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バッハ「ヨハネ受難曲」におけるレチタティーボの研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. バッハ「ヨハネ受難曲」におけるレチタティーボの研究. Author(s). 中村, 隆夫. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 28(1): 97-112. Issue Date. 1977-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4735. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. バ ッ ハ 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 に お け る レチ タ テ ィ ー ボの研 究. 中. 村. は. じ. 隆. め. 夫. に. バッハの, 現存する2つの受難曲は, 彼の作品中 でも, その超時代的な音楽精神とバ ッハ特有の 劇的な表現ゆえに, あらゆる角度から様々の研究がなされている. それらの内の代表的なものは , 「ヨハ ネ 受 難 曲」 に お い て ス メ ン ト1 )が指 摘 し た シ ン メ トリ ッ ク な 楽 曲 配列2 )と 「マ タイ 受 難 曲 」 , ,. における神秘的・象徴主義的な数の理論の探究であろう。 これらは2つの受難曲の研究の中 では最 もポピュラーなもの で, 時にはそれが両受難曲研究の全てであるかのような錯覚さえ抱かせる 本 。 稿 では特に 「ヨハネ受難曲」 を取り上げ, レチタティ ーボ (以下 Re c ,と略記) の音型分析と, それ が全曲の構成の中でどのような分子構造として働いているか, につき論述することとした 。 バ ッ ハ の Re c .の一般的性格 バッハの Re c .の旋律は概して器楽的な印象を与 え, 同時代のもう一方の巨匠, ヘンデルの旋律と は 好 対 称 を な す. こ の こ と に つ き, 両 者 の Rec .を 2つのタイ プに大別して, その各々を比較してみ よう. 1. 1. 簡素な通奏低音による Rec. ( 1 ) 比較を容易ならしめるため, 旋律の形と和声 構造の類似す るものを特に選 び出して みた 。 バ ッ ハ 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 No .22 (1 - 4) 譜例1. d お i 我キfuh i sum 卵 頑な. . ‐に は5 2鳶, eje‐ ‐氾‐能ns p いのず Qsgc』t. も. 耳. ヘ ン デ ル 「メ サイ ア」 No .15(1 - 4) 譜例2. d l l 練4 卿 粉hem二恥α細 め 発rbeho d lbr i in36dfg陀 砧〕 , And物 鑓 枠9e i勺y似 9oodt ) 6. 6. 97.

(3) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. まず和音進行についてみれば, 後者が拍節の均衡を保ちながら, T(2)-S(1)-D (1/ 2)- T(1/2 ) と整然と運ぶのに対し, 前者は不安定なニ短調属和音第1転回位置 で開始し, それが主和 音へ解決するや否や, ただちに変質されたイ 短調下属和音へと滑り込ん でいる. この先, 和音進行. はイ短調属和音, 主和音と続くの であるが, ここ でも主和音は落着点とはならず, す ぐに続く属和 音で半終止した後, 新しい調 であるハ長調へと導かれてゆく のである. このように, バッハの Rec .での通奏低音は, 一端目指していた調の主和音へ到達すると, その和 音が更に新しい調への起点へと機能を転じ, 新たなハーモニー圏を模索する傾向がある. その方向 は拡散的で, 最後の和音が響くま では, 一体どこへ落着しようとしているのか, 見究めることが で き な い.. 旋律の動きについても同様のことがいえる.すなわち 一一 旋律と和声が一体不可分なもの である ことを考えれば、 それもまた当然のことといえるが -- ヘンデルにおいては, 彼がオペラ作曲家と してよくイタリア様式に通じ,その精神もまたオペラティ ッ クな歌謡性にあったことを示すように, 旋律線は一定の声域の中 で, あくまでもディ アトニ ッ クな動きの枠を守っ ている. またテキストの 内容は音楽にも直接的に反映さ れ, 両者は同質の性格をもつ. 一方バッハにあっては, 広い音域の 中を, 大きな跳躍が意表をついて表われ, その音型も歌い手に緊張を強いる類のものとなっ ている.. ( ) こ こ で,同 じよ う な テ キ ス トに,バ ッ ハ と ヘ ン デ ル が どの よ う な Rec 2 .を 付 し た か を 見 て み よ う. バ ッ ハ 「ク リ ス マ ス . オ ラ トリ オ」 No .11(1 - 5) 譜例3. i ‐benGe undes wqf陀n Hirteh in dersel . nHはFde均d e 9end 似fd鋼 賜deおde. hu-te‐能ndes N低 舵sih-re He【de,. ヘ ン デ ル 「メ サイ ア」 No .14 (1 ‐ 4) 譜例4. ds α‐b d i勺in 街ef l d i i ‐ lhe陀weだ 無 声en e. i f t k 吠kもN夢t ‐wr物e r e e p 勺 w猶由o .. 「さて この地方 で羊飼いたちが (野原の棚のそば で) 羊の群の番をしていた , 」 98.

