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(1)

B1-2

ロケット音響予測に向けた超音速ジェットからの音響特性の解析 I

~検証および周波数特性~

Computational Analysis of Acoustics of Supersonic Jets for Rocket Noise Prediction

~Validation and Frequency Characteristics~

○ 野々村拓, 東大院, 東京都文京区本郷 7-3-1, E-mail: nonomura@flab.isas.jaxa.jp

藤井孝藏, 宇宙機構宇宙研, 神奈川県相模原市由野台 3-1-1, E-mail: fujii@flab.isas.jaxa.jp

Taku Nonomura, Univ. of Tokyo, Hongo 7-3-1 Bunkyoku Tokyo

Kozo Fujii, JAXA/ISAS, Yoshinodai 3-1-1 Sagamihara Kanagawa

Super-sonic jet acoustics are investigated towards the prediction of the rocket plume acoustics. In order to obtain various fluid and acoustics data, computational fluid dynamics are used. In this paper, code-validation and investigation of frequency characteristics are carried out. WCNS and compact schemes are used to solve three dimensional compressible Navier-Stokes equations. With regards to validation, our computational results show qualitatively good agreement with that of past experimental and computational studies. Concerning frequency characteristics, the trend of source position and directivity based on each octave-band filtered value corresponds to that of past empirical law.

1.序論 ロケット打ち上げ時、ロケットのジェットから非常に強い音響 波が発生することが知られている.この強い音波はロケットのペ イロードである人工衛星の構造などに対して悪影響を及ぼすこと が知られており、その予測、低減が重要である.これまで、欧米 や日本では経験則を用いた予測手法(1-2)を用いてきた.しかしなが ら、限られたロケット射点のデータを用いているため、ロケット 射点での音響は十分な精度での予測ができていない.これは、経 験則に含まれるパラメタなどが正しくないことなどが原因と考え られる.そこで、これまでの予測手法よりも音発生の物理に基づ いた高精度の予測モデルを構築することが望まれる. このため現在、JEDI/JAXA においてロケット打ち上げ時の音響 解析を精力的に行っており(3-4)、様々な知見が得られてきている. しかしながら JEDI/JAXA の解析はロケットの射点の実形状を模 擬した実用的なものであるため、超音速ジェットから出る音波の 指向性、音源位置、周波数特性などの基本的特性に関しては十分 な議論をするためには解像度が不足している.

Fig. 1 An example of computation in the present study. Instantaneous flow-fields of Mach 3.0 super sonic jet. Inner region:Iso-surface of second invariant of velocity gradient tensor, which is colored with velocity(blue to red via white with increasing velocity), Outer reion: Pressure distribution(blue to red via white with increasing pressure). そこで本研究では、作動流体を空気であると仮定した超音速ジ

ェット単体にその解析対象を絞り、数値解析を用いて発生する音 波の指向性、音源位置、周波数特性を調べて、その特性をより深 く理解し高精度の予測モデルの構築のための基礎的な知見を得る ことを目指す.特に近年音速程度の速度のジェットの音響解析(5)

に用いられている LES(Large Eddy Simulation)的な手法を、Fig. 1 のようにロケットプルームで用いられる高マッハ数のジェットに 適用して解析を進めている. 超音速ジェット騒音 乱流騒音 衝撃波関連騒音 大規模構造音=マッハ波 微細構造音 スクリーチ 広帯域音 超音速ジェットから出る音(6-7)は Fig. 2 のように分類されるが、 本解析では、前述のロケット音響で特に問題となる、マッハ波に よる音の発生メカニズムを主にターゲットにして解析を行った. この解析の目的は正確な予測ではなく、音源の特性理解であるた め 2-3dB 程度(圧力振幅で 1.25~1.5 倍程度)の誤差は許容してよい と考えている.

