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Microsoft Word - 最終版 研究報告No.22.docx

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全文

(1)

日 本 の 高 齢 者 の 主 要 死 因 に 対 す る ピ リ オ ド 型 と

コ ー ホ ー ト 型 の 死 因 別 死 亡 確 率 の 比 較

吉 永 一 彦

南 條 善 治

NUPRI 研究報告シリーズ No.22

2015年3月

(2)

吉 永 一 彦

福岡大学医学部社会医学系総合研究室講師

南 條 善 治

日本大学人口研究所客員所員 福島県立医科大学名誉教授

(3)

研究報告シリーズ

No.22

目 次

要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

1

1 資 料 と 方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1.1 資 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1.2 死 因 別 死 亡 確 率 の計 算 方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2 結 果 お よ び 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2.1 ピリオド型 とコーホート型 の平 均 余 命 の比 較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2 . 2 主 要 死 因 別 死 亡 確 率 の 年 次 推 移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.2.1 主 要 死 因 別 ピリオド型 死 亡 確 率 の年 次 推 移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2.2.2 主 要 死 因 別 コーホート型 死 亡 確 率 の年 次 推 移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

2.2.3 主 要 死 因 別 ピリオド型 死 亡 確 率 とコーホート型 死 亡 確 率 の比 較 ・・・8

2.2.4 主 要 死 因 別 死 亡 確 率 の性 差 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

8

文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9

S u m m a r y ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 2

(4)

1 要 約 近 年 の 労 働 環 境 や 生 活 環 境 、 さ ら に は 医 療 技 術 な ど の 著 し い 改 善 に よ り 死 亡 率 は 低 下 し 、 平 均 寿 命 も 急 速 に 伸 び て き た 。 死 因 に つ い て も 環 境 の 改 善 に 伴 っ て そ の 構 造 は変 化 してきた。死 因 構 造 の表 現 の 一 つに多 重 減 少 生 命 表 に基 づいた死 因 別 死 亡 確 率 が あ り、 さき に ピリ オ ド的 に 観 察 した が 、 本 稿 で は コ ーホ ー ト的 に 観 察 し、 そ れら の 比 較 および性 差 での比 較 を行 う。 コーホート型 ではピリオド型 において単 調 に増 加 している死 因 あるいは減 少 している死 因 で は そ の 増 加 あ る い は 減 少 を 拡 大 し て い る 。 減 少 し た の は 胃 腸 炎 と 結 核 で 短 期 間 に おいて大 きく減 少 した。 逆 に大 きく増 加 したの は悪 性 新 生 物 と肺 炎 である。性 差 ではピリ オド型 死 亡 確 率 において悪 性 新 生 物 の差 が大 きく、2010 年 では男 子 の約 30%に対 し て女 子 が 20%で約 10%の大 きな違 いがあった。コーホート型 についても 1970 年 60 歳 コ ーホートで約 7%の大 きな差 がみられた。 本 稿 で示 す 死 因 別 死 亡 確 率 は 多 重 減 少 生 命 表 を 用 い て いる た め 、 同 時 に 多 くの 死 因 を 扱 う こと が で き 、 死 因 間 、 年 次 間 、 性 別 で も 比 較 が 可 能 で あ る 。 そ の た め 、 人 口 学 、 公 衆 衛 生 学 や疫 学 の研 究 では有 用 かつ興 味 ある手 法 と思 われる。 Keywords: 期 間 生 命 表 、世 代 生 命 表 、ピリオド型 死 因 別 死 亡 確 率 、コーホート型 死 因 別 死 亡 確 率 、主 要 死 因 構 造 はじめに 近 年 の 労 働 環 境 や 生 活 環 境 、 さ ら に は 医 療 技 術 な ど の 著 し い 改 善 に よ り 死 亡 率 は 低 下 し、平 均 寿 命 も急 速 に伸 びてきた。 死 因 についても年 次 と共 にそれぞれに改 善 され た 環 境 に 関 連 し た 疾 患 の 死 亡 が 減 少 し 、 そ の 構 造 は 変 化 し て き た 。 例 え ば 、 公 衆 衛 生 活 動 に よ り 感 染 症 疾 患 の 減 少 、 栄 養 環 境 で は 脳 血 管 疾 患 な ど の 改 善 が 飛 躍 的 に 見 ら れ た 。 こ の よ う に 年 次 と 共 に 死 因 構 造 も 大 き く 変 化 し て き て お り 、 我 々 は こ れ ま で 主 要 死 因 に つ い て 死 亡 率 の 年 次 推 移 を 観 察 し 、 さ ら に は 、 そ れ ら の 変 化 が 平 均 寿 命 に 及 ぼ す 影 響 について研 究 してきた(重 松 他 1981, Shigematsu et al. 1994, Yoshinaga et al. 2005, 吉 永 他 2006, 吉 永 他 2010 )。 また、 年 次 推 移 の 観 察 と と も に あ る 世 代 に つ い てある年 齢 以 降 の生 存 ・死 亡 状 況 を生 命 表 形 式 で表 した世 代 (コーホート)生 命 表 を作 成 し、観 察 した(小 林 ・南 條 1988、南 條 ・吉 永 2002)。

