地域コミュニティにおける象徴的造形の生成過程についての研究 ―ご当地キャラクターを事例とした生成過程の調査と分析
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(2) アンケート調査による概況の把握. 表1:各地域の調査対象数. 全国のご当地キャラクターを運営する組織団体を対象にアンケート調査. 地域区分. 北 海 道. 東 北. 関 東. 中 部. 近 畿. 中 国 ・ 四 国. 九 州 ・ 沖 縄. 合計. 対象数(件). 13. 28. 57. 40. 39. 17. 16. 210. をおこない、回答の集計によって、現在の概況を把握する。. ご当地キャラクターの生成目的の分類 「ご当地キャラクターの生成目的」の回答に着目し、地域外に効果を期 待する目的群を「対外的生成目的」 (「地域のイメージアップをおこない たい」や「観光客を増やしたい」など)、地域内に効果を期待する目的 群を「対内的生成目的」 (「地域住民の郷土愛を深めたい」や「地域住民 に歴史や文化などの地域資源を再発見してほしい」など)に分類する。. 3.3.アンケートの内容 アンケートの内容は、ご当地キャラクターの概況について幅 広く把握するために計 26 問を構成したが、本研究の主旨であ る「生成目的に対する効果と生成過程との関連」の内容を明確 にするため 18 問を抽出し、 (1)ご当地キャラクターの運営状. 数量化Ⅲ類及びクラスター分析による類型化. 況についての項目、(2)生成過程、生成目的についての項目. 目的群ごとのキャラクターの生成過程の特徴を明らかにするため、生成. に分類した。そのアンケート項目と回答形式を表2に示す。. 過程に関するアンケート項目(「きっかけ」、 「作り手」、「決定方法」)の. 表2:アンケート項目と回答形式. 回答を用いて数量化Ⅲ類及びクラスター分析をおこない類型化する。. (1)ご当地キャラクターの運営状況についての項目 1.運営母体となる組織の種類(単一選択) クロス集計による観察. 2.ご当地キャラクターの活動に携わっている人(複数選択). クロス集計によって各類型に含まれる生成過程の特徴を観察する。. 3.ご当地キャラクターのデザインが完成した年(記述) 4.ご当地キャラクターの着ぐるみによる活動を開始した年(記述). 生成目的に対する効果の度合いと生成過程の重回帰分析 生成目的に対する効果の度合いと生成過程の関連を明らかにするため、 類型ごとに重回帰分析をおこなう。. 図1:研究の方法と目的. 5. ご当地キャラクターの情報発信に活用しているメディア (複数選択) 6. ご当地キャラクターデザインを決定した際、最も好まれたいと考え ていたターゲット層(単一選択) 7. 現在、ご当地キャラクターのファンとして最も多く感じる層(単一 選択) 8. ご当地キャラクターを生成したことについての現在の満足度(5段 階評価) 9. ご当地キャラクターの生成と運営で今後の課題と感じること (記述). 2.研究方法 本研究では、ご当地キャラクターを運営する組織団体が、そ の生成目的に対して現在感じている効果と生成過程の関連を明 らかにするため、図1の方法で研究を進めた。. (2)生成過程、生成目的についての項目 10. ご当地キャラクターを制作することになったきっかけ(単一選択) 11. ご当地キャラクターの作り手(単一選択) 12. ご当地キャラクターのデザイン決定方法(単一選択) 13~15. ご当地キャラクターの生成目的(上位3つ選択). 3.アンケート調査. 16~18. 13~15 で選んだ生成目的に対して現在感じている効果の度合 い(13~15 それぞれに1つずつ、5段階評価). 3.1. 調査の概要 調査は以下のとおり実施した。 実施期間:2019 年 7 月 23 日~2019 年 9 月 20 日. 3.4. 回答の集計. 配布数. (1)ご当地キャラクターの運営状況. :210 件(郵送 105 件、メール 105 件). 回答数. :104 件(郵送 62 件、メール 42 件). 回答率. :49.5%(郵送 59.0%、メール 40.0%). ご当地キャラクターの運営状況についての回答は、表3から 表9、図2及び図3である。. 3.2. 調査対象の選定. 表3:運営母体となる組織の種類. 本調査は、全国に存在するご当地キャラクターの概況をくま. 組織の種類. 度数. (%). なく把握するために「2014 全国ご当地キャラクター名鑑&パー. 自治体. 58. (55.8). フェクト DATA BOOK」 [注6]に掲載されている全国のご当地キ. 観光協会. 11. (10.6). ャラクター569 体から無作為に 200 体を選定した。次に、地域. 商工会議所. 6. (5.8). による数量差を軽減するため、「ゆるキャラグランプリ 2019」. 商店街組合. 3. (2.9). [注7]に参加しているご当地キャラクターから 10 体を追加. まちづくり団体. 4. (3.8). で選定し、合計 210 件の調査対象を決定した。各組織団体が公. 企業. 5. (4.8). 開している情報から判断し、郵送とメールの手法でアンケート. その他. 調査の依頼をおこなった。各地域の調査対象数は表1のとおり. 合計. である。. ※パーセント値は、有効回答件数(104 件)に対する比率である。 (以下、表4から 表10 及び表13 も同様である。 ). 2 70. B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021 デザイン学研究. 17. (16.3). 104. (100.0).
