電波望遠鏡に用いる高性能受信機光学系の開発
著者
木村 公洋
内容記述
学位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪
府立大学), 学位の種類: 博士(理学), 学位記番号:
論理第77号, 学位授与年月日: 2009-06-30, 指導教
員: 小川 英夫.
2009
2009
2009
2009年学位論文
年学位論文
年学位論文
年学位論文
電波望遠鏡
電波望遠鏡
電波望遠鏡
電波望遠鏡に
に
に用
に
用
用
用いる
いる
いる
いる高性能受信機光学系
高性能受信機光学系の
高性能受信機光学系
高性能受信機光学系
の
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開発
開発
開発
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high
high
high-
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-performance
performance
performance
performance optical
optical
optical
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system
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systems
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for radio
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for radio
telescope)
telescope)
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telescope)
大阪府立大学 大学院理学系研究科 物質科学専攻 固体物性分野
博士後期課程 3036320524 木村 公洋
目次
・・・1
1 序章
・・・3
1-1 電波天文学と観測機器
1-2 電波望遠鏡の構成
1-3 電波望遠鏡の性能
1-4 光学系の設計手法
1-5 ミリ波を用いた星形成の観測
2 野辺山 45m 電波望遠鏡搭載 100GHz 帯両偏波サイド
バンド分離帯受信機の開発
・・・11
2-1 45m 望遠鏡搭載 100GHz 帯受信機の目的
2-2 両偏波サイドバンド分離受信機の構成
2-3 ガウス光学手法を用いた光学系の設計
2-4 物理光学手法を用いた光学系の評価
2-5 光学素子の開発
2-6 搭載試験および観測
3 ALMA Band4 受信機の開発
・・・36
3-1 ALMA の目的
3-2 カートリッジ型受信機光学系の設計
3-3 コルゲートホーンの機械切削技術の開発
3-4 受信機のデザイン
4 VERA 搭載メタノールメーザー用 6.7GHz 帯受信機の
開発
・・・56
4-1 VERA 搭載メタノールメーザー用 6.7GHz 帯受信機開発の目的
4-2 光学系の検討
4-3 受信機の概要
4-4 デュアルモードホーンの開発
4-5 6.7GHz 帯受信機のアンテナ搭載試験
4-6 22GHz 帯受信機への影響測定
4-6 4 モードホーンの開発
5 VSOP-2 オフセットカセグレンアンテナの光学系
開発
・・・85
5-1 VSOP-2 の目的
5-2 電波天文衛星(ASTRO-G)の概要
5-3 ASTRO-G オフセットカセグレン望遠鏡の光学系開発
5-4 軌道上での ASTRO-G 光学系の考察
6 まとめ
・・・116
6-1 野辺山 45m 電波望遠鏡用 100GHz 帯受信機光学系の開発
6-2 ALMA Band4 受信機の開発
6-3 VERA 搭載メタノールメーザー用 6.7GHz 帯受信機の開発
6-4 VSOP-2 オフセットカセグレンアンテナの光学系開発
謝辞
・・・118
引用文献
・・・119
序
序
序
序章
章
章
章
1-1 天文学と望遠鏡
天文学の起源は古い。ストーンヘンジ遺跡(英国)やカルナック列石(フランス)といった 遺跡は、石の円環と一列に並べられて石からなっている観測装置であり、日の出や日没を 日々観測することで、一年間の季節を追いかける目的があったと考えられている。西暦 120 年にはプトレマイオスが「アルマゲスト」全 13 巻を完成し、「天動説」をうち立てた。こ れに対して、「地動説」が 1543 年にコペルニクスの「天球の回転について」によって提唱 された。そして、1620 年にガリレオが人類で初めて天体望遠鏡を製作し、天体の運動を詳 細に観測し、地動説が証明された。このように天文学の進歩には、その時々の最新観測装 置が関わってきた。 ガリレオが製作した望遠鏡は、対物レンズに凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを用いた ガリレオ式望遠鏡と呼ばれる。その後、レンズより製作および取り扱いが容易な反射鏡を もちいた反射望遠鏡がニュートンにより開発されたことで、巨大な望遠鏡の製作が可能と なった。近年になり、宇宙には、可視光だけでなく、電波から X 線、γ線にいたるまでの 全ての波長の電磁波やいろいろな粒子が飛び交っていることがわかってきた。従来の光学 望遠鏡では、可視光とわずかな赤外線までしか観測することができない。近年、星は分子 雲と呼ばれるガスと塵からなる希薄な星間物質中で生まれる事が明らかとなりつつある。 しかし、可視領域だと、分子雲が極低温のため、観測ができないという問題があった。し かし、この星間物質内においても、様々な分子が作られることがわかっており、それぞれ の分子から放射される分子輝線には電波領域の電磁波が存在し、電波による観測が重要に なる。星の誕生や、宇宙の謎をときあかすためには、多くの波長域での観測が重要になっ てくる。電波天文学もその天文学の一つの分野である。1-2 電波望遠鏡の構成
電波望遠鏡とは、宇宙から伝達する微弱な信号を観測するための装置である。観測目的 により、様々な形態があるが、近年では、主鏡、副鏡からなるカセグレン方式が主流とな っている(図 1-1)。カセグレン望遠鏡の主鏡は、放物面鏡であり、宇宙から伝達する平面波 を放物面焦点に等しい光路長で集光する。次に、その主鏡で集光された信号は双曲面鏡を用いて反射、集光される。双曲面は、二つの焦点を持ち、焦点に向かって進む光線は双曲 面で反射され、もう片方の焦点で集光される。この放物面鏡と双曲面鏡を組み合わせるこ とで、コンパクトに宇宙からの信号を集光することが可能となる(図 1-2)。しかし、このカ セグレン方式では、副鏡が主鏡と宇宙との間に存在するため、天体からの信号を遮断して しまう。そこで、主鏡放物面鏡の中心軸上を使用せずに、中心からオフセットさせた位置 のみを使用するオフセットカセグレン方式もある。VSOP-2 は、オフセットカセグレン方式 を採用している。 カセグレン方式で集光された信号は受信機へ導く必要がある。しかし、小型望遠鏡だと カセグレン焦点位置には受信機を配置する空間が無い場合が多い。