中学校家庭科における論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究 : ハンバーグの調理過程の手順とその理解度に注目して
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第71巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 71, No.2. 令 和 3 年 2 月 February, 2021. 中学校家庭科における論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究 ― ハンバーグの調理過程の手順とその理解度に注目して ―. 川邊 淳子・伊藤 大貴* 北海道教育大学旭川校家庭科教育研究室 *. 紋別市立潮見中学校. Fundamental Study of Cooking Practice Teaching that Fosters Logical Thinking in a Junior High School Home Economics Department ― Focusing on the Procedure for and Understanding of the Cooking Hamburger Steak ―. KAWABE Junko and ITO Taiki* Department of Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education *. Shiomi Junior High School. 概 要 論理的思考とは,難しいものを単純にし,構造化し相手を納得させ,どのような思考過程を 経てその結論に至ったのかを,誰でも理解できるよう明確に説明でき,現状の原因と結果を踏 まえ,理想の状態に持っていくための問題解決・改善策を考えるための思考方法である。そこ で本研究では,中学校家庭科における代表的な肉の調理題材であるハンバーグを取り上げ,論 理的思考を育む調理実習指導を実践していくことを目指し,中学生の調理過程の手順とその理 解度について明らかにすることを目的とした。「ひき肉の性質・成形」として,「塩を最初に入 れて後で副材料を混ぜる」が7.7%,「塩と副材料を一緒に混ぜる」が65.4%,「塩を入れず副材 料のみ混ぜる」が26.9%, 「粘り気」が28.8%のものがキーワードとして挙げられた。また, 「成 形」としての「厚み」が5.8%とキーワードとして挙げられていることが極端に少なかった。 さらに, 「焼き・焼き上がりの確認」として,「火を弱めて中まで火を通す」が32.7%,「焼き 上がりの確認」が21.2%と,火加減の調節や焼き上がりの確認をすることが極端に少ない傾向 にあった。. 159.
(3) 川邊 淳子・伊藤 大貴. 1.はじめに. かる。2017(平成29)年3月に公示された新学習 指導要領には,「主体的な学び・対話的学び・深. 近年の社会は情報化やグローバル化といった社. い学び」を実践していくことの重要性が求められ. 会的変化が目まぐるしく,十年先の未来を予測す. ている。その上で,論理的思考力を育むことは不. ることも難しくなってきている。また,技術革新. 可欠である。論理的思考とは,難しいものを単純. がすさまじい勢いで進む中,AI(人工知能)の. にし,構造化し相手を納得させたり,どのような. 台頭に人類として,日本人として,そして一社会. 思考過程を経てその結論に至ったのかを,誰でも. 人として考えなければいけないようになってき. 理解できるよう明確に説明でき,現状の原因と結. た。AIの知能が高まることで,人類の職業の約. 果を踏まえ,理想の状態に持っていくための問題. 半数がAIにとって代わるとも言われる中,これ. 解決・改善策を考えるための思考方法とも言える。. から社会で活躍する,またはこれから社会にでる. 一方,家庭科教育における実験・実習は,実践. 子ども達にとって予測不能な社会であることは間. 的・体験的な学習活動として重要な学習方法であ. 違いないと推測される。. り,特に調理実習は,生徒の興味・関心も高く,. しかし,人工知能がいかに進化しようとも,そ. 家庭科の代表的なイメージ形成にもつながるほ. れを操るのは人間であり,人間がAIに目的を与. ど,学習者にとっても好意的な学習となっている。. えているにすぎない。つまり,人間がどのような. しかし,調理に必要な知識や技能の基礎・基本を. 