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かんがい用貯水池の堆砂に関する研究 V 貯水池における密度流について(その1)-香川大学学術情報リポジトリ

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第9巻第1号(195フ) ユ.1

かんがい用貯水池の堆妙に関する研究

Ⅴ 貯水池に・・おけ■る密度流について(その1)

艮 八 郎

Studies on the sedimentationinirrigationalresezVOirs Ⅴ,Onthe densitycurrentinreservoirs(1)

Hachiro KIRA(Laboratory of Ag工icultural Engineering) (Received Apri127,195フ)

Ⅰ 緒

ロ かんがい水源としての人工貯水池は,陸水形態から天然湖沼と姉妹関係にあるが,貯水池の性格ほ一腰に変化に富 み,湖沼とほ区別して取扱う必要がある・特にその水熱水賀特性を把握するためにほ,在来の湖沼学(1)く2)が教え ると・ころでは不充分であり,流入水の影響やこれに関連した密度流に関する詳細な研究が必要となってくる.すなわ ち一般に貯水容量の大なる湖沼では,その流入河川の影響はどく一部分に限られて降雨による出水の影響を強く受け ないが,貯水容盈のあまり大きくない人工貯永池では.,その影響を強く受けることになり,河川はもとより湖沼など とほ異った水理,水質特性を示すことになる−たとえば潤濁質輸送の場合を考えると.,「才耶=においてほ流水が浮遊 沈澱物を運ぶが,貯水池においては逆に層遜沈澱物によって水が動く」というKNAPP,BELL(S)の表現のごとく, 河川に・おける乱流交換の代りに貯水池内の流動は,専ら密度勾配によって定まり,密度流の果す役割が重要になって くる・この意味から筆者は,かんがい用貯水池を対象紅その沈澱堆硫機構に層凛な関連をもつ密度流問題をとりあげ, 以下若干実験並びに調査を行わんとするものである・なおこの種貯水池における密度流問題が論議されるようになっ たのはどく最近のことであり,わが国においてはまだ未開拓な面と考えられるが,最近上水源貯水池を対象に考究し た合田の論文(4)に・ほ,この点有意義な解析がなされてこおり,本研究に負うところ大なること.を付記したい

Ⅱ 貯水池における密度流の問題

一般に密度流(density ctlZrent)とは,流体実質の密度差によっておと.る流動を意味し,ある流体内に.おいて底 眉流,上層流あるいは内部流(中層流)として流れる重力流(gIaVityflow)であると解されているが,地質学者や 海洋学老は,との密度流のうらで清澄な水の底部紅沿ったSedimentを含んだ流れを特堰.潜濁流(turbiditycurrent) とも呼んでいる. これら密度流の問題が,河口部(感潮河川)における河海水混合に・よる水理特性,あるいは貯水池内における流動 を考究するに・あたって,上水やかんがい水質,汚染,沈澱堆積現象などの技術的問題と関連して熱心に論議されるよ うになったのはごく最近のことである 河口部でみられる密度流(5)(6)(7)(8)でほ,河水と海水の密度差が明瞭であり,これほ主として溶解物質(塩分)蕊の 差によるものであるが,貯水池(あるいは湖沼)でみられる密度流では,主として水塊の温度差,浮遊物質あるいほ 溶解物質盈の差が主体となることもあり,この場合一般に密度差が不安定とされている.すなわら湖沼に.て春秋2期 に・おこる循環流は大気の密度流に腰似しており,一般紅上下密度差の小さい湖沼において,そ・の表層水温の上下によ っておこる一種の密度流であるが,人工貯水池の河川流入点付近においては,感潮河川の河口部でおこる顕著な密度 流と類似した流動状態を示すことがある・たとえば河川からの流入水と池水との問に顕著な温度差あるいは浮遊物質 並び庭・溶解物質濃度差があると,流入時紅ある桂皮の交換混合作用があっても,その影響は全体におよぶ紅はいたらず, 貯水池内の流動は専ら密度勾配によって定まり,いわゆる成層流(stratifiedflow)や潜行密度流(Submergedden・

