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タイ国東北部・北部の水源,供給ならびに水質からみた学校環境衛生

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(1)

タイ国東北部・ 北部 の水源

,供

給 な らび に

水質 か らみた学校環境衛生

*1,佐

*乳

*3

School Environmental劇[ealth on the Water Source,Supply and

Condition in Northeastern and Northern Thailand

Shohei Kokudo*1, Tetsuya Sagawa*2, Koji lnosako*3

キー ワー ド:タ イ国

,学

校環境 衛 生

,水

,大

腸菌 汚染

,重

金 属 汚染

Key Words : Thailand,school environmental health,water condition,

colon bacilli pollution,heavy metal pollution

1.序

タイ国における気候風土

,特

に乾季 における農業用水の不足

,飲

料水の枯渇は

,食

料不足 と衛生 問題 に大 きな影響を与えてきた。世界保健機構

(WHO)で

は1981年 か ら「 世界上水道 。下水設備 の10年 (International Water Supply and Sanitation Decade)」 のキ ヤンペー ンを展開 した。 タイ 国においても

,同

時期 よ り

,飲

料水問題を重要 な課題 と して取 り組んでいる。つ 我 々は

,1983年

よリタイ国におけ る児童生徒の健康実態学術調査を行 っている。その 目的は

,児

童・ 生徒 の発育発達状況

,健

康状態

,運

動能力

,保

健行動等の実態を明 らかにす ること

,そ

の結果 に基づいて作成 した資料 を学校教育現場で活用す ること

,な

らびに

,学

校教育・ 学校経営上

,必

要 な知識

,技

術等 を伝達す ることにある。学校 における集団の健康 を考慮 した場合

,学

校環境の整備 は非常に重要である。その中で も飲料水は

,児

童生徒の健康 。あるいは疾病 と関連 してお り

,飲

料 水の汚染は

,感

染症の伝染や

,中

毒 を引き起 こす原因となり

,そ

の水質は適切 に管理 され なければ ならない。 本研究では

,学

校保健 に関連 してタイ国ウボ ン県とチ ェンマイ県の小学校並びに中等学校の給水 環境や飲料水の水質について調査 し

,今

後の当該学校の学校環境衛生 に有効 な資料及び指針 を提供 す ることを 目的とす る。 *1鳥 取大学教育地域科学部 エワ金沢大学教育学部 *3鳥取大学農学部

Faculty of Education and Regional Sdences, Tottori University Faculty of Education,Kanaか 〃a University

(2)

42

國土将平・佐川哲也・猪迫耕二:タイ国東北部・北部の学校環境衛生

2.調

査 地 の 概 要

本研究の調査地域は

,タ

イ国東北部に位置するウボ ン・ ラーチャタエー

(以

,ウ

ボンと略

)県

,北

部に位置するチ ェンマイ県である

(図 1)。

ウボン県は東にラオス

,南

にカンボジアと接 し

,ウ

ボン県とラオスとの国境に沿 ってコー ン川

(通

称メコン川

)が

流れている。ウボン県の中央部には西か ら東にムーン川が流れており

,ラ

オス

との国境でコーン川に合流す る。土壌は養分に乏 しい赤土

(ラ

テライ ト

)で

あり

,農

作物の栽培に

適 しているとは言えない。表 1に 調査地の面積

,人

,住

居数を示す動

9。 1995年

県別統計による

とウボン県の人 口は約

WO万

人であり

,県

庁所在地であるウボン郡

(ア

ンプー

)は

人 口約

21万

5千

,

ピブン・ マンサハーン

(以

下 ピブンと略

)郡

12万

9千

人である。また

,農

村部となるデ ット

ウ ドム郡は

6つ

の行政区

(タ

ンボ ン :数村が集まった行政上の村

)と ,189の

(ム

ーバー ン

:自

然発生村

)か

ら構成される。本調査地であるナーカセーン村とノンガンホーイ村は同一の 。ナーカ

セー ン行政区に位置する。デッド・ ウ ドム郡の人口は約

15万8千

人であるが

,各

村の人 回は統計資

料か らは掲載 されていない。

チ ェンマイ県はタイ国北部に位置す る県であり

,北

は ミャンマーの国境に接す る南北に長い県で

ある。県の多 くは山岳地帯に覆われてお り

,そ

の山岳部には多数の少数民族の村が点在す る。チェ

ンマイ県の人口は約

156万

人であり

,県

庁所在地であるチェンマイ郡の人口は約

25万

2千

人である。

また

,チ

ェンダオ郡は7つ の行政区があり

,そ

の中に

70の

村がある。その人回は約

7万 4千

人である。

Changwat Chang M 図

1

調 査 地 点

(3)

鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) 表

1

調査値対象地域 の面積 。人 口・ 住居 地 域 面積

人 口 人 人口密度 人/血2 T■

S数

1脇

人/件 ウボ ン県 (1995) ウボ ン郡 自治都市部 非 自治都市部 ピブ ン郡 自治都市部 非 自治都市部 デ ッ ド・ウ ドム郡 15,739。 1 1,696,795 107.81 423.0 215,042 508.37 29.0 105,040 3,617.08 394.0 110,002 279.22 878.6 129,333 147.20 6.0 13,427 2,237.83 872.6 115,906 132.82 1,270.0 158,107 124.49 324,095 5.24 47,399 4.54 23,391 4.49 24,008 4.58 23,813 5。 43 3,220 4.17 20,593 5.63 31,463 5,03 チ ェ ンマ イ県 (1996)20,107.1 チ ェンマ イ郡

