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[講演要旨] 震源域の地震活動からみた地震の繰り返し挙動

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第 24 号(2009) 158 頁. [講演要旨] 震源域の地震活動からみた地震の繰り返し挙動 石辺岳男・中谷正生・鶴岡弘・島崎邦彦(東京大学地震研究所) 1.はじめに 地震の繰り返しを議論する際に,ある震源域にお ける地震活動が G-R 則に従うか,あるいは特徴的なス ケールを持った固有地震的な挙動を示すかは地震予知 の可能性を探る上で重要な問題であり,これまで様々 な分野から議論が行われてきた.主にシミュレーショ ンや広域的な地震活動にみられる規模別頻度分布がべ き乗則に従うことから,地震は臨界現象であり,その 破壊の拡がり,規模を予測することはできないとする 主張がされている.一方,主にトレンチ調査など地質 学的な見地からは,大地震の震源域においてはその全 体を破壊する地震(固有地震)が高頻度で発生し,べ き乗則には従わないとする固有地震モデルが提案され ている. ある震源域を仮定した場合に,もしもその破壊の 拡がりが単に確率事象であり,大地震はその確率分布 に準じた偶然の産物であるとするならば地震予知は困 難である.その一方で, inter-seismic な期間において震 源域は強く固着し,部分破壊を生じる地震活動が低調 であり,比較的周期性をもって領域全体を破壊する地 震(固有地震)が発生しているとすれば,物理的背景 を解明することでその挙動を把握することができると 考えられる.また,もしも破壊が及んだ場合に,その 内部では破壊が停止しない一蓮托生の破壊単元が存在 し,その特徴的なサイズに準じた固有規模の地震を発 生させる領域が存在していれば,それはその特徴的な サイズと比較可能なスケールで議論した場合に G-R 則 は破綻することを意味する.震源域における地震活動 から地震の繰り返し挙動を推論するために,本研究で は南海・東南海地震の震源域を対象として,地震活動 度ならびに大地震の震源域の一部を破壊する地震イベ ントの有無を検討した. 2. 南海トラフ沿いの地震活動 豊富な史料から,南海トラフ沿いではおおよそ 90 年∼150 年の繰り返し間隔で M8 クラスのプレート間地 震が繰り返し発生してきたことが知られている.1944 年に東南海地震が,1946 年に南海地震が発生しており, また 1923 年以降の震源カタログは気象庁により作成さ れている.地震調査研究推進本部により推定されてい る平均再来間隔で規格化した M-T ダイヤグラムを図1 に示す.中規模(M>5.0)以上の地震は前駆的地震活動 や余震を除くとほとんど発生しておらず,顕著に低調 であることを示している.また,これらの中小規模の 地震活動度は,固有地震規模の発生頻度から G-R 則で 期待されるものに比べて極めて不活発である.これら の領域においては前駆的地震活動や余震を含めても G-R 則は成立しておらず,大地震の震源域(或いはア スペリティ)内部での破壊の拡がりが確率論的な振る 舞いを示すよりはむしろ,全体が一つのまとまりとし て破壊からヒーリング・固着・応力の蓄積から次の破 壊へと単純に繰り返しているものと思われる.このよ うな傾向は発生位置や震源メカニズムを用いてプレー. ト間地震だけを選び出した M-T ダイヤグラムを用いれ ばより明瞭に認識されると考えられ,現在気象庁総合 検測値データを用いて震源域における中規模以上の地 震のメカニズム解の推定を試みている. 3. 関東地震震源域における地震活動 Shimazaki(1971)で指摘されている,大正関東地震震 源域における顕著に低調な地震活動は,新たな観測網 の整備や検測データの気象庁への一元化により質の向 上した一元化気象庁震源カタログにおいても認められ る.これらの地震活動の空間的パターンはカタログ期 間や均質限界マグニチュードに依存せず,地震サイク ルの大部分を占めると考えられる静穏期に,震源域を 部分的に破壊するイベントはほとんど発生していない. これら,南海トラフ沿いや関東地震震源域におけ る地震活動から,カップリングが強いと考えられるプ レート間大地震の震源域における破壊は,1(単元全体を 破壊する) or 0(単元は破壊しない)の 2 択に限りなく 近い可能性が示唆される.. (a). (b). Figure 1. Normalized Magnitude-Time diagram for the Nankai source region (a), and the Tonankai source region (b) . The grey zone corresponds to a time-interval of no observation.. - 158 -.

(2)

Figure 1. Normalized Magnitude-Time diagram for the  Nankai source region (a), and the Tonankai source region  (b)

参照

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