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土壌の団粒の表示法について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 第30巻第64号143∼147,1979 143

土壌の団粒の表示法につ いて

梅田 裕,横瀬 広司,山田 宣艮,古屋 隆

ON THE METHOD TO EXPRESS THE AGGREGATES OF SOIL

Yutaka UMEDA,HirojiYoKOSE,NoriyoshiYAMADA and TakashiFuRUYA

Genera11y,from theviewpoint of soilphysics,the cultivatedland,Where soilis abundant

inaggregate,hasthe high agricultural productivity and the durability against water・In

spite of these maiorimportance for agrlCulture,the method to express precisely the degree

Ofsoilaggregate has not yet been established completely.

In this paper,at first,the existing method for aggregate analysIS are Criticized,and

among others,the method proposed by YoxosE et al・prOVed the most excellentone・

Secondly,the possibility to analyze the aggregate by coulter counterisinvestigated andit

is prIOVedthat thoughthe method has many advantages theoretically,there sti11remains

SOme PraCticalploblems to soIve.

ー・般に圃場の土壌が団粗に富んでいる場合,土壌物理学的生産僅かつ耐侵食性が高いものと考えられる.しかしなが ら団粒の表示法は,これまで必ずしも確立されていたとはいえ.ない.木論文では,まず現行の表示法について検討を加 え,横瀬らの方法が有用であることを示した.次にコ−ルタ−カウンタによる団粒分析の可能性について検討を加え, この方法は論理的には多くの長所を有するが,実用上は問題点が残されていることを明らかにした. 緒 ロ 】・般に団粒状の土壌とは,単一・の土粒子が集合して団粗をつくり,これらが集まって構成された土壌の状態をいって いる.そして戯耕地において団粗化が進んでいる場合,その土壌は排水性,通気性,保水性が植物の生育に好適な培地 としての条件を有しているのみならず,侵食に対する抵抗性も大きい,いわゆる土壌物理学的生産性が高い土壌とみな すことができよう.このようにして土壌の「団粒」は,観念的にはかなり認識しやすいものであるが,その土壌物理学 的定義,分析法,評価法については,歴史的にみて実に数多くの主張があり,いまだ確立しているとはいいがたい.そ こで本報では,主として実用上の見地から,合理的な土壌の団粒の表示法について考究する. 主な団粒測定法,表示法とその特徴 土壌の団粒の測定法および表示法については,これまでに多くの提案がなされ,適宜選択的に採用されてきたきらい がある.われわれは5種の測定法と11種の表示法について検討を加えているが,ここでさよそれらのうち現在わが国で採 用されている主な方法について考究する. 1.水中節別法 この方法はYoDERらによって考案された方法(1)をもとにして,若干の改良が加えられたもので,わが国において 最も一・般的に採用されている団粒分析法である.具体的には①2小0,1.0,0,5,0.25,0.1mmの綱目節を孔径の大書い J脚こ上から蚤ねて試料を最上部にのせ,㍊回/分,振幅2cmの上下動で40分間水中締別した後,各節上の土壌を秤盈す る.⑧各線径別土壌には単組と耐水性団粒とが混在しているので,6%の過酸化水素水,0.4Nのヘキサメタリン敢ソ ーーダで完全分散させ,①と同じ節を通過させて舗上の残部を単粗として差し引く.⑨各線径別の雷藍分布(%)や平均

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梅田 裕,横瀬 広司,山田 宣艮,古屋 隆 香川大学農学部学術報磐 144 重畳直径などによって団粗を表示する.という過程を経ている. この方法は比較的簡便であることと,論理的にもある程度土壌の団粒を表わしうることから,農巣土木学会(2),土 質工学会く8)などで採用され,広く用いられている方法ではあるが,表示しうる粒慮範囲がやや狭い(0.1∼2mm)こ と,および0.1mm以上の大きさの単粒慮団粗を形成しえないという仮定に基づき,各節における土粒子の収支関係に よって回線盈を表わしているので,この仮定が成立しない場合には,試料の紋径範囲の最大径を含む節を除いて,みか け上団粒畳がマイナスとなることがあり,特に0.1mm径において大きく影響を受けるのが欠点である. 2.新提案の方法 横瀬ら(4)は,現行の水中飾別法と沈降法による測定とを組合せて団粗鼠を評価する方法を提奏した.その具体的な 順序は,①JISの粒度分析法に準拠し,同一・試料に分散剤を加えたものと加えないものとを用意して,分散剤の添加に よって生じた粒魔の変化が団粒の分散によってもたらされたものと判定する.⑧団粒の表示は①の測定結果に基づいて 粒径加積曲線を描き,分散前と分散後の加硫通過率の差をとり,これを重■盈で表示したものを団粒率とする.という過 程である. この方法は前記の水中節別法よりも実験の過程が長いが,それだけ広い粒径範囲(0.001∼2mm)に、おける団粗を 表示でき,また加横道過率によって団粒偲を表わしているので,団粒形成に参加する単粗の大小にかかわらず,論理朗 に団粒盈がマイナスになることがないという長所を有している.実例を現行の水中節別法との対比の下に表−・1に示 す. 表−・1団 粗 表 示 例 粒 径(mm)】 0.005 0.01 0.05 0.1 0.25 0.5 1.0 .〇﹁︼ 2㌻