さきの研 究 NUPRI 研 究 報 告 シリーズ No.15(南 條 ・吉 永 2014)では、多 重 減 少 生 命 表 (Multiple Decrement Life Tables、略 称 MDLT)の考 えに基 づいたピリオド型 の死 因 別 死 亡 確 率 (記 号 πx

iで示 す)の観 察 をおこなった。これは、ある年 齢 以 降 のある特 定 死 因 による死 亡 確 率 (probability of eventually dying from specified cause of death) である(水 島 、1963)。

本 稿 で は こ れ に 続 き 、 あ る 年 齢 の 人 ( 世 代 ) が そ の 後 、 年 次 と 加 齢 に 伴 っ て 特 定 の 死 因 で 死 ぬ 確 率 、 い わ ゆ る 世 代 別 に 見 た コ ー ホ ー ト 型 の 死 因 別 死 亡 確 率 ( コ ー ホ ー ト 型 死 因 別 死 亡 確 率 と記 す)を 60 歳 以 上 の高 齢 者 について観 察 し、さきのピリオド型 死 因 別 死 亡 確 率 との比 較 およびそれぞれにおける性 差 の観 察 を行 う。

(5)

2 1. 資 料 と方 法

1.1. 資 料

観 察 年 次 は 1950~2010 年 、年 齢 は 60~100 歳 であり、必 要 となる資 料 は各 歳 別 の 生 命 表 お よ び 死 因 別 死 亡 数 で あ る 。 生 命 表 は 100 歳 ま で 必 要 と な る た め HMD (Berkeley, The Human Mortality Database)の 1950~2010 年 の各 歳 (0~110)を用 い た。死 亡 データは厚 生 労 働 省 の人 口 動 態 統 計 から 1950~2010 年 の全 死 因 および死 因 別 死 亡 数 ( 年 齢 階 級 は 0,1,2,3,4,5-9,10-14,…,95-99,100+)を使 用 した。主 要 死 因 分 類 は さ き に 重 松 ら ( 重 松 他 1981 ) が ICD6 ~ 8 に つい て 年 次 的 観 察 が で き る よ う に 統 一 的 に 分 類 し た も の を 基 に 、Yoshinaga and Une ( 2005 ) に よ り 若 干 の 修 正 と ICD9,10 の 追 加 を したもの であり、主 要 なもの として胃 腸 炎 、結 核 、悪 性 新 生 物 、 心 疾 患 、 高 血 圧 性 疾 患 、 脳 血 管 疾 患 、 肺 炎 ・ 気 管 支 炎 ( 以 下 , 肺 炎 ) 、 不 慮 の 事 故 、 自 殺 の 9 分 類 および残 りを「その他 」としてまとめ、合 わせて 10 分 類 とし、表 1 に再 掲 した (Yoshinaga 他 2005、南 條 他 2014) 。 本 稿 ではコーホート観 察 を行 うため各 年 ・各 歳 データの必 要 があり、年 次 別 に 5 歳 階 級 形 式 で あ る 死 因 別 死 亡 数 に つ い て は ス プ ラ イ ン 関 数 と ゴ ン ペ ル ツ ・ メ イ カ ム 曲 線 を 用 いて各 歳 数 に補 間 した。補 間 作 業 は各 年 毎 に行 い、5 歳 階 級 別 死 亡 数 を 0 歳 から高 表1. 主要死因分類表(再掲)

ICD6 ICD7 ICD8 ICD10*

S25-32 S33-42 S43-53 S54-S62 S63-H6 H7-1950-57 1958-67 1968-78 1979-87 1988-94 1995-全死因 0000 0000 0000 0000 0000 00000 胃腸炎 B36 B43b B36 B43b B4 B46e B4 B46e 4 72 A04 A08 A09 K29 K50-52 K57 結核 B1 B2 B1 B2 B5 B6 B5 B6 5 6 01200(A15-19) 悪性新生物 B18 B18 B19 B19 28-37 02100(C00-97) 心疾患 B25 B26 B27 B25 B26 B27 B26 B28 B29 B26 B28 B29 46 51-52 54-56 09200(I01-02.0, I05-09, I20-25, I27, I30-51) I26,28 高血圧性疾患B28 B29 B28 B29 B27 B27 48-49 09100(I10-13) 脳血管疾患 B22 B22 B30 B30 58-60 09300(I60-69) 肺炎 B31 B43a B32 B31 B43a B32 B32 B33a B46d B32 B33a B46d 63 66 466 10200(J12-18) J20-22 J40-42,44 事故 BE47 BE48 BE47 BE48 BE47 BE48 BE47 E104-E114 20100(V01-59) Y40-86 Y88-89 自殺 BE49 BE49 BE49 BE49 E115 20200(X60-84) その他

ICD10*:5桁の数字は死因簡単分類を表し、その括弧内は死因基本分類での内訳を示す ICD9

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3 齢 へ累 積 し、これに 3 次 スプライン関 数 を用 いて各 歳 の累 積 死 亡 数 に補 間 する。ここで、 高 齢 の 90 歳 以 上 では死 亡 数 が急 激 に減 少 するため 3 次 スプライン関 数 では揺 れが生 じた。そのため 90 歳 以 上 では累 積 した年 齢 階 級 別 死 亡 数 にゴンペルツ・メイカム曲 線 を 適 用 して平 滑 化 した。そのため 90 歳 以 上 では僅 かながら誤 差 が生 じている。最 後 に年 齢 間 の差 分 をとって、各 歳 の死 亡 数 を得 た。 1.2. 死 因 別 死 亡 確 率 の計 算 方 法 本 稿 で は ピ リ オ ド 型 死 亡 確 率 と コ ー ホ ー ト 型 死 亡 確 率 を 求 め る が 、 前 者 は 各 年 に つ い て 生 命 表 と 死 亡 数 か ら 求 め られ る 。 後 者 は あ る出 生 年 の 世 代 に つ い て 追 跡 し て いくも ので加 齢 とともに年 次 も進 んでいく。従 って、観 察 年 齢 を高 齢 者 の 60 歳 から 100 歳 の 40 年 間 を対 象 にしているため、計 算 年 数 も前 者 では 1950 年 から 2010 年 までであるが、 後 者 では 1950 年 から 1970 年 まで求 められる。

