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した アメリカはエネルギー支援を中断する方針を発表し 北朝鮮による核開発問題 の解決に向けた交渉が中断した ( 本誌 2 月号拙稿 北朝鮮核問題六カ国協議とブッシ ュ政権の末期 参照 ) 2. 飛翔体 発射前の状況本年 2 月 4 日 韓国政府関係者が北朝鮮北西部の平安北道にある 過去に テポドン

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Academic year: 2021

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北朝鮮による「飛翔体」発射問題  4月5日、北朝鮮が「飛翔体」を発射し、日本のマスメディアは「人工衛星搭載のロ ケット」あるいは「長距離弾道ミサイル」との表現でこの出来事を報じた。日米は「弾 道ミサイルの発射」であったとして、国連安保理で非難決議の採択を目指したが決議 採択には至らず、13日に同理事会は議長声明の発出を全会一致で採択した。これに 対して、北朝鮮は14日に外務省声明によって六者協議からの離脱を表明、また寧辺 の核施設を監視している米当局政府当局者と国際原子力機関(IAEA)要員の国外退去 を求め、25日には使用済み核燃料棒の再処理作業を開始した。本稿では、今回の出 来事から明らかに見えてきた北朝鮮の意図を掘り下げてみたい。 1. 経緯 2006年11月に実施されたアメリカの中間選挙において共和党が敗北したこと から、ブッシュ政権は対北朝鮮政策を転換し、六者協議の枠組みを維持しながらも二 国間協議に応じる姿勢に転じた。その結果、同年12月に米朝間でバンコ・デルタ・ アジア銀行口座の凍結解除に向けて合意が成立し、2007年2月には六者協議が再 開され、非核化プロセスの「初期段階」をまとめた共同文書が採択された。その後、 同年10月には、各施設の無能力化、核計画の「完全かつ正確」な申告を内容とする 非核化「第二段階」に関して合意された。合意においては、「行動対行動」の原則に従 って、(a)北朝鮮は寧辺の核施設を無能力化し、すべての核計画を申告する、(b)他の5 ヵ国は北朝鮮に重油100万トン相当のエネルギー支援を行う、(c)アメリカは北朝鮮 のテロ支援国家指定を解除して対敵通商法の運用を終了することが確約された。 そして、同年11月に北朝鮮は核施設の無能力化作業を開始、2008年6月には 議長国である中国に対して核計画の申告書を提出した。同年7月に開催された六者協 議の首席代表会合では検証方法に関して、(イ)核施設への立入り調査、(ロ)追加文書の 提出、(ハ)核技術者らへの面接・聴取、の三原則で一致した。しかし、8月にアメリカ が北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を延期したことから、北朝鮮は核施設無能 力化の作業を中断し、施設再稼働に向けた動きを本格化させた。 このため、同年10月にヒル東アジア太平洋担当国務次官補(当時)が訪朝し、検 証方法に関する米朝間合意を成立させ、10月11日にアメリカはテロ支援国家指定 を解除した。北朝鮮側もテロ支援国家指定の解除を受けて、無能力化を再開、無能力 化は全11段階のうち8段階までが完了した。 しかしその後、検証方法の文書化をめぐって米朝の姿勢が対立し、北朝鮮側はサン プル採取を文書に明記することを拒否し、同年12月に開催された首席代表会合にお いても、北朝鮮は非核化「第二段階」の合意にない検証方法が持ち出されることに反 発した。同会合では、核計画検証の合意文書の取りまとめに失敗し、六者協議が頓挫