(3) (件数). 表4:ご当地キャラクターの活動に携わっている人 活動に携わっている人. 度数. 運営団体の職員 運営団体内のボランティア 運営委託先団体の職員. (%). 89. (85.6). 7. (6.7). 17. (16.3). 地域のボランティア. 5. (4.8). 地域外を含むボランティア. 2. (1.9). 学生ボランティア. 1. (1.0). 個人. 6. (5.8). 14. (13.5). その他 ※複数選択のため、全体の回答数は141 件である。. 図2:ご当地キャラクターのデザインが完成した年 (件数). 運営母体となる組織の種類についての回答(表3)のうち、 最も多いのは「自治体」で 55.8%、次いで「観光協会」10.6%、 「商工会議所」5.8%となった。 「その他」には「官民の複数が 合同で形成している組織」や「運営母体を基盤とする任意団体」 などがあり、地域に関わる幅広い活動組織の存在がうかがえる。 また、キャラクターの活動に携わっている人についての回答(表 4)のうち、最も多いのは「運営団体の職員」で 85.6%、次い. 図3:ご当地キャラクターの着ぐるみによる活動を開始した年. で「運営委託先団体の職員」16.3%、「運営団体内のボランテ ィア」6.7%となった。 「その他」には「運営団体の職員とボラ. ご当地キャラクターが隆盛する後押しとなったと考えられる。. ンティア」や「運営団体の職員と委託先団体などによる共同運. また、公益財団法人東京市町村自治調査会による「ご当地キャ. 営」などの回答があり、組織団体や個人の繋がりによってさま. ラクターの活用に関する調査報告書」[注 10]では、調査対象の. ざまな人が活動に携わっている様子がわかる。. うち、「2008 年以降に作成されたキャラクターが全体の6割を 占めている」とあり、また「元々存在したキャラクターをご当. ご当地キャラクターのデザインが完成した年についての回答. 地キャラクターとして活用し始めたケースも多い」とあること. (図2)のうち、最も多いのは「2010 年」で 15 件、次いで「2011. から、本研究の回答においても、時代の流れと共にキャラクタ. 年」14 件、「2000 年より前」 、「2009 年」及び「2012 年」11 件. ーの活用方法を変化させた事例も含まれると推測する。. である。また、ご当地キャラクターの着ぐるみによる活動を開. ご当地キャラクターの情報発信に活用しているメディアにつ. 始した年についての回答(図3)のうち、最も多いのは「2010. いての回答(表5)のうち、最も多いのは「ホームページ」で. 年」、 「2011 年」及び「2013 年」で 17 件、次いで「2009 年」及. 89.4%、次いで「Twitter」63.5%、 「facebook」62.5%となっ. び「2012 年」で 9 件、「2007 年」7 件である。. た。「その他」には「ブログ」や「映像配信アプリ」などの回. ご当地キャラクターのデザイン完成及び着ぐるみによる活動. 答があった。. 開始は、どちらも 2008 年頃から増加していることが特徴的で ある。ご当地キャラクター人気の火付け役といわれている滋賀. 表5:キャラクターの情報発信に活用しているメディア. 県彦根市のご当地キャラクター「ひこにゃん」は 2007 年に「国. メディア. 宝・彦根城築城 400 年祭」のイメージキャラクターとして発表 された。愛くるしいデザインが人気となり、同祭期間中の関連 商品の売上高は約 17 億円となった[注8]。また、熊本県のご 当地キャラクター「くまモン」は、九州新幹線全線開業を契機 とした「くまもとサプライズ」キャンペーンのキャラクターと して 2010 年に発表され、県内外での関連商品の売上高は 2012 年度に約 294 億円となった[注9]。こうした人気キャラクター が出現し始めた頃から、国内ではご当地キャラクターによるイ ベントが頻出する。なかでもキャラクターが多数参加する大規 模なイベントの例としては、2007 年から埼玉県羽生市で毎年開 催されている「世界キャラクターさみっと in 羽生」 、2009 年か ら毎年開催されている「ゆるキャラグランプリ」などが挙げら. 度数. (%). ホームページ. 93. 89.4%. facebook. 65. 62.5%. Twitter. 66. 63.5%. Instagram. 36. 34.6%. TikTok. 3. 2.9%. YouTube. 27. 26.0%. LINE. 7. 6.7%. SHOWROOM. 1. 1.0%. ラジオ. 6. 5.8%. テレビ. 8. 7.7%. その他. 12. 11.5%. ※複数選択のため、全体の回答数は324 件である。. れる。こうしたイベントに参加することにより、ご当地キャラ クターが属する地域外で地域をPRする機会が増加したことも. 3. デザイン学研究 B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021. 71.