(4) . 中 村 隆 夫: 「ヨハ ネ 受 難 曲」 に お ける レ チタ ティ ー ボの研究. 先 ず 一 見 し て 分 る の が, テ キ ス ト の 段 落 に 対 し て 与 え ら れ る フ レ ー ズ の 長 さ の 違 い であ る ヘ ン .. デ ルは 個 々 の 音 のカ ン タ ー ビレ を 重 視 す る がゆ え に, ひ と つ の段 落 に 3 回 の 息 つ ぎを 与 え て い る 。. 一方バッハの場合には, 旋律を担う音符はより無機的に並べられており, 雰囲気を表出するように はその役割を期待されていない. 換言すれば, ヘンデルの場合には, テキストの内容が旋 律の生成 に 大 き く 関 与 す る の に 対 し, バ ッ ハ の Rec . では 旋 律 の 中 に 占 る こ と ばの 位 置 や 音 程 関 係, あ る いは. その背後にある和声が, 逆に旋律の音楽的意味合を規定してゆくのである.. 2. オ ー ケ ス ト ラ ・ 伴 奏 付 Rec .. (譜例 では伴奏は省略してある). バ ッ ハ 「マ タイ 受 難 曲」 No ,60(1 - 5) 譜例5. Eドb山門・ t! Hierst動tderHe I i Q i ndαれ98bunden. O ne”乾式. 食. ず. o s幽 晦、. o. wはれ‐den. 工指 He粋 絶ち. G多i- 参e一ほれ9,. 言緒. in/ hol ‐隣t e. ヘ ン デ ル 「メ サイ ア」 No .5 (1- 6) 譜例6. 4us sqi勘 the Lord 11 ,. 9to椎. le l& whi 久 耽‐t ,. thelゆ. of日o枕s:. l l s部水e 久nd l wi. 0 0 o こ こ でも 両 者 の違 いは 著 しい. バ ッ ハ に み ら れ る 80 , 7 , 6 , (減) 5 等 の 跳 躍 の 多用 と刻 々 変. 化する和声. それに対する, ヘンデルの主要和音内 での単純な分散形旋律と, カデンツとカ デンツ 99.

(5) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. の間をつな ぐメリスマ的なディ アトニ ッ ク音階. 和音進行の足取りは画然としており, すべてが明 解な音構想の上に成り立っ ている. これま でに述べてきたことは, バッハの好ん で用いた技法である, 音によることばの表象的表現 に も 通 じ る と こ ろ があ る. た と え ば, 「マ タイ 受 難 曲」 中 の, イ エ ス が 弟 子 た ち と 共 に オ リ ー ブ 山 を. i 登る場面で, バッハは低いc s音から始まる通奏低音部の音階をエ ヴァ ンゲリストに受け継がせ, 高 い a 音 ま で持 続 さ せ て い る.. バ ッ ハ 「マ タイ 受 難 曲」 No .20(2 - 3) 譜例7 Ev久れ el i5t. in‐9ens ighin‐αはs αn den oel ‐ber9 9. エ ヴァ ンゲリストの旋律自体は, 具体的に歌詞の意味を表現してはいない. ここに表われている のは, 山を登る行為を順次上行の音進行という形で表象していることだけ である. またこれが, こ とばを伴わない低音部の継続 であることを考えれば, バッハの旋律が, 歌詞の意味から独立した客 観的側面を持っ ていることが理解 できる であろう.. こ の こ と は Rec .よ り も, む し ろ ア リ ア の 中 に 如 実 に 表 わ さ れ て い る の で, 以 下 に そ の 例 を 示 す.. バッハの旋律が客観的・器楽的 であるといわれる所以がよくつかみとれる であろう. バ ッ ハ 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 No .60 (1 - 3) 譜例8 Ad. io. cc輔o 6p′. S5. 静. か. 00. わや. i Me i l d JI oBdにh n 能は-陀rHe. fm‐9en 1QBd詠 航‐ i.1帆d IQ烏 di frQ‐9 訓 I dihfm‐39n, erHe 9en , te涛r , , ノ QB ‘. 「我が尊き救世主よ (汝今十字架に死に給ふ時 事畢れりと云ひたまひたれば) 我に問ふことを , ,. 3 ) 許 し た ま え-…・ 一. oにも及 バス歌手の声部は, 通奏低音の動きと同一 である. しかもその通奏低音部は, といえばl o 100.

