平成 30 年度 山口県糖尿病療養指導士講習会 第 2 回確認試験
食事療法 1.食事療法について、正しいものはどれか。 a.糖尿病治療の基本であり、出発点である。 b.肥満者での体重の通常減量速度は 1 か月間に 5kg が良い。 c.食事療法で重要なことは、適正なエネルギー量の食事と規則的な食事習慣の 2 つである。 d.食事療法だけの人は指示エネルギー以内であれば、朝食を抜いても問題はない。 e.ご飯の計量は何回もしているうちに、目安量がわかってくるため、計量の確認をすること を指導する必要性はない。 2.食事療法について、正しいものはどれか。 a.エネルギー摂取量を決定する際、身長ではなく現体重で計算する。 b.成人の場合、軽労作の人の身体活動量の目安は 30~35kcal/kg 標準体重である。 c.炭水化物のエネルギー比率は指示エネルギー量の 40~60%エネルギーとする。 d.食物繊維は合併症を予防するため 1 日 15g を目標とする。 e.カーボカウントは血糖コントロールに視点をおいた食事療法である。 3.食事療法について、間違っているものはどれか。 a.高血圧がある場合の食塩量は 6g/日未満とする。 b.栄養素の配分でタンパク質のエネルギー比率は 20%エネルギー以下を目安とする。 c.過去の食習慣や食生活を十分把握し、実施不可能な食事療法を一方的に押しつけない。 d.食品交換表では、食品のエネルギー80kcal を 1 単位と定めている。 e.アルコールを許可された場合、指示エネルギーの約 10%以内の 1~3 単位とする。4.間食・補食・外食・中食について、正しいものはどれか。 a.嗜好飲料で 100ml 当たり 5kcal 未満であればカロリーオフと表示が出来る。 b.間食に適した食品は果物・牛乳である。但し、1 日の指示単位の範囲内で摂取する。 c.外食や中食は表 1・表 6 が多く、表 5 が少ない。 d.補食とは強い運動などをする時に、低血糖対策として必要なエネルギーを、1 日の指示エ ネルギーの範囲以内で摂取することである。 e.体重 1kg 増減は 6,000~7,000kcal のエネルギーの蓄積・消費に相当する。1 日 1 単位食 べ過ぎで 1 か月に 1kg 体重が増える計算になる。 5.食品交換表の分類で、間違っている組み合わせはどれか。 (1)いも ― 表1 (2)大豆 ― 表3 (3)チーズ ― 表4 (4)アボカド(多脂性食品) ― 表5 (5)かぼちゃ(炭水化物の多い野菜)― 表6 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(5) e.(4)(5)
薬物療法 1 (経口血糖降下薬) 6.次の記述の中で誤っているものはどれか。 a.患者個人の病態を考慮して、作用機序の面からその症例に適した薬剤を選択する。 b.初診時、血糖値が高い場合には、早期の改善を目指して、食事・運動療法と同時に経口血 糖降下薬治療を開始する。 c.経口血糖降下薬の適応は主に 2 型糖尿病であるが、2 型糖尿病であっても妊娠中あるいは 妊娠の可能性の高い場合には使用しない。 d.経口血糖降下薬の効果が次第に見られなくなる二次無効の原因として、食事療法、運動療 法そして服薬の不徹底があるので、再度指導を徹底する必要がある。 e.経口血糖降下薬で十分な血糖コントロールが得られない時には、高血糖による膵β細胞障 害を改善するためにもインスリン治療の必要性を説明し、再び経口血糖降下薬治療に戻る 可能性があることも加えて、インスリン導入を勧める。 7.経口血糖降下薬による低血糖について誤った記述はどれか。 a.低血糖の初期症状として、脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸などが現れる。 b.高度な低血糖では、精神障害、意識障害、けいれんなどが認められる。 c.経口血糖降下薬による低血糖への対応は、原則的にインスリン療法の場合と同様であるが、 一般にインスリンによる低血糖に比べて軽度であり、重症低血糖を起こすことはまれである。 d.スルフォニル尿素薬の血糖降下作用を増強する薬剤としてアスピリン、β-遮断剤、ワル ファリンなどがある。 e.α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合は、ブドウ糖またはそれを含むジュースや 清涼飲料水を摂取させる。
8.次の記述のうち正しいものの組み合わせはどれか。 (1)ビグアナイド薬は高齢者、心肺機能高度障害者、肝障害、腎障害を有する患者では乳酸 アシドーシスを来す可能性があり、注意を要する。 (2)チアゾリジン薬は心不全の増悪、発症が報告されており、心不全が現在あるいは過去に 認められる症例には投与しない。 (3)α-グルコシダーゼ阻害薬は糖質の吸収を阻害するため、炭水化物を多めに摂取するこ とができる。 (4)グリニド薬は食後高血糖の改善に用いるが、放屁の増加など消化器系の副作用が多く、 少量から開始するなどの対策が必要である。 (5)チアゾリジン薬はインスリン分泌促進作用が強く、肥満を助長することがあるので注意 を要する。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 9.DPP-4 阻害薬に関して誤った記述はどれか。 a.小腸粘膜に局在する細胞から栄養素の刺激によって分泌され、膵β細胞からインスリン分 泌を促進するホルモン(インクレチン)には、GLP-1 と GIP がある。 b.インクレチンは DPP-4 によって分解・不活化されるので、DPP-4 阻害薬は内因性インクレ チンの作用を増強する。 c.血糖依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する。 d.血糖コントロールの改善に際して体重が増加しにくい。 e.他の血糖降下作用との併用は効果がなく制限も多いので、もっぱら単独で使用されること が多い。 10.SGLT-2 阻害薬に関して誤った記述はどれか。 a.近位尿細管で再吸収されるブドウ糖のうち、90%は SGLT-2 によるものである。 b. SGLT-2 を阻害することでブドウ糖の再吸収を抑制して、尿糖としてブドウ糖を体外に排 泄することで血糖を低下させる。 c.インスリン作用には依存せずに糖毒性を解除することで、インスリン分泌能の回復やイン スリン抵抗性の改善が期待できる。