死 因 別 死 亡 確 率 の計 算 方 法 は Preston, et al.(2001)、山 口 他 (1995)、Namboodiri, N.K., et al.(1987)を参 照 している。

表 2 は胃 腸 炎 、1950 年 、男 子 におけるピリオド型 の死 亡 確 率 の計 算 例 である。

nDx all deaths in age interval [x, x+n-1] #実 際 の数 nDxi deaths from cause i in age interval [x, x+ n-1] #実 際 の数

lx number surviving at exact age x of 100000 born #life table、以 下 同 様 nqx probability that an individual of age x dies before reaching age x +n nqx

i

=nqx·nDx i/

nDx probability from cause i that an individual of age x dies before reaching age x +n

ndx i = l

x·nqx

i number dying from cause i between ages x and x +n lx i =∑ ndx i sum of ndt i in age interval [x,∞) πx i = l x i / l

x probability of eventually dying from cause i alive at age x 表2.死亡確率の計算例、胃腸炎、男子、1950年 Age x nDx nD i x lx nqx nq i x nd i x l i x π i x 1 60 6,494 193 100,000 0.02679 0.00079 79 5,168 0.05168 2 61 6,753 210 97,321 0.02866 0.00089 87 5,089 0.05229 3 62 7,011 226 94,532 0.03061 0.00099 93 5,002 0.05292 4 63 7,267 241 91,638 0.03533 0.00117 107 4,909 0.05357 : : : : : : : : : 36 95 90 5 270 0.38764 0.02323 6 14 0.05089 37 96 63 3 166 0.40490 0.02190 4 7 0.04517 38 97 44 2 98 0.42176 0.02029 2 4 0.03911 39 98 31 1 57 0.43815 0.01854 1 2 0.03254 40 99 21 1 32 0.45400 0.01674 1 1 0.02492 41 100 15 0 17 0.46924 0.01497 0 0 0.01497 Total 174,298 8,434 5,168

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4 ここで必 要 な資 料 は各 歳 の全 死 因 死 亡 数 nDx、死 因 i の死 亡 数 nD i xおよび生 命 表 の 死 亡 率 nqxである。他 は定 義 により計 算 される。まず、生 命 表 の死 亡 率 nqxから生 存 数 lx を求 める。次 に死 亡 率 nqxを全 死 因 死 亡 数 に対 する死 因 i の死 亡 数 の割 合 で分 配 (nqx i し、これに生 存 数 lxをかけて生 命 表 の死 因 i の死 亡 数 ndxiを求 める。これらを x 歳 以 上 について累 計 して lx i を求 める。これは x 歳 以 上 で死 因 i により死 亡 する合 計 である。最 後 にその年 齢 における生 存 数 lxに対 する lx i の割 合 、すなわち、死 因 i による死 亡 確 率 πx i を得 る。したがって、各 年 齢 において「その他 の死 因 」を含 むすべての死 因 i に対 す る πxiを合 計 すると 1.0 になる。 コ ー ホ ー ト 型 死 亡 確 率 の 計 算 で も 計 算 手 順 は 全 く 同 様 で 、 全 死 亡 数 、 死 因 別 死 亡 数 、生 命 表 死 亡 率 に該 当 するコーホートの値 で置 き換 えるだけである。 2. 結 果 および考 察 2.1.ピリオド型 とコーホート型 の平 均 余 命 の比 較 本 稿 で は ピ リ オ ド 型 と コ ー ホ ー ト 型 と の 比 較 を 行 う た め 、 ま ず 、 そ れ ぞ れ の 生 命 表 に お ける 60 歳 以 上 の平 均 余 命 を観 察 した(表 3)。コーホート生 命 表 における平 均 余 命 は 「日 本 の世 代 生 命 表 1891-2000」と同 じ方 法 により 1891-2010 版 へ拡 張 したもの(吉 永 ・ 南 條 2014)を参 照 した。当 然 のことながらコーホート生 命 表 における平 均 余 命 の方 が大 きく、男 子 の 60 歳 で比 較 してみるとその差 は 1950 年 で 1.06 年 、1960 年 では 1.73 年 、 1970 年 では 2.91 年 コーホート型 の方 が大 きく、その大 きさも年 次 とともに増 大 している。 同 様 に女 子 の 60 歳 では 1950 年 1.75 年 、1960 年 2.76 年 、1970 年 では 4.40 年 大 き く、同 年 における男 子 よりその差 は大 きい。70 歳 でも同 様 である。80 歳 では 1960 年 を除 いてコーホート型 の方 が大 きい。 2.2.主 要 死 因 別 死 亡 確 率 の年 次 推 移 表 4.1、表 4.2 はそれぞれ性 別 について年 次 別 、年 齢 別 の死 因 別 死 亡 確 率 で、左 側 に ピリ オド型 死 因 別 死 亡 確 率 、中 央 に コーホ ート型 死 因 別 死 亡 確 率 、右 側 に ピリ オド型 とコーホート型 の差 を併 記 した。表 4.3 は性 差 である。年 次 は 1950~1970 年 を 10 年 毎 、 表3. ピリオド、コホート別平均余命 60 70 80 60 70 80 60 70 80 1950 13.98 8.52 4.81 15.04 8.78 5.06 1.06 0.26 0.25 1960 14.85 8.85 4.93 16.58 9.44 4.88 1.73 0.59 -0.05 1970 15.93 9.56 5.26 18.84 10.80 5.55 2.91 1.24 0.29 1990 20.01 12.66 6.88 2010 22.75 14.96 8.42 1950 16.34 10.02 5.42 18.09 10.58 5.86 1.75 0.56 0.44 1960 17.84 10.78 5.89 20.60 11.62 5.90 2.76 0.84 0.01 1970 19.26 11.74 6.25 23.65 13.66 6.68 4.40 1.92 0.43 1990 24.39 15.87 8.72 2010 28.28 19.43 11.46 * 日本の世代生命表 差=(コーホート)-(ピリオド) 女子 Age Year ピリオド生命表 コホート生命表* 男子