未来・将来を予測するか,よりよい生活を創造・. 習得する上では,必ずしも有効に機能していない. 思考することがとても重要になってくる。この答. 面もある。それゆえ,家庭科として調理過程のプ. えのない目的に対して,様々なそして多様な情報. ロセスを様々な視点から,多角的・多面的に検討. から必要なものを主体的に探し,その情報を元に. していくことは重要である。しかし,その研究は. 思考を深め,必要に応じて適切な対話を行い,行. まだ少ない傾向にある。. 動する力が求められている。その中で,現在の社. 本研究では,中学校家庭科における代表的な肉. 会では「問題・課題解決力」というものが重要視. の調理題材であるハンバーグを取り上げ,中学生. されている。問題・課題を自ら見つけ出し,その. の調理過程の手順とその理解度について明らかに. 解決方法を計画する。そして主体的に実践し,結. するすることをした目的とした。. 果をもとに評価・改善を行う。そしてまた問題・ 課題をみつける,という一連のサイクルをできる 力を現代の社会では求めており,近年の学校教育. 2.研究方法. でも同様に,生徒に育ませたい力の一つとしてい. 中学校家庭科教科書におけるハンバーグ教材に. る。そして,その活動を行う上で上述した通り,. 関する記述内容の比較とチェックポイント設定な. 答えのない目的に対して,必要な情報を読み取り,. らびに,事前課題における中学生のハンバーグづ. 整理する力が大切となってくる。そのような力は. くりの認知・理解度調査の2つの方法を用いた。. 「論理的思考力」と呼ばれている。. 以下ではその詳細を示すこととする。. しばしばビジネスシーンで「論理的思考」とい う言葉が用いられる。また,今日の学校教育でも. ⑴ 中学校家庭科教科書におけるハンバーグ教材. 「問題解決授業」などと言われ,一社会人だけで. に関する記述内容の比較とチェックポイント設定. なく,むしろ児童・生徒の段階から論理的思考力. 平成28年度現在で使用されている中学校家庭科. が求められている。つまり,早い段階からそのよ. 教科書3社の「ハンバーグ」の調理に関わる記述. うな力を育成することが必要で,育成することを. の部分を, 「必要な調理道具・器具」 「必要な食材・. 求められていると言っても過言ではないことが分. 材料(分量も)」 「作り方の工程」 「調理のポイント」. 160.
(4) 論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究. の4つの視点から比較検討を行った。それを参考. までいためる・いためたら冷ましておく. にして,ハンバーグ調理の際のチェックポイント. 計4項目. の設定を行った。. ②ひ き肉に塩を加える・ねばりがでるまで混 ぜ る・ 空 気 を 抜 く・ 小 判 か 楕 円 形・ 厚 さ. ⑵ 事前課題における中学生のハンバーグづくり の認知・理解度調査 中学校家庭科における代表的な肉の調理題材で あるハンバーグを取り上げ,論理的思考を育む調. 1.5cm・中央をくぼませる 計6項目 ③両面をこげ目がつくまで焼く・中火・フライ パンのふたをして弱火で中まで火を通す・焼 き上がりは竹ぐしなどを刺して肉汁が透明. 理実習指導を実践していくことを目指し,中学校. 計4項目. の調理過程の手順とその理解度について明らかに. の合計14項目とした。. することを目的とした。 1)研究対象 道内上川管内T中学校1年生58名(有効回答 数:52) 。性別の内訳は,男子30名(51.7%),女. 3.結果および考察 ⑴ 中学校家庭科教科書におけるハンバーグ教材. 子28名(48.3%)であった。. に関する記述内容の比較とチェックポイント設定. 2)調査時期. 3社に共通している項目を, 「必要な調理道具・. 2016(平成28)年12月~2017(平成29)年1月 3)調査内容および方法 自記式質問紙法であり,冬期休業中の技術・家. 器具」「必要な食材・材料(分量も)」「作り方の 工程」「調理のポイント」の4つの視点から比較 したのが以下の通りであった。. 庭科家庭分野の宿題として実施し,3学期始業式 に回収した。実施の仕方については,調理題材を. <A社> 煮込みハンバーグ(1人分). ハンバーグとし,材料(1人分の分量),必要な. 必要な調理道具・器具:. 道具・器具,作り方・工程,家族の人に食べてみ. フライパン(ふた)・フライ返し・菜箸・. てもらった感想,自分の感想・反省の5つを記述 させた。 