Fig. 2 Classification of supersonic jet acoustics 2.ジェットパラメタ 本解析では、空気を作動流体として扱った. 比熱比 1.4 で雰囲 気の条件を地上での大気に合わせている. ジェットの状態を決めるためにパラメタを 4 つ用いた.適正膨 張を仮定した際のマッハ数(適正膨張マッハ数)MJ、ノズル出口マ ッハ数 MD、レイノルズ数 Re、温度比 Tratioである. 本論文では、検証を行い周波数特性を議論する.検証におい ては、過去の実験データ、計算データの多い比較的マッハ数の 低いケースを取り出して議論を行う.また周波数特性はロケッ トのマッハ数を模擬したケースを用いて議論を行う. MJはチャンバー圧と雰囲気圧からもとまる圧力比のみによっ て決まるパラメタであり、以下のように定義される. 2 章でジェットのパラメタを説明し、3 章で数値解析手法を述 べる.4 章でコード検証、5 章で周波数特性を議論し、6 章で結 論とする. 1 1 J c J J u p M a p γ γ − ∞ ⎛ ⎞ = = ⎜ ⎝ ⎠ − (1)

(2)

B1-2 ここで J, , c の添え字はそれぞれ適正膨張を仮定した際の量、 雰囲気での量、チャンバーでの量を示す。u, p, a はそれぞれ速度、 圧力、音速である. ∞ 以 下 の 議 論 で は 、 ケ ー ス 名 を MJ と MD を 用 い て MJ(Mjx10)MD(MDx10)とした.(例:MJ20MD20) -0.6 0 0.6 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 U/Ucenter y/ D MDは、以下のように定義される. D D D u M a = (2) ここで、D の添え字はノズル出口での量を示す. MDはノズルの スロート面積とノズル出口面積の比のみによって決まるパラメタ であり、その関係式は参考文献(8)などの圧縮性流体のテキストを 参考にされたい. Fig. 3 Jet-profile 3.解析手法 上記 2 つのパラメタから不足、適正、過膨張の状態が決まる MJ < MDの場合は過膨張、MJ > MDの場合は不足膨張、MJ = MDの 場合は適正膨張となる. Fig. 4 に計算領域を示す.計算領域は、流体場、音響場に分け られ、その外側に音波の比物理的反射、発生を防ぐための格子伸 張させた Buffer 領域(10)を設けている. 本解析の検証では、MJ = MD =2.0 のマッハ数 2.0 の適正膨張ジ ェットの解析、周波数特性解析では MJ = MD =3.0 のマッハ数 3.0 の適正膨張ジェットの解析をもちいた. 支配方程式は、流体場、音響場ともに、雰囲気密度、ノズル径、 雰囲気音速で無次元化した 3 次元圧縮性 Naveir-Stokes 方程式であ り、これを一般座標系(11)で解いた. また Re 数、温度比 Tratioは以下のように定義されており、 Ju DJ J Re

ρ

μ

∞ = (3) c ratio T T T∞ = (4) ここで、DJは適正膨張したと仮定したときのノズル径であり、 1 2 4 1 2 1 0.5( 1) 1 0.5( 1) J D J D J M M D M M γ γ

