Title
学校からの逃走
Author(s)
大城, 冝武
Citation
沖縄キリスト教学院大学論集 = Okinawa Christian
University Review(8): 73-79
Issue Date
2011-12-22
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/9556
学 校 か ら の 逃 走
大 城 宜 武
要 旨 本 研 究 の 目 的 は 、 中 学 生 の 学 校 適 応 に つ い て 、 学 校 要 因 を 中 心 に 検 討 す る こ と で あ る 。 沖 縄 県 内 の 3つの中学校の生徒男女1093人から得られたデータを分析した。 カテゴリカル回帰分析を施した結果,次の点が明らかになった。 a.いじめがあることは、学校適応の抑制要因である。 b・校則が厳しいことは、学校適応の抑制要因である。 c相談しやすい先生がいることは、学校適応の促進要因である。 は じ め に 文部科学省は、平成19年度の長期欠席者の児童生徒 数について、「対前年度比16.4パーセント増の合計19 万9千人」と広報している。さらに「不登校」を理由 とする児童生徒数は「中学校」10万5千人(対前年度 比2.2%増)」と広報している(ホームページ①参照)。 古市・玉木(1994)は、中学生における学校生活の 楽しさとその規定要因について調査研究し、学校の楽 しさの規定要因を、級友適応、教師適応、学業適応、 家族適応の側面から検討している。 高旗・北神・平井(1996)は、登校している生徒の 「向授業‘性(『授業回避の感‘清」を含む)中学生の「向 学校‘性」について調査研究し、「授業肯定因子」「集 中‘性因子」「授業回避因子」を抽出した。各因子につ いて女子のスコアが高かった。また、学年間比較では、 学年上昇に伴い事態は悪化するようであった。部活参 加者が非参加者より授業肯定的であり、授業回避に否 定的であった。「問題は、不登校ではない。学校や授 業への否定的な態度を持つ者の割合の多さである。も っと多くの生徒たちが、授業や学校に対して希望や喜 びや積極'性を持つことできるように学校を改善するこ とは、社会全体の課題であるといえよう。」と主張し ている。 本研究の目的は、中学生の学校適応について、学校 要因を中心に検討することである。 方 法 (1)調査対象:沖縄県3中学校生男女である。1093 件の調査票が回収された。内訳分けを表lに掲げ る。 表 1 調 査 協 力 者 内 訳 学年 1年 2年 3生 合 計 男 子 169 229 186 584 女 子 158 173 173 504 不 明 2 1 2 5 合 計 329 403 361 1093 (2)調査項目:中学生の日常生活意識を捉えるために 34設問から構成されるアンケート用紙を用いた。 学校適応については「学校をやめたいと,思う」頻 度1.しばしば、2.時々、3.ない)を用いた。 学校要因は、表2に掲げる15項目(ある、ない) である。 (3)調査の実施:2007年5月から7月。 (4)データ処理:PASWStatistics18を使用し、カテゴ リカル回帰分析を行った。 結 果 l 概 要 学年・‘性を一括した場合の「学校をやめたいと思う」 に対するカテゴリカル回帰分析の結果は表2に掲げた 通りである。R=.431^=.186p=.000となった。 各説明項目の係数および有意水準は表2に掲げた通り で あ る 。 係 数 値 の 符 号 が 正 の 場 合 は 「 学 校 を や め た い と,思う」と正の関連があり、負であれば逆の関係にあ ることを意味する。 ⑧「校則がきびしい」、⑮「いじめがある」の2項 目がプラスの有意な関係となっている。学校からの逃 走に有意に抑制的働くのは③「遅刻欠席がない」、⑭ 「相談しやすい先生がいる」、⑤「授業さぼらない」、沖縄キリスト教学院大学論集第8号(2011 表 2 「 学 校 を や め た い 」 に 対 す る 説 明 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 ( β ) お よ び 有 意 水 準 D (全体) N=1072 表 4 「 学 校 を や め た い 」 に 対 す る 説 明 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 (β)および有意水準(D (女子) N=499 有 意 確 率 (p) 有意確率 (p) ベ ー タ (β) ベ ー タ (β) 項目 項目 ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある
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表 5 「 学 校 を や め た い 」 に 対 す る 説 明 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 (β)および有意水準(D (1年生) N=323 表3「学校をやめたい」に対する説明変数の標準回帰係数 (β)および有意水準(p (男子) N=568 有意確率 ベータ(j8)(p) 有 意 確 率 (p) ベータ (β) 項目 項目 ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある027432315142115572422810235428
