Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Designチ
ャ
イ
ル ドラ イ
フ
・デ ザ イ
ン
と
小 児
看護
Child
凵
fe
−
Design
with
Child
Health
Nursing
村 松 三 智
東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療セン タ
ー
MURAMA1
「SU
Michi
T
()kyo
Women
’
sMedical
University
Yachiyo
Medica
【Center
1.
チャイ ル ド ラ イ フ・
デザ
イ ン と の出 会
いチ ャイル ドライフ
・
デザ インと は、
「子 ど もの入 院生
活のす べてに わ た り、
大 人の知 り え ぬ 恐怖
心 や 自責の念 か ら 解 放 し、
治 癒 効果 を高め る た め の デザイ ン1)」 の ことである。
これ は 病 気の子 ど も た ちの病院
にお ける権 利 を 示 し た、
病 院の こど も 憲章 (
図1
)
の 理念にも通 じ るとこ ろが あ り、
小 児 看 護にとっ て も有
用 なデザイン で あると言
え る。小児 医
療
は一
般に コ ス トがか か る と 言 わ れ ている。
実 際に大人
と比
べる と、
子 ど も専用
に用 意
さ れ た機 器 類
は はるか に 少 な く、
コス トも高
い の が現 状 だ。機
器 や物
品によっ て は、
子 ども 専 用のものがないた め、
大 人 用の も の を そ の ま ま使
っ て い る こ とも多
い。
そ ん な中
、
な んとか 子 ど もた ち に病院
に対
し て親
し みを 持っ ても ら お うと、
小 児 看 護の現 場では看 護 師 や 保育
士 が 工夫 を 凝 ら し 手 作 り したツー
ル が 多 く み られ る。
慣 れ ない場 所 で子ども た ちが心 穏 やか に過こすた め に環 境を整え ること は 重 要 なことで あ る。
特
に、
病 院
で行 う処
置に は大人
であっ ても 恐 怖 を 感 じ るも の も多
く、
病 院 環 境に お け る デザイ ン は 小児看
護 におい ても重
要 な 要素
である。
この 夏
、
小 児 看 護 専 門看
護 師 と して感性
デザ
インサマー
セ ミ ナー
に 参 加 する機 会 をいた だいた。
こ の サマー
セ ミ ナー
では、
感 性デザ インを 学 ぶ 大 学 生 や 大 学 院 生 が チャイ ル ドラ イフ・
デ ザイ ンをテー
マと し たツー
ルのプロ トタ イプを 持っ て プ レ ゼン テー
ショ ン を 行い、
そのプレ ゼンテー
ション に対し て、
小
児看
護の 専 門 家と して現 場の 立場か らコ メン ト し た。
日頃、
病 院の中
で看護 師
と して仕 事
をして い る私
にとっ て、
感性
デザ インを 学ぶ学生
と の交流
は と て も新鮮
な体 験
であった。
そ こ で驚いた こと は、
学 生 達の器 用 さで あ る。
デザ
インを学
ぶだ け あっ て、
それ ぞ れの学 生 が 持 ち 寄 るツー
ル は 洗 練 さ れ た デ ザ インば
かり であっ た。
同 時 に、
病 気 を もっ子どもた ちの た め に試 行 錯 誤 し、
考 え 出 さ れ た 作 品 た ち は、
チャイ ル ドラ イフ・
デザ
イン の 未 来へ の可 能 性を感じ さ せ る も ので あっ た。2 .
子 ど
も の発 達
子 ど も と大 人の大 き な違い のひ とつ に発
達
がある。人
は生涯発
達 を続
ける生 き 物であ る が、
小 児 期の発 達は特
に めざま し く、
小児
看 護の現 場では 子 ど もの月 齢 や 年齢
に よ り関 わ り方や
用い る道 具 が 大 き く 変 わっ てく る。
特 に、
お も ちゃや 絵本
な ど 図 1 病院の こど も 憲章 は子 ど もの 月齢
や年 齢
に よっ て、
興 味 や 好 み、
遊 び 方 が 変 わっ て く る。
小 児 看 護 が 成 人 看 護と大 き く異 な り 難しいと言 わ れる 点の ひとつ に、
発 達 に 合 わ せ た 関 わ りが あげ
られる。専
門的
に 子 ど もの発 達 につ いて学 ぶ 機 会のあ る 看 護 学 生で あっ て も、
臨
床 実 習
では指 導者
か ら 「こ の子の発 達 段 階 は 今 ど の レベル なの か ?」 と い う質
問 を投
げ か けられる こ と が 多い のが 現 状であ る。
実際
に、
感性
デザイ ン サ マー
セ ミ ナー
で コ メ ントを さ せて いた だ く機 会
を得
て、
チャイ ル ドライフ・
デ ザ インを学ぶ学 生 に とっ て も、
「子ど もの発 達」 はひ とつ のキー
ワー
ドに な るの では ないか と 感 じ た。
病 気 を もつ子 どもへ の関 わ りで は、
病 気
や 治 療による制 限 が あ るこ と も 多 く、
健 康 な 子ど も た ち以上 に 発 達へ の配
慮 が 必 要である。
病 気 や 治 療の説 明 も 子 ど もの発 達段 階
に合 わせ て行 わ な け れ ば、
効 果 的 と は ならない。
プ リ パ レー
ショ ン に関
するガ イ ドラ インに も、
「情 報 は 子どもの認知
能
力に合
わせ て提供
さ れるべ きであ る2 〕」 と あ つ、
チャイ ル ド42
デザイ ン学研究特 集号Special issue ot Japanese Society torthe ScienCe Of De$ign VOI
.