γ

γ

+ − ⎛ + − ⎞ = ⎜ + ⎟ ⎝ ⎠ D (5) 流体場の解析手法として、7 次精度 WCNS 法を用いた.WCNS 法は Deng(12)らによって、WENO 法(13)とコンパクト差分法(14)の組 み合わせとして開発された.オリジナルの WCNS は 5 次精度の定 式であったが野々村らによって 9 次精度まで拡張されている(15) WCNS は WENO に比べて解像度が若干高いことに付け加えて、 一様流保持(16)が可能、変数補間が可能、様々な流束評価法が可能 といった利点がある. WCNS 内で行う流束評価法には SHUS(17) を用いている. 音響場の解析には、10 次精度コンパクト差分法(14)を用いた.数 値振動を抑えるため 10 次精度 3 重対角フィルター(18)を用いた. この際、フィルターの強さαfは 0.45 とした. である. またρ, γ, μ, T,D はそれぞれ密度、比熱比、粘性係数、温度、 ノズル径である.本研究ではこれら 2 つのパラメタの値をそれぞ れ Re=105、T ratio=1 とした.本来のロケットプルームでは、より高 いレイノルズ数、温度比となるが、本解析で用いる解析手法の都 合から計算コストを抑えるために上記のようなパラメタを選んで いる.レイノルズ数 Re に関しては、過去の実験データよりブロ ードバンドな特性が現れる程度を選んでおり、温度比 Tratioは別途 影響を調べる予定である. 乱流モデルには、LES のサブグリッドスケールの乱流渦粘性を 風上差分の数値粘性が補っていると考える MILES 法(19)を用いた. このため、サブグリッドスケールには何も用いていない.このよ うな MILES は WCNS に対して現在基本的な流れを中心に検証が 進められている(20) 時間積分法には 3 次精度 TVD-Runge-Kutta(21)を用いた.時間刻 みは最大 CFL 数が 1 程度となるように、設定した. 最後に、ジェットプロファイルを Fig. 3 に示す.本解析では、 非常に薄いせん断層(9)を与えて解析を行った.このように薄いせ ん断層を用いることで、擾乱を与えなくとも不安定性を誘起でき るため人工的な擾乱は入れていない.このように流入条件を決め ることでパラメトリックスタディを行う際に、擾乱の強さを考慮 に入れなくてよいと考えられ、見通しの良い解析となると考えて いる. また、音圧の評価方法であるが、計算領域内では圧力変動をそ のまま音圧として解析し、遠方場では Discrete Fourier Transform し たあと周波数領域でキルヒホフ法(22)を用いて予測した.積分面は 音響場の外側としており、この場所では過去の研究(23)から近傍場 の圧力変動を拾わない十分に遠方場であることを確認している. 計算格子は、Fig. 5 に示すとおりであり、軸方向(x 方向)に 901 点(x/D=0~30)、軸から離れる方向(r 方向)に 200 点(r/D=0~10)、周 方向に 60 点とした.ただし、軸近傍では、Fig. 6 に示すように、 矩形格子としている.このようにすることで、軸対称格子に比べ て最小格子幅を大きくすることが出来、時間刻み幅を大きく取れ、 計算効率の向上を図ることができる.最小格子幅は、x 方向に 0.0333、r および周方向に 0.02 程度、としている.音響場では、r 方向の格子幅が 0.05 程度となるように、流体場と音響場の接続部 付近で格子伸張を行っている.また Buffer 領域には、音波が伝播 する方向には、1.4 倍程度、渦が流出する方向には、1.05 倍で 20 点程度伸ばした後で、1.4 倍程度の格子伸張を行った.この Buffer 領域には 20~50 点程度の格子点を設けている. 次に、音圧レベル SPL とストロハル数(無次元周波数)St の定義 を示す. 10 [ ] 20 log ref p SPL dB p = (( J fD St U = である.ここで、 圧力変動の実行値であり、 は最小可聴音 圧で p ( ref p( これらの格子点数は、コンパクトスキームでジェット騒音解析 を行っているBodony とLele(5)の格子点数を各方向に2倍した程度 となっている.WCNS はコンパクト差分の解像度の 1/2 程度の解 像度であるため(WCNS=8point per wave(24)

, コンパクト差分 4=point per wave 程度)、結果的に Bodony と Lele の解像度と同程度

5 2 10 [ ] 101300[ ] ref Pa p p Pa − ∞ × = × ( である.これらのパラメタは解析結果の議論に用いられる.

(3)

B1-2 の解像度となっていると考えられる. FLOW-REGION ACOUSTIC-REGION BUFFR-REGION 10D 3D ~100D

Fig. 4 Computational domain

Fig. 5 Computational grids in flow-region

Fig. 6 Zoomed computational grids

4.検証 MJ20MD20 の解析を用いて本解析の妥当性を示す.本節では、 過去の実験、計算でのほぼ同程度のパラメタのジェットとの比較 を行った.比較対象とした実験、計算のパラメタを Table 1 に示す. まず、Fig. 7 に MJ20MD20 の瞬間流れ場を示す.中央部分の灰 色の面は速度勾配テンソルの第二不変量の等値面を示しており、 面は圧力変動量を示している.Fig. 7 からジェットから下流方向 に強く放射される Mach 波の存在がわかる.また境界付近での反 射等はなく問題なく解析できていることが伺える. 次に、速度の平均場を Fig. 8 に示す.平均的に見ると、乱れが 伝わっていないポテンシャルコアとその後乱れが相似的に広が る発達領域がわかる.このポテンシャルコア長さと音源位置は 非常に強い関係を持っていることが知られている. 次にポテンシャルコアの長さを過去の実験と比較する.Figure 9, 10 に本計算と過去の実験、計算との軸上の軸方向速度の平均 値の比較を示す.比較対象のデータの都合より Fig. 9 はマッハ数、 Fig. 10 は速度での比較となっている.

