1.西洋なしの楽しみ方
1.西洋なしの楽しみ方
(1)
(1)
西洋なしのルーツ
西洋なしのルーツ
ナシ
(梨)はバラ科、ナシ亜科、ナシ属に属する植物で、そ
の起源は中国の西部と南西部の山地であろうと考えられて
います。その起源植物にはここから西に向かって移動した
グループと、東に向かったグループが想定されます。
現在の西洋なしは西に向かって移動しながら分化していっ
たもので、逆に中国なし、日本なしなどは東に移動して交
雑種を残したものと推測されます。従って、西洋なしのふる
さとはヨーロッパ(西部および南東部)およびトルコあたりと
思われますが、この他の起源説もあります。
日本には、りんごや他の西洋果実と同様に明治初期に欧
米から導入されました。導入後は多くの県で試作されまし
たが、日本なしと栽培法が違ったため、一部の県に定着し
たにとどまりました。
最初は、加工用として伸びてきた西洋なしも
1970年代半ば
から加工需要が停滞し、生食へ変換してきました。
(2)
(2)
品種
品種
形、色も色々
形、色も色々
味も色々
味も色々
香りも色々
カリフォルニア
食べ頃になると鮮や
かな赤色になります。
香りも色々
オーロラ
全面褐色のサビ
で覆われています
バートレット
ビン形で西洋ナ
シの代名詞です。
ラ・フランス
床屋さんであったク
ロード・ブランシェ氏が
発見しました。日本に
は
1903年(明治36年)に
導入されました。
フランスでは栽培され
ていません。
ドワイエネ・デュ・
コミス
欧米諸国での高
級品種
コンファレンス
欧米諸国の主要品
種です。細長い形
が特徴的です。
時期別出荷品種(山形県)
時期別出荷品種(山形県)
品種・系統名
可食
シルバーベル
収穫 可食
11月
8月 9月
収穫
10月
可食
収穫
12月
可食
可食
パス・クラサン
収穫
収穫
ドワイエネ・デュ・コミス
ラ・フランス
収穫
ル・レクチエ
バートレット
オーロラ
マルゲリット・マリーラ
ゼネラル・レクラーク
バラード
可食
可食
収穫
可食
可食
収穫
可食
収穫
収穫
(農水省特産果樹生産動態等調査)
133.3
81.2
1236.9
67.1
14.1
46.7
145
50.7
0 500 1000 1500
ル・ レク チエ
シルバー ベル
ラ・ フラン ス
ゼ ネラル・ レク ラー ク
バラー ド
マルゲ リット・ マリー ラ
バー トレット
オー ロ ラ
平成14年栽培面積(ha)
全国品種別栽培面積
全国品種別栽培面積
(
(
4
4
)
)
食べ方
食べ方
●
●切り方切り方 西洋なしは、櫛型に切って食べるのが一般的です。西洋なしは、櫛型に切って食べるのが一般的です。
皮つきのまま
4等分にして、
芯を取り、皮をむきます。そ
の後、食べやすい大きさの
櫛型に切ります。
また、食べ頃の果実をちょっと冷
また、食べ頃の果実をちょっと冷
やして食べるのがおすすめです。
やして食べるのがおすすめです。
口に含んだときのとろけるような
口に含んだときのとろけるような
肉質と芳醇な香りは、幸せな気
肉質と芳醇な香りは、幸せな気
分にしてくれます。
分にしてくれます。
その他、櫛形や二等分に切っ
その他、櫛形や二等分に切っ
たら皮をむかずに芯だけくりぬ
たら皮をむかずに芯だけくりぬ
き、スプーンで食べるという方
き、スプーンで食べるという方
法もあるでしょう。
法もあるでしょう。
(2)
(2)
追熟完了果実の見分け方
追熟完了果実の見分け方
一般的に果皮の色が全体に黄色く変わってきた頃、一般的に果皮の色が全体に黄色く変わってきた頃、
香りが強くなってきた頃が食べ頃です。果肉硬度とし
香りが強くなってきた頃が食べ頃です。果肉硬度とし
ては、
ては、
33~~
22ポンド位が適熟となります。ポンド位が適熟となります。
ラ・フランスなど一部の果実ではほとんど黄変しないラ・フランスなど一部の果実ではほとんど黄変しない
果実などもあります。その場合、手にしっとりとなじみ、
果実などもあります。その場合、手にしっとりとなじみ、
軸の部分をそっと押してやわらかく感じられたときが
軸の部分をそっと押してやわらかく感じられたときが
食べ頃という言い方もできますが、お店ではあれこ
食べ頃という言い方もできますが、お店ではあれこ
れさわって判断しないでください。
れさわって判断しないでください。
最近、産地で追熟して食べ頃になったものを出荷す最近、産地で追熟して食べ頃になったものを出荷す
るような動きも出てきました。これにより、店頭から購
るような動きも出てきました。これにより、店頭から購
入した消費者が、いちごなどと同様すぐに食べられ
入した消費者が、いちごなどと同様すぐに食べられ
るという利点があります。
るという利点があります。
また、出荷期間の拡大のために、冷蔵期間を長くしまた、出荷期間の拡大のために、冷蔵期間を長くし
たり、エチレン処理により出荷の前進化を図ったりし
