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785 特集 ﹁鉱山機械﹂ ﹁製鉄機械﹂ 2 0 1 6 F e b 平成28年2月22日発行(毎月1回20日発行第785号)ISSN0558−4809 一般社団法人 日本産業機械工業会

特集

﹁鉱山機械﹂

﹁製鉄機械﹂

頒価

7

0

0

︵消費税別 56円︶ 平成 28年 2月 22日発行︵毎月1回 20日発行第 785号︶

Feb 2016

2

﹁鉱山機械﹂

﹁製鉄機械﹂

No.

785

201602号-H1-4.indd すべてのページ 16/02/15 14:05

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(3)

産業機械2016.2 03

産 業 機 械

Contents

No.785 Feb

イベント情報 ・・・・・・・・46 行事報告&予定 ・・・・・・47 書籍・報告書情報 ・・・・54 統計資料 産業機械受注状況 ・・・・・・・・56 産業機械輸出契約状況 ・・・・・59 環境装置受注状況 ・・・・・・・・61 鉱山機械・金属加工機械 需要部門別受注状況 ・・・・・・63 産業機械機種別生産実績 ・・・64 人と暮らしを支える産業機械

INDUSTRIAL MACHINERY

特集:

「鉱山機械」

巻頭インタビュー

「鉱山機械業界の未来のためには

若手技術者の確保が必要不可欠」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

04

鉱山機械部会 部会長 西田 修一

「異業種各社との連携をはかることで

新たなシステムを作り上げることができる」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

06

鉱山機械部会 副部会長 吉見 偉雄

無人ボーリング技術の開発

(株式会社 大林組、株式会社 エヌエルシー) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

08

廃コンクリートから高品質骨材を乾式にて生産するシステムの開発

(コトブキ技研工業株式会社) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

11

陸前高田設備概要

(古河産機システムズ株式会社) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

15

特集:

「製鉄機械」

巻頭インタビュー

「会社間の垣根を超えてジャパンブランドを作り上げることが、

製鉄機械業界が世界で戦うためには必要」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18

製鉄機械部会 副部会長 白石 宏司

Paul Wurthコークス炉の優位性

(株式会社IHIポールワース) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20

CDQ狭隘スペース対応技術

(スチールプランテック株式会社) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23

海外レポート

一 現地から旬の話題をお伝えする 一 

米国の自動車市場の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

28

駐在員便り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

31

企業トピックス

毛穴ケア用ジェル状美容液の紹介

(ホソカワミクロン株式会社) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

35

新生Primetals Technologiesの誕生

(Primetals Technologies Japan株式会社) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

37

連載コラム1 ・・・・・・・・27 産業・機械遺産を巡る旅 「釜石鉄道 小川レンガ橋梁」 (岩手県) 連載コラム2 ・・・・・・・・45 輝くリケジョ 住友重機械 エンバイロメント株式会社 塚本安紗実さん P003_目次-201602号.indd 3 16/02/15 14:01

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04 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2  それではまず最初に、2015年における鉱山機械業界 の状況について解説をお願いします。  「ここ数年におけるボーリング機械業界は2011年の東 日本大震災以降、主として災害復旧に関連する調査と各 種のメンテナンスを手がけてきましたが、それもここに きて一段落してきたというところです。それらに対応す るボーリングマシンの出荷は、例年と比較して落ち着い てきています。それに代わるように伸び始めているのが、 地盤改良に関連するボーリングマシンとその周辺技術に 関連する事業です。これは、東京オリンピックに関連し ての需要だと考えられます。加えて近年、大規模に実施 されてきた国土強靱化計画に関連する需要としては、現 在動いているのは東京及び南関東近辺のみであり、他の 地域はこれも一段落している状況だと思います。これら を総合すると、ボーリングマシンにおいては首都圏が何 らかの形で伸びているのに対して、地方はやや落ち込み 傾向にあると言って差し支えないと思います。地方につ いてもう少し細かく見ますと、例えば名古屋を中心とし た中部地区は、リニアモーターカー関連の地盤調査の需 要があることから、動きが見られるのが特長であると言 っていいでしょう。」  その他、高速道路整備、新幹線といった国家規模での プロジェクトに関連する具体的な動きというものは見ら れないのでしょうか?  「様々な交通インフラの整備を始め、それに付随する 地中調査関連事業は多々ありますが、大きな視点で見る と国家プロジェクトクラスはそれなりにやり尽くした感 があるのが、現在の日本ではないかと思います。そうし た中で今後動きがあるとすれば、より安全な国民生活を 守るという意味での新たな防災計画、具体的には近年の 予想を上回る大規模な水害等にどう対応していくのかと いったことがキーワードになると考えています。」  安全性という意味でのタイムリーな話題として、先般 のマンションの杭打ちデータ偽装問題については、業界 内では何かお話は出ているのでしょうか?  「規制があるということは、それは国民生活の安全性 を担保する上で必要だということです。それに関してこ うした問題が出るということは基本的には施工なさる 方々のモラルの徹底に帰結すると思います。即ち、仕事 を受ける上できちんとプライドを持って成果を出すとい うことに尽きるのではないでしょうか。」   海外市場についてはどのような状況だったのでしょう か?  「我々の主要な輸出先である東及び東南アジアについ ては、概ね対前年比で横這いというところです。ただし、 中国については近年の経済失速からも分かる通り、明ら かに落ち込んでいます。これは即ち中国以外の新興国に おいては受注が伸びているということです。こうした流 れは今後も加速していくと判断しています。」  とはいえ、中国は市場規模としては軽視できないもの があると思いますが、そうした状況の中でどのようにビ ジネスを構築していくべきとお考えでしょうか?  「中国については、かつては我々にとって製品の輸出 先でしたが、近年は部品等の供給元としての存在価値を 高めつつあります。それはとりもなおさず過去には安か ろう悪かろうと言われていた製品クオリティが向上して いることが理由であり、特に我々が扱っているボーリン グ機械のような、数が見込めない機器においては製品ク

Interview with

Shuichi Nishida

部会長が鉱山機械業界の現状について語る

鉱山機械業界の未来のためには

若手技術者の確保が必要不可欠

鉱山機械業界の現状、将来に向けての課題等について、西田修一部会長(東邦地下 工機株式会社 取締役)に語ってもらった。 P004-005_鉱山機械部会長インタビュー.indd 4 16/02/15 13:59