21・
1 No.
81 2014Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Designライフ
・
デザ インを 学 ぶ 学 生 に とっ て、
ピ アジェ の認 知 発 達 理論
やエ リクソ ン の自
我発
達 理論
な どの発 達 理論
を 理 解 す ること は、
と て も有
用である と感
じて い る。 赤 ちゃん は生 後4
か 月頃になると、
毎日世 話 をし てくれる人 の顔
を見
分 けること ができ る よ う に な る。
生 後6
か 月 を 過 ぎ る頃
に は、
座位
が と れるよう になる ことで視 界 が 広 が り、
自 分の意
志で物
をつ か ん だ り、
持
ち替
え た りする ことができるよ う に な る。
1
歳
頃に な る と、
バ イ バ イな どの簡単
な 大 人の しぐ さ を ま ね る よ う に な り、
簡 単 な
言葉
を 理解 す
るよう になる。 そ し て、
1
歳半
頃に な る と、
行 動
を す る前
に そ の状
況につい て考
え ることがで きるよう にな り、
洞 察
や予測
を するよ うになると言
わ れて いる3−
6 〕。実 際に
1
歳 半を過 ぎる頃に な る と、
言葉
が 通 じ る よ う に な り 大人
の簡単
な指
示に従
えるよ
う にな
る と日々 の看 護
の中
で経 験
的に感 じて いる。
なぜ 自分が処 置を受け な けれ ばな ら な い の か とい っ た 因 果 関 係 の 理解
までは 難 しいが、
注射
を す るこ と、
動 かない で いると早 く終 わ るた め協 力してほしい こと、
頑 張るこ と がで き た らご褒
美 に 好 き な キャラ ク ター
の絵 が 描 か れ たシー
ルが もらえ るこ となどを 説 明 す ると、
処 置の場 面で 泣い て し まっ ていても、
動 かず
に頑 張 れる子 ど も も 見 ら れ 始 め る 年 齢で あ る。
さ ら に、
看 護 師の手 を と り、
泣 かず
に 自分で歩いて処 置 室 に入 るこ との でき る 子 ど も もいて、
両 親 が 驚いて見 送 る 姿 を 目の当 た り に す ること も あ る。
日 々 子 ど も た ち と 接 して いる と、
子 ど もへ の説 明 に 年 齢 が 早 す ぎるということは ないと 感 じ る。
き ち ん と し た 説 明、
す な わ ち、
プ レパ レー
ショ ンは ど ん な 子 ど も に も 必 要 不 可 欠 な もの であ る。
大 人 が 考 え る 以 上 に、
子 ど も は 大 人の こと を よ く観 察し ている し、
理 解し ていると 感じ ることは 多い。
言 葉でう ま く伝 え ら れ ないだ けで、
子 ど も た ち は 多 くのこ と を 感 じ取っ ている の である。
2 〜5
歳 頃 に な る と、
子 ど も は 五 感 を 使っ て体 験 したこと を 通 して物 事 をとら え、
意 味づけて解 釈・
理 解 してい く具 体 的 な 思 考 を もつ よ う に な る。
そ の 視 点 は 自分 の 立 場 だ け か ら物 事 を と ら える傾 向 が 強 く、
自 己 中 心 的 な 思 考である。
言 語 能 力 は 発 達 して くる が、
自 分の思いを表 現 す る まで では な く、
代 弁 して くれ る 存 在 が 必要
と なる。
自分のプライ ドが傷
つくこと を防
こ う とする態 度 もみ られるよ う に なる。
そ のた め、
子 ど も が 安 心 で き る環 境を整え、
具 体 的な形で関 わり、
子ど も が自 己 信 頼 感 や自
己肯 定感
を体 験
でき る よ う に か かわる必
要 が ある7〕。
4
歳
頃 にな ると、
他 者
か らの規制
に も 対応
す る 行 動へ の 努力
を す る よ う に な る。
人 形 や 紙 芝 居、
絵 本 な ど を 用いて、
子 ど も が 理 解 でき る 言 葉 を 使い、
実 際 に 触 れ る な ど しな が ら、
子 ど もの質 問 に も 答 え、
ゆっ く り と わ か りや す くプ レパ レー
ションが な さ れ る と、
治 療・
処 置 に 向 か う カ を 発 揮でき る よ う に な る8}。