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5 ピリオド型 についてはさらに1990、2010 年 を記 した。網 掛 けの部 分 は表 4.1、表 4.2 では 死 亡 確 率 がコーホート型 の方 が大 きいことを示 し、表 4.3 では死 亡 確 率 が男 子 の方 が大 きいことを示 す。 表4.1. 主要死因別死亡確率、男子 60 70 80 60 70 80 60 70 80 1950 0.0517 0.0601 0.0666 0.0165 0.0152 0.0140 -0.0352 -0.0450 -0.0526 1960 0.0238 0.0294 0.0397 0.0057 0.0052 0.0042 -0.0181 -0.0242 -0.0355 1970 0.0116 0.0139 0.0193 0.0020 0.0017 0.0018 -0.0096 -0.0122 -0.0176 1990 0.0019 0.0021 0.0028 2010 0.0022 0.0023 0.0024 1950 0.0295 0.0123 0.0039 0.0351 0.0223 0.0115 0.0056 0.0100 0.0076 1960 0.0309 0.0220 0.0086 0.0220 0.0136 0.0060 -0.0090 -0.0084 -0.0027 1970 0.0238 0.0197 0.0124 0.0108 0.0068 0.0042 -0.0130 -0.0129 -0.0081 1990 0.0059 0.0056 0.0046 2010 0.0024 0.0026 0.0029 1950 0.0910 0.0598 0.0237 0.1418 0.1220 0.0839 0.0507 0.0622 0.0602 1960 0.1306 0.0970 0.0449 0.1910 0.1738 0.1407 0.0604 0.0769 0.0958 1970 0.1560 0.1228 0.0680 0.2469 0.2322 0.1932 0.0909 0.1094 0.1252 1990 0.2519 0.2185 0.1612 2010 0.2987 0.2777 0.2288 1950 0.0796 0.0693 0.0502 0.1368 0.1516 0.1855 0.0572 0.0823 0.1354 1960 0.1164 0.1200 0.1167 0.1634 0.1838 0.2185 0.0470 0.0638 0.1018 1970 0.1434 0.1505 0.1654 0.1754 0.1865 0.1860 0.0320 0.0360 0.0206 1990 0.2085 0.2173 0.2325 2010 0.1465 0.1482 0.1543 1950 0.0245 0.0284 0.0301 0.0311 0.0375 0.0404 0.0066 0.0091 0.0103 1960 0.0281 0.0300 0.0279 0.0260 0.0265 0.0236 -0.0022 -0.0034 -0.0043 1970 0.0301 0.0335 0.0375 0.0118 0.0106 0.0094 -0.0184 -0.0230 -0.0281 1990 0.0109 0.0121 0.0149 2010 0.0047 0.0048 0.0054 1950 0.2192 0.2116 0.1613 0.3031 0.3148 0.2859 0.0839 0.1032 0.1246 1960 0.2715 0.2559 0.1984 0.2790 0.2635 0.2124 0.0075 0.0076 0.0140 1970 0.3078 0.3125 0.2778 0.1892 0.1718 0.1566 -0.1187 -0.1408 -0.1212 1990 0.1474 0.1549 0.1634 2010 0.0987 0.1013 0.1040 1950 0.0712 0.0786 0.0801 0.0581 0.0665 0.0883 -0.0131 -0.0120 0.0082 1960 0.0612 0.0706 0.0826 0.0798 0.0988 0.1373 0.0185 0.0282 0.0547 1970 0.0592 0.0664 0.0772 0.1229 0.1464 0.1857 0.0637 0.0800 0.1085 1990 0.1323 0.1471 0.1685 2010 0.1416 0.1544 0.1779 1950 0.0126 0.0100 0.0092 0.0192 0.0176 0.0152 0.0066 0.0076 0.0060 1960 0.0200 0.0160 0.0138 0.0239 0.0196 0.0167 0.0039 0.0037 0.0029 1970 0.0259 0.0208 0.0169 0.0289 0.0260 0.0277 0.0030 0.0052 0.0108 1990 0.0231 0.0206 0.0177 2010 0.0332 0.0324 0.0314 1950 0.0131 0.0102 0.0068 0.0103 0.0073 0.0056 -0.0028 -0.0029 -0.0012 1960 0.0099 0.0073 0.0046 0.0098 0.0078 0.0060 -0.0001 0.0005 0.0014 1970 0.0089 0.0072 0.0054 0.0093 0.0074 0.0051 0.0004 0.0003 -0.0003 1990 0.0092 0.0074 0.0056 2010 0.0098 0.0062 0.0039 1950 0.4074 0.4595 0.5676 0.2476 0.2440 0.2669 -0.1598 -0.2154 -0.3007 1960 0.3074 0.3518 0.4626 0.1973 0.2041 0.2288 -0.1101 -0.1477 -0.2338 1970 0.2329 0.2523 0.3192 0.1985 0.2052 0.2211 -0.0343 -0.0471 -0.0982 1990 0.2077 0.2130 0.2266 2010 0.2492 0.2556 0.2689 網掛けのセルは期間型<コーホートを示す 悪性新生物 心疾患 高血圧 脳血管疾患 差=(コーホート)-(期間) 期間死亡確率 コホート死亡確率 肺炎 不慮の事故 自殺 その他 死因 Age Year 胃腸炎 結核