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産業機械2016.2 05 オリティと価格が見合った値頃感のある製品を供給する ことができるようになったということです。今後はその ようなポジションにおいて、中国企業の存在は重要にな ってくると考えています。」  国内、海外、それぞれに課題は多いかと思いますが、 今後業界を発展させていくためにはどういったことが重 要であるとお考えでしょうか?  「どのようなスタイルであれ、ビジネスを動かすには 人、金、物をいかにしてうまくコントロールするかとい うことがポイントになります。その中で我が国において 一番不安な要素があるとすれば、それは人です。高度経 済成長からその後の時代で、製造業において主導的な役 割を果たしてきた世代のリタイアが進んでいることに加 え、その後のバブル経済の影響もあり、40〜50代の人材 が我々の業界では極めて層が薄いという大きな問題があ ります。即ち、リタイアしつつある世代から近年になっ て業界に入ってきた若い世代への技術継承をいかにして 進めていくかということが大きな問題となっています。 既述しました通り、我々の業界は鉱山機械とは銘打って はいても現状は鉱山とはほぼ関係のない分野での活動が 主となっていることもあり、リタイアしつつある世代と 若い世代との間での技術に対する考え方が必ずしも一致 しないという根本的な問題もあります。」  そうした状況を打破し、スムーズな技術伝承を進める ために必要なポイントはどこにあるとお考えでしょう か?  「これはつい最近の話ですが、私自身がリクルート活 動の一環として様々な学校を回り、学生さんに我々の業 界についてお話をさせていだききました。その際、担当 の先生から『どのような人材をお求めですか?』と尋ね られた折に、私は『何よりも素直な人物を』と答えました。 これは製造業に限らず、どのような業界にも言えること かと思いますが、新人というものは学校での教育よりも、 実社会に出てからお客様に育てていただくという部分が 非常に大きいと考えています。分からないことがあれば 素直に尋ねる、そうすれば経験豊富な人がきちんと教え てくれる。これは社内でも社外でも同じだと思います。 わけが分からないままで生意気なことを言っている新人 には誰も何も教えてはくれません。私が新人に求めるも のは仕事に対する責任感と共に、周囲からのアドバイス にしっかりと耳を傾けることができる素直な心であると 信じています。我々の業界は、機械の性能やクオリティ が重要であることは当然ですが、依然としてそれを取り 扱う人間との相乗効果で、より高いクオリティの仕事が できるという要素が強く残っている業界であると思いま す。即ち、人間力こそが我々の業界を今後も維持・発展 させていく上の大きなポイントであるということです。 たとえ時間がかかっても、人を育て磨くことこそが今後 ますます重要になってくるのではないかと思います。」  最後に会員各社に向けてメッセージをお願いします。  「SF小説の元祖と言われているジュール・ベルヌの代 表的な三作品に、“月面旅行”“海底旅行”“地底旅行”があ ります。これらの中で先の2つは実現できていますが、 最後の地底旅行は未だにできていません。それはとりも なおさず技術的に難しいからに他なりません。改めて言 うまでもなく、地底にある地下資源は我々が文化的な生 活を送る上で必須なものであり、もっと大きく注目され て然るべきではないでしょうか。そうした誇りを胸に抱 き、将来性ある若い人材にとっても魅力的な業界として 認識されるべく、しっかりとしたメッセージを発信しつ つ前に進んでいきたいと思います。」 P004-005_鉱山機械部会長インタビュー.indd 5 16/02/15 13:59

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06 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2  それではまず最初に、2015年における骨材機械業界 の状況について解説をお願いします。  「まず骨材製造機械本体についてですが、例年お話し ている通り、ここ数年というもの大きな変化は見られな い状況が続いています。即ち、砂利及び砕石関連は震災 復興需要、更にはそれ以降の政権交代に伴う新規公共工 事の増加の効果もあり一定のレベルは維持できていま す。しかし、あくまで現状維持レベルであり、基本的に はリーマンショック以前のレベルに戻る状態には至って はおらず、ここ数年の傾向を見ても今後大きく回復する ことは望めないと判断しています。また、廃材処理関連 については、これも政権交代に伴うアベノミクス効果に より一定の需要喚起が見られたものの、ここ1〜2年の 状況は行き渡るべきところに行き渡ったことに加え、好 景気時に導入された機器の稼働率が下がっており、漸減 傾向が表れてきています。震災復興関連についてもう少 し詳しく説明すると、復興予算の執行が本格化した平成 24年度下期に大きく動いた一方で、それが持続すること はありませんでした。しかし、まったくなくなったとい うわけではなく、例えば本年度上期にかけても若干の動 きが見られるという状況です。これらを総合すると、い ずれの場合も機械本体のニーズについての動きはほぼ前 年と変わっていません。大きなプロジェクト等によって は短期的に動くことはあっても、長期的には既存機器を いかに有効活用するかということが主であり、新規に関 しては大きな需要の伸びは期待できないということにな ります。部品関連については、既述した通り機械本体の 新規及び更新需要が停滞しているという現状ゆえに、既 存機械のメンテナンスや補修等の需要には一定の動きが 見られます。これは先にお話させていただいたこととも 密接に関連しており、今までは老朽化に伴い新規入れ替 えとなっていた案件も、何とか修理延命はできないだろ うか?という要望が多く寄せられるようになったのが現 状です。とはいえ、多くの会社において保有する機械の 稼働率が低下していることに加えて、海外製の安価なイ ミテーション部品の流入も依然として続いていることか ら、実質的にはマイナスと言った方がいいかもしれませ ん。部品需要は基本的には本体と連動するものであり、 多少のイレギュラーな動きは別として本体需要が頭打ち である以上、今後も予断を許さない状況が続くものと考 えています。」  海外市場関連はどのような状況だったのでしょうか?  「例えば我々の主要なお客様である建設資材関連企業 の多くは、鉄鋼やセメントといったインフラ建設資材景 気の動向に同期している部分が多く、経済停滞に伴う建 設資材需要の低下は大きな不安要素です。特に中国経済 の失速による影響が我が国を始めとする周辺各国にも出 始めているようで、今後どのような動きを見せるのか不 安視しています。合わせて、部品調達を海外に依存して いる企業にとっては、依然として続く円安も原価アップ につながる課題です。」  以上のお話を総合しますと、骨材機械業界の今後の展 望としては現状維持かつ将来的には予断を許さないとい うことかと思いますが、今後業界はどのような方向へ舵 を取るべきだとお考えでしょうか?  「ここから先は我々の業界に限ってというよりは、製

Interview with

Isao Yoshimi

骨材機械業界の現状について副部会長が語る

異業種各社との連携をはかることで

新たなシステムを作り上げることができる

昨年に比べ大きな変動がない骨材機械業界。この状態を打破するために業界として取 り組まなくてはならないことについて、吉見偉雄副部会長(株式会社 幸袋テクノ 取締 役)に語ってもらった。 P006-007_骨材機械副部会長インタビュー.indd 6 16/02/15 14:00