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、441 .256 .869 .002 .118 .105 .298 .035 .934 .673 .012 .308 .458 .016 .017 ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある469397972722562328614503084014
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2 男 女 別 の 分 析 データを男女別に分析する。 2.1男子の場合 カテゴリカル回帰分析を施したところ、R=433、R> =.187、p=.000となった。 標準回帰係数(β)を表3に掲げた。係数が有意に なったのは15項目中6項目である。学校からの逃走 ④「下校時寄り道しない」、①「部活動に参加」であ る。⑫「世間の評判が良い」は、有意な傾向を示して いる(p<.06)。 ベータが有意にならなかった項目のうち、⑥「先生 とふざけることがある」、②「先生と個人的にも話す」、 ⑬「尊敬できる先生がいる」の3項目はいずれも教員 要因である。大 城 宜 武 : 学 校 か ら の 逃 走 表7「学校をやめたい」に対する説明変数の標準回帰係数 (β)および有意水準p) (3年生) N=349 表 6 「 学 校 を や め た い 」 に 対 す る 説 明 変 数 の 標 準 回 帰 係 数 (β)および有意水準p (2年生) N=400 有意確率 (p) ベ ー タ (β) 有 意 確 率(p) ベ ー タ (β) 項目 項目 ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある
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を 促 進 す る の は ⑧ 「 校 則 が 厳 し い 」 と ⑮ 「 い じ め が ある」である。学校からの逃走に抑制的に働くのは、 ⑤「授業をさぼらない」、⑭「相談しやすい先生がい る」、③「遅刻・欠席なし」、⑪「雰囲気明るい」で ある。 す る の は ⑮ 「 い じ め が あ る 」 と ⑧ 「 校 則 が 厳 し い 」 である。学校からの逃走に抑制的に働くのは、④「下 校時に寄り道しない」、⑪「雰囲気明るい」、⑭「相 談しやすい先生がいる」である。 3.22年生の場合 カテゴリカル回帰分析を施したところ、R=421、R> =.177、p=.000となった。 標準回帰係数(β)を表6に掲げた。係数が有意にな ったのは15項目中4項目である。学校からの逃走を促進 するのは、⑧「校則が厳しい」と⑮「いじめがある」 である。学校からの逃走に抑制的に働くのは、③「遅 刻・欠席なし」、④「下校時に寄り道しない」である。 2.2女子の場合 カテゴリカル回帰分析を施したところ、R=.464、R* =.215、p=.000となった。 標準回帰係数(β)を表4に掲げた。係数が有意になっ たのは15項目中6項目である。学校からの逃走を促進す る の は ⑮ 「 い じ め が あ る 」 と ⑧ 「 校 則 が 厳 し い 」 である。学校からの逃走に抑制的に働くのは、③「遅 刻・欠席なし」、⑭「相談しやすい先生がいる」、④ 「下校時に寄り道しない」、⑤「授業をさぼらない」 である。 3.33年生の場合 カテゴリカル回帰分析を施したところ、R=.502、R* =、252,p=.000となった。 標準回帰係数(β)を表7に掲げた。係数が有意にな ったのは15項目中6項目である。学校からの逃走を促進 するのは、⑧「校則が厳しい」と⑮「いじめがある」 で あ る 。 学 校 か ら の 逃 走 に 抑 制 的 に 働 く の は ③ 「 遅 刻・欠席なし」、⑭「相談しやすい先生がいる」、⑤ 「授業をさぼらない」、①「部活動に参加」、⑫「世 間の評判がよい」である。 3.学年別の分析 3.11年生の場合 カテゴリカル回帰分析を施したところ、R=.452、R* =、204、p=.000となった。 標準回帰係数(β)を表5に掲げた。係数が有意にな ったのは15項目中5項目である。学校からの逃走を促進沖縄キリスト教学院大学論集第8号(2011) 表8カテゴリカル回帰分析において項目毎の有意となった標準回帰係数(β) 項目 全 体 男 子 女 子 1 年 生 2 年 生 3 年 生 ①部活動に参加 ②先生と個人的にも話す ③遅刻・欠席なし ④下校時に寄り道しない ⑤授業さぼらない ⑥先生とふざけることがある ⑦クラスで発言力がある方である ⑧校則きびしい ⑨部活盛ん ⑩設備そろっている ⑪雰囲気明るい ⑫世間の評判よい ⑬尊敬できる先生いる ⑭相談しやすい先生いる ⑮いじめがある 表 9 い じ め が あ る と 学 校 や め た い の ク ロ ス 表 い じ め が あ る あ て は ま る 度 数 期待度数 -0.071 -0.46 -0.091 -0.098 0.189 −0.119 0.142 や め た い の % 調 整 済 み 残 差 あ て は ま ら な い 度 数 期 待 度 数 や め た い の % 調 整 済 み 残 差 合 計 度 数 期待度数 学 校 や め た い の % 表 1 0 校 則 き び し い と 学 校 や め た い の ク ロ ス 表 校 則 き び し い あ て は ま る 度 数 期待度数 学 校 や め た い の % 調整済み残差 あ て は ま ら な い 度 数 期 待 度 数 学 校 や め た い の % 調整済み残差 合 計 度 数 期 待 度 数 学 校 や め た い の % -0.089 - 0 . 