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6 表4.2. 主要死因別死亡確率、女子 60 70 80 60 70 80 60 70 80 1950 0.0673 0.0735 0.0769 0.0222 0.0202 0.0182 -0.0451 -0.0533 -0.0587 1960 0.0376 0.0427 0.0512 0.0076 0.0069 0.0055 -0.0300 -0.0359 -0.0457 1970 0.0192 0.0215 0.0266 0.0028 0.0025 0.0025 -0.0164 -0.0190 -0.0241 1990 0.0031 0.0033 0.0037 2010 0.0029 0.0030 0.0030 1950 0.0156 0.0063 0.0020 0.0157 0.0085 0.0038 0.0001 0.0022 0.0018 1960 0.0130 0.0085 0.0035 0.0081 0.0045 0.0019 -0.0049 -0.0040 -0.0016 1970 0.0090 0.0074 0.0045 0.0033 0.0020 0.0014 -0.0057 -0.0054 -0.0031 1990 0.0020 0.0018 0.0015 2010 0.0014 0.0014 0.0014 1950 0.0712 0.0451 0.0196 0.1081 0.0881 0.0580 0.0369 0.0430 0.0384 1960 0.0974 0.0717 0.0373 0.1401 0.1208 0.0938 0.0426 0.0491 0.0565 1970 0.1102 0.0849 0.0463 0.1744 0.1570 0.1290 0.0643 0.0721 0.0827 1990 0.1577 0.1381 0.1033 2010 0.1916 0.1749 0.1451 1950 0.0764 0.0660 0.0481 0.1544 0.1661 0.1940 0.0781 0.1001 0.1459 1960 0.1152 0.1146 0.1072 0.1970 0.2126 0.2385 0.0818 0.0980 0.1313 1970 0.1539 0.1577 0.1648 0.2058 0.2148 0.2136 0.0519 0.0571 0.0488 1990 0.2514 0.2583 0.2665 2010 0.1855 0.1897 0.1950 1950 0.0275 0.0305 0.0315 0.0411 0.0468 0.0503 0.0136 0.0163 0.0188 1960 0.0318 0.0327 0.0290 0.0332 0.0343 0.0315 0.0014 0.0015 0.0025 1970 0.0392 0.0416 0.0425 0.0159 0.0153 0.0145 -0.0234 -0.0263 -0.0281 1990 0.0209 0.0220 0.0249 2010 0.0085 0.0088 0.0095 1950 0.2153 0.2009 0.1485 0.3097 0.3136 0.2828 0.0944 0.1127 0.1343 1960 0.2631 0.2488 0.1915 0.2791 0.2692 0.2322 0.0159 0.0204 0.0408 1970 0.3012 0.3013 0.2654 0.1996 0.1907 0.1779 -0.1017 -0.1106 -0.0875 1990 0.1876 0.1921 0.1961 2010 0.1121 0.1137 0.1159 1950 0.0595 0.0627 0.0648 0.0547 0.0595 0.0718 -0.0048 -0.0031 0.0070 1960 0.0558 0.0606 0.0668 0.0764 0.0862 0.1065 0.0206 0.0256 0.0397 1970 0.0542 0.0576 0.0626 0.1068 0.1175 0.1356 0.0526 0.0599 0.0730 1990 0.1083 0.1137 0.1237 2010 0.1135 0.1177 0.1258 1950 0.0079 0.0075 0.0064 0.0147 0.0153 0.0148 0.0067 0.0078 0.0084 1960 0.0128 0.0121 0.0110 0.0166 0.0158 0.0148 0.0038 0.0038 0.0039 1970 0.0175 0.0162 0.0143 0.0211 0.0211 0.0220 0.0037 0.0049 0.0077 1990 0.0177 0.0169 0.0154 2010 0.0273 0.0269 0.0251 1950 0.0100 0.0082 0.0061 0.0089 0.0072 0.0051 -0.0011 -0.0010 -0.0010 1960 0.0086 0.0066 0.0043 0.0093 0.0080 0.0051 0.0007 0.0014 0.0007 1970 0.0088 0.0072 0.0047 0.0086 0.0067 0.0040 -0.0002 -0.0005 -0.0007 1990 0.0086 0.0071 0.0049 2010 0.0052 0.0037 0.0023 1950 0.4489 0.4987 0.5948 0.2675 0.2707 0.2942 -0.1814 -0.2281 -0.3006 1960 0.3644 0.4015 0.4979 0.2228 0.2300 0.2520 -0.1416 -0.1715 -0.2460 1970 0.2865 0.3042 0.3675 0.2299 0.2362 0.2509 -0.0566 -0.0681 -0.1166 1990 0.2385 0.2421 0.2540 2010 0.2939 0.2991 0.3065 自殺 その他 胃腸炎 結核 悪性新生物 心疾患 高血圧 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故 差=(コーホート)-(期間) 死因 Age Year 期間死亡確率 コホート死亡確率