また、巨大望遠鏡だと 複数の受信機が一つの望遠鏡に搭載される事が多い。その為、大抵の電波望遠鏡はカセグ レン焦点に集光された信号を金属鏡などを用いて伝送し、受信機室などに設置された受信 機へと給電する。このビーム伝送路のことを光学系という。大きな意味では、カセグレン 系である主鏡、副鏡も含めて光学系であるが、主鏡副鏡はアンテナ系で、それ以降のビー ム伝送系を光学系と呼ぶことが多い。一般的には、光学系で集光された信号は、フィード ホーンと呼ばれる開口アンテナによって、自由空間モードから導波管モードへと給電され 受信機へと導かれる。 ミリ波帯においては、直接増幅できる性能の良い増幅機が存在しないため、ヘテロダイ ン方式が用いられる。ヘテロダイン方式とは、受信信号と人工の局部発信信号を超伝導ミ クサでミキシングし、生成された差分周波数成分である中間周波数信号に変換する方法で ある。ミリ波帯では一般的に、中間周波数信号として数 GHz 帯にミクサで周波数変換され、 低雑音増幅機で増幅される。増幅された中間周波数信号は、さらに扱いやすい周波数、強 度へと周波数変換および増幅を繰り返され、分光器に導かれ、計算機で取得される。図 1-3 に望遠鏡構成の模式図を示す。
1-3 電波望遠鏡の性能
電波望遠鏡が求められる性能には、機械的性能と電気的性能に大別される。機械的性能 とは、望遠鏡が指示された方向に精度良く向いているかどうかの指向性能や、天体を精度 良く追尾出来るかどうかの追尾性能、またアンテナの駆動速度などが上げられる。次に電 気的性能について説明する。電気的性能で重要なのが、「集光力」と「分解能」である。集 光力とは、どれだけ天体からの信号(電力)を多く集められるかを表したものである。ア ンテナの規格化されたビームパターンを、極座標を用いてPν(θ、φ)とすると、このアン テナがある電波源 Iν(θ、φ)から受けるエネルギー密度は次の式 1-1 で示される(赤羽ほか、 1988)。( ) ( )
∫∫
Ω
=
電波原I
P
d
d
A
d
W
ν ν e v νθ
,
φ
νθ
,
φ
2
1
・・・式 1-1 この式における係数 1/2 は、受信機は片偏波しか受信できない事を意味する。Ae はアン テナ有効面積と呼ばれており、Ωは立体角である。 アンテナ有効面積と幾何光学的なアンテナ面積Aとは次の関係が成り立つ。A
A
e=
η
・・・式 1-2 ここで用いられるη(0<η<1)を開口能率とよぶ。この式からアンテナの集光力はアンテ ナの面積に比例していることがわかる。そして、集光力はアンテナ面積Aと、この面積A をいかに有効に利用しているかの指標である開口能率によって決定される。開口能率低下 の要因には、アンテナ主鏡面上で分布する電界分布やスピルオーバー、表面粗さによる反 射電波の拡散等がある。高い集光力を目指すには、主鏡面積を大きくするか、開口能率を 上げる必要がある。 電波天文で用いるアンテナは、アンテナを向けた方向に電力が集中している。そこで、 全方位について感度が1の無指向性アンテナとアンテナ光軸方向の感度の比をゲイン(利 得)として次の式で定義する。一般的にゲインは対数表示を行い単位は dBi を用いる。
=
A
G
η
λ
π
24
log
10
・・・式 1-3 分解能とは、天体を細かく観測できるかどうかを表す。分解能はビームサイズに比例し、 ビームサイズが細いほど高分解能で細かく観測する事ができる。アンテナがもつ分解能と アンテナの直径および観測波長の関係は以下の式で示される。D
λ
α
θ
=
⋅
(rad) ・・・式 1-4 ここで、αは主鏡開口の電界分布の状態による係数であり、電界一様の時はα=1.02、主 鏡縁が-10dB 落ちのテーパーの時はα=1.15 になる。電界一様時のビームパターンを図 1-4 に示す。この式からわかるとおり、観測する周波数が同じであれば、アンテナ開口径が大 きくなるほど分解能が高くなり、逆にアンテナ開口径が小さくなるほど低くなる。しかし、 分解能が高くなると言うことは、アンテナの視野が小さくなることでもある。星間分子雲 の観測などでは、大局的な観測には小口径の視野の大きな望遠鏡を用いて、星形成が進行する高密度分子雲コア付近は高分解能な大口径望遠鏡を用いて観測を行うなど、複数の望 遠鏡(分解能)を使い分けて観測するのが効率的である。
1-4 光学系の設計手法
可視光領域などでの光学設計は光線追跡法などの幾何光学が用いられるが、幾何光学で は光の波の性質を無視している。そのため、波長の非常に短い可視光(~数百 nm)に対して は良く計算されるが、可視光に対して波長が非常に長い電波領域(~数 mm)においては、回 折限界(波長の大きさより焦点を絞ることができない)の影響が大きく、幾何光学での計算 精度は低い。波長に対して十分に大きな主鏡の設計などは幾何光学を用いる場合もあるが、 受信機付近など比較的ビームが絞られた箇所での光学系設計においては、ガウシアン光学 を用いる。 ガウシアン光学とはビームの伝送方向と垂直な断面の電界分布が軸対称のガウス分布と 仮定して伝搬を計算する手法であり、近軸付近の電波の伝送を比較的良く示している。ま た、反射鏡などの光学素子を「厚みのないレンズ」と仮定し、レンズ上の等位相面やビー ム径の形状から、光学系の伝搬を求めていく。ガウシアン光学の利点は、直感的に分かり やすく、容易に幾何光学より精度の良い計算が可能な点であり、従来の電波望遠鏡の設計 に一般的に使用されている。 しかし、実際の電波望遠鏡の光学系は、様々な形状の金属鏡などでビームを反射させな がら伝搬させている。一般的な反射鏡として、回転楕円体の表面をくり抜いた形状である 楕円鏡がある。しかし、楕円鏡で伝送ビームを反射させた場合、電界が歪む事が指摘され ている(Murphy 1987)。しかし、ガウシアン光学では、その影響を容易に解くことができな い。また、一次放射器として一般的に使用されるアンテナとしてコルゲートホーンがある が、このホーン開口では HE11モードが形成されている。このモードとガウス分布の整合度 は 0.99 であり、計算する起点においてすでに 1%程度の誤差が生じる。 そこで、金属鏡での反射を精度良く計算するために、物理光学的手法を用いる。電波が 金属鏡で反射する仕組みは、入射波によって金属鏡面上に電流が誘起され、それが二次波 源となって反射波が生成されるからである。そこで、金属鏡面の各点において無限大接平 面と仮定し、等価面電流が入射波の磁界と法線ベクトルの外積で示されると近似し、この 等価面電流から放射界を計算する方法を物理光学法という(Collin 1969)。この手法によっ て、いままでガウシアン光学では計算できなかった、ビームの歪みなどの計算が可能とな り、計算精度が飛躍的に向上する。ただ、この方法には多くの計算量が必要である。その 為、計算機の計算速度が飛躍的向上した近年において、ようやく光学系設計に用いられた。1-5 星間分子雲における星形成