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香川大学農学部学術報菩 Sity current)が発達すること紅なる(4).このさい流入した高濁高速水が潜行渦濁密度流の形で大して稀釈もされ ず,しかも浮遊物質の沈澱効果も充分でないまま下流側ダムから放出されることもありうるわけで,アメリカのLake Mead(9)やわが国でも千苅貯水池,(10)岩屋戸貯水池(11)について実例が報告されている、 このように人工貯水池における密庶流機構は,貯水池の環境,形態,C/Ⅰ比(C:貯水容鼠,Ⅰ‥平均流入鼠を意味 し,聾者ほ貯水率Rc=(%)として平均年堆砂率推定式に導入した(12))あるいほ密度差などによりきわめて 複経となってくる. 貯水池における密度流に.関する従来の研究成果から,その概要を示すと,密度流の定義について,アメリカのNBSほ, 「Density currentとは境界面での乱流交換によって個性を失うことなく,流体のi,下または中を通り抜け媒介流体 と混合可能であり乍ら,しかもその密度が媒介流体とほ.異なるような流体の流動をいい,その密度差ほ温度,塩分含量 およぴレルト含盈の差にもとづく」と定義している(4)(14)りまたBELL(4)(18)ほ「密度の最も大なる部分が囁部に沈鼻, そこに傾斜があるとイ可らかの外力によってその流動が阻止されるまで運動を続け,僅かな密度差でも,このような流動 を起すから,このような流動を密度流と呼ぶ.」と説明しており,その他おなじような説明にBROWN(4)(15)のものがある。 さて貯水池における土砂の沈澱堆積機構について,第l報第l図(12)のように,堆積ほ一般に(1)Top−Set beds 頂 部堆積層,(2)Fore−Set beds 前面堆積層,(3)Bottom−Set beds底部堆積層,(4)Densirty・Current beds 密度流堆積層なる4カ所で形成されるといわれているが(16),肇4の沈澱堆積層なるdensity・CurIent bedsが注目 されるようになったのほどく最近のことである。 いま貯水池の密庶流威因についてみると,水球学の分野から,流体自体の物性の差(圧力差,湿度差)紅よる定期 的なものと,流体中に溶解物や浮遊物が存在するために生ずる見かけの密度に.よる不定期的(強雨後,汚染水放流後 のように.一時的なもの)なものとが考えられている′ すなわち河川から水が貯水池に流入するとき,水路断面琶が急 増するからその流速は急減するものであるが,前者の場合貯水池水温ほ一般に4∼9月頃に.