166.4

自治都市部

35。

8 非 自治都市部

130.5

チ ェ ングオ郡

1,882.1

1,564,438 77.81 252,222 1,515。 86 170,723 4,762.28 81,499 624.32 73,536 39.07 501,663 3.12 103,073 2.45 64,006 2.67 39,067 2.09 20,109 3.66

3.調

査 対 象 学 校 の 概 要

タイ国において

,学

校は大きく小学校と中等学校に分類できる。小学校は

6年

間教育でほぼ 日本

の教育システムと同 じであるが

,幼

稚園と併設されている場合が多い。本研究の調査対象となった

小学校はチ ェンマイ・ ウェルフェア・ スクールを除いていずれも幼稚園を併設 している。現在

,

イ国内では教育機会拡大計画が実施されており

,義

務教育を中学部

3年

生まで拡大する予定である。

このため

,隣

接する中等学校がない場合には

,小

学校に中等学校の前期にあたる中学部の

3年

生ま

2

各学校 の就学 率 (タイ国全土) 学校 1990年 *1 1994年 *2 1996年・2

% % %

幼稚園 小学校 中等学校低学年 中等学校高学年 *1: 1990年 人口統計4)ヾ 1991年 教育統計5)ょ り図土推 計 (教育統計 の小 学校1年男子 人口が当該年齢人 口 より約8万人超過 してい たため、比例配分 に よ り再推計 した) *2: 1997年教育統計報告書6)ょ り引用 44.9 96.8 44.0 13.9 51.6 94.1 63.8 33.7 62.9 90.0 70.9 42.3

(4)

表 3 調 査 学 校 の 概 要

(1997年

) 学 校 ウボ ン・ スポーッ・ス クール シーパ トム・ ピッタヤ カ ン中等学校 ナーカセー ン・スクサ 中 等学校 ナーカセー ン村小学校 ノンガ ンホー イ村小学校 ウボ ン・ ウ ィッタヤ コム 小学校 ウイパ ック・ウ ィッタヤ コム小学校 ドンクラー ン村小学校 所在地

ボン

ボン

:奏

:上

tヒ

'舟

=)舟

テシ

雰う

,講

ウボ ン郡

辞 喜 託

ブン

下シ

)う

三ヴ

180 356 58 185 394 2121 228 989 57 214

214

水道 2962 zK如豊

499

地下水

20

地下水

84

地下水 ―

水道

水道

天水 井戸数 備 考 授業 は他 の中等学校 で受 けてい る。生活は寄宿舎で合同生活。 創立4年目、5、 6年生 はい ない。 隣のナーカセー ン・スクサ 中等 学校が教室不足のため に教室 を 貸 している。 2

4

雫奈 考昼 懸 テ 事 断水 の ため 、地 不 明 0 図 卜 煎 Ч ・ 甫 と 武 占 ・ 熊 占 準 ︱ ︱ ¨ く ぺ 回 測 辞 当 ・ 洋 当 ⑤ 報 薄 納 謙 球 卜 ウ ボ ン 県 チ ェ ンマ イ・ウェル フェ ア・ ス クール チ ェ ンダオ・ウェル フェ ア・ス クール チ ェ ンマ イ郡 チ ェングオ郡 チ ェ ン マ イ 県 者Б市吉呂 郊外 山間部

451

地下水 2∼

3山

岳少数民族が含 まれる。

255 251

地下水

3

山岳少数民族 が含 まれる。 フェイ トム村小学校 ラ ンプー ン県 リー郡フェイ トム村 農村部 357 1296

131

地下水 1以上 カ レン族 の村。

(5)

鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) でを併設す る学校が増えてきている。中等学校は

6年

間教育で

,

日本の中学校 と高等学校 を合わせ た形 とな っている。表

2に

各学校 の就学率

000を

示す。 この数年で特 に中等学校 において就学率 が向上 したことが明 らかである。 表

3に

調査学校の概要 を示す。都市部 のウボ ン郡並びに ピブン郡 において調査対象 となった学校 は小学校

2校

,中

等学校

1校

に加えてウボ ン・ スポーツ・ スクールの

4校

である。いずれ の学校 と も市街地

,あ

るいはその郊外 に位置 し

,交

通の利便はよい。 ウボ ン・ スポーツ・ スクールは

,競

技 選手育成 を 目指 した学校で

,主

に東北地方

8県

よ り構成 され る第10教育地 区全域か ら学生 を募集 し ている。1997年時点では

,学

生数 は中等学校

1年

生か ら

6年

生 までの214名で あったが

,将

来的に は540人 の学生の規模 を予定 している。 この学校 の生徒は

,近

隣の中等学校 で普通授業 をうけ

,夕

方同校 に帰 って トレーニ ングをす るとい った特殊 な形態をとっている。 また

,全

員が寄宿舎で生活 を している。 ウボ ン県の農村部の調査対象学校は

,小

学校

3校

,中

学校

1校

4校

である。 これ らの学校はい ずれ も典型的な農村 に所在 し

,多

くの村は主要幹線道路よ り未舗装の道を数キ ロ入 っった ところに 位置 している。小学校のうち ドンクラー ン村小学校 には中学生はいない。 また

,ナ

ー カセー ン・ ス クサ中等学校はナー カセー ン村小学校 よ り

500m程

度離れた ところに1994年 に新設 された。 このた め

,ナ

ーカセー ン村小学校 にも中学部はない。 しか し

,調

査時にはナーカセー ンスクサ中等学校の 教室数がすでに不足 していたために

,小

学校の

1教

室を中学生用 と して提供 していた。

´ チ ェンマイ県の対象学校は

2校

ともチ ェンマイ県に住む山岳少数民族 の子 どもたちな らびに経済 的ゆとりのないタイの子 どもたちに教育の機会を与えるために設立 された福祉学校である。 この学 校に通 う子 どもたちの多 くは寄宿舎生活 を してお り