5 〜
7
歳 頃 に な ると、
病 気の ことに 次 第 に 関 心 を も ち、
病 気 であ ることを 理 解 す る よ う に な る が、
病 気 を 正しく理 解 す るこ と難 し く、
悪い こと を した 自 分へ の罰 と考 え た り す ること も 多 い。
絵本
や 人 形 な どでわ か りや す く具体
的 に説 明 すること が 効 果 的 と なる9)。
8
歳 以 上 に な ると、
自 分が具 体 的に理 解でき る 範 囲の こと に つ いては 論 理 的 に 考 え た り推 察でき る よ う に な る。
しか し、
目 に見
え ないものや現
実 的でないもの の理 解 は 難 しい。
そ のた め、
学 童 期の 子 ど もには 現 実の生 活 体 験に基 づいた 順 を追っ た具体 的
な説
明 を行
う ことによ り、
頑 張
る気持
ち が引
き出
さ れ、
処置
を乗
り越え て達 成 感 や 有 能 感 を もつ こ とができる援 助 が 必要
である。11
歳
を 過 ぎる頃
に なると、
可能 性
、
予 測、
原因
を含
めた説
明 が 可能
になる。 思春期
の子
ど もには、
検
査・
処置
の意 味
や必 要1
生を 理論
的に説
明し、
本 人
の主張 を聞い て共
に調 整 を 図る こ とが重
要となる10)。こ の よ う に
、
「子 ども 」 と言っ ても月齢
や年齢
に よ っ て認 知 発達
の特
徴 や 関 わ り方
が 大 き く 異 なっ てく る。 子どもの発達
に つ い て理 解し チ ャ イ ル ド ラ イフ・
デ ザ イン を提 案 することで、
よ り子 ど も に合
っ た デザ
インが 可能
に な ると考
えられ る。
3 ,
お も ち
ゃか
ら学
ぶ こ と も う6
年 ほ ど 前 に な る が、
私 は 認 定 特 定 非 営 利 活 動 法 人 日 本 グッ ド・
トイ 委 員 会の開 催 す る 「お も ちゃコ ンサ ル タン ト養 成 講 座1 を 受 講 し た。
日 本 グッド・
トイ 委 員 会 と は 遊 び 文 化の 向 上 を 目指 し、
東 京四谷の東 京 お も ちゃ美 術 館の運 営 や 国 立 成 育 医 療 研 究 センター
のお も ちゃライ ブ ラ リー
で の病児
の遊 びの 支 援 な どの活 動 を 行っ ている団
体である 1D。
この 「お も ち ゃ コ ン サ ルタン ト養 成 講 座」 の中で講 師であっ た 多田千尋先 生 が 「子 ど も を 引 きっ け る 要 素 」 に は、
アク ショ ン :実 行 す る
、
チェ ンジ:変 化 する
、
サ ウン ド:音 が する の
3
つが あ る という お 話 を してく だ さっ たこと が 今 も 心 に 残っ て い る。
実 際 に、
子 ど も と 遊 ぶ と ま さ にそ の通 りであると感 じる こと が 多 い。
感 性 デ ザ インサマー
セ ミ ナー
でも 学 生 が プ レゼン テー
ショ ン したツー
ル の多 くに こ の要 素 が取
り入れられてお り、
特
に ディス トラク ショ ン ツー
ル に おい ては有
用 な要素
ではないか と 感 じた。お も ちゃ と い う と 子 ども の も の と い う イ メ
ー
ジが強い が、
Neaf
社の積み木 や ドイツの カー
ドゲー
ム な ど、
世 代
を 超え て遊
ぶことの で き る お も ちゃが多
くある。
様 々 な お も ちゃと 出 会 い、
本 当 に 良いデ ザ インは 年 齢 を 超 え るの では ないか と 感 じて いる。
病 院 生 活 に よる ス トレ ス は 子 ど も だ けでなく、
親に とっ ても 大 き な 問 題である。
そ して、
親
が精神 的
に不安 定
になっ て しまうと、
子 ど も も 影響
を 受け て精 神
的に不安
定に なっ て し ま う。
入 院 中の子 ど もの遊 び に親
が付
き合
う機 会
は多
いため、
子 ど も だ けでな く親
の癒
し にも なる デザイ ン も ま た、
病 気
の子ど蒲
簾
諜
1
∵
∴
臨
Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Designも か ら求め ら れ て い る デザイ ン と 言 え るだろ う