静電気学会誌,42, 2(2018)102
賛 助 会 員 紹 介
1
.はじめに
弊社は 1955年に設立され,当時は計測器,無
線機関係の修理などを主な業務としていた.弊
社における静電気との関係は設立翌年の電圧印
加式静電気除去装置を開発したことに始まる.
この静電気除去装置の販売先はほとんどが印刷
関係であった.当時の印刷は活版印刷が主だっ
たが,この頃から印刷した紙同士が吸着してし
まうなどの静電気に起因したトラブルが発生し
ていた.このトラブルは静電気除去装置を取り
付けることで,解決できていたようである.1960年後半か
ら 1970年代になると印刷方式もグラビア印刷に移行して
いき,それに伴い防爆雰囲気で使用できる除電器への要
望が増えてきた.この当時,防爆指針が制定されたことも
あり,防爆型静電気除去装置の開発を行った.この製品
は除電器として国内で最初の防爆検定合格品となった.
印刷業界以外においても,1990年代に入ると静電気に
よる火花放電が着火源となった火災が多く発生し大きな
社会問題となった.この対策として労働省産業安全研究
所から「交流電圧印加式除電器の防爆構造,性能及び試
験方法の静電気用品構造基準」が施行された.弊社でも
この基準に基づき防爆型交流電圧印加式除電器を開発し
た.この防爆型交流電圧印加式除電器は価格が最初に開
発した防爆型静電気除去装置と比較すると安価であった
ため,フィルムの塗工工程など危険雰囲気のある製造現
場で多く普及している.
防爆製品以外においても,1990年代後半くらいから,
高性能な除電を求められることが多くなってきた.この
要求を解決するために,高密度除電システムを開発した.
これは次項で説明させて頂く.
2
.高密度除電システム
図 1 にフィルムを除電した後に静電気で吸着するトナー
を塗布し除電状態を可視化した様子を示す.(a)が通常
の除電器によって除電したものであり,(b)が高密度除
電システムによる除電を行ったものである.右の高密度除
電システムを用いて除電を行うとほぼトナーが付着してい
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ないため,除電が行えていることが確認できる.一方,左
のフィルムは多くのトナーが付着していて除電不足である
ように見える.しかし,両方のフィルムとも静電電位計で
測定を行うとほぼ 0 V が計測される.左のフィルムも+に
帯電した部分と-に帯電した部分がほぼ等量付着してい
るためであると考えられる1)
.一般的に除電は+のイオン
と-のイオンを帯電物体によって生成される電気力線にそ
って移動し帯電物体に吸着することで除電を行う.しかし,
帯電物体上に+と-に帯電した部分が近接してある場合,
この+と-の部分で電気力線が閉じてしまい,除電用のイ
オンが吸着しにくくなり,除電できない箇所が多く発生し
てしまう.このような状態で次工程に進むと例えばコーテ
ィン工程だと斑が発生する.また,フィルム同士が吸着す
るなど様々なトラブルが発生する.そこで,高密度除電シ
ステムでは初めに特殊な交流式除電気を用いて1)
,図 2 に
示すようにフィルムを初めに縞模様上に帯電させる.この
ように局所的には片極に帯電しているような状態になるた
め,その後に除電を行うと効果的な除電を行うことができ,
図 1 (b)に示したような除電を行うことができる.図 1 の
右のような状態に除電を行うことができれば,その後の工
程での静電気トラブルは防ぐことができる.
3
.まとめ
上述したように,弊社ではお客様からのニーズに合わ
せて製品を開発してきており,今後もお客様からのニー
ズを伺いながら,静電気に起因するトラブルを解決して
いく製品を提供していければよいと考えている.
(最上智史)
参考文献
1) 田畠泰幸,児玉 勉,野村信雄,八木新治,小川国義,
岡村善次,鈴木輝夫 : 静電気学会講演論文集 `95,p215
図 1 トナー塗布による帯電模様
(a) 通常の除電 (b) 高密度除電システム
図 2 高密度除電中の
帯電模様