に つ い て の 予 見
谷本文城 梨本道子
Application
of Friction
Meter
for the Evaluation
of Cosmetic
Effects
on Human
Skin
Humiki
Tanimoto,
Michiko
Nashimoto
Abstract-It
is necessary
in the evaluation
of cosmetic products
to get the user's tac
tile impression
directly
and objectively. The measurement
of the friction on human skin su
rfaces, which may be one of methods to get the user's tactile impression
directtly
and ob
iectively, is important
in the objective evaluation
of cosmetic products.
Frictional
measurements
on the human skin surfaces were carried out on 12 subjects
be
fore and after the application
of an emollient cream.
Seasonal change, individual differen
ces and the use of a toilet soap were found to affect the fricttion
on the human skin sur
faces.
The frictional
characteristic
of the human skin surfaces after the application of an
emollient cream was found to relate with the sensory attribute
and also with the composi
tion of oil phase in formulary
of cream.
It was interesting
to find that the frictional
characteristic
of the skin after an application
of an emollient cream in the early winter corresponded
to that of the bare skin in summer,
and also that the difference
of preference
for the emollient creams
related to the tendency
of individual differrences
of the friction values of the bare skin.
(株) 小 林 コ ー セ ー研 究 所, 東 京 都 北 区 栄 町48-18 Research Laboratory, KOBAYASHI KOSE Co., Ltd., 48-18 Sakaecho, Kitaku, Tokyo
1. 緒 言 健 康 な皮 膚 は, 角 層 中 で脂 質 と水 分 が あ る一 定 量 に 保 た れ て お り, 表 面 は潤 い, 滑 らか で 美 し くみ え る。 「皮 膚 をす ごや か に 保つ 」 は, 化粧 品 の 定 義 の 一 つ で もあ り, 基 礎 化 粧 品使 用 者 の使 用 意識 とい って も よい で あ ろ う。 そ して化 粧 品 使用 者 は, 視 覚 的 に か つ 触 覚 的 に 判 断 して何 らか の満 足 感 を得 る もの と思 わ れ る。 皮 膚 の フ リ ク シ ョ ンを測 定 す るこ とは, 使用 者 の 触 覚 的 な判 断 を 直 接, 客 観 的 に捕 え る一 つ の方 法 と して 意 義 あ る もの と考 え る。 す で にJ. K. Prall1) は, 皮 膚 の滑 らか さ の 物 理 的 要 素 を 測 定 す る た め の機 器 を考 案 し, そ れ らを用 い, 皮 膚 の 感 覚 的 な滑 らか さ に 関 す る重 回 帰 式 を導 い て い る。 本 研 究 は, 機 器 特 性 と して の皮 膚 の フ リク シ ョン特 性 が, 肌 の 状 態 と ど う関 連 す るの か, 化 粧 品 を 塗 布 した 場 合 に 官 能 的 判 断 と ど う結 び つ くの か に つ い て 試 み た もの で あ り, い くつ か の 知 見 が 得 られ た ので こ こに 報 告 す る。 2. 