太陽をはじめとする宇宙を構成する主な要素である恒星は、現在星間分子雲の内部で誕 生すると考えられている。この星間分子雲はガスや塵によって構成されており、分子雲内 で誕生した恒星が発生する可視光はダストなどにより吸収され観測することができない。 可視光より波長が長い赤外線や電波など、透過力の大きい電磁波によって初めて星形成の 様子が観測することができる。そこで、星形成の研究は赤外線天文学やミリ波天文学が本 格的に始まった 1980 年代から進歩してきた。 この分子雲は水素分子を主成分として、一酸化炭素分子、水分子、アンモニア分子など からなる星間分子が 99%、残りの1%が塵である。水素分子は無極性分子なため、電気双 極子モーメントを持たず、電波領域に遷移放射がない。しかし、水素分子などが極性分子 である一酸化炭素分子に衝突することで、一酸化炭素分子を励起する。励起された一酸化 炭素分子が低いエネルギーレベルへ遷移する時に、エネルギー差に相当する分子特定の電 磁波を放射する(図 1-5)。この一酸化炭素分子は水素分子に比べ約1万分の1程度の量しか 存在しないが、分布が水素分子の分布と比例している事がわかっている。分子雲の構造や 物理量を求めるために一酸化炭素分子の観測がよく行われる。 これまで、一酸化炭素分子輝線などを用いて我々が住む銀河(天の川銀河)内における分 子雲の観測が進められてきた(Dame et al. 1987 など)(図 1-6)。これらの観測から、近傍分子 雲における星形成では主に小質量形成領域における孤立的星形成と大質量形成領域におけ る集団的星形成に分けられることが判明した。 小質量形成領域とは、103~104M 程度の質量の分子雲内に発生する。「M」とは太陽の質 量を1とする単位で 1.9891×1030kg である。太陽程度の星は、この領域で誕生する(中島、 2008)。分子雲のなかでも特に密度が高い分子雲コアと呼ばれる領域において、重力崩壊の 結果、その内部に非常に小さな原始星が形成される。原始星がさらに周りのガスなどを降 着させる事で、星中心部は高圧高温になる。原始星中心において水素原子が結合してヘリ ウム原子になる核融合反応がはじまることで、ようやく星が輝き出す。核融合反応がはじ まると、その核融合反応のエネルギーと重力エネルギーが釣り合い、安定した主系列星と 呼ばれる段階になると言われるのが、現在の定説である。 しかし、質量が 104~106M 程度の巨大分子雲において、大質量星が形成されることが観測 されているが、星形成の過程が未だ解明できていない。小質量星と同様に重力により原始 星が誕生し、これに周りの物質が降着すると仮定しても、大質量星の寿命である 2~3×106 年の間に、数十 M 程度の大きさにはならない。また、中心星が 8M程度になると水素の核 融合が始まり、そのエネルギーにより周辺のガスの降着が困難になる。よって、小質量形 成と同じ過程だと仮定すると、大質量星の形成は説明することが難しい。また、大質量星 は太陽近傍にあまり存在せず、また巨大分子雲の内部に埋もれているため観測的研究が困 難である。大質量星形成の研究は電波天文学の重要なテーマの一つである。図 1-1 口径 12m アルマプロトタイプ電波望遠鏡 ALMA のアンテナ試験の為に、アメリカ(ニューメキシコ州)の VLA サイ トに建設された最新の電波望遠鏡。現在、チリの ALMA サイトに改修後移 設された。 図 1-2 カセグレンアンテナの模式図 カセグレンアンテナとは、主鏡(放物鏡)と副鏡(双曲面鏡)から構成され ており、天体からの平行波を集光している。
図 1-3 ミリ波帯望遠鏡システムの模式図 天体からの信号は、「光学系」で集光および給電され、「超伝導ミクサ」と呼 ばれる受信機で周波数変換されたのち、中間周波数帯で増幅される。増幅さ れた中間周波数信号は分光計で分光され、計算機で取得される。 図 1-4 アンテナビームパターン(電力パターン) 開口アンテナが持つビームパターンは開口での電界分布とフーリエ変換の 関係を持っている。天文学で使われるビームサイズの定義は FWHM(Full Width Half Maximum)とも言われ、電力パターンの半値幅である。
図 1-5 一酸化炭素の回転遷移によるエネルギー準位間の放射電磁波 一酸化炭素の回転遷移による放射電磁波は、ミリ波領域に存在する。 図 1-6 太陽近傍の分子雲の分布 (Dame et al 1987)より図抜粋 Dame らの一酸化炭素分子輝線観測による、太陽近傍の 1kpc 内の分子雲の 分布図。丸の大きさが分子雲の大きさを示し、丸の色の濃さが銀河円盤から の高さを示す。
J=0
J=1
J=2
J=3
345 GHz
230 GHz
115 GHz
第
第
第
第 2
22
2 章
章
章
章
野辺山 45m 電波望遠鏡搭載 100GHz 帯両偏波サイ
ドバンド分離帯受信機の開発
2-1 野辺山 45m 電波望遠鏡搭載 100GHz 帯両偏波サイドバン
ド分離帯受信機の目的
野辺山 45m 電波望遠鏡は、長野県の国立天文台野辺山宇宙電波観測所内にある主鏡の開 口直径が 45m のミリ波望遠鏡であり、ミリ波帯の可動式望遠鏡としては最大級である(図 2-1)。この望遠鏡には、20~115GHz 帯において複数の受信機が搭載されており、ブラック ホールや新しい星間分子の発見、星形成や銀河系の構造等の解明がなされてきた。この望 遠鏡において、世界初の 100GHz 帯導波管型両偏波・両サイドバンド分離受信機光学系の開 発を行い、分子雲における星形成の解明やさまざまな星間分子輝線の観測を進める。 開発を行った受信機帯域の 115GHz 付近には、分子雲観測に基本的に用いられる一酸化炭 素の分子輝線が存在する。この分子輝線を観測に用いるのは、分子雲に最も存在する水素 分子と存在量が比例すると言われているためだけでなく、先行研究が多く存在し、それら と比較するのが容易な為である。また、分子輝線には12C16O だけでなく、同位体置換種であ る13C16O や12C18O などが存在するからである(以後、CO,13CO,C18O と記載)。J=1-0 の分子スペ クトルは、12CO 分子で 115.271GHz、13CO で 110.201GHz、C18O で 109.782GHz となっており、 これらの存在比は12CO:13CO:C18O は 500:5:1 である。12CO は多く存在しているため、観測 は他の2輝線に比べ容易であるが、存在量が多いため内部での散乱を受け分子雲内部まで 観測することが難しい。逆に13CO や C18O は存在量が小さいため、分子雲内部の星間ガスの 密度が濃い部分まで詳細に観測することができる。これらの分子輝線を観測することで、 分子雲の約2桁わたる密度範囲を詳細に観測する事ができる(中島、2008)。 これらの3ラインを、同時に観測する事は、精度の良い星形成の解明につながるが、分 子輝線の周波数差は12CO と C18O で 5.5GHz 程ある。ミリ波帯受信機は一般的にヘテロダイン 方式を用いて中間周波数帯に周波数を変換するが、現在主流である中間周波数帯の周波数 幅は 4-8GHz の 4GHz 幅しかない。そこで OMT と呼ばれる導波管型偏波分離器や、サイドバ ンド分離ミクサ(Side band separation mixer)を用いることで、天体からの信号を偏波分 離し、かつサイドバンド分離する事で広い観測帯域を持つ新たな受信機の開発を行った。 この新 100GHz 帯受信機には、当然新たな光学系が必要となる。従来の DSB(Double sideband)型受信機において、両サイドバンド分離は準光学的な Martin-Puplett 型フィルター を用いて行われていた。しかし、この準光学フィルターは 5 つの光学素子から構成されて おり、設置誤差等に起因する光学系の損失が大きいと言われている。新受信機は、導波管 部分においてサイドバンド分離を行うため、光学系にフィルターを挿入する必要がない。 そこで、準光学フィルターを使用しない低損失な光学系の開発を行うことで受信機システ ムの低雑音化に寄与し、効率の高い分子雲の観測を目指す。