,週

末には家族のもとに帰省す るようである。 ランプー ン県において調査対象 となったフェイ トム村小学校 は

,山

岳少数民族のひとつであるカ レン族の村の学校である。 カ レン族は山岳少数民族の中でも最大の規模であ り

,約

35万

3千

人が タ イ国内に居住 している0。 この学校では小学校低学年 の就学者数は高いが

,学

年が進級す るに連れ てその就学者数は激減す るЭ調査時の小学校

1年

生は399人 在籍す るが

,中

学生 になると50人 を下 回 り

,中

学校

3年

生では36人となる。

4.水

質 検 査 の 調 査 内 容 飲料水 の水源

,出

水 までの学 内処理方法

,ま

たそれぞれの出水 回よ り出る水が飲用可能であるか どうかを

,学

校の先生 に対 してイ ンタビューす ると同時に

,我

々が視覚的に確認を行 った。 なお, 先生 によ っては知識が不十分であ り

,明

確 な回答が得 られ ない場合 もあ った。 それぞれの学校 において

,飲

料水等の水質調査 を行 った。現地 において大腸菌および黄色 プ ドウ 球菌の検 出を行 った。両細菌 とも

,サ

ンコリ (サン科学

)の

簡易検 出紙を用 い

,検

査手順 に従 って, 35∼ 37℃で24時間培養 した後

,菌

群が検 出されたか否かで評価 した。細菌検査は

,飲

料水 に限 らず 学校で利用可能 な出水 口にお いて

,可

能 な範 囲で行 った。 また

, 3カ

所 の飲料水 につ いては

,約

200■2のポ リ容器に採取 し

,

日本に持 ち帰 った後

,pH,蒸

発残留物

,COD,硝

酸性窒素

,亜

硝酸性 窒素

,塩

素イオ ン

,カ

ドミウム

,鉛

,

クロム

,亜

,鉄,銅

,ナ

トリウム

,マ

ンガン

,

カルシウム, マグネシウム

,カ

リウムの金属 について検出を行 った。検 出は以下の方法 を用 いた。

pH:pHセ

ンサー (メ トラー トレ ド社

MP120)

蒸発残留物 :Л

S K 0101

工業用水試験法 に準拠

(6)

國土将平・佐川哲也 ,猪 迫耕二:タイ国東北部・北部の学校環境衛生

COD:100℃

過 マ ンガ ンカ リウム法 塩 素 イオ ン:チオ シア ン酸水銀 (Ⅱ

)法

(HA(Xtt DR2000)

硝 酸性 窒素 :ブル シ ン吸光 光度法 (島津製作所 紫外 可視 分光光度 計

UW1200)

亜硝酸性窒素 :ナフチル エ チ レンジ ア ミン吸光光度法 (島津製作所 紫外 可視分光光度 計 llW1200) 金属

:(1+1)硝

酸 :サンプルが容積 比で

1150と

な るよ うに調整 し

,ICP発

光 分光 光 度法で定量 (島津製作所

ICPS-5000)

採取 した水は

,現

地で

pH調

整をす ることが難 しく

,金

属類は容器付着消失のため

,検

査結果が実 際よ りも低 い値 を示す ことが予想 され る。得 られた結果は 日本並びに

WHOの

水道水基準09)と比 較を行 った。

5H結

表 4に

,調

査した学校の水源

,処

理方法

,飲

料の不可および細菌の検出状況を示 している。

4

調査対象校 の水源 、処理方法、飲 用の不 可および細菌 の検 出J犬況 (1997年) 学 校

採取場所

甲轄透

Υ静鱚

f形

´

12/15

ボン

可 フ イル タ ー

ー 12/15 ウボ ン郡水道

*!累

髯護

L

シーパ トム・ ピッタヤ カン中等学校 ナー カセー ン・ス クサ 中等学校 12/16 地下水 ウォータークーラー 手洗用蛇 口 可 フ イル タ 不可 な し 可 フイル タ 不可 な し ― ― () キ ー ― () +   + 一 ナー カセー ン村小学校 12/16 地下水 手洗兼飲料用蛇口

可 塩素投 入 校 ガ ンホーイ村小学 12/16

ツタヤ コ

12/18

ウボ ン郡水道 手洗用蛇 口 不 可 再 な し 十 ― () + ウボ ン・ウィ ム小学校 な し ウィパ ック・ウィッタ ヤ コム小学校 12/18 ピブ ン郡水道 手洗用蛇口 消 毒 ○ ドンクラー ン村小学校 12/17 天 水 水飲み場(素焼 きの 瓶) 不 明

う三子

T女

ヒラル

12/20

地下水 飲料水用蛇口 可 フイル タ ー 手洗兼飲料用蛇口 可 食器洗い場蛇口

不可 3重濾過 塩 素投 入 2重濾過 塩 素投入 な し ○ チ ェ ン ダオ ・ ウェル フ ェア ・ス クール 地下水 天水

天水用貯蔵タンク蛇 口 不可 フェイ トムホす小学校

12/25

地下水

笠整省是皆 口 可 塩素投入 不可 な し + + *ウボ ン市 のその他 の2校と距離が あるため に水源が異 なる可能性がある

(7)

蔦取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999)