(6) . 中 村 隆 夫: 「ヨハネ 受 難曲」 に お けるレ チタ ティ ー ボの 研 究. ぶ広い跳躍,トリラー,連続する8分音符等 で彩られている。 「アリア」 の語が元来, 「旋律」 あるい は 「う た」 と いう 意 味 であ っ た こ と を 考 え れ ば, バ ス ・ ソ ロ の 音 型 は 「ア リ ア」 の 一 般 的 概 念 か ら. はかなり隔ったもの, という感じを抱かせる. テキストの意味するものは 十字架に架けられたイ ,. エ ス に 向 け る, キ リ ス ト 者 の切 々 た る 思い をこ め た 問 い か け であ る の で こ こ での 音 楽 は 譜 例 の , ,. ような激しい運動線よりも, むしろなだらかで起伏の少ない, 目 冥想的な旋律の方がふさわしいよう に思える. (もっ とも, この バス・ソロの背景に 流れる静 謹なコラール合唱は -- 譜例 では省略. -- 楽曲の雰囲気に, 最も一般的な意味 で合致しており, 楽曲総体としては 詩と音楽との間に異 , 和感は感じさせない。) しかしバッハがここに示してみせたものは 単なる必然的結果 あるいは唯 , , 一無二の帰結ではないことに気 付かねばならない このことは バッハの創作の中に 占める パロ . , プィ ーの意味の重要さを理解していれば, 十分に納得できることなの であるが, このアリアの音型 も, 実は バッハにおける, 旋律の無限の可能性からの-選択だっ たの である つまり バッハの旋 . , 律は必ずしもテキストとの間に共通項を持つとは限らず, しかもこの共通項を持たないように見え る, テキストと音楽の結合 が, かえっ て楽曲に大きな広がりを与えているのである 今仮に バス・ , . ソロの音型が, テキストの表現するものに, 非常に似かよっ た雰囲気を持っ ていたとしよう そう . すれば, テキストと音楽との一体感は以前よりも増すであろうが 同時に両者の各々 が持つ独自の , 美しさは, 互いにその効果を弱め合っ てしまう 。 工 1. バ ッ ハ の Rec 。の 旋 律 的 傾 向. Rec .の旋律の動きに は, 一 定の制約 が伴う. そのため以下のような一般的傾向を持つに至る. ( 1 ) 朗 唱 の ス タイ ルの た め, ア リ ア 以 上 に こ と ば の リ ズ ム が拍 を規 定 す る 。. ( 2 ) 旋 律の開始が上拍をとるか下拍をとるかは, ことばによっ て決定される . ( 3 ) 記譜は, ほとんどの場合4分の4拍 子に基くため 表面的には個々 の音符のもつ時間的・音楽 , 的音価は一定しない。. ( 4 ) 内的表現には, 音価よりも音程関係と速度関係が強く係る , 等 であ る。. Rec 1 )・( 2 )の理由の他に, 通奏低音の ,は小節の冒頭からは開始しない傾向にあるが, これは上記( 響きは, 通常 Rec .に先行するという演奏習慣上の要因も影響している。 このことから, 開始音は, 通奏低音の 奏する和音内の根音およ び第5音 であることが最も多い 両者の内 上拍的な開始 では , 。 第5音の方が優位にあり, その結果後続する下拍は, 同一和音内の完全40上の根音にほぼ限定され. てしまう.. 一 般 的 な Rec .の 特性 と し て, こ の こ と は 和 声 理 論 的 に も 自 明 の こ と であ る が, 個々 の 作 曲 家 の 表. わす Rec .の特質の違いは様々 である. そこで本論の中心的課題 である バッハの Re c .を取り上げ, 「ヨハネ受難曲」 中に表われる 完全40の音型で開始する旋律の全てにつき その傾向を分析して , ,. み る。. (譜例中, 白音符で示した音は, 該当する旋律断片の中心的な音である。 ほとんどの場合は そ , の旋律の属する調の主和音の根音であるが, 他の和音の根音であることも多く 混乱を避けるため , に, 以下の文中 ではこれを 「核音」 と呼ぶこととした。) ア. 完全40上行が核音に先行する旋律 (4 。 2個). 101.

(7) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. 音型a:完全40上行の後, 音階的上行を続けるもの. (29個) 譜例 9. No.4. 5. (h:lch A1 5れuれ Je‐s”S ≧い ih-”eれsP化し. b iパヌ. 音型b:完全40上行の後, 音階的下行を続けるもの. (2個). o 譜例・. 三星 』 ,. .. 臥.. le Jun‐9er sei -y .. und. 2個) 音型c:上記以外の もの. (1 N 呈逗 , , ,. 譜 似1. 代. ,. ‐. 12 M N. J 1 ご ies( e 3tek-kede inS市we式ind -de;. イ. 完全40上行と下行 が核音をはさむ旋律. (12個) 音型d:完全40上行の後, 再び完全40下行するもの. (12個) 譜例 12. No.2. . . . . . t ft ・能 豹ch o denn Je‐5usver ‐Mum‐me. 音型e:完全40下行の後, 再び完全40上行するもの. (なし) ウ. 完全40下行が核音に後続する旋律. (27個) 音型f:核音が開始音となるもの. (16個) 譜例 13 ト、. No、6. 、. 。e b. F. A. g」. Je- 5仏s qnも‐wor lbe‐ もe:. 1個) 音型g:核音に 同度のアウフタクトがあるもの. (1 譜例 14. No、49. . 服. 1 1. ‐ 1 1 1. L ー間 1 1 =. ing i ebe Pゞ-I Q‐tus q-berschr. 唖. -. . ・. (あr i化 U- bers ,. 上記のa~gの分類は, 旋律の外面的様相によるものであるが, 個々の音型の有する内的機能の 相違は, 必ずしもア~ウの枠組の中に納まるもの ではない. 102.