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した。アメリカはエネルギー支援を中断する方針を発表し、北朝鮮による核開発問題 の解決に向けた交渉が中断した(本誌2月号拙稿「北朝鮮核問題六カ国協議とブッシ ュ政権の末期」参照)。 2. 「飛翔体」発射前の状況 本年2月4日、韓国政府関係者が北朝鮮北西部の平安北道にある、過去に「テポド ン」が生産されたことがある軍需工場から大型コンテナを積んだ列車が出発し、その 後列車は舞水瑞里のミサイル基地近くに到着したことを発表した。これに対して、1 0日クリントン国務長官が「地域の安定や平和を脅かすような行動の予兆ではないと 見ている」と述べるなど、アメリカ政府は楽観論を表明していたが、2月24日に北 朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会報道官が、北朝鮮が「人工衛星光明星2号」の打ち上 げを準備中であるとの談話を発表したことで、国際社会は北朝鮮が長距離ミサイル「テ ポドン」を発射する準備を進めているとの憶測をするようになった。 2月下旬には日本の新聞各紙の社説において、「人工衛星でも容認できない」(2月 27日付『毎日新聞』社説)、「北朝鮮ミサイル“ロケット”は通用しない」(同28日 付『朝日新聞』社説)など、北朝鮮バッシングに迎合するかのような論調まで登場し た。浅井基文・広島市立大学平和研究所所長は、これらの社説に関して、「宇宙条約」 第一条が、宇宙の平和利用は「すべての国がいかなる種類の差別もなく、(中略)自由 に探査し及び利用することができる」と保証した権利を北朝鮮が行使することを否定 するかのような論調で書かれていると指摘している。浅井氏がしているように、「弾道 ミサイルも衛星用ロケットも基本的には同じ技術によって飛ぶ」とか「誘導装置を備 えたロケットがミサイルに他ならない」というのなら、「平和憲法を持つ日本が宇宙利 用すること自体も許されないはずだ」(3月10日付『毎日新聞』「新聞時評」)。 これらの社説は、2006年10月14日に採択された国連安保理決議1718号 が、北朝鮮に対して「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止」することを 求めていることを根拠に、人工衛星打ち上げもミサイル計画に関連が有り、北朝鮮に よる「飛翔体」発射はこの決議に違反すると主張し、安保理決議があるから宇宙条約 上の権利は行使できないとの論理を展開している。しかし、「弾道ミサイル計画に関連 するすべての活動」という文言が、宇宙利用の条約上の権利を否定する、と読むこと は無理がある。明らかに「飛躍」だろう。 このように、「飛翔体」の発射前から、人工衛星であろうと、長距離弾道弾であろう と、北朝鮮が「飛翔体」を打ち上げることには、感情論に根ざしたとしか言えないよ うな論調が広がっていた。 3. 「飛翔体」の発射 3月12日までに北朝鮮は、「“光明星2号”を運ぶロケット“銀河2号”」を4月4

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日から8日までに打ち上げる予定であることを、国際海事機関(IMO)に通報してい た。3月26日、北朝鮮外務省は、国連安保理が「弾道ミサイル問題」を協議した場 合、北朝鮮は六者協議への参加を拒否し、核開発の再開も辞さないとの姿勢を表明し た。 他方、日本政府は日本会に海上自衛隊のイージス艦「こんごう」、「ちょうかい」の 2隻を、また「飛翔体」が上空を通過するとされた秋田・岩手両県や、首都圏の東京、 千葉、埼玉の1都4圏に迎撃ミサイルPAC3 を配備するなど迎撃態勢をしくとともに。 3月27日には六者協議の日米韓首席代表会合を開催して、「飛翔体」発射の場合には、 北朝鮮の主張にも拘らず、「ミサイル発射だとして国連安保理の違反とみなす」ことを 確認した。 4月4日、北朝鮮は「打ち上げ準備が完了したと発表、同5日「飛翔体」は発射さ れた。打ち上げについては、アメリカ・中国・ロシアの3カ国には事前通報されてい た趣である。北朝鮮は事前に「3段式」と説明していたが、2弾目以降の分離は確認 されていない。同日、アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)と北方軍司令部は、1 段目の推進装置は日本海に、残りは先端部分を含め太平洋に落下したと発表。また NORAD は発射されたのは「テポドン2」とした上で、「衛星軌道には載せられなかっ た」と指摘した。 他方、同日防衛省は、日本会に展開したイージス艦や航空自衛隊のレーダーから得 られたデータから分析した結果、人工衛星を軌道に乗せるために必要な秒速8キロに は速度が達していなかったことが確認されたとして、「弾道ミサイルの実験であった可 能性が高い」との見方をとった。即ち、弾道には見せかけの衛星を乗せただけで、1 段目の推進装置の出力や制御を試す「ミサイル実験」だったとの見方である(日本政 府は、当初「飛翔体」6日以降は「ミサイル関連飛翔体」と表現していたが、10日 以降は「ミサイル」と表現)。 北朝鮮が今回の「飛翔体」打ち上げにおいて技術的な目的を果たせなかったことは 事実であろう。しかし、北朝鮮の関連技術が進歩している女とは確実である。5日、 オベリング前国防総省ミサイル防衛局長は、北朝鮮は「1段目の切り離しに成功し、 切り離し時の機体を制御することができた」が、「2段目か3段目から先端部分を切り 離すことに失敗した」と述べ、失敗であったと評価しつつも「飛距離を伸ばしている」 ことに警戒感を表明した。 5日午後、国連安保理は北朝鮮による「飛翔体」発射の事実を前に非公開の緊急会 合を開催し、日米などが「安保理決議に対する違反である」として新決議の必要性を 主張したが、中国の反発、ロシアの慎重姿勢もあり、追加制裁を含んだ新決議の採択 に向けた協議は難航した。6日にアメリカは「形式にこだわるべきではない」との姿 勢に転換、9日には決議ではなく議長声明の発出にとどめる方針が確認された。その 後、議長声明案の協議が行われ、13日に「議長声明」が採択された。日米両国など