1)飲

料 水 の水源 な らび に処理 方法 調査 した学校のうち

,ウ

ボ ン郡並びに ピプン郡 の学校 については

,供

給 され る水道を水源 と して いた。 これ らの学校では

,水

道水をそのまま飲料水 とせず

,タ

イ国では一般的なセラミック製のフ ィ ルタ (写真

1)で

ろ過 して飲料水 と していた。 なお

,

ピブン郡のウイパ ック・ ウ ィッタヤ コム小学 校では

,消

毒を しているという回答であ ったが

,そ

の詳細は明確 にはな らなか った。 農村部の学校である ドンクラー ン小学校は

,学

校 に丼戸が なく

,雨

期 に貯蔵 した天水 を飲料水 と していた。 これ らの水は

,校

内の水飲み場 に素焼 きの瓶 に入れ られ ていた (写真2)。 事前の処理 については回答がなか った。 この学校では

,

これ以外 に飲料水 を確保 してお らず,「天水が な くな れば どうす るのか」 という我 々の質問に対 しては,「それで

,終

わ りだ」 と答えたに過 ぎなか った。 写真

2

ドンクラー ン村小学校の水飲み場 写真

1

セラ ミック製のフ ィルター とウオータークーラー (ウボ ン・ スポーッ・ スクールにて) 一般的に学校に使われ るフィルターは もう少 し大型である。 ドンク ラー ン小学校 以外 の農村部 の学校

,な

らび にチ ェンマ イ県の

2か

所 の福祉学校 で は

,校

内 に

1つ

あ るいはそれ 以上 の井戸 を所有 し

,そ

こか ら湧 き出る地下水 を水源 と していた。 これ らの学 校 にお け る出水 まで の処理 は様 々であ る。 ノ ンガ ンホー イ村小学校 では全 く処理せず そ の まま飲 料 水 と していた。 ナー カセー ン村小学校では塩 素投入 のみ を行 っていた。 ナー カセー ン・ ス クサ 中等 学校

,チ

ェンマ イ・ ウ ェル フ ェア・ スクールでは

,セ

ラ ミック製 フ ィル タによるろ過 を行 っていた。 両校 には水道設備 に詳 しい先生が不在 であ ったため

,視

覚 的 な確 認 に ととま り

,塩

素 の使用 につ い て確認 で きなか った。 チ ェングオ・ ウ ェル フ ェア・ ス クールは

,水

の処理施設が充実 してお り

, 2

カ所 の井戸 か ら取水 した水 を一次 ろ過 した後

, 4万

リ ッ トル の タ ンクに一時貯水す る。 その後

,二

次 ろ過

,塩

素投入後

,揚

水 タ ンクに揚水 し

,一

般使用 を行 ってい る。飲料水 と しては

,

この水 を も

(8)

48

國土将平・ 佐川哲也・ 猪迫耕二:タイ国東北部・ 北部 の学校環境衛生 う一度 ろ過 して利用 している。 なお

,ナ

ーカセー ン村小学校 のみ井戸の深 さが

36mで

あることが確 認できた。

2)細

菌検 査 の結 果 検査を行 った18標本中

8標

本か ら大腸菌が検 出された。 このうち

,飲

用が可能であるとされた11 標本の中か ら

4標

,飲

料が不可であるとされた

6標

本の中か ら

4標

本よ り大腸菌が検 出された。

WHOの

飲料水水質基準では

,大

腸菌を検 出 しないことが条件 となっているが

,こ

の基準を満たす ものは

3分

2程

度 にとどまった。また

,ノ

ンガンホーイ村小学校 において

,冷

蔵庫のポ リ容器に 保管 されていた飲料水か らは

,黄

色ブ ドウ球菌 も検 出された。サ ンコリ簡易試験紙では約l m2の標 本を吸収す ることが可能であるが

,こ

の標本の場合

,約

20群の黄色ブ ドウ球菌 を確認 した。

3)水

質検 査 の結 果 表

5,表

6に

水質検査の結果 を示す。

pHの

結果 について

,最

も小 さい値 はウ ィパ ック・ ウ ィッタヤ コム小学校 の

6.74,最

も高い値 は ナーカセー ン村小学校の8.23で あ った。 これ らの値は 日本の基準 内にあるが

,ナ

ーカセー ン村小学 校の値 は

WHOの

「 塩素の使用 を考慮す ると8.0よ り小 さい ことが好 ま しい」 という基準値 よ りも 高い値であった。 表

5

水質検査結果 採取場所 pH

ng/1

COD

]彗

:]g旨

η

mg/1 mg/1 ng/1 mg/1

シータヾトム・ ピ ッタヤ

7.83 282.8

カ ン中等 学校 ウボ ン・ス ポー ッ・ ス

7.63 262.4

クール ナ ー カセー ン・ス クサ

8.07 1537.0

中等 学校 ナ ー カセー ン村小 学校

8.23 504.6

201.6 60.5

ヤ鰍 Ш

.3 1.11 0.84 0.012 10.5 2.12 2.73 3.74 0.41 0,065 61.0 0 11 0.006 123 2.02 0.009 56.5 ドンクラー ン村刀ヽ学校

7.55

ノンガンホーイ小学校

7.53

チ ェ ングオ・ ウェル フェア ・ス クール 2.52 0.60 0,013 1.5 0,707 0。 14 0.011 41.0 0.908 0.45 0.007 0.5 7.17 0.40 0,028 1.0 6.81 241.8 ⅧO基準 (苦情のでる レベ ル

) 8.0 1000

日本基準

5.88.6 500

(快適水質 目標値

) 30-300

10* 0.06* 250* *:1993年以前の基準 200

(9)

鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) 49

蒸発残留物について

,最

も低い値を示 したのはノンガンホーイ小学校の

60.5ng/2で

あり

,最

高い値を示 したのはナーカセーン・ スクサ中等学校の

1537.Ong/2で

あった。 日本の基準

500ng/2

を越えたのは

2か

所あり

,ま

WHOの

基準

1000mg/2を

越えたのはナーカセーン・ スクサ中等学

校であった。

硝酸性窒素について

,最

も低い値はナーカセーン・ スクサ中等学校の0.1lIIlg/2,最 も高い値は

ナーカセーン村小学校の

2.02mg/2で

あった。また

,亜

硝酸性窒素について

,最

も低い値はナーカ

セーン・ スクサ中等学校の

0.0∝

ng/2,最

も高い値はウボンスポーツスクールの

0,065mg/2で

あっ

た。

WHOの

基準値を超えるものはウボンスポーツスクールの亜硝酸性窒素のみであり

,そ

の他は

良好な結果を示 した。

塩素イオン濃度については

,最

も低い値はウィパ ック・ ウィッタヤ コム小学校の

O.5mg/2で

,最

も高い値はナーカセー ン・ スクサ中等学校の

123mg/2で

あった。 これ らの値は

WHOお

び日本の基準を下回っていた。

6

水質検査 結果 (金属 イオ ン) 採取場所

r

ム亜

ち明

)マ

Ъ

ュラ

τ

会カ

mg/1 ng/1 mg/1 ng/1 ng/1 ng/1 ng/1 ng/1 ng/1 ng/1 ng/1

シーパ トム ・ピッタヤ 0.020 0.277 カン中等学校 ウボ ン・スポー ツ・ス 0.018 0,214 クール ナー カセー ン・スクサ 0,015 0.083 中等学校 0.010 9.55 0.0001 15,2 6.14 9,04 0.198 0.108 0.107 0.182 0.102 0,033 0.032 0,041 0,128 0,043 0,015 40,8 0.005 118 0.022 44.ユ - 15.5 3.38 2.38 - 45,5 34.0 8.03 0.002 40.6 22.3 7,74 ナーカセーン村小学校 0.026 ドンクラーン村小学校 0.017 ノンガンホーイ小学校 0.020

ウイツ

0,016 チ ェ ンダオ・ ウェル フェア・ス クール 0.076 1.20 -- 0,010 1,11 0.003 9.21 0.131 1.04 0,004 0.811 0.002 16.5 0,101 0.688 0.010 28,6 0.002 12.8 2.32 1.96 0.008 7.05 0.003 1.99 0.136 6.42 VHO基準 (苦情のでるレベル) 日本基準 (快適水質目標値) 0.003 0。10 0,05 3.00 0.01 0.05 0,05 1.00 0.50 50* 0.10 0.05 300 0.01 10-100 2.0 0.3 1.0 0.3 1.0 200 200 注

:

―:検 出限界以下 十:1998年以前の基準

カ ドミウムはチェングオ・ ウェルフェア・ スクールを除 くすべての学校で検出された。最も低い

値はナーカセー ン・ スクサ中等学校の

0,015叱

/2,最

も高い値はナーカセー ン村小学校の

O.026

dlg/2で あった。カ ドミウムの基準値は

WHO基

準で

0,003ng/2,

日本基準で

0.01ng/2と

日本の

基準が緩やかであるが

,検

出された標本はいずれもこの基準値を超えた値であった。

鉛はウィパ ック・ ウィッタヤコム小学校を除 くすべての学校で検出された。最も低い値はナーカ

セーン・ スクサ中等学校の

0.083mg/2,最

も高い値はシーパ トムピッタヤカン中等学校の

O.277で

(10)