たり、エチレン処理により出荷の前進化を図ったりし
ています。
ています。
西洋なしを扱うにあたっては、その果実がどのような西洋なしを扱うにあたっては、その果実がどのような
追熟管理を行ってきたのかがわかるような出荷が大
追熟管理を行ってきたのかがわかるような出荷が大
切です。
切です。
3.品種解説及び取り扱い
3.品種解説及び取り扱い
[来歴]
[来歴]
アメリカのニューヨーク州立農試がマルゲリット・マリーラ
とバートレットを交配してつくった品種で、1964年に命名
されました。日本には1983年(昭和58年)に導入されま
した。早生の有望品種として注目されています。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:8月下旬~9月上旬 可食期:9月中旬
予冷後の追熟日数:20℃条件下で10日程度
果皮は全面さびに覆われています。味は、同時期に出回
るバートレットより甘味が多いです。生産力に難点があり
ます。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が緑褐色から黄褐色に変わります。
追熟後の果実の日持ち性は早生品種の中では良いです。
オーロラ
オーロラ
追熟前 追熟後
バートレット
バートレット
[来歴]
[来歴]
17世紀、イギリス、バークシャー州の学校長ステア氏が
発見、苗木商のウイリアムズ氏が繁殖させたことから、イ
ギリスではウイリアムズの名で知られていました。その後、
アメリカに導入された際、1817年にマサチューセッツ州
ドーチェスターのバートレット氏が自身の名をつけて出す
ようになったことから、この名で知られるようになりました。
日本には明治初期に導入されました。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:8月下旬~9月上旬 可食期:9月中旬
予冷後の追熟日数:20℃条件下で10日程度
独特の芳香があり、昔の西洋なしというと、この品種を指
すことが多いようです。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が黄緑色から黄色に変わります。
追熟後の果皮は薄く柔らかいため、押し傷がつかないよ
う取り扱いに十分注意してください。
追熟前 追熟後
マリゲリット・マリーラ
マリゲリット・マリーラ
[来歴]
[来歴]
1874年、フランスのリヨン郊外でM・マリーラ氏が発見し
た品種です。品種名も氏の名前に因んで付けられてます。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:9月上中旬 可食期:9月下旬
追熟日数:無予冷で15℃条件で2週間程
(予冷しても良いですが、無予冷の方が美味です)
500g以上のボリュームのある果実が特徴で、中には1k
g近くになる果実もあります。酸味が少なく、甘味の多い
味です。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮が黄緑色から黄色に変わります。
追熟が進むと自重でつぶれやすいので、大きい果実はフ
ルーツキャップなどで被覆し、横に置いてください。
追熟後
追熟前
バラード
バラード
[来歴]
[来歴]
1984年に山形県園芸試験場が、バートレットにラ・フラン
スの花粉を交配して育成し、
1999年に品種登録されまし
た。名前の由来は、交配親のバートレットの
‘バ’とラ・フラ
ンスの
‘ラ’を合わせたのと、音楽のジャンル名である‘バ
ラード
’から名づけられました。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:9月下旬 可食期:10月中~下旬
予冷後の追熟日数:15℃条件下で16日程度
既存品種の中で最も糖度が高い(=甘い)品種です。果
皮はさびが多いですが、栽培の仕方によってはさびを少
なくすることができます。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮が緑色から黄色味を帯びてきます。完
全に黄色になる前が食べ頃です。
追熟後の果実は果皮が柔らかく傷つきやすいため、フ
ルーツキャップに入れるなど取り扱いには十分注意して
ください。
追熟前
追熟後
ゼネラル・レクラーク
ゼネラル・レクラーク
[来歴]
[来歴]
フランス、パリ郊外でアンジェ国立農業試験場とノーブロ
苗木商会によって、
1950年に発見されました。ドワイエ
ネ・デュ・コミスの自然交雑実生と考えられています。日
本には
1977年に青森県が、さらに1983年に国が導入しま
した。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:9月下旬 可食期:10月下旬