おいて表層水温が畷めら れ,40Cが最大密度を宿するという事実に特長づけられて温度差による正列成層の水温分布をなすものであるが,そ こに上流から冷水が流入するときほ,温度差にもとづく密度差によりて成層泳(小般に庶層流となる)としてダム方 向に流下するこれら冷水流入による温度差にもとづく潜行密度流の著例として Tennessee河のWatt Barダム やFt.Loudoun貯水池における結果が報告されている(17). 次に後者の場合を考えるに,もし貯水池内の貯留水が清澄であり,流入水が強雨後のレルトやコロイド状の溜濁水 か,あるいは汚染水であると,第1図のように潤濁物質濃度にもとづく密度差によって,重力の作用で池床に沿った 庶層流として流下し,最下部ダム付近に沈澱堆積していわゆる density−CuIrent bedsを形成するに.至る.このよ うな貯水池縦断面内の大循環の存在を始めて説明したのほⅩNAPPおよびBELL(S)であるが,これほ流入河水密度 が池水密度に比しきわめて大なるときに起りうるもので,潜没池水に流入した潤濁流の厚さが漸増してある限界に達 すると,そこに潤濁潜行密度流が形成され,再びその厚さが減少の傾向をたどる.この際清澄池水との接触点付近に おける混合によっても瀾濁流入水と清澄池水との密度差ほ消失しないから,接触点付近に生ずる潜行流のため清澄水 の1部がこの瀾濁潜行流に髄伴すること.になり,そのため池蘭近くに.逆向流を生じて,その潤濁流入水との接触部分 に図のように流動の停滞した境界帯(demarcationline,floating debris)iを生ずるに至る一このような縦断面 内における大型の密度流は,従来の湖沼学で説明されている鉛直面内循環流や吹逆流の場合の逆向流などとは区別さ るノぺきものであり,わが国でも合田(10)が神戸市干苅貯水池において始めてこの程の逆向流とdemarcationlineの 存在を明瞭に確認している。 これら貯水池特有の密度流の相対的変化巌や沈澱堆蹟紅およぼす宕影響ほ,貯水池の環虜形態,河床勾配,流入流出 の関係あるいほ密度差など多くの因子に.支配されるものと考えられ,C/Ⅰ比の小さい細長い貯水池に屈いて特に発達 する水理的特色といえるであろう′ノ この点前川教授(18)の環境別に分類された山地,麓池,野池を対象にその流動状 態を観測しているが特に流出率調査(19)(20)や碓砂調査(21)を行っている神内上池(山地)についての検討は続けて報告 したい. さて貯水池における潤濁密度流の沿革過程にづいてみるとBELL(22)により第2図のように説明されている小すな わち罪2図(a)のように,密度流は先ず貯水池上流側の掃流によるデルタ堆積物付近に始り,そのデルタ上流ほ流 速が減少する,、そして地底に.沿った滴濁潜行密度流となり,緩慢な流速で進行し,その先端がダム虹突き当ると欝2 図(b)のように上向に押し上げられ潤濁流が舌Lれてくるこの場合もし貯水池が浅い場合にほ潤濁流が表層水面ま