50

國土将平・ 佐川哲也・猪迫耕二:タイ国東北部・ 北部の学校環境衛生 あった。鉛は

,

日本基準値が

0.05ng/2,WHO基

準値が

0,lmg/2で

あ り

,

日本の基準値が厳 しい。 検出された標本はいずれも日本の基準値を上回 り

,ま

WHOの

基準値を満た したものはナーカセー ン・ スクサ中等学校 のみであ った。 クロムと鉄 に関 しては

,い

ずれ の標本 とも検 出され なか った。亜鉛 につ いては 日本基準であ る

1.Omg/2を

超えたのはチェングオ・ ウェルフェア・ スクールのみであ り

,そ

の値は1.知

ng/2で

あっ た。銅およびマ ンガンについては

,い

ずれの標本 とも検 出されたが

,そ

の値は低 く

,

日本の水質基 準を大 き く下回る値であ った。 ナ トリウム

,カ

ルシウム

,マ

グネシウムは

,い

ずれ も水質基準を下回る値であ ったが

,標

本によっ てその値 には大 きな差が見 られた。ナー カセー ン・ スクサ中等学校が

,こ

れ ら

3つ

の金属 イオ ンに おいて

,最

も高い値 を示 し

,次

いで

,ナ

ーカセー ン村小学校が高い値 を示 した。 ノンガンホーイ村 小学校

,な

らびに ドンクラー ン村小学校 において

,ナ

トリウム

,マ

グネシウムの合有量は非常に低 い値を示 し

,ま

たチ ェンダオ・ ウェルフェア・ スクールではカル シウム

,マ

グネシウムの値が非常 に低か った。 カリウムにおいては

,ノ

ンガンホーイ村小学校は非常に低い値であ ったが

,ナ

ーカセー ン・ スクサ中等学校

,ナ

ーカセー ン村小学校

,チ

ェンダォ・ ウェルフ ェア・ スクールでは

6 ng/2

を超える値 を示 した。

6.考

WHOの

上水道 。下水処理の運動に関連 して

,タ

イ国では

,国

内経済社会開発局が1981年 か らは じめた第

5次

か ら第

7次

までの国内経済社会開発計画において

,安

全 な水 の供給 および下水整備を 重要課題 と して取 り組んでいる。 また

,

タイ国保健省は1998年か ら1996年の第

7次

衛生開発計画に おいて

,地

方の簡易水道計画を推進 してきた。その計画は

,地

方人 日の

95%に

対 して

,飲

料水

,調

,お

よび衛生の 目的で使用す る水 を一人あた り1日

52供

給す ること

,な

らびに同

70%に

対 して その他の利用 を合めた水を一人あた り 1日

452供

給す ることを 目標に している。。 表

7に

1995年 の調査地域水道事業 を示す動働。1995年 次点で ウボ ン県全体では利用住居 は約

2万

8千

軒である。 これは全住居数の

8.68%に

なる。 ウボ ン郡ではその割合が

44.83%で

あ り

,高

い普 及を示 している。 これは自治地区を中心 と して普及 していると推測され る。その他の地域で も

,水

7

調査 地域 における水道事業 (1995年) 地 域 容量

供給量 m3 m3

居守晃撓纂

%

一般販売量 n3 公共用 n3 ウボ ン県 ウボ ン郡 ピブ ン郡 デ ッ ドウ ドム郡 14,016,000 12,443,756 10,512,000 10,378,093 1,576,800 518,295 700,800 587,995 28,129 8.68 21,247 44.83 1,711 7.19 1,979 6.29 8,434,615 6,886,575 365,105 466,313 4,009,141 3,491,518 153,190 121,682 チ ェ ンマ イ県 チ ェ ンマ イ郡 チ ェ ンダオ郡 26,893,200 23,998,767 19,797,600 17,955,553 16,398,306 11,890,292 6,617,746 5,264,804 52,593 1,05 37,098 35,99

(11)

席取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) 道の普及は市衡地 に限 られ ると予想され る。 したが って

,本

研究の調査対象地域, 簡易水道や地下水

,天

水 を利用せ ざるをえない。 ウボ ン県の農村部 の対象校では, 年にかけて

,手

動式 のポ ンプか ら

,電

動ポ ンプに移行 した学校が多 く (写真3), を利用す る学校が多 くなった。 写真

3

ノンガ ンホー イ小学校の井戸 写真左 は1998年 に撮影 した もの、1997年 には右 のように電動 ポ ンプが設置 され た。 表

8

調査 地域 の気候 ウボ ン県 (1995年) チェンマイ県 (1996年) 51 特 に農 村部 で は, 1995年 か ら1996 学 内で簡 易 水 道

月員燈

℃ llllll 日

1 12.4 33.8 2 12.3 36.3 3 17.5 37.7 4 22,3 38.9 5 21.4 37.4 6 22.4 35.4 7 22.0 34.8 8 21.6 35.2 9 21.6 33.6 10 19.7 34.0 11 13.3 33.6 12 12.7 34,0

1.2 3

21.1 2 41.5 4 287.7 13 199,0 14 249.5 20 106.2 17 193.3 15 130.8 11 34.2 2 12.4 29。 7 15。6 30,4 19,5 35.4 22.8 35.4 23,7 33。 7 23.3 32.1 23.6 31.3 23.0 30.2 23,1 30,7 22.2 30。 9 20。3 29,6 16.6 28.0 40.6 4

9.2 3

213.8 9 84.3 14 106.9 18 123.8 21 215.5 23 224.0 18 222,7 11 73.6 6 年間

12,3 38,9 1,264.5 101

12.4 35,4 1.314,4 127

(12)

52

國土将平・ 佐川哲也・猪迫耕二:タイ国東北部・北部 の学校環境衛生

8に

ウボ ン県

,な

らびにチ ェンマイ県の気候 を示す劾働。気温は

,月

毎の最高気温 をみ ると, ウボ ン県では30度 を下回ることはなく

,最

高は38,9度に達 している。 ウボ ン県 ならびにチ ェンマイ 県では 5月 か ら10月までが雨季であ り

,当

該地域では

,昔

か ら雨季 に降 る天水を貯蔵 して飲料水 と してきた。学校 においては

,学

校校舎に降る雨を貯蔵す る施設 も併用 している (写真4)。 しか し, 貯蔵量 に限界があ り

,11月

か ら3月 までの乾季 の間

,枯

渇 の心配 もある。本調査の対象 とな った ドンクラー ン村小学校では

,現

在でもこの天水 を飲料水 と して用 いている。学校 のイ ンタ ビュー においては

,枯

渇時 の対策が なされてお らず

,井

戸 な ど

,そ

の他 の水源の確保が必要 であると思 われ る。 写真

4

天水用貯蔵タンク (フェイ トム村小学校) 写真中央3つ並んだタンクが貯蔵 タンクである。地面には井 戸の取水校があ り、貯蔵 タンクの上には揚水用のタンクが設 置されている。 1986年 時点で は学校 におけ る水質 の調査は行われ てお らず

,児

童生徒 が消費す る飲料水 の水質 も 全 く未知 であ ったlω。 1992年 の公 衆衛生局 の調査 で は全 国の調査水源 の うち

77%に

つ い ては

,あ

程度 の水 質汚染 が確認 され てお り

,本

研究 の対 象 とな る東北地 方 で は

30.8%が

飲料 には不 適 で あ る との判 断が され てい る。。本調査 の対象 とな った学校 にお いて も年 間

2回

を 目安 に水 質検 査が行わ れ るよ うにな った。保健所 (アナ マ イ

)に

お いて聞 き取 り調査 を した結果 で も

,保

健 所 の仕 事 と し て

,学

校 の水 質検 査 を して い る ことが確認 で きた 。学 校 は いずれ も良好 な水 質 であ ると報告 を受 け てい るそ うで あ る。 しか し