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7 2.2.1.主 要 死 因 別 ピリオド型 死 亡 確 率 の年 次 推 移 まず、男 子 のピリオド型 死 因 別 死 亡 確 率 を観 察 する。60 歳 では、年 次 の推 移 とともに 減 少 しているのが胃 腸 炎 、結 核 で、2010 年 における死 亡 確 率 はいずれも 1%以 下 である。 表4.3. 主要死因別死亡確率の男女差(男子-女子) 60 70 80 60 70 80 1950 -0.0156 -0.0134 -0.0103 -0.0057 -0.0050 -0.0042 1960 -0.0138 -0.0134 -0.0115 -0.0019 -0.0016 -0.0013 1970 -0.0076 -0.0076 -0.0073 -0.0008 -0.0008 -0.0008 1990 -0.0012 -0.0012 -0.0009 2010 -0.0007 -0.0007 -0.0006 1950 0.0139 0.0060 0.0020 0.0194 0.0138 0.0077 1960 0.0179 0.0135 0.0052 0.0139 0.0091 0.0041 1970 0.0148 0.0123 0.0078 0.0074 0.0048 0.0028 1990 0.0039 0.0038 0.0030 2010 0.0011 0.0012 0.0015 1950 0.0198 0.0147 0.0042 0.0336 0.0339 0.0259 1960 0.0332 0.0253 0.0076 0.0509 0.0531 0.0469 1970 0.0458 0.0379 0.0217 0.0724 0.0752 0.0642 1990 0.0942 0.0804 0.0580 2010 0.1071 0.1027 0.0837 1950 0.0032 0.0033 0.0020 -0.0177 -0.0146 -0.0085 1960 0.0012 0.0054 0.0095 -0.0336 -0.0288 -0.0200 1970 -0.0105 -0.0072 0.0005 -0.0304 -0.0283 -0.0276 1990 -0.0429 -0.0409 -0.0340 2010 -0.0390 -0.0415 -0.0407 1950 -0.0030 -0.0020 -0.0014 -0.0100 -0.0093 -0.0099 1960 -0.0037 -0.0028 -0.0011 -0.0073 -0.0077 -0.0079 1970 -0.0091 -0.0080 -0.0050 -0.0041 -0.0047 -0.0050 1990 -0.0100 -0.0099 -0.0100 2010 -0.0038 -0.0040 -0.0041 1950 0.0039 0.0106 0.0128 -0.0066 0.0012 0.0031 1960 0.0084 0.0071 0.0069 0.0000 -0.0057 -0.0198 1970 0.0066 0.0112 0.0125 -0.0104 -0.0190 -0.0212 1990 -0.0402 -0.0372 -0.0326 2010 -0.0133 -0.0124 -0.0119 1950 0.0117 0.0159 0.0153 0.0035 0.0070 0.0166 1960 0.0054 0.0100 0.0158 0.0034 0.0126 0.0308 1970 0.0050 0.0088 0.0146 0.0161 0.0289 0.0500 1990 0.0240 0.0334 0.0448 2010 0.0281 0.0367 0.0521 1950 0.0047 0.0026 0.0027 0.0046 0.0023 0.0004 1960 0.0073 0.0039 0.0028 0.0073 0.0038 0.0019 1970 0.0084 0.0046 0.0026 0.0078 0.0049 0.0057 1990 0.0054 0.0038 0.0023 2010 0.0059 0.0056 0.0063 1950 0.0032 0.0020 0.0007 0.0015 0.0000 0.0005 1960 0.0012 0.0007 0.0003 0.0004 -0.0001 0.0009 1970 0.0001 0.0000 0.0007 0.0007 0.0007 0.0011 1990 0.0007 0.0002 0.0006 2010 0.0046 0.0025 0.0017 1950 -0.0415 -0.0393 -0.0272 -0.0199 -0.0266 -0.0273 1960 -0.0570 -0.0496 -0.0354 -0.0256 -0.0259 -0.0232 1970 -0.0536 -0.0520 -0.0482 -0.0313 -0.0310 -0.0298 1990 -0.0308 -0.0292 -0.0275 2010 -0.0447 -0.0435 -0.0376 網掛けのセルは女子<男子を示す 死因 Age Year 期間死亡確率 コホート死亡確率 胃腸炎 肺炎 不慮の事故 自殺 その他 結核 悪性新生物 心疾患 高血圧 脳血管疾患