(4) 表8:ご当地キャラクターの生成に対する現在の満足度. 票 表6:ご当地キャラクターを制作した際、ターゲットとした年齢層 度数. (%). 度数. (%). こども. ターゲット層. 46. (44.2). とても満足している. 62. (59.6). 20 代~30 代. 11. (10.6). やや満足している. 25. (24.0). 40 代~60 代. 4. (3.8). どちらともいえない. 13. (12.5). 70 代以上. 満足度. 0. (0.0). あまり満足していない. 1. (1.0). その他. 10. (9.6). 全く満足していない. 0. (0.0). 不明. 32. (30.8). 1. (1.0). 104. (100.0). 無回答 合計. 無回答 合計. 3. (2.9). 104. (100.0). 表9:ご当地キャラクターの生成と運営で今後の課題と感じる こと(自由記述式の回答をもとに筆者が分類) 表7:ご当地キャラクターのファンとして最も多く感じる年齢層 ファン層. 今後の課題 キャラクターの PR など、活用方法に関する. 度数. (%). こども. 51. (49.0). 課題. 20 代~30 代. 16. (15.4). 組織の体制や人員など、運営方法に関する課. 40 代~60 代. 18. (17.3). 題. 70 代以上. 0. (0.0). 着ぐるみの維持や活動に必要な費用に関する. その他. 9. (8.7). 課題. 不明. 9. (8.7). キャラクターのデザインや形状に関する課題. 無回答 合計. 1. (1.0). 104. (100.0). 度数. (%). 23. (45.1). 17. (33.3). 9. (17.6). 2. (4.0). ※パーセント値は、有効回答件数(51 件)に対する比率である。. 動に必要な費用に関する課題」17.6%となった。「キャラクタ キャラクターデザインを制作した際、ターゲットとした年齢. ーの PR など、活用方法に関する課題」のなかには「キャラク. 層についての回答(表6)のうち、最も多いのは「こども」で. ター人気の陰りによって活用方法に検討が必要」、 「キャラクタ. 44.2%、次いで「20~30 代」10.6%、「40~60 代」3.8%とな. ーが住民にとって身近な存在となるような運営の方法」などが. った。また、ご当地キャラクターのファンとして最も多く感じ. あり、キャラクターの人気に頼らず継続的に地域において活用. る年齢層についての回答(表9)のうち、最も多いのは「こど. できる方法について検討している様子が見られた。表8と表9. も」で 49.0%、次いで「40~60 代」17.3%、 「20~30 代」15.4%. からは、ご当地キャラクター生成に対しては総合的に満足をし. となった。ターゲット層についての回答(表7)では全体の 1. ているものの、社会状況の変化などによって、今後の活用方法. 割程度であった 20 代~60 代が、キャラクターデザイン制作後. に課題を感じている組織が多いという状況を確認することがで. の反応を示すファン層についての回答では全体の3割強へと増. きた。. 加している。このことから、ご当地キャラクターの実際の人気 は、想定していたこどもだけではなく、その親世代などの年齢. (2)生成過程、生成目的及び生成過程に対する効果 ご当地キャラクターの生成過程、生成目的及び生成過程に対. 層にも支持されていることがわかる。 キャラクター生成に対する現在の満足度の回答(表8)のう. する効果についての回答は、表 10 から表 14 である。. ち、最も多いのは「とても満足している」で 59.6%、次いで「や. 表10:ご当地キャラクターを生成することになったきっかけ. や満足している」24.0%、「どちらともいえない」12.5%とな った。ご当地キャラクターのデザイン完成や着ぐるみ開始が活. きっかけ. 発化した 2010 年頃から約 10 年が経つが全体の約 6 割が「とて. 組織内部からの提案. も満足している」を回答しており、ご当地キャラクターの運営. 外部からの要請. について肯定的に受け入れている状況がわかる。. 外部からの提案. 10. (9.6). イベントや事業の一環. 27. (26.0). 今後の課題と感じることについての自由記述回答(表9)に. 度数. (%). 46. (44.2). 4. (3.8). は、調査対象の 104 件のうち半数近くにあたる 51 件の回答が. 組織内トップからの指示. 5. (4.8). あった。回答のなかで最も多いのは「キャラクターの PR など、. その他. 4. (3.8). 活用方法に関する課題」で 45.1%、次いで「組織の体制や人員. 不明. 8. (7.7). など、運営方法に関する課題」33.3%、「着ぐるみの維持や活. 合計. 104. (100.0). 72. 4. B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021 デザイン学研究.
(5) 表 13:ご当地キャラクターの生成目的. 表 11:ご当地キャラクターの作り手 作り手 職員の内製 アマチュア対象の公募 プロ・アマチュア問わない公募. 度数. (%). 75. (24.0). 観光客を増やしたい. 34. (10.9). 観光客に特産品を販売したい. 19. (6.1). 22. (7.1). 16. (5.1). 生成目的. 度数. (%). 9. (8.7). 地域全体のイメージアップをおこないたい. 9. (8.7). 46. (44.2). 地域外の人に地域の歴史や文化を知ってほし い 地域外の人に地元の祭りやイベントへ参加し てほしい. 専門家への外注. 25. (24.0). 個人の自主制作. 7. (6.7). その他. 4. (3.8). 不明. 2. (1.9). 地域住民の郷土愛を深めたい. 42. (13.5). 2. (1.9). 地域住民に歴史や文化などの地域資源を再発 見してほしい. 15. (4.8). 104. (100.0). 地域住民同士が交流する機会を増やしたい. 8. (2.6). 地域住民に地元の特産品を購入してほしい 地域住民に地元の祭りやイベントへ参加して ほしい. 6. (1.9). 10. (3.2). 1. (0.3). 56. (17.9). 8. (2.6). 312. (100.0). 無回答 合計. 表 12:ご当地キャラクターのデザイン決定方法 決定方法 職員による審査 外部審査員(専門家)による審査 外部審査員(一般人)による審査 職員による投票. 