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様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 21 年 6 月 16 日現在研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :26~28 課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) 好酸球性気道炎症における Th2 サイトカインと TLR3 受容体のクロストーク研究課題名 ( 英文 )

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(1)

Title 好酸球性気道炎症におけるTh2サイトカインとTLR3受容体のクロストーク

Sub Title Crosstalk between Th2 cytokines and Toll-like 3 receptor in the pathophysiology of eosinophilic airway inflammation

Author 新美, 京子(NIIMI, KYOKO) Publisher

Publication year 2009

Jtitle 科学研究費補助金研究成果報告書 (2008. )

Abstract RNAウイルス複製時に生じる二本鎖RNA を認識する膜受容体Toll-like receptor 3 (TLR3)の気管支平 滑筋における発現を確認し、Th2サイトカイン優位な微小環境下では、dsRNA刺激により好酸球遊 走性ケモカイン(eotaxin-1,RANTES)が産生され、強力な好酸球遊走活性が認められることを確認し た。また、培養ヒト気道上皮細胞(BEAS2B)/気管支平滑筋細胞(BSMC)にRNAウイルスであるヒトコ ロナウイルス株CoV229Eが感染・増殖することを確認した。 さらにBEAS2B にはウイルスレセプターaminopeptidase Nが構成的に発現しており、その発現は 合成二本鎖RNAであるpolyI:CとIL-4により相乗的に増強された。Th2サイトカイン優位な環境下で はTLR3シグナルを介してウイルスレセプターの発現が亢進し、ウイルス感染・増殖を増幅する可 能性があると考えられた。 Notes 研究種目:若手研究(B) 研究期間:2006~2008 課題番号:18790546 研究分野:医歯薬学 科研費の分科・細目:内科系臨床医学・呼吸器内科学 Genre Research Paper

URL http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KAKEN_18790546seika

(2)

様式 C-

19

科学研究費補助金研究成果報告書

平成21 年 6 月 16 日現在

研究成果の概要:

RNA ウイルス複製時に生じる二本鎖 RNA を認識する膜受容体 Toll-like receptor 3(TLR3)の 気管支平滑筋における発現を確認し、Th2 サイトカイン優位な微小環境下では、dsRNA 刺激によ り好酸球遊走性ケモカイン(eotaxin-1,RANTES)が産生され、強力な好酸球遊走活性が認められ ることを確認した。また、培養ヒト気道上皮細胞(BEAS2B)/気管支平滑筋細胞(BSMC)に RNA ウイ ルスであるヒトコロナウイルス株 CoV229E が感染・増殖することを確認した。

さらに BEAS2B にはウイルスレセプターaminopeptidase N が構成的に発現しており、その発現 は合成二本鎖 RNA である polyI:C と IL-4 により相乗的に増強された。Th2 サイトカイン優位な 環境下では TLR3 シグナルを介してウイルスレセプターの発現が亢進し、ウイルス感染・増殖を 増幅する可能性があると考えられた。 交付額 (金額単位:円) 直接経費 間接経費 合 計 2006 年度 1,400,000 0 1,400,000 2007 年度 1,000,000 0 1,000,000 2008 年度 1,000,000 300,000 1,300,000 年度 年度 総 計 3,400,000 300,000 3,700,000 研究分野:医歯薬学 科研費の分科・細目:内科系臨床医学・呼吸器内科学 キーワード:アレルギー・喘息、ウイルス、免疫学 研究種目:若手研究(B) 研究期間:2006∼2008 課題番号:18790546 研究課題名(和文) 好酸球性気道炎症における Th2 サイトカインと TLR3 受容体のクロスト ーク

研究課題名(英文) Crosstalk between Th2 cytokines and Toll-like 3 receptor in the pathophysiology of eosinophilic airway inflammation

研究代表者 新美 京子 (NIIMI KYOKO) 慶應義塾大学・医学部・助教 研究者番号:90338046

(3)

