• 検索結果がありません。

IRUCAA@TDC : 第280回東京歯科大学学会インプラントシンポジウム : インプラント・組織界面の病態学

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IRUCAA@TDC : 第280回東京歯科大学学会インプラントシンポジウム : インプラント・組織界面の病態学"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title Author(s) Journal URL. 第280回東京歯科大学学会インプラントシンポジウム : インプラント・組織界面の病態学 井上, 孝 歯科学報, 107(2): 205-207 http://hdl.handle.net/10130/84. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.2(2 0 0 7). 2 0 5. インプラント・組織界面の病態学. 井上 孝 東京歯科大学臨床検査学研究室. 死んでいく過程の細胞(アポトーシス) と理解でき. 1.はじめに. る。最表層に位置する角化層は,外部刺激から内部. 「再生医療」に共通する成功の大前提は,再生組. 環境を守っている(自然免疫) 。顆粒細胞や棘細胞で. 織が解剖学的に健全な組織に連続した自己として再. はディフェンシンという抗細菌性蛋白を産生し,細. 構築され機能されることである。再生医療では,幹. 菌を直接殺す機構をも備えている。また,これら口. 細胞を使い歯牙の再生を試みたり,tissue engineer-. 腔粘膜を主に構成する角化細胞(9 0%以上) のほかに. ing の技術を用いて,細胞と足場に成長因子を加え. も,外部より侵入する抗原を認知するランゲルハン. 生体外において組織を作り上げようとしている。つ. ス細胞を備え,さらには,色素を分泌するメラニン. まりこの作られた組織が,生体内で連続性を保ちな. 産生細胞および触圧覚をつかさどるメルケル細胞を. がら機能することが最終目的である。. 配備している。. しかし,置換医療であるインプラントの場合は,. 天然歯の付着上皮は,口腔粘膜の機能と比べると. いかに良好な osseointegration が獲得されようが,. 防御機構は劣り構造的にも特殊である。その特殊性. インプラント(非自己) と生体の間に解剖学的な連続. は,エナメル質と半接着斑により物理的に接着し,. 性が生ずることはあり得ず,インプラント治療の限. 細胞間隙は広く結合組織からの濾出液または炎症に. 界があるといわざるを得ない。. 伴う滲出液を通過させ,粘膜上皮の防御能の弱さを. この限界に挑戦するために,いかにしてインプラ ント表面に骨をより早期に,より多量に沈着させる. 補っている。また,付着上皮には外来異物を取り込 み処理することも知られている(図2左) 。. か,いつ荷重すると良いか,そしてその骨が将来に. 一方,インプラント周囲上皮は口腔粘膜上皮由来. 渡って長期間維持機能させることができるのかを目. であり,基底側からインプラント体面に向けて捨て. 的として世界中の研究者により材質の改質が行われ. られていると考えられる。しかし,インプラント表. てきた。しかし,非自己であるインプラントを生体. 面に半接着斑が形成されることは少なく,時には細. に用いる以上,生体がどのようにインプラントに応. 菌の侵入も確認され物理的結合は弱いといわれる。. 答しているのかを考えることを忘れてはならない。. このようなインプラント周囲上皮の弱点を補うのは やはり結合組織中の血管からの滲出液による洗浄が. 2.口腔粘膜・付着上皮・インプラント周囲上皮. 重要と考えられる。その為にインプラント周囲上皮. あたかも臨床的には同じように見えるインプラン. の細胞間隙は口腔粘膜上皮よりも,付着上皮よりも. トでも上部構造を外せばその正体を現す(図1) 。つ. 広く鬆粗となり,結合組織との連絡を容易にしてい. まり,インプラント周囲の上皮は,口腔粘膜由来で. るのである(図2右) 。最近の我々の研究では,イン. ありながら,口腔粘膜とは異なり,付着上皮に類似. プラント周囲上皮中には神経終末が侵入しており,. するも似て非なるものである。. その刺激が神経ペプチドの分泌を誘発し,血管を拡. 口腔粘膜の基底細胞は常に増殖し,その後は上方. 張させていると考えている。. に向けて,棘細胞,顆粒細胞,角質となり生涯を終 える。基底細胞は常に分裂する母細胞,そのほかは ― 53 ―.