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産業機械2016.2 07 造業に携わる企業全般に言えることかと思いますが、将 来的な最優先事項としては新たな人材の確保とこれまで 業界を支えてきたベテランとの間をいかにしてつなぐ か、即ち技術と経験の継承に関しての重要性が一段と増 しているように思えます。若い世代は基本的には非常に 優秀である一方、機械類の新規需要及び更新需要が停滞 しているため、諸先輩達が学んできた現場経験を積む機 会が減ってきています。メーカの技術者といってもマニ ュアル通りにことを運んでいればいいというわけでは決 してありません。その成長の過程においては取引先の技 術者との交流が極めて重要だと思います。現場に出向く、 そこで実際に機器を取り扱っている方々と対話する、要 望を聞きその対応を考える。かつてお客様の現場には何 でも知っている、学ぼうという姿勢に対して的確に応え てくれる主のような存在の人がいたものでした。しかし、 現在はそのような人材は取引先においても貴重な存在と なりつつあります。若手が現場を通じて成長する機会が 減ってしまっているという現状をどのように打破すべき かが求められていると言っていいでしょう。今後、我々 が目指すべき道は、単なる機械メーカというレベルを超 えて、骨材製造、廃材処理のいずれにおいてもトータル ソリューションを提案できる体制をより強力に構築すべ きだと考えています。どのような使い方であれ機械を使 う以上、困った状況や改善すべき課題は必ず生じます。 そうした状況において、我々はお客様に対して一体何が できるのか?かつては社内外を問わず、経験豊富な諸先 輩方に教えを請い、共に解決してきたという過去の協力 関係に代わるものとは一体何なのか?そのためには自社 の技術力を単に高めるだけでは十分ではなく、必要とあ らばその道に長けた異業種各社との協力関係も含めて、 考え得る総ての可能性に目を向けた新たなシステム作り が重要であると思います。これらに関して具体的な話は なかなか挙げることができないものの、あくまでお客様 の満足度を上げる、共に業界全体の発展を目指していく ためには、インフラ設備の基礎を担うという意味でもよ りニーズの多様性に対応する提案力を持つことこそが業 界全体の未来を明るいものとする上での重要ポイントで あると考えます。」  そこで一番重要になる条件とは何であるとお考えでし ょうか?  「突き詰めれば個人の仕事への取り組み方とスキルに 尽きると思います。即ち我々製造メーカが、技術者はも とより間接部門も含めて、いかに顧客ニーズを見極め、 いかに顧客満足を上げるかということですね。例えば、 トラブルが発生した場合には、お客様は少しでも早く問 題を解決してほしいと望むわけですから、それに対して はすぐに対応する。すぐに対応するためには、何があっ てもいち早く解決するぞという仕事に対する取り組み方 と、具体的に問題を解決するスキルが必要です。一方で、 その対応が成果を上げるとトラブルというピンチが信頼 というチャンスに変わります。結果としてこれは社員、 特に若手にとって自信を持つ上での大きな動機付けにも なります。社員には、こういう成功体験をたくさん経験 してもらいたいと思っています。」  最後に会員各社に向けてメッセージをお願いします。  「我々の業界は言うまでもなく、インフラ整備の基礎 となる材料を製造する業界です。そうした意味ではまぎ れもなく人とその暮らしを力強く支え担っているという 自負があります。近年、建造物に関連する安全性の問題 がクローズアップされることが多くなっている一方、大 多数の会社は社会インフラ整備において人の生命を守る という高い意識を抱いて活動していることは言うまでも ありません。そうした誇りを胸に抱き、今後も社会貢献 を行っていきたいと思っています。」 P006-007_骨材機械副部会長インタビュー.indd 7 16/02/15 14:00

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08 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2

特集

鉱山機械

1. はじめに

近年、建設業界において技能労働者の不足を補うべく、 かつ安全な作業環境を確保する観点から、施工現場にお ける自動化・無人化施工が進んでいる。国土交通省にお い て も、 建 設 現 場 の 生 産 性 を 向 上 す る 目 的 で i-Constructionとして取り組みをスタートさせている。 ボーリング調査においても同様に熟練技能労働者の不足 に直面しており、施工時の省人化を進めるべく、技術開 発が進んでいる。 一方で、東京電力福島第1原子力発電所内の調査ボー リングにおいては、作業員の被ばく低減の観点から、ボ ーリング現場における無人化が課題となっていた。そこ で、本技術(ボーリングの一連の作業の遠隔運転装置) の開発を行った(本技術開発は、経済産業省の補助事業 である『平成25年度補正予算「汚染水処理対策技術検証 事業」のうち無人ボーリング技術検証事業』として採択 され、実施したものである)。 なお、同機の製作に当たっては㈱エヌエルシー他の協 力を得て行われた。

2. 開発目的

短期的には福島地域におけるボーリング調査におい て、掘削中の突発的な被ばくを回避すること、及び高線 量下作業における被ばく時間の低減により熟達した作業 員を安定的に確保すること、長期的にはボーリング作業 の熟練労働者不足を補い作業員を安定的に確保すること を目的とする。

3. 基本仕様

開発した無人ボーリングの基本仕様を以下に示す。  ・最終仕上がり孔径:φ20cm  ・目標掘削深度:50m  ・ノンコア掘削:エア・ミスト掘削   ・コア掘削:泥水掘削(コア採取有効長3m)  ・設備のユニット化+自走機能  ・通信による遠隔操作機能  ・機側操作機能(付加機能)  ・掘削孔位置決め機能(付加機能)

無人ボーリング技術の開発

株式会社 大林組 技術本部 原子力本部 原子力環境技術部

渡邊 和哉

株式会社 大林組 技術本部 原子力本部 原子力環境技術部

西村 政展

製作協力会社 株式会社 エヌエルシー 水戸工場

川原 正樹

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産業機械2016.2 09 成を図3に示す。 ⑵ ロッドハンドリング技術のポイント  ロッド・コアバレルは、5m定尺で13本を1セッ トとしてマガジン式の回転体に収納することで、最大 60m程度までの、遠隔による掘削が可能となってい る(図4参照)。 ⑶ 遠隔操作・制御のポイント  通信衛星ネットワークを活用することで、限られた 無線チャンネルの混線の問題を解消し、更に遠隔地か らのリモート操作を可能にした(図5参照)。 ⑷ 設備のユニット化のポイント  自走機能を付加することで省スペース化、作業効率 の向上を図った(写真1参照)。

5.得られた成果

ボーリング掘削において、ほとんどの作業を遠隔で行

4.概要

通信衛星ネットワークを用いたボーリングシステムの 概念図を図1に示す。 当該システムは、掘削するためのリモート操作ボーリ ングマシン、コンプレッサや発電機を積むリモート操作 設備台車、有線でこれらを操作することができる中継車、 衛星通信により遠隔操作するコントロール車1台、及び それらをソフトでつなぐリモート操作システムアプリケ ーションによって構成される。 ⑴ 無人化のポイント  一般的なボーリング作業工程(①設備設置、②初期 掘削、③口元管設置、④コアリング掘削、⑤拡掘、⑥ ケーシング設置、⑦設備撤去)のうち、主に掘削作業(② ④⑤)に特化した無人ボーリング技術を開発した(図 2参照)。開発した掘削設備の外観、概要、設備の編 図1 通信衛星ネットワークを用いたボーリングシステムの概念図 図2 一般的なボーリング作業工程のうち無人化の範囲 無人で作業を行う範囲

特集:鉱山機械

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10 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2 えるようになり、現場の無人化を達成した。更に、設備 のユニット化及び自走機能により、運搬、移動、設置等 の機動性を向上し、短時間での準備が可能となった。ま た、本開発を通じて、様々な機械化施工において、無人 化・省人化が可能であることを示すことができた(㈱エ ヌエルシー 水戸工場にて実証試験を実施)。

6. おわりに

本技術は、担い手不足が進む中、生産性の向上と労働 環境の改善、現場の安全に大きく貢献できる技術として 十分成果を上げられると考える。更に大きくメリットの ある適用分野としては、中間貯蔵(地盤調査:放射線高 線量下作業時間の低減)、土砂災害現場(地盤調査:危 険区域立入制限)、 地熱ボーリング(熱水調査:熱水噴気、 有毒ガス対策)等多岐にわたり、活躍の場を広げていき たいと考える。 図3 掘削設備の外観、概要、設備の編成 図4 ロッドハンドリング技術 写真1 設備のユニット化 図5 遠隔操作・制御技術 P008-010_鉱山機械1.indd 10 16/02/15 14:02