作り方・工程については教科書,インター. ボウル・中深なべ・ざる. ①玉ねぎの下ごしらえ. 必要な食材・材料(分量も): あいびき肉 80g(ぶた肉・牛肉各40g) たまねぎ 30g(みじん切り) バター 2g(小1/2) パン粉 5g(生パン粉なら10g) 牛乳 10mL(小2) 卵 12g(1/5個) 塩 1.4g(小1/4,材料の1%) 香辛料(こしょう,ナツメグなど) 少々 油 3mL(小1/2強) トマトソース トマト水煮缶詰 25g ケチャップ 15g(大1) ウスターソース 8g(大1/2) 水 30mL. ②ひき肉の性質・成形. 作り方の工程:. ③焼き・焼き上がりの確認. 1.たまねぎをみじん切りにし,バターでいため. ネット,料理本,もしくは自分の家でつくってい るハンバーグなど,どんなレシピでも可能にした。 ただし参考にしたレシピをただ書き写すだけでな く,誰が見てもつくれるようにできるだけ詳しく 記述するよう伝えた。つけ合わせやトッピングな どは生徒の自由とし,記述してもしなくても良い こととした。 4)調査内容分析方法 主な調査内容としては,調査対象である中学生 の調理工程を以下の3点にまとめた。. また,それぞれの調理過程で, ①みじん切り・弱火でいためる・しんなりする. る(弱火)。 たまねぎはみじん切り 弱火でいためる. 161.
(5) 川邊 淳子・伊藤 大貴. 2.パン粉を牛乳にひたす。 3.ボウルにひき肉,塩を入れ,ねばりが出るま でよく混ぜる。冷ました1と2,卵,香辛料 の順に入れ,さらに混ぜる。 ひき肉に塩を加える ねばりがでるまで混ぜる いためたたまねぎは冷ましておく 4.形を小判型に整える(厚さ1.5cmくらい) 。中 央をくぼませる。 空気を抜く 小判型 厚さ1.5cm 中央をくぼませる 5.ハンバーグの両面にこげ目がつくまで,フラ イパンで中火で焼く。 両面をこげ目がつくまで焼く 中火 (煮込まない場合は,中火で焼いた後ふたを して弱火で10分間焼きます。竹ぐしを刺して, 肉汁が透明になれば火が通りコマ焼き上がり です。盛りつけてソースをかけます。 ) 焼き上がりは竹ぐしなどを刺して肉汁が透明 6.フライパンにトマトソースの材料を加え,ふ たをして弱火で約15分間加熱する。 フライパンのふたをして弱火で中まで火を通す 7.ソースとともに器に盛り,つけあわせをそえ る。 調理のポイント: ○たまねぎをいためると水分が蒸発し,甘味が強 くなります。 ○ひき肉に塩を加えてこねると,肉に粘りが出ま す。こねる回数が少ないとぽろぽろしてくずれ やすく,こねる回数が多過ぎると加熱後に固く 縮みます。 ○ひき肉の中に空気が入っていると,焼いている 間にハンバーグが割れるので,手に打ちつける ようにして空気をぬいて丸めます。まん中をく ぼませると, 焼き上がりが平らにしあがります。. <B社> ハンバーグ(1人分) 必要な調理道具・器具: フライパン(ふた) ・ボウル・フライ返し 必要な食材・材料(分量も) : ひき肉(牛肉:ぶた肉=2:1)80g. 162. パン粉 4g 卵 25g (約1/2個) 塩 1g (小さじ1/6) こしょう 少々 たまねぎ 30g 油(たまねぎ用) 2.5mL (小さじ1/2) 油 約3.8mL (大さじ1/4) 作り方の工程: 1.たまねぎをみじん切りにする。フライパンに 油を引いて中火で熱し,たまねぎをしんなり するまでいため,ボウルに取り出して冷まし ておく。 たまねぎはみじん切り 中火でいためる しんなりするまでいためる 2.冷めたら,ひき肉,パン粉,卵,塩,こしょ うを加える。 ひき肉に塩を加える いためたたまねぎは冷ましておく 3.材料をざくざくつかむように混ぜる。さらに 指先で全体を回すようにしながら粘りが出る まで1分ほど混ぜる。 ねばりがでるまで混ぜる 4.手のひらで打ちつけながら,空気を抜いて平 らな楕円形にする。中央部を押さえ,少しく ぼませる。 空気を抜く 楕円形 中央をくぼませる 5.フライパンに油を引いて中火で熱し, ハンバー グを入れ,2~3分ほど焼く。焼き色が付い たら裏返して蓋をし,中火で火が通るまで弱 火で7~8分ほど蒸し焼きにする。 中火 フライパンのふたをして中火→弱火で蒸し焼き 焼き上がりは竹ぐしなどを刺して肉汁が透明 6.ハンバーグを皿に盛りつける。 調理のポイント: ○たまねぎをいためずに加えると,時間短縮にな り,食感が残る。 ○ハンバーグは,焼くと,縦・横が縮み,厚さが 増すので,薄めの形にし,真ん中を少しくぼま せておく。.