(3) 2 0 6. インプラントシンポジウム. 天然歯付着上皮 vs インプラント周囲上皮. 図1. 図2. 3.歯肉結合組織,歯根膜 そしてインプラント周囲結合組織 インプラント体は生体の反応の中で,インプラン トを取り巻くような線維による被包を受ける。この 線維は,インプラント体に対して垂直に並ぶことは あっても,歯肉結合組織や歯根膜のようなシャー 図3. ピィ線維を持った結合を期待することはできない。 また,インプラント周囲結合組織にはコラゲナーゼ に対して高い抵抗性を示す V 型のコラーゲン線維 が増殖し,細菌の侵入に対して防御するように働い. るインプラントが主流である(図3) 。電子顕微鏡レ. ていることからも,インプラント周囲の不安定性が. ベルでは,チタンと骨は直接接触しているわけでは. うかがえる。. なく,5 0nm 程度の厚みを持つ無構造層を介して幼 若なコラーゲンが存在し,この層がチタンと骨の接. 4.インプラントと骨界面. 触には重要と考えられている。この無構造層には細. 現在では,osseointegration による結合を期待す. 胞接着能に関係するフィブロネクチン,オステオカ. ― 54 ―.

(4) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.2(2 0 0 7). 2 0 7. ルシンとオステオポンチンなどが重要であることが. ハイドロキシアパタイト系のインプラントは骨の. 報告されている。一度 osseointegration が獲得され. 結合はチタンよりも早期に,その量も多く獲得され. ると,その骨改造を司るのはその周囲に血管がある. る。しかしアパタイトコーティング表面を持つイン. かどうかである。つまり, 血管は単球, マクロファー. プラントの現状での問題は,アパタイトの経時的溶. ジを運び破骨細胞を,また血管内皮細胞や骨髄幹細. 出やチタン面からの剥離といった問題がある。しか. 胞を運び骨芽細胞などに分化させる細胞を運ぶから. し,ブラスト処理したものよりさらに良いオッセオ. である。しかし,血管の存在がないと,同部は硬化. インテグレーションを得られる可能性があることか. 性骨炎を起こし,骨密度の上昇につながる。この現. ら,カルシウムイオン注入やチタン表面への燐酸カ. 象は,臨床的に問題が無くとも,病態的には炎症の. ルシウム薄膜沈着技術が将来開発されることが期待. 成れの果てなのである。. される。. 5.インプラントの材料と生体の反応. 6.最後に. インプラント材料の表面形状の中で,研磨された. 以上のように,インプラントと組織界面は必ず形. 平滑な表面は,インプラントと骨の結合を得るには. 成され,この形成に失敗することは感染を惹起し,. 平滑過ぎ,骨に植立されると軟組織によって被包さ. インプラントの喪失を意味する。インプラントのリ. れる可能性が高いとの報告がある。つまり,単なる. スクのもう一つは,上皮を貫き非自己が生体内と外. 機械研磨等に比べると,プラズマ溶射なり,ブラス. 部環境をつないでいることである。そして,付着上. ティング処理なり,電解研磨なり表面を粗面処理す. 皮を得ることのできないインプラント体,そして上. ることで骨結合がさらによくなり,粗面であればあ. 部構造としての金属やレジンの補綴物が,これらの. るほど実験的に剪断強さが増加するとの報告も多. リスクにさらなるリスクを与えていることを忘れて. い。. はならない。. ― 55 ―.

(5)

参照

関連したドキュメント

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師、早稲田大学の川上

学識経験者 小玉 祐一郎 神戸芸術工科大学 教授 学識経験者 小玉 祐 郎   神戸芸術工科大学  教授. 東京都

会長 各務 茂夫 (東京大学教授 産学協創推進本部イノベーション推進部長) 専務理事 牧原 宙哉(東京大学 法学部 4年). 副会長

 昭和大学病院(東京都品川区籏の台一丁目)の入院棟17

向井 康夫 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 牧野 渡 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 占部 城太郎 :

○東京 2020 大会の開催に向けた組織委員会や関係省庁等との連携強化 東京

○東京 2020 大会の開催に向けた組織委員会や関係省庁等との連携強化 東京