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産業機械2016.2 11

特集

鉱山機械

1. はじめに

日本国内における近年の建設廃棄物の廃コンクリート 量は、全体の43%(3,100万トン)を占め、2023年に は舗装用路盤材の需要減少に伴い、その50%といった 膨大な量が行き場を失ってしまうことが予想されてい る。特に関東都市部では再開発やオリンピック関連での 廃コンクリート増加が懸念されている。しかし、その一 方で天然骨材は枯渇し、また採取による環境破壊も社会 問題となっている。その解決策として、一般構造用コン クリート骨材として再利用することが有効であると考え ら れ、JIS コ ン ク リ ー ト 用 再 生 骨 材 H 規 格(JIS A 5021)が制定され、またJISレディーミクストコンクリ ートの普通コンクリート及び舗装コンクリートの骨材規 格に再生骨材Hが追加された(JIS A 5308:2014改 正)。表1にJIS A 5021を示す。しかしながら、再生 骨材H規格は難度の高い技術のため(特に細骨材は高難 度である)、未だ市場の要求を満足できる技術と設備が 実用化されていないのが現状である。このような背景の 中、廃コンクリートから一般構造用コンクリート材料と して粗骨材(砂利)及び細骨材(砂)共にJIS規格を満足 し有効利用できることを目的としてリスコを開発した。 本装置にて廃コンクリートを有効利用することは天然資 源の採取を抑制することにもつながり、CO₂排出抑制、 環境保全、循環型社会創造に大きく貢献できると考える。

2. 装置の概要

装 置 名 は High Quality Restarted Concrete Dry system「Resco(リスコ)」とした。 ビルの解体等によって発生する廃コンクリートから、 一般構造用コンクリートに使用できる高品質なJIS再生 骨材Hグレードを乾式にて生産できるシステムである。

廃コンクリートから高品質骨材を

乾式にて生産するシステムの開発

コトブキ技研工業株式会社 技術・開発担当 常務取締役

賀谷 隆人

試験項目 L M H 粗骨材 細骨材 粗骨材 細骨材 粗骨材 細骨材 絶乾密度(g/cm³) ー ー 2.3以上 2.2以上 2.5以上 2.5以上 吸水率 7.0%以下 13.0%以下 5.0%以下 7.0%以下 3.0%以下 3.5%以下 すり減り減量 ー ー ー ー 35%以下 ー 微粒分量 3.0%以下 10.0%以下 2.0%以下 8.0%以下 1.0%以下 7.0%以下 実績率 ー ー 55%以上 53%以上 55%以上 53%以上 表1 JIS A 5021:コンクリート用再生骨材規格 P011-014_鉱山機械2.indd 11 16/02/15 14:04

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12 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2 スクリーンで選別し、その残りの砂サイズ以上の廃コン クリート(以下、粗原料)に対しブラストすることで、 その研磨作用により粗骨材に付着しているモルタル分や 付着物を除去させる。なお、除去されたモルタル分はた だちに回転スクリーンにて選別され、ブラスト材の一部 となる。ブラスト材はブラスター内を循環して多数回に わたり粗原料にブラストされ、粗原料を高品質な粗骨材 に再生していく。更に、ブラスト材は粗原料とのブラス トの衝撃によりセメント固着分が徐々に剥離し、モルタ ル隗から単独の砂粒子に変化していく。剥離されたセメ ント紛は発生と同時に空気分級にて取り除かれ、最終的 に高品質な細骨材に再生される。このように原料自体の 一部をブラストするため、「自生ブラスト方式」とした。

4.再生動作

以下に再生の動作を記す。 ① 一定量の粗原料を回転スクリーンに投入する。  遠心力により、粗原料は図1の正面図の如く右上 がりの状態で流動し、ブラスト面は常に新陳代謝さ れる。 ②  一定量のブラスト材をブラストフィーダに投入す 写真1にResco-10の外観を示す。リスコはブラスト装 置(以下、ブラスター)、製品選別スクリーン、原料タ ンクから構成される「再生ユニット」、「分級と発塵防止 のための集塵機」、「コンベア等の搬送装置」、「自動運転 制御盤」の4種類の機器からなる。リスコは廃コンクリ ートを解体現場内でのオンサイト稼働を考慮して、立体 構造による省スペース化と、可能な範囲でユニット化し て、分解・組付工事の簡素化を図った設計としている。 これらの機器構成により40mm以下の廃コンクリート を粗骨材(サイズ別に3種類)及び細骨材(砂)共にJIS 再生骨材Hグレード(JIS A 5021)に製品化できる。な お、常温状態(加熱が不要)での廃コンクリートから、 Hグレード達成は世界的にも例がない。リスコは2015 (平成27)年10月より販売開始した。

3. 原理

再生はブラスターで行い、その他の機器は他の動作を 補完する。図1にブラスターの概略図を示し、下記にそ の再生方法を記す。 廃コンクリート中の主にモルタル部分である砂サイズ 以下の粒子(以下、ブラスト材)をブラスター内の回転 写真1 Resco-10の外観 集塵機 搬送装置 原料及びブラスト材タンク 再生ユニット ブラスターRC8 製品スクリーン 制御盤 7, 60 0 6,000 6,000 7, 60 0 P011-014_鉱山機械2.indd 12 16/02/15 14:04

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産業機械2016.2 13 る。投入されたブラスト材はブラストフィーダにて ロータに供給される。 ③  供給されたブラスト材はロータの遠心力により発 射される。ただし、発射の範囲は図1の正面図の如 く粗原料面のみにコントロールされている。粗原料 は常に新陳代謝されているため、粗原料の全表面に ブラスト効果を与えることができる。 ④  粗原料に付着しているモルタル部分や付着物はブ ラストにより除去される。  なお、除去されたモルタル分はただちに回転スク リーンにより選別されブラスト材の一部となる。 ⑤  選別されたブラスト材は回転スクリーンの回転に よりブラストフィーダに循環投入され、粗原料に再 度ブラストされる。このようにブラスト材は機内を 循環して、多数回ブラストされる。 ⑥  再生完了次第、回転スクリーンの逆回転により骨 材製品を機外に排出する(1バッチ完了)。   ①から繰り返し。

5.特徴

⑴ 粗骨材と細骨材共にH規格を達成する。  →ブラスト時間の調整でL∼H任意に対応できる。 ⑵ 元のサイズのまま、粗骨材が回収できる。  →砂粒子サイズによるブラストのため、粗骨材は破 砕されにくい。 ⑶ 骨材表面に付着物がなく、綺麗である。  →写真2に示すようにブラスト効果により、骨材の 表面洗浄が行われる。 ⑷  システム化され、設置スペースを大幅に削減できる (50t/hシステム面積は150m²)。  →ブラスト加工、ブラスト材の選別、分級を1台で こなすマルチなブラスト装置RC8ブラスターの開発 により可能となった。 ⑸ 品質管理  →ブラスト時間や消費動力の把握にて行い、バッチ ごとの情報が管理できる。 写真2 原料(左)及び再生された粗骨材(右) 図1 ブラスターRC8概略図 回転スクリーン ロータ ロータ ①粗原料 ①粗原料 ④ブラスト材 ④ブラスト材 ⑥ 側面図 正面図 ブラストのイメージ 電動機 電動機 電動機 ②ブラスト材 ⑤ブラストフィーダに循環投入 回転方向 回転スクリーン 分級∼集塵機へ ③ブラスト ①粗原料 ブラスト ③ ブラストフィーダ ブラストフィーダ キャスタ ⑤

特集:鉱山機械

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14 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2  参考として、図2にブラスト消費電力と再生骨材の 絶乾密度の関係を示す。消費動力と絶乾密度の関係は 正の相関を示すことが分かる。