2-2 両偏波サイドバンド分離受信機の構成
分子雲の観測には、一酸化炭素分子輝線が一般的に用いられるが、それ以外にも H13CO+ など、さまざまな重要な輝線が 100GHz 帯には存在する。そこで、受信機には、低雑音性能 は言うまでもないが、広帯域性能が求められる。ミリ波帯受信機では、ヘテロダイン方式 により、観測周波数と人工的な局部発振周波数の差分である中間周波数に変換するが、こ の中間周波数帯域は、局部発振周波数を挟んで、高周波数側と低周波数側の二つの帯域が 出力される。高周波数がわを Upper Side Band(USB)、低周波数側を Lower Side Band(LSB) と呼ぶ(図 2-2)。従来の超伝導ミクサでは、この両サイドバンドが合成された信号が出力さ れていたが、浅山らが開発を行ったサイドバンド分離型(SSB)ミクサを用いることで、USB と LSB が分離する事が可能となった(Asayama et al. 2004)。その為、観測帯域は 2 倍にな る。また、直交する偏波成分を OMT を用いて分離し、二つに分けた信号を別々の SSB ミク サを用いて受信することで観測帯域幅は 4 倍になる。これにより広帯域において同時観測 が可能となった。また、偏波分離方法には従来用いられていたワイヤーグリッドと呼ばれ る光学素子でなく導波管型 OMT を用いることで、光学系は一系統のみで済む。その為、ビ ームスクイントと呼ばれる受信機間のポインティングのずれが生じないため、精度の高い 観測が可能となる。OMT はオーストラリア国立望遠鏡機構(Australia Telescope National Facility, ATNF)で開発されたダブルリッジ型を使用した(Moorey et al. 2006)。図 2-3 には、開発を行った導波管型両偏波サイドバンド分離受信機のブロックダイアグラムを示 す。また、図 2-4 には受信機内部の写真を示す。2-3 ガウシアン光学手法を用いた光学系の設計
100GHz 帯導波管型両偏波サイドバンド分離受信機は、望遠鏡の受信機下部室に設置され る。本受信機は、導波管回路によって偏波分離を行うため、準光学フィルターを使用しな い光学系を新しく設計する必要がある。この光学系の開発には、ガウシアン光学と物理光その設計した光学系を物理光学手法で評価する方向である。 野辺山 45m 電波望遠鏡は、カセグレンアンテナ方式である。副鏡で集光された天体か らの信号は、カセグレン焦点付近に設置された平面鏡により、仰角軸上を伝搬するように、 ほぼ 90°に反射される。そうする事で望遠鏡の仰角向きに依存せずにビームを伝送するこ とができる。水平方向に反射された信号は、楕円鏡でほぼ平行波に変換されて、望遠鏡下 部にある下部機器室(受信機室)と同じ高さまで下ろされる。下りて来た信号は、先ほど の楕円鏡と対になった楕円鏡により集光されて受信機室内に導かれる。受信機室には複数 の受信機が設置されているため、信号は受信機切り替え用の金属鏡を複数経たのち、開発 した新受信機に天井方向から提供される。図 2-5 に 45m 電波望遠鏡の光学系を示す。新規 に開発する光学系としては、天井から降りてきた信号を再び集光する楕円鏡および、信号 を給電するコルゲートホーンとよばれるフィードホーンである。 使用するフィードホーンにコルゲートホーンを用いるが、このコルゲートホーンの開口 での電界分布はガウス分布にとても似ている。そこで電波天文学では一般的にガウシアン 光学を用いて光学設計が行われる。 ガウシアン光学とは次の様に導入される。一様な媒質中を伝搬する電磁波は式 2-1 のヘ ルムホルツの波動方程式を満たされる。
(
)
(
)
0
0
2 2 2 2=
+
∇
=
+
∇
H
k
E
k
・・・式 2-1 このヘルムホルツの波動方程式において、次のような電磁波を考える。 (1)電場と磁場の方向は互いに直交し、かつ伝搬方向に直交している。 (2)電磁波は z 方向に伝搬し、式 2-2 を満たす。(
x
y
z
) (
u
x
y
z
) (
jkz
)
E
,
,
=
,
,
exp
−
・・・式 2-2 (3)u(x,y,z)の伝搬方向の変化量はそれとは直交した方向に比べて小さく式 2-3 で表現で きる。z
u
y
u
x
u
2 2 2 2 2 2∂
∂
>>
∂
∂
+
∂
∂
・・・式 2-3 上記の三つの条件を満たすヘルムホルツの波動方程式の解がガウシアン光学である。次 にガウシアンビームの式を示す(Goldsmith 1997)。( )
+
−
−
−
=
22 2 0 5 . 0 2exp
2
,
φ
λ
π
ω
πω
R
j
r
j
jkz
r
z
r
E
・・・式 2-4 2 2 01
+
=
λ
πω
z
z
R
・・・式 2-5 5 . 0 2 2 0 01
+
=
πω
λ
ω
ω
z
・・・式 2-6 式 2-4 において、r は光軸からの距離、z は進行方向に対する距離、R は等位相面によっ て形成される曲率半径を示す。また、ωはビームサイズと呼ばれ、中心での電界強度に対 して 1/e に強度が落ちたところでの幅(半径)である。ω0は最もビームが細い部分でのビー ム幅を示し、ここでは平面波として振る舞うので、曲率半径は無限大になる。実際に光学 系を設計するときは、式 2-5 と式 2-6 を用いて行う。図 2-6 には、ガウス光学の模式図を示 す。 電波望遠鏡の光学系で最も重要な事は、いかに高利得な設計をするかである。既存の望 遠鏡に搭載するため、主鏡の物理的面積は決まっている。そこで、高い開口能率を持つ光 学設計をすることが、高利得なアンテナ設計へとつながる。この開口能率は式 2-7 で示され る。 misc bl sf t s eη
η
η
η
η
η
=
・・・式 2-7 式 2-7 において、ηeが開口能率、ηsはスピルオーバー能率、ηtはテーパー能率、ηsf は表面粗さによる散乱による能率、ηblは副鏡などに代表されるブロッキングによる能率、 ηmiscは鏡面上での金属の抵抗によるオーミックロスなどを示している。スピルオーバー能 率とは、主鏡面においてホーンから放射される電力がどれほど漏れているかを示す能率で あり、テーパー能率は主鏡開口面において、電界が一様かどうかの能率である。主鏡面上 にホーンから形成する電界分布をガウス分布だとして、開口中心と主鏡縁での電力強度の 差をエッジレベルと定義する。エッジレベルが大きいと、主鏡中心付近に電力が集中する ため、スピルオーバー能率は非常に高いが、逆にテーパー能率が非常に悪い。また、エッ ジレベルが小さいと、開口面上に一様に電力が分布するため、テーパー能率が高くなるが、 主鏡で受ける電力が減少するので、スピルオーバー能率が小さくなる。エッジレベルが約 11dB で、開口能率が最大となる(図 2-7)。しかし、表面粗さ等による散乱の影響を考慮して、レン焦点距離として、副鏡上でのビーム形状を決定し、副鏡と受信機間の光学系設計を行 った。主鏡と副鏡間については、主鏡の口径 45m が波長に対して非常に大きく、幾何光学 近似ができるため、ガウシアン光学設計においては計算を省略した。