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第9巻第1号(195フ) 13 で上昇しその1部分は余水吐から溢流放出されることになる.しかるに常2図(C)に示すごとく,−・般にそれは静 止の沈澱状態にもどり,この潤濁貯水池でほ,数日ないし数週間にわたり非常に緩慢濫その微細浮遊粒子が貯水池中 に潜行氾濫するに至る,この沈澱過程の間,密度流が貯水池中層内部に泊って流動する内部流となる結果,その潤濁 水が潜行氾濫した中層以下の貯水密度が増大に至る, このようにして洪水毎密度流による微細粒子の沈澱堆積が主としてダム付近あるいほ貯水池全面に.わたって繰返さ れて,density・CuIrent bedsの眉理(Stratification)あるいほ徴層理(micro・Stratification)が形成されるものと考 えられるが(21)(2き),これら密度流沈澱堆廣層の特性については,環境別貯水池について若干検討しているので後述し たいい これら密度流の特性に関しては最近研究が進められているが,先づ密度流の速度をみるに∴一般に流入河川より緩 慢とされ,Lake Mead(22)に.おいてmax値として2mphでその平均流速ほ1mphより幾分小なる流速が観測されて いるしかるにHOWARD(14)によるおなじく Lake Meadの浮遊物濃度差にもとづく密度流観測結果によると,浮 遊物貿のうち粕糧部分は1流入後すぐ沈澱堆積するが,沈澱しない微細粒子が潤濁密度流を起す主因をなし,この潤 濁流の速度ほ.案外に早く0。19∼○小43董t/sec(≒0.058∼0。131m/SeC≒3。48∼786m/min)に達し,その潤濁流部分の 濁水分析に.よると,流入溜濁水と.よく似た組成であることを認めてし、るまたFRY,CHURCHILLおよびELDER(4)な どはNorIisダムの背水であるCherokee湖において塩素イオン投入紅よるトL/−サー実験を行って,1943年秋の実 で最大のもr’ate Of tzavelモが332m/min,平均2。フm/minで,また1944年夏の実測ではさらに早くなりフ∼19cm/SeC に達したという.あるいほ合田(4)は〒苅貯水池で浮子,Salt methodなど用いて実測し,池水の流動流速は.季節, 場所により相当変動するが,洪水時の渓流蚤のような異常増大時を除くと,底部密度流や,それに伴う表層の逆向流 が特に.早∼,風がなくても部分的に1Cm/minの0ⅠdeIに達したという. このように密度流の流速も案外早いことが知れるが,循環期に.おいてほ流入水混も低いから,地底をはう潜行溜濁 密度流とこれに伴う他面逆向流とにより,貯水池縦断面内の大循環が起り,流速も相当早いから地底濁肇の洗掘が行 われ,これに鉛直面内循環流による濁賀の再浮遊が行われることにより濁質が池内全域に拡散され水質が均一化され るに至ることが考えられる。 次に瀾濁密度流の特質として,同一・性を保持する能力すなわち密度流の安定度(stability)があげられるが,これ にほ(a)瀾濁流の境界面やその上層における安定度(b)滴濁流自体の安定度があげられるが,前者についてはKEU− LEGAN,IPPENおよびHARLEMAN友,るいほ.LONG(21)その他により考察されているが,後者の面については今 日なおREYNOLDS numberがRe=ユ00,000以上の場合なる底層流では,その流れが如何なる理由で上層部と 混合しなくてより安定であるかについて\充分な解決がなされておらない感がする∴すなわち流体の中流層から民流層 に泊って流入する乱れを防ぐようなあるメカニズムが存在しなくてはならないわけである… これらの点についてEINSTEIN(25)は浮遊沈澱物濃度が大で特に沈澱物が架固(flocculate)しているときその底層 流は粘性でなく撃性状態を示すことを指摘し,その流れの塑性ほREYNOLDS numberが大でその底流が混合しない 場合はど顕著であるという.またSHERMAN(9)によるLakeMeadに.おける浮遊沈澱物機構の最近の解析では.池 底付近で浮遊している浮遊物は単粒子でなく,多数の粒子が架集しており架国状態(flocculated state)で流下する ことを確認している. 潤濁密度流はまた貯水池流入水の潤濁貿濃度が大なる流れにおいて存在するものであり,椿(26)は浮流砂が流れに およぼす実験を試み,濃度の高い流れにおいてKARMAN常数Kが真水のそれより減少することを認め,これほ浮流 砂を含むために流れの中に・安定な密度勾配が形成され,それが乱れを減衰せしめて乱れの拡散能力を小きくするから であるという.また久宝(27)は潤濁水流につき実験し,純水流では乱れの粘性係数が不同をこ分布され易いが,潤濁水 流でほ一・様に分布して流れが整流となる傾向をおぴることを指摘している. その他RAYNAUD(28)は貯水池に流入する潤濁水の流れに関する研究で,底流潮濁水とその上層清水との接触面 摩擦を考慮した実験解析を試み,REYNOLDS numberの小さい場合に,その潤濁底層流は自由表面流に適用される 法則に類似したところの法則にしたがうことを指摘した. 要するに貯水池でほ流入水によって地水の安定度や水質に顕著な影響があり,湖沼などと本質的に異るようで,合 田(4)ほ千苅貯水池の実測結果から,貯水池でほ通常の河川,開水路などと異なり,密度差の影響が寂著に現われる ことを明らかにしており,また密度差を考慮した3次元運動方程式による理論的考察からも,鉛直安定度EやRICH−