団粗+・単粒(g)llOllOllOl15llOl15115

単 粒(g)】15‡15l15llOl15ilOl lOllO

一 5 5 5 5

水中節別法皇\\l\、\卜\」 \l

新 提 奏 法】 5 10 15 10 15 10 5 0 この表では試料を100g供試した例を示してあるので,各団粗表示法の数値(g)は,そのまま団粒率(%)として 取扱うことができる. 新提案の方法の欠点は,水中飾別法と沈降法という異なった原理に基づく方法を組合せていることで,そのために若 干の弊害を伴っている.それについては次章において詳述する. 新捉案の方法の欠点とその検証 既に論述したように,新提案の方法では水中節別法と沈降法とを組合せているので,その結果測定上論理的な矛盾点 を生じている.すなわち,水中軒別法は孔径の異なる節によって直接土粒子を粒径別に分放する方法であるので,土粒 子の其比重の大小による影饗なしに測定が行なえるが,沈降法はStokesの法則に基づいたものであるので,団粗の 形成によって土粒子の比重がみかけ上小さくなると沈降速度が減少し,粒径が其の大きさよりも小さく見積られるおそ れがある.すなわち,Stokesの法則 (γs−γw)g -d2 18ヮ (ここでひ=沈降速度,γs=土温子の比蛋,d=粒径) において,粘性係数マ,水の比蜜γw,蛮力の加速度gが一・定であれば,団粒が発達して土粒子の比重γsがみかけ⊥ 水の比重γwに近ずくほど,団粗の直径が実際より小さく見積られることになり,其の粒径に対する誤差が大きくな るおそれがある.その関係を図示すると図−・1のようになる.

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節30巻 第64号(1979) 土壌の団粒.の表示法について 1‘隻5 1.5 団粒の直径比 図−1比重の変化による誤差 図−・1は土粒子の比藍γsを2.6とした場合の団粒の比嘉と直径との関係を示したものであり, y=・1 で表わされている.この図からわかるように,団粒の比重が2.0の場合,直径は其の大きさ(単粒)の1.が倍のものが 同一・径として評価される.この際の比重は湿潤密度の無次元化数であるので,乾燥密度よりもかなり大きく,後者(土 塊の仮比重)が1.0のとき前者(団粒の比重)は1.62に,また後者が0.5でも前者は1.31となる.従ってみかけ上の団粒 の直径が,炎の直径の2倍以上に評価されることはばとんどないものと考え.られる.従って沈降法によって測定された 団粒率の曲線は,本来粒径が若干大きい方へ移行すべき性質をもつものではあるが,そのために実際の数値と大幅にく いちがったり,節別法との間の曲線の連続性に大きな影響を与えるほどになることは少ないものと考えられる.特に粒. 径加硫曲線の差で団粗を表示した場合には,横軸(粒径)が対数目盛となっているので,グラフの上での誤差はますま す微少なものとなってくる. コールクーカウンタによる団粒の測定 コ−ルタ−カウンタは,土粗子を懸濁した電解質の水溶液中に細孔管を入れ,両側から電圧をかけて,溶液が細孔を 通過したときの電気抵抗の変化から粒子の個数を求める,という原理に基づいた粗庶分析用機器であるくき).可測赦径 範囲は0.25∼500′んとされており,沈降法のように粒子の比重の大小に影響されないことから,原理的にも軒別法との 併用が可能である.従って新提案の方法において,0.1mm以下の細掛こ対して,沈降法の代りにコ−ルタ・−カウンタ による測定を採用すれば,合理的な団泣の測定が行ないうるものと考えられる.また同時に,沈降法で行なった場合の 誤差についても検証が可能となろう. l.電解質の選定