,本

調 査結果 にお いて は

,大

腸菌 の検 出

,基

準 を超 え るカ ドミウム

,鉛

の含有量 が検 出され

,問

題 の あ ることが明 らか とな った。 まず

,第

一に大腸菌の検出は

,そ

の他のウイルス

,細

菌 による感染症を引き起 こす可能性が示唆 された。表

9に

タイ国における主要 な感染症を示 しているが

,チ

フス・ サルモネラ感染症

,そ

の他 の腸感染症 など

,経

回感染 による疾病の罹患者数が非常 に高い12Jこ とが明 らかであ る。食 品

,飲

料水 などの感染経路を特定す ることは不可能ではあるが

,大

腸菌の検 出数を考慮す ると飲料水が原 因となる感染を引き起 こ していることは否定できない。

(13)

鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) 表

9

タ イ国 にお ける主要 な伝染病 り患数 お よび率 (1996年) 全 国

東北部 】ヒ言語 疾病分類 人数 人数 人 数 協季予そ沫ず愚棄フス`そのイ也

29,176 53.82

その他 の腸感染症 全結核 ウイルス性肝炎 マ ラリア 258,994 477,76 36,003 66.41 5,974 11.02 35,718 65.89 10,101 48.63 99,972 481.36 13,217 63,64 24,540 118,15 2,534 12.2 4,613 22.21 46,905 225,83 6,749 56.52 46,050 385,64 8,034 67.28 5,533 46.33 1,255 10.51 15,891 133.08 21,472 179,81

界と

)飯

程笹盈鏡

39,838 73.49

その他 の感染症及び寄生虫症

101,533 187.29

チ ェンダオ・ ウェルフ ェア・ スクールの

2重

ろ過の段階では大腸菌 は検 出され なか った にもかか わ らず

,さ

らにもう一度 ろ過 された飲料水では大腸菌が検 出された。 この施設は

2次

ろ過後

,塩

素 投入 しているにもかかわ らず

,大

腸菌が検 出された。塩素投入後 に揚水 タンクに揚が り

,ま

た再び ろ過され るといように

,出

水 までの経路が長 く

,途

中で塩素濃度が低下 した と思われ る。その結果, 第三ろ過器が大腸菌 に汚染 され ている可能性が指摘できる。 タイ国で使用 され ているフ ィル タはセ ラ ミック製であ り

,こ

の清掃が不十分であると

,フ

ィルタ自体が細菌類 に汚染 され ることになる。 従 って

,定

期的に清掃す る必要があ り

,そ

の時期

,清

掃方法等のマニュアル化 な らびに実践が必要 であると思われ る。 また

,塩

素投入の時期 を考慮 した方がよいと思われ る。上述の例では塩素投入が早期であ ったた めに

,出

水時にはその効果が表れていない。対象学校 においては水道水・地下水の両方 とも塩素投 入を行 っていない場合がある。 出来 るだけ出水の近 くで塩素等できることが望 ま しい。 これは

,学

校 と しては

,多

くの設備投資

,な

らびに継続的な資金が必要 となることを忘れはならない。 ノンガンホーイ小学校 においては

,直

接採取 した井戸水か らは菌は検 出され なか ったが

,同

水を 冷蔵庫 において保管 したものは大腸菌

,黄

色ブ ドウ球菌 ともに検 出された。 これは

,保

存容器の汚 染を意味す る。 タイ国では客人に対 して冷たい水を差 し出す のが礼儀 の一つである。 このような場 合

,冷

蔵庫で保存 された水が使われ る。 また

,教

,あ

るいは校舎 に写真

5の

ような子 どもたちの 水飲み場が設置されている場合が多い。 これ らも同様 に細菌 に汚染 されている可能性が高いと推測 される。いずれも容器を細菌が繁殖 しに くいものに換えること

,

また容器を密閉す ることによって, これ らの菌の汚染を少な くす ることが可能であると思われ る。 細菌の汚染の根本的な対策 と して井戸を掘 る場所 を検討す ることが好 ま しいと思われ る。 タイ国 においては

,

しみ出 し式 トイ レが一般的である。 この トイ レは

,水

洗式であるが地下 に穴を掘 り, そ こに糞尿を排水 し

,細

菌やバ クテ リアの作用 によって分解す るものである。 これ らに排水 された 糞尿は分解途中あるいは分解後そのまま地下に浸透 してゆ く。 この トイ レの近 くに丼戸が掘 られて いる光景を我 々はよ く目に してお り

,水

質の汚染が懸念され る。従 って

,

これ らの トイ レか ら離れ

(14)

國土将平・ 佐川哲也・猪迫耕二:タイ国東北部・北部の学校環境衛生 写真

5

教室の中の水飲み場 (ウィパ ック・ ウィッタヤコム小学校にて) 左の応、たを したバケッの中に水が入 っている。子 どもたちは バケツのふたをあけ、中の水をコップです くって飲む。 た場所 に丼戸 を掘 る必要 があ ると思われ る。実際 に ノ ンガンホー イ村 小学校 の井戸 は

