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-中学部1年
自立活動学習指導案
指導者 ○○ ○○ 1 単元名 「正しく書き写そう」 2 指導観 ○ 本授業の対象生徒は中学1年の弱視の生徒1名である。生徒の見え 方については表1に示すとおりである。主に右目で視覚情報を取得 している。眼球震盪があるが、色覚に異常はない。板書の文字サイズ は15cm角(2mの距離)である。手元の文字については、最適読書文 字サイズが28ポイント(視距離15cm)程度である。板書や、手元の文 字ともに書き写すスピードは速いが、起筆・終筆が意識されておらず、 不正確な字になってしまっている。また、手本を書き写す際、責任の 「責」の貝の部分を月と混同して書く等、似た漢字の構成要素を取り 違えて書き写すこともある。 一方、授業で音読する際は、途中で言いよどんだり、読み違えたり せずに読むことができている。このことから、生徒は文字を読む際、 前後の文章や送り仮名などから予測して漢字を読んでいることが多い と推測される。予測して読む力は重要であるが、文字を書き写す際は、漢字の細部に注意して見 ることが必要である。 ○ 本単元は、構成要素に注目した漢字書字指導を通して、教科学習の基礎となる文字を正しく書 き写す技術を高めることをねらいとしている。 板書をノートに書き写したり、教科書やプリントを書き写したりというような文字を書き写す 活動は、学習では欠かせない活動である。しかし、見えにくさのある生徒にとって教科の授業だ けで正しく書き写す技術を身に付けるのは困難である。したがって、学習上の困難を克服するた めに、自立活動の中で保有する視覚を活用し、文字を書き写す技術を高める本単元を設定するこ とは、自学自習の力を身に付けることにもつながり、生徒にとって意義深いと考える。 1単位時間の活動は、毎時間、活動①「見ることを中心とした活動」、活動②「ゆっくり正確に 書く活動」、活動③「正確に書き写す活動」の3つで構成されている。 活動①は、漢字を構成要素に分解して言語化する力や漢字の細部の違いに気付く力を高めるこ とができる活動である。漢字を構成要素に分解し、言語化するとは、「達」という字を例にとると、 「土・羊・しんにょう」と構成要素に分解して口頭で表現することである。これによって漢字を 漠然と見るのではなく、既知の構成要素の組み合わせとして見る見方を学ばせることができる。 また、漢字クイズとして、スライドで漢字を短時間提示し、正誤を答えさせる活動を行い、正し い文字かどうかを判断させる活動をとおして、細部に注目して見ようとする意欲や技術を育てる ことができると考える。 活動②は、起筆・終筆を意識して行う運筆練習や、漢字を言語化して書く練習を行うことで、 文字を正確に書く力を高めることができる活動である。漢字を言語化して書く力は、今後、新出 漢字などの習得にも役立つと考えられる。さらに、ルーペで見直しを行わせ、点検させることで 細部に気付く力を付けることができる。 活動③は、学習漢字を含んだ短文(25文字程度)を実際に書き写すことで、活動①②で学んだ ことを生かすことのできる活動である。活動①で学んだ漢字を構成要素に分解して見る見方や、 活動②での起筆・終筆に気を付けて書く書き方が活動③で役立つことを生徒に感じさせることで 活動①②への意欲も高めることができると考える。 ○ 本単元の指導に当たっては、1単位時間の学習活動を、活動①〈見ることを中心とした活動〉 →活動②〈ゆっくり正確に書く活動〉→活動③〈正確に書き写す活動〉の順に行うことで、学ん だことを次の活動に生かせるようにし、効率的に学習できるようにする。 また、1単元の学習内容をステップ1~3の3段階で設定し、次第に難易度が高くなるように する。