実 験 2・1 機 器 測 定 2・1・1 測 定 方 法 フ リク シ ョン メ ー タ ー注1) の 摩 擦 検 出 部 注2) を 測 定 部 位 に一 定 荷 重 注3) で 接 触 させ, 一 定 回 転 速 度 注4) で 回 転 させ た と き の トル クを 測 定 値 とす る。 (Fig.-1) 測 定 は, 被 験 者1名 に つ き1時 間20分 お き注5) に 討3 度 行 な い, 1度 に つ き左 右 の 部 位 そ れ ぞ れ4回 (荷 重25 と50で2回 ず つ) の く り返 し測 定 を 行 な った 。 注1) (株) タ ケ トモ製 作 注2) 直 径10mm, エ ッ ジ を丸 めた 円 盤 状, 金 属 製 注3) 荷 重 は装 置 の 機 構 上 直 接 に検 出 で きなか った の で, 荷 重 の 外 部 標 準 と して, ハ ー ドネ ス テス タ ー を採 用 し, 指針0か ら25ま で, お よ び0か 23
ら50ま で に 制 御 し た (キ ャ リ ブ レ ー シ ョ ン の 結 果, 220gr. お よ び440gr. に 相 当 す る。 以 下 荷 重25, 荷 重50と 称 す)。 注4) 25rpm. 注5) 1名 に つ き約10分 の 測 定 時 間 を 要 す る の で, 実 験 の 都 合 上 算 出 さ れ た 値 で あ る 。 2・1・2 被 験 者 コー セ ー高 等 美 容 学 校 の生 徒12名 を 対 象 と した 。 Aグ ル ー プ (男 子2名, 18∼20才: 女 子4名, 17∼19才) お よびBグ ル ー プ (男 子1名, 20才: 女 子5 名, 17∼19才, 32才) 2・1・3 サ ン プル 栄 養 ク リー ム4品 (A, B, C, D). 塗 布 方 法: 一 定 容 量 を一 定 面 積 に一 定 塗 布 動 作 で塗 布 す る。 こ の と き の塗 布 膜 厚8) は 概 算 で11∼12μ と な る。 2・1・4 測 定 部 位 左 前 腕 屈 側 (素 肌 お よび サ ン プル 塗 布肌 の測 定) お よび右 前腕 屈 側 (素肌 の 測定) で 測 定 を 行 な っ た。 2・1・5 測 定 期 間 お よび 測 定 室 の 気 象 条 件 被 験 者 は6 名 ず つ のA, B2グ ル ー プに 分 か れ, S. 51. 6月 ∼S. 51. 12月 (8月 を除 く) ま で, ほぼ1週 間 ご とに, 各 グ ル ー プが1週 交 代 で測 定 を行 な っ た 。 測 定 室 の環 境 は, 温 熱 性 発 汗 が な い よ うに, 温 度 につ い て の み20∼24.5℃ に制 御 した 。 相 対 湿 度 は35∼86% で あ った 。 2・2 官能 検査 2・2・1 検 査 方法 シ ェ ッ フ ェの一 対 比 較 法 変 形3 (中 屋 の変 法) に よ り, 塗 布 中 お よび 塗 布 直 後 の 評 価5項 目, 塗 布1時 間20分 後 の評 価6項 目お よび 塗 布2時 間40 分 後 の 評 価9項 目 につ い て, 左 右 の 手 の 甲を 使 用 部 位 と し, 指 先 また は 手 の 腹 との 触 感 に よっ て, 前 記 の 栄 養 ク リ ー ム4品 に 対 す る感 覚 的 判 断 を, 5段 階尺 度 で 行 な った 。 2・2・2 被験 者 お よび 検査 期 間 前 記12名 の被 験 者 につ い て は, S. 51. 9月 ∼S. 51. 12月 にわ た り, 機 器 測 定 と 同 時 に行 ない, そ れ に加 えて, 専 門 家 パ ネル 女 子2名 は S. 52. 2月 に 行 な った 。
Fig.-1
Aapparatus
for measuring
the fri
ction on human skin surfaces .
(A; Hardness
tester,
B; Friction
detector,
C; Box for settling
the
forearm,
D; Laboratory
Jack, E;
Friction
Meter,
F; Recorder)
Fig.-2
The seasonal changes of the friction
on human skin. (Load; 25)
, and the
seasonal change of air temperature
in Tokyo
Fig.-3
The seasonal change of the friction
on human skin. (Load; 50)