Figure 9 をみると、本計算とレイノルズ数の近い Troutt and McLaughlin の実験はポテンシャルコアが終わり、マッハ数が落ち 始める位置がほぼ同じである.それに対してレイノルズ数の高い Seinar and Ponton の結果はポテンシャルコアがより長くなってい ることがわかる.以上の結果より、同じ程度のレイノルズ数のジ ェットで非常に良い一致を見せた本解析結果はポテンシャルコア に対して十分な予測ができると考えられる.しかしながら、実際 のロケットを意識して議論を行う場合は、よりポテンシャルコア が長くなることを考慮にいれる必要があろう.また、Fig. 10 の速 度での比較をみると、若干のジェット条件の差異があるものの本 計算と Lau らの実験は良い一致といえる.他の実験とは、異なる 結果となっているが、これはせん断層の与え方などによる変化で あり、コアの予測という観点からは本解析で与えた薄いせん断層 がよりよい結果となることを示していると考えられる. 次に、本計算と過去の実験、計算の速度変動分布の比較を Fig. 11 に示す.ピークの位置はコアの壊れる位置と一致しており、ピー クの強さもよい予測をしていることがわかる.本解析では、ピー クより後流側で強い変動量を予測している.しかしながら、後述 するように音の発生という面からは良い予測となっているため、 ピークよりも後流側での変動量の不一致はあまり音の発生に影響 をしていないと考えられる. 次に指向性のグラフを示す.Figure 12 のように、指向性とはジ ェット出口から一定距離を保ちながら角度を変えた場合にどのよ うに音圧レベルが変化するかを示している.R/D=40 と R/D=100 でそれぞれ過去の実験、計算との比較を行った図を Fig. 13 および Fig. 14 に示す.Figure 14 の本計算以外の結果は Bodony and Lele(5) によって各研究でR/Dの異なった十分遠方場の値をR/D=100の値 に修正したものである.Figure13 より、R/D=40 での指向性はピー ク位置がよく一致しており、超音速ジェットで問題となるマッハ 波の指向性をよくとらえていることがわかる.またピークの強さ も 3dB 程度小さく見積もっているものの、これは本解析の超音速 ジェットの音発生メカニズムの理解という観点からは十分な一致 であると考えられる. また、R/D=100 での指向性をみると(Fig. 14)、本解析結果と実験 はピーク位置で非常に良い一致を示しており、ここでもマッハ波 の指向性を的確にとらえられていることがわかる.若干、より大 きな角度で音をより強く予測していることがわかるが、これは、 乱流の微細構造から発生する音をより強く評価してしまったため と考えられる.これは、前述のピーク位置後流での速度変動の過 大評価との関係が考えられ、現在調査中である.また、他の計算 結果との比較を行っても、本解析は妥当な値で指向性を評価して いることがわかる.よって本解析がモデルの向上という目的から みて十分な精度を持っていると判断する.

Table 1 Experimental and computational conditions of the cases

used in the validation (* shows experimental study)

name

M

J

M

D

Re T

ratio

u

J

/a

Bodony and

Lele

(23)

1.95

1.95 336000 1 1.47

Morris et al

(25)

1.95

1.95 100000 1 1.47

Shur et al

(26)

1.37

1.37 500000 1.38

1.37

*Seinar and

Ponton

(27)

2.0 2.0 5600000 1 1.49

*Troutt and

McLaughlin

(28)

2.1 2.1 70000 1 1.53

*Tanna

(29)

1.95

1.95 660000 1 1.47

*Lau et al

(30)

1.37

1.37 630000 1.38

1.37

Present study

2.0 2.0 100000 1 1.49

(4)

B1-2 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0 5 10 15 20 25 x/D uflu c tu a tio n /U j Present Results Bodony and Lele Morris Lau

-0.01 Normalized pressure fluctuation 0.01

Fig. 11 Comparison of axial velocity fluctuation Fig. 7 Instantaneous flow fields of MJ20MD20. (Iso-surface: second

invariant of velocity gradient tensor, Plain: pressure distribution)

observer

JET

θ

R/D

0[deg]

90[deg]

NOZZLE

0 0 30 x/D r/D 3 0 u/uD 1

Fig. 12 Schematic of directivity Fig. 8 Averaged velocity fields

100 105 110 115 120 125 130 135 140 145 150 0 50

θ

SPL

0 0.5 1 1.5 2 2.5 0 5 10 15 20 25 30 x/D M Present results (Mj=2.0 Re=100000) Seiner and Ponton (Mj=2.0 Re=5.6x10^6) Troutt and McLaughlin (Mj=2.1 Re=70000)

100 Present results Seiner and Ponton (Mj=2.0 Re=5.6x10^6) Troutt and McLaughlin (Mj=2.1 Re=70000) Fig. 9 Comparison of Mach number distribution on axis