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ARDSON number Riが,その道動力程式で重要な忠義をもつことを指摘されておるが,これらの点に.ついてほ 実験実測を通じて次項以下で考察したい 実際面にいおいてGROVERやHOWARD(29)がLakeMeadに.おける:Hooverダムの曝道出口から放咄される潤濁水 に関する報告以来,貯水池堆砂率を軽減する1方法として潜行密度流を利用する効果が注目されるようになった.た とえばLake Meadにおける沈澱嘩贋物の実測によると,旧河床からICOft(30′5m)以上堆積されたことがわかった が,そこで貯水池から沈澱堆積物を放出する実際的な方法として,密度流問題解決が重要問題となって釆たわけであ るり一般に潤濁密度流を利用した沈澱堆砂率軽減方法を技術的に採用する場合に.は,先づ洪水時の潜行密度流に.より 潤濁質が選ばれてダムに達する時,その放出ロを開いて潤濁水をそのまま放出する方法が考えられる.しかし密度流 中に.おける沈瀬物が浮遊懸濁し始めると,掃流に対して大なる抵抗を示すように.なり,その流速が減捜され底質の掃 流洗掘作用は放出口付近において侵蝕谷をカットするのみとなり,貯水池内沈澱堆積物全般匿わたる掃流による放出 効果が小となるだろうりそれであるダム紅沈澱物放出口を設ける場合,なるべく標高低い位置に大なる放出口を計画 し,浪慶大なる溜濁水が高速度でもって高度な底質俊蝕作用をもつようしなければならぬ 次に貯水池における沈澱堆積物の分析結果を為ると,たとえばLakeMeadの底質全般についての単位重盈ほ648 封庶/立方沢(ユ.04t/m8)を示し,沈澱物ユ5ft(4い5m)なる中心部では単に.20∼40封皮/立方択(0.32∼064t/mB) でありh微細粒子からなる沈澱堆積物は孔隙率が非常に大きく,単位重患ほ小さいという(9).筆者の現存貯水池に.お ける堆砂分析結果(21)(23),あるいは後述の密度流による潤濁票やdensity−Current bedsの分析結果などによると, 浮流物質層(suspended・loadlayer)やダム付近のdensity・CuIrent bedsほ,掃流物質屑(tractional−loadlayer) に−比しで一般に.微細なレルトやコロイド状の比重小さい嗜青色を呈したもので,腐植舎監多いいわゆる腐派であり, しかもコロイド状粒子がよく flocculateしていることがわかったい これら貯水池嘩砂中で密度流で運ばれるものは 単位重患小なる微細粒子であることが知れるが,もし貯水池内軋沈澱堆積物を放出する落水孔(Water traPPed)の ような装置がエ夫できたら,比較的単位重儀の大なる沈殿堆積物の放出が可能となり,堆妙に.よる貯水池容積損失現 象の軽減防止に役立つことに.なろう 以上要するに.貯水池に屈ける水理,水質特性では,河川や湖沼と異り密度流の果す役割が重要となってくるが,こ の問題ほまだわが国でほ未開拓であり,特紅かんがい用貯水池でほ沈澱堆積埋没問題やかんがい水質,水温問題と関 連して,将来大いに考究利用に.努めなくてほならない面と考えられるが,以下聾者は主として沈毅堆積問題紅ついて 若干この点検討したい. Ⅱ 密度流に関する運動方程式の検討 近年河川や貯水池におけるSedimentを含む流動問題解決のため,土砂水理学Psammo・hydraulics(30)の確立が叫 ばれるようになったが,河川感瀬部や貯水池に起る密度流問題も普通の水理学では容易に解かれない.これらについ てREYNOLDS(31)ほ非圧縮陰流体のNAVIER・STOKESの運動方程式から.乱流の速度を時間的平均値も,盲,諒と 速度変動u/,Ⅴ′,W′,とから成るものと考えて,u=這」−u′,Ⅴ=音+Ⅴ′,W==諒十W′とおき乱流成分を考慮した運動 方程式を導き,乱流:Tほ速度変動があるため応力がいわゆる REYNOLDSstressだけ増すことを示した.しかしこ の付加応力なるREYNOLDSstressの値を求めることほ一・般に困難でこのままでは実用紅ならなく,その対発として BOUSSINESQ(31)は渦粘性,乱流粘性(eddy viscosity)なる概念を導入した運動方程式を導き,速度変動の拶響 ほ粘性が粘性係数〝に渦粘性係数eだけ付加され,(〝+e)となって現われることを指摘した.以上非正路性乱流の 取扱でほ密度pをCOnStantとしており,密度羞にもとづく密度流動の場合適用できない.これに対し浜田(さ)は河口 不等流の解析にあたりて,2次元乱流を論じ,REYNOLDSの示した速度変動の外紅密度変動をも考慮した遊動方程 式を提示した.すなわちⅩ(水流方向),Z(鉛直方向)に.ついて,密度p,速度分場u,Wの時間的平均値を盲,這, 諒とし,ある瞬間のそれよりの変動盈をpl,u,,W′となしREYNOLDSstressを静出するのと同様の方法により2次 元運動方程式を導いた‖ この場合実際河口での実測結果からその主な項だけを採用したのが(1)式である.