度数. (%). 34. (32.7). 9. (8.7). 15. (14.4). 3. (2.9). 地域住民による投票. 10. (9.6). 複数関係者の合同や委員会による審査. 16. (15.4). その他. 4. (3.8). 不明. 8. (7.7). 無回答. 5. (4.8). 104. (100.0). 合計. ご当地キャラクターを生成することになったきっかけについ ての回答(表 10)のうち、最も多いのは「組織内部からの提案」 で 44.2%、次いで「イベントや事業の一環」26.0%、「外部か. その他 不明 無回答 合計. 表 14:生成目的に対して現在感じている効果の度合い 効果の度合い とても感じる. 度数. (%). 83. (26.6). 112. (35.9). どちらともいえない. 52. (16.7). あまり感じていない. 17. (5.4). やや感じる. 全く感じていない 無回答 合計. 0. (0.0). 48. (15.4). 312. (100.0). らの提案」9.6%となった。 「組織内部からの提案」は職員のア イデアなどによるボトムアップ型、 「組織内トップからの指示」 はトップダウン型の状況が想像されるが、多くの場合は日頃か ら地域に関わっている組織内部からの提案がキャラクター生成 の契機となっているようである。また、「外部からの要請」や 「外部からの提案」の組織外部からの働きかけによるものには、 地域住民らの意見が届いた場合などが考えられる。 キャラクターデザインの作り手についての回答(表 11)のう ち、最も多いのは「プロ・アマチュア問わない公募」で 44.2%、 次いで「専門家への外注」24.0%、「職員による内製」、「アマ チュア対象の公募」8.7%となった。 「その他」には「専門家と 職員による共同制作」などの回答があった。また、キャラクタ ーデザインの決定方法についての回答(表 12)のうち、最も多 いのは「職員による審査」で 32.7%、次いで「複数関係者の合 同や委員会による審査」15.4%、「外部審査員(一般人)によ る審査」14.4%となった。 「その他」には「審査をしていない」 などの回答があった。作り手の回答では「アマチュアを対象と した公募」や「プロ・アマチュアを問わない公募」の「公募」 が全体の半数以上を占めている。一方、決定方法については「職 員による審査」と「複数関係者の合同や委員会による審査」の. ザインを決定する際には、運営組織関係者らによって内々にお こなわれることが多い様子が考えられる。 ご当地キャラクターの生成目的についての回答(表 13)のう ち、最も多いのは「地域全体のイメージアップをおこないたい」 で 24.0%、次いで「地域住民の郷土愛を深めたい」13.5%、 「観 光客を増やしたい」10.9%となった。これら上位以外の項目に も回答数が分散していることや「観光客を増やしたい」と「地 域住民の郷土愛を深めたい」と「イベントに参加してほしい」 などの様に3つそれぞれ性質の違う目的を選択するご当地キャ ラクターも多かったことから、ご当地キャラクターが多様な目 的を持って生成されていることが確認できた。 生成目的に対して現在感じている効果の度合いについての回 答(表 14)のうち、最も多いのは「やや感じる」で 35.9%、 次いで「とても感じる」26.6%、 「どちらともいえない」16.7% となった。回答のあった 264 件のうち、「とても感じる」、 「や や感じる」を「効果あり」、 「どちらともいえない」、 「あまり感 じない」を「効果なし」とした場合、「効果あり」は 73.8%、 「効果なし」は 26.2%となり、全体としては生成目的に対して 効果を感じているケースが多いことがわかった。. 「審査」が全体の半数近くを占めている。このことから、キャ ラクターのデザインは、公開募集で外部から取り入れるが、デ. デザイン学研究 B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021. 73. 5.
(6) 表 15:分析に用いたアンケート項目と回答の選択肢 アンケート項目. 回答の選択肢. ご当地キャラクターを生. 組織内部からの提案 / 外部からの要請 / 外部からの提. 成することになったきっ. 案 / イベントや事業の一環 / 組織内トップからの指示. 表 16:生成目的の分類 対外的. ・地域全体のイメージアップをおこないたい. 生成目的. ・観光客を増やしたい ・観光客に特産品を販売したい. かけ. ・地域外の人に地域の歴史や文化を知ってほしい. キャラクターデザインの. 職員による内製 / アマチュア対象の公募 / プロ・アマ. 作り手. 問わない公募 / 専門家への外注 / 個人による自主制作. 対内的. ・地域住民の郷土愛を深めたい. キャラクターデザインの. 職員による審査 / 一般人による審査 / 専門家による審. 生成目的. ・地域住民に歴史や文化などの地域資源を再発見してほしい. 決定方法. 査 / 職員による投票 / 地域住民による投票 / 複数関. ・地域住民同士が交流する機会を増やしたい. 係者の合同や委員会による審査. ・地域住民に地元の特産品を購入してほしい. キャラクターデザインの. 地域全体のイメージアップをおこないたい / 観光客を. ・地域住民に地元の祭りやイベントへ参加してほしい. 生成目的. 増やしたい / 観光客に特産品を販売したい / 地域外の. ・地域外の人に地元の祭りやイベントへ参加してほしい. 人に地域の歴史や文化を知ってほしい / 地域外の人に. 分析結果のうち、数量化Ⅲ類による固有値等の結果が表 17. 地元の祭りやイベントへ参加してほしい /地域住民の郷. 及び表 18、数量化Ⅲ類によるカテゴリースコアの散布図が図4. 土愛を深めたい / 地域住民に歴史や文化などの地域資. 及び図5である。. 源を再発見してほしい / 地域住民同士が交流する機会. 「対外的生成目的」の固有値等の結果(表 17)では、相関係. を増やしたい /地域住民に地元の特産品を購入してほし. 数が 0.6 以上となる軸は6つあり、軸6までの累積寄与率は. い / 地域住民に祭りやイベントに参加してほしい. 61.6%であった。各カテゴリースコアの散布図を観察した結果、. 生成目的に対して現在感. とても感じる / やや感じる / どちらともいえない / あ. 軸1は、一方が組織外部に公開される状況が位置しているのに. じている効果の度合い(. まり感じない / まったく感じない. 