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 5 10 15 20 x/D u/U j present results Bodony and Lele Morris et al Lau et al

Fig. 13 Comparison of directivity at R/D=40

100 105 110 115 120 125 130 135 140 145 150 0 50 100

θ

SP

L

present results Morris et al. Bodony & Lele Shur et al. Tanna

Fig. 10 Comparison of averaged axial velocity distribution on axis

(5)

B1-2 5.周波数特性 0 0 30 x/D r/D 3 MJ30MD30 での解析結果を用いて、その周波数特性の議論を行 う.まずは、近傍場でのオーバーオールの音圧レベルを Fig. 15 に 示す.Figure 15 は各点の色がその場所での音圧を示している.マ ッハ波による音圧レベルの高い部分がジェット中央部から、斜め 上方向に存在することがわかる.Figuire 15 におけるこのマッハ波 の音源部分(図中○)は、Fig. 16 に示す軸上の軸方向速度平均から ポテンシャルコアの終わったあたり(速度が落ち始める位置)から 下流にかけての部分(図中○)であることがわかる. 0 u/uD 1

Fig. 16 Averaged velocity fields of 次にオクターブバンドフィルタを掛けた音圧レベル分布を Fig. 17 に示す.中心周波数にはストロハル数 0.0325, 0.0625, 0.125, 0.25, 0.5, 1.0, 2,0 および 4,0 を用いた.

0

10

x/D

30

r/D

ストロハル数 0.0625 からマッハと思われる音が発生しており、 周波数が上がるにつれてマッハ波の放射角度が大きくなり、音源 位置が上流側に移動しているのがわかる.オクターブバンドフィ ルタをかけた音圧レベルでピークとなる周波数はストロハル数 0.5 程度であり(バンド幅は周波数が上がるにつれて大きくなって いるため注意が必要である)、ストロハル数 2 と 4 では非物理的な 音圧分布が見られる.これは、格子解像度が足らないため、音響 場で格子が比較的粗い r 方向の音波の伝播の計算がうまくいかな くなったためと考えられる.

(a) St=0.0325

0

10

x/D

30

r/D

前述の、マッハ波の指向性および音源位置は NASA-SP8072 で の経験則と一致しており、過去に調べられた特性が確認されたと いえる.

(b) St=0.0625

低周波がより下流に現れる音源位置に関しては、音の発生原因 となるせん断層の振動が、Brown and Roshko(31)の実験のように下

流に行くに従いより低い周波数が現れる逆カスケーディング的な 流れ場構造となっているためと考えられる.また放射角度につい ては、マッハ波は雰囲気に対して超音速で移流する擾乱によって 作られると考えられるが、この移流速度が大きいほど角度も大き くなる.このため高周波が発生する上流側のほうが、移流速度が 大きいため、低周波のマッハ波に比べて角度が大きいと考えられ る.

r/D

0

10

x/D

30

(c) St=0.125

次に、近傍場での Fig. 18 および Table 2 に示す A~D 点での音圧 レベルの周波数解析結果を Fig. 19 に示す.C、D 点では低周波に ピークを持っており、高周波にいくにつれて音圧レベルが下がっ ていくことがわかる.これは、前述のように、C、D 点では、低 周波のマッハ波が支配的であり、高周波のマッハ波はより大きな 角度で放射されているため高周波にいくほどその影響が弱まるた めであると考えられる.

0

10

x/D

30

r/D

(d) St=0.25

逆に B 点では、高周波の影響が強まり、低周波の影響が弱まるた め、結果的にフラットな周波数特性となっていることがわかる.

0

10

x/D

30

r/D

A の位置でもフラットな周波数特性が現われているが、この部分 ではマッハ波の放射はないと考えられるため、乱流の微細構造か ら発生する音と考えられる.

r/D

0

10

x/D

30

(e) St=0.5

r/D

0

10

x/D

30

130 SPL 170

Fig. 15 OASPL of MJ30MD30

(f) St=1.0

(threshold: 130dB-170dB, each 2dB line is written)

(6)

B1-2 謝辞

0

10

x/D

30

r/D

この研究の一部は科研費(19-3209)の援助を受けた.ここに感謝 する. 参考文献

(g) St=2.0

r/D

0

10

x/D

30

(h) St=4.0

120 SPL 160 120 SPL 160

Fig. 17 continued

0 30 10 15 x r A B C D JET

Fig. 18 Measurement position of noise spectrum

Table 2 Measurement position of noise spectrum

name

x/D r/D

A 0 10

B 10 10

C 20 10

D 30 10

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Fig. 19 Spectrum of sound pressure level at points A, B, C and D