J+・汀+古古=一

意+意(・−さ’㌔マプト㌔甘・意 1∈)P e= ̄g ̄ ̄㌻ ̄扇「 11しノーーノ (ユ)

(5)

第9巻第1号(195フ) ここでp,紅対するPRANDTLE型の混合距離(miⅩinglength)lpをp,=lp

㌔前意は(2)式のように表現される・・この場合句ほ,

15 とおくと(1)式の右辺欝3項 ぅ ∵ ∴‥−‡ _pJpw′∂u ・こ−′ヽ′:::㌻・−て!’(ミサノニ: p ∂z Pを渦動拡散盈と考えたときの拡散テンソルの成分セ,BOUSSINESQ(31)が提唱した渦粘性係数(coefficient of eddyviscosity)eと同じdimensionである.浜田く5)はこの際,河口における河海水混合の場合では,

批意に比して大であるから,〆は主としで意扱配されるという考え方から,信波川(新潟港)や北上川

巻港)の河口における実測に・より,丁=−・石打の鉛直分布を求めヮpの大きさやその変化状態を考究している・羊の ような解析は,河川感潮部分のごとく密度差の大なる河海水が互層をなして,その境界面で混合が行われ,しかも深 きの変化のみあり巾のあまり変らないような場合には,有意義な密度流動方程式と考えられるが,貯水池のように流 路横断面が急に.拡大される場合に.は適さないであろう。 これに対して久富(30)は沖横地紅おける土砂水理解決のため,土砂水では速度や密度変動の他にその粘性係数にも 変動あるものとしておなしような3次元解析を試み,(3)式に示すような沖積地河川流に関する基本的超勤方程式を示 した.

売意+言寄十範(濾・喀十有意)+右Ⅹ(㌃雷・十;寄・こ雷)

十(両7意十存盲ア音・研意)+(

読雷・十古㌫晋十諒礪)

ニ電宮一誓・ト音(声yz意+・毒雷)・十音声z揺ヰ・完晋)

+意(Jxy意十二言雷)

(3) ここで速度分値はu=前・u′,Ⅴ=盲十Ⅴ′,W=一首+w′,密度分値はβⅩ=px・十〆Ⅹ,py=py+〆y,pZEpz+〆zおよび 粘性係数分値は〝Ⅹy=〝Ⅹy+〆Ⅹy,〝yzご〝yz+〆yz,巧Ⅸ=巧㍑+〆zxのように,それぞれ時間的平均値と変動催と の和で示すものとし,dashは変動および乱れ盈を示すものとすると,〆Ⅹy,〆yz,〆zxほ乱れ変動する部分的粘性 係数を示すこと紅なり,久宝はこれを変動粘性係数とした.この道動方程式には速度,密度および粘性係数に関する 3変動因子が導入されているが,簡易化されなくては実際問題としての使用に適さないであろう また最近合田〃)は上水源貯水池の密度流問題解析にあたりて,浜田(5)とおなじよう紅速度変動の外に密度変動を考 慮した3次元運動方程式を示している.すなわち非圧神性流体では通常密度pを一定として取扱うが、貯水池密度流 を考える場合には,pをⅩ,y,Z,tのfunctionとして取扱う必要があるわけで,合田は流速のⅩ,y,Z方向に.おけ る分値をu,Ⅴ,W,外力の分値をⅩ,Y,Z,内部応力のテンソルを・rijとなし,乱流場でほ速度分値u,Ⅴ,Wは平 均値と変動値とから成り,u=ふト・u′,Ⅴニ盲+・Ⅴ′,W=諒+・W′であるとともに.pについても平均値と変動値を考え針=

言+p’となし,この変動値p’ほt時間中Ku’,V′と同様呵…三掛(冊子みなし・REYNOLDSstressで表

現した運動媚式として(4)式を提示した・・この式で意は演好意・十桜ヰ盲昔+蒜意を示すものであり,

変動流紅よる付加応力がそれぞれ右辺第3項以下紅まとめられている. なお前述浜田の運動方程式は2次元乱流を取扱っており,簡易化した(1)式ほ(4)式の※印をつけた項の衣をとったこと になる. 草

−Dii※− 囁ニpX一意・一意(抒)一行意一打昔一相思

一(右打+i抒+P打)一(右打十古河・・・P打)

一意(石打景十諒芥7十㌻■訴F)

(6)

● ∫ー ..