対し、もう一方は関係者のみによる状況が位置しているため、 「公開―非公開」と解釈した。軸2は、一方が組織内部での関 わりが位置しているのに対し、もう一方は組織外部との関わり. 4.回答の分析 ご当地キャラクターの生成目的に対する効果の度合いと生成 過程の関連を確認するために、表 15 に示すアンケート項目と. が位置しているため、 「内部の関わり―外部の関わり」と解釈 した(図4)。同様に、軸3は「能動的―受動的」、軸4は「周 囲意見―内部意見」 、軸5は「トップダウン―ボトムアップ」 、. 回答を用いて分析をおこなった。. 軸6は「外部の要因―内部の要因」と解釈した。 4.1. ご当地キャラクターの生成目的の分類. 「対内的生成目的」の固有値等の結果(表 18)では、相関係. ご当地キャラクターの生成目的には「地域のイメージアップ. 数が 0.6 以上となる軸は5つあり、軸5までの累積寄与率は. をおこないたい」や「観光客を増やしたい」などの地域外に効. 55.1%であった。各カテゴリースコアの散布図を観察した結果、. 果を期待する目的と、「地域住民の郷土愛を深めたい」や「地. 軸1は、一方が組織内部の関わりが位置しているのに対し、も. 域住民に歴史や文化などの地域資源を再発見してほしい」など. う一方は組織外部との関わりが位置しているため、「外部の関. の地域内に効果を期待する目的があり、アンケート調査の回答. わり―内部の関わり」と解釈した。軸2は、一方が特定的な関. には、ひとつのご当地キャラクターに対内的生成目的と対外的. 係者による状況が位置しているのに対し、もう一方は相手を特. 生成目的の両方を持ち合わせていて、それぞれの目的に対して. 定しない様子が位置しているため、「特定―不特定」と解釈し. 感じる効果の度合いが異なるケースもあった。しかし、地域外. た(図5)。同様に、軸3は「内部の要因―外部の要因」、軸4. に効果を期待する場合と地域内に効果を期待する場合では、キ ャラクターの活用方法は異なるはずである。そこで本研究では、 地域外に期待する目的群を「対外的生成目的」 、地域内に期待 する目的群を「対内的生成目的」と分類し(表 16)、目的群ご. は「主観的―客観的」 、軸5は「内部意見―周囲意見」と解釈 した。 いずれの目的群も、軸3以降は、「きっかけ」「作り手」「決 定方法」のいずれかの項目に偏った解釈となる印象があった。 この類型化では、生成過程の特徴を大きく把握することが目的. とに考察を進めることとした。. であるため、寄与率は高くないが偏りが少なく生成過程全体を 4.2. 数量化Ⅲ類及びクラスター分析による生成過程の類型化. 表している軸1と軸2に着目し進めることとした。. 表 15 のアンケート項目のうち、 「ご当地キャラクターを生成. 次に、軸1及び軸2のサンプルスコアを用いてクラスター分. することになったきっかけ(以下「きっかけ」 )」 、 「キャラクタ. 析をおこない、その結果を記したものが図6、図7である。 「対. ーデザインの作り手(以下「作り手」) 」 、 「キャラクターデザイ. 外的生成目的」及び「対内的生成目的」のいずれも各類型が含. ンの決定方法(以下「決定方法」」の3つを生成過程に関する. むサンプル数の多い順に、クラスター1(CL-1)、クラスター. 項目とした。そして生成過程の項目をカテゴリー、回答のあっ. 2(CL-2)、クラスター3(CL-3)、クラスター4(CL-4)とし. たご当地キャラクターをサンプルとして目的群ごとに数量化Ⅲ 類とクラスター分析(Ward 法)を用いて類型化をおこなった。. 74. 6. B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021 デザイン学研究. た。.
(7) 表 18:対外的生成目的 数量化Ⅲ類による固有値等の結果. 表 17:対外的生成目的 数量化Ⅲ類による固有値等の結果 固有値. 相関係数. 寄与率(%). 累積寄与率(%). 固有値. 相関係数. 寄与率(%). 累積寄与率(%). 軸1. 0.53. 0.73. 12.7. 12.7. 軸1. 0.54. 0.74. 13.1. 13.1. 軸2. 0.46. 0.68. 11.2. 軸3. 0.41. 0.64. 10.0. 23.9. 軸2. 0.50. 0.70. 12.0. 25.2. 33.9. 軸3. 0.43. 0.66. 10.5. 35.7. 軸4. 0.40. 0.63. 軸5. 0.38. 0.61. 9.7. 43.6. 軸4. 0.41. 0.64. 9.9. 45.6. 9.1. 52.6. 軸5. 0.39. 0.62. 9.5. 55.1. 軸6. 0.37. 0.61. 9.0. 61.6. 図4:対外的生成目的・カテゴリースコアの散布図. 図5:対内的生成目的・カテゴリースコアの散布図. 図6:対外的生成目的・サンプルスコアの散布図. 図7:対内的生成目的・サンプルスコアの散布図. 4.3. 各類型に含まれる生成過程の特徴. 一方、「アマチュアを対象とした公募」は、地元の小学生や美. クロス集計によって、各類型に含まれる生成過程の割合を観. 術を学ぶ大学生などを対象にした場合などがあり、ご当地キャ. 察した結果が表 19、表 20 である。各類型において最も多く含. ラクターのデザインに柔軟な発想を取り入れるような外部関係. む生成過程の割合を太字で示した。. 者が制作に関わっている。次に、CL-2に「地域住民による投. 「対外的生成目的」では、CL-1に「職員による内製」、CL-. 票」、CL-4に「専門家による審査」を最も多く含んでいること. 3に 「アマチュア対象の公募」を最も多く含んでいることから、. から、この2つの類型はキャラクターの決定方法に特徴があり、. この2つの類型はキャラクターの作り手に特徴があり、散布図. 散布図においては対称的な位置にある。 「地域住民による投票」. において対称的な位置にある。 「職員による内製」は運営組織. は、地域住民がキャラクター候補の中からキャラクターを選び、. 団体内のイラストの得意な職員が描く場合や、組織内で募集を. 投票をおこなう場合などがあり、さまざまな世代の地域住民ら. おこなう場合などがあり、内部関係者が制作に関わっている。. が生成過程に参加する。一方、 「専門家による審査」は、運営. デザイン学研究 B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021. 75. 7.