(8) . 中 村 隆夫: 「ヨ ハ ネ 受難 曲」 に お ける レ チ タ ティ ー ポの 研究. 先ず音型 ”こついて みれば,実は音型d,gとの間に, 強い近 似性 が認 め ら れる の である 今こ .. れ を,音 型 f の ア ウ フ タ ク ト と し て, ディ ア ト ニ ッ ク な 音 階 音 を 一 つ 一 つ あ て は め る こ と に よ っ て ,. 実験的に考察してみよう.. 音 型 f は, こ と ば の 上 で Jesusantwo teteの ごと き ア ク セ ン ト を有 して い る。 こ の セ ン テ ン スに, r アクセントを持たな い接続詞 Und を付加してみよう (UndJesus antwortete)。. J es usの語の完全40下行は, 長3和音の分散形を成す閉鎖的音型の一部 であり, しかもJ ‐は出発 e. 音に主音を取っ ていることから,それに対するアウフタクトが2点g音よりも上に置かれることは, まず考えられない. (事実, 「ヨハネ受難曲」 中にはそのよう な例は見られない また一般的可能性 . として, 主拍 (核音) の2o上のアウフタクトも旋律的に妥当性のあるものであるが, 曲中には見出 せ な か っ た.) ま た バ ッ ハ の ア ウ フ タ ク トは, 主拍 と の 間に, 下 方 80よ り 広 い 音 程 を 取 る こ と は な い. ので, 複音程を成すものも除外した。(これらのことは例示した譜例 の場合のみならず, 音型fに属 するもの全てに一般的に該当する。) このことに基き, 以下に Und が取り得るアウフタクトの可能性を示す。 譜例 15. 』 .当. 5 ) ー. L. き. ) 三 ◎ . “. 』. 6 ) , .. き. ) 3 , ,. Q. Q. 戸. 7 . . 一. 4) ◎. 日. 警. .. Q. 感. ”. 8 ) ]ー. バ ッ ハ の Rec . では, 隣 り 合う 音 が 1 オ ク タ ー ブ の 隔 り を 成 す こ と は 稀 であ る.(劇 的 な 表 現 の た め. に用いている例は散見できるが, その場原も上行80に限られる。) 1)の音型の場合も, 音程関係は 8)と同質であり, 意 外性 や 緊張感 をもたらすため であっ たとしても, 1オクターブは音響的には 無色であるため (特に, 完全40下行が次に控えている場合は一層) , アウフタクトはその妥当性を 失っ てしまう. 2)は第一に70という大きな不協和音程跳躍が, Und という単純な接続詞には不調和なものであ るゆえに, 第二には4)・6)と共に和声進行 (この場合には潜在的なD進行) の原則からはずれる. ゆえに, 除外される. 7) の場合の 症 音は導音として作用する。 そう であれば当然, 小節線をはさんでD-Tの和音連 結を和声的背景に要求していることとなり, 一 見妥当なもののように見受けられるが, その強い主 音指向により, 運動の発展性が止められてしまう結果を招く. これは旋律の終結の際に常套的に用 い ら れ る 音 型 であ っ て, 開 始 の た め の も の では な い。. さて, 残る音型3)・5)・8) についてみれば,いず れも旋 律の骨格 をなす和 音 (g-h-d) の構成音に合致しており, アウフタクトとして最も無理のない音という ことができるが, この内3) に 限 っ て は, 全 曲 中 に 見 出 す こ と が でき なか っ た. 理 由 と して は 2 つ の こ と が考 え ら れ る が, そ の. ひとつは3和音の3音そのものの不安定感, もうひとつは上行60の跳躍が生む旋律的な抵抗感と, そ の後の完全40下行の進行との間にもたらされる旋律としてのおさまりの悪さ (3音- 根音-5音) である。 (ただし, 同じ分散和音旋律でも, 60上行の後30下行する形 (5音-3音- 根音) は特定 の感情を印象的に表現するものとして, しばしば用いられている. 103.