,周

囲 に汚染 源 は な く

,全

く処理 を行 ってい ない地下水か らも大腸菌 は検 出され なか った。 カ ドミウムや鉛 は

,い

ずれ飲料水 で も検 出され た。 これ ら重金属 の摂取 は健康 へ の害 も懸念 され る。現在 の ところ

,そ

の汚染源 は 明確 では ない。 まず

,地

下水 自体 の汚染 によ るものか

,り

'水 設備 が原 因 となる汚染であ るか を確認す ることが大切 であ る。今後

,汚

染源 を明 らか に し

,対

策 を検 討 す る必要 があ る。

大澤 と高橋

10は

本研究 と重複す る学校の飲料水を検査 し

,全

般に無機物質の合有用が高い傾向

にあることを報告 している。本研究の結果は

,ウ

ボン郡

,

ピブン郡の学校と

,ナ

ーカセー ン村の学

校において大澤と高橋の結果 と類似 している。

ドンクラーン村小学校は天水のために無機質の合有

量が少ないことは明確であるが, ノンガンホーイ村

,チ

ェングオ・ ウェルフェアスクールではもう

少 しカルシウム

,マ

グネシウムの合有用が高 くても良いと思われるほど低い値であった。これ らの

無機質は

,水

源の上壌や産業 。生活排水・並びに田畑で使用され る農薬とも関連 し

,急

激な改善は

望めないかもしれない。 しか し

,継

続的に検査を行う必要があると考え られ る。

7.ま

タイ国においては

,近

,飲

料水の水質を向上させようとする努力が行われている。実際には

,

気候・ 風土との関連で非常に多 くの課題を抱えているようである。その中でも学校現場において比

較的改善が可能であるのは細菌の汚染であろう。細菌の汚染を防止するために

,フ

ィルタの定期的

清掃

,水

の保管方法など

,マ

ニュアルを整備 して

,活

用できるように工夫す ることが大切である。

本研究 に際 しま して

,た

くさんのご指導・ ご鞭撻 をいただきま した席取大学教育地域科学部の松 本健治教授

,中

野恵文教授

,大

妻女子大学の大澤清二教授

,

日本水道協会の須藤侍郎様 に深 く感謝 申 し上げます。

(15)

鳥取大学教育地域科学部紀要 地域研究 第

1巻

1号

(1999) 55

引用参考 文献

1)K/1inistry of Pubhc Httalth i Thailand Hcalth Profile 1994, 34-44, Ministry of Pubhc Hお alth,

Nonthaburi, 1996

2)LTbon Ratchathani Provincial Statistica1 0fFice i Statistical ttports of Changwat 1996 Edition Ubon Ratchathani, 3-6, 56-57, 99-100, 134, Ubon Ratchathani Provincial Statistical Office,Ubon Ratchathani,1997

3)Chiangヽ

lai Provincial Statistica1 0ffice i Statistical Reports of Changwat 1997 Edition Chiang Mai,3-4,46, 103,Chiang Mai Provincial Statistica1 0ffice,Chiang Mai, 1997

4)National Statistica1 0ffice : 1990 Population and Housing Census, 14, National Statistical Office,Bangkok,1994

5)National Statistica1 0ffice : 1991 Report on Education Statistics, 12-13, 19, National Statistica1 0ffice,Bangkok, 1994

6)National Statistica1 0ffice i Report of Education Statistics : Academic Year 1996, 17, 26, National Statistica1 0fFice,Bangkok, 1997

7)Tribal Research lnstitute : Tribal Population Sumlnary in Thailand, 1-3, 1996 (Tribal Research hstituteで 入手

,未

刊)

8)日

本水道場会 :水 道管理 指針

,1001-1006,

日本水道協 会

,東

,1999

9)日

本水道協会 (訳

):WHO飲

料水 ガイ ドライ ン (第1巻

),161,

日本水道協会

,東

,1993

10)日本水道協会抄録委員会 (訳

):WHO飲

料水 ガイ ドライ ン

(I)勧

告, 日本水道協会誌

,54:34-91,

1985

11)大

澤清二

,高

橋元新 :東 北 タイにお け る教育環 境研究 一 東北 タイ学校飲料水調査 よ リー

,学

校保健 研究

,31:292-300,1989

12)Ministry Of Pubhc Hcalth:Public Health Statistics A,D.1996, 151-160,W[inistry of Public Health,Nonthaburi, 1997

(1999年6)弓10日受理)

Abstract

The purposes of this study were to identify the water source and supply route, to examine the quality of the、vater and to provide the data that、 vere utilized to improve the school environmental health in Northeastern and Eastern Thailand, In resent ycars, WIinistry of Public Health has tried to inprove the、 vater quality and to supply water safety using small― scale water一supply system in rural area. However various factors such as weather, natural features and human life make difficult to improve water quality. Colon bacini polluted t、 vo thirds of water inspected from sites, Furthermore, both cadmium and lead polluted almost all inspected drinking water. For preventing bacteria pollution, it is important to make manuals concerning water― filter cleaning, drinking― water preservation and to apply them. Pollution coursed by heavy metal sho,ld tt specified and gotten rid of.

表 3 調 査 学 校 の 概 要 (1997年 ) 学 校 ウボ ン・ スポーッ・ス クール シーパ トム・ ピッタヤ カ ン中等学校 ナーカセー ン・スクサ 中 等学校 ナーカセー ン村小学校 ノンガ ンホー イ村小学校 ウボ ン・ ウ ィッタヤ コム 小学校 ウイパ ック・ウ ィッタヤ コム小学校 ドンクラー ン村小学校 所在地ウボン 郡        辞 啓 託ウボン郡    :奏詠計:上ガtヒ'舟郡 健村部〒上げ毛=)舟郡 農村部テシ雰う系ど,講 農本寸部ウボ ン郡      辞 喜 託ピブン郡 

参照

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