(6) 論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究. ○適切な火加減で焼き,中まで火を通すことがで きる。. 6.フライパンを熱し,サラダ油を入れて広げる。. ○蒸し焼きにすると,早く中心まで火が通る。. 表面を強火でさっと焼いて軽くこげ目をつける. ○十分に焼いて竹ぐしを刺したときに,透明な肉 汁が出てきたら焼き上がり。. 7.火を弱め,ふたをして,ハンバーグのまわり. ハンバーグを置き,強火で表面をさっと焼き, 軽くこげ目をつける。. の色が変わったら裏返し,同様に焼く。両面 で約8分焼き,十分に火を通す。. <C社> ハンバーグステーキ(1人分) 必要な調理道具・器具: フライパン (ふた) ・木べら・ボウル・バット・ 竹ぐし 必要な食材・材料(分量も) : あいびき肉(ぶた肉・牛肉) 60g たまねぎ 30g サラダ油(たまねぎいため用)2g (小1/2) パン粉 5g 牛乳 110g(小2) 卵 12g (約1/4個) 塩 0.5g こしょう 少々 サラダ油(ハンバーグを焼くとき用) 3g (大1/4) 作り方の工程: 1.たまねぎをみじん切りにする。 たまねぎはみじん切り 2.フライパンを熱し,サラダ油を広げ,たまね ぎがしんなりするまでよくいためる。 たまねぎをいためる しんなりするまでいためる 3.パン粉をボウルなどに入れ,牛乳を加えて含 ませる。 4.別のボウルにひき肉と, 塩, こしょうを加え,. フライパンのふたをして両面を焼いて中まで 火を通す 8.ハンバーグを取り出して,皿にもりつける。 調理のポイント: ○ひき肉に塩を混ぜてこねると,ねばりが出る性 質があります。こねが足りないと,焼いたとき に丸い形がくずれてしまう。 ○ハンバーグを焼くと,熱が周辺部から伝わるた め,周辺部が先に縮み,その分まん中が高くな る。あらかじめ中央をくぼませておき,焼き上 がったときに全体がちょうどよい形になるよう にする。(火の通りもよくなる。) ○焼くときには,はじめに表面を強火で焼きつけ て,表面のたんぱく質をかため,うま味を中に とじこめる。軽くこげ目をつけると,風味がよ くなる。. 以上の結果から,3社に共通している項目を手 掛かりに調理工程のポイントを以下のようにまと めてみた。 ①玉ねぎ: a.たまねぎはみじん切り b.たまねぎは弱火でいためる c.たまねぎはしんなりするまでいためる d.いためたたまねぎは冷ましておく ②ひき肉:. ねばりが出るまでよく混ぜる。次に, 2, 3,. a.ひき肉に塩を加える. 卵を加え,全体がねっとりするまでよくこね. b.ねばりがでるまで混ぜる. る。. c.空気を抜く. ひき肉に塩を加える ねばりがでる(全体がねっとりする)まで混ぜる 5.厚 さ約1.5cmの小判型に丸め,中央部を指で くぼませる。 小判型 厚さ1.5cm 中央をくぼませる. d.小判か楕円型 e.厚さ1.5cm f.中央をくぼませる ③焼き方: a.両面をこげ目がつくまで焼く. 163.