1.研究開始当初の背景 ウイルス、特にライノウイルス、コロナ ウイルスなどの RNA ウイルス感染は喘息、 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪誘因 の 40-80%を占めている。その際しばしば 好酸球性気道炎症を呈し、エオタキシンな どの好酸球遊走性ケモカインの喀痰中濃 度も増加していることが報告されている。 RNA ウイルス複製時に生じる二本鎖 RNA (dsRNA)を認識する膜受容体 Toll-like receptor 3(TLR3)は、樹状細胞、気道構 成細胞(気道上皮細胞、線維芽細胞)での 発現が確認されている。しかし、これらの 細胞を dsRNA で刺激しても、抗ウイルス作 用に関連するサイトカイン・ケモカインが 主に誘導され、好酸球性炎症に重要なエオ タキシンなどのケモカインの産生は誘導 されない。 喘息患者の気道のように Th2 サイトカ イン優位な微小環境下では、TLR3 を介し たシグナルが気道構成細胞からの好酸球 遊走因子放出を誘導することで好酸球性 気道炎症を成立・悪化させるのではないか、 との仮説に基づき研究を行うこととした。 2.研究の目的 二本鎖 RNA を認識した TLR3 シグナルが Th2 サイトカインと相互作用して TLR3 シグナ ル単独の場合と異なる生体反応をひきおこ す可能性、およびそのクロストークにより生じ る反応を検討する。さらにコロナウイルス感染 モデルを確立し、喘息患者においてウイルス 気道感染が好酸球優位な気道炎症を誘導 する機序を明らかにする。 3.研究の方法 (1)細胞培養 3∼5 名のドナーから採取された初代培養 BSMC を購入し、使用した。また、上皮細胞と してはヒト気管支上皮細胞株 BEAS2B を使用 した。 (2)ケモカイン測定 BSMC、BEAS2B を 24 穴プレートに培養し、 インターロイキン4(IL-4)もしくは IL-13 の存在下、非存在下で合成 dsRNA である poly inosinic-cystidic acid [poly(I:C)]で刺激 した。培養上清中の CCL5、CCL11、CXCL8、 CXCL10、IL-6 産生を ELISA 法で検討し、CCL11 と TLR3 発現は定量 RT-PCR 法で検討した。 また、TLR3 特異的中和抗体(24 時間培養)、 TLR3 特異的 siRNA(72 時間培養)、エンドソ ーム酸性化阻害薬 Bafilomycin A1(24 時間 培養)で処理した後に IL-4 と poly(I:C)で刺 激したときの CCL11 発現についても定量 RT-PCR 法で検討した。 (3)ケモカインによる好酸球遊走能の検討 末梢血好酸球は 4 名の健常成人から CD16 マイクロビーズを用いた negative selection 法で分離採取した。BSMC を poly(I:C)、IL-4、 もしくはその両者で刺激し、24 時間後に採取 した細胞上清中のケモカインによる好酸球 遊走能をボイデンチャンバー法で測定した。 また、抗 CCL11 中和抗体、抗 CCL5 中和抗体 もしくはその両者で培養上清を1時間イン キュベーションし、好酸球遊走能が抑制され るかについても検討した。 (4)気道構成細胞における TLR3 の発現とその 細胞内局在の検討 BEAS2B、BSMC を抗 TLR3 抗体で標識し、さ らに FITC 標識二次抗体で染色した後フロー サイトメトリー法で TLR3 の発現を検討した。 細胞内の TLR3 発現についてはサポニン処理 をおこない細胞透過性を亢進させて検討し た。 TLR3 と poly(I:C)の BSMC 内での局在は、 poly-L-lysine でコーティングしたカバーグ

(4)

ラスに BSMC を培養し、フルオレセインでラ ベリングした poly(I:C)を投与した後、パラ フォルムアルデヒドで固定した。同時に TLR3、 early endosome Ag-1(EEA1)に対する抗体 を用い、共焦点顕微鏡でその局在を検討した。 (5)気道構成細胞への CoV229E 感染 国立感染症研究所より供与を受けた RNA ウ イ ル ス で あ る ヒ ト コ ロ ナ ウ イ ル ス 229E (CoV229E)を使用した。 BEAS2B、BSMC にウイルスを接種し、34℃ /CO2 5%で 45 分インキュベーションの上感 染させた。ウイルス接種後 24-48 時間後に細 胞を固定し、免疫蛍光法(rabbit 抗 229E 抗体) で感染を確認した。感染後 24 時間、48 時間 の細胞でのウイルス蛋白の増殖をウエスタ ンブロット法で検討した。また、感染細胞と その上清中のウイルス titer を Hela 細胞を 用いたウイルス量定量(タイトレーション) 法で検討した。 (6)ウイルスレセプターの発現 BEAS2B における CoV229E のレセプター aminopeptidase N の 発 現 を リ ア ル タ イ ム RT-PCR 法で確認し、poly(I:C)投与による変 化を IL-4 の存在下/非存在下で検討した。さ らに IL-4 の存在下での CoV229E 感染による レセプターの発現も検討した。