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が「決議」を、中国が「議長声明」を主張していた以上、最終的には「議長声明」で 落ち着くことは、2006年7月のミサイル実験、及び10月の核実験の際の敬一に 鑑みれば予想されたことであった。 今回の議長声明は「決議1718に違反した」お、北朝鮮の発射を非難するととも に、「北朝鮮は同決議の義務を完全に履行しなければならない」と重ねて強調し、「北 朝鮮がさらなる発射をしないよう要求する」と、北朝鮮に強く自制を求める内容とな った。 これに対して北朝鮮は強く反発し、14日外務省声明がを発出して、(イ)「六者協議 はもはや必要なくなった」、「六者協議は存在意義を失った。このような協議に二度と 絶対に参加しないし、六者協議のいかなる合意にもこれ以上拘束されない」と六者協 議からの離脱を宣言するとともに、(ロ)「軽水炉発電所建設計画を積極的に検討する」、 「六者協議の合意に従って無能力化した各施設を原状復旧させ、正常稼働する措置が 講じられるし、その一環として実験用原子力発電所から抽出された使用済み燃料棒を 再処理する」と、核施設の無能力化プロセスからも離脱することを発表した。さらに 北朝鮮は同日、寧辺の核施設の無能力化作業を監視していたアメリカ政府当局者と IAEA 要員に国外退去を求めた。 4. 北朝鮮の意図 4月14日に北朝鮮外務省が発出した声明によって、2003年8月に設置されて 以来、朝鮮半島の「非核化」を目指して六カ国が協議を進めてきた六者協議が中断さ れ、北朝鮮は核開発を再開し、独自に軽水炉発電所建設も推進していくことが表明さ れた。そして4月25日には、北朝鮮外務省報道官が寧辺の核施設で使用済み核燃料 棒の再処理作業を再開したと発表した。こうして、昨年来の六者協議における核計画 の検証問題に端を発した交渉中断は、「半島の非核化」に向けた情勢を混迷させている。 しかし、4月5日の「飛翔体」発射によって北朝鮮が何を意図したのかを見定めてお く必要があろう。 4月14日に発出された外務省声明において、北朝鮮が放棄する意思表示がなされ たのは六者協議の枠組みであって、米朝二国間協議ではない。逆に、従来より北朝鮮 が、六者協議よりも米朝二国間協議を重視して、核開発問題に関しては、北朝鮮はア メリカ路の直接交渉を求めてきたことは周知の事実である。これに対して、アメリカ が二国間協議を拒否して六者協議の枠組みを主張してきた。このような過去の経緯を 考慮すれば、4月14日の外務省声明を通して北朝鮮が求めているのは米朝二国間協 議であることは明白である。今や北朝鮮は、オバマ政権との直接交渉を本格的に開始 したいとの意思表示を行ったと見るべきであろう。 このような北朝鮮側の姿勢に対して、アメリカ側の国務省関係者の発言も米朝二国 間協議の可能性を否定していない。4月15日、ボズワース・米政府北朝鮮政策特別

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代表は、訪問した前原誠司民主党副代表に対し、「六者協議を通じた交渉が最善の方策 だ」と述べた上で、「適当と考えれば米朝の直接協議にも応じる」との姿勢を表明して いる(4月15日付『朝日新聞』夕刊)。また、タインバーグ国務副長官も、16日に 前原副代表に対して、「米朝の直接協議は否定しないが、六者協議を放棄して、直接協 議を行うことはない」と直接協議を否定しないとの姿勢を表明している(同16日付 同紙夕刊)。両者の発言から明らかなのは、アメリカは六者協議を最善の枠組みとしな がらも、北朝鮮との直接協議も可能性として否定していないとの姿勢である。 筆者は、4月5日の「飛翔体」発射後に生じている米朝間の動向を見る限り、北朝 鮮側が目指していると思われる米朝直接協議が、想像以上に早い段階で実現するので はないかと予想する。この1年間あまりの経緯を見れば、北朝鮮側がブッシュ政権は 相手とはせず、オバマ政権の成立を待つと受け取れる姿勢を示してきたことにも鑑み、 現在の姿勢はオバマ政権に対して招待状を発している状況にあると見るべきなのでは なかろうか。北朝鮮が究極的に求めていることが、六者協議の目的と同じく「半島の 非核化」であるならば、北朝鮮は時機を見てアメリカに非公式レベルの働きかけを行 ってくる可能性が大である。もしかすれば、既にアプローチは行われているのかもし れない。北朝鮮は外交交渉能力が極めて高い国である。戦略的な目的を一度据えれば、 その実現に邁進する傾向がある。日本が、もしこれまでと同様に拉致問題を日朝国交 正常化に優先させ、経済制裁継続・強化の方針を続けるならば、国際的な流れに再び 取り残されることになる。経済制裁の強化などという感情論に惑わされてはならない。 ここは冷静に、日本も北朝鮮側の意図を見定めて、東アジアに残された冷戦時代の残 滓を取り除く作業とともに取り組むべく、そのような方向に自体を進ませるために協 力していくべきだろう。

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