(8) 表 20:対内的生成目的 各類型に含まれる生成過程. 表 19:対外的生成目的 各類型に含まれる生成過程 生成過程の項目 (含まれるサンプル数). CL-1 (23). CL-2 (22). CL-3 (12). CL-4 (11). 生成過程の項目 (含まれるサンプル数). CL-1 (17). CL-2 (13). CL-3 (11). CL-4 (10). [きっかけ]組織内部からの提案. 39%. 37%. 20%. 5%. [きっかけ]組織内部からの提案. 41%. 37%. 15%. 7%. [きっかけ]組織外部からの提案. 50%. 50%. 0%. 0%. [きっかけ]組織外部からの提案. 0%. 0%. 0%. 100%. [きっかけ]イベント事業の一環. 25%. 30%. 10%. 35%. [きっかけ]イベント事業の一環. 31%. 23%. 31%. 15%. [きっかけ]組織内トップからの指示. 20%. 0%. 40%. 40%. [きっかけ]組織内トップからの指示. 40%. 0%. 60%. 0%. 100%. 0%. 0%. 0%. [作り手]職員による内製. 0%. 0%. 100%. 0%. [作り手]アマチュア対象の公募. [作り手]職員による内製. 0%. 0%. 100%. 0%. [作り手]プロ・アマ問わない公募. 29%. 58%. 13%. 0%. [作り手]専門家への外注. 32%. 0%. 16%. [作り手]個人の自主制作. 67%. 0%. [決定方法]職員による審査. 88%. [決定方法]一般人による審査. 0%. [決定方法]専門家による審査. 0%. 0%. [決定方法]職員による投票. 0%. [決定方法]地域住民による投票. 0%. [作り手]アマチュア対象の公募. 0%. 0%. 0%. 100%. [作り手]プロ・アマ問わない公募. 46%. 46%. 0%. 7%. 53%. [作り手]専門家への外注. 20%. 0%. 80%. 0%. 0%. 33%. [作り手]個人の自主制作. 50%. 0%. 25%. 25%. 0%. 0%. 12%. [決定方法]職員による審査. 59%. 0%. 35%. 6%. 67%. 33%. 0%. [決定方法]一般人による審査. 29%. 43%. 0%. 29%. 36%. 64%. [決定方法]専門家による審査. 27%. 0%. 45%. 27%. 0%. 0%. 100%. [決定方法]職員による投票. 50%. 0%. 0%. 50%. 100%. 0%. 0%. 0%. 88%. 0%. 13%. 17%. 50%. 0%. 33%. [決定方法]地域住民による投票. [決定方法] 複数関係者の合同や委員会 [決定方法] 複数関係者の合同や委員会 0% 58% 42% 0% による審査 による審査 ※各類型のパーセント値は、各生成過程の項目の全体回答数に対する割合である。 (表 20 も同様である。). 図8:対外的生成目的 各類型の名称. 組織団体が依頼する専門的な見識のあるデザイナーや地域団体 関係者などが集まって決定する。. 図9:対内的生成目的 各類型の名称. 組織内部か外部かというところに相違がある。 これらの特徴の抽出から、生成過程のうち、「作り手と決定. 「対内的生成目的」では、CL-1に「職員による審査」、CL-. 方法に関わる人」が、それぞれの分類に関連していることが見. 2に「地域住民による投票」を最も多く含んでいることから、. えてきた。そこで、散布図のカテゴリースコアとサンプルスコ. この2つの類型は決定方法に特徴があり、散布図では中央~下. アの配置を参考に、目的群ごとの各類型にタイプ別の名称を付. 方に集中している。「職員による審査」は、公募などによって. け、図に表した。(図8、図9). 集まったキャラクターデザイン案の中から、組織内部の協議な どで決定される。一方、「地域住民による投票」に掲示される. 4.4.生成目的に対する効果の度合いと生成過程の関連について. キャラクター候補は、事前に職員による審査を経て絞られてい. 次に、生成目的に対する効果の度合いに影響を与える生成過. る場合が多いため、組織の内外部の人達が関わっている。 次に、. 程を明らかにするため、「生成目的に対する効果の度合い」の. CL-3は「職員による内製」、CL-4は「組織外部からの提案」. 回答を従属変数、「生成過程」の回答を独立変数とし、重回帰. 及び 「アマチュア対象の公募」を最も多く含んでいることから、. 分析をおこなった。. この2つの類型はきっかけと作り手について特徴があり、散布. CL-1、CL-2、CL-3、CL-4 それぞれに分析をおこなったところ、. 図では上方、左右に広がって位置している。なかでも作り手の. 「対外的生成目的」及び「対内的生成目的」のいずれの目的群. 特徴に注目すると、「職員による内製」と「アマチュア対象の. も CL-1 にのみ関連性を示す結果があり、CL-2、CL-3、CL-4 に. 公募」は、どちらもデザインの専門家ではなく素人が制作に関. は関連性を示す結果は得られなかった。CL-1 の重回帰分析結果. わっているという点では共通しているが、作り手の属性が運営. を表 21、表 22 に示す。. 8 76. B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021 デザイン学研究.