ガウシアン光学を用いた光学設計において、広帯域な設計手法として「Frequency independent matching of Gaussian beams」と呼ばれる周波数に関係せずにホーン給電部 において、ビーム形状が一致させる方法がある。しかし、45m 鏡は多くの集光鏡を使用し ているため、この条件に適した解を適用することは困難であった。しかし、45m 鏡光学系 はセンチ波用の受信機を搭載していることもあり、受信機室まで大きな光学系で構成され ており、ミリ波帯においては周波数にそれほど依存しないビーム伝搬である。そこで受信 機室天井に設置された既設の楕円鏡(♯M60)上でのビーム形状の周波数特性を計算した(図 2-8)。中心周波数である 100GHz 帯と同じ周波数形状をしていると仮定した場合、どれだ けの電力の損失が発生するかを以下の結合式(Goldsmith 1997)を用いて計算した。
(
) (
2) (
2)
21
1
4
a b b a b a b axR
R
a
K
−
+
+
=
λ
ω
πω
ω
ω
ω
ω
・・・式 2-8 その結果、電力損失は 0.04%以内であることがわかった。よって、M60 鏡において全て の周波数が 100GHz 帯と同形状だと仮定して、式 2-9、2-10、2-11 にしめす周波数に依存 しない条件を適用した光学系を設計した(TA-SHING 1983)。 2 2 1 1L
L
ω
ω
=
・・・式 2-9 2 1 2 11
1
1
1
1
L
L
r
r
f
=
+
=
+
・・・式 2-10
+
+
−
=
2 2 1 2 1 11
1
1
1
r
L
L
L
L
r
・・・式 2-11 これらの式において、L1および L2は集光鏡(楕円鏡)の前後の距離であり、本光学系に おいては、M60 鏡と新規製作する楕円鏡の距離および新規楕円鏡とコルゲートホーンの距 離である。また、ω1および r1は M60 鏡上でのビーム形状であり、ω2および r2はコルゲ ートホーン開口上でのビーム形状である。 フィードホーンであるコルゲートホーンの開口半径やホーン長さは、ガウシアンビーム とホーン開口で生成される開口電界分布との整合によって決定さる。この両者の整合は電力で 0.99 であり、その時の条件は以下の式で示される(Goldsmith 1997)。
a
644
.
0
=
ω
・・・式 2-12 h slantlengtR
R
=
・・・式 2-13 ωとRはホーンの開口におけるガウシアンビームの形状をしめし、a はホーン開口半径、 Rslantlengthとは、ホーン形状を円錐と考えた場合の斜辺の長さをしめす。 ガウシアン光学を用いて設計した値を表 2-1 に示す。2-4 物理光学手法を用いた光学系の評価
いままで、電波天文学に用いる光学系の計算は主にガウシアン光学をもしくは幾何光学 の光線追跡法を用いて設計されてきた。しかし、ビーム伝搬を計算していく初期値である コルゲートホーン開口での電界分布において約1%程度の誤差が生じている。また、ガウ シアン光学では、ビームの伝搬を計算するとき近軸近似を用いているため、光軸から離れ た部分においては、計算がずれてしまう。しかし、望遠鏡の光学系は基本的には指向性の 高いビーム伝送系で設計するため、光軸付近に電力が集中し、それらの誤差はほとんど無 視していた。また、光学系においては、一般的に楕円鏡を用いて集光を繰り返しながらビ ームを伝送していくが、楕円鏡でビームを曲げるとき、ビームパターンが歪む事が指摘さ れており(Murphy 1987)、前述のガウシアン光学の伝搬式では、その影響が計算できない。 また、開発した受信機を望遠鏡に搭載するときには、現実問題として受信機および光学 系の設置誤差がどうしても発生してしまう。この設置誤差がアンテナの性能劣化の要因一 つになる。そこで、新たな受信機を望遠鏡に搭載する場合は、受信機を精度良く設置する ことは当然だが、実際には副鏡を微動させてアンテナパターンを調整している。その為、 性能低下が光学系の設計によるものか、受信機や光学系の設置誤差によるものか、またそ れ以外(鏡面の劣化等)なのかの切り分けが困難であった。そこで、ガウシアン光学で設計し た光学系が、どのようなビームパターン等の性能を持っているかを精度良く評価する事が、 望遠鏡システム全体の性能向上に非常に有益である。光学系をより精度良く計算するのに物理光学法(PO:Physical Optics)がある(Collin et al. 1969)。反射鏡に電波が入射すると、その表面には電流が誘起され、またその電流により反 射波が発生する。これを散乱という。電波が放射する電磁流源と金属鏡(散乱体)および観測 点がある場合、観測点での電界は次式で示される。
s i
E
E
E
=
+
・・・式 2-14 ここで、Eiが電磁流源から直接放射される電界であり、Esが散乱体表面に誘起された等 価電磁流源からの放射される電界である。望遠鏡の光学系を設計する場合、高い指向性を 持って電波を伝達するため、Ei は無視できる。また、計算を容易にするために、散乱体裏 面など、入射波が照射されない影の部分での電磁流源は 0 として無視する。また、散乱体 表面の各点では無限大接平面と仮定すると、入射波によって生成される等価電流は次の式 で示される。 i eH
n
J
=
×
∧2
・・・式 2-15 上式において JJJJeeeeは等価電流、nnnn^は鏡面の法線方向の単位ベクトル、HHHHiiiiは入射波の磁界を しめしている。鏡面上の等価電磁流源の分布から放射される電界パターンを求めることで、 鏡面形状を考慮した信号の伝搬を求めることができる。電界ポテンシャルベクトルおよび 磁界ポテンシャルベクトルは次の式で示される。( )
'4
R
ds
e
jkR B −∫∫
=
e ' er
J
A
π
µ
・・・式 2-16( )
'4
R
ds
e
jkR B −∫∫
=
m ' mr
J
A
π
ε
・・・式 2-17 この式で、積分領域 B は散乱体(金属鏡)の表面をしめし、k は波数と呼ばれ2π/λで 示される。また、R は散乱体からの距離である。また、電界と磁界は以下の式で表される。(
e)
m eA
A
A
E
−
∇
×
+
∇
∇
⋅
−
=
ε
ω
1
21
k
j
・・・式 2-18(
)
+
∇
∇
⋅
−
×
∇
=
m mA
A
H
1
1
2k
j
A
eω
µ
・・・式 2-19 ωは角速度を示す。そこで、式 2-16、2-17 を式 2-18、2-19 に適用することで、散乱体(金 属鏡)で反射した電磁界を以下の式で求める事ができる。(
)
2 ' 2 2 ' 2 3 3 2 2 3 3 2 21
1
4
1
3
3
1