コールク・−カウンタによって土壌の団粒分析を行なうためには,団粒庖分散させたり凝集させたりする性質の少ない

電解質を選定する必要がある.一・般に一・価のカチオンには団粒の分散効果があり,特にNa+は,現在最も広く用い

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146 梅田 裕,横瀬広司,山田 宣長,古屋 隆 香川大学農学部学術報薯 られている分散剤の大半が含有しているので,これを有する電解質は採用できない・またこ価以上のカチオンは凝集作 用を・もち,水に対する溶解度も小さいものが多いのでこれを避けなければならない・その他にも種々の条件を加味した 上で・ここではⅩNO8の1N溶液を電解質として採用した・KNO3の土粒子に対する作用を知るために行なった, 坂出市五色台産安山岩土の粒皮分析結果は,図−2に示すとおりである. 粒 径(mm)

図−2 ⅩNO$の 分 散 効 果

団粒率 % .1 5 1 2 5 10 20 即 粒 径(〝) 図−3 コ−ルタ・−カウンタによる団粒率の測定

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第30巻 第64号(1979) 土壌の団粒の表示法について 147 この図からわかるように,KNOさは約5仙以下の微細粒子に対しては若干の凝集作用をも■ち,なかでも5′心付近の 粗径については,これを添加しない場合に対して95%の有意水準の下に差がみられたが,それでも他の電解質と比較し て誤差の大きさが小さいものと考えられること,およびこのような小さい団粒は実際上の意味があまりないこ.とから, コ−ルタ−・カウンタによる測痘に際して,KNO3を電解質として採用してもさしつかえないものと判断した. 1 2.コールクーカウンタによる測定 測定は昭和53年9月1日∼4日,香川大学農学部内のコ−ルターーカウンタZB型を用いて行なった.この測定では細 孔管が径10仙のもの一本しか得られなかったこと,および測定上の障害が多発したことなどから,広い範囲の粒径に 対する結果を得ることができず,また信頼性にもやや乏しい部分があるが,予措の段階においてある程度粒径を限定す るなど,若干の仮定を導入することによって団粗の対比を試みた.その結果は図−3に示すとおりである. この図からわかるように,全体としてコ−ルタ−カウンタ法による団粗率のほうがやや小さく,また沈降法の結果が やや径が小さい方へ移行する傾向はあるが,新提案の方法に沈降法を適用してもその大部分はコ・−−ルタ・−カウンタによ る測定の信顆区間内に入っており,その意味では比雷の変化による団粒径の誤差は許容しうる範囲内にあるものと考え られる.今回は図一2の安山岩土のみのデータにとどめたが,これについては今後更に多くの試料について対比する予 定である. 一方,コ−ルタ」−カウンタによる測定には以下のような問題点があることも判明したので,今後この方法を団粒分析 法として採用するにはかなりの検討が必要となろう.a.100ccの容器を用いた場合,供試試料の鼠が1g以下でないと 測定そのものの信頼性が低い.従って試料の母集団に対する代表性が問題となる.b.細孔管のメッシュに応じた予拾が 必要であり,土壌の場合採取試料をそのまま供試することは不可能である.c.孔径が小さいものから大きいものまで, 多種の細孔管を用いないと広い粒径範囲にわたるデータが得られない.今回用いた100〟・のものでは,信頼のおける範 囲は3∼3仙程度であった. ま と め 以上の姑果を総合的に考えてみると,新提案の方法は論理.的には若干の矛盾点を含んでいるが,実用上はそれほど大 きな問題とはならない.またコ・−ルク・−カウンタに.よる方法は,論理.的には新提案の方法に採用することが合理的なも のであるが,逆に実用上はかなりの問題点を有しており,現状でほ土粒子を対象とした粗皮分析や団粒分析には無理が あるように思われる. 団粒測定時の今後の問題点としては,ここで検討したものの他に,対象が農耕地の土塊が多いといった点から考え て,植物の根系など有機物の処理,自然の構造に適合した最大径の設定など,予措の灸件が重要な事項と考えられる・ 特に土壌の肥沃皮との関連でこの特性をとらえた場合,主として物理性が重視されていた従来のものとは異なった対応 が要求されるものと考えられる. 謝 辞 本研究の遂行にあたり負重な御助言を下さった本学付属浅濁域環境実験実習施設,井上裕雄教官,ならびに虚栄土木 試験場佐賀支場,太田弘毅氏にあつくお礼申し上げる. 引 用 文 献 工学会(1975). (4)横瀬広司,山田宣良:団粒を形成する因子につい て,一一土壌の団粒に関する研究(Ⅰ)−,農土論 集,70,1(1977). (5)粉体工学研究会編:粉体粒皮測定法,75,養賢堂 (1967). (1978年10月16日受理) (1)YoDER,R.E・,:Adirect methodofaggregate

analysis andastudyofthe physicalnature

of erosionlosses,,.Am.Soc.Agron.,28,337 (1936).

(2)東京大学農業工学教室編:土壌物理実験,58,束 大出版(1967).

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