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8 脳 血 管 疾 患 は 1970 年 の 30%をピークにその後 減 少 して 2010 年 には 10%以 下 になっ た。高 血 圧 も 1970 年 まで増 加 傾 向 であるがその後 減 少 に転 じ、2010 年 では 1%以 下 で ある。心 疾 患 は 1990 年 をピークに減 少 に転 じたがあまり大 きな改 善 ではなく、2010 年 で ほぼ 15%である。増 加 したのが悪 性 新 生 物 で 2010 年 では約 30%を占 めている。また、 肺 炎 が1990 年 以 降 増 加 して約 15%になった。不 慮 の事 故 は 3%前 後 、自 殺 はほぼ 1% である。また、その他 が依 然 として約 25%を占 めている。70 歳 でも年 次 推 移 は 60 歳 とほ ぼ同 様 であるが 、 加 齢 に 伴 っ て増 加 しているの が 心 疾 患 、 高 血 圧 、 肺 炎 である。 悪 性 新 生 物 は減 少 している。 同 様 に 女 子 の ピ リ オ ド 型 死 因 別 死 亡 確 率 で は 値 の 大 小 は 多 少 あ る が 男 子 と ほ ぼ 同 傾 向 である。性 差 については 2.2.4 節 で観 察 する。 2.2.2.主 要 死 因 別 コーホート型 死 亡 確 率 の年 次 推 移 コ ー ホ ー ト型 死 因 別 死 亡 確 率 で は そ の 年 次 か ら 年 次 経 過 を 伴 う加 齢 であ るか ら 、 ピリ オド型 で年 次 の 推 移 に伴 って単 調 な増 加 あるいは減 少 を している死 因 ではコーホート型 で は そ の 変 化 は 増 幅 さ れ る 。 男 子 に つ い て 、 例 え ば 胃 腸 炎 と 結 核 で は 短 期 間 で 大 き く 減 少 している。大 きく増 加 したのが悪 性 新 生 物 と肺 炎 である。心 疾 患 も1970 年 でも若 干 の増 加 である。脳 血 管 疾 患 は 1960 年 以 降 大 きく減 少 している。 2.2.3.主 要 死 因 別 ピリオド型 死 亡 確 率 とコーホート型 死 亡 確 率 の比 較 前 節 で も 述 べ た が 、 ピ リ オ ド 型 で 単 調 な 増 加 あ る い は 減 少 を し て い る 死 因 で は コ ー ホ ート型 では そ の 変 化 は増 幅 される。 男 子 に ついて、 死 亡 確 率 の 差 (=コーホ ート型 -ピリ オド型 )で 1950~1970 年 でいずれも負 なのが胃 腸 炎 で、しかしその差 は縮 小 している。 死 亡 確 率 そのも のが小 さくなったためである。 結 核 、高 血 圧 および脳 血 管 疾 患 が同 様 な 傾 向 で正 から負 へ転 じ、 その 差 は負 へ拡 大 している。 心 疾 患 も正 ではあ るが 差 は縮 小 し ている。一 方 で悪 性 新 生 物 と肺 炎 は年 次 と共 にその差 は正 へ拡 大 している。 2.2.4.主 要 死 因 別 死 亡 確 率 の性 差 表 4.3 で網 掛 けの部 分 は男 子 の方 が死 亡 確 率 が大 きいもので、全 体 的 に各 死 因 で 一 貫 している。 ピリ オド型 と コーホート型 で共 に 男 子 の大 きいのが結 核 、悪 性 新 生 物 、 肺 炎 、不 慮 の事 故 、自 殺 である。中 でも悪 性 新 生 物 は10%ほど大 きい。次 いで肺 炎 が 2~ 3% で あ る から 、 悪 性 新 生 物 の 差 は 突 出 し てい る と い え る 。 心 疾 患 お よ び 脳 血 管 疾 患 は ピリオド型 の 1990 年 以 降 、コーホート型 では 1950 年 から男 子 の方 が大 きい。女 子 の方 が大 きいのが胃 腸 炎 、高 血 圧 、その他 である。 まとめ 本 稿 で 扱 っ た 「 あ る特 定 死 因 に よ る 死 因 別 死 亡 確 率 」 は 、 あ る年 齢 ま で 生 存 し て い た 人 が、 そ の後 あ る死 因 で死 亡 する確 率 であ り、 言 い換 えれば、 あ る年 齢 での生 存 数 に対 するその後 のある死 因 での死 亡 数 の割 合 である。死 因 別 死 亡 率 は通 常 各 歳 あるいは 5 歳 階 級 の よ う な 狭 い 年 齢 範 囲 で 用 い ら れ る が 、 死 因 別 死 亡 確 率 は あ る 年 齢 以 降 、 あ る