(7) 川邊 淳子・伊藤 大貴. b.中火 c.フライパンのふたをして弱火で中まで火を 通す d.焼き上がりは竹ぐしなどを刺して肉汁が透. ⑵ 事前課題における中学生のハンバーグづくり の認知・理解度調査 1)玉ねぎの下ごしらえ 調理工程の順で表すと,「みじん切り」が46名. 明. (88.5%), 「炒める」が40名(76.9%), 「冷ます」. ④作り方:. が24名(46.2%)であった。「みじん切り」は約. a.玉ねぎをみじんぎりしていためて冷ます。. 9割,「炒める」は約8割が記述していたが,「冷. b. ひき肉に塩を混ぜて粘り気が出たところ. ます」ということを記述していないものが約半数. に,卵・パン粉・玉ねぎをさらに入れて混ぜ. 近くいることがわかった。. 合わせる。 c.bを空気を抜いて小判型に丸めて中央部を くぼませる(厚みは1.5mmが限度) d.フライパンで最初は中火で両面を軽くこげ 目がつくくらい焼いてから,ふたをして中ま でじっくりよく火を通す。(時間的には表面 は2~3分,ふたをしてからは7~10分が目 安) e.焼きあがりは竹ぐしなどを刺して,肉汁が 透明になっていたら完成。 そこで,作り方におけるチェックポイントとし ては,最低限必要と思われる以下の項目を設定す ることとした。. 表1 玉ねぎの下ごしらえの工程における 回答組み合わせ みじん切り. 炒める. 冷ます. 回答人数(名). ○. ○. ○. 23(44.2%). ○. ○. ×. 14(26.9%). ○. ×. ×. 8(15.4%). ×. ×. ×. 4( 7.7%). ○. ○. ×. 1( 1.9%). ×. ○. ×. 1( 1.9%). ×. ○. ○. 1( 1.9%). ①玉ねぎの炒める火加減 玉ねぎの炒める火加減について,記述していた のは11名(21.2%)であった。記述の内,中火以. <玉ねぎの下ごしらえ>4項目. 上の火加減はなかった。ただ中火を記述したもの. ・みじん切り. が半数を占めていた。. ・弱火でいためる ・しんなりするまでいためる. 表2 玉ねぎを炒める火加減. ・いためたら冷ましておく. 記述内容. 人数 (名). %. <ひき肉の性質・成形>6項目. 中火. 5. 9.6. ・ひき肉に塩を加える. 弱火. 4. 7.7. 中火・弱火. 1. 1.9. 弱めの中火. 1. 1.9. 11. 21.2. ・ねばりがでるまで混ぜる ・空気を抜く ・小判か楕円型 ・厚さ1.5cm. 計. ・中央をくぼませる <焼き方・焼き上がりの確認>4項目 ・両面をこげ目がつくまで焼く ・中火 ・フライパンのふたをして弱火で中まで火を通 す ・焼き上がりは竹ぐしなどを刺して肉汁が透明. 164. ②玉ねぎの炒める目安 玉ねぎの炒める目安について,記述していたの は18名(34.6%)であった。一番多かったのは, 「き つね色」と「透き通る」であったが,いずれも見 た目で確認できるものであった。しかし,「しん なり」と記述したものは3名だけであった。.