(9) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究 No .ー8. 譜 例 16. 1山. b i Iにht′ れSr. 0 i しかし, この音型は, 3音 (譜例のc s音) を取り除く ・ことによっ て, 結局は完全4 上行に同化す るもの であることが理解 できよう.) 以上のことから, 音型 白まアウフタクトに第5音あるいは根音を付加 しうるものとみなすことが. でき, 音型d,gとの近 親 性 が浮か び上っ てくる. そこ で問題点を音型dとgに移し, アウフタク トに第5音と根音がどのように採択されているかを,適用されていることばの比較を通してみよう. (=は核音を示す) 音型d 〈第5音-根音〉 表1. ② Je ‐sus 】spricht zu, h b S ⑤ u r e-det e ndl i r告 e r ④ De1 c aa , , i i i h t M IR t s ⑧ d a n e c e ⑥ un lw rme e, , i h D s i b t d r e ‐ ⑲ a l c e n ⑨ 熱l s u, , iegs te ⑬ undlsprachzu i ‐knech‐ ⑪ Undld e Kr , , d i d i D ⑫ 1 hn e r e ⑬ daB e ali , ①. dennl座‐ sus ,. 音型g〈根音-根音〉 衷2. ③ ⑪ ⑯ ⑬ ⑳ ⑳. i S r elをbe ,. undlset t e. l Auf-daBerful ‐ et ,. ⑦. i‐ ⑮ P ー媛土us , -. i te Di egs‐knech- e1Kr , l Auflda B erful et - ,. i-ner undl se ,. ⑪. i Bd e auflda. ⑰. Der三Rock 後ber ,. undlhaben , l d, lsひba undla ⑩. 注) ○ 中 の 番 号 は 出 現順. 以 上 の 如 く, こ と ばそ の も の の 品 詞 や, セ ン テ ン ス 中 の ア ク セ ン ト の 有 無 は, ア ウ フ タ ク ト の 音. 高を規定しない. 中には音型dの⑪のように, 文中のアクセン トと, 拍の関連が全く不合理に思わ i eは定冠詞 で, アクセントを持たない.)これは本来, 音型gの れるものさえある.(この箇所での d i i ⑯ の 如 く,Und d te の よ う に な る べ き であ る が,お そ らく は 4 分 の 4拍 子 の 符割 に ‐knech- eIKr egs i ‐の シ ラ ブ ル が 正 当 な 位 置 を, 占 め そ こ ね た も の と 考 え ら れ る, た だ, 全 曲 の 中 核 縛 ら れ て, Kregs. とみなされる No , 後半には音型g .40のコラールをはさん で, 前半には音型dが (⑫ を除く 11個) (③ ⑦を除く9個) が集中しており, ごく一般的なアウフ タクトである第5音が, 次第に断定的な 色合のより強い根音へと, その位置を譲っ ている. このことは, バッハの内的聴感の中 では, 音型 d と g が 同 質 の も の であ っ た こ と と, No .40 の 前 と 後 では, 楽 曲 の 構 成 の 上 で明 らか に あ る 意 図 的 な 対 比 が 図 ら れ て い た こ と を 示 唆 して い る. こ れに つ い て は, 後 述 の, Rec ,と そ れ を 挿 む 前 後 の 曲. との関係の項 で, 改めて述べ ることとする.. 音 型 f が d, g と どの よ う な 関 り を 持 つ か を 見 て き た が, こ れ ま での 結 果 か ら音 型 e に つ い て の. 可能性はほとん ど失われてしまう. すなわち, 主音と属音が並置された時に, 主拍に置かれた属音 に対して主音がアウフタクトの役割を担うことは, 和声機能の原理から しても音エネルギーが逆行 104.

(10) . 中 村 隆夫: 「ヨハ ネ 受 難 曲」 に お ける レ チタ ティ ー ボの研 究. して しま い,旋 律 を 構 成 し得 な い か ら であ る 事 実 バ ッ ハ の Rec ,に は,そ の よ う な も の は 存 在 しな い. .. 音型bは曲中2例しか認められないが,いずれも長いフレーズの末尾に置かれた断片的なもので, 他の音型と同列には論じ得ない.. 最後に音型aは, 数の上でも少なくないもの であるが, 最初の音 (アウフタクト) を除けば, 曲 中随所に見られる単純な順次上行音型に似てく る. 譜例17. . . . . l t断は‐re w)n o‐benherdb i i id wenns ed rn. . . 99‐ 99‐ben;. しかし両者の間には, 音型fとgあるいはfとdにおけるような相関関係は, 単純に認める訳には ゆかない。 というのも順次上行音型の開始そのものが, ドミナントの機能を持ったアウフタクトで あるものも数多くみられ, 譜例18. 2 1 監定劃 ー - 馨 勝 -- 聯錨. その場合には, 開始音の前に重ねて完全40下のアウフタクトを置く ことができないからである そ . れゆえ, 音型aも単なる上行順次進 行の音型とは異なる, 独自のものとして分類することとした .. 以 上 の こ と か ら, バ ッ ハ の 完 全 40音 型 に よ る 開 始は 上 行 を 以 っ て す る aと (特に分析はしな , ,. かっ たが) c, 上行と下行によるd, 下行による f,g の 3 種 に 分 類 す る こ と が でき る. 1 1 1 バ ッ ハ の Rec . の 和 声 構造. まず前記の音型の核音と到達音との関係につき, 分析する 両者の間には 一定の音程関係が認 , . められる. それらを以下に示した. 〈表3〉 いずれも核音を含む和 音をTとみなし, それに対して, たとえば上方に完全40(あるいは下方に 完全50 ) の関係の到達和音 が置かれるような場 合には, T-S で示した したがって これらの和 . , 音記号は, 必ずしも曲中の和声機能と一致するとは限らない . 表に見られる通り, 核音に対する到達 音の関係 では ぬ) ほ) よ) お) り) 等が特に多く こ , , , , , , o ほ)-Vo よ) - れらの音は核音を 「とす れば, それぞれ ぬ)V1 0 お)-Vo り)V1 f音である. , , , , , ここから推測しうる到達 和音の最も普遍的な形は, これらを構成音としたS和音 およ びT和音 , oに落着くものはS和音に であるが, 結果はほぼ予想通りのものとなっ た.すなわち,IV o . V1 に落着 oに落着くものはT和音に くものはWの和音と, その数を上まわるS和音に l . , 最も多く到達して いる. この内, T和音に到達するものは, よ) にみられるような閉じた1個の和音の分散形として 表れる場合と, り) のようにS和音への指向エネルギーを内包したものの二つに分れる しかし全 . 体を通じて支配的なのはS和音であり, しかも1 1の和音, Wの和音は機能的にはSに準ずるものと 「 見なすことができる. 元来, T和音は 「静止」 「 , D和音は 集約」 , S和音は 発展」 の機能を持つ, と考 え る こ と が でき る が, バ ッ ハ の Rec .に あ っ て は, T - S の 和 声 連 関 が 和 音 進 行 の 基 調 と な っ て. おり, 到達 したS和音を出発点 (S=T) として, 新たなT-S連関へと継続する傾向を持っ てい 105.