6.おわりに

日本の高度成長期に建設されたコンクリート構造物の 更新時期を迎えている。その廃コンクリートから再生骨 材を生産し、新規コンクリートへの有効利用は、環境保 全、循環型社会創造に大きく貢献できると共にCO₂排出 抑制にもつながる。当社ではリスコの開発でその一躍を 担えることを期待し、更なる改良開発に取り組んでいく 所 存 で あ る。 シ リ ー ズ 化 は Resco-10(10t/h)及 び Resco-50(50t/h)の2機種をリリースする。 図2 ブラスト消費動力と絶乾密度の関係 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 ● 20‒13mm ▲ 13‒5mm ◆ ‒5mm(砂) 絶 乾密度 ( g/ cm ³) ブラスト消費動力(kWh/廃コンクリート1ton当たり) 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 P011-014_鉱山機械2.indd 14 16/02/15 14:04

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特集

鉱山機械

1. はじめに

東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けた、岩 手県陸前高田市の復興まちづくりとして当社は今泉地区 の510万m³(東京ドーム4個分)の土砂を高田仮置き場 へ破砕搬送するための設備の製作・据付・運転管理を行 った。現在、土砂の運搬は完了しており、撤去工事を行 っている最中である。本稿では、本土砂破砕搬送設備に おける破砕、搬送、仮橋それぞれの設備概要について紹 介する。

2. 設備全体の概要

今泉地区(気仙川右岸)の山を海抜45mまでカットし 高台造成を行い、カットした土砂は気仙川を横断し、左 岸の津波被災箇所に搬送され、約12mの嵩上げに用い られる。ダンプ搬送の場合、8年かかる土砂運搬工期を 約1.5年で完了した。設計製作据付期間を加味しても2.5 年で完了しており、大幅な工期短縮を成し遂げている。 本設備の稼働期間は、2014(平成26)年4月~2015 (平成27)年9月までとなっている。

3. 破砕設備

山を切り崩し、掘削した土砂は重ダンプにより運搬さ れ、原料ホッパに投入される。投入土砂(-800mm)を 定量供給機(エプロンフィーダ)で原石篩(スカルピンス クリーン)に定量供給し、原石篩で細かい土砂を篩い落 とし、大きい岩石(200mm以上)をジョークラッシャ (FST-6048)に投入し、盛土材として使用可能な大き さ(-300mm)に破砕する(写真1参照)。破砕機を8 基設置することで、設備全体で8,000t/hの処理能力を 備える。各機器の仕様を表1に示す。 ⑴ 原石ホッパ  原石ホッパの容量は55t重ダンプ2~3台分とし た。また、大塊混入による破砕機の荷詰まり等のトラ ブルを防止するため、目開き800mmの固定グリズリ ―バーを投入口に設置した。 ⑵ エプロンフィーダ  供給機には、泥分の多い土砂に対し詰まりや居着き が少なく、定量で安定した供給ができ、大きな衝撃や 荷重に耐えうるエプロンフィーダを採用した。 ⑶ スクリーン  破砕する必要のない-300mmの土砂や泥分の篩分 けを行う特重型のスカルピンスクリーンを破砕機の前 工程に配置することで、破砕効率を高めるようにした。 ⑷ ジョークラッシャ  破砕機は、1m程度の大塊を破砕することができる、 国内最大級の60インチシングルトッグルクラッシャ を採用した。破砕産物の粒度を安定させるため、簡易

陸前高田設備概要

古河産機システムズ株式会社 生産本部 小山栃木工場 工場長代理

片股 博美

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16 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2 旋回コンベアは先端が半円状に旋回することで、土砂を 大量に仮置きすることができる(写真3参照)。メイン コ ン ベ ア・ 旋 回 コ ン ベ ア の ス ペ ッ ク は、 ベ ル ト 幅 1,800mm、速度250m/min、搬送能力6,000t/h、総 機長約3.0kmとなっている。 かつ短時間で出口隙間の調整を行うことができる油圧 セット調整機構を組み込んだ。 ⑸ 騒音、粉塵対策  騒音の低減と粉塵の飛散防止対策のため、破砕設備 全面を建屋で囲った。また、発塵防止の散水装置、集 塵装置を粉塵の発生箇所である原石ホッパ投入口、ク ラッシャ破砕室、排出シュートに設置した。

4.搬送設備

破砕設備から引出コンベアにて土砂を引き出し、メイ ンコンベアに合流し、気仙川左岸の津波被災箇所まで搬 送する(写真2参照)。払い出しは旋回コンベアにて行う。 エプロンフィーダ:8台 幅2,200mm×長さ6,170mm 出力45kW ジョークラッシャ:FST-6048Z 8台 投入口1,500mm×1,200mm 出力190kW スカルピン:FS-2136X 8台 幅2,100mm×長さ3,600mm 出力37kW 表1 破砕設備機器仕様 写真1 破砕設備 写真2 搬送設備全景 写真3 旋回コンベア P015-017_鉱山機械3.indd 16 16/02/15 14:02

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産業機械2016.2 17

5.仮橋設備

気仙川右岸の山を切り崩し、左岸側に搬送するために、 気仙川を横断する必要があった。本設備では、河川に影 響のないよう、吊橋を設置した。 市内小学校児童の公募により「希望のかけ橋」と命名 された本吊橋は、景観上も優れており、夜間にライトア ップも施される等、復興のシンボルとなった(写真4参 照)。 本吊橋のスペックは下記の通りである。  ・仮 橋:ベルトコンベヤ専用吊橋    ・橋 長:220m  ・幅 員:6.4m  ・主塔高:28.6m

6.おわりに

本設備は、当社が長年培ってきた破砕技術、搬送技術、 橋梁技術を組み合わせ、それぞれの機械単体の製造・販 売にとどまらず、設備の施工、据付、運転、維持管理ま で対応することで実現可能となり、その役割を完遂する ことができた。当社の技術が早期復興の一翼を担うこと ができたことに喜びを感じると共に、今後も更に技術力 を高め、インフラ整備等の社会貢献に努めていきたい。 写真4 仮橋設備「希望のかけ橋」

特集:鉱山機械

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18 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2  それでは最初に、2015年における製鉄機械業界の概 況の説明をお願いします。  「2014年から2015年にかけての製鉄機械業界における 動きについて、最も大きな影響を及ぼした事象と言えば、 中国経済の停滞に尽きると思います。製鉄機械業界にと ってのお客様は言うまでもなく鉄鋼メーカーです。近年、 業界内はもとよりメディア等でも指摘されている中国の 鉄鋼業界における過剰生産、その後の経済停滞に伴い余 剰鋼材は全世界へと安価に流れていくことになりまし た。それが我が国のみならず、世界中の鉄鋼メーカーの 収益を圧迫しています。その結果として鉄鋼メーカーの 設備投資意欲も大幅に低下せざるを得ず、最終的には 我々製鉄機械業界の景況感もマイナス方向に引き下げら れているというのが現在までの流れとなっています。」  かつての好景気を背景とした、中国の鉄鋼製品の過剰 生産は数年前から指摘されていたことかと思いますが、 経済減速後もその流れは変わらなかったということなの でしょうか?  「実際には中国国内の鉄鋼需要は以前とは比較になら ないほどのレベルに落ち込んでいますが、かといって既 存の設備を遊ばせておくわけにはいかないため、結果的 に過剰生産を抑えることができないという悪循環に陥っ ているのが現状です。現地での雇用を維持する、企業と して存続を図るという意味で秩序ある生産計画に戻るに は至っていないというのが難しいところです。」  そうした状況を踏まえ、我が国の製鉄・鉄鋼メーカー が国際市場で生き残っていくためには製鉄機械部会とし てはどのような方向性を持つことが重要であるとお考え でしょうか?  「鉄鋼メーカー各社の投資動向は不透明感が強いです が、いずれにせよ上向くまでにはしばらくの時間がかか ると考えざるを得ません。しかし、日本の製鉄機械メー カーとしては、これまで日本の鉄鋼品質の造り込みに貢 献し信頼性のある設備の供給を行ってきたわけですか ら、今後ともこのジャパンブランドを維持向上させてい くことが必要でしょう。ただし世界市場において、以前 とは比較にならないレベルでのコスト競争力が求められ てきており、かつての高品質なのだから高価格といった 言い訳は通用しなくなっているのも事実です。その部分 をどのようにクリアしていくのか?より良い設備をより 低いコストで提供するためには何が必要なのかというこ とを追求していくことこそが、我々の使命であると言っ て間違いありません。」  海外市場においては、他国の製鉄機械メーカーとの競 争も熾烈になっていると思います。それらに対する戦略 はどういったことが重要になっているのでしょうか?  「我が国が存在感を発揮できる高級鋼分野はもちろん、 その他の分野においても海外市場では特に欧州の強力な ライバルメーカーが存在していますが、ここにきて中国 国内市場が飽和状態に陥ったことから、これまで技術力