(9) 表 21:対外的生成目的・CL-1 の重回帰分析結果(数値) 相関係数(R)=0.765. 決定係数(R²)=0.586. 平方和. 自由度. 平均平方. 回帰. 27.418. 6. 4.570. 残差. 19.391. 40. 0.485. 合計. 46.809. 46. 偏回帰. 標準誤差. 係数 切片(定数) [きっかけ]外部か らの提案 [きっかけ]イベント や事業の一環 [きっかけ]組織内 トップによる指示. 表 22:対内的生成目的・CL-1 の重回帰分析結果(数値). 1.364. 標準回帰. 相関係数(R)=0.712 F値 9.426. t値. 有意確率 b***. 0.000. 自由度. 平均平方. 回帰. 11.060. 5. 2.212. 残差. 10.750. 15. 0.717. 合計. 21.810. 20. 有意確率. 偏回帰. 係数 0.210. 決定係数(R²)=0.507. 平方和. 標準誤差. 係数 6.496. 0.000 ***. -1.333. 0.449. -0.327. -2.967. 0.005. 1.636. 0.313. 0.645. 5.229. 0.000*** ***. 2.714. 0.744. 0.392. 3.647. 0.001. [作り手] 職員による内製. -0.078. 0.337. -0.029. -0.231. 0.818. [作り手] 専門家への外注. 0.970. 0.291. 0.453. 3.337. 0.002***. [作り手] 個人の自主制作. -0.114. 0.407. -0.032. -0.28. 0.781. 切片(定数) [きっかけ]イベント や事業の一環 [作り手] 専門家への外注 [決定方法] 専門家による審査 [決定方法]複数関 係者の合同や委員 会による審査 [決定方法] 職員による投票. 標準回帰. F値. 有意確率 0.041b**. 3.086. t値. 有意確率. 係数. 1.250. 0.299. 4.176. 0.001. 0.750. 0.518. 0.289. 1.447. 0.169**. 0.250. 0.669. 0.086. 0.374. 0.714. 1.000. 0.518. 0.385. 1.929. 0.073. 1.750. 0.669. 0.504. 2.615. 0.020**. 2.500. 1.037. 0.522. 2.411. 0.029**. *** = p <0.001 ** = p <0.05. *** = p <0.001 ** = p <0.05. この結果から、「対外的生成目的」では、従属変数「生成目 的に対する効果の度合い」を y とし、「[きっかけ]外部からの. 5.分析結果の考察 分析結果を以下のとおりまとめる。. 提案」を x1、「[きっかけ]イベントや事業の一環」を x2、「[き 「[作り手]職員による っかけ]組織内トップによる指示」を x3、. (1) 「対外的生成目的」を持つご当地キャラクターでは、CL-1. 内製」を x4、「[作り手]専門家による外注」を x5、「[作り手]. 「内部制作・内部決定タイプ」の生成過程を実施する場合、. 個 人 に よ る 自 主 制 作 」 を x6 と し た 場 合 、 重 回 帰 式. 「組織内トップからの指示」によるきっかけは、生成目的に. y=1.364-1.333x1+1.636x2+2.714x3-0.078x4+0.97x5-0.114x6 によ って「生成目的に対する効果の度合い」と「生成過程」との関. 対する効果に有意な影響を与える生成過程である。 (2) 「対内的生成目的」を持つご当地キャラクターで CL-1「プ. 連性について、59%程度の説明をすることができる。なかでも. ロ・アマ制作・職員決定タイプ」の生成過程を実施する場合、. 「[きっかけ]イベントや事業の一環」、 「[きっかけ]組織内トッ. 「職員による投票」での決定は、生成目的に対する効果に有. プによる指示」及び「[作り手]専門家による外注」は正の影響. 意な影響を与える生成過程である。. を持ち、 「[きっかけ]外部からの提案」は負の影響を持つ独立 変数であり、いずれも p<.005(0.5%水準)で有意であった。 そして、最も有意な影響が大きいのは「[きっかけ]組織内トッ プによる指示」となった。. この2つの分析結果をフローチャートにしたものが、図 10 である。 「地域のイメージアップをおこないたい」や「観光客を増や. 「対内的生成目的」では、従属変数「生成目的に対する効果. したい」などの地域外に効果を期待する「対外的生成目的」の. の度合い」を y とし、「[きっかけ]イベントや事業の一環」を. 場合、自治体やまちづくり団体などの幹部らによってご当地キ. x1、「[作り手]専門家による外注」を x2、「[決定方法]専門家に. ャラクターを生成しようという声かけがあり、それに従って職. よる審査」を x3、「[決定方法]複数関係者の合同や委員会によ. 員やメンバーらが動いていくこと、つまりリーダーシップがあ. 「[決定方法]職員による投票」を x5 とした場合、 る審査」を x4、. る組織体系のなかで、生成過程や対外的な活用への計画が勢い. 重回帰式 y=1.25+0.75x1+0.25x2+x3+1.75x4+2.5x5 によって、. をもって進行することで、組織内のモチベーションの継続が推. 「生成目的に対する効果の度合い」と「生成過程」の関連性に. 考できる。. ついて 51%程度の説明をすることができる。すべての独立変数. 一方、「地域住民の郷土愛を深めたい」や「地域住民に歴史. は正の影響を持っており、なかでも「[きっかけ]イベントや事. や文化などの地域資源を再発見してほしい」などの地域内に効. 業の一環」、 「[決定方法]複数関係者の合同や委員会による審査」 、. 果を期待する「対内的生成目的」の場合、ご当地キャラクター. 「[決定方法]職員による投票」は、いずれも p<.005(0.5%水. の運営を担う人などの地域を理解する関係者が決定に参加する. 準)で有意であった。そして、最も有意な影響が大きいのは「[決. ことが効果に結びつくようである。投票によって各自の意見を. 定方法]職員による投票」となった。. 取り入れたうえで決定が成されることにより、愛着が湧き、そ. デザイン学研究 B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021. 9. 77.