(11) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. 表3 核音と到達音 の 音程関係 ろ. 上. は に ほ へ と. ち. り . ぬ. ‐. 同 下. る お わ か よ. 80 70 60. 50 40. 30 20. 度 20 30 40. 50 60. 70 80. 数. 核音との主たる. 音型 と の 関 連 ・ そ の 他. 和声関係 (数). ( V ( = V n ア ”. 音型 a のみ 音型 a のみ 1.← ふ 10個 ま で音型 a n ア ”. 豪 雪 { 圭 三. Q U . ふ. 4 内2個 は増10 ハ h ). ) T- T( 5. ま 塁 選 ほ三. Q^U= V に u. 音型を問 わ ない. T:喜捨 ≧. ( 一 リ. T-磁気. っ ” 1 1^ = V I ←. 音型 a には皆無。 ほとんどd, f, g.. {本:雲霧. る. これが1の項 でも触れた, バッハの旋律の拡散的・遠心的な様相の大きな要因となっ ているの であ る. W. 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 に お け る Re c .の構成上の役割. スメントによ っ て指摘された 「ヨハネ受難曲」 の構築的全体像は, 主に合唱曲とアリアによるも. の であ っ た が, Rec .は そ の こ と に 全く 関 与 し な い の であ ろう か ?. 以 下 に Rec ,と, そ れ を挿 む 前 後. の楽曲の関係を分析し, 解明を試みる. 「ヨハネ受難曲」 では 「ヨハネによる福音書」 第18章1節から, 第1 9章42節まで (一部分, , 「マタイによる福音書」 か らの借用を含む)の記事と,バッハによっ て選 ばれた 聖句や歌詞が,その テキストとなっ ている. 前者をテキストとするのは Rec ,と群衆(あるいは祭司長たちや弟子たち) の合唱であるが, この両者の間には 共通のモティ ーフの存在することが多く, そこから, 全曲の構. 成の下位レベルに, 緊密な有機的つながりをもたせようとした, バッハの意図を読みとることがで き る.. ( 1 ) No .1 ~ 7. 〈図 1〉. No , 特に重要なものがいくつか含まれて .1 には, 「ヨハネ受難曲」全体に表われるモティーフの内 い る。 た と え ば, .1 の 開 始 部 分そ の .11 の ア リ ア 冒 頭 は, No , 一 対 の オ ー ボ エ に よ っ て 示 さ れ る No. 5 )の No 7 )のNo も の であ る し, 後 出 の( .44 も ま た, そ のイ ミ テ ー シ ョ ン な の であ る. (しか し, .36 ,(. この項で扱う中心課題は Rec .であるの で,今回は特に 全体の曲との関連には立ち入らないこととす る。) まず No .1 であるが, 曲の冒頭はGの同音反復を行う低音と, 絶えず揺れ動く16分音符を受け持 つ2つのヴァイオリン, その間を縫うように進行する木管楽器などで開始される. このとき ヴィ オ r ラも, 大体において ヴァイオリンと同じ音型を奏するのであるが, 開始部分の1~4小節だけは譜 例 の ごと く 8 分 音 符 に よ る 動 き を 見せ て い る. そ し て 実 は こ の 4 小 節 の 中 に, No .2 の Rec .の 冒 頭. 部分が予示されているの である. 106.