4
ds
k
e
jkR
R
k
R
J
ds
k
e
R
k
j
R
k
kR
j
R
k
j
R
k
kR
j
jkR B m jkR B − ∧ − ∧ ∧∫∫
∫∫
+
×
−
+
−
⋅
+
−
−
+
=
π
π
ζ
R
R
J
J
E(r)
e e ・・・式 2-20(
)
' 2 3 3 2 2 3 3 2 2 ' 2 2 23
3
1
4
1
1
1
4
1
ds
k
e
R
k
j
R
k
kR
j
R
k
j
R
k
kR
j
ds
k
e
jkR
R
k
jkR B jkR B − ∧ ∧ − ∧∫∫
∫∫
+
−
⋅
+
−
−
+
+
+
×
=
R
R
J
J
R
J
H(r)
m m eπζ
π
・・・式 2-21 ' 'r
r
r
r
R
R
−
−
=
=
∧R
・・・式 2-22ε
µ
ζ
=
・・・式 2-23 ここで、rrrr’’’’は散乱体表面へのベクトルを示す。ζは自由空間でのインピーダンスを示して いる。 アンテナ光学系を実際に計算する場合は、各反射鏡表面に多数の計算点を格子状等に設 定する。ビームの一次放射器であるフィードホーンから初めに反射する金属鏡面上の電磁 流源を求める。次にこの電磁流源によって誘起される反射波から、次に反射される金属鏡 面上の電磁流源を求める。これを順次進めていき、アンテナの放射パターン等を計算する。 この計算は非常に時間がかかる為、計算手法は以前からあるが、電波望遠鏡に用いた例は 少ない。野辺山 45m 電波望遠鏡においても、本研究が初めてである。この物理光学手法を 用いた計算は GRASP とよばれる General reflector and antenna farm analysis software を用いた(Ticra 社、デンマーク)。 物理光学において、光学系伝送の計算はホーンから各光学素子に順々に計算していく必 要がある。よって、計算過程においてビームの計算精度が保たれているかの評価をする必 要がある。そこで、♯56 からの放射パターンの計算を抜き出して評価を行った(図 2-9)。 その結果、主ビーム(メインローブ)において十分に対称な照射パターンを得ていること を確認した。また、このビーム伝送系によって形成される副鏡での電力分布を調べた。そ れによると副鏡縁での電力レベルが約-11dB とガウス設計の-12dB とほぼ等しくなった(図 2-10)。最終的に必要とされるアンテナが持つ放射パターン特性は図 2-11 に示す。その結と一致した。1st サイドローブレベルは-17.5dB となり、アンテナゲインは 92.15dBi、能率 計算でη=0.81 となり、多くの光学素子で構成されている 45m 電波望遠鏡において、能率性 能の良い光学系の設計だと考えられる。 上記の物理光学手法では、金属鏡面での損失を 0 として計算した。しかし、金属鏡面で の反射において、金属の抵抗に起因する損失がある。Gatesman らによると、金属鏡面上で の損失は式 2-24 で示される(Gatesman et al. 1995)。この式において、入射波の入射角の 影響は非常に小さいとして無視している。
%
GHz
freq
L
584
5
.
0
1
−
−1=
・・・式 2-24 この式において、0.5 は金属鏡の材質がアルミの時の係数である。この式を用いると 100GHz において、鏡面での損失は約 0.2%になる。ただし、45m は主鏡を含め 10 枚の金 属鏡を用いている為、全体では約 2%の損失が見込まれる。2-5 光学素子の開発
この新 100GHz 帯受信機開発において、望遠鏡から受信機室内までは既存の光学系を用 いた。しかし、受信機雑音低減の為に冷却ホーンを用いるためには、受信機直前で信号を 楕円鏡で集光しないといけない。そこで、この光学系には楕円鏡および冷却コルゲートホ ーンの光学素子の開発が必要であった。 電波望遠鏡の光学系において、ビームを集光しながら伝搬する時には一般的に楕円鏡が 用いられる。楕円鏡とは、回転楕円体の表面形状を鏡面としており、幾何光学的に一つの 焦点から放射する光は、回転楕円鏡面で反射し、もう一つの焦点に集光するという性質を 利用している。焦点と鏡面までの距離と楕円鏡の焦点距離の関係は以下のレンズの公式で 示される。F
R
R
1
1
1
2 1=
+
・・・式 2-25 ここで、R1は入射波の焦点から鏡面までの距離を、R2は鏡面から反射波が形成する焦点 までの距離である。F は楕円鏡の焦点距離である。ガウシアン光学では、入射波と反射波の 鏡面での曲率半径がR1、R2となる。製作した楕円鏡図面を(図 2-12)に示す。この楕円鏡の 大きさは、設計最低周波数である 84GHz において、エッジレベルが-54dB となるように設 計した。製作した楕円鏡は、三次元測定器を用いて鏡面測定を行い、鏡面精度を確認した。測定 は、楕円鏡長軸方向に 30mm 間隔で 11 点取得した。その結果から、表面粗さは 4μm rms と波長 3mm に対して十分に小さい値となった。楕円鏡および楕円鏡保持機構を図 2-13 に 示す。 次にコルゲートホーンの製作について述べる。コルゲートホーンとは、ホーン内壁に波 長に対して深さ 1/2~1/4 程度、幅 1/6 程度の溝が連続して存在するホーンである。この溝 により、ホーン開口において軸対称な電解分布が形成される。その為、軸対称な放射パタ ーンをもち、電波望遠鏡の一次放射器として一般的に用いられている。また、周波数帯域 も約 30%と広帯域であるため、この受信機のフィードホーンとして採用した。このコルゲ ートホーンの放射パターンは、モード整合法を用いて計算する CHAMP(Ticra 社、デンマ ーク)とよばれる解析ソフトを用いた。図 2-14~図 2-18 に、このホーンの放射パターンの 解析値を示す。その結果、広帯域においてビーム対称性が保たれた、低反射損失、低交差 偏波特性なコルゲートホーンの設計であるといえる。図 2-19 に開発を行ったコルゲートホ ーンの図面および写真を示す。ミリ波帯のコルゲートホーンの開発については、ALMA の ミリ波帯受信機において開発された技術を用いた。コルゲートホーンの開発については次 章に詳しく述べる。
2-5 搭載試験および観測
2007 年 12 月に、開発を行った受信機を 45m 電波望遠鏡に搭載して試験観測を開始した。 図 2-20 に搭載した受信機の写真を示す。この受信機 Dewar の周りには、SIS バイアスボッ クスや HEMT バイアスボックス等が装着されている。両偏波受信機のため、二つのサイド バンド分離ミクサに独立に局部発振信号を供給する必要がある。そこで、LO 系も 2 系統あ り、SG から発振した十数 GHz の信号を 6 逓倍して供給している。また、IF 系は、2 偏波 ×2SSB の 4 系統が独立で必要であり、IF 系で増幅された信号を後段のシステムに提供し ている。この受信機の雑音温度性能は、楕円鏡を含めた受信機雑音温度で約 60K、システ ム全体として 180K と従来の受信機に対して約半減した(nakajima et al. 2008)。2009 年度 においても、システム雑音が V 偏波側で 115~290K、H 偏波側で 140~370K であり、従 来から設置されている S100 受信機のシステム雑音温度 250~500K に対しても十分に小さ い値である(Nobeyama status rep. 2007-2008)。この受信機のビームパターン特性はクェーサー3C273 を用いて観測した。クェーサーと は、非常に遠方にあるにも関わらず、非常に強度の強い天体であり、活動銀河核だと考え られている。このクェーサーは遠方に存在するため、点源と見なすことが可能であり、ビ ームパターンを測定するときによく利用される。図 2-21 には、クェーサーを用いて測定さ