Interview with

Hiroshi Shiraishi

副部会長が製鉄機械業界の現状について語る

会社間の垣根を超えて

ジャパンブランドを作り上げることが、

製鉄機械業界が世界で戦うためには必要

2015年は、中国経済の停滞により景況感もマイナス方向に引き下げられてしまった 製鉄機械業界。この状況を打破するために、取り組むべき課題等について、白石宏司 副部会長(新日鉄住金エンジニアリング株式会社 取締役 常務執行役員)に語ってもら った。 P018-019_製鉄機械部会長インタビュー.indd 18 16/02/16 13:49

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産業機械2016.2 19 を蓄えてきた中国製鉄機械メーカーが海外に進出し始め たことは無視できない状況であると思います。従来であ れば日本国内で設計を行い主要部品も製造し、それを輸 出先で組み立てるというスタイルでも成立していました が、ここ数年はそれではコスト的に立ち行かなくなって きているのも事実です。今後の海外市場における競争力 推進のために重要なことは、いかにして現地化を進めて いくか?即ちこれまで日本国内で行っていたものを、プ ラント建設を行う地域の協力会社及び人材を育成しつつ 推進していくというスタイルに切り替えていくことが大 切であると考えています。また技術的な観点から見て、 我々日本メーカーが存在価値を発揮できる分野と言え ば、環境対策及び省エネが挙げられます。現時点におい て、かつては環境問題への意識が低いと言われていた発 展途上国においても、そうした問題への取り組みは大き く様変わりを見せています。そうした潜在的なお客様に 対して、我々がアピールしていくべきことは決して少な くないと認識しています。」  そうした環境及び省エネ対策については、基本的にプ ラスアルファのコストが必要かと思いますが、その解決 策についてはどのように考えていらっしゃるのでしょう か?  「先般のCOP21合意を見るまでもなく、環境対策にお いては先進国だけでなく、発展途上国においてもその重 要性は大きくクローズアップされるようになってきてい ます。中国・インドにおけるPM2.5問題、大都市圏で の深刻な大気汚染問題は予断を許さない状況でもあり、 今後は更に我々が果たすべき役割は大きく、そのために は一層の技術革新とコスト低減こそが重要かつ世界的に 課せられた使命であると考えています。ただし、ここで 重要となるのは技術力の裏付けというべき具体的なデー タをしっかりと示すことであり、環境対策の重要性を理 解していただく上でもデータ及び実績を積極的にアピー ルしていくことが重要だと思います。」  具体的にはどのようなスタイルでの提案を考えていら っしゃるのでしょうか?  「現在、海外で建設している最新の製鉄プラントは製 品クオリティ、コスト、環境対策のいずれにおいても我 が国の技術力を証明するショールーム的な存在であるこ とは間違いありません。プラントを所有しているお客様 の了解を得た上で、他社のお客様にそれをお見せしてそ の性能を体感してもらうことだと思います。こうした活 動は将来的な市場創出、お客様発掘という意味でも重要 であると認識しています。」  最後に会員各社に向けてメッセージをお願いします。  「我々製鉄機械業界にとって、日本国内市場は頭打ち であるという状況は今後も大きく変わることはないと思 います。そのため、海外市場の重要性が一層増していく ことになりますが、既述した通りそれは困難な道でもあ ります。そうした状況を克服する上で、会員各社が持っ ている優れた技術力、ノウハウ等を可能な限り集め融合 し、ジャパンブランドとして世界をリードしていくこと が生存競争に勝ち抜くポイントではないかと思います。」 P018-019_製鉄機械部会長インタビュー.indd 19 16/02/16 13:49

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20 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2

特集

製鉄機械

1. はじめに

当社は㈱IHIとルクセンブルグに本社を置くPaul Wurth社(以下、PW)によって2012(平成24)年11月 に設立された合弁会社であり、高炉、コークス炉、コー クス乾式消火設備、焼結設備、環境設備といった製鉄会 社の上工程設備を提供する会社である。当社は、古くか らIHIとして多くの実績を持つ高炉設備、コークス乾式 消火設備に加え、世界のマーケットでお客様から好評を 得るPW製品を日本のユーザ向けにカスタマイズした上 で提供することにより、日本の製鉄会社の競争力向上に 貢献することを目指している。 本稿では、多数ある世界最高水準であるPW製品のう ち、PWイタリアが技術コンピテンスセンタとなってい るPW製コークス炉について紹介したい。

2. スタンプチャージ式コークス炉

全世界で広く採用されている室炉式コークス炉は、石 炭の装入方法によって大きく2つに分類される。 ⑴ トップチャージ式(図1参照)  炉頂から石炭を装入する方式のコークス炉で、この 方式がコークス炉の主流を占めている。現在、日本で稼 働するコークス炉のすべてがこの方式を採用している。 装炭車がまず石炭塔で石炭を受け取り、その後にコー

Paul Wurthコークス炉の優位性

株式会社IHIポールワース 技術部

阿達 聡

図1 トップチャージ式コークス炉 コークトランスファーカ コークス炉本体 装炭車 装入口 炭化室 押出機 装入口 P020-022_製鉄機械1.indd 20 16/02/15 14:03

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産業機械2016.2 21 ャージ式で生産されるコークスと比べても遜色ない品 質を持つコークスを、低品位の石炭から製造可能であ る。このため、粗鋼の製造コストの低減に大きく寄与 できる。