9 0.207 −0.082 −0.116 0.142 しばしばある 41 22.8 33.9% 4.5 80 98.2 66.1% −4.5 121 121.0 100.0% しばしばある 95 57.6 78.5% 7.2 26 63.4 21.5% −7.2 121 121.0 100.0% -0.213 -0.110 -0107 −0.132 -0.144-0.091 0 . 1 4 9 0 . 1 1 1 0 . 1 9 8 −0.134 -0.53 0.167 −0.121 0.1850.136 学 校 や め た い 時々ある 64 58.4 20.6% 1.0 246 251.6 79.4% -1.0 310 310.0 100.0% 学 校 や め た い 時々ある 165 147.5 53.2% 2.4 145 162.5 46.8% -2.4 310 310.0 100.0% な い 97 120.8 15.1% −3.8 544 520.2 84.9% 3.8 641 641.0 100.0% な い 250 305.0 39.0% −6.9 391 336.0 61.0% 6.9 641 641.0 100.0% -0.03 -0.237 -0.141 0.194 -0.097 -0.83 0.139 合 計 202 202.0 18.8% 870 870.0 81.2% 1072 1072.0 100.0% 合 計 510 510.0 47.6% 562 562.0 52.4% 1072 1072.0 100.0%
大 城 宜 武 : 学 校 か ら の 逃 走 表 1 1 相 談 し や す い 先 生 い る と 学 校 や め た い の ク ロ ス 表 相 談 し や す い 先 あ て は ま る 度 数 生 い る 合 計 期 待 度 数 学 校 や め た い の % 調 整 済 み 残 差 あ て は ま ら な い 度 数 期待度数 学 校 や め た い の % 調 整 済 み 残 差
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表 1 2 遅 刻 ・ 欠 席 な し と 学 校 や め た い の ク ロ ス 表 遅 刻 ・ 欠 席 な し あ る 度 数 期 待 度 数 学 校 や め た い の % 調整済み残差 な い 度 数 期 待 度 数 学 校 や め た い の % 調 整 済 み 残 差 合 計 度数 期 待 度 数 学 校 や め た い の % 考 察 全体および‘性別、学年別で有意となった係数を表8 に掲げた。「学校をやめたい」の説明要因として際立 っているのは、促進要因としての「いじめがある」と 「校則がきびしい」の2項目である。どの分析単位に おいても有意となっている。「学校をやめたい」と密 接に関連する。 「いじめがある」学校は苦痛である。本調査ではどの ような「いじめ」であるか詳らかにしない。すなわち、 いじめられているのか、いじめているのか、傍観者な のか、明らかではない。しかし、「いじめ」の存在が 認知されていることは重要である。いじめのある場所 (学校)を回避したくなるのは自然であろう。 表9は、「いじめがある」と「学校をやめたい」のク ロス分析の結果を示している。 「いじめがある」と認知しているのは18.8%である。 しばしばある 12 33.7 9.9% −4.7 109 87.3 90.1% 4.7 121 121.0 100.0% 学 校 や め た い 時々ある 78 86.5 25.2% -1.3 232 223.5 74.8% 1.3 310 310.0 100.0% 学校やめたい しばしばある 64 93.9 529% −6.9 57 27.1 47.1% 6.9 121 121.0 100.0% 時々ある 237 240.6 76.5% 一 ○6 73 69.4 23.5% 、6 310 310.0 100.0% な い 209 178.8 32.6% 4.2 432 4622 67.4% −4.2 641 641.0 100.0% な い 531 497.5 82.8% 5.0 110 143.5 17.2% -5.0 641 641.0 100.0% 合 計 299 299.0 27.9% 773 773.0 72.1% 1072 1072.0 100.0% 合 計 832 832.0 77.6% 240 240.0 224% 1072 1072.0 100.0% それらのうち、「学校をやめたい」と思う頻度の比率 は「ない」「時々ある」「しばしばある」の順に高ま って行く。調整済み残差はいずれも有意(1.96より大、 または-1.96より小)となっている。「いじめがある」 と認知していない場合は、この関係は逆になっている。 つぎに、「校則きびしい」と「学校やめたい」の関 係を見る(表10参照)。「学校やめたい」の反応比率は有意である(%2=69.294、d=2,p=.000)。「きびし
い」とい認知している場合、「学校をやめたい」′思う 比率は「ない」「時々ある」「しばしばある」の順に 高まって行き、調整済み残差は有意である。「校則き びしい」と認知していない場合は、逆の関係が認めら れる。 「校則」の禁止事項に息苦しさを感じている様が推 測できる。「校則」の定める規定の内容分析をしない ことには明言できないが、約半数の中学生が「校則き’