4. 研究成果 (1) dsRNA によるケモカイン産生 IL-4 の有無にかかわらず poly(I:C)刺激に より BSMC、BEAS2B から多量の CCL5 が産生さ れた。CCL11 については BSMC でのみ産生が認 められ、IL-4 の存在下で CCL11 産生はさらに 増強した。またリアルタイム RT-PCR 法によ る検討では IL-4 と poly(I:C)の両者による刺 激で CCL11 mRNA の発現が相乗的に増加して いた。これらの反応は1本鎖 RNA、2本鎖 DNA による刺激では認められず、dsRNA に特異的 な反応であると考えられた。 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 0 0.1 1 10 R A N T E S ( p g /m l) 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 0 0.1 1 10 poly(I:C) IL-4 + poly(I:C) poly(I:C) ( g/ml) R A N T E S ( p g /m l) BEAS2B BSMC poly(I:C) ( g/ml) 0 500 1000 1500 2000 2500 0 0.1 1 10 poly(I:C) IL-4 + poly(I:C) 0 500 1000 1500 2000 2500 0 0.1 1 10 E o ta x in -1 ( p g /m l) E o ta x in -1 ( p g /m l) BEAS2B BSMC A) B) ** ** ** ** ** ** ** **** **** (2) ケモカインによる好酸球遊走能の検討 BSMC を IL-4 と poly(I:C)で刺激した細胞 上清では好酸球遊走能の亢進が認められ、 その作用は抗 CCL5 抗体では抑制されず、抗 CCL11 抗体により優位に抑制された

(5)

(3)気道構成細胞における TLR3 の発現とその 役割 BSMC と BEAS2B では TLR3 mRNA、蛋白を発 現していることを RT-PCR 法で確認した。フ ローサイトメトリー法により BEAS2B では細 胞内のみに、BSMC では細胞細胞表面にも TLR3 が発現していることが確認された。

TLR3 siRNA は control siRNA に比較して TLR3 の発現を 80%以上抑制したが、TLR4 の 発現には影響を認めなかったことから TLR3 特異的と考えた。この TLR3 siRNA の存在下 では IL-4 と poly(I:C)による BSMC からの CCL11mRNA 発現は有意に抑制された。 しかし、抗 TLR3 中和抗体で前処理した BSMC では poly (I:C)と IL-4 による CCL11 産生は 抑制されなかった。一方、エンドソームの酸 性化抑制剤である Bafilomycin A1 は IL-4 単 独による CCL11 の産生は抑制しなかったが、 poly (I:C)と IL-4 による CCL11 産生を有意 に抑制し、poly(I:C)の作用にはエンドソー ム酸性化が必要であると考えられた。 (4)BSMC における TLR3 と dsRNA の局在 BSMC に蛍光標識した poly(I:C)を投与し、 さらに TLR3 を蛍光標識したものを共焦点顕 微鏡で検討したところ、poly(I:C)の投与後 約 5 分で細胞内での凝集を認め、この時 (poly(I:C)と TLR3 は共局在していた。また、 エンドソームマーカーである EEA1 と TLR3 も 共局在が確認された。 Poly(I:C) (−) Poly(I:C) (+) Poly(I:C) TLR3 merge 以上より、喘息気道のように Th2 サイトカイ ン優位な環境下では、ウイルス由来二本鎖 RNA が気管支平滑筋細胞に作用し、エンドソ ーム内の TLR3 と会合することで eotaxin-1 などの好酸球性ケモカインの産生を誘導し、 好酸球性気道炎症を悪化させる可能性が示 唆された。 (6)気道構成細胞への CoV229E 感染 免疫蛍光法(rabbit 抗 229E 抗体)により BEAS2B、BSMC 両者で感染細胞を確認した。感 染後 24 時間、48 時間の細胞ではウイルス同 様の N 蛋白、M 蛋白が増殖していることをウ エスタンブロット法で確認した。 感染細胞とその上清中のウイルス titer は、 感染後 24 時間の時点で接種ウイルス量を超 えており、感染後ウイルスが細胞内で増殖し ていることが確認された。