偏波受信機において 15.5”±0.1、H 偏波受信機において 17.6”±0.3 となった。1.15*λ/D で計算した概算値である、13.8”に比べ若干大きい値となった。
主ビーム能率は土星を直径 18”の輝度分布を持たない 150K の円盤だとして、計算すると、 34%(V 偏波受信機)および 35%(H 偏波受信機)となり、従来搭載されている S100 受信機の 32±2%(Nobeyama status rep. 2007-2008)より若干向上した。また、この主ビーム能率か ら開口能率を計算すると、0.23(V 偏波受信機)および 0.18(H 偏波受信機)となった。野辺山 45m 電波望遠鏡の主鏡鏡面精度は表面粗さで 0.06mm r.m.s.、パラボラからのずれで 0.09mm r.m.s. (国立天文台 web より)であり、これらを足し合わせると 0.11mm r.m.s.とな る。これを以下の表面粗さによる散乱の式に代入した(Ruze 1966)。
−
=
24
exp
λ
πε
η
sf ・・・式 2-26 この式においてεが表面粗さである。この計算から、ηsfは 115GHz において 0.76 とな る。また、物理光学で求めたηt×ηsf×ηblの 0.81、副鏡ステイでのブロッキングを 0.9 と 仮定し、光学系鏡面上でのオーミックロスでの能率 0.98 として、式 2-7 に代入すると開口 能率は 0.54 となり、測定値と 0.31~0.36 の差がある。しかし、S100 受信機等の開口能率 も 0.23 である(Nobeyama status rep. 2007-2008)ため、設計自体に大きな問題はないと思 われる。おそらく主鏡などの望遠鏡光学系が経年劣化をおこし、スペック通りの性能を有 していないと類推できる。なお、主鏡の鏡面粗さが 0.23mm r.m.s.だと仮定すると、開口能 率は 0.23 となり計算と測定値がほぼ一致する。 この受信機を用いて W51 分子雲や Orion-KL 分子雲の試験観測を行った。図 2-22 には Orion-KL のラインサーベイ観測の結果を(中島、2008)示す。両偏波サイドバンド分離受信 機の特長である周波数成分の広帯域同時観測を活かして、非常に広い周波数帯域を短時間 で観測する事に成功した。現在、この新受信機は共同利用に用いられており、多くの研究 が観測に用いられている。図 2-1 野辺山 45m 電波望遠鏡(国立天文台提供) 長野県の野辺山に建設された電波望遠鏡で 1982 年から 観測に用いられている。中央に見えている大きな主鏡の 直径が 45m ある。 図 2-2 ヘテロダイン受信方式 天体の信号に対して、人工的な FLOをミクサで混合することにより、差分周 波数成分である FIFを取り出すことができる。差分の周波数はプラス、マイ
ナスの成分があり、プラス側を USB(Upper side band)、マイナス側を (Lower side band)と呼ぶ。図は 200GHz 帯での分子輝線の分布と観測帯域 を示す。
図 2-4 開発を行った両偏波サイドバンド分離受信機の内部 受信機は超伝導素子を用いているため、4Kelvin に冷やす必要がある。そのため、Dewar と呼ばれる 冷凍断熱容器内に受信機を構築する必要がある。写真では、左側にあるホーンによって天体の信号(RF) が給電され、写真中央の OMT に導かれ、偏波分離される。分離された信号はそれぞれ 2SB ミクサで 周波数変換された後、冷却低雑音増幅機によって、雑音が付加される前に増幅され、後段の常温 IF 系 へと導かれる。 図 2-3 導波管型両偏波サイドバンド分離受信機のブロック図 天体からの信号は、ホーンで給電後、偏波成分に OMT で分離される。分離された信号は 各サイドバンドミクサ(図中では 2SB ミクサ)によって周波数変換され、USB および LSB として出力される。各ミクサに供給する局部発振信号の周波数をずらすことで、独立した 4 系統の IF 信号を取り出すことで可能になり、広帯域化を達成する。
図 2-5 45m 電波望遠鏡ビーム伝送系 カセグレン系で集光された信号は、複数の金属鏡を経て受信機室へ導かれる。受信機室内に導かれた 信号は可動式の金属鏡などにより光路が切り替えられ、使用する受信機が選択される。上図は物理光 学計算に用いたモデルを示し、光学素子の大きさおよび位置を再現している。下図は光学系伝搬の模 式図を示し、図中の PM は平面鏡を、EM は楕円鏡を示している。新受信機開発に向けて新たに開発 を行った光学素子は、図中右側の楕円鏡およびコルゲートホーンである。
図 2-6 ガウシアンビームの伝搬 ビームの伝搬はガウス分布を保ったまま伝搬していく、ビームが最も小さくなる位置をビームウエス トとよび、そこでの等位相面は平面になる。ビームが伝搬していくと球面波になり、等位相面によっ て形成される曲率半径は距離に等しくなる。 図 2-7 スピルオーバー能率とテーパー能率による開口能率 エッジレベル(開口中心と開口縁で電力強度比)が低いということは、開口面上に電界がほぼ一様に 分布している事をしめす。よって、テーパー能率が高いが、開口から漏れる電力が多くなり、スピル オーバー能率が低くなる。逆にエッジレベルが大きいということは、開口中心に電力が集中している ことを示すため、テーパー能率が悪く、スピルオーバー能率が良くなる。エッジレベルが約 11dB にお いて、開口能率が 0.81 と最大になる。
表 2-1ガウシアン光学で計算した光学系パラメータ 図 2-8 ガウシアン光学で計算した M60 鏡上でのビーム形状 周波数によって、鏡面上でのビーム形状が若干異なる。
図 2-9 M56 鏡からの遠方界放射パターン fai=0 および=90 は、放射パターンの直交成分であり、 主ビームにおいてビームが対称であることを示す。 図 2-10 副鏡への吹きつけパターン エッジレベルが約 11dB とガウシアン光学計算とほぼ同 じ値となった。電界強度中心が若干ずれているのは、 45m 電波望遠鏡がわずかにオフセットカセグレン系な ためである。
Antenna profile @100GHz
50
60
70
80
90
100
-0.03
-0.02
-0.01
0
0.01
0.02
0.03
Angle(deg)
P
o
w
e
r(
d
B
i)
fai=0
fai=90
図 2-11 アンテナビームパターン 上図 3 次元分布図 下図 ビームパターン断面図 ビームサイズは 15.8 秒角、1st サイドローブレベルは-17.5dB、アンテナゲ インは 92.15dBi となり、開口能率η=0.81 と高能率の設計であることが確認 された。 dBi Deg Deg dBi図 2-12 製作した楕円鏡図面