沖縄キリスト教学院大学論集第8号(2011) び し い 」 と し て い る こ と に 留 意 す る 必 要 が あ ろ う 。 つぎに学校適応に関連の強い項目について検討する。 全体的に、また男女別、学年別の各分析単位において も有意となった項目は1つもない。 「相談しやすい先生がいる」項目の標準回帰係数β は 、 中 学 2 年 生 を 除 い て 有 意 と な っ て い る 。 「 学 校 か らの逃走」を抑制する要因として注目される。「相談 しやすい先生いる」と「学校やめたい」の反応比率の
違いは有意である(%'=27.667、di=2,p=.000)。
表11によると「相談しやすい先生がいる」とした者 の「学校やめたい」と思う比率は、「ない」「ときど きある」「しばしばある」の順に減少している。調整 済み残差は「しばしばある」と「ない」で有意となっ ている。「相談しやすい先生」の存在が学校適応の重 要な要因であることが示唆される。ここで注目される のは、「尊敬できる先生」や冗談のいいあえる先生、 すなわち「先生とふざけることがある」や「先生とは 個人的にも話す」といった要因が全く利いていないこ とである。先生と仲がよいことが必ずしも学校適応に つながらないことに留意しなければならない、という ことであろう。 また「遅刻.欠席なし」が中学1年生を除いて「学 校をやめたい」と‘思うことと密接な関係を有している。 「遅刻・欠席なし」が「あてはまる」場合、「学校を やめたい」頻度は「ない」「時々ある」「しばしばあ る」の順に高くなっている。「あてはまらない」場合 は逆の順になっている。 「尊敬できる先生」と「相談しやすい先生」のクラ マーのVは.426(p=.000)となり、有意な関連を示して いる。「相談しやすい先生」の背景に「尊敬できる先 生」が想定されているかもしれない。 お わ り に 厳しい校則は学校適応にマイナスに働く。同じよう に、「いじめがある」のも学校適応を危うくする。一 方、本人自身の「遅刻・欠席」がないことが学校適応 の指標となっている。さらに、「相談しやすい先生が いる」こと、本人が「部活に参加していること」がよ い学校適応と関係していることが明らかとなった。「尊 敬 で き る 先 生 が い る 」 こ と が 学 校 適 応 に 利 い て い な い ことが注目される。 いじめの把握、校則の現状についての見直し、気軽 に 生 徒 の 相 談 に 乗 る 教 員 の 生 徒 支 援 が 有 効 な 学 校 適 応 の為の方略となりうることが示唆される。 附 記 1)本研究の実施にあたり、沖縄県内3つの中学校の校長、 教諭の皆さんにご協力をいただきました。記して感謝申し上 げます。 2)調査に協力頂きました生徒の皆さんに感謝いたします。 3)本研究の一部は、日本教育心理学会第53回大会(於北 海道)で口頭発表した。 参考・引用文献 浅 川 潔 司 ・ 東 由 佳 ・ 古 川 雅 文 2 0 0 1 「 青 年 期 の 社 会 的 スキルと学校適応に関する心理学的研究」『兵庫教育大学研 究紀要」第1分冊pp.99-103. 古市裕一1991「小・中学生の学校ぎらい感情とその規 定要因」『カウンセリング研究」Vol、24,No.2,pp.23-27. 古市裕一・玉木弘之1994「学校生活の楽しさとその規 定要因」『岡山大学教育学部研究収録」第96号、pp.105-113. 佐藤寿仁・菅原正和2007「中学生における学校不適応 と信頼感に関する研究」『岩手大学教育学部附属教育実践総 合センター研究紀要』第6号、pp.207-216. 杉本希映、庄司一子2006「中学生の「居場所環境」と 学校適応との関連に関する研究」『学校心理学研究」第6巻 第1号、pp.31-39. 高旗正人・北神正行・平井安久1996「中学生の「向学 校‘性」に関する研究『岡山大学教育学部研究収録』第102 号、pp.249-258. ホ ー ム ペ ー ジ ①平成20年度学校基本調査速報注差結果の要旨皿凶Z www、mext・go、1p/bmenu/toukelOOlO8072901/002.ht、Escape from School
Yoshitake Oshiro
Abstract
This paper examines how various social factors influence junior high school students' abilities to adapt to the institutional demands of their schools. Recent data collected from 1,097 junior high school students in Okinawa Prefecture are presented and analyzed.
Categorical regression analysis supports the following observations: (a) bullying constrains students' abilities to adapt fully to school life; (b) the existence of strict rules and regulations significantly constrains students from adapting to school life; and (c) the existence of a sympathetic teacher promotes students' abilities to adapt to school life.