(8) 論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究. 表3 玉ねぎの炒める目安 記述内容 きつね色 透き通る しんなり 透明 あめ色 水分がなくなりしんなり こげないように しんなり・色が濃くなる 計. 人数 (名) 5 5 2 2 1 1 1 1 18. 表6 玉ねぎの加熱時間 % 9.6 9.6 3.8 3.8 1.9 1.9 1.9 1.9 34.6. 記述内容. 人数 (名). %. 5分. 2. 3.8. 3分. 2. 3.8. 1分30秒. 2. 3.8. 10~15分. 1. 1.9. 6分30秒. 1. 1.9. 2~3. 1. 1.9. 軽く. 1. 1.9. ある程度. 1. 1.9. 11. 21.2. 計. ③玉ねぎを冷ます 時間の目安があったのは,2名だけであった。. 以上の結果から,みじん切りのような調理技法 はある程度の知識の有無があるが,切る大きさで. 表4 玉ねぎを冷ます. あったり,火加減や加熱時間などの調理技術につ. 人数 (名). %. いては,理解があまりないことが伺えた。また,. 冷ます. 19. 36.5. あら熱. 3. 5.8. 火加減や加熱時間などは,小学校学習指導要領解. 熱が取れるまで. 1. 1.9. あら熱・約6分. 1. 1.9. 25分. 1. 1.9. して調理ができること。」となっている。調査段. 25. 48.1. 階では,中学校になってから調理について学習し. 記述内容. 計. 説家庭編の「B 調理の基礎と」の中の「⑶調理 の基礎」において,「ウ ゆでたり,いためたり. ていないが,小学校での既習事項となっているの ④玉ねぎのみじん切りの大きさ. で,小学校のゆでるやいためるの学習において学. 玉ねぎのみじん切りの大きさについて,記述し ていたのは9名(17.3%)だけであった。またそ. ぶはずの目安の火加減や加熱時間が,身について いない傾向にあると考えられる。. の内, 「細かく」と記述していたのが3名もいた。 2)ひき肉の性質 表5 玉ねぎのみじん切りの大きさ 記述内容. ひき肉と塩や副材料の混ぜ合わせ方について は,以下の,. 人数 (名). %. 細かく. 3. 5.8. ○塩を最初に入れて後で副材料を混ぜる. 1cm. 1. 1.9. 5mm. 1. 1.9. ○塩と副材料を一緒に混ぜる. 3~5mm. 1. 1.9. 2~3mm. 1. 1.9. 1.5mm. 1. 1.9. それぞれについて記述したものは,①塩を最初. 0.5~1.5. 1. 1.9. に入れて後で副材料を混ぜるは4名(7.7%),②. 9. 17.3. 塩と副材料を一緒に混ぜるは34名(65.4%),③. 計. ○塩を入れず副材料のみ混ぜる の3点にまとめられる。. 塩を入れず副材料のみ混ぜるは14名(26.9%)で ⑤玉ねぎの加熱時間 玉ねぎの加熱時間について,記述していたのは 11名(21.2%)であった。. あった。また,粘り気が出るまでこねるについて, 記述したものは15名(28.8%)だけであった。 以上のことから,ハンバーグの生地をこねる場 合,塩と副材料を一緒に混ぜ合わせたり,こねる. 165.
(9) 川邊 淳子・伊藤 大貴. ことで粘り気が出てくるというひき肉の特徴が, あまり記述されていないことが特徴的であった。 表7 ひき肉と塩や副材料の混ぜ合わせ方の工程に おける回答組み合わせ 塩を最初 塩を入れ に入れて 塩と副材 粘り気が ず副材料 回答人数 後で副材 料を一緒 出るまで のみ混ぜ (名) 料を混ぜ に混ぜる 練る る る. ○. ×. ×. ×. 7 (13.5%). ×. ×. ○. ×. 5 (9.6%). ×. ○. ○. ×. 3 (5.8%). ×. ○. ×. ×. 3 (5.8%). ×. ○. ○. ○. 2 (3.8%). ×. ○. ×. ×. 25 (48.1%). ○. ○. ○. ×. 2 (3.8%). ×. ×. ○. ×. 11 (21.2%). ○. ○. ×. ×. 2 (3.8%). ×. ○. ×. ○. 9 (17.3%). ×. ×. ○. ○. 1 (1.9%). ○. ×. ×. ○. 4 (7.7%). ×. ×. ○. ○. 2 (3.8%). ×. ×. ×. ×. 1 (1.9%). ①成形の形 一番記述が多かったのは,「小判型」で12名で あった。しかし,次いで多かったのは,「形を整 える」が10名であり,具体性のない形の記述に なっていた。. 