(10) 図10:CL-1 生成目的に対する効果と生成過程の関連. の後の地域内での活用にもつながることが考えられる。また、 どちらの目的群においても効果にプラス影響となる「専門家に よる外注」では、専門家によってキャラクターの生成目的のも とにあらゆる PR の場面を想定して制作される場合が多いため、 活用しやすいデザインであることが考えられる。. 5)藤崎由真,井上博行:地域プロモーションのためのご当地 キャラクターの印象空間分析,第 33 回ファジィシステムシ ンポジウム講演論文集,283-288,2017 6)日本ご当地キャラクター協会:2014 全国ご当地キャラクタ. ー名鑑&パーフェクト DATA BOOK,ベースボールマガジン 社,2014 7)ゆるキャラ®グランプリ実行委員会:ゆるキャラグランプ. 6.結語 本研究では、多様なご当地キャラクターの生成過程を、数量 化Ⅲ類とクラスター分析による類型化によって、生成過程のな かでも「作り手と決定方法に関わる人」に着目する分類を導き. リ 2019 official website,https://www.yurugp.jp/jp/(参 照日 2019 年 6 月 25 日) 8)坂口香代子:ゆるキャラ『ひこにゃん』のまち彦根(滋賀. 出した。また、重回帰分析の結果から、目的群ごとに CL-1 の. 県彦根市)地域資源のブラッシュアップを土台に新たな “宝”. 場合の生成目的に対する効果に影響のある生成過程を確認する. を生み出す地方自治体の挑戦,中部圏究,178,95-107,2013. ことができた。しかし、今回の分析結果からは、いずれの目的. 9)日本銀行熊本支店:調査レポートくまモンの経済,2013,. 群も CL-2 以降の場合については効果に影響のある生成過程に. https://www3.boj.or.jp/kumamoto/tokubetsu_chosa/2013. ついての結果を得ることができなかった。さまざまな生成過程. メージと特性の比較研究,首都大学東京・東京都立大学心理. 1226kumamon.pdf(閲覧日 2020 年 1 月 20 日) 10)東京市町村自治体調査:ご当地キャラクターの活用に関す る調査研究報告書, https://www.tama-100.or.jp/cmsfiles/contents/0000000 /466/zentai.pdf(閲覧日 2020 年 8 月 5 日) 11)内閣府:みんなで育てる地域のチカラ地域創生, https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/(閲覧日 2020 年 4 月 27 日) 12)世界キャラクターさみっと in 羽生実行委員会:世界キャ ラクターさみっと in 羽生公式サイト, https://gotouchi-chara.jp/hanyu2019/index.html(閲覧 日 2019 年 10 月 25 日) 13)時事通信社:時事ドットコム, https://www.jiji.com/jc/movie?p=j000564(閲覧日 2019 年 10 月 25 日) 14)辻幸恵:キャラクターに関する嗜好度,神戸国際大学経済 経営論集,32(2),1-20,2012 15)部矢祥子:調査・研究対象としてのゆるキャラ・ご当地キ ャラクター,国文学論叢,63,54-76,2018 16)寺島拓幸,廣瀬毅士:SPSS によるアンケート分析,東京図 書,2016 17)中央大学人文学部心理学科小塩研究室:心理データ解析 B,http://psy.isc.chubu.ac.jp/~oshiolab/teaching_folder/data kaiseki_folder/top_kaiseki.html(閲覧日 2020 年3 月20 日). 学研究,22,21-30,2012. 18)足立浩平:多変量データ解析法,ナカニシヤ出版,2006. の場合での効果への影響についても考察することで、体系的な 結論に結び付くことができると考える。 今後は、生成過程タイプごとの事例調査や、発表時期、地域 の特色との関連性の考察などによって質的研究を進めることに より、多様な生成目的に効果的な生成過程を導き出し、観光振 興や地域内の結束などの目的を持つ各地域の象徴的造形の生成 と、今後の継続的な活用への一助となることを目指したい。. 注および参考文献 1)青木貞茂:キャラクターパワー ゆるキャラから国家ブラ. ンディングまで,NHK 出版,63-64,2014 2)山村高義:ご当地キャラクターの背景にあるもの,都市問 題,18-22,2014 3)荒木長照:ご当地キャラクターの特微量としてのパーソナ リティ・イメージ,大阪府立大学経済研究,60(3・4),1-20,2015 4)伊藤紗也香:ご当地キャラクターにおけるキャラクターイ. 10 78. B U L L E T I N O F JS S D Vol. 67 No. 4. 2021 デザイン学研究.
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