3. 結 果 お よ び 考 察 3・1 素 肌 の フ リク シ ョン特 性 3・1・1 季 節 的 変 化 女 子 に つ い て, 測 定 日 ご とに 素 肌 (右 前腕 屈側) の フ リクシ ョ ン測定 値 の平 均 を 求 め た 。 (Fig .-2, Fig.-3) グル ー プの 年 齢 構 成 が 若 干 異 な って い る ので , グル ー プに よ り変 化 度 合 に 多 少 差 が み られ るが, 概 して , 6月 か ら9月 上 旬 ま で は フ リク シ ョ ン値 は 高 く, 9月 下旬か ら12月 ま で は低 く, 7月 が最 も高 く, 最 も低 い11月 の約 2倍 に達 して お り, 有 意 な季 節 的 変 動 が 認 め られ た。 一 般 に , 外界の気温の変化 に伴 って皮膚温 も季節的変 動 を 示 す と言 わ れ て お り2), さ らに そ れ に 伴 って 皮 脂 排 出量 に も季 節 的 変 化 が あ る と言 わ れ て お り3), こ こに み られ る素 肌 の フ リクシ ョ ン値 の季 節 的 変 化 は, そ れ と傾 向 を共 にす る もの で あ る と予 想 され る。 24
合 わせ て, 気 象庁 観 測 に よ る東 京 都 の気 象 (日平 均) を 示 す 。 (Fig.-4) 3・1・2 個 人 差 (性 差 お よび 年 齢 差) 素 肌 (右 前 腕 屈 側) に つ い て 被 験 者 各 人 ご と に, フ リ ク シ ョン測 定 値 の 季 節 的 変 動 の 小 さい9月 下 旬 (9/22) か ら12月 (12/9) ま で の フ リク シ ョン 測 定 値 の 平 均 を 求 め た 。 (Fig.-5) 男 子 は 女 子 よ りも フ リク シ ョン値 は 高 く, 男 子 間 には 顕 著 な 個 人 差 が み られ る。 女 子 の 間 で も個 人 差 が 一 部 み られ る。 概 して, 年 齢 の 高 い 人 は, 思 春 期 (16∼18才 頃) の 女 性 に 比 べ る と, フ リク シ ョン値 は 低 い 傾 向に あ り, 既 婚 者 で 最年 長 者 が 最 も低 い 値 とな って い る。 この よ うに, 個 人差 と と もに, 有 意 な 性 差, お よび 年 齢 差 の傾 向 が 認 め られ た 。 こ れ は, 一 般 に言 われ て い る3) 皮 脂排 出量 の年 齢 お よび 性差 の傾 向 に 一 致 す る もの で あ る と思 わ れ る。 3・1・3 化 粧 石 け ん 使用 後 の素 肌 の フ リク シ ョン変 化 Bグ ル ー プ女 子5名 につ い て, 化粧 石 け ん 使用 後 の 一 定 経 過 時 間 ご とに, 素 肌 (左前 腕 屈 側) の フ リクシ ョ ン 測 定 値 の平 均 を求 め た。 (Fig.-6) 30秒 間 化 粧 石 け ん で 泡 立 て た 後, 30秒 間 水 道 水 で 洗 い 落 と し, タオ ル で 軽 く水 気 を拭 き取 って か ら5分 後 に 測 定 を 開 始 した 。 5分 後 に は, フ リク シ ョン値 は 非 常 に 高 い 値 を 示 し, そ の 後 秒 き ざ み に値 は 急激 に 減 少 して い き, 1時 間 後 に は, 平 常 肌 よ り も有 意 に低 い値 を 示 し, 2時 間30分 後 に は, 値 は平 常 肌 の値 に近 づ く。 こ こ にみ られ る変 化 は, J. K. Prall1) の 実験 結 果 とほ ぼ 同 じ傾 向を 示 し, ま た, 湿 っ た肌 の フ リクシ ョ ンの値 は非 常 に高 く, か さつ い た肌 で は正 常 肌 に比 べ て低 い値 を 示 す とい うA. F. EL-SHIMI4) の 報 告 と一 致 す る。 そ して, こ こ にみ られ る変 化 は, 水 分 に よ る湿 った 状 態 の肌 か ら, 水 分 蒸 発 の過 程 を 経 て, 石 け ん に よ り脱 脂 され た 状 態 の, いわ ゆ るか さつ い た状 態 の肌 へ の変 化, さ らに, 時 間 経 過 に伴 う皮 脂 の再 分 泌 の過 程 へ の変 化 で あ る と解 釈 で き る。 以 上, 季 節 的 変 化, 個 人 差 の傾 向, 化 粧 石 け ん 使 用 後 の 変 化 の3つ の観 点 か ら, 本 実 験 にお け る素 肌 の フ リク シ ョン特 性 は, 皮 膚 表 面 の 皮 脂 量 に 関 係 が あ る こ とが 推 察 され る。
Fig.-4 The seasonal change of climate in Tokyo.
Fig.-5 The individual differences of the friction on human skin with diffe
rences in age and between the sexes.
Fig.-6
The effect of a toilet
soap on the
friction of human skin (after washing
with a toilet soap for 30 seconds,
followed by rinsing for 30 seconds).
