展開がむずかしいということと、18世紀後半から始 めているためヨーロッパ中心史観の復活ではないかという指摘がなされるか もしれない(15)。前者の点については、韓国やかつての中国では、中学校段階 で自国史や世界史について学んでおり、その上で高等学校1年生段階におい て近現代史を必修科目としていた。それに対し、日本では中学校で自国史中 心の学習を行い、世界の歴史については自国史と関連する事項を中心にして いるため、世界史についてほとんど学ばない状態で高等学校の歴史教育を学 ぶことになる。したがって、試案の前提としては、中学校で世界史的内容を 充実させることが必要であろうし、そうでなければ通史的内容を重視してい るA案についての具体案の作成を本格的に進めなければならないと思われる。

その際には、後者で指摘されたヨーロッパ中心史観を排した世界史像を構築 する必要があり、次回はこうした問題について考えていきたい。

 北俊夫「小学校社会科『内容』再編の動き」『混迷の時代! “社会科”

はどこへ向かえばよいのか』明治図書、2011年、187頁。

 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t130-2.pdfで、提 言の内容が示されている。

 中村薫「日本学術会議における地理歴史科の科目改革案について―高校 教員へのアンケートを中心に―」『学術の動向』2011年9月号、36~39頁。

 ここでは、近代と異なる時代区分として近世という時代区分を設け、そ の時期を16世紀から18世紀までとし、近代を18世紀後半以降とする。ち なみに、世界史の学習指導要領では、古代・中世・近代・現代という用 語は使われているが、近世という語はほとんど使用されていない。しか し、1947年の東洋史編で近世を15世紀末からとし、西洋史編では近世前 期を16世紀初頭から18世紀まで、近世後期を18世紀末から19世紀末に至 る時期としていた(『学習指導要領東洋史編(試案)』、中等学校教科書 株式会社、1947年、41頁)(『学習指導要領西洋史編(試案)』、中等学校 教科書株式会社、1947年、24・31頁)。

(10)

 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/_

_icsFiles/afieldfile/2009/05/12/1216828_1.pdfで、中央教育審議会の 答申の内容が示されている。なおここでは、地理歴史科は現行通りの科 目選択とするが、「地理歴史に関する総合的な科目の設置については、

具体的な教育内容の在り方等について今後更に検討する必要があると考 える」としている。

 文部科学省『高等学校学習指導要領解説―総則編―』東山書房、2009年、

40~41頁。

 2012年10月8日の朝日新聞、11月25日の日本経済新聞の社説で「歴史基 礎」が取り上げられ、前者は「歴史教育 世界の中の日本を学ぶ」、後 者は「『近現代』軸に開かれた歴史教育を」という見出しで、いずれも 肯定的な評価がなされている。

 日本学術会議の改革案についての意見を同志社大学で「教育課程論」を 受講している学生に求めたところ、日本史もしくは地理を選択しなかっ たことを残念に思っている学生がかなりおり、そうした学生の改革案へ の支持は多かった。

 茨木智志「歴史教科書にみる日中の相互認識」『国境を越える歴史認識

―日中対話の試み―』東京大学出版会、2006年、236頁および西村克仁

『日本は中国でどう教えられているのか』平凡社新書、2007年、36~37 頁。

 森茂岳雄「現代中国の教育課程改革と新しい社会系教科の構造と特色」

『中国の教育課程改革と新しい教科書―歴史教科書を中心に―(最終報 告)』2006年、教科書研究センター、41~45頁。

 権五鉉「韓国社会科教育課程の改訂と歴史教育の改革―歴史科目の独立 と『東アジア史』の新設―」全国社会科教育学会『社会科研究』第69号、

2008年、52・54頁。

 前掲稿、53~59頁。

 試案では地域が欠けているが、この点については「地域から考える世界 史」というプロジェクトが行われており、それぞれの地域の教員の自主 的な教材開発に期待している。また、歴史的思考力を培う発問について も次回の検討課題としたい。

(11)

 秋田茂・桃木至朗編『歴史学のフロンティア―地域から問い直す国民国 家史観―』大阪大学出版会、2008年、10~11頁。なおこの点について、

『ジュニア版日本の歴史 国際社会と日本』の著者である大門正克も、

4つの視点の重要性を指摘している。(戸川点・大門正克「グローバル 化の時代における歴史教育の対話」『歴史評論』2012年9月号、14頁)

 1999年の学習指導要領では、それまでの18世紀後半以降を近現代史とと らえる見方をヨーロッパ中心とみなし、近代の起点を大航海時代が始ま る16世紀に引き上げた。(原田智仁他編『高等学校学習指導要領の展開 地理歴史科編』明治図書、2000年、19・65頁)

(2013年2月4日査読済)

参照

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