薬物療法 2(注射血糖降下薬) 11.インスリン療法の適応について正しい組み合わせはどれか。 (1)乳酸アシドーシスは絶対的適応である。 (2)2 型糖尿病で副腎皮質合成ステロイドの使用時は絶対的適応である。 (3)スルホニル尿素薬無効例は絶対的適応である。 (4)空腹時血糖値 300mg/dl は絶対的適応である。 (5)糖尿病合併妊娠は絶対的適応である。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 12.インスリン製剤の種類と特徴について正しい組み合わせはどれか。 (1)速効型インスリンは静脈内投与が出来る。 (2)超速効型インスリンは皮下注射後 3~5 時間血糖降下作用が持続する。 (3)配合溶解インスリンは皮下注射後 8~12 時間血糖降下作用が持続する。 (4)持効型インスリンは持続皮下インスリン注入療法に使用可能である。 (5)混合型インスリンは無色透明である。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 13.持続皮下インスリン注入療法(CSII)について正しいのはどれか。 a.パーソナル CGM 機能付きインスリンポンプ(SAP)は国内ではまだ使用出来ない。 b.2 型糖尿病には適応がない。 c.1 日の全基礎注入量は全注入量の約 30~40%になることが多い。 d.注入セットは1週間ごとに取り換える。 e.強化インスリン療法を行っている 1 型糖尿病患者は全例適応がある。
14.インスリン注射の留意点について正しい組み合わせどれか。 (1)入浴は吸収を遅くする。 (2)低血糖時のグルカゴンは皮下に注射する。 (3)針を抜くときは、注入ボタンを押し込んだままにする。 (4)皮下注射の注射部位で最も吸収が早いのは腹壁である。 (5)シックデイの時には自己判断でインスリンを中止してもよい。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 15.GLP-1 受容体作動薬について正しいのはどれか。 a.食欲増進作用がある。 b.グルカゴン分泌促進作用を有する。 c.インスリン依存状態の患者にも適応がある。 d.デュラグルチドは通常週1回投与である。 e.インスリンに比べ体重増加をきたしやすい。
糖尿病患者の心理と行動 16.自己効力について正しい組み合わせはどれか。 (1)自分がその行動をうまくとれるかどうかを予測することを「効力予期」という。 (2)ある行動をとると、どういう結果をもたらすかという予測を「結果予期」という。 (3)結果予期が高く、効力予期が低い患者(パターンⅡ)は、あきらめて無力感を感じて いる状態で、今まで成功体験をもてず学習性無力感を感じていることが多い。 (4)言語的説得では、特に根拠がなくても患者を褒めればよいのでだれでも簡単に使える。 (5)モデリングでは、条件のそろっている人ができているのを見たり聞いたりすると自己効 力が高まる。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 17.変化ステージモデルの熟考期の定義と内容について正しいものはどれか。 a.6 か月以内に行動を変えようとは考えていない。 b.6 か月以内に行動を変えようと考えている。 c.1 か月以内に行動を変えようと考え、その方向ですでにいくつかの行動段階を経ている。 d.行動を変えて 6 か月未満 e.行動を変えて 6 か月以上 18.各変化ステージにおける変化プロセスで間違っている内容はどれか。 a.前熟考期では、問題についての感情を明らかにする、体験する「感情体験」が効果的である。 b.熟考期では、問題と自分との関係を見直す「環境の再評価」が効果的である。 c.準備期では、変化を決断する「自己解放」が効果的である。 d.実行期・維持期では、問題行動の引き金を避ける「刺激のコントロール」が効果的である。 e.実行期・維持期では、他者の力を借りる「援助の関係の利用」が効果的である。
19.エンパワーメントついて正しい組み合わせはどれか。 (1)患者の糖尿病管理能力を引き出すアプローチの一つにエンパワーメント法がある。 (2)エンパワーメントアプローチでは、医療者の視点から問題を特定する。 (3)エンパワーメントアプローチでは、医学的データの改善を目的とする。 (4)医療者が患者の問題点や改善点について積極的に考え、患者に自己管理を促す。 (5)糖尿病療養において患者が意思決定の主体である。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5) 20.悲嘆のプロセスについて間違っている組み合わせはどれか。 (1)悲嘆のプロセスには、ショック期、悲嘆期、解消期がある。 (2)ショック期は、事実を認知し、強い悲しみにとらわれる時期である。 (3)ショック期には、怒り、悲しみ、不安、抑うつなどの感情がある。 (4)悲嘆期には、感情が表現できる場を提供する。自殺念慮に注意する。失われたものの個 人にとっての意味、最も重大な喪失は何かを発見する支援が必要である。 (5)悲嘆のプロセスは正常な適応過程であるため急がせることはできない。 a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)