回転楕円体の表面をなでるように、フライスを用いて加工を行っていく。 楕円鏡面になる板材をフライスステージに水平に設置して加工を行うと、 楕円鏡中心軸においてエンドミルできちんと切削できず、鏡面精度が悪く なるため、フライスステージに対して傾けて板材を固定し、切削を行う。
図 2-13 楕円鏡および保持機構 製作した楕円鏡は Dewar 側面に取り付けられる。そこで、楕円鏡を固定す るための保持機構を製作した。この保持機構には、楕円鏡の角度を調整す るため、三点支持にて楕円鏡を固定している。図中右に見えているのが、 4K に冷却されているコルゲートホーンである。楕円鏡とコルゲートホーン 間を精度良く位置合わせするために、ジグを別個製作した。
図 2-14 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーンパターン@85GHz E-plane とは、ホーンの E ベクトルに対して平行方向の軸上のビームパターンであり、 H-plane とは、それに直交するビームパターンである。また、Cross-pol とは、主偏波に対し て直交成分をもつ偏波であり、E-plane 軸(φ=0°)とH-plane 軸(φ=90°)の中間軸上(φ =45°)で強度が最大になる。図ではその 45°成分を示している。このグラフから、ビームの 良対称性、低交差偏波特性、低サイドローブ特性がわかる。 図 2-15 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーンパターン@100GHz 図 2-16 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーンパターン@115GHz
100GHz受信機コルゲートホーン_リターンロス
-40
-30
-20
-10
0
80
85
90
95
100
105
110
115
Frequency(GHz)
R
e
tu
rn
l
o
ss
(d
B
)
図 2-17 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーンリターンロス特性 設計したコルゲートホーンの反射特性を示す。リターンロスは帯域内において 25dB 以下 を達成しており、一酸化炭素分子輝線の 110~115GHz においては 30dB 以下を達成して おり、かつ、このコルゲートホーンは 4K に冷却されるために、受信機性能に対する影響 はほとんど無視できるぐらい小さい。 図 2-18 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーンのビーム幅 ビーム幅(-3dB 落ち、-10dB 落ち、-20dB 落ち)の周波数特性を示している。-3dB 落ちの メインビームにおいては、帯域内において良対称を示している。図 2-19 野辺山 100GHz 帯新受信機用コルゲートホーン 上図:コルゲートホーンの製作図面 下図:開発を行ったコルゲートホーンの写真 材質はアルミニウムで、導電性を良くするために金メッキを行った。このホーンで給電さ れた信号は、円角変換導波管、OMT を経て偏波分離された後にサイドバンド分離ミクサ に導かれる。
図 2-20 野辺山 100GHz 帯両偏波サイドバンド分離受信機(中島、2008)
野辺山 45m 電波望遠鏡の下部機器室に設置された新受信機システム。天体からの信号は、 アンテナ光学系を経て天井から供給され、新楕円鏡で集光したのち、Dewar 内のコルゲ ートホーンに導かれ給電される。
図 2-21 3C273 のラスタースキャン測定(中島、2008) 3C273 クェーサーは遠方にあるため、点源と見なせる。そこで、この天体をもちいたア ンテナビームパターン測定を行った。左図が H 偏波受信機で右図が V 偏波受信機の結果 を示す。この結果、ビームサイズは H 偏波が 15.5″±0.1、V 偏波が 17.6″±0.3 となっ た。 図 2-22 ラインサーベイ観測結果の一部(中島、2008) Orion-KL 領域に対する多輝線同時サーベイ観測の結果。数 K と非常に低温な分子輝線の 観測に成功した。
第
第
第
第 3
33
3 章
章
章
章
ALMA Band4 受信機の開発
3-1
ALMA の目的
ALMA(Atacama Large Millimeter/subm-illimeter Array)とは、主に日米欧を中心とした、 64 台の 12m ミリ波サブミリ波電波望遠鏡からなる巨大干渉計をチリ共和国の北部のアタカ マ砂漠に建設する計画である(Brown et al. 2004)。図 3-1 に ALMA のイメージを示す。電 波望遠鏡の分解能は口径に比例して高くなるので、主鏡直径を大きくすれば分解能は上が る。しかし巨大な望遠鏡はコスト面や製作精度の面から難しい。そこで干渉計という手法 を用いる。これは複数の望遠鏡で同じ天体を観測し、その受信信号を相関させることで高 分解能な観測を行うことができる。干渉計の分解能はアンテナ間の距離(基線)に比例す る。ALMA は最大 14km の基線を持っており、単一望遠鏡で観測を行っている野辺山 45m 望遠 鏡とは比べものにならないぐらいの分解能を誇る。この分解能はハッブル宇宙望遠鏡(HST) やすばる望遠鏡を凌ぐ 0.01 秒角であり、集光力は口径 100mの望遠鏡に相当する。この分 解能と集光力により、宇宙のどこにある銀河に対しても、その形態を探ることができるだ けでなく、おうし座暗黒星雲の距離では 1.4 天文単位を分解することが可能で、惑星系の 生まれる様子を詳細に調べることが可能になる。また、優れた分光性能も組み合わせるこ とにより、太陽系内の小惑星や彗星、宇宙空間の生命関係有機分子や原始惑星系で物質組 成などの観測を通じて、宇宙での物質進化、そして、銀河系、太陽系、生命の起源につい ての重要な手がかりを与えることができる。また、惑星地球科学、星間化学、素粒子物理 学、相対論的な量子電磁気学など、多くの隣接分野にも大きな影響を与える。ALMA の実現 にあたっては、これまで蓄積してきたミリ波干渉計観測技術やサブリミ波観測技術、その 他の最先端技術を応用し、かつ新たな観測技術の開発に挑戦する。また ALMA は物理学、天 文学、宇宙科学の分野において日本が北アメリカやヨーロッパと対等で進める国際大型プ ロジェクトの初めてのケースであり、その動向が大いに注目されている。この ALMA 計画に 使用される電波望遠鏡は、口径 12m のカセグレンアンテナであり、カセグレン焦点位置に カートリッジと呼ばれる筒状の容器に収納された複数の受信機搭載されており、30~ 800GHz 帯まで観測可能である。 この ALMA 計画に搭載される 150GHz にあたる Band4 と呼ばれるカートリッジ型受信機の 光学系開発を行った。この受信機の開発は日本が担当しており、浅山らが開発した超伝導 SIS 受信機と相まって(Asayama et al. 2003)、同周波数帯域において、広帯域特性、受信