予冷後の追熟日数:15℃条件で15日程度
果皮は硬く、さびが多いですが、肉質は良好で、甘味が
多いだけでなく適度な酸味があります。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮の地色が緑色から黄褐色に変わりま
す。
追熟前 追熟後
ドワイエネ・デュ・コミス
ドワイエネ・デュ・コミス
[来歴]
[来歴]
1849年頃、フランス、アンジェの果樹園で初結実し、すぐ
にこの名前が付けられました。アメリカには
1850年に導
入され、日本には明治の初期に導入されました。ヨー
ロッパでは高級品種に位置付けられています。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:9月下旬~10月上旬 可食期:10月下旬
予冷後の追熟日数:15℃条件で15日程度
果実品質は良好ですが、収量が安定せず営利栽培が難
しいので、生産量は僅かです。果実の陽光面がわずか
に赤く色づくことがあります。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が黄緑色から黄色に変わります。
追熟前
追熟後
ラ・フランス
ラ・フランス
[来歴]
[来歴]
1864年にフランスのクロード・ブランシェ氏によって発見され、
その果実品質の良さから母国の名をつけたといわれていま
す。日本には
1903年(明治36年)に導入されました。日本で
は有名ですが、原産国のフランスをはじめとするヨーロッパ
では、気候が合わなかったのか栽培されておらず、フランス
でもほとんど知られていません。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:10月上~中旬 可食期:11月上~中旬
予冷後の追熟日数:15℃条件で17日程度
西洋なしの代名詞的品種で、とろけるような肉質と、香りが
特徴です。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟後の果皮色の変化がわかりにくいのが難点です。予冷
庫から出して何日目かよく確認してください。
追熟前 追熟後
シルバーベル
シルバーベル
[来歴]
[来歴]
1957年(昭和32年)に山形県園芸試験場が、ラ・フラン
スの自然交雑実生(ラ・フランスが種子親)から選抜した
品種です。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:10月下旬 可食期:11月下旬~12月上旬
予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
ラ・フランスより大きく、果実の形もやや細長いです。味も
ラ・フランスよりも酸味があり、とても濃厚です。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が緑から黄色に変わります。
追熟前の果実は2ヶ月以上冷蔵できます。年が明けてか
ら追熟させても美味しく食べることができます。
追熟前 追熟後
ル・レクチエ
ル・レクチエ
[来歴]
[来歴]
フランス、オルレアンの園芸家ルシュエール氏が、バート
レットとフォーチュニーとの交雑によって1882年に生み
出した品種です。名前は17世紀のフランスの果樹研究
者ル・レクチェ氏にちなんで付けられました。わが国への
導入は明治初期です。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:10月下旬~11月上旬 可食期:12月上旬以降
予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
果皮にさびが無く、きれいな外観です。酸味が少なく、甘
味と香りが非常に多いです。年によっては、やや渋味が
残ることがあります。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が緑から黄色に変わります。
追熟前の果実に傷がつくと、果面が褐変して商品性が損
なわれるので、果実の取り扱いには注意してください。
追熟前
追熟後
パス・クラサン
パス・クラサン
[来歴]
[来歴]
フランス、ルアンの苗木商ボワブンネル氏が1845年に
育成し、1855年に発表した品種です。今もフランスのオ
ルレアン地方、ロワール川流域、セーヌ川流域、パリ地
域で栽培が盛んです。
[品種特性]
[品種特性]
収穫期:11月上~中旬 可食期:1月以降
予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
果皮は硬くて頑丈ですが、肉質はきめ細かくて果汁が多
く味は良好です。
[流通・取り扱い上の留意点]
[流通・取り扱い上の留意点]
追熟すると、果皮色が濃緑色から黄緑色に変わります。
追熟前
追熟後