(17) Shima E. and Jounouchi T., “Role of CFD in Aeronautical Engineering (No14) –AUSM type Upwind Schemes-,” Proceedings of the 14th NAL Symposium on Aircraft Computational Aerodynamics (1997), pp. 7-12. 6.おわりに 本解析で用いている解像度がジェット音響に対して十分な解像 度があるかをマッハ 2.0 のジェットを過去の実験、計算と比較し て確かめた.平均速度分布や速度変動、指向性などは実験と良い 一致を見せており、音源の特徴を議論するという目的に対して十 分な解像度があることを示した.

(18) Gaitonde, D. V., and Visbal, M. R., “Further Development of a Navier-Stokes Solution Procedure Based on Higher-Order Formulas,” AIAA Paper 99-0557 (1999).

また、周波数特性をマッハ 3.0 のジェットを用いて調べた.周 波数特性は過去のロケット音響予測の経験則と同じ傾向を示した.

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これらのデータを用いて今後、超音速ジェットからの音の発生の

(7)

B1-2 Compressible Turbulent Flow” AIAA paper 2007-920

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(25) Morris, P.J., Long, L. N., Sheidegger, T. E. and Boluriaan, S., “Simluations of supersonic jet noise,” International Journal of Aeroacoustics, Vol. 1, No. 1(2002), pp.17-41

(26) Shur, M., Spalart, P. R., and Strelets, M. K., “Noise Prediction for Increasingly Complex Jets,” International Journal of Aeroacoustics, Vol. 4, No. 3-4(2005), pp.247-266

(27) Seiner, J. M and Ponton, M. K., “Aeroacoustic Data for High Reynolds Number Supersonic Axissymmetric Jets,”, NASA TM-86296(1985)

(28) Troutt, T. R. and McLaughlin, D. K., 1982, “Experiments on the flow and acoustic properties of a moderate-Reynolds-number supersonic jet,” Journal of Fluid Mechnics, vol. 116, pp 123-156 (29) Tanna, H.K., “An Experimental Study of Jet Noise Part I: Turbulent

Mixing Noise,” Journal of Sound and Vibration, Vol. 50 No. 3(1977), pp-405-428.

(30) Lau, J.C., Morris, P. J. and Fisher, M. J., “Measurements in subsonic and supersonic jets using a laser velocimeter,” Journal of Fluid Mechnics, Vol. 93(1979), pp. 1-27

(31) Brown, G. L. and Roshko, A., “On density effects and large structure in turbulent mixing layers,” Journal of Fluid Mechnics, Vol. 64(1974), pp. 775-981

Fig. 1 An example of computation in the present study.  Instantaneous  flow-fields of Mach 3.0 super sonic jet
Figure 9 をみると、本計算とレイノルズ数の近い Troutt and  McLaughlin  の実験はポテンシャルコアが終わり、 マッハ数が落ち 始める位置がほぼ同じである.それに対してレイノルズ数の高い Seinar and Ponton の結果はポテンシャルコアがより長くなってい ることがわかる.以上の結果より、同じ程度のレイノルズ数のジ ェットで非常に良い一致を見せた本解析結果はポテンシャルコア に対して十分な予測ができると考えられる.しかしながら、実際 のロケットを意識して議論を行う場合は
Fig. 11 Comparison of axial velocity fluctuation  Fig. 7 Instantaneous flow fields of MJ20MD20
Fig. 16 Averaged velocity fields of    次にオクターブバンドフィルタを掛けた音圧レベル分布を Fig.  17 に示す. 中心周波数にはストロハル数 0.0325, 0.0625, 0.125, 0.25,  0.5, 1.0, 2,0 および 4,0 を用いた.  0 10 30 x/Dr/D  ストロハル数 0.0625 からマッハと思われる音が発生しており、周波数が上がるにつれてマッハ波の放射角度が大きくなり、音源位置が上流側に移動しているのがわかる.オクターブバ
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参照

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ローリング 1年目 : ①、⑤、⑨、⑬、⑰ 同 2年目 : ②、⑥、⑩、⑭、⑱ 同 3年目 : ③、⑦、⑪、⑮、⑲ 同 4年目