作成日:平成26年5月7日
株式会社
ケインズアイ
「建物所有会社」を使った節税対策
1. 節税の手法としての会社の設立
(1)所得税節税の手法
~法人成りシミュレーション~(
2)相続税節税の手法
~相続税シミュレーション~2. 相続対策とは
4. 「建物所有会社」 設立の留意点
5. シュミレーション実践
6. 合計投資効果比較表
3. 相続財産の評価方法を知ろう
1. 節税の手法としての会社の設立
①所得分散による所得税軽減の効果
不動産賃貸の場合の所得税は
「累進税率(所得が大きいほど税率が上昇)」
の仕組みになっています。たとえば、一人で1000万円の所得よりも、2人で
500万円ずつの所得のほうが、合計した税負担は安くなるということです。
課税所得金額区分 税率 控除額 195万円以下 15% - 195万円超 330万円以下 20% 97,500円 330万円超 695万円以下 30% 427,500円 695万円超 900万円以下 33% 636,000円 900万円超 1,800万円以下 43% 1,536,000円 <現行所得税・住民税率表>(1)所得税節税の手法
例:課税所得 1000万円の場合の所得税・住民税・・・2,764,000円 課税所得 500万円の場合の所得税・住民税・・・1,072,500円 619,000円の 節税 × 2人 = 2,145,000円②必要経費の範囲の増大
→ 役員への生命保険の保険料の経費算入 退職金の経費算入
③「不動産所得」を「給与所得」に置き換えることができる。
→ 給与所得には「給与所得控除」がある(2)相続税節税の手法
例:1000万円の給与収入 → 780万円の給与所得 500万円の給与収入 → 346万円の給与所得 100万円の給与収入 → 35万円の給与所得① 長期間(20年)に及ぶ賃貸収入から生ずる、キャッシュストックの増加を相
続人である子供に会社からの給与として移し替えることで相続税の節税
を図る。
② 子供(孫)が株主になることで、会社は子供(孫)のものになるので、株式
を自分の相続に関係させないことができる。従って、自分の相続時には
登記の費用等が発生しない。
相続税対策には
二つ
の方法があります。 1. 評価額を下げる方法 現金=評価額→現金で物を買う→物=評価額 現金>物評価額 現金-物評価額=相続税対策現金
物
△100万円 +100万円 評価額 △100万円 +80万円 評価額 100万円で購入 =△20万円(が相続税対策になる)現金
+100万円 以上 100万円で売却 評価のときだけ下がり、買った金額以上に売れることがベスト。ポイント
2. 相続対策とは
2. 相続財産の増加を止める 所得を家族に分散し増加を抑える。 短期的には「対策1:評価額を下げる方法」が有効だが、長期的(5年以上)には、 「対策2:相続財産の増加を止める」が対策1よりも効果は大きい。 0.00% 5.00% 10.00% 15.00% 20.00% 25.00% 30.00% 35.00% 40.00% 45.00% 50.00% 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000 負担税額 実効税率 ●子供2人の場合 高額所得者は毎年財産が増加していく=相続税が上がっていく 実効税率 (万円) ▶ 相続税早見表 を開く → 詳細はコチラ
1.所得税(フロー)の譲渡所得の計算で使われる譲渡原価と比較してみよう。
相続税
所得税の譲渡原価
【土地】 路線価方式 または 固定資産税評価倍率方式(路線価が無い場所) ※概ね公示価額(時価)×80% 【建物】 固定資産税評価額 ※概ね購入価額×50%~60% 【土地】 譲渡原価は購入価額による 購入価額が不明のときは、売却金額の5% 【建物】 購入価額-減価償却累計額 譲渡所得=収入(売却額)-譲渡原価-譲渡費用3.相続財産の評価方法を知ろう
2.数字を使って見てみよう。 土地:更地評価額 1億円 マンション:建築価額 2億円 相続税評価額は…
+
3億円
貸家建付地1億円×(1-0.6×0.3)=8,200万円 借家権 借地権 マンション2億円×0.6×(1-0.3 ) =8,400万円 固定資産税評価額 借家権 合計16,600万円(評価減13,400万円)=
1億円 2億円 例: 相続税の影響額 対策前相続財産: 5億円 対策後相続財産: 3億6,600万円(5億円-1億3,400万円) 相続人: 子供2人 <対策前相続税> 1億5,210万円 <対策後相続税> 9,560万円 <差引節税額> 5,650万円「借金をすると相続税が下がります。相続対策をしましょう。 」 のカラクリ 土地:更地評価額 1億円 現金: 2億円 2億円 相続税評価額は… 1億円 2億円 例: 借入金:2億円 現金: 20, 000万円 (20, 000万円) 土地建物評価減後:16,600万円(評価減13,400万円) 借入金: -20, 000万円 (-20, 000万円) 土地: 10, 000万円 (8,200万円) 評価減後 建物: 20, 000万円 (8,400万円)
+
=
3億円
現金でも借金でも同じになります。対策 建物所有方式について 土地賃貸 地代収入 コンビニ 本部 地主 ①一般借地の場合 ②地主が店舗を建てた場合 ③子供が店舗を建てた場合 ④会社が店舗を建てた場合 コ ン ビ ニ 本 部 子供A (子供A,B ,C共有) 地主 <建物所有方式> 収入全額が「子供A(子供A,B,C)」に移転 土地固定 資産税負担 設立会社 地主 <建物所有方式> 収入全額が「設立会社」に移転 地主 (子供A) 配偶者 (子供B) 子供A (子供C) 地代収入 ※収入全額が地主 建物賃貸 家賃収入
4. 「建物所有会社」 設立の留意点
コ ン ビ ニ 本 部 建物賃貸 家賃収入 地主 地主 ※収入全額が地主 建物賃貸 家賃収入 給与 コ ン ビ ニ 本 部 固定資産税 2.5倍 (貸宅地評価) (貸家建付地評価) (自用地評価) (貸宅地評価)①一般借地の場合 ③子供が店舗を建てた場合 <デメリット> ・収入全額が地主(相続財産が増加する) ・ひとりの収入なので所得税が高い ・相続対策の効果が少ない(設備投資が少ない) <メリット> ・当該土地の更地評価の80%(借地権の無償 返還の届出書) <デメリット> ・収入全額が地主(相続財産が増加する) ・ひとりの収入なので所得税が高い <メリット> ・貸家建付地として一定(借地権割合×0.3)の 評価減あり ・当該店舗の評価、建築価格の40% (評価減60%)が見込める <デメリット> ・相続対策の効果が全くない 更地評価のまま 当該店舗の評価減が使えない <メリット> ・収入全額が子供(相続財産が増加しない) <デメリット> ・当該店舗の評価減が使えない ・地主に一定の地代所得が生じる(固定資産税×1.5) <メリット> ・収入全額が会社(相続財産に影響が少ない) ・給与として複数の人に所得分散できる ・給与者を子供にすることで相続財産が増加しない ・当該土地の更地評価の80%(借地権の無償返還の届出書)