(6)

(7)ウイルスレセプターの発現 BEAS2B に CoV229E のレセプターである aminopeptidase N が構成的に発現しているこ とをリアルタイム RT-PCR で確認した。 また、その発現は合成二本鎖 RNA である polyI:C により有意に亢進した。polyI:C に よる aminopeptidase N 発現誘導は IL-4 の存 在下でさらに相乗的に増強されたことから、 IL-4 で 24 時間インキュベーション後に CoV229E を感染させたところ、ウイルスレセ プターの発現亢進と、感染細胞および上清中 のウイルス量の増加傾向が確認された。 以上の実験結果から、Th2 サイトカイン優 位な環境下では気管支平滑筋細胞では TLR3 シグナルを介してウイルスレセプターの発 現が亢進し、ウイルス感染・増殖をさらに増 幅する可能性があると考えられた。 5.主な発表論文等 (研究代表者、研究分担者及び連携研究者に は下線) 〔雑誌論文〕(計 3 件) ① 鈴木雄介, 浅野浩一郎, 新美京子, 以下 8 名 TP-receptor-mediated release of eosinophil chemotactic activity from human bronchial smooth muscle cells.

Eur J Pharmacol 査読あり 600(1-3):133-139, 2008.

② 白石良樹, 浅野浩一郎, 新美京子, 以下 17 名 Cyclooxygenase-2/prostaglandin D2/CRTH2 pathway mediates

double-stranded RNA-induced enhancement of allergic airway inflammation.

J Immunol 査 読 あ り 180(1): 541-549, 2008.

③ 新美京子, 浅野浩一郎, 白石良樹,以下 15 名 TLR3-mediated synthesis and release of eotaxin-1/CCL11 from human bronchial smooth muscle cells stimulated

with double-stranded RNA.

J Immunol 査読あり 178(1): 489-495, 2007.

〔学会発表〕(計 7 件)

① 新美京子

Toll-Like Receptor 3-Mediated Synthesis of Eotaxin-1 from Human Bronchial Smooth Muscle Cells Stimulated with Double-Stranded RNA

World Asthma Meeting

2007 年 6 月 22 日∼25 日 Istanbul Turkey ② 新美京子 ヒト気管支平滑筋細胞、気道上皮細胞へのヒ トコロナウイルス 229E 感染 第 47 回 日本呼吸器学会総会 2007 年 5 月 10∼12 日 東京国際フォーラム ③ 新美京子

Toll-like receptor 3-mediated synthesis of eotaxin-1 from human bronchial smooth muscle cells stimulated with double-stranded RNA

16th Annual Congress of the European Respiratory Society 2006 年 9 月 2 日∼6 日 Munich Germany ④ 新美京子 二本鎖 RNA と Toll 様受容体 3 の会合による ヒト気管支平滑筋細胞からの好酸球遊走活 性誘導と eotaxin-1 産生 2006 年 7 月 21 日 RMCB 研究会 ⑤ 新美京子

Toll-like receptor 3-dependent synthesis of eosinophil chemotactic activity in double-stranded RNA-stimulated human bronchial smooth muscle cells

RCAI(Regulation of Immune Responses in Allergy and Inflamation)International Symposium 2006

2006 年 6 月 16 日∼18 日横浜浜銀ホール ⑥ 新美京子

二本鎖 RNA によるヒト気管支平滑筋細胞から の eotaxin 産生と Toll-like 受容体3

(7)

第 46 回 日本呼吸器学会総会

2006 年 6 月 1-3 日 東京国際フォーラム ⑦ 新美京子

Toll-like receptor 3 and chemokine synthesis in human bronchial smooth muscle cells

102nd International Conference of the American Thoracic Society

2006 年 5 月 19 日∼24 日 San Diego, USA

〔図書〕(計 0 件) 〔産業財産権〕 ○出願状況(計 0 件) ○取得状況(計 0 件) 〔その他〕 6.研究組織 (1)研究代表者 新美 京子(NIIMI KYOKO) 慶應義塾大学・医学部・助教 研究者番号:90338046 (2)研究分担者 (3)連携研究者

参照

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