3)ハンバーグの成形 調理工程の順で表すと,「空気を抜く」が19名. 表9 成形の形. (36.5%) 「小判型(形)にする」が19名(23.1%), ,. 人数(名). %. 形を整える. 10. 19.2. (1.5cm) 」が3名(5.8%)であった。特に顕著. 小判型. 10. 19.2. な特徴としては,厚みの記載が極端に少なかった. 丸めて. 5. 9.6. ことが挙げられる。形や厚さは,火の通りやすさ. ハンバーグ. 4. 7.7. や焼き上がりにも影響を与える要素である。厚み. 形をつくる. 3. 5.8. によっては,厚過ぎて外は焦げても中にはまだ火. 小判型1.5cm. 2. 3.8. が通っていないということも生じてくることが予. 成形. 1. 1.9. 想される。. まるくまとめる. 1. 1.9. 形成. 1. 1.9. 図. 1. 1.9. 焼く時の大きさ. 1. 1.9. 俵型. 1. 1.9. 楕円形. 1. 1.9. 手のひらサイズ. 1. 1.9. 形を整える・2cm. 1. 1.9. 好きな形. 1. 1.9. 44. 84.6. 「 中 心 を く ぼ ま せ る 」 が21名(40.4 %),「 厚 み. 表8 ハンバーグの成形の工程における回答組み 合わせ 空気を 抜く. 小判型 (形) にする. くぼま せる. ×. ×. ×. ×. 19 (36.5%). ○. ×. ○. ×. 8 (15.4%). 166. 厚 み 回答人数 (1.5cm) (名). 記述内容. 計.
(10) 論理的思考を育む調理実習指導に関する基礎的研究. 以上の結果から,ハンバーグ特有の調理技術に 関しての理解はあることがわかった。しかし,こ. い焼き加減であったが,約半数のものが, 「弱火」 や「強火」であった。. の様な料理特有の調理技法は,参考にしたレシピ に書いてある傾向にある。中学校の教科書にも「ね. 表11 焼き加減. ばりが出るまで」,「形を小判型に整える」,「中央. 人数(名). %. 中火・弱火. 8. 15.4. ①こね終わるタネの具合,③成形後のくぼませが. 中火. 7. 13.5. 約半数だったことは,参考にしたレシピに載って. 弱火. 3. 5.8. いなかったか,載っていたが記述しなかったのか. 強火・弱火. 2. 3.8. もしれない。. 中火・火を弱める. 2. 3.8. 蒸し焼き. 1. 1.9. 強めの中火. 1. 1.9. 強めの中火・弱火. 1. 1.9. (76.9%) , 「火を弱めて中まで火を通す」が17名. 弱火・余熱. 1. 1.9. (32.7%) , 「焼き上がりの確認」が11名(21.2%). 強火・火を弱め. 1. 1.9. であった。「両面を焼く」ことを大半のものが記. 180℃. 1. 1.9. 述していたにも関わらず,焦げ過ぎないように中. 中火・強火. 1. 1.9. までしっかり火を通す火加減の調整や焼き上がり. 強火. 1. 1.9. 30. 57.7. をくぼませる」と記述されている。したがって,. 4)焼き方・焼き上がりの確認 調理工程の順で表すと,「両面を焼く」が40名. 記述内容. 計. の確認をすることが極端に少ない傾向にあった。 表10 焼き方・焼き上がりの確認の工程における 回答組み合わせ 火を弱めて 焼き上がり 両面を焼く 中まで火を の確認 通す. 回答人数 (名). ○. ×. ×. 20 (38.5%). ○. ○. ×. 11 (21.2%). ×. ×. ×. 10 (19.2%). ○. ○. ○. 5 (9.6%). ○. ×. ○. 4 (7.7%). ×. ○. ○. 1 (1.9%). ×. ×. ○. 1 (1.9%). 以上の調理工程から,調査校の生徒の思考のつ まづきは,以下の3点にあると考えた。 ①基本的な調理技術が,身についていない傾向 にある。 ②記述しない理由が,参考にしたレシピ通り書 いたのか,記述するほどでないと判断した。 ③衛生面・安全面に留意する傾向が薄い。. 4.まとめ ハンバーグの調理工程上,記述が無かったり少 なかった主な内容としては,以下の項目が挙げら れる。 ①玉ねぎを炒めた後に冷ますこと ②ひき肉に塩や副材料を加えることによる変化 やこね終わりの加減 ③ハンバーグの厚さ. ①焼き加減 一番多かった記述は, 「中火」と「弱火」で8名, 「中火」で7名であった。記述した約半数が正し. ④ハンバーグの火加減の調整や焼き上がりの確 認 これはそれぞれ,ハンバーグの調理工程上,以. 167.