ステップ1では、構成要素をとらえやすい既習漢字(部品ごとに分けやすい、部品に名前 があり言いやすい)を学習漢字とすることで、漢字を構成要素に分解し、言語化したり、丁寧に 書き写すための基礎を学ばせるようにする。ステップ2では、構成要素をとらえにくい漢字(部 表1 対象生徒の実態2 -品ごとに分けにくい、部品に名前がなく言いにくい、形が似ていて間違えやすい)を学習漢字と し、ステップ1で学んだことを基に工夫して漢字を構成要素に分解し、言語化したり、正確に書 き写したりできるようにする。最終段階のステップ3では、速さを意識して、色々な構成要素の 新出漢字を分解し、言語化したり、正確に書き写すことができるようにすることで、今後の教科 学習で文字を書き写す際に生かせるようにしていく。 教材・教具については、生徒が見やすく主体的に学習できるよう、スライドやプリントなどの 文字を生徒に見やすい文字の大きさや配色で提示したり、スライドを自分で操作して問題を解き、 正解を確かめられるよう工夫したりする。 さらに、本単元の指導に当たっては、生徒が見通しや自信をもって活動できるよう、以下の3 点に配慮して指導を行う。 ・授業の流れをが分かるよう、学習内容をボードに示し、掲示しておく。 ・生徒の考えや答えを肯定的に受け止めるようにする。 ・自分で目標を設定させ、記録させる。 3 目標 ○ 漢字の構成要素に分解し、言語化することができる。 ○ 漢字の構成要素を正しく書くことができる。 ○ 手元のプリントと板書の短文を、正確に書き写すことができる。 4 計画 5 本時 平成○○年○月○日(金) ○校時 1年1組教室 (1) 本時の指導の考え方 本時は、本単元の1時間目に当たる。単元指導計画では、ステップ1にあたり、文字の見方、書き 配時 1(本時)・2・3(ステップ1) 4・5・6・7(ステップ2) 8・9(ステップ3) 目指す姿 ・構成要素の言語化の仕方が分かる。 ・構成要素を自分で言語化して答える。 ・新出漢字の構成要素を言語化して答える。 ・起筆・終筆を意識して丁寧に書く。 ・丁寧に正しく書く。 ・丁寧に正しく書く。 ・丁寧に書き写す。 ・丁寧に正しく書き写す。 ・速さを意識して正しく書き写す。 学習漢字 ・同じ部首の漢字(小4~小6) ・同じ部品をもつ漢字(小4~小6) ・構成要素が共通していない新出漢字 *構成要素をとらえやすい漢字 *構成要素をとらえにくい漢字 *色々な構成要素の初めて習う漢字 (部品ごとに分けやすい・部品に名 (部品ごとに分けにくい・部品に名前がな (これまでの学習で登場した構成要素を 前があり、言いやすい) く言いにくい・形が似ていて間違えやすい) 含むものを中心に選ぶ) のぎへん(利・私・税・程・穀) 貝(遺・積・績・費・慣) (遣・悩・膚・兼・歳) にくづき(胃・肺・腹・脳・胸) ひとやね(倉・験・輪・輸・論) (擦・繕・癖・逮・喫) いとへん(絹・統・純・縮・編) けいがしら(律・建・妻・糖・録) ほこづくり(我・義・裁・織・識) 活動① 1 学習漢字カードで読みを確認する。 1 学習漢字カードで読みを確認する。 1 学習漢字カードで読みを確認する。 見ることを中心と 2 漢字の書き取りテストを行う。 2 漢字の書き取りテストを行う。 2 漢字の書き取りテストを行う。 した活動 3 スライドで学習漢字の構成要素を 3 スライドで学習漢字の構成要素を確認 3 スライドで学習漢字の構成要素を確認 1 (スライド使用) 確認し、成り立ちを知る。 し、成り立ちを知る。 し、成り立ちを知る。 時 4 ヒントを基に構成要素に分解し、 4 構成要素を分解し、言語化する。 4 構成要素を分解し、言語化する。 間 言語化する。 5 漢字クイズを解く。 5 漢字クイズを解く。 の 5 漢字クイズを解く。 学 活動② 1 とめ、はらい、はね等の運筆練習を 1 丁寧に書く。(構成要素を言いながら 1 丁寧に書く。(構成要素を言いながら 習 ゆっくり正しく する。 