3. ジャンボコークス炉

 近年、海外では炉幅、炉高共に従来炉を上回るジャン ボコークス炉(Jumbo oven)が導入される事例が増え ている。以下にジャンボコークス炉の長所について紹介 する。 ⑴ 環境負荷の低減  ジャンボコークス炉では、炭化室の容積を大きくす ることにより、押出回数が低減される。  コークス炉は炉蓋を開けてコークスを炉外に押し出 す際に発塵を伴うが、押出し回数の低減により発塵回 数の低減、即ち環境負荷の低減が可能となる。 ⑵ 操業設備の負荷低減  押出回数の低減により、押出機等のコークス炉移動 機械の稼働回数・負荷低減が可能となる。これはコー クス炉移動機械の長寿命化に寄与する。加えて、コー クス押出時の炭化室への負荷も低減されるため、コー クス炉本体の長寿命化にも寄与する。  長年培ったコークス炉設計の経験から、PWでは炉 高7.6m、炉幅0.55mをジャンボコークス炉の最適寸 法と考え、インド、インドネシア、ブラジル向けに炉 長17∼20mの新設炉の実績がある。 クス炉本体の上部に敷設された軌条の上を走行し、各 炭化室に石炭を届ける。炭化室内への石炭装入は炉頂 にある装入口の蓋を開け、そこから石炭を投下する。 ⑵ スタンプチャージ式(図2参照)  細粒石炭を、スタンピングマシンにより炭化室容積 に見合った直方体のケーキ状に圧密成形し、この石炭 ケーキを炉蓋を開けて炭化室側面より装入する方式の コークス炉である。スタンピングマシンは定置式のも のと、コークスを炉外へ排出する押出機との一体型が ある。トップチャージ式と異なり、炉頂に装炭車は不 要であるが、石炭ケーキ装入時の発塵を防止するため のガストランスファーカが設置されている。PW製ス タンプチャージ式コークス炉は、2010年に環境規制 の厳しいドイツで本格的に稼働している。日本国内で は未導入であるが、ドイツに初号機が納入された後、 ユーザの好評を得てリピートオーダーとなり、また今 後インドでも本格稼働する予定である。 ⑶ スタンプチャージ式コークス炉の利点  コークスのコストは鉄鋼価格の中で無視できないウ ェイトを占めており、効率的に粗鋼生産量を増加させ るためには良質の塊コークスによる還元が有効であ る。  しかしながら、生産コスト節約の観点から、安価な 低品位の石炭を、高炉における還元剤として利用する 傾向も見られる。  スタンプチャージ式コークス炉では圧密成形された 石炭ケーキからコークスが生産されるため、トップチ 図2 スタンプチャージ式コークス炉 ガストランスファーカ コークス炉本体 石炭ケーキ コークトランスファーカ スタンピングマシン 炭化室 スタンプ装入・押出機 コークス炉本体

特集:製鉄機械

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22 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2

4. 単一室圧制御システムSOPRECO

(図3参照)

従来のコークス炉では、各炭化室内部の圧力が個別に 制御されていない。このため、ガスの生成がピークを迎 える乾留初期においては、炭化室の圧力が上昇し、炭化 室炉蓋−炉枠シール部を通じて制御不可能なガス漏れが 発生する可能性がある。そして、乾留末期はガスの生成 が最少となるため、炭化室への空気が吸入される可能性 が生じる。炭化室への空気の侵入は乾留を阻害し、コー クスの品質に悪影響が及ぶことになる。これを解消する ために炭化室ごとに圧力を制御可能な、単一室圧制御シ ステムSOPRECOが非常に有効であり、実績炉からも 証明されている。 SOPRECOバルブは、コークス炉発生ガスを炉外に 導く配管設備である上昇間とドライメーンの間に設置さ れる。バルブ本体、可動部共に炉外に設置されているた め、保守・点検が容易なことも特長である。 また、本システムは上昇管の比較的簡単な改造により、 既設炉へ設置することも可能である。

5.おわりに

当社は会社設立後3年経過したが、㈱IHIで培った 製鉄プラント技術とPW製設備を融合させ、着実に実績 を伸ばしている。今後も製鉄業界の発展のために技術革 新を続け、より良い製品を市場に提供していく所存であ る。 図3 単一室圧制御システムSOPRECO SOPRECOバルブ ドライメーン 上昇管 P020-022_製鉄機械1.indd 22 16/02/15 14:03

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産業機械2016.2 23

特集

製鉄機械

1. はじめに

鉄鉱石から鉄を製造する代表的プロセスである高炉法 には、還元材であり燃料でもあるコークスが欠かせない。 CDQ(Coke Dry Quenching Process)設備は、コー クス炉で製造される約1,000℃の赤熱コークスをガス冷 却で約200℃以下に冷却する設備であり、同時に赤熱 コークスの顕熱を、高温・高圧な蒸気の形で回収する省 エネ設備でもある。コークスを密閉炉でガス冷却するた めに、大気へのダスト飛散を大幅に減らすことができる 環境対策設備でもある。これらの利点から世界中のコー クス炉で積極的に導入が進んでいる。 その一方で、既存のコークス炉では、炉廻りのスペー スが狭すぎてCDQの導入が困難な場合が多く、赤熱コ ークスを直接水で冷却する湿式消火方式で操業を続けて いるケースも多く見られ、何らかの対応策が必要であっ た。筆者らは、狭隘なスペースしかないコークス炉への CDQの適用に対応するべく、例えば、「赤熱コークスの 搬送装置及びその搬送方法」(特開2006-233100)に示 すような、適用を可能にする対応策を検討・提案してき た。本稿ではその中で、コークス炉から押し出されるコ ークスを受骸するためのバケットを載せて走行するバケ ット台車の走行空間が狭い場合に解決策となり得る、新 しいタイプの赤熱コークス搬送方式を紹介する。

2. CDQ設備の構成

CDQ設備は、大きく分けてコークス炉からCDQ炉体 まで赤熱コークスをバケットで運搬する「搬送系」と、 赤熱コークスを冷却して蒸気を発生させる「ガス循環系」 からなる(図1参照)。本稿では、コークス炉廻りが狭 い場所にCDQを適用するための「搬送系」設備に注目す る。

3. CDQの搬送系

 CDQ設備の「搬送系」は、以下から構成されている。 ①  コークス炉から排出された赤熱コークスをバケッ

CDQ狭隘スペース対応技術

スチールプランテック株式会社 銑鋼セクター 製銑エンジニアリング部 部長

関口 毅

スチールプランテック株式会社 銑鋼セクター 製銑エンジニアリング部 主任技師

三井 昌平

図1 CDQ設備概略 搬送系 ガイドレール コークス炉 バケット台車 トラバーサ設備 巻上機吊金具 巻上ウインチ 巻上機走行台車 ガイド車 1次除塵器 冷却塔 ボイラ ガス循環系 P023-026_製鉄機械2.indd 23 16/02/15 14:03

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24 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2 方式」である。  直接巻上方式の場合、ガイド車との干渉を避けるた めにガイドレールを昇降式にする等の様々な工夫が必 要であるが、それでも、巻上タイムサイクルが間に合 わなかったり、CDQ巻上架構とガイド車軌条や集塵 ダクトが干渉回避できなかったりする等課題も多い。  トラバーサ方式は、上述の課題が解決すると共に、 CDQを炉前から離して設置することによって炉前工 事も大幅に減らせるので、既存コークス炉への適用性 が高い。 ⑶ 巻上機  図1には、ロープトロリー式の巻上機を示している。 巻上機は、地上レベルにあるバケットを巻上塔ガイド レールに沿って炉頂レベルまで吊り上げ、冷却塔上部 まで横行してからコークスを炉内に装入する動作を頻 繁に繰り返す設備である。