(12) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究 図一 I. O .l N . . . 、. T. 7. 、 、. . ・ 、 ・ : 、. 1 ・ : \. ▼ ▼ ▼ ▼ ▼. L. 建 ≧も. 総ぶ - 三. ; ミ. f. す. 。. .. , ,” ;. ▽ザ▼ r. 携壷 。, L. ご. . . ▼ 。 ” ,. 丁. 』. T ご ぬ ぬ. き. . ↓. 抑. ば… … ー1 ! . . 更に こ の 予 示さ れ た 部 分 は, No .2 の 旋 律 の 動 き を 借 り て No .5 に 再 提 示 さ れ, そ の 結 果, 1 - 2-5の間に堅固な枠組が形成されるのである 間に挿まれている No.3 は, テ キ ス ト が No .5 と. . 同一 であり, またその音楽も同質のもの であるから, 当 然 No .5と位置 を交換することも, また. ン ュ ッ ツ が 彼 の 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 の 中 で行 っ て い る よう に, 同 一 の 曲 を 配 置 す る こ と も でき る の で. あるが, バッハはこれを巧妙に避けている. これは, バッハが音楽の底流に, 統一的な均衡よりも, 動的な構築性を求めていたことの証左に他ならない, また, かつて 「ヨハネ受難曲」 の第1曲は, 他の曲がその位置を占めていたとされ (一部の学者 4 ) は, まだこの説を支持している) .1と後続する曲との緊密 なモ , 後に否定さ れたの であるが , No ティ ーフ連関を見れば, これが当初からの, バッハの楽曲配分であっ たことが十分裏付けられよう, ( 2 ) No .10~18. 〈図 2〉. 続く 一 群 では, No .12 の 音 型 がそ の ま ま 投 ,13 の 冒 頭 に は, No .12 が そ の 中 心 と な っ て い て, No 影 さ れ て い る. し か し, そ の No .12 も No .11 の 低 音 部 と の 間 に 強 いつ な がり を 持 っ て お り, 更 に そ. の前に置かれる No 0の開始部とも関係が深い. .1 ( 3 ) No .18~23. 〈図 3〉. 107.

(13) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究 図-2. No .lo C.. ec.. W. ぱ 馴ぬ. ー 翻. 図-3. No .-8. No .Z3 coro. 108. 輪. . #.. ,. 鱒参 鱈 参. b盤. 」.

(14) . 中 村 隆 夫: 「ヨ ハネ 受 難曲」 にお ける レ チ タ テ ィ ー ボの 研 究. 第1部の最後と第2部の最初には, 共にコラールが置かれていて, 互いに切り離されているよう に見える。 しかし No ,18と No .23 に 示さ れ る よ う に, 一 方 は ペ テ ロ の 嘆き, 他 方 は 激 昂 す る ユ ダヤ 人 た ち,と 場 面 の 設 定 も 音 楽 の 様 相 も ま る で異 っ て い る の に,そ の モ テ ィ ー フ の 型 は 同 じも のに 拠 っ. て い る.. ( 4 ) No .22~31. 〈図 4〉. 図-4 N◎.22. 27 一 欝 閣 感 醸. 緬. No.匙冬. 謬 』 r. 鱒 殉‐. 髭. 』 N。. 馨. 醸 隠 亀 積 マ・. 欝 1 ー 1 鯛 1 1 1 ”猟 鰯 i 圃 1 l も 1 癒 耐 ・ No .霊8. ザ. 闘◎・盆葛. 鴎. .. 4. ・ザ 腐 1 メ1 11農 1 β夢 瞥 霧1 厨 ▲ー .ー f鰯 醐 1″ 園 W 閣蟻 拶 拶 ‐塾 ゑ』 拶 ザ 1 I F徽 夢℃ -. 蝋 ーAー ′風 1 ″ー 恥1 y l. ー. ・. デ ー. 』. ↓. 鍵. ,, 欝 ぬ 愈駆 尻▲ 圏 膨 ・ 1″ ′彰 も 拶醇. ー 1 l l 1鰯 1 』. . 1 亀. 〆 朋 鰯 戯 1 膨 1 1 1 1. 吾 ▼ ▽ 摺 馨. ‐ ‐. キ. ぬ. 回. *. ず. ず. 柁@ .ぬ. 1 1 1 ,l i 麟, 薩一 1 唖 汐 キ 4 鱒 ー ▼ ’ 啄-. 醤. 需. 象. …. -. 「. 際義. ー 癒 圃 圃 膨 霊 感 珍 幽 r 1 1 謬1 唖 』 * 平 一薯 1 ′ ” 劃 -〆. 圏 闘 閥. 1. NO .. 完 全 40 分 No .23 の テ ノ ー ル の 声 部 に 織り 込 ま れ て い る。 そ の 他 の 部 では, .22 の 開 始 部 分は, No. の音型が中心的である。 ( ) No 5 33~37 .. 〈図 5〉 No .33 の 譜例 は, こ と ばと 音 楽 のイ ン トネ ー シ ョ ン と の 関 係 に お い て, 不 自 然 な 感 じ を 与 え る.. 1の 項 で も 触 れ て あ る が, こ れ が も し No こ の こ と に つ い て は, す でに1 .35 の 譜 例 と の 間 に 統 一 を 109.