(11) 川邊 淳子・伊藤 大貴. 下にあげるよくある失敗などにもつながる可能性. 画のためのワークシートの分析」和歌山大学教育学部. があると言える。. 教 育 実 践 総 合 セ ン タ ー 紀 要, 第25号,pp.129-136,. ①まだ冷めていない前にひき肉に合わせて混ぜ てしまう。 ②十分粘り気が出ないままにこね終わりを迎え てしまったり,またはこね過ぎてしまう。 ③中まで火が通るのに時間がかかったり,生焼 けの可能性がある。 ④まわりだけが焦げて中まで火が通らなかった り,生焼けの可能性がある。 以上の結果および考察をもとに,生徒の調理実 習におけるつまずきやすい点や理解していても実 践する上で困難を生じやすい点に焦点を当て,そ れらを生徒自らが気づき,さらには解決方法まで を導き出せるような授業開発を行い実践・検証し ていく必要があると考えた。. 2015 9) 山本奈美・西岡真弓:「生活に活かせる力の育成を目 指した調理実習授業の実践」和歌山大学教育学部教育 実践総合センター紀要,第22号,pp.109-112,2012 10) 磯部由香・大山航・野田真由・平島円: 「調理におけ る段取り学習プログラムの開発」 日本調理科学会大会研究発表要旨集,第29号,p.181, 2017 11) 高野哲郎・上島紳一:「段取りの導出を行う調理支援 システムの提案」情報研究:関西大学総合情報学部紀 要,第22巻,pp.117-142,2005 12) 今川真治:「大学2年女子学生の調理行動の分析:段 取り力との関連から」広島大学大学院教育学研究科紀 要 第二部 文化教育開発関連領域,第61号,pp.315323,2012 13) 文部科学省: 「中学校学習指導要領(平成29年告示) 解説 技術・家庭編」開隆堂,2018 14) 文部科学省: 「小学校学習指導要領(平成29年告示) 解説 家庭編」東洋館出版社,2018 15) 開隆堂:中学校技術・家庭教科書「技術・家庭 家 庭分野」 〈家庭726〉 ,2016. <引用および参考文献> 1) 「論理的思考力,ロジカルシンキングとは」 http://neuro-educator.com/logical1/ 2) 「社会人に必須の能力「論理的思考」3つの種類」. 16) 東京書籍:中学校技術・家庭教科書「新編 新しい 技術・家庭(家庭分野)自立と共生を目指して」〈家庭 724〉 ,2016 17) 教育図書:中学校技術・家庭教科書「新 技術・家 庭家庭分野」 〈家庭725〉 ,2016. https://shigotonomirai.com/tcm_logical_thinking 3) 「ロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える10個 のトレーニング方法」 http://www.growing-labo.com/logicalthinking/ 4) 「論理パンケーキ論考」 http://www.loftwork.jp/column/2013/20130529_pan cake.aspx 5) 「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方に ついて(議論の取りまとめ)」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/ shotou/122/attach/1372525.htm 6) 吉村祐美・荒井紀子・大嶋佳子・塚倉知美:「 「人と かかわる力」の育成を重視した家庭科授業開発」日本 家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集, 第55号,p.80,2012 7) 鈴木明子・小倉亜砂・萱島知子・井川佳子・樽本和 子: 「小学校家庭科における問題解決的な学習を取り入 れた調理実習授業の開発:自分の成長と変容を実感さ せる指導方法の検討」学部・附属学校共同研究紀要(広 島大学),第38号,pp.217-222,2010 8) 山本奈美・川嶋径代:「中学校家庭科における調理計. 168. . (川邊 淳子 旭川校教授) . . (伊藤 大貴 紋別市立潮見中学校教諭).
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