3・2 ク リー ム 塗 布肌 の フ リク シ ョ ン特 性 各 サ ン プル に つ い て, ク リー ム塗 布 肌 (左 前 腕 屈 側) の ク リー ム塗 布 前 の 素肌 に対 す る フ リク シ シ ョン測 定値 の比 を とっ て, 各 経 過時 間 ご とに そ の 平均 を 求 め た 。 (Fig.-7) 塗 布5分 後 は, 各 サ ン プル塗 布 肌 は 素肌 の2∼4倍 で あ り, C∼D>B>Aな る関係 に あ る (有 意 水 準5%)。 塗 布80分 後 は, 各 サ ンプ ル塗 布 肌 は素 肌 の1.8∼2.8倍 の間 に あ り, C>Aの 関 係 が い え る (有 意水 準5%)。 塗 布160分 後 で は, 各 サ ンプ ル塗 布 肌 は素 肌 の1.8倍 前 後 にか た ま り, サ ンプ ル間 には もは や 有 意 な差 が あ る 25
とは い え な くな る (有意 水 準5%)。 3・3 サ ン プ ル の 官能 的 評 価 各 評 価 項 目 ご とに, (αi-αj) 〔:サ ン プ ルiとjに 対 す る平 均 嗜 好 度 の差 〕 の95%信 頼 区 間 か ら導 か れ た サ ン プル の大 小 関 係 の 結 果 を ま とめ てTable-1に 示 す 。 全 体 的 に 見 た 場 合, 塗 布 後 時 間 が経 過 す る につ れ て, サ ン プル 間 に そ れ 程 大 きな 差 は な くな り, 肌 の状 態 の官 能 的 評 価 も困 難 に な る もの と思 わ れ る。 しか し, 塗 布2 時 間40分 後 で も, “水 で 洗 い お とす と き, き しき しす る (又 は, ぬ るぬ るす る)” の官 能 的評 価 は, パ ネ ル相 互 間 の 判 断 の 一 致 も あ り, サ ン プル の 差 の検 出は 容 易 で あ る よ うで あ る。 消 費 者 が よ く使 用 す る用 語 で あ り, 栄 養 ク リー ム に対 す る嗜 好 と相 関 が 高 い 項 目の一 つ で もあ る, “肌 が しっ と りす る” の評 価 項 目につ い て は, 塗 布1時 間20分 後 以 降 は, 専 門 家 パ ネル 相 互 間 で もサ ン プ ル に対 す る評 価 が 異 な って お り, “しっ と り感 ” の 官 能 的 な観 念 に対 す る肌 質 の 影 響 が 一 つ と して 考 え られ る。 塗 布2時 間40分 後時 点 の “総 合 的 な嗜 好 ” で は, パ ネ ル相 互 間 で は っ き り と嗜好 の差 が み られ た 。 7対3の 離 合 で, さ っ ぱ りタ イ プ嗜好 と リッチ タ イ プ嗜 好 とに わ か れ た 。
Fig.-7 The variations of the friction ratios between the samples
Table-1 Synopsis of the results of
sensory evaluation (n=10)
Fig. -8 The correlation between the fric tional characteristic of the skin at the point 5 minutes after the application of a sample and the
sensory attribute
Fig. -9 The correlation between the fric tional characteristic of the skin being applied of a sample and the
sensory attribute at the point 80 minutes after the application of a sample 3・4 ク リー ム 塗布 肌 の フ リク シ ョ ン特 性 と 官能 的評 価 と の 対 応 ク リー ム塗 布 肌 の フ リクシ ョ ン特 性 が何 で あ るの か を わ か りや す くす るた め に, 官 能 的評 価 との対 応 を 試 み た 。 フ リク シ ョ ン特 性 の物 性値 と して は, サ ン プル 塗 布 肌 の 塗 布 前 の 素 肌 に対 す る フ リクシ ョン測 定 値 の 比 の値 (フ リク シ ョン比) を用 い, 官 能特 性 の 官 能 値 と して は, αi (: サ ンプ ルiに 対 す る平 均 嗜 好 度) を 用 い て, 物 性 値 と官 能 値 との 相 関 係 数 を 求 め, 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 0.95以 上 の もの (*印 で 示 す) を 相 関 が あ る 傾 向 に あ る と考 え た 。 対 応 関 係 図 をFig.-8∼Fig.-11に 示 す 。