(15) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究 図-5. No .33. 1. .. 1. 1. No .37. ’. I. 図っ た結果だとすれば, ある程度の納得がゆく. しかし, バッハの意図には, そのように墳末な部 分に拘泥するような構想はなかっ た であろう.No .35 と 37 に は, No .36 を挿 む No .36 に 凝 縮さ れ て いる音型の原型が, 同数ずつ配分されている. 6 ( ) No .39~43. 〈図 6〉. No .40 を シ ン メ トリ ッ .39と 43 は 同 じテ キ ス トに よ る も の で, 音 型 も 一 致 し て い る. バ ッ ハ が No ク な 構 想 の 中 心に 据 え る に 到 っ た 要 因に, こ の 様 な こ と が 関 っ て い た の か も し れ な い. 曲 の 相 互 の. 関係は次第に複雑さを失い, Re c .のモティ ーフの応用の仕方も簡素になっ てくる.. ( ) No 7 .44~46 〈図 7〉 こ の 後,Rec ,と 他 の 曲 と の モ テ ィ ー フ の 共 有 は 途 絶 え て しま う.も っ と も No .57 と 58 . ,お よ び No. 62と6 3の相互には, それぞれの前者の終結部分に, 後者の主要モティ ーフの予示があ るが, それら は接続詞的に働くのみ で, それ以上には発展しない. 以後終曲ま で, Rec .のモティ ーフは, 曲相互 の連関に深く関ることはな い. すなわち, 全曲の前半に比べ, 後半ではもはや Re c .の果していた機 能は重要な要素とは見なさ れていないの である.. ス メ ン ト が 指 摘 し た, No .40 を中心とする構造のバラン スは, このことの解明にある程度の示唆. を与えてく れる. すなわち, これま での各曲の分析によれば, バッハの当初の構想には, 時間的経 緯とともにモティ ーフを鎖状に発展させ, 各々の楽曲が不可視的な部分で有機的に深く結びつくこ 10 1.

(16) . 中村隆夫; 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究 図-6. No ,3今. . l . . No .43 . . . 図-7. ″ 息 肌 雫駆 靭 巴圃 響 r簾 W ′ Z Z 1 ″ ,! も】 ▽閲 ず . 参閣1謬 謬 一 田 川▲ ! W ‘ W 打 盟酬1凋 拶 . N。,46. 夢 1 謬 戯 偶 平一. ぬ i し 赫豊平 .1 ′ 凋1 ″ F 1▼ r ▼ ザロ1 ″ 』 〆 ‐ 』1 ず謬 醇 I r y 1 . ]. ↓. とにより, 全曲の構造を堅 固に作り上げようともくろん でいた -- と考えられる節があるの であ る。 それが創作の筆を進めるにつれ, テキストの類似する箇所の偶然的対比に触発されて, その構. 造を転換させ ていっ た, と考えるのが現在の時点では最も自然に思われる その結果, Rec .が曲の 。 , 枠組形成に果してきた役割は, No 4 0以降の曲の鏡状の再示によ て肩代りされることとな っ っ たと . 考えられる. そう であれば, No R c .40以降に再出する楽曲と, 新たな e ,との間に, モティ ーフを共 有できにくくなるのも, また当然の帰結であろう. び V. 結 「ヨ ハ ネ 受 難 曲」 の Rec に つ き 様 々 の 角 度 か ら そ の 組 成 の 解 明 に 当 っ て み た でき う る 限り . , , 。. 音素材の分析に沿っ て論を進めてきたが, ここに得られたものは, 未だ明確な結論に値するもので. は な い. しか し, バ ッ ハ の Rec .の い く つ か の 相 は, 浮 び 上 ら せ る こ と が でき た と 思う。 す な わ ち, バ ッ ハ の Rec の旋 律 に は 彼 . .の 役 割 は, 単 な る 「つ な ぎ」 で は なく, , 特 有 の 定 型 が あ る こ と. Rec 111.

(17) . 中村隆夫: 「ヨハネ受難曲」 におけるレチタティ ーボの研究. 楽曲の有機的構造に働きかける重要因子でもあること, 等 である 研究にあたっ ては 資料の入手 . , も難しく, 必ずしも全ての項に満足のゆく 考察を加えることはできなかっ た 今回不十分であっ た . 部分については, 新たな機会に論述することとなろう. その際には, バッハの他の楽曲との比較に. よる Re c .の研究が課題となる見込 である.. i l i 1893 -) 1) Smend,Fr ed ch( i 2) DieJohannes ‐Pas s onv en Bauunte r suchtin BJ23 .Bach .Aufihr , ,1926 K,ガイリンガー (角倉一朗訳) バッハ -- その生涯と音楽 --2 5 3一25 4頁 白水社 1970 3) 「ヨハネ伝による受難曲」 日本グラモフォン社 1 9 83 28/30 解説書より引用 1968. 4) 上記解説書 東川清一,.バッハ 「ヨハネ受難曲」 1 96 8 . 参照 (本学講師・札幌分校). 112.

(18)

参照

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