′・ト\ご・…1・′・、−・−・・●しl′−:;−−・ノ、′ニー∫・’、、・●−ニ●

7′

−窓前′■示十も声7+・戸扁7ト音(石打+音声+声抒)

−−㌫(β∇諒7+諒7『+戸珂

(4・【2)

万富=声鞍−旦※一意挿7一

8z

)一存憲一抒昔一声′意

一意 、6抗ア十云丙ア十㌻抑い(右前手十石河+石′扁7) (4−3) 一意(右前盲7・有戸前+・P前膏) その他河川感潮部に.おける解析には,ARONS&STOMMELの理論,KETCHUMの方法,SCHIFFなどの理論(4) あるいほ市栄(32)($3)($4)の研究などがあるが,貯水池密度流でほその密度が主として湿度にもとづくもので小さく,一般 に3次元不定流となるため解析が因塵とされているいこの点紅関して合田(4)は前述運動方程式軋おいて鉛直安定度E やRICHARDSONnumber・Riが重要な意義をもつことを指摘した.すなわら,密度勾配に抗して運動盟輸送がなさ

れ早場創こ,乱れを維持するenegyは当然減少し,その傾向ほ密度勾配が大きくなるはど強く,この密度勾配が乱

れに対する安定暖の指層であり,特に・鉛通鯛の密度勾配すなわち−告が重要であり,これ鉛直安定度撃とした

こ.の点浜田(β)も河口における河海水混合の場合では,一般紅 が大であるので,〆 ほ主として垂

直安定度E=妾に長配されるとしているが,貯水批おいても

などにし が一般軋大きく その強さは上下,季節などに.より異なることになろう.次にRrCHARDSON number は鉛直方向の密度勾配に抗し て運動畳輸送がなされるため消費される由eIgyと,これを補う乱れのeneIgyの比率を示す−ところの無次元盗(5)式 で示されている小 (5)

Ri=早計

通常乱流の起りうる限界値としてRiく岩⊥(D:物靴散係数,e:渦粘性係数)が与えられているが,合甲 はRiは流体の乱れに.対する安定度の指標に.なるとして(2)式の右辺に導入し(6)式を誘導し,なお浜田のあつかった(1)

式の成甜るような条件の下珊4)式の第1式ほ(7)式のように・なり,この式の末項すなわちヱ祭(意)8が乱れを

減衰させようと.する力の大きさを示すという 8

】 抒意=」祭(意)=告可意⊇(意)8

(6) !者 で定義される長ざの元をもつ) (ただしここでJwほJw′J=Jw S S ∴

櫨=一意一十意(一両)欝(意)

(7) このように合田の運動方程式を簡略化されているが,実際貯水池密度流の流動状態を把握するためにり(4)式や(7)式 などを項地貯水池を対象にした復雑な境界条件のもとで連続方程式としてとくのほ因雉を伴い,貯水池で実測した

右,意,砥どをもとにして」祭(意)$などの儲並び鯛間的大小変化状態を比較して,貯水池内密庶流動

状態を概略的に知り得る程度となろう(以下次号).

(7)

17 欝9巻欝1号(195フ) 逆碑流 潤濁流入水 、 貯水池水面 (a)潤濁河水が貯水池に流 入し潜行溜濁密度流と なる状態 (b)潤濁密度流先端がダム に達して乱れる状態 (C)潤濁水が薄行氾濫し静 止状態となった滴濁貯 水池の状態 凰2 貯水池狂おける密度流の沿革過程(Bell)

(8)

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