塗 布5分 後 で は, フ リク シ ョ ン物 性 特 性 は, 官 能 特 性 の “の び が ま ろ や か ” と負 の 相 関 が 高 か った 。 さ らに, 塗 布2時 間40分 後 時 点 の官 能 評 価 で の “水 で洗 い お とす と き, き しき しす る ” と正 の 相 関 が 高 く, “水 で洗 い お とす とき, ぬ る ぬ るす る ” と負 の相 関 が 高 か った 。 塗 布1時 間20分 後 で は, 有 意 な対 応 関 係 は 得 られ な か っ た。 塗 布2時 間40分 後 で は, 物 性, 官 能 と もに サ ン プル 間 に大 きな差 は な くな り, 統 計 的 に 差 が な い と こ ろで の 相 関 とい うこ とに な るが, プ リク シ ョン物 性 特 性 は, 官 能 特 性 の “べ とつ く” と正 の相 関 が 高 く, “す べ す べ して い る” と負 の相 関 が 高 か った 。 “総合 的 な 嗜 好 ” は, 塗 布5分 後, 塗 布1時 間20分 後 の フ リク シ ョ ン物 性 特 性 と比 較 的相 関 が高 い こ とがわ か る。 さ らに, サ ン プル の 処 方上 の 油 分 構 成 と フ リク シ ョン 物 性 特 性 との関 係 につ い て検 討 して み る と, 塗 布5分 後 の フ リクシ ョ ン物 性特 性 は, 油 系 に 占 め る固形 油 お よび 半 固 形 油 の 含量%と 正 の相 関 が 高 く, 塗 布2時 間40分 後 で は, 油 系 含 量 と正 の 相 関 が 高 い こ とが 得 られ た 。 これ よ り, 肌 に ク リー ムが 塗 布 され た 直 後 の フ リク シ ョ ン特 性 は, す べ りにお け る抵 抗 感 で あ り, あ る程 度 時 間 が 経 過 してか らの ク リー ム塗 布 肌 の フ リクシ ョ ン特 性 は, 粘 着 感 に 関係 す る もの で あ る と解 釈 され 得 る。 4. 総 括 ① 素 肌 に 関 す る フ リク シ ョン特 性 は, 発 汗 が な い (皮 膚 表 面 が 水 分 で 湿 って い な い) 状 態 で は, 皮 膚 表 面 の 皮 脂 量 に 対 応 す る もの で あ る と考 え られ る。 ② ク リー ム塗 布 肌 に関 す る フ リク シ ョ ン特 性 は, 塗 布 時 は “の び が ま ろ や か ”, 一 定 時 間 経 過 後 は “べ とつ く← →す べ す べ して い る” の官 能 特 性 と対 応 関 係 が み ら れ, さ らに サ ン プル の油 分 構 成 に 関 係す る。 ③ 興 味 あ る こ と と して, 初 冬 の素 肌 (前腕 屈 側 に お い て で は あ るが) に ク リー ムを塗 布 した 状 態 が 夏 の 素 肌 に ほ ぼ相 当 す る こ と, 又, 皮 脂 排 出 量 に 個 人差 が み られ る よ うに, 栄 養 ク リー ムに 対 す る嗜 好 の 差 も, 素肌 の フ リク シ ョン測 定 値 の 個 人 差 の 傾 向 に 従 って 現 わ れ た こ と 等 が あ る。 本 研 究 で は, 素 肌 に関 す る フ リク シ ョ ン特 性 で, 有 意 な個 人差 お よび季 節 的 変化 が 認 め られ た の で, 官 能 的評 価 に お け る個 人差 お よび季 節 的 嗜 好差 の 一 方 面 か らの解 明 に, フ リク シ ョン機 器 が 寄 与 す る 可 能 性 が 期 待 され る。 そ して, 今 後 の課 題 と して, 被 験 者 数, サ ン プル 数, 装 置 の荷 重 検 出機構, 測 定 部 位 等 の改 良 を 検 討 した い 。
Fig.-10 The correlation between the fric tional characteristic of the skin being applied of a sample and the sensory attribute at the point 160 minutes after the application of a
sample
Fig.-11 The correlation between the fric tional characteristic of the skin being applied of a sample and the "synthetic preference" of the sen sory sttribute
参
考
文
献
1) J. K. Prall, J. Soc. Cosm. Chem., 24, 693
(1973)
2) 安 田 利 顕, 西 山 茂 夫, 石 川 英 一, 森 俊 二, “皮 膚 科 検 査 ” p. 142, (1973) 金 原 出版 株 式 会 社 3) 樋 口謙 太 郎, “皮 膚 科学 特 論 ” p. 74∼75, (1969)
南 山堂
4)
A. F. EL-SHIMI, J. Soc. Cosm. Chem., 28, 37
(1977)
5) 猪 飼 公 郎, 椙 山 勇, 新 田 初 雄, 名 市 大 医 誌, 11, 482-486 (1960)
6) 猪 飼 公 郎, 椙 江 勇, 新 田 初 雄, 名 市 大 医 誌, 11, 863-866 (1960)
7) 椙 江 勇, 名 市 大 市 医 誌, 12, 1289-1296 (1962)