4. トラバーサ設備の改善

トラバーサ設備を採用する場合、バケット台車を親子 式の台車にする必要があり、直接巻上式の台車よりも高 床型の台車となる。更に、従来型のトラバーサ設備では、 赤熱コークスの入ったバケットを積載して横行する小台 車のフレームも大きくなって、レールスパンが大きくな るので、コークス炉側の改造範囲も拡大することになる。 以上の結果、旋回バケットの採用を見送ったり、改造 費用が拡大したりして、熱効率や経済性が損なわれるこ とも少なくなかった。 そこで、本稿では、炉前を走行するバケット台車から CDQの巻上機までの地上の搬送系設備の小型化を実現 した最新型のトラバーサ方式を紹介したい。特に、コー クス受骸用のバケット台車の走行空間が狭い場合や、コ ークス処理量が多くて巻上サイクルタイムを削減したい 場合に有効な方式である。 ⑴ 旧来型矩形バケット用トラバーサの課題  約40年前に旧ソ連から技術導入した方式であり、 当時の小型CDQ(56t/h)に対応したものである。コ ークス受骸時に粒度偏析や荷重偏心を引き起こす問題 があり、年産100万t規模以上のコークス炉に対応す る大型CDQ(140t/h以上)では、前述したように旋 回式の円形バケットが原則採用される。 トで受け取って(受骸)、CDQの巻上塔前まで搬送 する「バケット台車」 ②  バケット台車からバケットを台車軌条と直行方向 に搬送する「トラバーサ設備」 ③  バケットを炉頂まで吊り上げて冷却塔に投入する 「巻上機」 これらの特徴と留意点を以下に示す。 ⑴ 旋回式バケット台車  CDQのバケットには非旋回式の矩形型と、旋回式 の円形型の2種類がある。後者は、バケットを旋回さ せ な が ら 均 一 に コ ー ク ス を 受 骸 す る 装 置 で あ り、 CDQ冷却塔でのコークス粒度分布を均一化して安定 した冷却性能を維持し、熱回収率を向上させることが できる。そのため、CDQに広く採用されると共に、 近年の大型CDQには必須設備となっている。 ⑵ トラバーサ設備  コークス炉から押し出される赤熱コークスは、図1 に示すガイド車を介してバケットで受骸される。搬送 上の制約や設置スペースの制約から、CDQをコーク ス炉前に設置することも多いが、ガイド車はバケット 台車の真上を並行して走行するので、バケットを吊り 上げるためには、①ガイド車がいなくなった時点でバ ケット台車上から直接吊り上げるか(図2参照)、② バケットを小台車に載せて、ガイド車と干渉しない所 まで水平移動させた後で吊り上げる必要がある(図1 参照)。  前者が「直接巻上方式」であり、後者が「トラバーサ 図2 直接巻上方式 巻上機吊金具 トラニオンリング 吊上方向 昇降式巻上ガイドレール バケット バケット台車 P023-026_製鉄機械2.indd 24 16/02/15 14:03

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産業機械2016.2 25 ⑵ 従来型旋回バケット用トラバーサの課題  バケット台車が走行する上を、コークス炉設備であ るガイド車が併走しており、干渉を避ける点で、バケ ット台車の高さ制約になる。また、バケット台車の横 隣には、給電用トロリー線、コークワーフ、ガイド車 用架構等があり、台車幅制約になる。  一方、従来型の旋回式バケットは、吊金物としての トラニオンリングがバケット廻りに突出する形となる ために、最大幅となるトラニオンリングが上述の幅の 制約と干渉するか、それを避けて高さ方向にバケット を高くすれば、高さ制約と干渉する(図3参照)。 ⑶ 新型旋回バケット用トラバーサ設備 (特許第4744644号:赤熱コークス受骸搬送装置)  上記の課題を解決するため、新しい方式のトラバー サ設備を開発し、大幅な設備小型化と共に、サイクル タイムの短縮を実現した。特徴は以下の通りである。 ①  バケットに付帯していたトラニオンリングを排除 して、巻上機の吊金具にその機能を持たせた(図5 参照)。トラニオンリングが不要になったことで、 台車走行空間が狭いコークス炉にも旋回式バケット を適用できるようになり、大型で高効率なCDQを 設置できる可能性が飛躍的に高まった。 ②  バケット子台車上に設置されていたトラニオンリ ング用のガイドポストが不要になり、バケット子台 車と小台車が横行するトラバーサ架構をコンパクト 化できた(図4参照)。その結果、設備の必要設置 図4 トラバーサ設備のコンパクト化 図3 バケット台車の走行空間の比較 (従来型トラバーサ設備の場合) (新型トラバーサ設備の場合) トロリー線 ガイド車集塵フード 親子式バケット台車(低床化) A×60% トラニオンリングなし トラニオンリングあり 図5 巻上機の吊上機構の違い 【従来型:フック開閉有】 【新型:フック開閉無】 バケット台車走行空間 子台車横行レールスパン A ガイド車 集塵ダクト架構 トラバース方向 コークワーフ 親子式バケット台車 ガイド車 ガイドポスト トラニオンリング ガイドポスト フック:閉 吊金物 トラニオンリング フック:開

特集:製鉄機械

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26 INDUSTRIAL MACHINERY 2016.2 スペースも削減され、既設設備の改造範囲を削減で きる。 ③  トラニオンリングが不要になり、巻上機の吊金具 を単純化したことで、巻上重量が削減でき、巻上機 の動力(=設備費、運転費)を削減できる。 ④  トラニオンリング機能を巻上機側の吊金具に移し たこととで、バケット吊上時のフック開閉が不要に なった(図5参照)。更に、小台車上と巻上塔側に 分断されていたガイドレールを一体化したことによ って、巻上・巻下工程の運転が簡素化され、サイク ルタイムを短縮することができた。約38mの揚程 がある巻上塔でバケットを吊り上げた時の巻上サイ クルタイムの例を図6に示すが、この場合では、従 来型のフック開閉式吊り金具の場合よりも往復で約 24sec程度の時間短縮を実現できた。

5.おわりに

CDQ 設 備 に よ り コ ー ク ス 1t 当 た り、 約 160 ∼ 200kWhもの電力を得ることが可能であるにも拘らず、 世界のコークス炉の約50%は赤熱コークスに直接水を かけて冷却する湿式消火を続け、赤熱コークスの顕熱を 無駄に大気中に放散している。 湿式消火を続けているコークス炉の中には、炉廻りス ペースが狭くCDQを導入できない事例も数多くある。 本稿で紹介した新型のバケット搬送設備は、設備の小型 化を追求し、大型CDQの安定操業に欠かせない旋回式 バケットでの受骸方式を、狭い消火車走行空間しかない コークス炉に適用することを可能にするものである。 以前、本誌2008(平成20)年2月号でご紹介した、 新ハンドリング設備は、更に狭隘スペースしかないコー クス炉への大型CDQ適用技術である。 これらの狭隘スペース対応技術を導入すれば、各炉に 応じた最適な設備が提供できる。CDQの適用性を広げ ることで、より多くのコークス炉や高炉の省エネルギ− 化を実現することが可能となり、COP21等で懸案とな っているCO₂削減問題にも大きく貢献できると考える。 <参考文献>  「インド・コークス乾式消火方式によるCDQ事業化調査報告書」、経 済産業省、H18年度地球環境・プラント活性化事業調査  「CDQ用コークス新ハンドリングシステム」、『産業機械』2008年2月号 図6 巻上(巻下)サイクルタイムの短縮 片道 約12sec 短縮 経過時間 (sec) 巻上速度(m/min) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 従来型開閉フック式の場合 新型吊金具の場合 早期に最高速度になる 0 10 20 30 40 50 P023-026_製鉄機械2.indd 26 16/02/15 14:04

参照

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