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9 いはある年 齢 から 20 年 間 以 内 に死 亡 する確 率 など、比 較 的 広 範 囲 に用 いられることが 多 い。 ま た 、 本 稿 で は コ ー ホ ー ト 型 死 亡 確 率 を 扱 っ た が 、 ピ リ オ ド 的 観 察 が 該 当 年 次 に お け る 年 齢 階 級 別 死 亡 率 を 仮 想 的 に 連 結 し て 生 命 表 関 数 を 求 め て い る の に 対 し て コ ー ホ ート的 観 察 はある人 あ るいは世 代 に対 するそ の後 の加 齢 に伴 う死 亡 率 を追 跡 しているた め実 際 の死 亡 過 程 による生 命 表 であり、実 質 的 である。 本 稿 では 1950~2010 年 の日 本 の「その他 」を含 む主 要 10 死 因 について、その死 因 別 死 亡 確 率 の長 期 の年 次 推 移 をピリオド型 とコーホート型 の 2 通 りについて計 算 し、そ の 差 、 お よ び そ れ ぞ れ の 死 因 別 死 亡 確 率 に お け る 性 差 に つ い て 観 察 し た 。 ま ず 、 ピ リ オ ド 型 で 死 因 別 死 亡 確 率 が 年 次 の 推 移 と と も に 減 少 し て い た 死 因 は 胃 腸 炎 お よ び 結 核 で あ る 。 共 に 感 染 症 関 係 で 公 衆 衛 生 環 境 の 改 善 に よ る も の で あ ろ う 。 ま た 脳 血 管 疾 患 および心 疾 患 は1970 年 あたりまで増 加 していたが、その後 は減 少 に転 じている。栄 養 環 境 の 改 善 に よ る も の と 思 わ れ る 。 逆 に 増 加 し た の が 生 存 率 の 低 い 悪 性 新 生 物 で 次 第 に 死 亡 割 合 を 増 し て い っ た 。 また 、 加 齢 に 伴 っ て 増 加 して い る の は 心 疾 患 、 高 血 圧 お よ び 肺 炎 である。肺 炎 は高 齢 おいて体 力 や免 疫 力 の低 下 により発 症 しやすくなりまた回 復 が 遅 れるためであろう。加 齢 に伴 う悪 性 新 生 物 の死 亡 確 率 は減 少 している。 コーホート型 ではピリオド型 において単 調 に増 加 している死 因 あるいは減 少 している死 因 で は そ の 増 加 あ る い は 減 少 を 拡 大 し て い る 。 減 少 し た の は 胃 腸 炎 と 結 核 で 短 期 間 に 大 きく減 少 した。逆 に大 きく増 加 したのは悪 性 新 生 物 と肺 炎 である。 性 差 ではピリオド型 死 亡 確 率 において悪 性 新 生 物 の差 が大 きく、男 子 の約 30%に対 して女 子 が 20%で約 10%の大 きな違 いが見 られた。コーホート型 についても 1970 年 60 歳 コーホートで約 7%の大 きな差 がみられた。 本 稿 で 示 し た 死 因 別 死 亡 確 率 は 多 重 減 少 生 命 表 を 用 い て い る た め 、 同 時 に 多 く の 死 因 を 扱 う こ と が で き 、 死 因 間 、 年 次 間 、 性 別 で の 比 較 が 可 能 で あ る 。 そ の た め 、 人 口 学 、公 衆 衛 生 学 や疫 学 の研 究 では有 用 かつ興 味 ある手 法 と思 われる。 (2015 年 3 月受付)(2015 年 3 月採用) 文 献 市 田 浩 三 ・吉 本 富 士 市 (1979)『スプライン関 数 とその応 用 』教 育 出 版 . 厚 生 労 働 省 (2013)「参 考 資 料 3 死 因 別 死 亡 確 率 と特 定 死 因 を除 去 した場 合 の平 均 余 命 の延 びの推 移 (1)死 因 別 死 亡 確 率 (主 要 死 因 )の推 移 (0 歳 ・65 歳 ・75 歳 ・90 歳 )」『平 成 25 年 簡 易 生 命 表 の概 況 』 (http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/dl/life13-10.pdf) (最 終 確 認 2015 年 5 月 19 日 ). 国 立 がん研 究 センター(2015)「コホート生 存 率 表 について」『がん情 報 サービス』 (http://ganjoho.jp/professional/statistics/cohort01.html) (最 終 確 認 2015 年 5 月 19 日 ). 国 立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究 所 (2012)『日 本 の将 来 推 計 人 口 、平 成 25 年 推 計 』. 小 林 和 正 ・南 條 善 治 (1988)『日 本 の世 代 生 命 表 -1891-1986 年 期 間 生 命 表 に基 づく

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A comparison between the period-type and cohort-type probabilities of

eventually dying from the main causes of death in Japan

Kazuhiko Yoshinaga and Zenji Nanjo

Summary

In recent decades labor circumstances, the living environment and medical technology have improved remarkably. As a result, in Japan the mortality rate has decreased, while life expectancy has greatly improved, with the structure of mortality causation also undergoing a significant change. In this paper we first observe the period-type probabilities of eventually dying from a specific cause, obtained by utilizing the multiple decrement life table (MDLT) method, and then conduct chronological and gender comparisons of these probabilities.

The subject of this study are gender-specific mortality rates broken by ten main causes of death among the Japanese elderly people (defined here as those 60 or older) in the period 1950-2010. Based on the MDLT method, we produce both the period and the cohort type of probabilities of eventually dying from a specific cause, and then make chronological comparisons between them (See Table 1 and Table 2).

These offer us the opportunity to handle many causes of death at the same time and allow us to conduct comparisons of mortality in Japan by the cause of death, year and gender, which is why we believe they present a method that could be of interest to researchers in fields such as demography, public health and epidemiology.

Keywords:

Multiple decrement life table, mortality broken by main causes of death, International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems (ICD), period-type life table, cohort-type life table, cause-specific probability of dying.

参照

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