書く) 書く) 活 書く活動 2 丁寧に書く。 2 書き取りテストをする。 2 書き取りテストをする。 動 (プリント使用) 3 書き取りテストをする。 3 活動①のテストを自己採点する。 3 活動①のテストを自己採点する。 4 活動①のテストを自己採点する。 活動③ 1 手元の短文を書き写す。 1 手元の短文を書き写す。 1 手元の短文を書き写す。 正しく書き写す 2 板書を書き写す。 2 板書を書き写す。 2 板書を書き写す。 活動 評価の観点 ・ヒントを基に構成要素に分解し、 ・構成要素を自分で言語化できたか。 ・色々な構成要素を言語化できたか。 言語化できたか。 ・構成要素ごとに丁寧に正しく書けた ・構成要素ごとに丁寧に正しく書けた ・起筆・終筆を意識できたか。 か。 か。 ・丁寧に書き写せたか。 ・正しく書き写せたか。 ・速さを意識して正しく書き写せたか。
3 -方の基礎を学ぶ段階である。生徒が漢字を構成要素に分解し、言語化する方法を理解すること、起筆 ・終筆を意識して丁寧に書くこと、手本の通りに書き写すことができるようになることをねらってい る。そこで、生徒が書く機会も多く、画数も少ない「のぎへん」の漢字の中から、構成要素をとらえ やすい漢字を5字選択して学習漢字とした。 活動①では、主にスライドを使用する。同じ部首(のぎへん)の五つの漢字を提示し、読みを確認 する。その後読んだ漢字の書き取りテストを行う。採点については、活動②で自己採点することを伝 えておき、自分が書いた文字に関する関心を高めるようにする。次にスライドを見て漢字を構成要素 に分解し、言語化する活動を行う。既習の漢字や片仮名を漢字の中から探すことを通して漢字を構成 要素ごとに見る方法を理解させたい。次にスライドを使って漢字の間違い探しや、細部を見比べるク イズを行う。クイズでは、自分でスライドを操作して問題を解いたり、正解を確かめたりすることに よって生徒が主体的に学習できるようにしたい。 活動②では、運筆練習プリントと漢字練習プリントを用いる。対象生徒は書くスピードは速いが、 起筆・終筆が崩れ、不正確な文字になりがちであるので、速さよりも丁寧さを意識できるように、「と め」「はね」「はらい」などの運筆練習を取り入れる。ゆっくり丁寧に書くことで、整った字が書ける ようになることを生徒が実感できるようにしたい。書く際のポイントについては適宜確認していくよ うにする。次に、構成要素を、「のぎへん・ソ・兄」(税)など言語化しながら漢字を練習させるよう にする。漢字練習の後に学習した漢字の書き取りテストを行い、教師が採点をする。さらに、授業の 初めに行ったテストを自己採点する。より正確に書けるようになったことを実感させるとともに、見 比べてどこが間違っていたか自分で気付かせるようにしたい。 活動③では、活動①②の活動で学習したことを生かして、手元のプリントと板書の短文(25字程度) を書き写す活動を行う。正確に書き写すことに主眼があることを伝え、丁寧に書き写させるようにし たい。 また、単元の導入の時間に当たることから、これからの学習の流れや方法について説明を行うとと もに、本時の目当てを確認し、学習への見通しや意欲をもたせるようにしたい。 (2) 本時の目標 ・構成要素をとらえやすい漢字を、教師のヒントを参考にして構成要素に分解し、言語化するこ とができる。 ・起筆・終筆を意識して丁寧に書こうとすることができる。 ・手元のプリントや板書を丁寧に書き写すことができる。(間違いがそれぞれ3文字以下) (3) 準備 ①今日の予定カード ②漢字テスト ③ノートパソコン ④液晶モニター ⑤学習プリント1 (運筆練習) ⑥学習プリント2(漢字練習) ⑦ルーペ(Eschenbach×7 ライト付き) ⑧自己評価 カード⑨板書視写掲示用 ⑩手元視写用プリント 7 展開 配時 学習活動・内容 指導上の留意点 評価の観点 準備 6分 1 今日の学習と今後の学習予定の確 ・本時の学習に見通しをもたせ ・今後の学習の流れが理 ①② 認 るため、ホワイトボードに予 解できたか。 ○今後の学習について見通しをもつ。 定表を掲示しておく。 ・今日の活動の流れが理 ・今日の予定と今後の学習の予定 解できたか。 を聞く。 ・今日の目当てを確認する。 20分 2 見ることを中心とした活動(活動①) ・身近な熟語で提示する。 ・自分が書いた字に関心を向け させるため、3の活動の後自 己採点することを伝える。 ○漢字を構成要素に分解し、言語化 ・構成要素に気付いたか。 ③④ する。 ・自分で言語化できたか。 ①学習漢字のカードを見る。 ②5つの漢字の読み方を言う。 ③5つの漢字を書く。 ④漢字を分解する。 ・一画一画をはっきりと見せる ・一つ一つ確認しながら分解する。 ため、スライドで確認させる。 (1回目) ・構成要素を言語化させる。 ・部首・旁について知る。 (「のぎへん・ソ・兄」など) ・うなずきやつぶやきな ・スライドを変えながらテンポよく 言語化が難しい場合はヒント ど関心をもっている様 利・私・程・税・穀
4 -言語化する。(2回目) を出す。 子があったか。 ・2回目は、提示時間を短くし、 ・1回目よりも時間を短 テンポよく答えさせる。 縮して言えたか。 ・漢字に興味をもたせるため、 漢字の部首の意味をスライド で簡単に説明する。 ○視覚を活用して細部まで注意深く ・漢字の細部の違いに気付かせ ・自分から操作しようと 見る。 るため、瞬間的に文字を出し する意欲が見られたか。 ・漢字クイズに答える。 て、正誤を問うクイズなどを ・見比べて違いを指摘で 14分 10問行う。 きたか。 ・自分で操作して問題を解かせ ・正しい構成要素を選べ たり、正解を確かめさせたり たか。 する。 3 ゆっくり正確に書く活動(活動②) ・細部まで正確に書かせるため、 ○起筆・終筆を意識して文字を書く。 鉛筆の先が尖っているか確認 ・ゆっくり丁寧に書けた ⑤⑥ ・とめ、はね、はらい、まがりの運 する。 か。 ⑦ 筆練習をする。 ・ゆっくりと細部に気を付けて ○丁寧に正確に文字を書く。 書かせる。 ・言語化して構成要素を ・言語化しながら練習する。 ・構成要素が少なく、正しく書 正しく書くことができ ・問題を解く。 けた文字については練習を少 たか。 ② ・初めに書いた字と見比べて採点す なくし、構成要素が多い漢字 ・見比べて違いを指摘で る。 の練習を重点的に行う。 きたか。 ・見直して違いに気付かせるた めにルーペを使用させる。 ・練習した字がどれだけ定着し たかテストで確認する。 ・初めにテストした字が合って いるかどうか自己採点させる。 10分 4 正確に書き写す活動(活動③) ○ 活動①②で学んだことを生かし ・速さに気をとられて、不正確 ・自分で目標を考えるこ ⑦⑧ て正確に書き写す。 な字にならないようにするた とができたか。 ⑨ ①目標を決める。 め、速さよりも正確さを重視 ・自分から準備をするな ②短文を書き写す。(手元) することを伝える。 ど意欲的に取り組めた ③短文を書き写す。(板書) ・細部の見落としがないように か。 ④採点結果を知る。 教師が採点し、結果を伝える ・間違いが3文字以内で ようにする。 書き写すことができた 5 学習のまとめ か。(手元・板書それぞ ○今日の学習の成果と課題を確認す れ) ⑧ る。 ・今日の活動を振り返らせるた ・記録を記入する。 め、記録をカードに書き込ま ・自分がよくできた所と、 ・良かったところ、課題であると感 せ、感想を発表させる。 課題であると感じる所 じた所について感想を言う。 ・教師からも、良かったところ を言えたか。 や課題であるところを伝える。 8 資料 ホワイトボード モニター ノートパソコン 生徒A 教師 教室配置(活動①)